特許第6099031号(P6099031)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099031
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】レトルト麺類の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/109 20160101AFI20170313BHJP
【FI】
   A23L7/109 A
   A23L7/109 C
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-159809(P2012-159809)
(22)【出願日】2012年7月18日
(65)【公開番号】特開2014-18142(P2014-18142A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2014年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】301049777
【氏名又は名称】日清製粉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大森 彬史
(72)【発明者】
【氏名】水上 将一
(72)【発明者】
【氏名】小田 健司
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 真彦
(72)【発明者】
【氏名】堀米 健二郎
【審査官】 濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−000013(JP,A)
【文献】 特開平03−039057(JP,A)
【文献】 特開平10−042811(JP,A)
【文献】 特開2002−354998(JP,A)
【文献】 特開2012−125158(JP,A)
【文献】 特開平10−215803(JP,A)
【文献】 米国特許第04466985(US,A)
【文献】 特開昭59−055156(JP,A)
【文献】 特開平06−327427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
WPIDS(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製麺原料として、小麦グルテン25〜35質量%(乾物換算)、アセチル化又はエーテル化タピオカ澱粉45〜65質量%及び小麦粉0〜10質量%を用いて製造した生麺を、蒸し処理せずに、乾燥させて乾麺とした後、該乾麺を、麺とともに喫食される調味液と一緒に密封包装し、次いでレトルト処理することを特徴とするレトルト麺類の製造方法であり、
前記乾麺とともに密封包装する前記調味液の量が、該乾麺100質量部に対して1000〜2000質量部であり、
前記アセチル化タピオカ澱粉は、リン酸架橋が施されていない、レトルト麺類の製造方法。
【請求項2】
前記レトルト麺類がレトルトうどん又はレトルトパスタである請求項1記載のレトルト麺類の製造方法。
【請求項3】
前記レトルト麺類がレトルトパスタである場合には、前記乾麺における麺の厚みが1.0〜1.5mmである請求項2記載のレトルト麺類の製造方法。
【請求項4】
前記レトルト麺類がレトルトパスタである場合には、製麺原料として、さらに、卵白1〜15質量%を用いる請求項2又は3記載のレトルト麺類の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レトルトうどん、レトルトパスタ等のレトルト麺類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レトルト食品は温めなおすだけで食すことができる手軽さから、様々な食品に適用されている。しかしながら、小麦粉等の穀粉を主原料とする麺類でレトルト食品を製造するには、麺をつゆ(汁やスープ類等)と共に密封し、レトルト処理(高温加圧殺菌処理)することになるが、通常の麺類は、レトルト処理したり、その後に長期間保存すると、麺線の表面の茹でどけが著しく、また麺線自体がつゆの水分を吸ってしまい、例えば麺類がうどんの場合には、うどんらしい弾力のある食感も残らず、箸で持ち上げることすらできない極めて切れやすい状態となるため、その製品化は極めて困難であった。
【0003】
このような従来のレトルト麺類の課題に鑑み、種々提案がなされている。例えば特許文献1には、麺線の形状の崩れ、食感の軟弱化、調味液の濁り等をバランス良く防止して、高品質のレトルト食品、特にレトルトの麺類を製造するために、小麦粉、膨潤度10〜100のリン酸架橋澱粉10〜40重量%及び卵白粉5〜30重量%を含有してなる混合粉を用い、該混合粉の加水物を製麺して茹で上げた後、直接調味料と共に容器へ封入し、レトルトで加圧加熱するレトルト麺類の製造方法が提案されている。
【0004】
また特許文献2には、リン酸架橋化工澱粉75〜97重量%、グルテン等の熱凝固性蛋白素材3〜20重量%、必要に応じて穀粉を含む原料を用いて麺線を調製し、該麺線を茹でる又は蒸す等してα化する工程を含む麺類の製造方法が提案されている。特許文献2によれば、斯かる麺類の製造方法により、加熱処理せずに喫食可能で、長期保存による品質の劣化がほとんど見られない麺類が得られるとされている。
【0005】
また、特許文献3には、小麦粉60〜90重量%と、エーテル化澱粉及び架橋澱粉からなる加工澱粉40〜10重量%とを含む粉体原料100重量部に、加水して減圧下で撹拌した後、非加熱で押出し成型した生麺を、高温高圧蒸気殺菌処理した後、水分を吸収させて水分含量を調整し、包装することを特徴とする生タイプ包装麺の製造方法が提案されている。特許文献3によれば、長期間保存が可能であり、熱湯に浸漬して湯戻した後も、コシがあり、湯伸びしにくく、且つ短時間で喫食可能になる生タイプ包装麺が得られるとされている。
【0006】
しかしながら、これら従来のレトルト麺類の製造方法では、麺類の茹でどけによる麺の表面の崩れや食感の低下、つゆの濁り等を防止するという点でその効果は十分とはいえず、レトルト麺とするには麺とつゆを別々に包装する必要があり、根本的な解決に至っていなかった。そこで、本出願人は、従来のレトルト麺類の製造方法の課題を解決するために、製麺原料として、小麦グルテン25〜35質量%(乾物換算)、リン酸架橋澱粉45〜65質量%及び小麦粉0〜20質量%を用いて製造した生麺を、蒸し処理した後、つゆと一緒に密封包装し、次いでレトルト処理することを特徴とするレトルトうどんの製造方法を提案した(特許文献4参照)。
【0007】
また特許文献5には、乾燥パスタを蒸熱処理し、その蒸熱処理パスタとパスタ用調味液とをレトルト殺菌用容器に充填密封した後、レトルト殺菌することを特徴とするパスタ入りレトルト食品の製造方法が提案されている。蒸熱処理は、乾燥パスタを蒸すことによって加熱する処理であり、蒸し器、せいろ等の蒸熱処理器を用い、大気圧下又は加圧下で水蒸気の存在下で行われる。特許文献5によれば、風味、食感が良好で、パスタの溶けもなく、且つ製造工程が簡単で作業性に優れたパスタ入りレトルト食品が得られるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平4−218349号公報
【特許文献2】特許第3200569号公報
【特許文献3】特許第2987325号公報
【特許文献4】特開2011−13号公報
【特許文献5】特開平10−271971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、麺線表面が滑らかで、食感に優れるレトルト麺類を提供し得るレトルト麺類の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を達成するために種々検討した結果、小麦グルテン及びアセチル化又はエーテル化タピオカ澱粉を含む、特定の製麺原料を用いて生麺を製造し、これを乾燥させて乾麺とした後、調味液と一緒に密封包装してレトルト処理することにより、麺線表面が滑らかで、食感に優れるレトルト麺類が得られることを知見した。特許文献1〜5に記載の技術は何れも、生麺あるいは麺線を茹でたり蒸したりしたものをレトルト処理するものであって、乾麺をレトルト処理するものでははく、本発明の斯かる知見は特許文献1〜5には記載されていない。
【0011】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、製麺原料として、小麦グルテン25〜35質量%(乾物換算)、アセチル化又はエーテル化タピオカ澱粉45〜65質量%及び小麦粉0〜20質量%を用いて製造した生麺を、乾燥させて乾麺とした後、該乾麺を調味液と一緒に密封包装し、次いでレトルト処理することを特徴とするレトルト麺類の製造方法である。
【0012】
尚、本発明において、レトルト処理とは、気密性を有する容器に食品を入れて密封したものを、その容器ごと高温で加圧殺菌することを意味し、容器の種類は問わない。従って、本発明に係るレトルト麺類には、レトルトパウチ食品としてのレトルト麺類の他、缶詰や瓶詰めも包含される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、麺線表面が滑らかで、食感に優れるレトルト麺類を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のレトルト麺類の製造方法は、製麺原料を用いて生麺を製造する工程と、該生麺を乾燥させて乾麺とする工程と、該乾麺を調味液と一緒に密封包装してレトルト処理を行う工程とを有する。製麺原料としては、小麦グルテン25〜35質量%(乾物換算)、アセチル化又はエーテル化タピオカ澱粉45〜65質量%及び小麦粉0〜20質量%を配合したものを用いる。
【0015】
本発明で用いられる小麦グルテンとしては、例えば、ウェットグルテン、バイタルグルテン、凍結乾燥品等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
小麦グルテンの全製麺原料に対する配合量が25質量%未満であると、生地のつながりが悪くなり、レトルト処理やその後の調味液が共存した状況下での長期保存の過程で麺の食感が脆くなり、また、該配合量が35質量%を超えると、製造時の作業性が低下し、硬い食感となり、麺の滑らかさも低下するため好ましくない。小麦グルテンの全製麺原料に対する配合量は、好ましくは28〜32質量%である。尚、小麦グルテンとしてウェットグルテンを用いる場合には、乾物換算してその配合量を決定するとともに、含有水分量を後述する製麺時の加水量から差し引く等、実際に添加する水の量を調節する必要がある。
【0017】
本発明で用いられるアセチル化又はエーテル化タピオカ澱粉は、リン酸架橋が施されていても良い。本発明の製造方法は、アセチル化又はエーテル化タピオカ澱粉を用いることを必須要件としており、該澱粉以外の澱粉、例えば、アセチル化もエーテル化も施されていないタピオカ澱粉、あるいはタピオカ以外(馬鈴薯等)を原料とする澱粉にアセチル化又はエーテル化を施したものを用いた場合には、たとえ本発明で規定する工程に従ったとしても、本発明の効果(麺線表面の滑らかさ及び食感の向上効果)は得られない。本発明で用いられるアセチル化タピオカ澱粉としては、例えば、アセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉が挙げられ、また、本発明で用いられるエーテル化タピオカ澱粉としては、例えば、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉が挙げられる。特に、加工度(置換度)の高いタピオカ澱粉が好ましい。
【0018】
アセチル化又はエーテル化タピオカ澱粉の全製麺原料に対する配合量が45質量%未満であると、硬く脆い食感となり、滑らかさも低下し、また、該配合量が65質量%を超えると、軟らかい食感となるため好ましくない。アセチル化又はエーテル化タピオカ澱粉の全製麺原料中の配合量は、好ましくは55〜60質量%である。
【0019】
本発明で用いられる小麦粉としては、例えば、薄力粉、中力粉、強力粉、デュラム小麦粉、等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、レトルト麺類としてレトルトうどんを製造する場合、小麦粉としては、中力粉が好ましく、また、レトルト麺類としてレトルトパスタを製造する場合、小麦粉としては、中力粉、強力粉、デュラム小麦粉が好ましい。
【0020】
本発明においては、小麦粉は製麺原料として必ずしも配合する必要はなく、小麦粉の全製麺原料に対する配合量は0質量%でも構わないが、小麦粉を配合する場合の該配合量は、好ましくは10〜20質量%、さらに好ましくは10〜15質量%である。小麦粉の全製麺原料に対する配合量が20質量%を超えると、レトルト処理やその後の保存期間中に茹でどけや麺の表面の崩れが生じ、つゆも濁ってしまうため好ましくない。
【0021】
本発明においては、製麺原料として、小麦グルテン、アセチル化又はエーテル化タピオカ澱粉及び必要に応じて小麦粉をそれぞれ別個に用いても良いが、これら製麺原料を含む穀粉組成物、即ち、小麦グルテン25〜35質量%(乾物換算)、アセチル化又はエーテル化タピオカ澱粉45〜65質量%及び小麦粉0〜20質量%を含む穀粉組成物を予め調製して用いても良い。
【0022】
本発明においては、製麺原料として、上記の小麦グルテン、アセチル化又はエーテル化タピオカ澱粉及び必要に応じて小麦粉に加えて、さらに、卵白1〜15質量%を用いても良い。特に、レトルト麺類がレトルトパスタである場合には、製麺原料として卵白を追加することにより、麺線表面の滑らかさ及び食感(硬さ、粘り)が一層向上し得る。卵白の全製麺原料に対する配合量は、好ましくは5〜10質量%である。尚、卵白の配合量は乾物換算である。
【0023】
また、本発明においては、製麺原料として、上記の小麦グルテン及びアセチル化又はエーテル化タピオカ澱粉並びに必要に応じて小麦粉及び卵白に加えて、さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、小麦粉以外の穀粉類、例えば大麦粉、そば粉、米粉、コーンフラワー、大豆粉等や、アセチル化又はエーテル化タピオカ澱粉以外の澱粉類を配合しても良い。当該澱粉類としては、例えば、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉等の澱粉及びこれらにα化、エーテル化、エステル化、酸化処理等の処理を施した加工澱粉等が挙げられる。これらの穀粉類や澱粉類を配合する場合、その配合量は、全製麺原料中で10質量%未満であることが好ましい。
【0024】
本発明においては、製麺原料(穀粉組成物)以外に副資材として、食塩;卵黄粉、全卵粉等の卵粉;キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸及びその塩、寒天、ゼラチン、ペクチン等の増粘剤;油脂類;エチルアルコール等を配合することもできる。
【0025】
本発明のレトルト麺類の製造方法においては、先ず、製麺原料(穀粉組成物)を用いて生麺を製造する。より具体的には、先ず、上述の製麺原料又はこれを含有する穀粉組成物に、必要に応じて副資材を加え、加水した後にミキシングして生地を得る。加水量は、全製麺原料又は穀粉組成物の合計100質量部に対して、好ましくは30〜50質量部、さらに好ましくは35〜45質量部の範囲である。加水量が30質量部未満であると、生地が硬く作業性が低下することがあり、50質量部を超えると、生地がべたつき、また弱くなる可能性がある。ミキシングは、常法に従って行えば良いが、ミキシング時間は、通常は5〜20分間程度である。このように得られた生地から、常法に従って、例えば圧延・切り出し法、押出法により生麺を製造すれば良く、特に、製麺時の作業性やレトルト処理後のうどんの食感等の観点から、圧延・切り出し法が好ましい。
【0026】
次に、得られた生麺を乾燥させて乾麺とする。特許文献4に記載のレトルトうどんの製造方法では、生麺を蒸し処理してからレトルト処理していたが、本発明では、生麺を蒸し処理せずに乾燥させてからレトルト処理する。このように、レトルト処理前に乾麺とすることにより、最終的に得られるレトルト麺類の麺線表面がより滑らかになると共に、麺の硬さや粘りが増して食感が向上する。尤も、この生麺を乾麺とする工程は、上述した特定の製麺原料又はこれを含有する穀粉組成物を用いた場合に初めてその有用性が発現するものであり、通常の製麺原料を用いた場合にまで有用であるとは限らない。
【0027】
生麺の乾燥は、常法に従って行えば良く、例えば、足止め工程、本乾燥工程及び冷却工程の3つの工程を経る乾燥方法が挙げられる。生麺を乾燥させて得られる乾麺の含水率は、好ましくは14質量%以下、更に好ましくは12〜14質量%である。
【0028】
また、乾麺における麺の厚み、即ち、レトルト処理直前の乾麺の厚みは、特に制限されないが、レトルト麺類の種類によっては食感に少なからず影響を及ぼす。特に、レトルト麺類がレトルトパスタである場合には、レトルトパスタの食感の一層の向上の観点から、乾麺における麺の厚みは、好ましくは1.0〜1.5mmである。
【0029】
次に、得られた乾麺を調味液と一緒に密封包装してレトルト処理(高温加圧殺菌処理)を行う。調味液は、麺と共に喫食される流動物であれば特に限定されず、例えば、うどんつゆやそばつゆ等のつゆの他、スープ、汁、ソース等が挙げられる。乾麺と共に密封包装される調味液の量は、特に制限されないが、通常、乾麺100質量部に対して1000〜
2000質量部である。乾麺及び調味液の密封包装は、これらを容器に封入することによりなされるところ、この容器としては、通常、レトルトパウチに用いられる容器であれば特に制限されず、さらに缶詰や瓶詰め用の容器でも良い。また、容器には、乾麺及び調味液に加えて、さらに具材を封入しても良い。レトルト処理の条件は、例えば加熱温度120〜135℃で処理時間20〜30分間である。
【0030】
以上の工程により製造されるレトルト麺類は、麺線表面が滑らかで、食感に優れる。また、このレトルト麺類は、レトルト処理後につゆ等の調味液と共に長時間保持されても、食感が低下しないばかりでなく、麺の表面の崩れや茹でどけがなく、調味液が濁ることもないレトルト耐性を有し、長期間保存することができる。
【0031】
本発明のレトルト麺の製造方法は、種々の麺に適用可能であり、例えば、うどん、そば、パスタ、中華麺等に適用可能であり、特に、うどん、パスタに好適である。即ち、本発明は、レトルトうどん又はレトルトパスタの製造方法として好適である。尚、ここでいう「うどん」には、通常のうどんの他、きしめん、ほうとう等も含まれる。
【実施例】
【0032】
本発明を具体的に説明するために実施例及び比較例を挙げるが、本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。
【0033】
〔実施例1〜4及び比較例1〜5(レトルトうどんの製造方法)〕
各種製麺原料を下記表1に示す配合割合で含有する穀粉組成物をそれぞれ調製した。なお、実施例3は、製麺原料中の小麦粉の配合量が10質量%超の参考例である。
各穀粉組成物100質量部、増粘剤(キサンタンガム)0.1質量部及び95%アルコール1質量部に対し、水40質量部を加え、−760mmHgにて10分間ミキシングして、生地をそれぞれ得た。得られた各生地を常法により圧延し、最終麺帯厚を2.7mmとした後、切刃(#12角)で麺線に切出し、生うどん(生麺)をそれぞれ得た。
得られた各生うどんを、足止め、本乾燥及び冷却の3つの工程を経て乾燥して、乾燥うどん(乾麺)をそれぞれ得た。得られた乾燥うどんの含水率は14質量%であった。
得られた各乾燥うどん15g及びうどんつゆ(調味液)220gをレトルト包材で密封包装した後、125℃にて20分間、常法によるレトルト処理を行い、レトルトうどんをそれぞれ得た。
【0034】
〔実施例5及び6(レトルトパスタの製造方法)〕
各種製麺原料を下記表1に示す配合割合で含有する穀粉組成物をそれぞれ調製した。
各穀粉組成物100質量部、増粘剤(キサンタンガム)0.1質量部及び95%アルコール1質量部に対し、水40質量部を加え、−760mmHgにて10分間ミキシングして、生地をそれぞれ得た。得られた各生地を常法により押し出しにより麺線とし、麺線の厚みを1.5mmとして、生パスタ(生麺)をそれぞれ得た。
得られた各生パスタを、足止め、本乾燥及び冷却の3つの工程を経て乾燥して、乾燥パスタ(乾麺)をそれぞれ得た。得られた乾燥パスタの含水率は14質量%であった。
得られた各乾燥パスタ18g及びパスタソース(調味液)240gをレトルト包材で密封包装した後、125℃にて20分間、常法によるレトルト処理を行い、レトルトパスタをそれぞれ得た。
【0035】
〔比較例6(レトルトうどんの製造方法)〕
生うどん(生麺)を乾燥させずにそのままレトルト処理を行った以外は、実施例1のレトルトうどんの製造方法に準じて、レトルトうどんを得た。
【0036】
〔比較例7(レトルトパスタの製造方法)〕
生パスタ(生麺)を乾燥させずにそのままレトルト処理を行った以外は、実施例6のレトルトパスタの製造方法に準じて、レトルトパスタを得た。
【0037】
〔評価〕
得られた各レトルトうどん及び各レトルトパスタを常温にて30日間保存した後、開封し、開封したうどん及びパスタをパネラー10名にそのまま喫食させ、その際のうどん及びパスタ(麺線表面)の滑らかさ及び食感(硬さ及び粘り)を下記評価基準に従って評価させた。それらの評価結果(パネラー10名の平均点)を下記表1に示す。尚、下記表1中、「製麺原料」の欄における各数値の単位は「質量%」である。
【0038】
〔滑らかさの評価基準〕
5点:麺線表面が非常に整っていて、非常に滑らかである。
4点:麺線表面が比較的整っていて、滑らかである。
3点:麺線表面にやや凹凸があるものの、通常の滑らかさである。
2点:麺線表面がややごつごつして、滑らかさがやや失われている。
1点:麺線表面がごつごつして、滑らかさが失われている。
【0039】
〔食感(硬さ)の評価基準〕
5点:麺線表面にしっかりした硬さがあり、通常の麺と遜色ない食感。
4点:麺線表面に硬さがあり、ほどよい食感。
3点:麺線表面がやや軟らかすぎるか、やや硬すぎるが、食することができる。
2点:麺線表面が硬すぎるため、やや不適な食感。
1点:麺線表面が、軟らかすぎるか、硬すぎるために、食することができない。
【0040】
〔食感(粘り)の評価基準〕
5点:麺線内部に粘弾性があり、通常の麺と遜色ない食感。
4点:麺線内部がやや軟らかいか、やや硬いが、ほどよい食感。
3点:麺線内部がやや軟らかすぎるか、やや硬すぎるが、食することができる。
2点:麺線内部やや軟らかすぎるか、やや硬すぎるため、やや不適な食感。
1点:麺線内部共に、軟らかすぎるか、硬すぎるために、食することができない。
【0041】
【表1】