(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
樹脂が円形の板状ワークの上面および外周からはみ出して貼付けられていて、板状ワークの下面を吸引保持する保持面を有する保持テーブルと、該保持面の中心を軸に該保持テーブルを回転させる回転動作部と、該保持テーブルに保持された該板状ワークの外周からはみ出した該樹脂を掴むクランプ部と、該クランプ部から所定の距離を離間して配設され該樹脂を上から押す押付けローラと、該クランプ部を略上方向に上昇させる上昇移動部と、該保持テーブルを水平方向に移動させる水平移動部と、該回転動作部の回転角度を指定する角度指定部と、該水平移動部の移動距離を板状ワークの半径以内の値で指定する第1の距離指定部と、該水平移動部の移動距離を板状ワークの半径より大きな値で指定する第2の距離指定部と、を少なくとも備える樹脂剥がし装置を用いた樹脂剥がし方法であって、
該押付けローラで該樹脂の上面を押さえ、該クランプ部が該樹脂を掴み、該クランプ部に該上昇移動部で上方向の力を付与させ、該保持テーブルを該水平移動部で該第1の距離指定部の指定する距離を移動させ、該保持テーブルの移動によって該上昇移動部で該クランプ部が上昇して板状ワークの外周部分の該樹脂を剥がす動作を行い、該角度指定部で指定された角度に該保持テーブルを回転させた後、板状ワークの外周部分の該樹脂を剥がす動作を繰返す外周剥がし工程と、
該押付けローラで該樹脂の上面を押さえ、該クランプ部が該樹脂を掴み、該クランプ部に該上昇移動部で上方向に力を付与させ、該保持テーブルを該水平移動部で該第2の距離指定部が指定する距離を移動させ、板状ワークに貼付けられた樹脂を剥がす動作を行う全体剥がし工程とを有する樹脂剥がし方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本実施の形態に係る樹脂剥がし装置について説明する。
図1は、本実施の形態に係る樹脂剥がし装置の模式図である。なお、樹脂剥がし装置は、
図1に示す構成に限定されない。樹脂剥がし装置は、複数回に分けて板状ワークの外周部分から樹脂を剥がした後に、板状ワークの全体から樹脂を剥がす構成であれば、どのような構成でもよい。
【0013】
図1に示すように、樹脂剥がし装置1は、円形の板状ワークWの上面81に貼り付けられた樹脂85を剥がすように構成されている。この樹脂剥がし装置1は、保持テーブル3上に板状ワークWが保持されており、板状ワークWの外周からはみ出した樹脂85の端部82を掴んで、板状ワークWの上面81から樹脂85を引き剥がすように動作する。樹脂剥がし装置1は、保持テーブル3を回転させてクランプ位置を変え、複数回に分けて板状ワークWの外周部分から樹脂85を剥がした後、板状ワークWの全体から樹脂85を引き剥がしている。
【0014】
板状ワークWは、デバイスパターンが形成される前のものであり、円柱状のインゴットをワイヤソーで切断することにより得られる。板状ワークWは、切断時に生じたうねりや反り等を除去するために、一方の面(上面81)に樹脂85を塗布した後に他方の面(下面83)を研削した状態で樹脂剥がし装置1に搬入される。樹脂85の表面には、板状ワークWに対する樹脂85の塗布時に使用されるシート87(
図2参照)が貼り付けられている。また、板状ワークWの上面81に外周からはみ出すように樹脂85が塗布されることで、板状ワークWの全面が樹脂85によって被覆されている。
【0015】
なお、板状ワークWは、シリコン(Si)、ガリウムヒソ(GaAs)、シリコンカーバイド(SiC)等のワークに限定されるものではない。例えば、セラミック、ガラス、サファイヤ(Al
2O
3)系の無機材料基板、板状金属や樹脂の延性材料、ミクロンオーダーからサブミクロンオーダの平坦度(TTV: Total Thickness Variation)が要求される各種加工材料を板状ワークWとしてもよい。なお、ここでいう平坦度とは、板状ワークWの被研削面を基準面として厚み方向を測定した高さのうち、最大値と最小値との差を示している。
【0016】
樹脂剥がし装置1は、板状ワークWを保持した保持テーブル3を水平移動させて、樹脂85の端部82を掴んだクランプ部5を上昇移動させることによって、樹脂85の引き剥がし動作を実施している。樹脂剥がし装置1は、基台2を有しており、基台2には保持テーブル3を水平方向に移動させる水平移動部4が設けられている。水平移動部4は、基台2上に配置された一対のガイドレール41(1つのみ図示)と、一対のガイドレール41にスライド可能に設置されたモータ駆動のスライドテーブル42とを有している。
【0017】
スライドテーブル42上にはテーブル支持台45を介して保持テーブル3が回転可能に支持されている。スライドテーブル42の背面には、ナット部43が設けられており、このナット部43に基台2内に配置されたボールネジ44が螺合されている。そして、ボールネジ44の一端部に連結された駆動モータ49が回転駆動されることで、保持テーブル3がガイドレール41に沿って水平方向に移動される。なお、水平方向とは、重力方向に対して完全に直交する方向に限らず、重力方向に対して実質的に直交と見なせる程度に傾斜する方向を含んでいる。
【0018】
テーブル支持台45は、中央に開口48が形成された板状部46の周囲に複数の脚部47をネジ止めして構成されている。板状部46の開口48には、保持テーブル3の下面から突出する駆動軸31が挿通されている。また、テーブル支持台45の内側には、保持テーブル3を回転させるベルト駆動式の回転動作部35が設けられている。回転動作部35は、駆動モータ36の出力軸37と保持テーブル3の駆動軸31とに無端ベルト38を掛け渡して構成される。回転動作部35は、駆動モータ36の出力を無端ベルト38を介して駆動軸31に伝達することで、保持テーブル3を保持面32の中心を軸に回転させている。
【0019】
保持テーブル3は、円盤状に形成されており、板状ワークWの下面83を吸引保持する保持面32が形成されている。保持面32は、ポーラスセラミック材により形成されており、不図示の流路を通じて吸引源に接続されている。保持テーブル3の下面には、上記したように円柱状の駆動軸31が設けられている。駆動軸31は、板状部46の開口48に挿通され、エアベアリングによってテーブル支持台45に対して回転可能に支持されている。
【0020】
クランプ部5は、保持テーブル3の外周付近に位置付けられ、板状ワークWの外周からはみ出した樹脂85及びシート87(
図2参照)を掴むように構成されている。クランプ部5の先端には、樹脂85の端部82と共にシート87を挟み込む挟持部51が設けられている。クランプ部5の基端には、上昇移動部55のシリンダ57内に収容されたピストン56が設けられている。上昇移動部55は、クランプ部5を略上方向に移動可能に支持している。上昇移動部55のシリンダ57は、鉛直姿勢に対して引き剥がし方向に僅かに傾けられている。
【0021】
シリンダ57の下端側には、ピストン56の下方空間にエアを取り込む吸気口58が形成され、シリンダ57の上端側には、ピストン56の上方空間からエアを排気する排気口59が形成されている。ピストン56は、シリンダ57内を仕切るように配置されており、シリンダ57の下端側の吸気口58からエアが供給されることで、ピストン56が略上方に押し上げられる。これにより、ピストン56に連結されたクランプ部5が樹脂85の端部82を掴んだ状態で略上方向に移動される。このとき、シリンダ57が引き剥がし方向に僅かに傾けられているため、クランプ部5の上昇に応じて樹脂85を引き剥がし易くしている。
【0022】
なお、略上方向とは、鉛直上方よりも僅かに斜めに傾いた方向に限られず、板状ワークWに対して上方と見なせる方向含んでいる。したがって、略上方向とは、板状ワークWの表面に完全に垂直な鉛直上方向であってもよい。この場合、シリンダ57は、保持テーブル3の保持面32に対して鉛直姿勢で設置される。
【0023】
また、保持テーブル3の上方には、樹脂85を板状ワークWに押付ける押付けローラ6が設けられている。押付けローラ6は、板状ワークWの径方向においてクランプ部5に対向しており、クランプ部5から所定の距離だけ板状ワークWの径方向内側に離間して配設されている。押付けローラ6は、押付けシリンダ61によって板状ワークWに対して離接可能に駆動される。押付けローラ6は、保持テーブル3の移動方向に対して直交する方向に延在しており、板状ワークWの直径よりも長く形成されている。これにより、押付けローラ6は、板状ワークWの全体を押付け可能となっている。押付けローラ6は、押付けシリンダ61のピストン(不図示)に回転可能に連結されている。
【0024】
板状ワークWは、押付けローラ6の押付け力と保持テーブル3の保持力により保持面32に保持されている。この押付け力と保持力との合力は、クランプ部5の上昇力よりも強く調整されている。また、クランプ部5の上昇力は、樹脂85の粘着力よりも強く調整されている。したがって、クランプ部5の上昇によって、板状ワークWが保持テーブル3の保持面32から外れることがなく、板状ワークWから樹脂85だけを剥がすことが可能となっている。
【0025】
また、押付けローラ6が板状ワークWの外周部分に位置付けられている状態では、押付けローラ6によってクランプ部5の上昇が抑えられている。これは、押付けローラ6の押付け位置とクランプ部5のクランプ位置とが近いため、樹脂85を介して押付けローラ6によってクランプ部5の上昇が規制されるからである。樹脂剥がし時には、保持テーブル3の水平移動によって押付けローラ6の押付け位置が板状ワークWの外周部分から移動される。これにより、押付けローラ6によって抑え込まれていたクランプ部5の上昇が開放され、押付けローラ6の移動距離に応じて樹脂85が引き剥がされる。
【0026】
このように、樹脂剥がし装置1は、保持テーブル3の水平方向の移動によって、板状ワークW上の押付けローラ6の押付け位置が移動することで、板状ワークWから樹脂85を剥がしている。この場合、樹脂剥がし装置1は、保持テーブル3の移動量を小さくすることによって、板状ワークWの外周部分の樹脂85を剥がすように動作する。また、樹脂剥がし装置1は、保持テーブル3の移動量を大きくすることによって、板状ワークWの全体から樹脂85を剥がすように動作する。なお、樹脂剥がし装置1の樹脂剥がし動作の詳細については後述する。
【0027】
また、樹脂剥がし装置1には、装置各部を統括制御する制御部7が設けられている。制御部7は、回転動作部35の回転角度を指定する角度指定部71と、水平移動部4の移動距離を板状ワークWの半径内の値で指定する第1の距離指定部72と、水平移動部4の移動距離を板状ワークWの半径よりも大きな値で指定する第2の距離指定部73とを有している。制御部7は、角度指定部71で指定された回転角度に保持テーブル3を回転させ、板状ワークWの外周部分の所定位置をクランプ部5に掴ませる。すなわち、角度指定部71には、クランプ部5によって樹脂85を掴ませるクランプ位置が指定される。
【0028】
制御部7は、水平移動部4を制御して、第1、第2の距離指定部72、73で指定された距離だけ保持テーブル3を移動させる。上記したように、樹脂85は、保持テーブル3の移動量に応じて板状ワークWから引き剥がされる。すなわち、第1の距離指定部72には、板状ワークWの半径内の値で、外周剥がし工程における板状ワークWからの樹脂85の引き剥がし量が指定される。また、第2の距離指定部73には、板状ワークWの半径よりも大きな値で、全体剥がし工程における板状ワークWからの樹脂85の引き剥がし量が指定される。
【0029】
なお、回転角度の指定は、特に指定方法は限定されない。回転角度の指定は、クランプ部5に掴ませたい角度位置が直接指定されてもよいし、回転間隔や剥がし動作の動作回数の1つ又は複数の組み合わせで指定されてもよい。回転間隔のみで指定される場合には、360°を回転間隔で除算して回転角度を指定できる。例えば、回転間隔として60°を設定すれば、60°間隔で6つの回転角度(角度位置)を指定することが可能である。また、剥がし動作の動作回数のみで指定される場合には、360°を動作回数で除算して回転角度を指定できる。例えば、剥がし動作の動作回数を6回に設定すれば、60°間隔で6つの回転角度(角度位置)を指定することができる。この場合、剥がし動作の動作回数から1を減算したものを外周剥がし工程の動作回数とし、剥がし動作の動作回数から外周剥がし工程の動作回数を減算したものを全体剥がし工程の動作回数とする。すなわち、外周剥がし工程の動作回数と全体剥がし工程の動作回数との合計を動作回数としている。また、所定の角度範囲(例えば、180°)内で回転角度を指定することも可能である。
【0030】
制御部7は、樹脂剥がし装置1の各処理を実行するプロセッサやメモリ等によって構成されている。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体で構成される。すなわち、角度指定部71、第1、第2の距離指定部72、73による各処理は、プロセッサやメモリ等のハードウェア資源を用いて実現されている。
【0031】
このように構成された樹脂剥がし装置1は、板状ワークWの外周部分の樹脂85を剥がす外周剥がし工程と、板状ワークWの全体から樹脂85を剥がす全体剥がし工程とを組み合わせることで、板状ワークWから樹脂85を剥がしている。外周剥がし工程では、角度指定部71に指定された回転角度に保持テーブル3を回転させてクランプ位置を変え、複数回に分けて板状ワークWの外周部分から樹脂85を剥がしている。全体剥がし工程では、外周剥がし工程で剥がれされていないクランプ位置を掴み、保持テーブル3を大きく水平移動させることで板状ワークWの全体から樹脂85を剥がしている。このとき、板状ワークWの外周部分に強く貼り付いた樹脂85が事前に剥がされているため、板状ワークWの全体から樹脂85が剥がし易くなっている。
【0032】
ここで、
図2を参照して引き剥がし方向と樹脂の粘着力との関係について説明する。
図2は、本実施の形態に係る引き剥がし方向と樹脂の粘着力との関係の説明図である。なお、
図2Aは、板状ワークの上面図を示し、
図2Bは、板状ワークのA―A線に沿う断面図、
図2Cは、板状ワークのB−B線に沿う断面図である。なお、
図2Aでは、説明の便宜上シートを省略している。
【0033】
図2Aから
図2Cに示すように、板状ワークWには、上面81を覆うように樹脂85が貼り付けられている。樹脂85は、板状ワークWの外周からはみ出しており、板状ワークWの上面81だけでなく外周面84にも貼り付けられている。このため、板状ワークWの外周からはみ出た樹脂85が板状ワークWの外周面84に強く貼り付いており、板状ワークWの外周部分から樹脂85が剥がれ難くなっている。樹脂85は、板状ワークWの外周から中央方向に向かって引き剥がされる。このとき、
図2Aに示すように、樹脂剥がしの開始位置では、板状ワークWの外周面84と樹脂85の端部82とが引き剥がし方向に直交する面で貼着されている。この板状ワークWの外周面84と樹脂85の端部82との貼着面は、樹脂剥がしの開始位置から中央に近付くにつれて、引き剥がし方向に平行な方向に向けられる。
【0034】
図2Bに示すように、樹脂剥がしの開始位置において板状ワークWから樹脂85が捲り上げられると、樹脂85の端部82には粘着力に対して逆向きに引張力が作用する。このため、樹脂剥がしの開始位置では、板状ワークWの外周面84から樹脂85の端部82を引き離す方向に力が作用し、板状ワークWから樹脂85を剥がし易くなっている。
図2Cに示すように、板状ワークWの中央付近において板状ワークWから樹脂85が捲り上げられると、樹脂85の端部82には粘着力に対して直交する上方向に引張力が作用する。このため、板状ワークWの中央付近では、板状ワークWの外周面84に対して樹脂85の端部82をスライドさせる方向に力が作用し、板状ワークWから樹脂85を剥がし難くなっている。
【0035】
このため、本実施の形態では、板状ワークWの全体から樹脂85を剥がす前に、板状ワークWの外周部分から樹脂85を剥がすようにしている。これにより、板状ワークWの外周面84に対する樹脂85の端部82の貼り付きによって、樹脂剥がし動作が阻害されることがない。よって、板状ワークWの割れを起こすことなく、樹脂85の剥がし残しをなくして、板状ワークWから樹脂85を良好に剥がすことが可能となっている。
【0036】
図3及び
図4を参照して、樹脂剥がし装置による樹脂剥がし動作について説明する。
図3は、本実施の形態に係る外周剥がし工程の説明図である。
図4は、本実施の形態に係る全体剥がし工程の説明図である。なお、
図3及び
図4においては、説明の便宜上、水平移動部4の一部の構成を省略して記載している。
【0037】
まず、外周剥がし工程について説明する。
図3Aに示すように、板状ワークWが保持された保持テーブル3が初期位置Pに位置付けられている。この初期位置Pにおいて、板状ワークWに貼り付けられた樹脂85の端部82(クランプ位置)がシート87(
図2参照)共にクランプ部5に掴まれる。このとき、上昇移動部55によってクランプ部5に樹脂85の粘着力よりも強い上昇力が付与されているが、押付けローラ6の押付け力によって板状ワークWからの樹脂85の引き剥がしが抑えられている。よって、クランプ部5の上昇が押付けローラ6によって、保持テーブル3よりも僅かに高い位置で規制されている。
【0038】
図3Bに示すように、水平移動部4によって、第1の距離指定部72(
図1参照)に指定された距離L1だけ保持テーブル3が初期位置Pから移動される。これにより、押付けローラ6の押付け位置が、板状ワークWの外周から中央に向かって距離L1だけ移動する。この押付けローラ6の押圧位置の移動によって、押付けローラ6に規制されていたクランプ部5の上昇が開放されて、板状ワークWの外周部分の樹脂85が剥がされる。板状ワークWの外周部分の樹脂85が剥がされると、クランプ部5から樹脂85が放されて、保持テーブル3が初期位置Pに戻される。
【0039】
図3Cに示すように、角度指定部71(
図1参照)によって指定された回転角度に保持テーブル3が回転され、クランプ部5に対して新たなクランプ位置が位置付けられる。そして、上記したようにクランプ部5で樹脂85を掴んだ状態で、保持テーブル3の水平方向の移動させることで、板状ワークWから樹脂85を剥がしている。このように、外周剥がし工程では、保持テーブル3を回転させてクランプ位置を変えて、複数回に分けて板状ワークWの外周部分から樹脂85を剥がしている。
【0040】
続いて、全体剥がし工程について説明する。
図4Aに示すように、初期位置Pにおいて角度指定部71(
図1参照)によって指定された回転角度に保持テーブル3が回転され、クランプ部5に対して全体剥がし用のクランプ位置が位置付けられる。これにより、外周剥がし工程で剥がされていない樹脂85の端部82がクランプ部5に位置付けられ、この樹脂85の端部82とシート87(
図2参照)がクランプ部5に掴まれる。このとき、全体剥がし工程においても外周剥がし工程と同様に、押付けローラ6の押付け力によって板状ワークWからの樹脂85の引き剥がしが抑えられ、クランプ部5の上昇が押付けローラ6によって規制される。
【0041】
図4Bに示すように、水平移動部4によって、第2の距離指定部73(
図1参照)に指定された距離L2だけ保持テーブル3が初期位置Pから移動される。これにより、押付けローラ6の押付け位置が、板状ワークWの外周の一端側から他端に向かって距離L2だけ移動する。この押付けローラ6の押圧位置の移動によって、押付けローラ6に規制されていたクランプ部5の上昇が開放されて、板状ワークWの樹脂85が引き剥がされる。このとき、板状ワークWの外周部分から樹脂85が剥がされているため、板状ワークWの割れや剥がし残しがない。
【0042】
ところで、樹脂85の剥がし終わりでは、押付けローラ6の押付け状態で保持テーブル3が水平移動されると、板状ワークWから樹脂85が剥がれた反動で板状ワークWが滑って、板状ワークWが保持テーブル3上から離れる場合がある。そこで本実施の形態では、
図4Cに示すように、樹脂85の剥がし終わりの直前では、保持テーブル3が停止され、押付けローラ6が樹脂85の表面から上方に離間される。これにより、クランプ部5の上昇力だけで板状ワークWから樹脂85が剥がされるため、板状ワークWが保持テーブル3上から離れることがない。
【0043】
なお、本実施の形態では、樹脂85の剥がし終わりの直前に、保持テーブル3が停止されると共に、押付けローラ6が樹脂85の表面から離間される構成としたが、この構成に限定されない。半分以上の樹脂85が板状ワークWから離れていれば、クランプ部5の上昇力だけで板状ワークWから樹脂85を剥がすことが可能である。
【0044】
図5を参照して、樹脂剥がし動作のバリエーションについて説明する。
図5は、本実施の形態に係る樹脂剥がし動作のバリエーションを示す図である。なお、以下に示す樹脂剥がし動作のバリエーションは一例に過ぎず、この構成に限定されない。
【0045】
図5Aに示す例では、板状ワークWの外周部分の樹脂85を対向する2カ所で剥がした後、板状ワークWの全体から樹脂85を剥がしている。この場合、角度指定部71(
図1参照)には、外周剥がし工程の回転角度として0°、180°が指定され、全体剥がし工程の回転角度として90°が指定される。外周剥がし工程では、保持テーブル3が0°位置及び180°位置に回転され、2回に分けて板状ワークWの外周部分の樹脂85が剥がされる。このように、板状ワークWから樹脂85が剥がれ難い部分が、全体剥がし工程の前に剥がされている。
【0046】
続いて、全体剥がし工程では、保持テーブル3(
図1参照)の回転角度が90°位置に位置付けられて、板状ワークWの全体から樹脂85が剥がされる。この場合、0°位置及び180°位置において板状ワークWの外周部分に貼り付いた樹脂が事前に剥がされているため、板状ワークWの全体から樹脂85を良好に引き剥がすことができる。また、外周剥がし工程の繰り返し回数が少ないため、樹脂剥がし動作の処理時間を短縮できる。
【0047】
図5Bに示す例では、板状ワークWの略半部において外周部分の樹脂85を剥がした後、板状ワークWの全体から樹脂85を剥がしている。この場合、角度指定部71には、外周剥がし工程の回転角度として0°、45°、135°、180°が指定され、全体剥がし工程の回転角度として90°が指定される。外周剥がし工程では、保持テーブル3が0°位置、45°位置、135°位置、180°位置に回転され、4回に分けて板状ワークWの外周部分の樹脂85が剥がされる。
【0048】
続いて、全体剥がし工程では、保持テーブル3(
図1参照)の回転角度が90°位置に位置付けられて、板状ワークWの全体から樹脂85が剥がされる。この場合、引き剥がし方向の手前側は、引き剥がし方向の奥側よりも板状ワークWの外周部分から樹脂85が剥がれ難い。このため、引き剥がし方向の手前側の略半周部分において、板状ワークWの外周部分に貼り付いた樹脂85が事前に剥がれているため、板状ワークWの全体から樹脂85をより良好に引き剥がすことができる。
【0049】
図5Cに示す例では、板状ワークWの全周にわたって外周部分の樹脂85を剥がした後、板状ワークWの全体から樹脂85を剥がしている。この場合、角度指定部71には、外周剥がし工程の回転角度として0°、45°、135°、180°、225°、270°、315°が指定され、全体剥がし工程の回転角度として90°が指定される。全体剥がし工程では、保持テーブル3が0°位置、45°位置、135°位置、180°位置、225°位置、270°位置、315°位置に回転され、7回に分けて板状ワークWの外周部分の樹脂85が剥がされる。
【0050】
続いて、全体剥がし工程では、保持テーブル3(
図1参照)の回転角度が90°位置に位置付けられて、板状ワークWの全体から樹脂85が剥がされる。この場合、板状ワークWの略全周にわたって外周部分の樹脂85が事前に剥がれているため、板状ワークWの全体から樹脂85をさらに良好に引き剥がすことができる。
【0051】
以上のように、本実施の形態に係る樹脂剥がし装置1によれば、板状ワークWの外周からはみ出した樹脂85が板状ワークの外周部分から複数回に分けて剥がされた後に、板状ワークWの全体から樹脂85が剥がされる。この場合、板状ワークWの全体から樹脂を剥がす際に、板状ワークWの外周部分に強く貼り付いた樹脂85が事前に剥がされているため、板状ワークWの割れを防止すると共に、板状ワークWの外周部分の樹脂の剥がし残しをなくして、板状ワークWから樹脂85を確実に剥がすことができる。
【0052】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0053】
例えば、上記した実施の形態においては、ボールネジ式の水平移動部4を例示したが、この構成に限定されない。水平移動部4は、保持テーブル3を水平方向に移動可能であれば、どのように構成されてもよい。
【0054】
また、上記した実施の形態においては、ベルト駆動式の回転動作部35を例示したが、この構成に限定されない。回転動作部35は、保持テーブル3を回転可能であれば、どのように構成されてもよい。
【0055】
また、上記した実施の形態においては、エアシリンダ式の上昇移動部55を例示したが、この構成に限定されない。上昇移動部55は、クランプ部5を上昇可能であれば、どのように構成されてもよい。
研磨装置にも適用可能