特許第6099635号(P6099635)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6099635検査装置を用いたコンターベースの欠陥検出
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099635
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】検査装置を用いたコンターベースの欠陥検出
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20170313BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   H01L21/66 J
   G06T1/00 305A
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-512836(P2014-512836)
(86)(22)【出願日】2012年4月9日
(65)【公表番号】特表2014-517523(P2014-517523A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】US2012032796
(87)【国際公開番号】WO2012161874
(87)【国際公開日】20121129
【審査請求日】2015年3月26日
(31)【優先権主張番号】61/489,871
(32)【優先日】2011年5月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/410,506
(32)【優先日】2012年3月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー−テンカー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン チエン−ホゥエイ
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト ピーター
(72)【発明者】
【氏名】バン リート マイケル ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカタラマン サンカー
(72)【発明者】
【氏名】ジアン ハイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ヘドン
(72)【発明者】
【氏名】グプタ アジェイ
【審査官】 堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−032403(JP,A)
【文献】 特開2009−245674(JP,A)
【文献】 特開2012−052810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G06T 1/00
G01B 15/00 − 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設計パターンの描画された画像を用いて基準画像から生成されたコンターを取得することと、
部位位置のターゲット画像を取得することと、
前記コンターを前記ターゲット画像に位置合わせすることと、
前記コンター上にピクセルに対する対比値を算出することと、
前記対比に閾値を適用し、それによりコンターベースの欠陥ブロッブを判定することと、
前記ターゲット画像を、少なくとも前景セグメント、背景セグメント、およびコンターセグメントに分割することと、
を含む、ターゲット基板上で部位位置を検査する方法。
【請求項2】
前記コンターに基づいて前記前景セグメントに配置されたシードを用いる手順により前景セグメントと背景セグメントとを区別することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
コーナー領域を判定することと、
前記コーナー領域のピクセルを含むコーナーセグメントに前記ターゲット画像をさらに分割することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
各セグメントにおいて2次欠陥検出手順を実行し、それにより2次欠陥ブロッブを判定することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記コンターベースの欠陥ブロッブと前記2次欠陥ブロッブとをマージして、マージされた欠陥ブロッブを取得することと、
前記マージされた欠陥ブロッブをランク付けすることと、
前記マージされた欠陥ブロッブを分類することと、
をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記部位位置に対応する参照部位の前記基準画像を取得することにより前記コンターを生成することと、
前記部位位置の前記設計パターンの描画された画像を取得することと、
前記基準画像に前記設計パターンの描画された画像を位置合わせすることと、
前記設計パターンの描画された画像を用いて前記基準画像から前記コンターを抽出することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
追加の基準画像を用いて前記コンターを検証することと、
検査レシピに関連付けて前記コンターを保存することと、
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
入射電子ビームを生成するためのビーム源と、
前記入射電子ビームがターゲット領域上で走査されそれによりそこから2次電子が放出されるよう前記入射電子ビームを制御可能に偏向させるために構成された走査サブシステムと、
前記2次電子を検出してそれにより前記ターゲット領域の画像データフレームが生成されるよう構成された検出サブシステムと、
設計パターンの描画された画像を用いて基準画像から生成されたコンターを取得し、部位位置のターゲット画像を取得し、前記ターゲット画像に前記コンターを位置合わせし、前記コンター上のピクセルに対する対比値を算出し、前記対比値に閾値を適用しそれによりコンターベースの欠陥ブロッブを決定し、前記ターゲット画像を、少なくとも前景セグメント、背景セグメント、およびコンターセグメントに分割するよう、構成された制御および処理サブシステムと、
を備える、製造された基板に存在する欠陥を検出するシステム。
【請求項9】
前記制御および処理サブシステムは、前記コンターに基づいて前記前景セグメントに配置されたシードを使用する手順により前景セグメントと背景セグメントとを区別するようさらに構成された、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御および処理サブシステムは、コーナー領域を判定し、前記コーナー領域のピクセルを含むコーナーセグメントに前記ターゲット領域を分割するよう、さらに構成された請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記制御および処理サブシステムは、各セグメントにおいて2次欠陥検出手順を実行しそれにより2次欠陥ブロッブが判定されるようさらに構成された、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御および処理サブシステムは、前記コンターベースの欠陥ブロッブと前記2次欠陥ブロッブとをマージしそれによりマージされた欠陥ブロッブが取得され、前記マージされた欠陥ブロッブをランク付けし、前記マージされた欠陥ブロッブを分類するようさらに構成された請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御および処理サブシステムは、前記部位位置の前記設計パターンの描画された画像を取得することにより前記部位位置に対応する参照部位の前記基準画像を取得し、前記基準画像に前記設計パターンの描画された画像を位置合わせし、前記設計パターンの描画された画像を用いて前記基準画像から前記コンターを取得することにより、前記コンターを生成するよう構成された請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記制御および処理サブシステムは、追加の基準画像を用いて前記コンターを検証し、検査レシピに関連付けて前記コンターを保存するようさらに構成された請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
部位位置の欠陥の検査に使用するためのコンターを生成する方法であって、
前記部位位置に対応する参照部位の基準画像を取得することと、
前記部位位置の設計パターンの描画された画像を取得することと、
前記基準画像に前記設計パターンの描画された画像を位置合わせすることと、
前記設計パターンの描画された画像を用いて前記基準画像から前記コンターを抽出することと、
前記基準画像を、少なくとも前景セグメント、背景セグメント、およびコンターセグメントに分割することと、
を含む、方法。
【請求項16】
追加の基準画像を用いて前記コンターを検証することと、
検査レシピに関連付けて前記コンターを保存することと、
をさらに含む、請求項15の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2011年5月25日に出願された米国仮特許出願第61/489,871号の利益を主張するものであり、同仮特許出願の全体は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、例えば半導体ウェーハおよびリソグラフィ用のレチクル等の基板の検査および点検に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の電子ビーム(e−ビーム)検査計器において、製造された基板(シリコンウェーハまたはレチクル等)を、集束された電子ビームにより走査すると、基板表面から2次電子が放出される。放出された電子は検出され、通常は、その検出データが、試料表面の画像に変換される。次いで、これらの画像が数値的に解析され、それにより、製造された基板に存在する異常(欠陥と呼称される)が検出される。検出された欠陥はさらに撮像を行うことにより引き続き点検され得る。
【0004】
検出された欠陥は、手動によりまたは自動的に、異なる種別またはカテゴリに分類され得る。欠陥の分類は、製造プロセス中に適切な調節を実施し、それにより歩留まりが改善されるよう、その原因を判定するために用いられ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0310180号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子ビーム計測により撮像された欠陥を検出および分類するための方法および装置の改善が大いに望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの実施形態は、ターゲット基板上の部位位置を検査する方法に関する。コンターが取得される。なお、このコンターは設計クリップを用いて基準画像から生成されたものである。部位位置のターゲット画像が取得される。コンターはターゲット画像に位置合わせされ、コンター上のピクセルに対する対比値が算出される。閾値が対比値に適用され、それによりコンターベースの欠陥ブロッブが判定される。
【0008】
他の実施形態は、製造された基板に存在する欠陥を検出するための装置に関する。この装置は、少なくとも1つのビーム源と、走査システムと、検出システムと、制御および処理システムと、を備える。ビーム源は入射電子ビームを生成するよう構成される。走査システムは、入射電子ビームがターゲット領域上で走査されそれによりそこから2次電子が放出されるよう入射電子ビームを制御可能に偏向させるために構成される。検出システムは、2次電子を検出しそれによりターゲット領域の画像データフレームが生成されるよう構成される。制御および処理システムは、設計クリップを用いて基準画像から生成されたコンターを取得し、部位位置のターゲット画像を取得し、ターゲット画像にコンターを位置合わせし、コンター上のピクセルに対する対比値を算出し、対比値に閾値を適用しそれによりコンターベースの欠陥ブロッブが決定されるよう、構成される。
【0009】
他の実施形態は、部位位置の欠陥の検査に使用するためのコンターを生成する方法に関する。部位位置に対応する参照部位の基準画像が取得される。その部位の設計クリップが取得される。設計クリップは基準画像に位置合わせされる。コンターは設計クリップを用いて基準画像から抽出される。
【0010】
他の実施形態、態様、および特徴も開示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の1つの実施形態に係るe−ビーム装置の概略図である。
図2】本発明の1つの実施形態に係る画像抽出された基準コンターを生成するための方法のフローチャートである。
図3】本発明の1つの実施形態に係る検査装置を用いるコンターベースの欠陥検出方法のフローチャートである。
図4】本発明の1つの実施形態に係る設計クリップを用いる基準コンターの抽出方法のフローチャートである。
図5】本発明の1つの実施形態に係るターゲット画像および対応する基準コンターの一例を示す図である。
図6】本発明の1つの実施形態に係る、前景、背景、およびコンターのピクセルセグメントに分割された図5のコンターを示す図である。
図7】本発明の1つの実施形態に係る図5のターゲット画像において検出された欠陥を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
e−ビーム装置を用いるコンター(等高線)ベースの欠陥検出および分類のための方法および装置が本明細書で開示される。これらの方法および装置は、従来のダイ比較(die-to-die)方式と比較して、欠陥検出の精度を実質的に改善するために用いられ得る。
【0013】
図1は本発明の1つの実施形態にしたがって利用され得るe−ビーム検査装置100の断面を提供する。図1に示すように、ビーム源101は入射電子ビーム(1次電子ビーム)102を生成する。入射電子ビーム102はウィーンフィルタ104を通過する。ウィーンフィルタ104は、互いに直交する電場および磁場を生成するよう構成された光学素子である。走査偏向器106および集束電子レンズ107が利用される。走査偏向器106はターゲット基板110の表面の全域でe−ビームを走査するために利用される。ターゲット基板110は、例えば、製造された集積回路またはリソグラフィ用のレチクル等のパターンが形成された基板であり得る。
【0014】
集束電子レンズ107は、ウェーハまたは他の基板試料110の表面上のビームスポットに入射電子ビーム102を集束させるために利用される。1つの実施形態によれば、集束レンズ107は電場および/または磁場を生成することにより動作し得る。
【0015】
入射電子ビーム102の走査の結果として、2次電子がターゲット基板110(例えば半導体ウェーハまたはレチクルであり得る)の表面から放出または散乱される。ターゲット基板110は可動ステージ111により保持され得る。次いで、2次電子は対物(最終)レンズ108の電磁場に曝されることによりターゲット基板110から抽出される。電磁場は、放出された電子を入射電子ビームの光軸から比較的小さい距離内に制限し、これらの電子をコラム内へと加速するために、作用する。このように2次e−ビーム112が2次電子から形成される。
【0016】
ウィーンフィルタ104は、入射電子ビーム102の光軸から検出軸(本装置の検出システム114に対する光軸)へと2次e−ビーム112を偏向させる。これにより、散乱されたe−ビーム112が入射電子ビーム102から分離される。検出システム114は2次e−ビーム112を検出し、データ信号を生成する。なお、このデータ信号は、ターゲット基板表面の画像を形成するために利用され得る。
【0017】
計器制御およびデータ処理(制御/処理)システム150は、1つ以上のプロセッサ(すなわちマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラ)152と、データ記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ記憶装置およびメモリチップなど)154と、ユーザインターフェース156と、ディスプレイシステム158と、を備え得る。データ記憶装置154はコンピュータ可読プログラムコード(命令)155およびデータを記憶または保持するよう構成され得、プロセッサ152はプログラムコード155を実行しデータを処理するよう構成され得る。ユーザインターフェース156はユーザ入力を受け取るよう構成され得る。ディスプレイシステム158は基板表面の閲覧をユーザに表示するよう構成され得る。
【0018】
制御/処理システム150は、本明細書に開示する手順を実行するために、e−ビームコラムの様々な構成要素に接続され、係る構成要素を制御するために用いられ得る。例えば、ステージ111の動きおよび偏光器106による走査が、制御/処理システム150により実行されるコンピュータ可読プログラムコード155により制御され得る。
【0019】
加えて、制御/処理システム150は、検出システム114から電子画像データを受け取って処理するよう構成され得る。特に、制御/処理システム150内のコンピュータ可読プログラムコード155が、本明細書に記載のコンターベースの欠陥検出技術に関する手順を実施するために用いられ得る。
【0020】
さらに、本発明の1つの実施形態によれば、制御/処理システム150は設計サーバ170とインターフェース接続するよう構成され得る。設計サーバ170は、プレOPC(optical proximity correction:光近接効果補正)設計パターン172と、ポストOPC設計パターン174と、画像抽出パターンコンターデータ176と、を記憶するよう構成され得る。検査の実行中、設計サーバ170は、e−ビーム検査装置100の制御/処理システム150の要求に応じて設計クリップ内に存在する前記データをリアルタイムで提供し得る。
【0021】
図2は本発明の1つの実施形態に係る画像抽出された基準コンターを生成する方法のフローチャートである。方法200は、例えばe−ビーム検査装置100を用いて実行され得、設定を実行するための予備的方法として実行され得る。
【0022】
ブロック202において、部位位置情報(すなわち検査対象となる部位の位置)がデータ処理システムによりビーム源からロードされ得る。部位位置情報は、例えば設計ルールチェックのホットスポットであり得る。代替的に、部位位置情報はe−ビーム検査装置100または他の検査装置による以前の検査からの検査結果を含み得る。
【0023】
各部位位置に対して、コンターデータ生成手順がブロック204において実行され得る。図示のように、コンターデータ生成手順は、各部位に対する画像抽出された基準コンターおよび関連する画像を生成および記憶するために、以下のステップ(206〜220)を実行することを伴い得る。
【0024】
ステップ206において、参照部位の基準画像が、例えば制御/処理システム150等のデータ処理システムにロードされ得る。参照部位は、好適には、検査部位に対応する、既知の良好な(欠陥がない)部位である。基準画像は、例えばe−ビーム検査装置100等の撮像装置により参照部位から取得されるSEM画像であり得る。基準画像は、好適には、検査プロセス中に引き続き取得されるターゲット画像の解像度よりも高い解像度で取得される。
【0025】
ステップ208において、プレOPC設計クリップが当該部位に対して取得され得る。プレOPC設計クリップは、設計サーバ170または他の供給源から取得され得る。プレOPC設計クリップは、光近接効果補正が適用される以前の設計パターンの描画された画像を提供する。ステップ210において、設計クリップは基準画像に位置合わせされる。
【0026】
その後、ステップ212において、コンターが基準画像から抽出される。これらのコンターは設計抽出された基準画像コンターであり、本明細書において「基準コンター」と呼称され得る。本発明の1つの実施形態によれば、設計クリップを用いての基準コンターの抽出は図4に関連付けてさらに以下で説明される方法400を用いて実行され得る。
【0027】
この時点でステップ214において、基準コンターは、基準画像上に重畳することにより表示され得、基準コンターは、所望により、ステップ216においてユーザインターフェースを介して編集され得る。基準コンターが抽出され所望により編集された後、基準コンターはステップ218において検証され得る。この検証は、例えばウェーハ上の他のダイから収集された追加の基準画像を用いて実行され得る。
【0028】
次いでステップ220において、基準コンターが、検査(欠陥検出)レシピに関連付けて保存または記録され得る。次いで、この検査レシピは、ターゲット基板上の部位位置を検査するために検査装置100により適用され得る。
【0029】
図3は、本発明の1つの実施形態に係る検査装置を用いるコンターベースの欠陥検出のための方法300のフローチャートである。方法300は、例えばe−ビーム検査装置100の制御/処理システム150を用いて実行され得る。
【0030】
ブロック302において、基準コンターは、検査レシピにより示されるすべての検査部位に対して記憶装置から読み出される。1つの実装において、これらの基準コンターおよび関連する基準画像は、データ記憶装置からe−ビーム検査装置100の制御/処理システム150のメモリへとロードされ得る。
【0031】
各部位位置に対して、欠陥検出手順がブロック304において実行され得る。図示のように、欠陥検出手順は、欠陥を求めるために検査されるターゲット基板に存在する欠陥を検出および分類するために、以下のステップ(306〜334)を実行することを伴い得る。
【0032】
ステップ306において、ターゲット基板上の検査部位の画像(すなわちターゲット画像)が収集または取得され得る。ターゲット画像は走査型電子顕微鏡(SEM)画像であり得、例えばe−ビーム検査装置100を用いて収集され得る。ターゲット画像500および対応する基準コンター510の一例が図5に示される。
【0033】
ステップ308において、検査部位に対する基準コンターがターゲット画像に対して位置合わせされ得る。換言すれば、図2の方法200において参照部位から以前に抽出された基準コンターが、ターゲット基板上の対応する検査部位のターゲット画像に対して位置合わせされ得る。
【0034】
その後、ステップ310において、局部的対比値が各画像ピクセルにおいて算出され得る。ピクセルに対する局部的対比値は、ターゲット画像におけるピクセルの値と画像抽出基準コンターからの対応するピクセルの値との間の差異(すなわち対比)を表す。
【0035】
ステップ312において、画像ピクセルは、基準コンターに基づいて前景、背景、およびコンターのピクセルセグメントに分割され得る。コンターセグメントはコンター自体のピクセルからなる。前景と背景とを区別する手順は、基準コンターに基づいて前景に配置されたシードから始まり得る。シードから領域を増大化することが前景セグメントを判定する。コンターセグメントまたは前景セグメントの部分ではない残りのセグメントが、背景セグメントであると判定され得る。
【0036】
加えて、コーナーが、ステップ314においてコンターの曲率を用いて検出され得、コーナー領域(コーナーの周囲の局部的領域に存在するピクセル)は、以前に判定されたセグメントから除去され、ステップ316において別個のコーナーセグメントに加えられ得る。例えば、約90度のコンターの湾曲はコーナーであると判定され得る。本出願人ららは、製造された集積回路におけるコーナーがパターン変異性を有する傾向にあるため、コーナー領域を別個のセグメントに配置することが有利であると判断した。
【0037】
ステップ318において、自動閾値処理が、各画像セグメント(前景セグメント、背景セグメント、コンターセグメント、およびコーナーセグメント)におけるピクセルに対する局部的対比値に対して実行され、それによりセグメントごとのコンターベースの欠陥ピクセルリストが生成され得る。欠陥ピクセルリストは、閾値対比値を越える局部的対比を有する当該セグメントに存在するピクセルを示す。コンターベースの欠陥ブロッブ(近くに存在する欠陥ピクセルの集合)が、コンターベースの欠陥ピクセルリストから判定され得る。
【0038】
ステップ320において、1つ以上の2次欠陥検出手順が、各画像セグメント(前景セグメント、背景セグメント、およびコーナーセグメント)で実行され得る。2次欠陥検出手順は、分割された自動的閾値処理手順または複数ダイの自動的閾値手順等の、従来のダイ比較またはセル比較の欠陥検出手順を利用し得る。各2次欠陥検出手順は各セグメントに対して2次欠陥ピクセルリストを生成し得る。2次欠陥ブロッブは2次欠陥ピクセルリストから判定され得る。
【0039】
ステップ322において、コンターベースの欠陥ブロッブと2次欠陥ブロッブとがマージされ、それによりマージされた欠陥ブロッブが形成される。マージされた欠陥ブロッブはステップ324においてランク付けされ得る。ランク付けは、例えば、欠陥ブロッブの局部的対比および寸法に依存し得る。ランク付けを生成するために、「エネルギー」レベルが算出され得る。なお、エネルギーレベルは欠陥ブロッブのピクセルの局部的対比の2乗の和であり得る。次いで、ランク付けは欠陥ブロッブのエネルギー値に基づいて行われ得る。
【0040】
次いで、各欠陥ブロッブに関連する幾何学的属性がステップ326において抽出され得る。幾何学的属性はコンターパターンに関連する欠陥ブロッブの位置に基づき得る。例えば、幾何学的属性は、欠陥ブロッブが内部に存在するコンターパターンにおける幾何学的形状(例えば正方形または他の多角形)を示し得る。他の幾何学的属性も抽出され得る。
【0041】
次いで、欠陥ブロッブはステップ328において分類され得る。本発明の1つの実施形態にしたがって、欠陥分類は欠陥ブロッブのセグメント情報および幾何学的属性を用い得る。1つの実施形態において、セグメント情報および幾何学的属性は、欠陥ブロッブを以下の部類すなわちショート、オープン、ブリッジ、ネック、突起、侵入、間隙、粒子、その他に分類するために用いられ得る。
【0042】
ステップ330において、相対的限界寸法(CD:critical dimension)測定値が算出され得る。相対的CD測定値は、ターゲット画像の縁部と画像抽出された基準コンターとを比較することにより、算出され得る。
【0043】
処理ウィンドウ適ランク性検証のために、パターン忠実性基準値がステップ332において算出され得る。代替的に、レチクルの再適ランク性検証のために、検出された欠陥は、ステップ334においてレチクル検査結果の欠陥経路を用いることにより検証され得る。
【0044】
図4は本発明の1つの実施形態に係る設計クリップを用いる基準コンターの抽出方法400のフローチャートである。図示のように、部位位置のSEM画像402および設計クリップ404が入力される。ステップ406において、設計クリップはSEM画像に位置合わせされ、次いでSEM画像に対するマスクが、位置合わせされた設計クリップから生成され得る。
【0045】
スケルトンおよびクリーン化手順がステップ408で適用され得る。スケルトンおよびクリーン化手順は、マスクにおける各個別の領域に対して個別の線セグメントを取得することを伴い得る。個別の線セグメントは分岐点において分離され、それによりスケルトンが形成され得る。スケルトンは所定値よりも小さい線セグメントを取り除くことによりクリーン化され得る。
【0046】
次いで、ステップ410において、シードポイントが形成され得る。シードポイントは残余の線セグメントを単一のシードポイントに縮小することにより形成され得る。単一の領域は2つ以上のシードポイントを有し得る。
【0047】
加えて、ステップ412において、SEM画像から勾配が取得され、クリーン化され得る。クリーン化の実行中、マスクの幅広領域内に存在する勾配は、より強い勾配に向かうリークを防ぐために、保持され得る。
【0048】
ステップ414において、「最小」プールまたは「転換」領域を増大化するためにシードポイントが用いられ得る。各シード開始プールまたは転換領域の境界はマークされ得る。
【0049】
最終的にステップ416において、転換領域がマージされ、最終的なコンターが、マージされた領域の境界に基づいて形成され得る。マージを行うことにより、単一の領域に対して複数のシードポイントにより形成され得るホールが効果的に充填され得る。最終的なコンターは「ソーベル」縁部により与えられ得る。
【0050】
図5は、本発明の1つの実施形態に係るターゲット画像510および対応する基準コンター520の一例を示す。見られるように、基準コンター520は、ターゲット画像510の領域に対して期待されるコンターを提供する。
【0051】
図6は、本発明の1つの実施形態に係る、前景602、背景604、および縁部(コンター)606の各ピクセルセグメントに分割された図5のコンターを示す。この図面において、前景セグメント602は暗いピクセルを有し、縁部セグメント606は明るいピクセルを有し、背景セグメント604は中間的暗さのピクセルを有する。
【0052】
図7は本発明の1つの実施形態に係る図5のターゲット画像において検出された欠陥を示す図である。図示のように、欠陥は長方形702内に存在し、ネックタイプの欠陥であるように見受けられる。
【0053】
本出願人らは、本明細書に説明する技術を用いる欠陥検出が従来の技術と比較して様々な特長を提供することを検証した。従来の設計描画方法と比較して、本明細書に開示するコンターベースの手法は実質的に改善された精度を有する。従来のダイ比較手法と比較して、本明細書に開示するコンターベースの手法は実質的に改善された精度を有する。
【0054】
本明細書に開示するコンターベースの手法がコンターの内部に存在するピクセルを実質的に無視するため、これらの優れた結果は、予期されぬものであり、直感的に理解しにくい。このように内部ピクセルを無視するにも関わらず、コンター自体に集中することにより、優れた結果が提供される。
【0055】
上記の説明において、本発明の実施形態の十分な理解を提供するために多くの特定的詳細が与えられる。しかし、本発明の例示的な実施形態に関する上記の説明は、網羅的であることを意図するものではなく、また本発明を開示された正確な形に限定することを意図するものでもない。当業者は、本発明が、1つ以上の特定の詳細なしに、または他の方法、構成要素、その他を用いて、実施され得ることを認めるであろう。他の事例において、周知の構造または動作は、本発明の態様が不明瞭化されることを避けるために、詳細には図示または説明しない。本発明の特定の実施形態およびその例は、例示目的のために上記で説明されたものであるが、様々な等価である変形例が、当業者が認識するように、本発明の範囲内で可能である。
【0056】
これらの変形例は、上記の詳細な説明に照らして、本発明に対して可能である。以下の請求項において用いられ用語は、本明細書において開示される特定の実施形態および請求項に本発明を限定するものであると解釈すべきではない。むしろ、本発明の範囲は、請求項の解釈に関する確立された教義にしたがって解釈されるべき以下の請求項により決定される。
図5
図6
図7
図1
図2
図3
図4