【課題を解決するための手段】
【0019】
したがって、本発明の主題は、立体異性形態のいずれかおよび任意の比率の立体異性形態の混合物である式I、
【化2】
[式中、
Xは、=N−および=N(O)−からなる系列から選択され;
R1、R2およびR3は、水素、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、(C
1−C
4)−アルキル−O−、ニトロ、シアノ、(C
1−C
4)−アルキル−O−C(O)−、R4−N(R5)−C(O)−およびR6−N(R7)−S(O)
2−からなる系列から互いに独立して選択され;
R4は、水素、(C
1−C
4)−アルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキル−、フェニル、フェニル−(C
1−C
4)−アルキル−、Het1およびHet1−(C
1−C
4)−アルキル−からなる系列から選択され、ここで、Het1は1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R8によって場合により置換されており;
R5、R6およびR7は、水素、(C
1−C
4)−アルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキルおよび(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキル−からなる系列から互いに独立して選択され;
R8は、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシ、オキソ、(C
1−C
4)−アルキル−O−およびシアノからなる系列から選択され;
R10は、水素、(C
1−C
4)−アルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキル−および(C
1−C
4)−アルキル−O−(C
1−C
4)−アルキル−からなる系列から選択されるが、ただし、Xが=N(O)−である場合、R10は水素であることしかできず;
【0020】
R11は、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R12によって場合により置換された(C
1−C
4)−アルキル、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R13によって場合により置換された(C
3−C
7)−シクロアルキル、および1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R14によって場合により置換された、環炭素原子を介して結合されたHet2からなる系列から選択され;
または基R10およびR11は、それらを担持している窒素原子と共に、R10およびR11を担持している窒素原子に加えて、窒素、酸素および硫黄からなる系列から選択される0、1または2個のさらなる環ヘテロ原子を含み、環炭素原子上で1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R30によって場合により置換されており、かつさらなる環窒素原子上で1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R40によって場合により置換されている、4員〜12員の単環式または二環式の飽和または部分不飽和複素環を形成し;
R12は、(C
3−C
7)−シクロアルキル、フェニル、Het3、ヒドロキシ、(C
1−C
4)−アルキル−O−、(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−O−、R15−N(R16)−およびR17−C(O)−N(R18)−からなる系列から選択され、ここで、フェニルおよびHet3は、互いに独立して1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R19によって場合により置換されており;
R13は、ヒドロキシ、(C
1−C
4)−アルキル−O−、(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−O−およびシアノからなる系列から選択され;
R14は、フッ素、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシ、(C
1−C
4)−アルキル−O−、(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−O−、HO−(C
1−C
4)−アルキル−、(C
1−C
4)−アルキル−O−(C
1−C
4)−アルキル−、(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−O−(C
1−C
4)−アルキル−および(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−からなる系列から選択され;
R15、R16およびR18は、水素、(C
1−C
4)−アルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキルおよび(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から互いに独立して選択され;
R17は、(C
1−C
4)−アルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキル−、フェニルおよびフェニル−(C
1−C
4)−アルキル−からなる系列から選択され;
R19は、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシ、(C
1−C
4)−アルキル−O−、(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−O−、シアノ、R20−O−C(O)−およびR21−N(R22)−C(O)−からなる系列から選択され;
R20、R21およびR22は、水素および(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から互いに独立して選択され;
【0021】
R30は、フッ素、(C
1−C
4)−アルキル、Het2、ヒドロキシ、オキソ、(C
1−C
4)−アルキル−O−、R31−N(R32)−、(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−、R33−O−C(O)−およびR34−N(R35)−C(O)−からなる系列から選択され、ここで、Het2は、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R36によって場合により置換されており;
R31、R32、R33、R34およびR35は、水素および(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から互いに独立して選択され;
R36は、フッ素、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシおよびオキソからなる系列から選択され;
R40は、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R41によって場合により置換された(C
1−C
4)−アルキル、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R42によって場合により置換された(C
3−C
7)−シクロアルキル、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R43によって場合により置換されたフェニル、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R44によって場合により置換されたHet1、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R45によって場合により置換された(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R46によって場合により置換された(C
3−C
7)−シクロアルキル−C(O)−、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R47によって場合により置換されたフェニル−C(O)−、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R48によって場合により置換されており、かつHet3が環炭素原子を介して結合されたHet3−C(O)−、R49−N(R50)−C(O)−、(C
1−C
4)−アルキル−S(O)
2−およびR51−N(R52)−S(O)
2−からなる系列から選択され;
R41は、(C
3−C
7)−シクロアルキル、ヒドロキシ、(C
1−C
4)−アルキル−O−、R60−N(R61)−、R62−O−C(O)−およびR63−N(R64)−C(O)−からなる系列から選択され;
R42は、ヒドロキシおよびR65−N(R66)−からなる系列から選択され;
R43は、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシ、(C
1−C
4)−アルキル−O−、シアノ、R67−O−C(O)−およびR68−N(R69)−C(O)−からなる系列から選択され;
R44は、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシ、オキソ、(C
1−C
4)−アルキル−O−、R70−N(R71)−、(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−N(R72)−、(C
1−C
4)−アルキル−S(O)
2−N(R73)−およびHet4からなる系列から選択され、ここで、Het4は1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R74によって場合により置換されており;
【0022】
R45は、(C
3−C
7)−シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、(C
1−C
4)−アルキル−O−、フェニル−O−、フェニル−(C
1−C
4)−アルキル−O−、オキソ、R75−N(R76)−およびR77−C(O)−N(R78)−からなる系列から選択され;
R46は、ヒドロキシおよびR79−N(R80)−からなる系列から選択され;
R47は、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、(C
1−C
4)−アルキル−O−およびR81−N(R82)−C(O)−からなる系列から選択され;
R48は、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシ、オキソおよび(C
1−C
4)−アルキル−O−からなる系列から選択され;
R49およびR51は、水素、(C
1−C
4)−アルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキル−、フェニルおよびフェニル−(C
1−C
4)−アルキル−からなる系列から互いに独立して選択され;
R50およびR52は、水素、(C
1−C
4)−アルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキルおよび(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキル−からなる系列から互いに独立して選択され;
R60、R61、R62、R63、R64、R65、R66、R67、R68、R69、R70、R71、R72、R73、R76、R78、R79、R80、R81、R82、R83およびR84は、水素および(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から互いに独立して選択され;
R74は、フッ素および(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から選択され;
R75は、水素、(C
1−C
4)−アルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキル−、フェニルおよびフェニル−(C
1−C
4)−アルキル−からなる系列から選択され;
R77は、(C
1−C
4)−アルキルおよびR83−N(R84)−(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から選択され;
【0023】
Het1は、窒素、酸素および硫黄からなる系列から選択される1、2または3個の同一または異なる環ヘテロ原子を含み、かつ環炭素原子を介して結合された、単環式の4員〜7員の飽和、部分不飽和または芳香族複素環であり;
Het2は、窒素、酸素および硫黄からなる系列から選択される1または2個の同一または異なる環ヘテロ原子を含む、単環式4員〜7員飽和複素環であり;
Het3は、窒素、酸素および硫黄からなる系列から選択される1、2または3個の同一または異なる環ヘテロ原子を含む、単環式または二環式の4員〜12員の飽和、部分不飽和または芳香族複素環であり、
Het4は、それを介してHet4が結合されている環窒素原子、ならびに窒素、酸素および硫黄からなる系列から選択される0または1個のさらなる環ヘテロ原子を含む単環式4員〜7員飽和複素環であり;
ここで、特に明記しない限り、すべてのフェニル基は、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、シアノ、ヒドロキシおよび(C
1−C
4)−アルキル−O−からなる系列から選択される1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基によって場合により置換されており;
ここで、すべてのシクロアルキル基は、シクロアルキル基上に存在することができる他のあらゆる置換基と独立して、フッ素および(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から選択される1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基によって場合により置換されており;
ここで、すべてアルキル基は、アルキル基上に存在することができる他のあらゆる置換基と独立して、1つまたはそれ以上のフッ素置換基によって場合により置換されている]の化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、
ただし、式Iの化合物は、3−オキソ−3H−イソチアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−カルボン酸ジエチルアミドではない。
【0024】
基または置換基のような構成要素が例えば、式Iの化合物中で数回存在することができる場合、それらはすべて互いに独立しており、各場合、示された意味のいずれかを有することができ、かつ、それらは、各場合、このような他の任意の要素と同一または異なることができる。ジアルキルアミノ基では、例えば、アルキル基は、同一または異なることができる。
【0025】
アルキル基、すなわち飽和炭化水素残基は、線状(直鎖)または分枝状であることができる。また、これは、これらの基が置換されているか、または別の基、例えばアルキル−O−基(アルキルオキシ基、アルコキシ基)またはHO−置換されたアルキル基(HO−アルキル−ヒドロキシアルキル基)の一部である場合にも適用される。それぞれの定義に応じて、アルキル基中の炭素原子数は、1、2、3もしくは4個、または1、2もしくは3個、または1もしくは2個、または1個であることができる。アルキルの例は、メチル、エチル、n−プロピルおよびイソプロピルを含むプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチルを含むブチルである。アルキル−O−基の例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシである。アルキル−S(O)
2−の例は、メタンスルホニル(CH
3−S(O)
2−)、エタンスルホニル(CH
3−CH
2−S(O)
2−)、1−メチルエタンスルホニル((CH
3)
2CH−S(O)
2−)である。本発明の一実施態様において、式Iの化合物中の任意の場合の(C
1−C
4)−アルキル基は、他のあらゆる場合と独立して(C
1−C
3)−アルキル基、別の実施態様において、(C
1−C
2)−アルキル基、別の実施態様において、メチル基である。
【0026】
置換されたアルキル基は、それぞれの化合物が十分に安定であり、かつ薬学的活性化合物として適しているならば、任意の位置で置換できる。式Iの具体的な基および化合物が薬学的活性化合物として十分に安定であり、かつ適しているという必要条件は、一般に、式Iの化合物中のすべての基の定義に関して適用される。「によって場合により置換された」という用語は、「置換されることができる」のような表現と同等であり、アルキル基または他の任意の基に関して用いられるとき、それぞれの基は、非置換、すなわち、明記された置換基をいずれも担持しないか、または明記された置換基によって置換されていることを示す。一般に、そして他のあらゆる置換基と独立して、1つまたはそれ以上のフッ素置換基によって場合により置換されたアルキル基は、フッ素置換基によって非置換、すなわち、フッ素置換基を担持しないか、または、例えば1、2、3、4、5、6、7、8もしくは9個のフッ素置換基によって、または1、2、3、4もしくは5個のフッ素置換基によって、または1、2もしくは3個のフッ素置換基によって置換されており、それらは任意の位置にあることができる。例えば、フルオロ置換されたアルキル基では、1つまたはそれ以上のメチル基は、それぞれ3個のフッ素置換基を担持することができ、トリフルオロメチル基として存在することができ、かつ/または1つまたはそれ以上のメチレン基(CH
2)は、それぞれ2個のフッ素置換基を担持することができ、ジフルオロメチレン基として存在することができる。また、フッ素による基の置換に関する説明は、基が他の置換基をさらに担持し、かつ/または他の基、例えばアルキル−O−基の一部である場合にも適用される。フルオロ−置換されたアルキル基の例は、トリフルオロメチル、2−フルオロエチル、1−フルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチルおよびヘプタフルオロイソプロピルである。フルオロ置換されたアルキル−O−基の例は、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、ペンタフルオロエトキシおよび3,3,3−トリフルオロプロポキシである。基または置換基の定義に含まれていてもよい、フッ素−置換されたアルキルを含む基または置換基の例として、一般に1つまたはそれ以上のフッ素置換基を含むことができるアルキル基であることができる、式Iの化合物中のすべての基または置換基に関して、基CF
3(トリフルオロメチル)、またはCF
3−O−のようなそれぞれの基を、挙げてもよい。本発明の一実施態様において、式Iの化合物中の任意の場合のアルキル基は、その上に存在してもよい他のあらゆる置換基と独立して、かつアルキル基の他の任意の場合と独立して、フッ素によって非置換であり、別の実施態様において、それはフッ素によって置換されている。
【0027】
アルキル基に関する上の説明は、置換されたアルキル基のアルキル部分の場合のように、式Iの化合物中の基の定義において、2つの隣接する基に結合された、または2つの基に結合されており、二価のアルキル基(アルカンジイル基)とみなしてもよいアルキル基に同様に適用される。したがって、このような基は、線状または分枝状であることもでき、隣接する基への結合は、任意の位置にあることができ、同じ炭素原子からまたは異なる炭素原子から始まることができ、そして、それらは非置換または他のあらゆる置換基と独立してフッ素置換基によって置換されることができる。このような二価のアルキル基の例は、−CH
2−、−CH
2−CH
2−、−CH
2−CH
2−CH
2−、−CH
2−CH
2−CH
2−CH
2−、−CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2−、−CH(CH
3)−CH
2−、−CH
2−CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2−CH
2−、−CH
2−C(CH
3)
2−である。1、2、3、4、5または6個のフッ素置換基を含むことができる、フルオロ置換されたアルカンジイル基の例は、例えば、−CHF−、−CF
2−、−CF
2−CH
2−、−CH
2−CF
2−、−CF
2−CF
2−、−CF(CH
3)−、−C(CF
3)
2−、−C(CH
3)
2−CF
2−、−CF
2−C(CH
3)
2−である。
【0028】
(C
3−C
7)−シクロアルキル基中の環炭素原子の数は、3、4、5、6または7個であることができる。シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルである。本発明の一実施態様において、式Iの化合物中の任意の場合の(C
3−C
7)−シクロアルキル基は、他のあらゆる場合と独立して(C
3−C
6)−シクロアルキル基、別の実施態様において(C
3−C4)−シクロアルキル基、別の実施態様において(C
5−C
7)−シクロアルキル基、別の実施態様において(C
5−C
6)−シクロアルキル基である。一般に、そして他のあらゆる置換基と独立して、1つまたはそれ以上の(C
1−C
4)−アルキル置換基によって場合により置換されたシクロアルキル基は、アルキル置換基によって非置換、すなわち、アルキル置換基を担持しないか、または、例えば1、2、3もしくは4個の同一もしくは異なる(C
1−C
4)−アルキル置換基によって、例えばメチル基によって置換されており、これらの置換基は、任意の位置にあることができる。このようなアルキル−置換されたシクロアルキル基の例は、1−メチルシクロプロピル、2,2−ジメチルシクロプロピル、1−メチルシクロペンチル、2,3−ジメチルシクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、4−イソプロピルシクロヘキシル、4−tert−ブチルシクロヘキシル、3,3,5,5−テトラメチルシクロヘキシルである。一般に、そして他のあらゆる置換基と独立して、1つまたはそれ以上のフッ素置換基によって場合により置換されたシクロアルキル基は、フッ素置換基によって非置換、すなわち、フッ素置換基を担持しないか、または、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10もしくは11個のフッ素置換基によって、もしくは1、2、3、4、5または6個のフッ素置換基によって、もしくは1、2もしくは3個のフッ素置換基によって置換されている。フッ素置換基は、シクロアルキル基の任意の位置にあることができ、また、アルキル置換基中にあることもできる。フルオロ置換されたシクロアルキル基の例は、1−フルオロシクロプロピル、2,2−ジフルオロシクロプロピル、3,3−ジフルオロシクロブチル、1−フルオロシクロヘキシル、4,4−ジフルオロシクロヘキシル、3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロヘキシルである。シクロアルキル基は、フッ素およびアルキルによって同時に置換されることができる。本発明の一実施態様において、式Iの化合物中の任意の場合のシクロアルキル基は、その上に存在してもよい他のあらゆる置換基と独立して、かつシクロアルキル基の他のあらゆる場合と独立して、アルキル/および/またはフッ素置換基によって非置換であり、別の実施態様において、それはアルキルおよび/またはフッ素置換基によって置換されている。(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキル−基の例は、シクロプロピルメチル−、シクロブチルメチル−、シクロペンチルメチル−、シクロヘキシルメチル−、シクロヘプチルメチル−、1−シクロプロピルエチル−、2−シクロプロピルエチル−、1−シクロブチルエチル−、2−シクロブチルエチル−、1−シクロペンチルエチル−、2−シクロペンチルエチル−、1−シクロヘキシルエチル−、2−シクロヘキシルエチル−、1−シクロヘプチルエチル−、2−シクロヘプチルエチルである。本発明の一実施態様において、このような基の任意の1つまたはそれ以上の場合における(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキル−基は、他のあらゆる場合と独立して、(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
2)−アルキル−基、別の実施態様において(C
3−C
7)−シクロアルキル−CH
2−基である。基(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキル−において、そして他のすべての基において同様に、末端のハイフンは、それを介して基が結合している遊離価標を表しており、したがって、サブグループで構成された基が、どのサブグループを介して結合されているかを示している。
【0029】
置換されたフェニル基の置換基は、任意の位置にあることができる。一置換されたフェニル基では、置換基は、位置2、位置3または位置4にあることができる。二置換されたフェニル基では、置換基は、位置2および3、位置2および4、位置2および5、位置2および6、位置3および4、または位置3および5にあることができる。三置換されたフェニル基では、置換基は、位置2、3および4、位置2、3および5、位置2、3および6、位置2、4および5、位置2、4および6、または位置3、4および5にあることができる。フェニル基が4個の置換基を担持する場合、そのうちのいくつかはフッ素原子であることができ、例えば、置換基は、位置2、3、4および5、位置2、3、4および6、または位置2、3、5および6にあることができる。多置換されたフェニル基または任意の他の多置換された基が異なる置換基を担持する場合、各置換基は、任意の適した位置にあることができ、本発明はすべての位置異性体を含む。置換されたフェニル基の置換基の数は、1、2、3、4または5個であることができる。本発明の一実施態様において、置換されたフェニル基の置換基の数は、1つまたはそれ以上の置換基を担持することができる他のあらゆる置換された基の置換基の数と同様に、1、2、3または4個、別の実施態様において1、2または3個、別の実施態様において1または2個、別の実施態様において1個であり、ここで、このような置換された基の任意の場合の置換基の数は、他の場合の置換基の数と独立している。本発明の一実施態様において、式Iの化合物の任意の場合にフェニル基の置換が、特に明記されていない限り、場合により置換されたフェニル基上の置換基は、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキルおよび(C
1−C
4)−アルキル−O−からなる系列から、別の実施態様においてハロゲン、(C
1−C
4)−アルキルおよびシアノからなる系列から、別の実施態様においてハロゲンおよび(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から選択される。
【0030】
基Het1、Het2、Het3およびHet4ならびにR10およびR11を担持している窒素原子と共にR10およびR11によって形成できる複素環のような、2つの基を担持している1つまたは複数の原子と共にそれらの2つの基によって形成された複素環を含む複素環式基において、生成した基および式Iの化合物が薬学的活性化合物として適しており、かつ十分に安定であれば、ヘテロ環員は、任意の組合せであることができ、かつ任意の適した環位置にあることができる。本発明の一実施態様において、式Iの化合物中の任意の複素環式環中の2個の酸素原子は、隣接する環位置に存在することができない。本発明の別の実施態様において、酸素原子および硫黄原子からなる系列から選択される2個のヘテロ環員は、式Iの化合物中の任意の複素環式環において隣接する環位置に存在することができない。本発明の別の実施態様において、水素原子または置換基のような環外基を担持している窒素原子、硫黄原子および酸素原子からなる系列から選択される2個のヘテロ環員は、式Iの化合物中の任意の複素環式環において隣接する環位置に存在することができない。芳香族複素環式環では、ヘテロ環員の選択は、環が芳香族である、すなわち、それが6個の非局在化パイ電子の環系を含むという必要条件によって限定される。単環式芳香族複素環は、5員または6員環であり、5員環の場合、酸素、硫黄および窒素からなる系列から選択される1個の環ヘテロ原子を含み、ここで、この環窒素は、水素原子または置換基のような環外基、および場合により1つまたはそれ以上のさらなる環窒素原子を担持し、6員環の場合、環ヘテロ原子として1つまたはそれ以上の窒素原子を含むが、しかし、環ヘテロ原子として酸素原子および硫黄原子は含まない。基の定義に特に明記されてない限り、複素環式基は、任意の適した環原子、すなわち、環炭素原子および環窒素原子を含む、水素原子または置換基を担持することができる任意の環原子を介して結合されている。本発明の一実施態様において、その場合のいずれかにおいて式Iの化合物中に存在する複素環式基のいずれかは、適用可能であり、かつ特に明記されてない限り、その他の場合と独立して、かつ他のあらゆる複素環式基と独立して、環炭素原子を介して結合されており、別の実施態様において、環窒素原子を介して結合されている。置換された複素環式基において、置換基は任意の位置にあることができる。
【0031】
式Iの化合物中の複素環式基に存在することができる環ヘテロ原子の数、環の数、すなわち、複素環式基が単環式および/または二環式でありうるかどうか、存在することができる環員の数、ならびに飽和度、すなわち、複素環式基が飽和しており、環内に二重結合を含まないかどうか、またはそれが部分不飽和であり、環内に1つもしくはそれ以上、例えば1もしくは2個の二重結合を含むが、芳香族でないかどうか、またはそれが芳香族であり、したがって、5員単環式芳香族複素環の場合、環内に2個の二重結合、6員単環式芳香族複素環の場合、環内に3個の二重結合、9員二環式芳香族複素環の場合、環内に4個の二重結合、そして10員芳香族複素環の場合、環内の5個の二重結合を含むかどうかは、式Iの化合物中の個々の基の定義に明記されている。二環式複素環式基中の2つの環は、1つ、2つまたはそれ以上の環原子を共通して有することができ、融合するか、または架橋された二環もしくはスピロ環を形成することができる。本発明の一実施態様において、それらから式Iの化合物中の複素環式基を誘導することができ、そして、それらのうちの1つまたはそれ以上のいずれから式Iの化合物中の複素環式基のいずれかが選択される、複素環式環系の例として、環系が基の定義によって含まれるのであれば、オキセタン、チエタン、アゼチジン、フラン、テトラヒドロフラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、1,3−ジオキソール、1,3−ジオキソラン、イソオキサゾール([1,2]オキサゾール)、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、オキサゾール([1,3]オキサゾール)、オキサゾリン、オキサゾリジン、イソチアゾール([1,2]チアゾール)、イソチアゾリン、イソチアゾリジン、チアゾール([1,3]チアゾール)、チアゾリン、チアゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、[1,2,3]トリアゾール、[1,2,4]トリアゾール、[1,2,4]オキサジアゾール、[1,3,4]オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、[1,2,4]チアジアゾール、ピラン、テトラヒドロピラン、チオピラン、テトラヒドロチオピラン、2,3−ジヒドロ[1,4]ジオキシン、1,4−ジオキサン、ピリジン、1,2,5,6−テトラヒドロピリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、[1,2,4]トリアジン、オキセパン、チエパン、アゼパン、[1,3]ジアゼパン、[1,4]ジアゼパン、[1,4]オキサゼパン、[1,4]チアゼパン、アゾカン、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン、オクタヒドロシクロペンタ[b]ピロール、オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール、2−アザスピロ[4.4]ノナン、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン(ベンゾ[b]チオフェン)、1H−インドール、2,3−ジヒドロ−1H−インドール、オクタヒドロインドール、2H−イソインドール、オクタヒドロイソインドール、ベンゾ[1,3]ジオキソール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、1H−ベンゾイミダゾール、イミダゾ[1,2−a]ピリジン、イソチアゾロ[5,4−b]ピリジン、クロマン、イソクロマン、チオクロマン、ベンゾ[1,4]ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン、3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]チアジン、2−アザスピロ[4.5]デカン、3−アザビシクロ[3.2.2]ノナン、キノリン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、5,6,7,8−テトラヒドロキノリン、イソキノリン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン、2,7−ジアザスピロ[4.5]デカン、2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジンおよび[1,8]ナフチリジンを挙げることができ、これらは、すべて式Iの化合物中のそれぞれの基の定義に明記された任意の適した位置で場合により置換されており、ここで、上に示した不飽和度は、例示しただけであり、個々の基において、より高いまたはより低い飽和度、または水素添加度、または不飽和度を有する環系も、式Iの化合物中の基の定義に明記されたとおり存在することができる。
【0032】
上述のとおり、複素環式基は、特に明記しない限り、任意の適した環原子を介して結合することができる。例えば、とりわけ、オキセタンおよびチエタン環は、位置2および3を介して、アゼチジン環は、位置1、2および3を介して、フラン環、テトラヒドロフラン環、チオフェン環およびテトラヒドロチオフェンは、位置2および3を介して、ピロール環およびピロリジン環は、位置1、2および3を介して、イソオキサゾール環およびイソチアゾール環は、位置3、4および5を介して、ピラゾール環は、位置1、3、4および5を介して、オキサゾール環およびチアゾール環は、位置2、4および5を介して、イミダゾール環およびイミダゾリジン環は、位置1、2、4および5を介して、テトラヒドロピランおよびテトラヒドロチオピラン環は、位置2、3および4を介して、1,4−ジオキサン環は、位置2を介して、ピリジン環は、位置2、3および4を介して、ピペリジン環は、位置1、2、3および4を介して、モルホリン環およびチオモルホリン環は、位置2、3および4を介して、ピペラジン環は、位置1および2を介して、ピリミジン環は、位置2、4および5を介して、ピラジン環は、位置2を介して、アゼパン環は、位置1、2、3および4を介して、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン環は、位置3および6を介して、オクタヒドロシクロペンタ[b]ピロールおよびオクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール環は、位置1を介して、2−アザスピロ[4.4]ノナン環は、位置2を介して、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン環は、位置7を介して、ベンゾフラン環およびベンゾチオフェン環は、位置2、3、4、5、6および7を介して、1H−インドール環、2,3−ジヒドロ−1H−インドールおよびオクタヒドロインドール環は、位置1、2、3、4、5、6および7を介して、ベンゾ[1,3]ジオキソール環は、位置4、5、6および7を介して、ベンゾオキサゾール環およびベンゾチアゾール環は、位置2、4、5、6および7を介して、1H−ベンゾイミダゾール環は、位置1、2、4、5、6および7を介して、イミダゾ[1,2−a]ピリジン環は、位置2および3を介して、ベンゾ[1,4]ジオキサン環は、位置5、6、7および8を介して、3−アザビシクロ[3.2.2]ノナン環は、位置3を介して、キノリン環は、位置2、3、4、5、6、7および8を介して、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン環は、位置1、5、6、7および8を介して、5,6,7,8−テトラヒドロキノリンは、位置2、3および4を介して、イソキノリン環は、位置1、3、4、5、6、7および8を介して、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン環は、位置2、5、6、7および8を介して、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン環は、位置1、3、4および5を介して、2,7−ジアザスピロ[4.5]デカン環は、位置2および7を介して、2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン環は、位置2および8を介して結合することができ、例えば、ここで、複素環式基の生成した残基は、すべて、式Iの化合物中のそれぞれの基の定義に明記されたとおり任意の適した位置で場合により置換されている。
【0033】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。本発明の一実施態様において、その場合のいずれかにおいて、ハロゲンは、フッ素、塩素または臭素、別の実施態様においてフッ素または塩素、別の実施態様においてフッ素、別の実施態様において塩素であり、ここで、ハロゲンのすべての場合は、互いに独立している。
【0034】
オキソ基、すなわち二重結合した酸素原子は、炭素原子に結合したとき、親系の炭素原子上で2個の水素原子を置換する。したがって、CH
2基がオキソによって置換される場合、それは、カルボニル基(C(O)、C=O)になる。また、オキソ基は、飽和および部分不飽和複素環において環硫黄原子上のような硫黄原子上で存在することもでき、ここでは、一般に、環硫黄原子の他に、S(O)基(S(=O))およびS(O)
2基(S(=O)
2)も、ヘテロ環員として存在することができる。オキソ基は、フェニル基中のような芳香環中の炭素原子上の置換基として存在することができない。さらに、また、N−オキシド部分の窒素原子に結合した酸素原子は、オキソ基とみなすことができる。N−オキシド部分の酸素原子は、負に荷電されたオキシ基に脱プロトン化されるヒドロキシ基とみなすこともでき、この負に荷電された基は、それを担持している正に荷電された窒素原子と共に内部塩(ベタイン、両性イオン)を形成する。基の定義が、例えばピリジン環、キノリン環、イソキノリン環またはイソチアゾロ[5,4−b]ピリジン環のような適した窒素複素環を含み、かつこの基が、オキソ置換基またはヒドロキシ置換基によって置換されることができる場合、このような置換基は、環窒素原子上に存在することもでき、したがって、窒素複素環のN−オキシドも含まれる。芳香族環中のN−オキシド部分は、=N(=O)−または=N(−O)−または=N
+(O
-)−または=N(O)−のような構成要素によって表してもよい。
【0035】
本発明は、式Iの化合物のすべて立体異性形態、例えばすべてのエナンチオマーおよびシス/トランス異性体を含むジアステレオマーを含む。本発明は、同様に、任意の比率における2つまたはそれ以上の立体異性形態の混合物、例えばエナンチオマーおよび/またはシス/トランス異性体を含むジアステレオマーの混合物を含む。式Iの化合物中に含まれる非対称中心は、すべて互いに独立してS配置またはR配置を有することができる。本発明は、エナンチオマー的に純粋な形態および、例えば2つのエナンチオマーのモル比が98:2、または99:1、またはそれを超える本質的にエナンチオマー的に純粋な形態、ならびにそれらのラセミ体の形態、すなわちモル比が1:1の2つのエナンチオマーの混合物、ならびに2つのエナンチオマーのすべての比率における混合物の形態にある、エナンチオマー、左旋性および右旋性対掌体の両方に関する。同様に、本発明は、純粋なおよび本質的に純粋なジアステレオマーの形態ならびに2つまたはそれ以上のジアステレオマーのすべての比率における混合物の形態にあるジアステレオマーに関する。また、本発明は、純粋な形態および、例えばシス/トランス異性体のモル比が98:2、または99:1、またはそれを超える本質的に純粋な形態、ならびにシス異性体とトランス異性体とのすべての比率における混合物の形態にある式Iの化合物のすべてのシス/トランス異性体を含む。シス/トランス異性は、置換された環において生じることができる。個々の立体異性体の製造は、必要に応じて、慣用の方法に従って、例えば、クロマトグラフィーもしくは結晶化によって、または合成における立体化学的に一様な出発化合物の使用によって、または立体選択反応によって混合物を分割することによって実施することができる。場合により、立体異性体の分離前に、誘導体化を実施することができる。立体異性体の混合物の分離は、式Iの化合物の段階で、または合成の経過における中間体の段階で実施することができる。例えば、非対称中心を含む式Iの化合物の場合、個々のエナンチオマーは、式Iの化合物のラセミ体を製造し、標準方法によるキラル相上の高圧液体クロマトグラフィーによってそれをエナンチオマーに分割するか、またはその合成の過程における任意の中間体のラセミ体を、このようなクロマトグラフィーもしくは光学活性なアミンもしくは酸を用いたその塩の結晶化によって分割し、この中間体のエナンチオマーを式Iの最終化合物のエナンチオマー形態に変換することによって、または合成の過程においてエナンチオ選択的反応を実施することによって製造することができる。また、本発明は、式Iの化合物のすべての互変異性形態を含む。
【0036】
式Iの化合物が1つまたはそれ以上の酸性または塩基性の基、例えば塩基性の複素環式基を含む場合、対応する生理学的または毒物学的に許容される塩、特に薬学的に許容される塩もまた、本発明に含まれる。したがって、式Iの化合物は、酸性基上で脱プロトン化してもよく、例えばアルカリ金属塩としてまたはアンモニウム塩として用いてもよい。また、少なくとも1つの塩基性基を含む式Iの化合物は、それらの酸付加塩の形態で、例えば、無機酸および有機酸との薬学的に許容される塩の形態で製造および使用してもよい。塩は、一般に、慣用の手順により溶媒または希釈剤中で酸または塩基との反応によって式Iの酸性および塩基性化合物から製造することができる。式Iの化合物が分子中に酸性および塩基性基を同時に含む場合、本発明は、記載された塩形態に加えて分子内塩(ベタイン、両性イオン)も含む。また、本発明は、低い生理学的忍容性のため、医薬として直接適していないが、化学反応の中間体として、または、例えばアニオン交換もしくはカチオン交換による生理学的に許容される塩の製造に適している、式Iの化合物のすべての塩を含む。
【0037】
本発明の一実施態様においては、式Iの化合物中の基Xは、=N−であり、したがって、式Iの化合物は、式Iaの化合物であり、すなわち、この実施態様において、イソチアゾロ[5,4−b]ピリジン環系のピリジン環は、自由窒素原子、またはこの窒素原子における酸付加塩の形成の場合、プロトン化された窒素原子を含む。本発明の別の実施態様において、式Iの化合物中の基Xは、=N(O)−であり、したがって、式Iの化合物は、式Ibの化合物であり、すなわち、この実施態様において、イソチアゾロ[5,4−b]ピリジン環系のピリジン環は、N−オキシドに変換された窒素原子を含む。式IaおよびIbの化合物において、基R1、R2、R3、R10およびR11は、式Iの化合物中のように、または本明細書に定義された実施態様のいずれかにおけるように定義される。
【0038】
【化3】
【0039】
本発明の一実施態様において、R1、R2およびR3は、水素、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、ニトロ、シアノ、(C
1−C
4)−アルキル−O−C(O)−およびR4−N(R5)−C(O)−からなる系列から、別の実施態様において、水素、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、シアノ、(C
1−C
4)−アルキル−O−C(O)−およびR4−N(R5)−C(O)−からなる系列から、別の実施態様において、水素、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、ニトロおよびシアノからなる系列から、別の実施態様において、水素、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキルおよびシアノからなる系列から、別の実施態様において、水素、ハロゲンおよび(C
1−C
4)−アルキルからなる系列より、別の実施態様において、水素、ハロゲンおよびシアノからなる系列から、別の実施態様において、水素、(C
1−C
4)−アルキルおよびシアノからなる系列から、別の実施態様において、水素およびハロゲンからなる系列から、別の実施態様において、水素およびシアノからなる系列から、別の実施態様において、水素および(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から互いに独立して選択され、そして別の実施態様において、R1、R2およびR3は、すべて水素である。一実施態様において、基R1、R2およびR3のうちの1つまたは2つは、前に明記された系列のいずれかから互いに独立して選択され、かつ基R1、R2およびR3の他のものは、水素であり、そして別の実施態様において、基R1、R2およびR3のうちの1つは、前に明記された系列のいずれかから選択され、かつ基R1、R2およびR3の他のものは、水素である。一実施態様において、R1およびR3は、前に明記された系列のいずれかから互いに独立して選択され、かつR2は、水素、ハロゲンおよびシアノからなる系列から、別の実施態様において、水素およびハロゲンからなる系列から、別の実施態様において、水素およびシアノからなる系列から選択され、そして別の実施態様において、水素である。一実施態様において、R1およびR3は水素であり、かつR2はシアノである。一実施態様において、R2は、前に明記された系列のいずれかから選択され、かつR1およびR3は、水素、ハロゲンおよび(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から、別の実施態様において、水素およびハロゲンからなる系列から、別の実施態様において、水素および(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から互いに独立して選択され、そして別の実施態様において、両方とも水素である。
【0040】
本発明の一実施態様において、R4中に存在する複素環式基Het1は、単環式4員〜7員飽和基または5員〜6員芳香族基、別の実施態様において、単環式4員〜7員飽和基、別の実施態様において、5員〜6員芳香族基であり、それは1、2または3個、別の実施態様において、1または2個、別の実施態様において、1個の、窒素、酸素および硫黄からなる系列から、別の実施態様において、窒素および酸素からなる系列から、別の実施態様において、窒素および硫黄からなる系列から選択される同一または異なる環ヘテロ原子を含む。一実施態様において、R4中に存在する基Het1中に場合により存在する置換基R8の数は、1、2、3または4個、別の実施態様において、1、2または3個、別の実施態様において、1または2個、別の実施態様において、1個である。
【0041】
一実施態様において、R4は、水素、(C
1−C
4)−アルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキル−、フェニルおよびフェニル−(C
1−C
4)−アルキル−からなる系列から、別の実施態様において、水素、(C
1−C
4)−アルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキル−、フェニルおよびHet1からなる系列から、別の実施態様において、水素、(C
1−C
4)−アルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキル−およびフェニルからなる系列から、別の実施態様において、水素、(C
1−C
4)−アルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキルおよび(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキル−からなる系列から、別の実施態様において、水素および(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から選択され、そして別の実施態様において、それは水素であり、ここで、すべての基は、式Iの化合物の定義に明記されたとおり、または本明細書に明記された任意の実施態様において場合により置換される。
【0042】
本発明の一実施態様において、R5、R6およびR7は、水素および(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から互いに独立して選択され、そして別の実施態様において、それらは水素である。
【0043】
本発明の一実施態様において、R4に存在する基Het1上に存在することができる置換基R8は、飽和または部分不飽和基Het1の場合、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシ、オキソ、(C
1−C
4)−アルキル−O−およびシアノからなる系列から、そして芳香族基Het1の場合、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシ、(C
1−C
4)−アルキル−O−およびシアノからなる系列から選択される。一実施態様において、R8は、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシ、(C
1−C
4)−アルキル−O−およびシアノからなる系列から、別の実施態様において、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、(C
1−C
4)−アルキル−O−およびシアノからなる系列から、別の実施態様において、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキルおよび(C
1−C
4)−アルキル−O−からなる系列から、別の実施態様において、ハロゲンおよび(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から選択される。
【0044】
本発明の一実施態様において、R10は、水素、(C
1−C
4)−アルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキルおよび(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキル−からなる系列から、別の実施態様において、水素、(C
1−C
4)−アルキルおよび(C
1−C
4)−アルキル−O−(C
1−C
4)−アルキル−からなる系列から、別の実施態様において、水素および(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から選択されるが、ただし、Xが=N(O)−である場合、R10は、水素であることしかできず、ここで、これらのすべての実施態様において、R11は、式Iの化合物について、または本明細書に明記された任意の実施態様において定義されたとおりであり、そしてR10およびR11は、それらを担持している窒素原子と共に複素環を形成することができる。一実施態様において、R10は、水素であるが、ただし、Xが=N(O)−である場合、R10は、水素であることがしかできず、したがって、この実施態様の化合物は、式Icの化合物であり、ここでは、基R1、R2、R3およびR11は、式Iの化合物において、または本明細書に定義された実施態様のいずれかにおいて定義されたとおりである。
【0045】
【化4】
【0046】
一実施態様において、R10は、(C
1−C
4)−アルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキル−および(C
1−C
4)−アルキル−O−(C
1−C
4)−アルキル−からなる系列から、別の実施態様において、(C
1−C
4)−アルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキルおよび(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキル−からなる系列から、別の実施態様において、(C
1−C
4)−アルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキルおよび(C
1−C
4)−アルキル−O−(C
1−C
4)−アルキル−からなる系列から、別の実施態様において、(C
1−C
4)−アルキルおよび(C
3−C
7)−シクロアルキルからなる系列から、別の実施態様において、(C
1−C
4)−アルキルおよび(C
1−C
4)−アルキル−O−(C
1−C
4)−アルキル−からなる系列から選択され、別の実施態様において、R10は、(C
1−C
4)−アルキル、別の実施態様において、(C
1−C
3)−アルキル、別の実施態様において、(C
1−C
2)−アルキル、別の実施態様において、メチルであり、ここで、すべてのこれらの実施態様において、R11は、式Iの化合物について、または本明細書に明記された任意の実施態様において定義されたとおりであり、そしてR10およびR11は、それらを担持している窒素原子と共に複素環を形成することができる。
【0047】
本発明の一実施態様において、R11を表す複素環式基Het2は、環炭素原子を介して結合された、単環式の5員〜7員、別の実施態様において、5員〜6員、別の実施態様において、6員、別の実施態様において、4員飽和基であり、それは、窒素、酸素および硫黄からなる系列から、別の実施態様において、窒素および酸素からなる系列から、別の実施態様において、窒素および硫黄からなる系列から選択される1または2個、別の実施態様において、1個の同一または異なる環ヘテロ原子を含む。別の実施態様において、R11を表す基Het2中の環ヘテロ原子は、窒素原子、別の実施態様において、酸素原子である。一実施態様において、R11を表す基Het2中の場合により存在する置換基R14の数は、1、2、3、4、5または6個、別の実施態様において、1、2、3、4または5個、別の実施態様において、1、2、3または4個、別の実施態様において、1、2または3個、別の実施態様において、1または2個、別の実施態様において、1個である。一実施態様において、R11は、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R12によって場合により置換された(C
1−C
4)−アルキル、および1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R14によって場合により置換されたHet2からなる系列から選択され、ここで、Het2は環炭素原子を介して結合されており、別の実施態様において、R11は、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R12によって場合により置換された(C
1−C
4)−アルキルであり、ここで、すべてのこれらの実施態様において、R10は、式Iの化合物について、または本明細書に明記された任意の実施態様に定義されたとおりであり、そしてR10およびR11は、それらを担持している窒素原子と共に複素環を形成することができる。一実施態様において、R11を表すアルキル基中に場合により存在する置換基R12の数は、1、2、3、4、5または6個、別の実施態様において、1、2、3または4個、別の実施態様において、1、2または3個、別の実施態様において、1または2個、別の実施態様において、1個である。一実施態様において、R11を表すシクロアルキル基中の場合により存在する置換基R13の数は、1、2、3または4個、別の実施態様において、1、2または3個、別の実施態様において、1または2個、別の実施態様において、1個である。
【0048】
R10およびR11を担持している窒素原子と共にR10およびR11によって形成することができる単環式または二環式複素環は、4員、5員、6員、7員、8員、9員、10員、11員または12員であることができる。本発明の一実施態様において、R10およびR11を担持している窒素原子と共にR10およびR11によって形成することができる複素環は、4員〜10員単環式または二環式複素環、別の実施態様において、5員〜10員単環式または二環式複素環、別の実施態様において、4員〜7員単環式複素環または6員〜12員二環式複素環、別の実施態様において、4員〜7員単環式複素環、別の実施態様において、5員〜6員単環式複素環、別の実施態様において、6員複素環である。一般に複素環に関して上に記載したとおり、R10およびR11を担持している窒素原子と共にR10およびR11によって形成することができる二環式複素環中の2つの環は、1つ、2つまたはそれ以上の環原子を共通して有することができ、縮合するか、または架橋された二環もしくはスピロ環を形成することができる。R10およびR11が、それらを担持している窒素原子と共に部分不飽和複素環、すなわち、不飽和であるが、R10およびR11を担持している窒素原子を含む環において芳香族ではない単環式または二環式複素環を形成する場合、それは、環系内に、1、2、3または4個の二重結合、例えば、一実施態様において、1、2または3個の二重結合、別の実施態様において、1または2個の二重結合、別の実施態様において、1個の二重結合を含むことができ、ここで、二重結合の数は、環系の種類および環サイズに左右される。二環式環において、二重結合は、環の一方またはそれらの両方に存在することができる。一実施態様において、R10およびR11を担持している窒素原子と共にR10およびR11によって形成することができる複素環は、R10およびR11を担持している窒素原子に加えて、0または1個、別の実施態様において、0(ゼロ)個、別の実施態様において、1個の、窒素、酸素および硫黄からなる系列から選択されるさらなる環ヘテロ原子を含む。一実施態様において、R10およびR11を担持している窒素原子と共にR10およびR11によって形成することができる複素環中のさらなる環ヘテロ原子は、窒素および酸素からなる系列から、別の実施態様において、窒素および硫黄からなる系列から選択され、別の実施態様において、それらは窒素原子であり、そして別の実施態様において、それらは酸素原子である。本発明の一実施態様において、R10およびR11を担持している窒素原子と共にR10およびR11によって形成することができる複素環は、R10およびR11を担持する窒素原子に加えて、窒素および酸素からなる系列から選択され、そして別の実施態様において、窒素原子であり、かつそれを介して複素環が結合される0または1個のさらなる環ヘテロ原子を含む。一実施態様において、R10およびR11を担持している窒素原子と共にR10およびR11によって形成される複素環の環炭素原子上に場合により存在する置換基R30の数は、1、2、3または4個、別の実施態様において、1、2または3個、別の実施態様において、1または2個、別の実施態様において、1個であり、ここで、置換基R30は、1つまたはそれ以上の環炭素原子上に存在することができ、個々の環炭素原子上の置換基R30の最大数は、2個である。一実施態様において、R10およびR11を担持している窒素原子と共にR10およびR11によって形成することができる複素環中のさらなる環窒素原子上に存在することができる場合による置換基R40の数は、1または2であり、別の実施態様において、それは1である。本発明の一実施態様において、R10およびR11を担持している窒素原子と共にR10およびR11によって形成することができる複素環は、置換基R40を担持している窒素原子であるさらなる1つの環ヘテロ原子を含む。
【0049】
R10およびR11を担持している窒素原子と共にR10およびR11によって形成することができる複素環式基が、本発明の一実施態様において選択される、いずれか1つまたはそれ以上からの複素環式基の例として、以下の式の基、
【化5】
を挙げることができ、ここで、記号
【化6】
と交差する線は、これを介して基がイソチアゾロ[5,4−b]ピリジン環系の2位に結合したカルボニル基の炭素原子に結合する遊離価標を表す。これらの式中に示された基R30は、式Iの化合物において、または本明細書に明記された任意の実施態様において基R30として定義されている。基R30に由来する結合は、特定の原子に向けられておらず、これらの複素環式基が、任意の位置に存在することができる1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R30によって環炭素原子上で場合により置換されることを示している。これらの式中に示された基R40aは、式Iの化合物について、または本明細書に明記された任意の実施態様において定義された基R40として定義され、そしてさらに水素であることができる。基R40aによって、それぞれの複素環中に存在するさらなる環窒素原子は、非置換、すなわち水素原子を担持するか、または置換基R40によって置換できることが示されている。
【0050】
本発明の一実施態様において、基R10およびR11は、それらを担持している窒素原子と共に、式Iの化合物の定義に明記されたとおり、または本明細書に明記された任意の実施態様において定義された複素環を形成し、したがって、この実施態様において、R10およびR11は、それらの個々の意味を有することはない。別の実施態様において、基R10およびR11は、それらを担持する窒素原子と共に、ピロリジン、ピペリジン、モルホリンおよびピペラジンからなる系列から、別の実施態様において、ピペリジン、モルホリンおよびピペラジンからなる系列から、別の実施態様において、ピロリジン、ピペリジンおよびピペラジンからなる系列から、別の実施態様において、ピペリジンおよびピペラジンからなる系列から選択される複素環を形成し、そして別の実施態様において、それはピペラジン環であり、これらの複素環は、すべて環窒素原子を介して結合されており、かつ1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R30によって環炭素原子上で場合により置換されており、ここで、ピペラジン環中のさらなる環窒素原子は、置換基R40によって場合により置換されており、そして別の実施態様において、置換基R40によって置換される。後者の実施態様の化合物は、式Idによって表してもよく、式中、R1、R2、R3、R30、R40およびXは、式Iの化合物において、または本明細書に明記された任意の実施態様において定義されたとおりであり、基R30に由来する結合は、特定の原子に向けられておらず、ピペラジン環が、任意の位置に存在することができる、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R30によって環炭素原子上で場合により置換されることを示している。
【0051】
【化7】
【0052】
単環式または二環式基Het3は、R12を表すことができ、4員、5員、6員、7員、8員、9員、10員、11員または12員であることができる。本発明の一実施態様において、Het3は、4員〜10員単環式または二環式複素環、別の実施態様において、5員〜10員単環式または二環式複素環、別の実施態様において、4員〜7員単環式複素環または6員〜12員二環式複素環、別の実施態様において、5員〜7員単環式複素環または9員〜12員二環式複素環、別の実施態様において、5員〜7員単環式複素環または9員〜10員二環式複素環、別の実施態様において、4員〜7員単環式複素環、別の実施態様において、5員〜6員単環式複素環、別の実施態様において、6員単環式複素環である。一般に複素環に関して上に記載したとおり、二環式基Het3中の2つの環は、1つ、2つまたはそれ以上の環原子を共通して有することができ、縮合するか、または架橋された二環もしくはスピロ環を形成することができる。Het3が部分不飽和複素環、すなわち不飽和であるが、これを介してHet3が結合された環において芳香族ではない単環式または二環式複素環である場合、それは、環系内に、例えば、1、2、3または4個の二重結合を含むことができ、そして一実施態様において、1、2または3個の二重結合、別の実施態様において、1または2個の二重結合、別の実施態様において、1個の二重結合を含み、ここで、二重結合の数は、環系の種類および環サイズに左右される。二環式環において、二重結合は、環の一方または環の両方に存在することができる。単環式および二環式環Het3は、芳香族であることもでき、すなわち、5員または6員環中に6個の非局在化パイ電子の環式系を含むことができる。一実施態様において、Het3は、1または2個、別の実施態様において、1個の、窒素、酸素および硫黄からなる系列から選択される同一または異なる環ヘテロ原子を含む。一実施態様において、Het3中の環ヘテロ原子は、窒素および酸素からなる系列から、別の実施態様において、窒素および硫黄からなる系列から選択され、別の実施態様において、それらは窒素原子であり、そして別の実施態様において、それらは酸素原子である。R12を表す基Het3は、任意の適した環炭素原子または環窒素原子を介して結合できる。一実施態様において、R12を表すHet3は、環炭素原子を介して、別の実施態様において、環窒素原子を介して結合されている。一実施態様において、R12を表す基Het3上に場合により存在する置換基R19の数および同様に、しかしそれとは独立してR12を表すフェニル基上に場合により存在する置換基R19の数は、1、2、3または4個、別の実施態様において、1、2または3個、別の実施態様において、1または2個、別の実施態様において、1個である。
【0053】
本発明の一実施態様において、R12は、フェニル、Het3、ヒドロキシ、(C
1−C
4)−アルキル−O−、(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−O−、R15−N(R16)−およびR17−C(O)−N(R18)−からなる系列から、別の実施態様において、フェニル、Het3、ヒドロキシ、(C
1−C
4)−アルキル−O−、R15−N(R16)−およびR17−C(O)−N(R18)−からなる系列から、別の実施態様において、フェニル、ヒドロキシ、(C
1−C
4)−アルキル−O−、R15−N(R16)−およびR17−C(O)−N(R18)−からなる系列から、別の実施態様において、Het3、ヒドロキシ、(C1−C4)−アルキル−O−、R15−N(R16)−およびR17−C(O)−N(R18)−からなる系列から、別の実施態様において、フェニル、Het3、ヒドロキシおよび(C
1−C
4)−アルキル−O−からなる系列から、別の実施態様において、Het3、ヒドロキシおよび(C
1−C
4)−アルキル−O−からなる系列から、別の実施態様において、Het3、R15−N(R16)−およびR17−C(O)−N(R18)−からなる系列から、別の実施態様において、ヒドロキシ、(C
1−C
4)−アルキル−O−、R15−N(R16)−およびR17−C(O)−N(R18)−からなる系列から、別の実施態様において、フェニル、Het3、(C
1−C
4)−アルキル−O−、R15−N(R16)−およびR17−C(O)−N(R18)−からなる系列から、別の実施態様において、Het3、(C
1−C
4)−アルキル−O−、R15−N(R16)−およびR17−C(O)−N(R18)−からなる系列から、別の実施態様において、(C
1−C
4)−アルキル−O−、R15−N(R16)−およびR17−C(O)−N(R18)−からなる系列から、別の実施態様において、フェニルおよびHet3からなる系列から選択され、そして別の実施態様において、R12はHet3であり、ここで、すべての実施態様において、フェニルおよびHet3は、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R19によって互いに独立して場合により置換される。一実施態様において、R11を表すアルキル基上に場合により存在する置換基R12を表すシクロアルキル基、フェニル基およびHet3基の総数は、1または2個、別の実施態様において、1個である。
【0054】
本発明の一実施態様において、R13は、ヒドロキシ、(C
1−C
4)−およびシアノからなる系列から、別の実施態様において、ヒドロキシおよび(C
1−C
4)−アルキル−O−からなる系列から、別の実施態様において、ヒドロキシおよびシアノ−からなる系列から選択され、そして別の実施態様において、R13はシアノである。
【0055】
本発明の一実施態様において、R14は、フッ素、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシ、(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−O−、HO−(C
1−C
4)−アルキル−、(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−O−(C
1−C
4)−アルキル−および(C1−C4)−アルキル−C(O)−からなる系列から、別の実施態様において、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシ、(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−O−、HO−(C
1−C
4)−アルキル−、(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−O−(C
1−C
4)−アルキル−および(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−からなる系列から、別の実施態様において、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシ、(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−O−、HO−(C
1−C
4)−アルキル−および(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−O−(C
1−C
4)−アルキル−からなる系列から、別の実施態様において、ヒドロキシ、(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−O−、HO−(C
1−C
4)−アルキル−および(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−O−(C
1−C
4)−アルキル−からなる系列から、別の実施態様において、(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−O−および(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−O−(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から選択される。
【0056】
本発明の一実施態様において、R15、R16およびR18は、水素および(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から、別の実施態様において、水素および(C
1−C
2)−アルキルからなる系列から互いに独立して選択され、そして別の実施態様において、それらは水素である。
【0057】
本発明の一実施態様において、R17は、(C
1−C
4)−アルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキルおよび(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキル−からなる系列から、別の実施態様において、(C
1−C
4)−アルキルおよび(C
3−C
7)−シクロアルキルからなる系列から選択され、そして別の実施態様において、R17は(C
1−C
4)−アルキルである。
【0058】
本発明の一実施態様において、R19は、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシ、(C
1−C
4)−アルキル−O−、(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−O−およびシアノからなる系列から、別の実施態様において、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、(C
1−C
4)−アルキル−O−およびシアノからなる系列から、別の実施態様において、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキルおよび(C
1−C
4)−アルキル−O−からなる系列から、別の実施態様において、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシ、(C
1−C
4)−アルキル−O−および(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−O−からなる系列から、別の実施態様において、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシおよび(C
1−C
4)−アルキル−O−からなる系列から、別の実施態様において、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシ、(C
1−C
4)−アルキル−O−および(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−O−からなる系列から、別の実施態様において、ヒドロキシ、(C
1−C
4)−アルキル−O−および(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−O−からなる系列から、別の実施態様において、ヒドロキシおよび(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−O−からなる系列から選択され、そして別の実施態様において、R19はヒドロキシであり、ここで、R12を表すフェニル基上に、およびR12を表すHet3基上に存在する置換基R19は、互いに独立して定義される。
【0059】
本発明の一実施態様において、R20、R21およびR22は、水素および(C
1−C
2)−アルキルからなる系列から互いに独立して選択され、そして別の実施態様において、それらは水素である。
【0060】
本発明の一実施態様において、R30を表す複素環式基Het2は、単環式5員〜7員、別の実施態様において、5員〜6員、別の実施態様において、6員、別の実施態様において、5員、別の実施態様において、4員飽和基である。R30を表すHet2は、任意の適した環原子を介して結合することができ、そして一実施態様において、環炭素原子を介して、そして別の実施態様において、環窒素原子を介して結合される。一実施態様において、R30を表すHet2は、1個の環ヘテロ原子を含む。一実施態様において、R30を表す基Het2中の環ヘテロ原子は、窒素および硫黄からなる系列から、別の実施態様において、窒素および酸素からなる系列から、別の実施態様において、酸素および硫黄からなる系列から選択される同一または異なる環ヘテロ原子であり、別の実施態様において、それらは窒素原子であり、そして別の実施態様において、それらは酸素原子である。一実施態様において、R30を表す基Het2中に場合により存在する置換基R36の数は、1、2、3または4個、別の実施態様において、1、2または3個、別の実施態様において、1または2個、別の実施態様において、1個である。
【0061】
本発明の一実施態様において、R30は、(C
1−C
4)−アルキル、Het2、ヒドロキシ、オキソ、R31−N(R32)−、(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−、R33−O−C(O)−およびR34−N(R35)−C(O)−からなる系列から、別の実施態様において、(C
1−C
4)−アルキル、Het2、ヒドロキシ、オキソ、R31−N(R32)−および(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−からなる系列から、別の実施態様において、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシ、オキソ、R31−N(R32)−および(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−からなる系列から、別の実施態様において、(C
1−C
4)−アルキル、Het2、ヒドロキシ、オキソおよびR31−N(R32)−からなる系列から、別の実施態様において、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシ、オキソおよびR31−N(R32)−からなる系列から、別の実施態様において、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシおよびR31−N(R32)−からなる系列から、別の実施態様において、(C
1−C
4)−アルキルおよびR31−N(R32)−からなる系列から、別の実施態様において、(C
1−C
4)−アルキルおよびヒドロキシからなる系列から選択され、ここで、これらのすべての実施態様において、Het2は、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R36によって場合により置換される。一実施態様において、R10およびR11を担持している窒素原子と共にR10およびR11によって形成された複素環中の環炭素原子上に置換基として場合により存在するR30を表す基Het2の数は、1または2個、別の実施態様において、1個である。一実施態様において、R10およびR11を担持している窒素原子と共にR10およびR11によって形成された複素環中の環炭素原子上に置換基として場合により存在するR30を表すオキソ基の数は、1または2個、別の実施態様において1個である。
【0062】
本発明の一実施態様において、R31、R32、R33、R34およびR35は、水素および(C
1−C
2)−アルキルからなる系列から互いに独立して選択され、そして別の実施態様において、それらは水素である。
【0063】
本発明の一実施態様において、R36は、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシおよびオキソからなる系列から、別の実施態様において、(C
1−C
4)−アルキルおよびオキソからなる系列から選択され、そして別の実施態様において、R36は(C
1−C
4)−アルキルである。一実施態様において、R30を表す基Het2中の場合により存在するオキソ置換基の数は、1または2個であり、別の実施態様において、それは1である。
【0064】
本発明の一実施態様において、R40を表す複素環式基Het1は、単環式4員〜7員飽和もしくは部分不飽和基または5員〜6員芳香族基、別の実施態様において、単環式4員〜7員飽和または部分不飽和基、別の実施態様において、5員〜6員芳香族基、別の実施態様において、5員または6員部分不飽和または芳香族基、別の実施態様において、6員部分不飽和または芳香族基であり、それは、1、2または3個、別の実施態様において、2または3個、別の実施態様において、1または2個、別の実施態様において、1個の、窒素、酸素および硫黄からなる系列から、別の実施態様において、窒素および酸素からなる系列から、別の実施態様において、窒素および硫黄からなる系列から選択される同一または異なる環ヘテロ原子を含む。一実施態様において、R40を表す基Het1中の環ヘテロ原子は、窒素原子である。一実施態様において、R40に存在する基Het1中に場合により存在する置換基R44の数は、1、2、3または4個、別の実施態様において、1、2または3個、別の実施態様において、1または2個、別の実施態様において、1個である。
【0065】
R40を表すことができる基Het3−C(O)−中に存在する単環式または二環式基Het3は、4員、5員、6員、7員、8員、9員、10員、11員または12員であることができる。R12を表す基Het3に関する上記の説明は、適用可能ならば、R40中に存在するこのような基Het3に同様に適用される。したがって、例えば、本発明の一実施態様において、R40中に存在する基Het3は、4員〜10員単環式または二環式複素環、別の実施態様において、5員〜10員単環式または二環式複素環、別の実施態様において、4員〜7員単環式複素環または6員〜12員二環式複素環、別の実施態様において、5員〜7員単環式複素環または9員〜12員二環式複素環、別の実施態様において、5員〜7員単環式複素環または9員〜10員二環式複素環、別の実施態様において、4員〜7員単環式複素環、別の実施態様において、5員〜6員単環式複素環、別の実施態様において、6員単環式複素環である。R40中に存在する基Het3は、環炭素原子を介して結合されている。一実施態様において、R40中に存在する基Het3は、飽和しているか、または芳香族であり、別の実施態様において、それは飽和しており、別の実施態様において、それは芳香族である。一実施態様において、Het3は、1または2個、別の実施態様において、1個の、窒素、酸素および硫黄からなる系列から選択される同一または異なる環ヘテロ原子を含む。一実施態様において、Het3中の環ヘテロ原子は、窒素および酸素からなる系列から、別の実施態様において、窒素および硫黄からなる系列から選択され、別の実施態様において、それらは窒素原子であり、そして別の実施態様において、それらは酸素原子である。一実施態様において、R40に存在する基Het3上、すなわち基Het3−C(O)−のHet3部分に場合により存在する置換基R48の数は、1、2、3または4個、別の実施態様において、1、2または3個、別の実施態様において、1または2個、別の実施態様において、1個である。
【0066】
一実施態様において、R40を表す(C
1−C
4)−アルキル基上に場合により存在する置換基R41の数は、1、2または3個、別の実施態様において、1または2個、別の実施態様において、1個である。一実施態様において、R40を表す(C
3−C
7)−シクロアルキル基上に場合により存在する置換基R42の数は、1、2、3または4個、別の実施態様において、1、2または3個、別の実施態様において、1または2個、別の実施態様において、1個である。一実施態様において、R40を表すフェニル基上に場合により存在する置換基R43の数は、1、2、3または4個、別の実施態様において、1、2または3個、別の実施態様において、1または2個、別の実施態様において、1個である。一実施態様において、R40を表す(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−基上に、すなわちこの基のアルキルの部分において、場合により存在する置換基R45の数は、1、2または3個、別の実施態様において、1または2個、別の実施態様において、1個である。一実施態様において、R40を表す(C
3−C
7)−シクロアルキル−C(O)−基上に、すなわちこの基のシクロアルキル部分において、場合により存在する置換基R46の数は、1、2、3または4個、別の実施態様において、1、2または3個、別の実施態様において、1または2個、別の実施態様において、1個である。一実施態様において、R40を表すフェニル−C(O)−基上に、すなわちこの基のフェニル部分において、場合により存在する置換基R47の数は、1、2、3または4個、別の実施態様において、1、2または3個、別の実施態様において、1または2個、別の実施態様において、1個である。
【0067】
本発明の一実施態様において、R40は、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R41によって場合により置換された(C
1−C
4)−アルキル、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R43によって場合により置換されたフェニル、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R44によって場合により置換されたHet1、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R45によって場合により置換された(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R46によって場合により置換された(C
3−C
7)−シクロアルキル−C(O)−、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R47によって場合により置換されたフェニル−C(O)−、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R48によって場合により置換されており、かつHet3が環炭素原子を介して結合されたHet3−C(O)−、R49−N(R50)−C(O)−、(C
1−C
4)−アルキル−S(O)
2−およびR51−N(R52)−S(O)
2−からなる系列から選択される。別の実施態様において、R40は、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R41によって場合により置換された(C
1−C
4)−アルキル、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R42によって場合により置換された(C
3−C
7)−シクロアルキル、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R43によって場合により置換されたフェニル、および1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R44によって場合により置換されたHet1からなる系列から、別の実施態様において、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R41によって場合により置換された(C
1−C
4)−アルキル、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R43によって場合により置換されたフェニル、および1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R44によって場合により置換されたHet1からなる系列から選択される。別の実施態様において、R40は、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R45によって場合により置換された(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R46によって場合により置換された、(C
3−C
7)−シクロアルキル−C(O)−、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R47によって場合により置換されたフェニル−C(O)−、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R48によって場合により置換されており、かつHet3が環炭素原子を介して結合されたHet3−C(O)−、R49−N(R50)−C(O)−、(C
1−C
4)−アルキル−S(O)
2−およびR51−N(R52)−S(O)
2−からなる系列から選択される。別の実施態様において、R40は、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R45によって場合により置換された(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R46によって場合により置換された(C
3−C
7)−シクロアルキル−C(O)−、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R47によって場合により置換されたフェニル−C(O)−、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R48によって場合により置換されており、かつHet3が環炭素原子を介して結合されたHet3−C(O)−、およびR49−N(R50)−C(O)−からなる系列から、別の実施態様において、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R45によって場合により置換された(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R46によって場合により置換された(C
3−C
7)−シクロアルキル−C(O)−、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R47によって場合により置換されたフェニル−C(O)−、および1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R48によって場合により置換されており、かつHet3が環炭素原子を介して結合されたHet3−C(O)−からなる系列から選択される。別の実施態様において、R40は、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R45によって場合により置換された(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−である。別の実施態様において、R40は、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R46によって場合により置換された(C
3−C
7)−シクロアルキル−C(O)−である。別の実施態様において、R40は、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R47によって場合により置換されたフェニル−C(O)−である。別の実施態様において、R40は、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R48によって場合により置換されており、かつHet3が環炭素原子を介して結合されたHet3−C(O)−である。別の実施態様において、R40はR49−N(R50)−C(O)−である。別の実施態様において、R40は、(C
1−C
4)−アルキル−S(O)
2−およびR51−N(R52)−S(O)
2−からなる系列から選択され、別の実施態様において、R40は(C
1−C
4)−アルキル−S(O)
2−であり、そして別の実施態様において、R40はR51−N(R52)−S(O)
2−である。
【0068】
本発明の一実施態様において、R41は、(C
3−C
7)−シクロアルキル、(C
1−C
4)−アルキル−O−、R60−N(R61)−、R62−O−C(O)−およびR63−N(R64)−C(O)−からなる系列から、別の実施態様において、(C1−C4)−アルキル−O−、R60−N(R61)−、R62−O−C(O)−およびR63−N(R64)−C(O)−からなる系列から、別の実施態様において、R60−N(R61)−、R62−O−C(O)−およびR63−N(R64)−C(O)−からなる系列から、別の実施態様において、R60−N(R61)−およびR62−O−C(O)−からなる系列から選択され、そして別の実施態様において、R41はR60−N(R61)−である。
【0069】
本発明の一実施態様において、R42はヒドロキシであり、別の実施態様において、R42はR65−N(R66)−である。
【0070】
本発明の一実施態様において、R43は、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、(C
1−C
4)−アルキル−O−、シアノ、R67−O−C(O)−およびR68−N(R69)−C(O)−からなる系列から、別の実施態様において、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、シアノ、R67−O−C(O)−およびR68−N(R69)−C(O)−からなる系列から、別の実施態様において、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、シアノおよびR67−O−C(O)−からなる系列から、別の実施態様において、シアノおよびR67−O−C(O)−からなる系列から選択される。
【0071】
R40を表す基Het1上に置換基R44として存在することができる基Het4は、4員、5員、6員または7員であることができる。一実施態様において、Het4は、4員〜6員、別の実施態様において、5員〜6員、別の実施態様において、5員、別の実施態様において、6員である。一実施態様において、Het4は、それを介してHet4が結合する環窒素原子に加えて1個のさらなる環ヘテロ原子を含み、別の実施態様において、Het4は、0(ゼロ)個のさらなる環ヘテロ原子を含む。一実施態様において、Het4中のさらなる環ヘテロ原子は、酸素および硫黄からなる系列から選択され、別の実施態様において、それは酸素原子であり、そして別の実施態様において、それは窒素原子である。一実施態様において、Het4中に場合により存在する置換基R74の数は、1、2、3または4個であり、別の実施態様において、それは1、2または3であり、別の実施態様において、それは1または2であり、別の実施態様において、それは1である。
【0072】
本発明の一実施態様において、R44は、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシ、オキソ、R70−N(R71)−、(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−N(R72)−、(C
1−C
4)−アルキル−S(O)
2−N(R73)−およびHet4からなる系列から、別の実施態様において、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシ、オキソおよび(C
1−C
4)−アルキル−S(O)
2−N(R73)−およびHet4からなる系列から、別の実施態様において、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、オキソおよび(C
1−C
4)−アルキル−S(O)
2−N(R73)−およびHet4からなる系列から、別の実施態様において、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキルおよびオキソからなる系列から選択され、ここで、これらのすべての実施態様において、Het4は、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R74によって場合により置換される。一実施態様において、R40を表す基Het1上に場合により存在するR44を表す置換基Het4の数は、1または2個であり、別の実施態様において、それは1個である。
【0073】
本発明の一実施態様において、R45は、シアノ、(C
1−C
4)−アルキル−O−、フェニル−O−フェニル−(C
1−C
4)−アルキル−O−、オキソ、R75−N(R76)−およびR77−C(O)−N(R78)−からなる系列から、別の実施態様において、シアノ、(C
1−C
4)−アルキル−O−、フェニル−O−、オキソ、R75−N(R76)−およびR77−C(O)−N(R78)−からなる系列から、別の実施態様において、シアノ、(C
1−C
4)−アルキル−O−、フェニル−O−、R75−N(R76)−およびR77−C(O)−N(R78)−からなる系列から、別の実施態様において、(C
1−C
4)−アルキル−O−、フェニル−O−、R75−N(R76)−およびR77−C(O)−N(R78)−からなる系列から、別の実施態様において、フェニル−O−、R75−N(R76)−およびR77−C(O)−N(R78)−からなる系列から、別の実施態様において、R75−N(R76)−およびR77−C(O)−N(R78)−からなる系列から選択され、そして別の実施態様において、R45はR75−N(R76)−である。
【0074】
本発明の一実施態様において、R46はヒドロキシであり、別の実施態様において、R46はR79−N(R80)−である。
【0075】
本発明の一実施態様において、R47は、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキルおよび(C
1−C
4)−アルキル−O−からなる系列から選択され、別の実施態様において、R47は(C
1−C
4)−アルキル−O−である。
【0076】
本発明の一実施態様において、R48は、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシおよびオキソからなる系列から、別の実施態様において、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキルおよび(C
1−C
4)−アルキル−O−からなる系列から、別の実施態様において、ヒドロキシおよびオキソからなる系列から選択され、ここで、オキソ基またはヒドロキシ基は、R48が場合により置換基である基Het3の適した環窒素原子上、例えば、R40中に存在する基Het3を表す、ピリジン環の環窒素原子またはイソチアゾロ[5,4−b]ピリジン環のピリジン部分の環窒素原子上に存在して、すでに上に概説したように、それぞれのN−オキシドとなることができる。R40中に存在する基Het3を表す適した窒素複素環は、したがって、N−オキシドの形態でも含まれている。
【0077】
本発明の一実施態様において、R49およびR51は、水素、(C
1−C
4)−アルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキルおよび(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキル−からなる系列から、別の実施態様において、水素、(C
1−C
4)−アルキルおよび(C
3−C
7)−シクロアルキルからなる系列から、別の実施態様において、水素および(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から互いに独立して選択され、そして別の実施態様において、それらは水素である。
【0078】
本発明の一実施態様において、R50およびR52は、水素、(C
1−C
4)−アルキルおよび(C
3−C
7)−シクロアルキルからなる系列から、別の実施態様において、水素および(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から互いに独立して選択され、そして別の実施態様において、それらは水素である。
【0079】
本発明の一実施態様において、R60、R61、R62、R63、R64、R65、R66、R67、R68、R69、R70、R71、R72、R73、R76、R78、R79、R80、R81、R82、R83およびR84は、水素および(C
1−C
2)−アルキルからなる系列から互いに独立して選択され、そして別の実施態様において、それらは水素である。
【0080】
本発明の一実施態様において、R74は(C
1−C
4)−アルキルである。
【0081】
本発明の一実施態様において、R75は、水素、(C
1−C
4)−アルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキルおよび(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキル−からなる系列から、別の実施態様において、水素、(C
1−C
4)−アルキルおよび(C
3−C
7)−シクロアルキルからなる系列から、別の実施態様において、水素および(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から選択され、別の実施態様において、それらは水素であり、そして別の実施態様において、それらは(C
1−C
4)−アルキルである。
【0082】
本発明の一実施態様において、R77は(C
1−C
4)−アルキルであり、そして別の実施態様において、R77はR83−N(R84)−(C
1−C
4)−アルキル−である。
【0083】
本発明の主題は、式Iのすべての化合物であり、式中、基、残基、置換基および数のようないずれか1つまたはそれ以上の構成要素は、明記された実施態様もしくは要素の定義のいずれかのように定義されているか、または要素の例として本明細書に記載された特定の意味の1つもしくはそれ以上を有し、ここで、化合物もしくは要素の1つもしくはそれ以上の定義および/または明記された実施態様および/または要素の特定の意味のすべての組合せは、本発明の主題である。また、式Iのすべてのこのような化合物に関して、それらのすべての立体異性形態および任意の比率の立体異性形態の混合物、ならびにそれらの薬学的に許容される塩は、本発明の主題である。
【0084】
任意の構成要素に関して、明記された本発明の実施態様またはこのような要素の定義において定義された本発明の化合物の例として、式I中、
Xは、=N(O)−であり;
R1、R2およびR3は、水素、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキルおよびシアノからなる系列から互いに独立して選択され;
R10は、(C
1−C
4)−アルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキル−および(C
1−C
4)−アルキル−O−(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から選択される;
立体異性形態のいずれかまたは任意の比率の立体異性形態の混合物である式Iの化合物、およびその薬学的に許容される塩を挙げることができる。
【0085】
別のこのような例として、式I中、
Xは、=N−および=N(O)−からなる系列から選択され;
R1、R2およびR3は、水素、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、シアノ、(C
1−C
4)−アルキル−O−C(O)−およびR4−N(R5)−C(O)−からなる系列から互いに独立して選択され;
R4は、水素、(C
1−C
4)−アルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキルおよび(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキル−からなる系列から選択され;
R5は、水素および(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から選択され;
R10は、水素、(C
1−C
4)−アルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキル−および(C
1−C
4)−アルキル−O−(C
1−C
4)−アルキル−からなる系列から選択されるが、ただし、Xが=N(O)−である場合、R10は水素であることがしかできず;
R11は、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R12によって場合により置換された(C
1−C
4)−アルキル、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R13によって場合により置換された(C
3−C
7)−シクロアルキル、および1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R14によって場合により置換されており、かつHet2が環炭素原子を介して結合されたHet2からなる系列から選択されるか;
または基R10およびR11は、それらを担持している窒素原子と共に、R10およびR11を担持している窒素原子に加えて、窒素、酸素および硫黄からなる系列から選択される0または1個のさらなる環ヘテロ原子を含み、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R30によって環炭素原子上で場合により置換されており、かつ1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R40によってさらなる環窒素原子上で場合により置換された4員〜10員単環式または二環式飽和または部分不飽和複素環を形成し;
R12は、フェニル、Het3、ヒドロキシ、(C
1−C
4)−アルキル−O−、R15−N(R16)−およびR17−C(O)−N(R18)−からなる系列から選択され、ここで、フェニルおよびHet3は、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R19によって互いに独立して場合により置換され;
R13は、ヒドロキシ、(C
1−C
4)−アルキル−O−およびシアノからなる系列から選択され;
R14は、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシ、(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−O−、HO−(C
1−C
4)−アルキル−、(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−O−(C
1−C
4)−アルキル−および(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−からなる系列から選択され;
【0086】
R15、R16およびR18は、水素および(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から互いに独立して選択され;
R17は、(C
1−C
4)−アルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキルおよび(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキル−からなる系列から選択され;
R19は、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシ、(C
1−C
4)−アルキル−O−、(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−O−からなる系列から選択され;
R30は、フッ素、(C
1−C
4)−アルキル、Het2、ヒドロキシ、オキソ、(C
1−C
4)−アルキル−O−、R31−N(R32)−、(C
1−C
4)−アルキル−C(O
)−、R33−O−C(O)−およびR34−N(R35)−C(O)−からなる系列から選択され、ここで、Het2は1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R36によって場合により置換され;
R31、R32、R33、R34およびR35は、水素および(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から互いに独立して選択され;
R36は、フッ素、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシおよびオキソからなる系列から選択され;
R40は、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R41によって場合により置換された(C
1−C
4)−アルキル、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R42によって場合により置換された(C
3−C
7)−シクロアルキル、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R43によって場合により置換されたフェニル、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R44によって場合により置換されたHet1、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R45によって場合により置換された(C
1−C
4)−アルキル−C(O)−、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R46によって場合により置換された(C
3−C
7)−シクロアルキル−C(O)−、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R47によって場合により置換されたフェニル−C(O)−、1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R48によって場合により置換されており、かつHet3が環炭素原子を介して結合されたHet3−C(O)−、R49−N(R50)−C(O)−、(C
1−C
4)−アルキル−S(O)
2−およびR51−N(R52)−S(O)
2−からなる系列から選択され;
R41は、(C
1−C
4)−アルキル−O−、R60−N(R61)−、R62−O−C(O)−およびR63−N(R64)−C(O)−からなる系列から選択され;
R42は、R65−N(R66)−からなる系列から選択され;
R43は、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、(C
1−C
4)−アルキル−O−、シアノ、R67−O−C(O)−およびR68−N(R69)−C(O)−からなる系列から選択され;
【0087】
R44は、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシ、オキソ、(C
1−C
4)−アルキル−S(O)
2−N(R73)−およびHet4からなる系列から選択され、ここで、Het4は1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基R74によって場合により置換され;
R45は、シアノ、(C
1−C
4)−アルキル−O−、フェニル−O−、フェニル−(C
1−C
4)−アルキル−O−、オキソ、R75−N(R76)−およびR77−C(O)−N(R78)−からなる系列から選択され;
R46は、R79−N(R80)−からなる系列から選択され;
R47は、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、(C
1−C
4)−アルキル−O−およびR81−N(R82)−C(O)−からなる系列から選択され;
R48は、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、ヒドロキシおよびオキソからなる系列から選択され;
R49およびR51は、水素、(C
1−C
4)−アルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキルおよび(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキル−からなる系列から互いに独立して選択され;
R50およびR52は、水素および(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から互いに独立して選択され;
R60、R61、R62、R63、R64、R65、R66、R67、R68、R69、R73、R76、R78、R79、R80、R81、R82、R83およびR84は、水素および(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から互いに独立して選択され;
R74は、フッ素および(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から選択され;
R75は、水素、(C
1−C
4)−アルキル、(C
3−C
7)−シクロアルキルおよび(C
3−C
7)−シクロアルキル−(C
1−C
4)−アルキル−からなる系列から選択され;
R77は、(C
1−C
4)−アルキルおよびR83−N(R84)−(C
1−C
4)−アルキル−からなる系列から選択され;
【0088】
Het1は、窒素、酸素および硫黄からなる系列から選択される1、2または3個の同一または異なる環ヘテロ原子を含み、かつ環炭素原子を介して結合された単環式4員〜7員飽和、部分不飽和または芳香族複素環であり;
Het2は、窒素、酸素および硫黄からなる系列から選択される1または2個の同一または異なる環ヘテロ原子を含む単環式4員〜7員飽和複素環であり;
Het3は、窒素、酸素および硫黄からなる系列から選択される1、2または3個の同一または異なる環ヘテロ原子を含む単環式または二環式4員〜12員飽和、部分不飽和または芳香族複素環であり、
Het4は、それを介してHet4が結合される環窒素原子、ならびに窒素、酸素および硫黄からなる系列から選択される0または1個のさらなる環ヘテロ原子を含む単環式4員〜7員飽和複素環であり;
ここで、特に明記しない限り、すべてのフェニル基は、ハロゲン、(C
1−C
4)−アルキル、シアノ、ヒドロキシおよび(C
1−C
4)−アルキル−O−からなる系列から選択される1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基によって場合により置換され;
ここで、すべてのシクロアルキル基は、シクロアルキル基上に存在することができる他のあらゆる置換基と独立して、フッ素および(C
1−C
4)−アルキルからなる系列から選択される1つまたはそれ以上の同一または異なる置換基によって場合により置換され;
ここで、すべてのアルキル基は、アルキル基上に存在することができる他のあらゆる置換基と独立して、1つまたはそれ以上のフッ素置換基によって場合により置換される;
立体異性形態のいずれかまたは任意の比率の立体異性形態の混合物である式Iの化合物、およびその薬学的に許容される塩を挙げることができる。
【0089】
また、本発明の主題は、本明細書に開示された式Iの具体的化合物のいずれかから選択された、または本明細書に開示された式Iの具体的化合物のいずれか1つである式Iの化合物であり、それについて、それらが遊離化合物および/または特定の塩として、またはその薬学的に許容される塩として開示されるかどうかにかかわらず、特定の立体異性形態が、それぞれの化合物中の任意の炭素原子に関して明記されていなければ、立体異性形態のいずれかまたは任意の比率の立体異性形態の混合物である式Iの化合物は、本発明の主題となる。
【0090】
本発明の別の主題は、下に概説する式Iの化合物を製造する方法であって、それによって式Iの化合物およびその合成過程で生じる中間体が入手可能である。例えば、このような1つの方法は、式IIのイソチアゾロ[5,4−b]ピリジン−3オンと式IIIの塩化カルバモイルとの反応により、Xが=N−である式Iの化合物、すなわち式Iaの化合物を得ることを含み、次いで、これを酸化してXが=N(O)−である式Iの化合物、すなわち式IbのN−オキシドを得ることができる。
【0091】
【化8】
【0092】
式IIおよびIIIの化合物ならびに最初に得られた式IaおよびIbの化合物中の基R1、R2、R3、R10およびR11は、式Iの化合物に定義されたとおりであり、さらに、官能基は、保護された形態で、または式IaもしくはIbの最終化合物中に存在する基に後で変換される前駆体基の形態で存在することができる。式IIIの塩化カルバモイルの代わりに、R10が水素である化合物を製造することになっている場合、式O=C=N−R11のそれぞれのイソシアネートを反応に用いてもよい。式IIおよびIIIの化合物の反応は、通常、不活性有機溶媒、例えばトルエンのような炭化水素、ジクロロメタンのような塩素化炭化水素、アセトニトリルのようなニトリルまたはジメチルホルムアミドのようなアミド、または溶媒の混合物中、約20℃から約100℃までの温度で、例えば約40℃から約80℃までの温度で、例えば約60℃で、適した塩基、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンまたはN−メチルモルホリンのような第三級アミンの存在下で実施する。式IbのN−オキシドへの式Iaの化合物の変換は、芳香族窒素複素環のN−オキシドの製造に関する標準条件下で、例えば、過酸化水素または過酸もしくはその塩を用いた処理によって、好都合には、溶媒、例えば水またはメタノールもしくはエタノールのようなアルコールまたはそれらの混合物中、ほぼ室温、すなわち約20℃〜約25℃で、商業的に入手可能なペルオキシ一硫酸ナトリウム(オキソン
(R))を用いた処理によって実施することができる。
【0093】
さらに、式Ibの化合物は、上に概説したように得られ、かつ円滑に入手可能である式Ibの化合物、例えばR10およびR11が、それらを担持している窒素原子と共にモルホリン環を形成する式Ibの化合物を、塩基で処理して式IVの化合物を得、次いで、これを、式IIIの塩化カルバモイルとの、または式Vのアミンおよびホスゲンもしくはホスゲン同等物との反応によって式Ibの別の化合物に変換することによって得ることができる。
【0094】
【化9】
【0095】
式IVおよびVの化合物ならびにこの方法にしたがって最初に得られる式Ibの化合物中の基R1、R2、R3、R10およびR11は、式Iの化合物に定義されたとおりであり、さらなる官能基は、保護された形態で、または式Ibの最終化合物中に存在する基に後で変換される前駆体基の形態で存在することができる。式IVの化合物を製造するには、式Ibの化合物を、塩基、例えば水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属水酸化物を、不活性溶媒、例えば有機溶媒、例えばアセトニトリルのようなニトリルもしくは水またはそれらの混合物中、ほぼ室温で処理することができる。式IVの化合物から式Ibの別の化合物への変換は、式IIおよびIIIの化合物の反応に関する上に概説したのと同様に、塩化カルバモイルとの反応によって実施することができる。式IIIの塩化カルバモイルの代わりに、このような変換では、また、式Vのアミンおよびホスゲンまたはホスゲン同等物を用いることができ、これらは、その場で塩化カルバモイル、または、R10が水素である場合、イソシアネートを形成し、それを式IVの化合物と後で反応させる。式Vのアミンとホスゲンまたはホスゲン同等物との反応およびその後の式IVの化合物との反応は、式IIおよびIIIの化合物の反応に関して上に概説したのと類似の条件下で、例えば不活性有機溶媒、例えばトルエンのような炭化水素、ジクロロメタンのような塩素化炭化水素もしくはアセトニトリルのようなニトリル、または溶媒の混合物中、約20℃から約100℃までの温度で、例えば約20℃から約40℃までの温度で、適した塩基、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンまたはN−メチルモルホリンのような第三級アミンの存在下で実施することができ、ここで、詳細な条件は、具体的な場合の詳細に応じて決まり、通常、当業者によって容易に選択される。
【0096】
さらなる式Iの化合物を得るために、官能基のさまざまな変換は、上記のように得られた式Iの化合物において、または式Iの化合物の合成の中間体もしくは出発化合物において、標準条件下で実施することができる。例えば、ヒドロキシ基またはアシル化できる複素環中の環窒素原子を含むアミノ基は、例えば、酸塩化物の形成に導く塩化チオニルまたは塩化オキサリルのような活性化剤の存在下、またはカップリング剤、例えばN,N'−カルボニルジイミダゾール(CDI)のようなN,N'−カルボニルジアゾール、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)もしくは1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)のようなカルボジイミド、またはO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)もしくはO−(シアノ(エトキシカルボニル)メチレンアミノ)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TOTU)のようなウロニウムベースのカップリング試薬の存在下、例えば、不活性溶媒、例えば、トルエンのような炭化水素、ジクロロメタンのような塩素化炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサンもしくは1,2−ジメトキシエタンのようなエーテル、またはジメチルホルムアミドもしくはN−メチルピロリジン−2−オンのようなアミド中、一般に塩基、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリンもしくはピリジンのような第三級アミン、または無機塩基の存在下でカルボン酸と反応させることができる。同様に、アミノ基は、スルホン酸またはスルホン酸塩化物のようなその活性化誘導体との反応によってスルホニル化することができる。ヒドロキシ基のエーテル化は、不活性溶媒、例えばジメチルホルムアミドもしくはN−メチルピロリジン−2−オンのようなアミドもしくはアセトンもしくはブタン−2−オンのようなケトン中、塩基、例えば炭酸カリウムもしくは炭酸セシウムのようなアルカリ金属炭酸塩の存在下、それぞれのハロゲン化合物、例えば臭化物またはヨウ化物を用いた、またはミツノブ反応条件下、トリフェニルホスフィンもしくはトリブチルホスフィンのようなホスフィンおよびアゾジカルボン酸ジエチルもしくはアゾジカルボン酸ジイソプロピルのようなアゾジカルボン酸誘導体の存在下で、それぞれのアルコールを用いたアルキル化によって実施することができる。ヒドロキシ基は、適したハロゲン化剤を用いた処理によってハロゲン化物に変換することができる。ハロゲン原子は、遷移金属触媒による反応であってもよい置換反応においてさまざまな基で置換することができる。アミノ基は、アルキル化の標準条件下で、例えばハロゲン化合物との反応によって、またはカルボニル化合物の還元的アミノ化によって修飾することができる。アミノ基は、塩化カルバモイルまたはイソシアネートとの反応によって尿素誘導体に変換することができる。カルボン酸エステル基は、酸性または塩基性条件下で加水分解してカルボン酸を得ることができる。カルボン酸基は、上に概説したように、活性化するか、または反応性誘導体に変換し、アルコールまたはアミンまたはアンモニアと反応させてエステルまたはアミドを得ることができる。第一級アミド基H2N−C(O)−は、脱水してニトリル基(シアノ基、NC)を得ることができる。硫黄原子は、過酸化水素または過酸のような過酸化物を用いて酸化してスルホキシド部分(S(O))またはスルホン部分(S(O)
2)を得ることができる。カルボン酸基、カルボン酸エステル基およびケトン基は、例えば水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素リチウムまたは水素化ホウ素ナトリウムのような複合水素化物を用いてアルコールに還元することができる。ヒドロキシ基は、例えば、クロロクロム酸ピリジニウムまたはデス−マーティンペルヨージナン試薬によってオキソ基に酸化することができる。式Iの化合物の製造におけるすべてのこのような反応は、それ自体で知られており、標準的な文献、例えばHouben-Weyl, Methods of Organic Chemistry, Thieme;またはOrganic Reactions, John Wiley & Sons;またはR. C. Larock, Comprehensive Organic Transformations: A Guide to Functional Group Preparations, 2. ed. (1999), John Wiley & Sons、およびそれらの中に引用された文献に記述された手順に従って、または同様にして当業者によく知られている方法で実施することができる。
【0097】
すでに示したように、式Iの化合物の製造の過程で実施するすべての反応において、一時的に官能基を保護するか、または最初にそれらを前駆体基の形態で存在させ、そして後でそれらを脱保護するか、またはそれらを所望の基に変換することは、好都合であるか、または必要でありうる。それぞれの場合に適した、適当な合成戦略および保護基および前駆体基は、当業者に知られており、例えば、P. G. M. Wuts and T. W. Greene, Greene's
Protective Groups in Organic Synthesis, 4. ed. (2007), John Wiley & Sonsに見いだすことができる。記載できる保護基の例は、ベンジル保護基、例えば、ベンジル基をパラジウム触媒の存在下で接触水素化によって除去することができる、ヒドロキシ化合物のベンジルエーテルおよびカルボン酸のベンジルエステル、tert−ブチル保護基、例えば、トリフルオロ酢酸を用いた処理によってtert−ブチル基を除去することができる、カルボン酸のtert−ブチルエステル、アシル保護基、例えば、酸性または塩基性加水分解によって再び切断することができる、ヒドロキシ化合物およびアミノ化合物のエステルおよびアミド、アルコキシカルボニル保護基、例えば、トリフルオロ酢酸を用いた処理によって再び切断することができる、アミノ化合物のtert−ブトキシカルボニル誘導体、またはパラジウム触媒の存在下で接触水素化によって切断することができる、アミノ化合物のベンジルオキシカルボニル誘導体である。記載できる前駆体の例は、多くの他の基によって置換することができるハロゲン原子、またはジアゾ化して多数の基に変換することができるアミノ基に、例えば接触水素化によって変換することができるニトロ基である。
【0098】
通常、そして式Iの化合物の合成過程で実施されるすべての反応に適用されるとおり、溶媒、塩基または酸、温度、添加の順序、モル比および他のパラメータを含む、具体的な製造方法に適用される条件の適当な詳細は、出発化合物および目的化合物の特徴ならびに具体的な場合の他の特殊性を考慮して当業者によってルーチン的に選択される。また、当業者に知られているように、本明細書に記述されたすべての方法が、同じやり方で、すべての式Iの化合物およびその中間体の製造に適しているわけではなく、適合させる必要がある。式Iの化合物の製造に関するすべての方法において、反応混合物の処理および生成物の精製は、当業者に知られている慣用の方法に従って実施され、それには、例えば、水による反応混合物のクエンチング、特定pHの調整、沈殿、抽出、乾燥、濃縮、結晶化、蒸留およびクロマトグラフィーが含まれる。また、生成物の特徴づけに関しては、NMR、IRおよび質量分析のような慣用の方法が用いられる。
【0099】
上に概説した方法に用いる出発物質は、商業的に入手可能であるか、または文献に記述された手順に従って、もしくはその手順と同様に製造することができる。すでに上に概説したとおり、式IIIの塩化カルバモイルおよび、R10が水素である場合、イソシアネートは、それぞれ式Vのアミンから容易に得ることができ、これは、商業的に入手可能であるか、またはホスゲンもしくはホスゲン同等物との反応によって、大きな構造多様性を有する文献の手順に従って製造することができる。式IIのイソチアゾロ[5,4−b]ピリジン−3−オンは、例えば、式VIの2−メルカプトニコチン酸から製造することができ、これは、文献に記述された手順に従って、例えば、チオ尿素を用いてそれぞれの2−クロロニコチン酸、または式VIIのそれらの酸アミドから得ることができる。
【0100】
【化10】
【0101】
式VIおよびVIIの化合物中の基R1、R2およびR3は、式Iの化合物に定義されたとおりであり、さらに官能基は、保護された形態で、または式Iの最終化合物中に存在する基に後で変換される前駆体基の形態で存在することができる。例えば、式VIの化合物は、Chiyoda, T. et al., Synlett 2000: 1427-1428によって記述された手順に従って、ピリジン中、トリエチルアミンのような第三級アミンの存在下、約0℃から約20℃までの温度でジフェニルホスホリルアジドと反応させて式IIの化合物を得ることができる。式VIの化合物から出発して得ることができる式VIIの化合物は、Wright, S. W. et al., Org. Prep. Proced. Int. 1993, 25: 247-249、および Furkas, S. D. et al., Bioorg. Med. Chem. 2011, 19: 3678-3689によって記述された手順に従って、約100℃の温度で濃硫酸を用いた処理によって式IIの化合物に酸化的に環化することができる。
【0102】
本発明の別の主題は、立体異性形態のいずれか、または任意の比率の立体異性形態の混合物である、新規な出発化合物、ならびに式Iの化合物の合成において生じる、式II、III、IV、V、VIおよびVII(式中、基R1、R2、R3、R10およびR11は、上に定義されたとおりである)の化合物を含む中間体およびそれらの塩、ならびに合成中間体または出発化合物としてのそれらの使用である。すべての一般的な説明、実施態様の詳述ならびに式Iの化合物に関して上に記載した数および基の定義は、上記中間体および出発化合物に同様に適用される。
【0103】
式Iの化合物は、トランスグルタミナーゼ、特にトランスグルタミナーゼ2(TGM2)を阻害し、これは、下に記述する薬理試験において、および化合物の効果をex vivoまたはin vivoで決定することができる動物モデルを含む、当業者に知られている他の薬理試験において示すことができる。したがって、式Iの化合物およびその薬学的に許容しうる塩は、有益な薬学的活性化合物である。式Iの化合物およびその薬学的に活性な塩は、例えば、関節疾患、変形性関節疾患、骨関節炎、変形性椎間板疾患、椎間板変性疾患、神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、小脳性運動失調症、がん、膠芽腫、悪性黒色腫、膵管がん、腺がん、セリアック病、線維症または肝硬変の治療に特に用いることができる。疾患の治療は、軽減、緩和または治癒を目的とする、生体の既存の病理学的変化もしくは機能不全または既存の症状の治療およびそれらの発症の防止もしくは抑制、または、それらが発症した場合、減弱を目的とする、それらにかかりやすく、かつこのような予防または防止を必要とするヒトまたは動物における、生体の病理学的変化もしくは機能不全または症状の予防または防止の両方を意味するものとして理解されることになっている。疾患の治療は、急性の症例および慢性の症例の両方で行うことができる。式Iの化合物およびその薬学的に許容しうる塩は、患者の症状を改善するため、医師によってトランスグルタミナーゼ、特にTGM2の阻害が意図される障害に一般に用いることができ、ここで、式Iの化合物およびその薬学的に許容される塩は、例えば、低用量の使用によってトランスグルタミナーゼ活性の特定の部分阻害のみを意図する場合にも用いることができる。
【0104】
したがって、式Iの化合物およびその薬学的に許容しうる塩は、それ自体で医薬または薬剤として、相互の混合物で、または医薬組成物の形態で動物、特に哺乳動物、詳しくはヒトに用いることができる。また、本発明の主題は、医薬として使用するための式Iの化合物およびその薬学的に許容される塩である。また、本発明の主題は、所望の使用にとっての有効量で、活性成分として少なくとも1つの式Iの化合物および/またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体、すなわち、1つまたはそれ以上の薬学的に無害な、または危険でない媒体および/または賦形剤、ならびに場合により1つまたはそれ以上の他の薬学的活性化合物を含む医薬組成物および薬剤である。また、本発明の主題は、記載された疾患、例えば変形性関節疾患、変形性椎間板疾患、骨関節炎、神経変性疾患、がん、セリアック病、線維症もしくは肝硬変のいずれか1つの治療を含む、上もしくは下に記載された疾患の治療に使用するための、またはトランスグルタミナーゼ、特にTGM2の阻害剤として使用するための式Iの化合物およびその薬学的に許容される塩であり、ここで、疾患の治療は、上記のようにそれらの治療および予防を含む。また、本発明の主題は、記載された疾患、例えば変形性関節疾患、変形性椎間板疾患、骨関節炎、神経変性疾患、がん、セリアック病、線維症または肝硬変のいずれか1つの治療を含む、上または下に記載された疾患を治療する薬剤、またはトランスグルタミナーゼ、特にTGM2を阻害する薬剤を製造するための式Iの化合物およびその薬学的に許容される塩の使用であり、ここで、疾患の治療は、上記のようなそれらの治療および予防を含む。また、本発明の主題は、少なくとも1つの式Iの化合物および/またはその薬学的に許容される塩の有効量を、それを必要とするヒトまたは動物に投与することを含む、記載された疾患、例えば、変形性関節疾患、変形性椎間板疾患、骨関節炎、神経変性疾患、がん、セリアック病、線維症または肝硬変のいずれか1つの治療を含む、上または下に記載された疾患を治療する方法であって、ここで、疾患の治療が、上記のようなそれらの治療および予防を含む方法、ならびにトランスグルタミナーゼ、特にTGM2を阻害する方法である。式Iの化合物およびその薬学的に許容しうる塩ならびにそれらを含む医薬組成物および薬剤は、経腸的に、例えば経口もしくは直腸投与によって、非経口的に、例えば静脈内、筋肉内、皮下もしくは関節内の注射もしくは注入、または局所、経皮、経皮的もしくは吸入投与のような別の投与タイプによって投与することができ、好ましい投与形態は、具体的な場合の詳細によって決まる。式Iの化合物およびその薬学的に許容しうる塩は、他の薬学的活性化合物と組み合わせて用いることもできる。
【0105】
本発明による医薬組成物および薬剤は、通常、約0.5質量%から約90質量%までの式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式Iの活性成分および/またはその薬学的に許容される塩の量は、用量単位当たり、一般に約0.1mgから約1gまで、特に約0.2mgから約500mgまで、例えば約1mgから約300mgまでである。医薬組成物の種類および具体的な場合の他の詳細に応じて、量は、示されたものから逸脱してもよい。医薬組成物および薬剤の製造は、それ自体で知られており、当業者に知られているやり方で実施することができる。このために、式Iの化合物および/またはその薬学的に許容される塩を、1つまたはそれ以上の固体または液体媒体および/または賦形剤と共に、また、必要に応じて、1つまたはそれ以上の他の薬学的活性化合物と組み合わせて混合し、投薬および投与に適した形態にして、これを、次いでヒト用薬剤または動物用薬剤に用いることができる。
【0106】
媒体は、希釈剤または溶媒または増量剤とみなしてもよく、媒体および賦形剤としては、式Iの化合物と望ましくないやり方で反応しない適した有機および無機物質を用いることができる。医薬組成物および薬剤中に含むことができる、賦形剤または添加剤のタイプの例として、滑沢剤、防腐剤、ゲル形成剤、増粘剤、安定剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、消泡剤、塩、緩衝物質、着色剤、香味剤および抗酸化剤を挙げることができる。媒体および賦形剤の例は、水、生理食塩水、植物油、例えばヒマワリ油、動物性油、例えば魚肝油、ロウ、アルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、1,2−プロパンジオール、グリセロール、ポリオル、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アラビアガム、セルロース、炭水化物、例えばグルコース、ラクトースまたはコーンスターチのようなデンプン、炭酸マグネシウム、リン酸カリウム、塩化ナトリウ、ステアリン酸およびその塩、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ラノリン、ワセリン、またはそれらの混合物、例えば、水または生理食塩水と1つまたはそれ以上の有機溶媒との混合物、例えば水とアルコールとの混合物である。
【0107】
経口および直腸使用のため、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、顆粒、硬および軟ゼラチンカプセル、坐剤、油性、アルコール性もしくは水性液剤を含む液剤、または点滴剤、さらに、懸濁剤もしくは乳剤のような医薬形態を用いることができる。非経口使用では、例えば、注射または注入によって、液剤、例えば水性液剤のような医薬形態を用いることができる。局所使用では、軟膏剤、乳剤、ペースト剤、ローション剤、ゲル剤、スプレー剤、泡剤、エアゾール剤、剤液またはパウダー剤のような医薬形態を用いることができる。例えば、エアゾール剤およびスプレー剤のような医薬製剤は、薬学的に許容される溶媒、例えばエタノールもしくは水、またはこのような溶媒の混合物中に活性成分の液剤、懸濁剤または乳剤を含んでもよい。また、製剤は、他の薬学的賦形剤、例えば界面活性剤、乳化剤および安定剤および噴射剤ガスを含んでもよい。
【0108】
通常、式Iの化合物の用量および投与頻度は、具体的な場合の状況に左右され、慣用の規則および手順に従って医師によって調整される。それは、例えば、投与する式Iの化合物ならびにその効力および作用時間、個々の症候群の性質および重症度、治療されるヒトもしくは動物の性別、年齢、体重および個々の反応性、治療が急性もしくは慢性もしくは予防的かどうか、または式Iの化合物に加えてさらなる薬学活性化合物をさらに投与するかどうかに左右される。通常、約75kgの成人に投与する場合、1日当たり約0.1mgから約100mg/kgまで、特に1日当たり約1mgから約10mg/kgまでの用量(各場合、体重1kg当りのmg)で十分である。日用量は、単一用量または多くの個別用量、例えば2、3もしくは4個の個別用量の形態で投与することができる。投与は、連続的に、例えば連続的な注射または注入によって実施することもできる。具体的な場合の個々の反応に応じて、示された用量から上方または下方への逸脱が必要となることがある。
【0109】
その上、ヒト用薬剤および動物用薬剤中の薬学的活性化合物として、式Iの化合物は、生化学的検査における助剤としてもしくは科学的手段としてまたは診断目的で、例えば、トランスグルタミナーゼの阻害を目的とする場合、生物学的試料のin vitro診断において用いることもできる。また、式Iの化合物およびそれらの塩は、さらなる薬学的活性物質を製造するための中間体として用いることもできる。
【0110】
以下の実施例により、本発明を説明する。
【0111】
塩基性基を含む実施例化合物を、逆相(RP)カラム物質上の分取高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製するときは、慣用のとおり、溶離液は、トリフルオロ酢酸を含む、水とアセトニトリルとの勾配混合物であり、それらは、例えば蒸発または凍結乾燥条件のような処理の詳細に応じてそれらのトリフルオロ酢酸の酸付加塩の形態で部分的に得られた。実施例化合物の名称および構造式において、このようにして含まれたトリフルオロ酢酸は、明記していない。
【0112】
製造した化合物は、一般に分光学的データおよびクロマトグラフィーデータ、特に質量スペクトル(MS)およびHPLC保持時間(Rt;分)によって特徴づけ、これらは、組み合わせた分析HPLC/MS特性評価(LC/MS)、および/または核磁気共鳴(NMR)スペクトルによって得られた。MS特性評価では、一般に、使用したイオン化方法に応じて形成された、分子イオン[M]、例えば[M
+]、または関連イオン、例えばイオン[M+1]、例えば[(M+1)
+]、すなわちプロトン化された分子イオン[(M+H)
+]([MH
+])、またはイオン[M−1]、例えば[(M−1)
-]、すなわち脱プロトン化された分子イオン[(M−H)
-]のピークの質量数(m/z)が得られる。使用したLC/MS方法の詳細は、以下のとおりである。「ACN」はアセトニトリルを意味し、「TFA」はトリフルオロ酢酸を意味し、そして「FA」はギ酸を意味する。特に明記しない限り、MSイオン化方法は、エレクトロスプレーイオン化ES+であった。
【0113】
LC/MS方法A:カラム:YMC Jsphere、33×2mm、4μm;溶離液A:水+0.05%TFA;溶離液B:ACN+0.05%TFA;勾配:95A:5%B(0分)→5%A:95%B(2.5分)→95%A:5%B(3.2分)
LC/MS方法B:カラム:YMC Jsphere,33×2mm,4μm;溶離液A:水+0.1%FA;溶離液B:ACN+0.08%FA;勾配:95%A:5%B(0分)→5%A:95%B(2.5分)
LC/MS方法C:カラム:Waters XBridge C18,50×4.6mm,2.5μm;溶離液A:水+0.05%TFA;溶離液B:ACN+0.05%TFA;
勾配:95%A:5%B(0分)→95%A:5%B(0.3分)→5%A:95%B(3.5分)→5%A:95%B(4分)
LC/MS方法D:カラム:Waters XBridge C18,50×4.6mm,2.5μm;流量:1.3ml/分;溶離液A:水+0.1%FA;溶離液B:ACN+0.1%FA;勾配:97%A:3%B(0分)→40%A:60%B(3.5分)→2%A:98%B(4分)→2%A:98%B(5分)→97%A:3%B(5.2分)→97%A:3%B(6.5分)
LC/MS方法E:カラム:Merck Chromolith FastGrad RP-18e,50×2mm;流量:2.4ml/分;溶離液A:水+0.05%TFA;溶離液B:ACN+0.05%TFA;勾配:98%A:2%B(0.2分)→2%A:98%B(2.4分)→2%A:98%B(3.2分)→98%A:2%B(3.3分)→98%A:2%B(4分)
LC/MS方法F:カラム:Merck Chromolith FastGrad RP-18e,50×2mm;流量:2.0ml/分;溶離液A:水+0.05%TFA;溶離液B:ACN+0.05%TFA;勾配:98%A:2%B(0.2分)→2%A:98%B(2.4分)→2%A:98%B(3.2分)→98%A:2%B(3.3分)→98%A:2%B(4分)
LC/MS方法G:カラム:Waters UPLC BEH XBridge C18,50×2.1mm,1.7μm;溶離液A:水+0.1%FA;溶離液B:ACN+0.08%FA;勾配:95%A:5%B(0分)→5%A:95%B(1.1分)→5%A:95%B(1.7分)→95%A:5%B(1.8分)→95%A:5%B(2分)
LC/MS方法H:カラム:Waters XBridge C18,50×4.6mm,2.5μm;溶離液A:水+0.1%FA;溶離液B:ACN+0.08%FA;勾配:97%A:3%B(0分)→2%A:98%B(18分)→2%A:98%B(19分)→97%A:3%B(19.5分)→97%A:3%B(20分)
LC/MS方法K:カラム:Waters UPLC BEH C18,50×2.1mm,1.7μm;流量:0.9ml/分;温度55℃;溶離液A:水+0.1%FA;溶離液B:ACN+0.08%FA;勾配:95%A:5%B(0分)→5%A:95%B(1.1分)→5%A:95%B(1.7分)→95%A:5%B(1.8分)→95%A:5%B(2分)LC/MS方法L:カラム:YMC Pack Jsphere H80,33×2.1mm,4μm;溶離液A:水+0.05%TFA;溶離液B:メタノール+0.05%TFA;勾配:98%A:2%B(1分)→5%A:95%B(5.0分)→5%A:95%B(6.25分)
【0114】
例示的な合成実施例
A)2−(モルホリン−4−カルボニル)−7−オキシ−イソチアゾロ[5,4−b]ピリジン−3−オン
a)イソチアゾロ[5,4−b]ピリジン−3−オン
【化11】
ピリジン(160ml)およびトリエチルアミン(19ml)中のジフェニルホスホリルアジド(39.41g、0.139mol)の溶液に、2−メルカプトニコチン酸(21.57g、0.139mol)を0℃で少しずつ加えた。反応混合物を室温で一夜撹拌し、その後、真空で濃縮した。エタノール(15ml)を、30℃で粗生成物に加えた。室温でろ過して黄色固体を得、これをエタノール(15ml)で洗浄し、真空(10mbar)で乾燥した。表題化合物17.04g(89%)を薄黄色の固形物として得た。
【0115】
b)2−(モルホリン−4−カルボニル)−イソチアゾロ[5,4−b]ピリジン−3−オン
【化12】
アセトニトリル(180ml)中のイソチアゾロ[5,4−b]ピリジン−3−オン(5.0g、32.86mmol)の懸濁液に、トリエチルアミン(14ml、99mmol)、その後、4−モルホリンカルボニルクロリド(3.8ml、32.9mmol)を室温で滴加した。反応混合物を60℃で3時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。粗油に水(50ml)および酢酸エチル(50ml)を加え、相を分離し、水相を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。高性能液体クロマトグラフィー(RPシリカゲル、アセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸)による残留物の精製および生成物画分の凍結乾燥により白色粉末として表題化合物5.0g(57%)を得た。
【0116】
c)2−(モルホリン−4−カルボニル)−7−オキシ−イソチアゾロ[5,4−b]ピリジン−3−オン
【化13】
メタノールおよび水(600ml、1:1)の混合物中の2−(モルホリン−4−カルボニル)−イソチアゾロ[5,4−b]ピリジン−3−オン(12.00g、45.22mmol)の懸濁液に、ペルオキシ一硫酸ナトリウム(オキソン
(R)41.71g、67.85mmol)を少しずつ加えた。懸濁液を室温で一夜撹拌した。溶媒を真空下で除去した。残留物をジクロロメタン(250ml)に溶解し、水(3×100ml)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。高性能液体クロマトグラフィー(RPシリカゲル、アセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸)による残留物の精製および生成物画分の凍結乾燥により白色粉末として表題化合物8.0g(63%)を得た。
【0117】
B)2−(4−アセチル−ピペラジン−1−カルボニル)−7−オキシ−イソチアゾロ[5,4−b]ピリジン−3−オン
a)7−オキシ−イソチアゾロ[5,4−b]ピリジン−3−オン
【化14】
アセトニトリル中の2−(モルホリン−4−カルボニル)−7−オキシ−イソチアゾロ[5,4−b]ピリジン−3−オン(1.07g、3.80mmol)の溶液に、2N水性水酸化ナトリウム(5ml)を室温で滴加した。反応混合物を一夜撹拌し、その後、真空で約5mlの体積まで濃縮した。水性2N塩酸を用いた中和およびろ過により粗生成物を得、これを減圧下、45℃で乾燥した。高性能液体クロマトグラフィー(RPシリカゲル、アセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸)による残留物の精製および生成物画分の凍結乾燥により白色粉末として表題化合物412mg(64%)を得た。
【0118】
b)2−(4−アセチル−ピペラジン−1−カルボニル)−7−オキシ−イソチアゾロ[5,4−b]ピリジン−3−オン
【化15】
アセトニトリル(3ml)中の1−アセチルピペラジン(46mg、0.36mmol)の溶液に、N−メチルモルホリン(217mg、2.14mmol)、その後、トルエン中の商業的に入手可能なホスゲンの20%溶液(140mg、ホスゲン28mg(0.28mmol))を室温で滴加した。7−オキシ−イソチアゾロ[5,4−b]ピリジン−3−オン(60mg、0.36mmol)を加え、撹拌を3時間続けた。溶媒を真空で除去し、残留物を高性能液体クロマトグラフィー(RPシリカゲル、アセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸)によって精製して白色粉末として表題化合物47mg(41%)を得た。
【0119】
例示的な合成実施例における上述の手順と同様に、表1に記載された式Ieの実施例化合物を製造した。表1において、「実施例番号」は、実施例化合物の番号を意味する;「LC/MS」は、実施例化合物のHPLCおよびMS特性評価に用いた上述のLC/MS方法を意味する;「MS」は、特に明記しない限り、質量スペクトルにおいて観察された、プロトン化された分子イオン、すなわちイオンM+1のピークの質量数(amu)を意味する;「Rt」は、HPLC保持時間(分)を意味する。表1の基−N(R10)−R11の式において、記号
【化16】
と交差する線は、それを介して基−N(R10)−R11が、式Ie中に示したイソチアゾール環の2位の窒素原子に結合されたC=O基の炭素原子に結合する遊離価標を表し、すなわち、完全な分子の式において、上記の記号と交差した線の末端の終点は、式Ieのイソチアゾール環の2位の窒素原子に結合したC=O基の炭素原子で終わる。表1の実施例化合物中の基Xが「N」である場合、式Ieの基Xは、=N−であり、すなわち、化合物は、すなわち式Ie−1の化合物であり、そして表1の実施例化合物中の基Xが「N(O)」である場合、式Ieの基Xは、=N(O)−であり、すなわち、化合物は式Ie−2の化合物である。
【0120】
【化17】
【0121】
【表1】
【0122】
【表2】
【0123】
【表3】
【0124】
【表4】
【0125】
【表5】
【0126】
【表6】
【0127】
【表7】
【0128】
【表8】
【0129】
【表9】
【0130】
【表10】
【0131】
【表11】
【0132】
【表12】
【0133】
【表13】
【0134】
【表14】
【0135】
【表15】
【0136】
薬理学的実施例
A)TGM2トランスグルタミナーゼ阻害活性の定量に関するアッセイ方法
TGM2の阻害に関する化合物の活性は、基質として組換えヒトTGM2(Zedira GmbH, Darmstadt, ドイツ, Product Nr. T002)およびペプチド化合物H−Abz−APE(CAD−DNP)QEA−OH(Zedira GmbH, Darmstadt, ドイツ, Product Nr. A102;CAD−DNPは、N
ω−2,4−ジニトロフェニル−カダベリンであり、すなわち、それぞれのグルタミル部分の側鎖のカルボン酸基が、N−(2,4−ジニトロフェニル)ペンタン−1,5−ジアミンの第一級アミノ基でアミド化されている;また、K. Oertel et al., Anal. Biochem. 2007, 367: 152-158参照)を用いてで決定した。このために、ジメチルスルホキシド中の異なる濃度の試験化合物の溶液2μlを、緩衝液(50mM TRIS、100mM NaCl、10mM CaCl
2、pH7.5)28μlおよびTGM2溶液10μlに加えて25μg/mlのTMG2試験濃度を得、混合物を96ハーフウェルマイクロタイタープレート中、室温で15分間インキュベートした。緩衝液中にH−Abz−APE(CAD−DNP)QEA−OHおよびグリシンメチルエステル塩酸塩を含む基質溶液10μlを添加して酵素反応を開始し、50μMのH−Abz−APE(CAD−DNP)QEA−OHおよび5mMのグリシンメチルエステル塩酸塩の試験濃度を得た。マイクロタイタープレートリーダー(SpectraMax M5, Molecular Devices)における318nmでの励起および放出波長418nmでの測定により15分かけて反応の時間経過をモニターした。速度は、曲線の線状部分(一般に5分と10分の間)から計算した。IC
50値は、ソフトウェアSoftmax Pro(Version 4.8, Molecular Devices)を用いて化合物の希釈系列の平均(重複試験)から計算した。本発明の化合物で得られた結果(マイクロモル/リットルのIC
50値)を、表2に示す。
【0137】
【表16】