(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099996
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】オゾン水を用いた洗浄方法及び洗浄装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20170313BHJP
【FI】
H01L21/304 647Z
H01L21/304 642A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-14330(P2013-14330)
(22)【出願日】2013年1月29日
(65)【公開番号】特開2014-146693(P2014-146693A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2014年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390004581
【氏名又は名称】三益半導体工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】阿部 達夫
(72)【発明者】
【氏名】椛澤 均
(72)【発明者】
【氏名】新井 泉
【審査官】
堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/099138(WO,A1)
【文献】
特開平11−145099(JP,A)
【文献】
特開平04−337636(JP,A)
【文献】
特開2011−029486(JP,A)
【文献】
特開2009−260085(JP,A)
【文献】
特開2002−033300(JP,A)
【文献】
特開2005−093873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B08B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾン水を用いたウェーハの洗浄方法であって、
前記ウェーハを底面に排液口を有する浸漬トレーに横置きし、前記ウェーハの上方かつ前記浸漬トレー外に設置された供給管より、前記浸漬トレー外から前記オゾン水を供給し、前記ウェーハを前記浸漬トレーにて前記オゾン水中に浸漬することで洗浄し、前記排液口より前記オゾン水の排液を行い、
前記オゾン水としては5〜20ppmのものを用い、かつ、前記オゾン水の供給量を、毎分3〜5リットルとし、
前記ウェーハを前記浸漬トレーにて前記オゾン水中に浸漬する前に、前記ウェーハへの前記オゾン水の供給を開始し、その後、前記ウェーハを下降させて、前記浸漬トレー中のオゾン水に前記ウェーハを浸漬させることを特徴とするオゾン水を用いた洗浄方法。
【請求項2】
前記供給管を前記ウェーハの中心部の上方に配置することを特徴とする請求項1に記載のオゾン水を用いた洗浄方法。
【請求項3】
オゾン水を用いたウェーハの洗浄装置であって、
前記ウェーハを横置きするための保持手段、及び底面に前記オゾン水の排液口を有する浸漬トレーと、
前記ウェーハの上方かつ前記浸漬トレー外に設置され、前記浸漬トレー外より前記オゾン水を供給する供給管とを備え、
前記オゾン水が5〜20ppmのものであり、前記オゾン水の供給量が、毎分3〜5リットルであり、
前記浸漬トレーが前記ウェーハを保持するための受け台を有するものであり、
該受け台は、上下に可動なものであり、
該受け台は、保持した前記ウェーハへの前記オゾン水の供給が開始された後に、前記ウェーハを保持しながら下降することで、前記浸漬トレー中の前記オゾン水に前記ウェーハを浸漬させるものであることを特徴とする洗浄装置。
【請求項4】
前記供給管が前記ウェーハの中心部の上方に設置されているものであることを特徴とする請求項3に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン水を用いたウェーハの洗浄方法及び洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハ(以下、ウェーハとする)の洗浄方法には、複数枚のウェーハを洗浄液で満たされた洗浄槽に縦置きで浸漬して行う方法と、ウェーハを横置きで1枚ずつ行う方法の2種類がある。
【0003】
ここで一般的なウェーハの洗浄フローの例を示す。最も一般的に行われている洗浄フローには、アンモニア水・過酸化水素水→純水リンス→塩酸・過酸化水素水→純水リンス→乾燥がある。この洗浄方法は、最初のアンモニア・過酸化水素水洗浄液で表面付着有機物とパーティクルの除去を行い、純水リンスで洗浄液を洗い流した後、次の塩酸・過酸化水素水洗浄液で金属不純物を除去し、再度、純水リンスで薬品を洗い流した後、乾燥を行う方法である。
【0004】
一般的に洗浄液は、洗浄効果を高めるために60℃から80℃に加温して使用されることが多い。このため、洗浄液槽には循環ろ過システムが取り付けられ、パーティクルの除去と同時にヒーターによる洗浄液の温度調節も行われている。また、蒸発による洗浄液の濃度低下を防ぐために、洗浄液濃度を一定に制御している場合もある。さらに、ウェーハに付着したパーティクルの除去力を向上させるために、超音波洗浄を併用する場合もある。また、ここで使用される洗浄液は、ウェーハの清浄度品質に直接影響を与えるため、洗浄液中のパーティクルや金属不純物濃度は厳しく管理され、パーティクルや不純物が極限まで少ない高品質のものが使用されている。
【0005】
また、前述の一般的なウェーハの洗浄フローにおいて、純水によるリンス水の代わりにオゾン水を使用することもあり、適宜、導入されている。オゾン水は強い酸化力を有しており、その強い酸化力を利用して、ウェーハ表面に付着している有機物の分解やウェーハ表面の酸化に用いられている。
【0006】
しかし、オゾン水は、とても不安定で分解しやすい性質を持つ。オゾン水はオゾンガスを純水に溶解したものであるため、安易に攪拌やバブリング、シャワー等を行うと、溶解したオゾンガスが離脱してオゾン水の濃度低下をまねくこととなる。
濃度変化のしやすいオゾン水でウェーハをムラ無く洗浄するためには、ウェーハ表面に均一な濃度のオゾン水を接触させることが必要である。
【0007】
オゾン水を用いた洗浄方法としては、複数枚のウェーハをオゾン水で満した洗浄槽に浸漬して行う方法(特許文献1等)、一枚の横置きしたウェーハにオゾン水をノズルからの供給やシャワーとして行う方法(特許文献1等)が行われてきた。しかし、前者の方法は大量かつ高濃度のオゾン水を使用するため経済的ではなく、また、どちらの方法もオゾン水の濃度が不均一となり、ムラ無く洗浄することが困難であった。また、洗浄ムラを防ぐため、一枚の横置きしたウェーハを回転させる方法(特許文献2、3)も検討されたが、複雑な装置構成を必要としていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−119491号公報
【特許文献2】特開2001−203182号公報
【特許文献3】特開2002−25971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
即ち、オゾン水で満たされた洗浄槽にウェーハを縦置きで浸漬して行う方法の場合、例えば、洗浄槽の底部に設置されたオゾン水供給管からオゾン水を供給する方法が一般的である。この供給管には、複数の穴が開けられており、この穴の向きは、洗浄槽の構造やウェーハの保持方法等により異なっている場合が多い。この穴の位置は多種多様であるが、洗浄槽内でオゾン水がウェーハ表面に均一に供給されるように配置されている場合が一般的である。しかし、この場合では、大量かつ高濃度のオゾン水を必要とし、経済的ではない。また、オゾン水が絶えず自己分解や反応により濃度低下を起こすため、洗浄槽内において濃度分布を生じてしまう。つまり、供給管の出口付近のオゾン水は濃度が高く、供給管から噴き出す液流に添ってオゾン水濃度が低下し、洗浄槽内おいてオゾン水濃度に勾配が生じることとなり、結果として洗浄ムラが生じる。
【0010】
一方、ウェーハを横置きして行う方法の場合、例えば、密閉できる容器の中でウェーハを保持し、上部、及び、下部に取り付けられたシャワーノズルからオゾン水をウェーハに噴き付けて洗浄を行う方法(シャワー方式)が一般的である。直径300mmのウェーハの洗浄方法の例をあげると、上下各19個のノズルからウェーハ表面の全体に噴霧できるようにレイアウトをして、洗浄処理を行う。しかし、このシャワー方式の場合、オゾン水がシャワーノズルからウェーハ表面に到達するまでの間に、配管圧力からの開放によりオゾン水中からオゾンガスとして離脱してしまい、大幅な濃度低下を招く状況となっており、安定して洗浄を行うためには、高濃度のオゾン水が必要となる。さらに、ウェーハ表面にオゾン水のシャワーが不均一にかかると、多くかかる部分と少ない部分で洗浄ムラが生じることとなる。
【0011】
上記の洗浄ムラの問題を解決するため、横置きしたウェーハを回転させる方法が検討されたが、このような方法を用いた洗浄装置では、耐薬品性の処理チャンバー及びウェーハを回転させる機構、回転するウェーハの保持機構、回転させる機構を阻害しないように配置するオゾン水の供給機構等の複雑な装置構成を備える必要があり、経済的ではない。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、少量かつ低濃度のオゾン水を用いることができ、洗浄ムラが無く、複雑な装置構成を必要とすることのないオゾン水を用いた洗浄方法及び洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、
オゾン水を用いたウェーハの洗浄方法であって、
前記ウェーハを底面に排液口を有する浸漬トレーに横置きし、前記ウェーハの上方に設置された供給管より前記オゾン水を供給し、前記ウェーハを前記浸漬トレーにて前記オゾン水中に浸漬することで洗浄し、前記排液口より前記オゾン水の排液を行うオゾン水を用いた洗浄方法を提供する。
【0014】
このような洗浄方法であれば、少量かつ低濃度のオゾン水を用いることができ、洗浄ムラが無く、複雑な装置を用いる必要のない洗浄方法とすることができる。
【0015】
このとき、前記供給管を前記ウェーハの中心部の上方に配置することが好ましい。
【0016】
このようにすれば、より効果的に洗浄ムラを無くすことができる。
【0017】
また、本発明は、オゾン水を用いたウェーハの洗浄装置であって、
前記ウェーハを横置きするための保持手段、及び底面に前記オゾン水の排液口を有する浸漬トレーと、
前記ウェーハの上方より前記オゾン水を供給する供給管とを備える洗浄装置を提供する。
【0018】
このような洗浄装置であれば、複雑な装置構成を加える必要がなく、少量かつ低濃度のオゾン水を用いることができ、洗浄後のウェーハの洗浄ムラを無くすことができる。
【0019】
このとき、前記供給管が前記ウェーハの中心部の上方に設置されているものであることが好ましい。
【0020】
このような供給管であれば、より効果的に洗浄ムラを無くすことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のオゾン水を用いた洗浄方法及び洗浄装置であれば、高価な大流量・高濃度のオゾン水製造装置は不要となり、安価で単純な装置構成で、少量かつ低濃度のオゾン水を用いることができ、洗浄ムラを発生させることなくオゾン水洗浄が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明のオゾン水を用いた洗浄装置の一例を示す概略図である。
【
図2】比較例1で用いた洗浄装置の一例を示す概略図である。
【
図3】比較例2で用いた洗浄装置の別の一例を示す概略図である。
【
図4】比較例3で用いた洗浄装置のさらに別の一例を示す概略図である。
【
図5】実施例1及び比較例1〜3で示す洗浄装置を用いて洗浄を行ったウェーハの比較試験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明者らは鋭意検討したところ、ウェーハを浸漬トレーに横置きし、そこに上方からオゾン水を供給してウェーハを浸漬して洗浄する方法であれば、複雑な装置構成を必要とすることなく、かつ、ウェーハに洗浄ムラを生じさせないことを見出し、本発明を完成させた。
【0024】
即ち、本発明は、
オゾン水を用いたウェーハの洗浄方法及び洗浄装置であって、
前記ウェーハを底面に排液口を有する浸漬トレーに横置きし、前記ウェーハの上方に設置された供給管より前記オゾン水を供給し、前記ウェーハを前記浸漬トレーにて前記オゾン水中に浸漬することで洗浄し、前記排液口より前記オゾン水の排液を行うオゾン水を用いた洗浄方法及び洗浄装置である。
【0025】
本発明の洗浄装置は、例えば、オゾンガスの拡散を防ぐために密閉されたオゾン水洗浄BOXを備えたものを使用できる。以下、このオゾン水洗浄BOXを備えた場合における洗浄装置について図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、このオゾン水洗浄BOX7内に設置される、本発明のオゾン水を用いた洗浄装置10の一例を示す概略図である。
まず、ウェーハ3を底面に排液口6を有する浸漬トレー4に横置きし、ウェーハ3の上方に設置された供給管1よりオゾン水2を供給し、ウェーハ3を浸漬トレー4にてオゾン水2中に浸漬することで洗浄し、排液口6よりオゾン水2の排液を行う。
【0027】
オゾン水洗浄BOX7としては、オゾンガスを処理できる排気機構が接続され、さらにウェーハを出し入れするための開閉可能なシャッターが取り付けられているものであることが好ましい。
【0028】
浸漬トレー4は、ウェーハ3を横置きするための保持手段として、
図1に示すような受け台5を設置することができる。このような受け台5としては、ウェーハを確実に浸漬させるために上下に可動するものが好ましい。
【0029】
また、浸漬トレー4が有する排液口6としては、特に限定されないが、例えば、ウェーハの中心部の直下の位置に形成されるものを挙げることができる。
【0030】
さらに、ウェーハの上方に設置される供給管としては、ウェーハの上方にあればよいが、ウェーハ表面の全域に効率良くオゾン水を流すために、ウェーハの中心部の上方に設置されるものであることが好ましい。もちろん、供給管を中心部で不動にしてもよいし、ウェーハの径方向にスイングするようにしてもよい。さらに供給管は複数設置することも可能である。
【0031】
上記のような機構は、ウェーハの上方の供給管から供給されたオゾン水は、ウェーハ表面の中心部から外周部に向かって流れ、さらに、浸漬トレー下部の中心部にある排液口に向かって、ウェーハ背面側の浸漬トレー中を流れていく構造となっている。また、オゾン水は、さらに浸漬トレーの縁から溢れ出ることにより排液されてもよい。
【0032】
ここで使用されるオゾン水としては、5〜20ppmが好ましい。5ppm以上であれば、十分な洗浄効果を得ることができ、20ppm以下であれば、経済的なデメリットが生じることがないため好ましい。
【0033】
また、ウェーハ表面に供給されるオゾン水の供給量としては、毎分3〜5リットルが好ましい。3リットル以上であれば、十分な洗浄効果を得ることができ、5リットル以下であれば、経済的なロスも少ないため好ましい。
【0034】
以下に、上記のような洗浄装置10を用いた本発明のオゾン水を用いた洗浄方法の一連のオゾン水洗浄フローの一例を示す。
1.ロボットアームによりウェーハ3をロードする。
2.オゾン水洗浄BOX7のシャッターを開く。
3.ウェーハ3を浸漬トレー4上に挿入する。
4.ウェーハ3を受け台5に置き、ロボットアームを退避させる。
5.オゾン水洗浄BOX7のシャッターを閉じる。
6.供給管1よりオゾン水の供給を開始する。
7.受け台5が下がり、ウェーハ3を受け台5により保持し、受け台5を下げて浸漬トレー4中のオゾン水に浸漬させる。
8.規程時間、オゾン水を供給しながら浸漬状態を保持する。
9.オゾン水の供給を停止する。
10.純水の供給を開始する。
11.ウェーハ3を純水に浸漬させ、オゾン水を洗い流す。
12.受け台5を上昇させる。
13.純水の供給を停止する。
14.オゾン水洗浄BOX7のシャッターを開く。
15.オゾン水洗浄済のウェーハ3をロボットアームにより回収する。
16.最初の工程に戻り新たなウェーハを洗浄する、又は、オゾン水洗浄BOXシャッターを閉じて終了する。
【0035】
上記に例示される洗浄方法であれば、少量かつ低濃度のオゾン水を用いることができ、洗浄ムラが無く、複雑な装置構成を必要とすることのない洗浄方法とすることができる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
実施例及び比較例は、以下の比較試験フローを行い評価した。
1.ウェーハの研磨
2.オゾン水洗浄
3.リンス
4.SC1(アンモニア/過酸化水素水)
5.リンス
6.乾燥
7.表面欠陥検査装置SP2(ケーエルエー・テンコール社製)による測定
比較試験において、ウェーハの表面の測定は、ケーエルエー・テンコール社製の表面欠陥検査装置SP2で行い、SP2のHazeマップを比較する方法で行った。
尚、下記実施例及び比較例に示される洗浄方法は上記工程2のオゾン水洗浄に該当する。
【0038】
[実施例1]
図1に示すような洗浄装置を用いて直径300mmのシリコンウェーハの洗浄を行った。即ち、シリコンウェーハ3を底面に排液口6を有する浸漬トレー4中の受け台5に横置きし、シリコンウェーハ3の上方に設置された供給管1より10ppmのオゾン水2を供給し、シリコンウェーハ3を浸漬トレー4にてオゾン水2中に浸漬することで洗浄し、排液口6よりオゾン水2の排液し、洗浄を行った。
【0039】
[比較例1]
図2で示すような、複数枚のウェーハを縦置きで同時にオゾン水で満たされた洗浄槽に浸漬して洗浄する装置を用いて直径300mmのシリコンウェーハの洗浄を行った。即ち、洗浄槽の底部に設置された供給管101からオゾン水102を槽内にシリコンウェーハ103表面に均一に触れるように供給し、洗浄槽上部からオーバーフローにより排液することで、洗浄を行った。尚、濃度を維持するため、20ppmのオゾン水102をオゾン水製造装置から供給管101に向けて常時供給した。また、シリコンウェーハ103としては、洗浄槽の構造や保持方法に合わせて向きや個数、大きさが調整されているものを使用した。
【0040】
[比較例2]
図3で示すような、ウェーハを横置きして1枚ずつ洗浄する装置を用いて直径300mmのシリコンウェーハの洗浄を行った。即ち、オゾンガスの拡散を防ぐために密閉されたオゾン水洗浄BOX(不図示)の中でシリコンウェーハ203を横置きし、上部、及び、下部に取り付けられたシャワーノズル型の供給管201から20ppmのオゾン水202をシリコンウェーハ203に噴き付けて洗浄を行った。このとき、上下各19個のシャワーノズルからウェーハ表面の全体にオゾン水を噴霧できるようにレイアウトをして、洗浄処理を行った。
【0041】
[比較例3]
図4で示すような、ウェーハを横置きして1枚ずつ回転させながら洗浄する装置を用いて直径300mmのシリコンウェーハの洗浄を行った。即ち、オゾンガスの拡散を防ぐために排ガスと排液を行うことのできるチャンバー(不図示)内で、シリコンウェーハ303を回転することができる受け台305に保持し、シリコンウェーハ303を回転させながらチャンバー上部、及び、下部に取り付けられた供給管301から10ppmのオゾン水302をシリコンウェーハ303に供給して洗浄を行った。このとき、ウェーハ回転は100rpmから1500rpmで行った。回転によりウェーハから振り飛ばされた洗浄液は、隔壁306で受け止めることで飛散しないようにした。
【0042】
実施例1及び比較例1〜3の比較試験結果を表1及び
図5に示した。
【表1】
実施例1と比較例3においては、SP2のHazeマップにオゾン洗浄によるムラが発生しなかったが、比較例1は洗浄槽内のオゾン水濃度分布に起因するHazeムラが発生し、比較例2においてはシャワーによるHazeムラが発生した。
【0043】
比較例1においては、オゾン水自体が絶えず自己分解や反応により濃度を低下させるため、洗浄槽内において濃度分布が生じることは避けることができず、供給管出口付近のオゾン水濃度は高いが、供給管から離れた場所や供給されるオゾン水によって置換されにくい場所は、オゾン水濃度が低下し、洗浄槽内においてオゾン水濃度に勾配が生じ、このような結果となったことが考えられる。
【0044】
比較例2においては、オゾン水がシャワーノズルからウェーハ表面に到達するまでの間に、配管圧力からの開放によりオゾン水からオゾンガスとして離脱してしまい、大幅な濃度低下を招き、さらに、ウェーハ表面にオゾン水シャワーが不均一にかかってしまい、多くかかる部分と少ない部分で洗浄ムラが生じてしまったことが考えられる。
【0045】
比較例3においては、ウェーハにオゾン水洗浄ムラが生じることは無かったが、ウェーハの回転機構、上下動作のウェーハチャック機構、オゾン水供給機構、スピンチャンバー構造等、複雑で高価な構成となり、洗浄装置の大幅なコストアップを招いてしまった。
【0046】
上記のことから、本発明のオゾン水を用いた洗浄方法であれば、少量かつ低濃度のオゾン水を用いることができ、洗浄ムラが無く、複雑な装置構成を必要とすることのない洗浄を行うことができることが明らかになった。
【0047】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0048】
1…供給管、 2…オゾン水、 3…ウェーハ、 4…浸漬トレー、 5…受け台、
6…排液口、7…洗浄BOX、 10…洗浄装置。