特許第6100002号(P6100002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100002
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】基板裏面の研磨方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20170313BHJP
   B24B 21/00 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   H01L21/304 621B
   H01L21/304 622L
   H01L21/304 622E
   B24B21/00 A
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-18476(P2013-18476)
(22)【出願日】2013年2月1日
(65)【公開番号】特開2014-150178(P2014-150178A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2015年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】石井 遊
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 賢也
(72)【発明者】
【氏名】中西 正行
(72)【発明者】
【氏名】戸川 哲二
【審査官】 宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−042220(JP,A)
【文献】 特開2003−163188(JP,A)
【文献】 特開2002−025952(JP,A)
【文献】 特開2002−208572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の裏面全体を研磨する研磨方法であって、
基板ステージで基板の裏面の中心側領域を保持しながら、前記基板の裏面に対向して配置された研磨ヘッドが前記裏面の外周側領域に研磨具を摺接させる工程と、
前記基板を保持しながら、前記裏面の前記中心側領域に研磨具を摺接させる工程を含むことを特徴とする研磨方法。
【請求項2】
前記外周側領域に前記研磨具を摺接する工程を行い、その後前記中心側領域に前記研磨具を摺接する工程を行うことを特徴とする請求項1に記載の研磨方法。
【請求項3】
記裏面の前記外周側領域に前記研磨具を摺接させる前記工程は、前記基板の裏面に純水を供給しながら行われ、
記裏面の前記中心側領域に前記研磨具を摺接させる前記工程は、前記基板の裏面に純水を供給しながら行われることを特徴とする請求項1または2に記載の研磨方法。
【請求項4】
前記研磨ヘッドは、前記基板の裏面よりも下方に位置していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の研磨方法。
【請求項5】
基板ステージで基板の裏面の中心側領域を保持しながら、前記基板の裏面に対向して配置された研磨ヘッドが前記裏面の外周側領域に研磨具を摺接させて該外周側領域を研磨する第1裏面研磨ユニットと、
前記基板を保持しながら、前記裏面の前記中心側領域に研磨具を摺接させて該中心側領域を研磨する第2裏面研磨ユニットと、
前記第1裏面研磨ユニットと前記第2裏面研磨ユニットとの間で前記基板を搬送する搬送ロボットとを備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
前記第1裏面研磨ユニットが前記外周側領域を研磨した後に、前記第2裏面研磨ユニットが前記中心側領域を研磨することを特徴とする請求項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記搬送ロボットは、前記第1裏面研磨ユニットによって研磨された前記基板を反転させて前記第2裏面研磨ユニットに搬送するように構成されていることを特徴とする請求項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記研磨ヘッドは、前記基板の裏面よりも下方に位置していることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハなどの基板の裏面を研磨する研磨方法に関する。また、本発明は基板の裏面を研磨する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メモリー回路、ロジック回路、イメージセンサ(例えばCMOSセンサー)などのデバイスは、より高集積化されつつある。これらのデバイスを形成する工程においては、微粒子や塵埃などの異物がデバイスに付着することがある。デバイスに付着した異物は、配線間の短絡や回路の不具合を引き起こしてしまう。したがって、デバイスの信頼性を向上させるために、デバイスが形成されたウェハを洗浄して、ウェハ上の異物を除去することが必要とされる。
【0003】
ウェハの裏面(ベアシリコン面)にも、上述したような微粒子や粉塵などの異物が付着することがある。このような異物がウェハの裏面に付着すると、ウェハが露光装置のステージ基準面から離間したりウェハ表面がステージ基準面に対して傾き、結果として、パターニングのずれや焦点距離のずれが生じることとなる。このような問題を防止するために、ウェハの裏面に付着した異物を除去することが必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−345298号公報
【特許文献2】特開2010−130022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来では、ウェハを回転させながらペン型のブラシやロールスポンジでウェハをスクラブ洗浄することが行われている。しかしながら、このような洗浄技術では、異物の除去率が悪く、特に異物の上に膜が堆積された状態の異物を除去することが難しかった。また、従来の洗浄技術では、ウェハの裏面全体から異物を除去することが困難であった。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、ウェハなどの基板の裏面全体に付着した異物を高い除去率で除去することができる方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、基板の裏面全体を研磨する研磨方法であって、基板ステージで基板の裏面の中心側領域を保持しながら、前記基板の裏面に対向して配置された研磨ヘッドが前記裏面の外周側領域に研磨具を摺接させる工程と、前記基板を保持しながら、前記裏面の前記中心側領域に研磨具を摺接させる工程を含むことを特徴とする研磨方法である。
本発明の好ましい態様は、前記外周側領域に前記研磨具を摺接する工程を行い、その後前記中心側領域に前記研磨具を摺接する工程を行うことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記裏面の前記外周側領域に前記研磨具を摺接させる前記工程は、前記基板の裏面に純水を供給しながら行われ、前記裏面の前記中心側領域に前記研磨具を摺接させる前記工程は、前記基板の裏面に純水を供給しながら行われることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記研磨ヘッドは、前記基板の裏面よりも下方に位置していることを特徴とする。
【0008】
本発明の他の態様は、基板ステージで基板の裏面の中心側領域を保持しながら、前記基板の裏面に対向して配置された研磨ヘッドが前記裏面の外周側領域に研磨具を摺接させて該外周側領域を研磨する第1裏面研磨ユニットと、前記基板を保持しながら、前記裏面の前記中心側領域に研磨具を摺接させて該中心側領域を研磨する第2裏面研磨ユニットと、前記第1裏面研磨ユニットと前記第2裏面研磨ユニットとの間で前記基板を搬送する搬送ロボットとを備えたことを特徴とする基板処理装置である。
本発明の好ましい態様は、前記第1裏面研磨ユニットが前記外周側領域を研磨した後に、前記第2裏面研磨ユニットが前記中心側領域を研磨することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記搬送ロボットは、前記第1裏面研磨ユニットによって研磨された前記基板を反転させて前記第2裏面研磨ユニットに搬送するように構成されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記研磨ヘッドは、前記基板の裏面よりも下方に位置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、研磨具を基板の裏面に摺接させることにより、研磨具によって基板の裏面をわずかに削り取る。したがって、裏面から異物を高い除去率で除去することができる。特に、基板の裏面全体に研磨具を摺接させることにより、裏面全体から異物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1(a)および図1(b)はウェハの周縁部を示す拡大断面図である。
図2】ウェハの裏面の外周側領域を研磨するための第1裏面研磨ユニットを示す模式図である。
図3】研磨ヘッドをウェハの半径方向外側に移動させた図である。
図4】ウェハの裏面の中心側領域を研磨するための第2裏面研磨ユニットを示す模式図である。
図5】第2裏面研磨ユニットの平面図である。
図6】第1裏面研磨ユニットおよび第2裏面研磨ユニットを含む複数の基板処理ユニットを備えた基板処理装置を示す平面図である。
図7図6に示す基板処理装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本発明に係る研磨方法は、第1研磨工程と第2研磨工程とから構成される。第1研磨工程は、基板の裏面の外周側領域を研磨する工程であり、第2研磨工程は基板の裏面の中心側領域を研磨する工程である。中心側領域は基板の中心を含む領域であり、外周側領域は中心側領域の半径方向外側に位置する領域である。中心側領域と外周側領域とは互いに隣接し、中心側領域と外周側領域とを組み合わせた領域は、基板の裏面全体に及ぶ。
【0012】
図1(a)および図1(b)は、基板の一例であるウェハの周縁部を示す拡大断面図である。より詳しくは、図1(a)はいわゆるストレート型のウェハの断面図であり、図1(b)はいわゆるラウンド型のウェハの断面図である。本明細書では、ウェハ(基板)の裏面とは、デバイスが形成されている面とは反対側の平坦な面をいう。ウェハの外周面はベベル部と呼ばれる。ウェハの裏面はベベル部の半径方向内側にある平坦な面である。ウェハ裏面の外周側領域はベベル部に隣接する。一例として、外周側領域の幅は十数ミリの円環状の領域であり、中心側領域はその内側の円形の領域である。
【0013】
図2は、ウェハWの裏面の外周側領域を研磨するための第1裏面研磨ユニット11を示す模式図である。この第1裏面研磨ユニット11は、ウェハ(基板)Wを保持して回転させる第1基板保持部12と、第1基板保持部12に保持されているウェハWの裏面に研磨具を押し当てる第1研磨ヘッド14とを備えている。第1基板保持部12は、ウェハWを真空吸着により保持する基板ステージ17と、基板ステージ17を回転させるモータ19とを備えている。
【0014】
ウェハWはその裏面が下向きの状態で基板ステージ17上に載置される。基板ステージ17の上面には溝17aが形成されており、この溝17aは真空ライン20に連通している。真空ライン20は図示しない真空源(例えば真空ポンプ)に接続されている。真空ライン20を通じて基板ステージ17の溝17aに真空が形成されると、ウェハWは真空吸着力により基板ステージ17上に保持される。この状態でモータ19は基板ステージ17を回転させ、ウェハWをその軸心まわりに回転させる。基板ステージ17はウェハWの直径よりも小さく、ウェハWの裏面の中心側領域は基板ステージ17によって保持される。ウェハWの裏面の外周側領域は、基板ステージ17から外側にはみ出している。
【0015】
第1研磨ヘッド14は、基板ステージ17に隣接して配置されている。より具体的には、第1研磨ヘッド14は、露出している外周側領域に対向して配置されている。第1研磨ヘッド14は、研磨具としての研磨テープ22を保持する複数のローラー23と、研磨テープ22をウェハWの裏面に押し付ける押圧部材24と、押圧部材24に押圧力を付与するアクチュエータとしてのエアシリンダ25とを備えている。エアシリンダ25は押圧部材24に押圧力を与え、これにより押圧部材24は研磨テープ22をウェハWの裏面に押し付ける。なお、研磨具として、研磨テープに代えて砥石を用いてもよい。
【0016】
研磨テープ22の一端は繰り出しリール31に接続され、他端は巻取りリール32に接続されている。研磨テープ22は、繰り出しリール31から第1研磨ヘッド14を経由して巻取りリール32に所定の速度で送られる。使用される研磨テープ22の例としては、表面に砥粒が固定されたテープ、または硬質の不織布からなるテープなどが挙げられる。第1研磨ヘッド14は、研磨ヘッド移動機構35に連結されている。この研磨ヘッド移動機構35は、第1研磨ヘッド14をウェハWの半径方向外側に移動させるように構成されている。研磨ヘッド移動機構35は、例えばボールねじとサーボモータとの組み合わせから構成される。
【0017】
基板ステージ17に保持されたウェハWの上方および下方には、ウェハWに研磨液を供給する液体供給ノズル37,38が配置されている。研磨液としては、純水が好ましく使用される。これは、エッチング作用のある化学成分を含む研磨液を使用すると、裏面に形成されている凹部が広がってしまうことがあるからである。
【0018】
ウェハWの裏面の外周側領域は次のようにして研磨される。基板ステージ17に保持されたウェハWをその中心軸まわりにモータ19により回転させ、回転するウェハWの表面および裏面に液体供給ノズル37,38から研磨液を供給する。この状態で、第1研磨ヘッド14は研磨テープ22をウェハWの裏面に押し付ける。研磨テープ22は外周側領域と摺接し、これにより外周側領域を研磨する。研磨ヘッド移動機構35は、第1研磨ヘッド14が研磨テープ22をウェハWの裏面に押し付けながら、図3の矢印に示すように、第1研磨ヘッド14をウェハWの半径方向外側に所定の速度で移動させる。このようにして、ウェハWの裏面の外周側領域全体が研磨テープ22によって研磨される。研磨中、研磨液はウェハWの内側から外側に流れ、研磨屑は研磨液によってウェハWから除去される。
【0019】
第1研磨工程の終了後、ウェハWは図示しない搬送ロボットにより第1裏面研磨ユニット11から取り出される。搬送ロボットはウェハWを反転させてその裏面を上向きにし、そして、ウェハWを以下に説明する第2裏面研磨ユニットに搬送する。
【0020】
図4は、ウェハWの裏面の中心側領域を研磨するための第2裏面研磨ユニットを示す模式図であり、図5は第2裏面研磨ユニットの平面図である。第2裏面研磨ユニット41は、ウェハWを保持して回転させる第2基板保持部42と、ウェハWの裏面に研磨具44を押し付ける第2研磨ヘッド46とを備えている。第2基板保持部42は、ウェハWのベベル部を保持する複数のチャック48と、これらチャック48をウェハWの軸心まわりに回転させる中空モータ51とを備えている。各チャック48はその上端にクランプ49を備えており、このクランプ49によりウェハWのベベル部が把持される。クランプ49がウェハWのベベル部を把持した状態で中空モータ51によってチャック48を回転させることにより、図5の矢印Aで示すようにウェハWがその軸心まわりに回転する。
【0021】
第2裏面研磨ユニット41では、ウェハWはその裏面が上向きの状態で第2基板保持部42により保持される。チャック48に保持されたウェハWの下面(裏面とは反対側の面)は、基板支持部52によって支持されている。この基板支持部52は、連結部材53によって中空モータ51に連結されており、中空モータ51によって基板支持部52は第2基板保持部42と一体に回転するようになっている。基板支持部52は、ウェハWの下面に接触する円形の上面を有している。この基板支持部52の上面は、不織布またはバッキングフィルムなどの弾性材からなるシートから構成されおり、ウェハWに形成されているデバイスにダメージを与えないようになっている。基板支持部52は、単にウェハWを下から支えているのみであり、ウェハWを真空吸着などで保持はしていない。ウェハWと基板支持部52は一体に回転し、両者の相対速度は0である。
【0022】
第2研磨ヘッド46は、ウェハWの上方に配置されており、研磨具44をウェハWの裏面に上から押し付ける。使用される研磨具44の例としては、砥粒が表面に固定された不織布、硬質の不織布、砥石、または上述した第1裏面研磨ユニット11で使用される研磨テープなどが挙げられる。例えば、研磨具44は、第2研磨ヘッド46の軸心まわりに配置された複数の研磨テープから構成してもよい。
【0023】
第2研磨ヘッド46は、ヘッドアーム55によって支持されている。このヘッドアーム55には図示しない回転機構が内蔵されており、この回転機構によって第2研磨ヘッド46は矢印Bで示すようにその軸心まわりに回転する。ヘッドアーム55の端部は揺動軸56に固定されている。この揺動軸56はモータなどの駆動機57に連結されている。駆動機57により揺動軸56が所定の角度で回転することにより、第2研磨ヘッド46はウェハWの上方の研磨位置とウェハWの外側の待機位置との間を移動する。
【0024】
第2研磨ヘッド46に隣接して、ウェハWの裏面に研磨液を供給する液体供給ノズル61が配置されている。研磨液としては、純水が好ましく使用される。
【0025】
ウェハWの中心側領域は次のようにして研磨される。ウェハWの裏面が上向きの状態でウェハWのベベル部がチャック48によって保持される。ウェハWをその中心軸まわりに中空モータ51により回転させ、回転するウェハWの裏面に液体供給ノズル61から研磨液を供給する。この状態で、第2研磨ヘッド46は研磨具44を回転させながら、研磨具44をウェハWの裏面中心を含む中心側領域に押し付ける。研磨具44は中心側領域と摺接し、これにより中心側領域を研磨する。研磨中は、研磨具44がウェハWの中心に接触した状態を保ちながら、第2研磨ヘッド46をウェハWの略半径方向に揺動させてもよい。このようにして、ウェハWの裏面の中心側領域が研磨具44によって研磨される。研磨中、研磨液はウェハWの内側から外側に流れ、研磨屑は研磨液によってウェハWから除去される。
【0026】
上述した実施形態では、ウェハWの裏面の外周側領域が先に研磨され、その後に裏面の中心側領域が研磨される。これは、第1研磨工程でウェハWの裏面に付いた基板ステージ17の吸着痕を第2研磨工程で除去するためである。しかしながら、本発明はこの例に限定されず、中心側領域を研磨する工程を行った後に、裏面の外周側領域を研磨する工程を行ってもよい。
【0027】
第1研磨工程ではウェハWの裏面の中心側領域が保持されるので、ウェハWの中心を研磨テープ22で研磨することができないが、裏面の外周側領域を研磨することができる。これに対し、第2研磨工程では、第2基板保持部42によりウェハWのベベル部が保持されるので、ウェハWの裏面の周縁部を研磨具44で研磨することができないが、裏面の中心を含む中心側領域を研磨することができる。よって、第1研磨工程と第2研磨工程とを組み合わせることにより、ウェハWの裏面全体を研磨することができる。したがって、ウェハWの裏面全体から異物、突起部などを除去することができる。
【0028】
第1研磨工程および第2研磨工程では、研磨具22,44によりウェハWの裏面が僅かに削られる。除去されるウェハWの量(厚さ)は、好ましくは100nm以下、より好ましくは10nm以下、さらに好ましくは1nm以下である。研磨終点は時間に基づいて決定される。すなわち、予め定められた研磨時間に達したときに研磨が終了される。第2研磨工程が終了した後は、ウェハWを洗浄装置に搬送してウェハWの両面を洗浄することが好ましい。
【0029】
図6は、上述した第1裏面研磨ユニット11および第2裏面研磨ユニット41を含む複数の基板処理ユニットを備えた基板処理装置を示す平面図であり、図7図6に示す基板処理装置の側面図である。この基板処理装置は、複数のウェハWが収容されたウェハカセット65が載置されるロードポート66と、2台の第1裏面研磨ユニット11と、2台の第2裏面研磨ユニット41と、研磨されたウェハWを洗浄する2台の洗浄ユニット72と、洗浄されたウェハWを乾燥させる2台の乾燥ユニット73とを備えている。
【0030】
2台の洗浄ユニット72は、2台の第2裏面研磨ユニット41の上にそれぞれ配置されており、2台の乾燥ユニット73は、2台の第1裏面研磨ユニット11の上にそれぞれ配置されている。ロードポート66と第1裏面研磨ユニット11との間には第1搬送ロボット74が配置されている。また、第1裏面研磨ユニット11と第2裏面研磨ユニット41の間には、第2搬送ロボット75が配置されている。
【0031】
ウェハカセット65内のウェハWは、第1搬送ロボット74によって第1裏面研磨ユニット11に搬送され、ここでウェハWの裏面の外周側領域が研磨される。第1裏面研磨ユニット11の第1研磨ヘッド14にチルト機構を設けて、ウェハWのベベル部をさらに研磨してもよい。ウェハWは第2搬送ロボット75により第1裏面研磨ユニット11から取り出され、その裏面が上向きになるように反転される。そして、反転されたウェハWは第2裏面研磨ユニット41に搬送され、ここでウェハWの裏面の中心側領域が研磨される。第2裏面研磨ユニット41に搬送する前に、裏面の外周側領域が研磨されたウェハWを洗浄ユニット72に搬送してウェハWを洗浄してもよい。
【0032】
裏面の全体が研磨されたウェハWは、第2搬送ロボット75によって第2裏面研磨ユニット41から取り出され、その裏面が下向きになるように反転され、そして洗浄ユニット72に搬送される。洗浄ユニット72は、ウェハWを挟むように配置された上側ロールスポンジおよび下側ロールスポンジを備えており、洗浄液をウェハWの両面に供給しながらこれらロールスポンジでウェハWの両面をスクラブ洗浄する。洗浄されたウェハWは、第2搬送ロボット75によって乾燥ユニット73に搬送される。乾燥ユニット73は、ウェハWをその軸心まわりに高速で回転させることによってウェハWをスピン乾燥する。乾燥されたウェハWは、第1搬送ロボット74によりロードポート66上のウェハカセット65に戻される。このようにして、基板処理装置は、ウェハWの裏面研磨、洗浄、および乾燥の一連の工程を行うことができる。
【0033】
第1裏面研磨ユニット11、第2裏面研磨ユニット41、洗浄ユニット72、および乾燥ユニット73は、それぞれモジュール化されたユニットとして構成されており、これらの配置を自在に変えることが可能となっている。例えば、図6に示す2台の第1裏面研磨ユニット11のうちの一方または両方に代えて、ウェハWのノッチ部を研磨するノッチ研磨ユニットを配置してもよい。
【0034】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0035】
11 第1裏面研磨ユニット
12 第1基板保持部
14 第1研磨ヘッド
17 基板ステージ
19 モータ
20 真空ライン
22 研磨テープ(研磨具)
23 ローラー
24 押圧部材
25 エアシリンダ
31 繰り出しリール
32 巻取りリール
35 研磨ヘッド移動機構
37,38 液体供給ノズル
41 第2裏面研磨ユニット
42 第2基板保持部
44 研磨具
46 第2研磨ヘッド
48 チャック
49 クランプ
51 中空モータ
52 基板支持部
53 連結部材
55 ヘッドアーム
56 揺動軸
57 駆動機
61 液体供給ノズル
65 ウェハカセット
66 ロードポート
72 洗浄ユニット
73 乾燥ユニット
74 第1搬送ロボット
75 第2搬送ロボット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7