特許第6100541号(P6100541)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100541
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】研磨方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 9/00 20060101AFI20170313BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   B24B9/00 601G
   H01L21/304 621E
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-15937(P2013-15937)
(22)【出願日】2013年1月30日
(65)【公開番号】特開2014-144525(P2014-144525A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2015年10月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】戸川 哲二
(72)【発明者】
【氏名】吉田 篤史
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 敏史
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−335521(JP,A)
【文献】 特開2012−213849(JP,A)
【文献】 特開2009−154285(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0156972(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 9/00
H01L 21/304
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を回転させ、
第1の研磨具を前記基板のエッジ部に押し当てて該エッジ部を研磨し、
前記第1の研磨具よりも前記基板の半径方向において内側に配置された第2の研磨具を前記エッジ部に押し当てて該エッジ部を研磨する工程を含み、
前記第1の研磨具は、前記第2の研磨具よりも粗い研磨面を有しており、
前記第1の研磨具を前記基板のエッジ部に押し当てて該エッジ部を研磨している途中で、前記第2の研磨具を前記基板のエッジ部に押し当てて該エッジ部の研磨を開始させることを特徴とする研磨方法。
【請求項2】
前記第1の研磨具と前記第2の研磨具との配置は、前記基板に対して対称であることを特徴とする請求項1に記載の研磨方法。
【請求項3】
前記エッジ部に接触しているときの前記第1の研磨具の接触幅は、前記エッジ部に接触しているときの前記第2の研磨具の接触幅以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の研磨方法。
【請求項4】
前記第1の研磨具により研磨される前記エッジ部の除去レートは、前記第2の研磨具により研磨される前記エッジ部の除去レートよりも高いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の研磨方法。
【請求項5】
前記第1の研磨具は粗研磨用の研磨具であり、前記第2の研磨具は仕上げ研磨用の研磨具であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハなどの基板を研磨する研磨方法に関し、特に基板のエッジ部に研磨具を押し付けて該エッジ部を研磨する研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェハの周縁部を研磨するために、研磨テープまたは固定砥粒などの研磨具を備えた研磨装置が使用されている。この種の研磨装置は、ウェハを回転させながら、ウェハの周縁部に研磨具を接触させることでウェハの周縁部を研磨する。本明細書では、ウェハの周縁部を、ウェハの最外周に位置するベベル部と、このベベル部の半径方向内側に位置するトップエッジ部およびボトムエッジ部とを含む領域として定義する。
【0003】
図8(a)および図8(b)は、ウェハの周縁部を示す拡大断面図である。より詳しくは、図8(a)はいわゆるストレート型のウェハの断面図であり、図8(b)はいわゆるラウンド型のウェハの断面図である。図8(a)のウェハWにおいて、ベベル部は、上側傾斜部(上側ベベル部)P、下側傾斜部(下側ベベル部)Q、および側部(アペックス)Rから構成されるウェハWの最外周面(符号Bで示す)である。図8(b)のウェハWにおいては、ベベル部は、ウェハWの最外周面を構成する、湾曲した断面を有する部分(符号Bで示す)である。トップエッジ部は、ベベル部Bよりも半径方向内側に位置する平坦部E1である。ボトムエッジ部は、トップエッジ部とは反対側に位置し、ベベル部Bよりも半径方向内側に位置する平坦部E2である。以下、これらトップエッジ部E1およびボトムエッジ部E2を、総称してエッジ部と称する。エッジ部は、デバイスが形成された領域を含むこともある。
【0004】
SOI(Silicon on Insulator)基板などの製造工程では、図9に示すように、ウェハWのエッジ部に垂直面および水平面を形成することが要請されている。SOI基板は、デバイス基板とシリコン基板とを貼り合わせることで製造される。より具体的には、図10(a)および図10(b)に示すように、デバイス基板W1とシリコン基板W2とを貼り合わせ、図10(c)に示すように、デバイス基板W1をその裏面からグラインダーで研削することで、図10(d)に示すようなSOI基板を得る。
【0005】
図9に示すようなエッジ部の断面形状は、図11に示す研磨装置によって形成することができる。すなわち、ウェハWを回転させながら、押圧部材100で研磨テープ101の縁部をエッジ部に上から押し付けることにより、ウェハWのエッジ部を研磨する。研磨テープ101の下面は、砥粒を保持した研磨面を構成しており、この研磨面はウェハWと平行に配置される。そして、研磨テープ101の縁部をウェハWのエッジ部に位置させた状態で、押圧部材100で研磨テープ101の研磨面をウェハWのエッジ部に対して押し付けることにより、図9に示すような、直角の断面形状、すなわち垂直面および水平面をウェハWのエッジ部に形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−171647号公報
【特許文献2】特開2012−213849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図11に示す研磨装置のスループットを上げるためには、粗い研磨面を有する研磨テープを用いることが好ましい。ウェハWの研磨レート(除去レートともいう)が上がるからである。しかしながら、粗い研磨面を有する研磨テープをウェハWのエッジ部に押し当てると、エッジ部の垂直面が粗くなり、場合によっては欠けたりすることがある。細かい研磨面を有する研磨テープを用いれば、滑らかな垂直面をエッジ部に形成することは可能である。しかしながら、細かい研磨面を有する研磨テープを用いると、ウェハWの研磨レートが低下してしまう。
【0008】
本発明は上述した従来の問題点に鑑みてなされたもので、研磨レートを上げることができ、かつ基板のエッジ部に滑らかな垂直面を形成することができる研磨方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、基板を回転させ、第1の研磨具を前記基板のエッジ部に押し当てて該エッジ部を研磨し、前記第1の研磨具よりも前記基板の半径方向において内側に配置された第2の研磨具を前記エッジ部に押し当てて該エッジ部を研磨する工程を含み、前記第1の研磨具は、前記第2研磨具よりも粗い研磨面を有しており、前記第1の研磨具を前記基板のエッジ部に押し当てて該エッジ部を研磨している途中で、前記第2の研磨具を前記基板のエッジ部に押し当てて該エッジ部の研磨を開始させることを特徴とする研磨方法である。
【0010】
本発明の好ましい態様は、前記第1の研磨具と前記第2の研磨具との配置は、前記基板に対して対称であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記エッジ部に接触しているときの前記第1の研磨具の接触幅は、前記エッジ部に接触しているときの前記第2の研磨具の接触幅以上であることを特徴とする。
【0011】
本発明の好ましい態様は、前記第1の研磨具により研磨される前記エッジ部の除去レートは、前記第2の研磨具により研磨される前記エッジ部の除去レートよりも高いことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記第1の研磨具は粗研磨用の研磨具であり、前記第2の研磨具は仕上げ研磨用の研磨具であることを特徴とする。
本発明の一参考例は、基板を回転させ、第1の研磨テープを前記基板のエッジ部に押し当てて該エッジ部を研磨し、前記第1の研磨テープよりも前記基板の半径方向において内側に配置された第2の研磨テープを前記エッジ部に押し当てて該エッジ部を研磨する工程を含み、前記第1の研磨テープは、前記第2の研磨テープよりも粗い研磨面を有していることを特徴とする研磨方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1の研磨具によって基板のエッジ部が先に研磨される。したがって、第2の研磨具とエッジ部との接触面積が小さくなり、結果として第2の研磨具のエッジ部に対する圧力が高くなる。よって、第1の研磨具よりも細かい研磨面を有する第2の研磨具は高い研磨レート(除去レート)で基板のエッジ部を研磨することができる。さらに、細かい研磨面を有する第2の研磨具によって滑らかな垂直面をエッジ部に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る研磨方法の一実施形態を実施するための研磨装置の模式図である。
図2図1に示す研磨装置の平面図である。
図3】第1の研磨テープを押圧パッドによりウェハのエッジ部に押圧して、ウェハのエッジ部を研磨している状態を示す側面図である。
図4】第1の研磨テープと第2の研磨テープの配置を説明するための図である。
図5図5(a)乃至図5(c)は、本発明に係る研磨方法の一実施形態を示す図である。
図6】1つの研磨テープでウェハのエッジ部を研磨している様子を示す図である。
図7図7(a)乃至図7(c)は、本実施形態の研磨装置によって研磨された基板を用いてSOI基板を製造する工程を説明する図である。
図8図8(a)および図8(b)は、ウェハの周縁部を示す拡大断面図である。
図9】ウェハのエッジ部に形成された垂直面および水平面を示す図である。
図10図10(a)乃至図10(d)は、SOI(Silicon on Insulator)基板の製造工程を説明する図である。
図11図9に示すエッジ部の断面形状を形成することができる研磨装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る研磨方法の一実施形態を実施するための研磨装置の模式図であり、図2は、図1に示す研磨装置の平面図である。研磨装置は、基板の一例であるウェハWを保持して回転させる基板保持部1と、基板保持部1に保持されたウェハWのエッジ部を研磨する第1研磨ユニット2Aおよび第2研磨ユニット2Bと、ウェハWの中心部に研磨液(例えば純水)を供給する研磨液供給機構4とを備えている。
【0015】
2つの研磨ユニット2A,2Bの配置は、ウェハ保持部1に保持されたウェハWに関して対称である。第1研磨ユニット2Aは、第1の研磨具としての第1の研磨テープ3AをウェハWのエッジ部に摺接させることにより該エッジ部を研磨し、第2研磨ユニット2Bは、第2の研磨具としての第2の研磨テープ3BをウェハWのエッジ部に摺接させることにより該エッジ部を研磨する。第1の研磨テープ3Aは、第2の研磨テープ3Bよりも粗い研磨面を有している。ウェハWの研磨中は、研磨液供給機構4から研磨液がウェハWの中心部に供給される。使用される研磨液の例としては、純水が挙げられる。第1の研磨具および/または第2の研磨具として、研磨テープに代えて砥石を用いてもよい。
【0016】
第1研磨ユニット2Aと第2研磨ユニット2Bとは同一構成を有しているので、以下、第1研磨ユニット2Aについて説明する。第1研磨ユニット2Aは、第1の研磨テープ3Aを支持する研磨テープ支持機構(研磨具支持機構)5と、第1の研磨テープ3AをウェハWのエッジ部に上から押し付ける押圧パッド7と、押圧パッド7をウェハ表面に対して垂直な方向に移動させる垂直移動機構9と、押圧パッド7および垂直移動機構9をウェハWの半径方向に移動させる押圧パッド移動機構(押圧部材移動機構)10と、第1の研磨テープ3Aおよび研磨テープ支持機構5をウェハWの半径方向に移動させるテープ移動機構(研磨具移動機構)11とを備えている。
【0017】
押圧パッド移動機構10およびテープ移動機構11は、互いに独立に動作可能となっている。したがって、ウェハWの半径方向における押圧パッド7と第1の研磨テープ3Aとの相対位置は、押圧パッド移動機構10およびテープ移動機構11によって調整することができる。垂直移動機構9、押圧パッド移動機構10、およびテープ移動機構11としては、エアシリンダの組み合わせ、またはサーボモータとボールねじとの組み合せなどを使用することができる。
【0018】
研磨テープ支持機構5は、第1の研磨テープ3Aを押圧パッド7に繰り出す繰り出しリール12と、第1の研磨テープ3Aを巻き取る巻取りリール14とを備えている。第1の研磨テープ3Aは、繰り出しリール12から押圧パッド7を経由して巻取りリール14まで延びている。第1の研磨テープ3Aは、その研磨面がウェハWの表面と平行に、かつ研磨面がウェハWのエッジ部に対向するように研磨テープ支持機構5によって支持されている。
【0019】
第1の研磨テープ3Aの片面(下面)は、砥粒が固定された研磨面を構成している。第1の研磨テープ3Aは長尺の研磨具であり、ウェハWの接線方向に沿って配置されている。押圧パッド7は、第1の研磨テープ3AをウェハWのエッジ部に押し付けるための押圧部材であり、ウェハWのエッジ部の上方に配置されている。第1の研磨テープ3Aは、押圧パッド7とウェハWのエッジ部との間に配置されている。押圧パッド7の底面には、第1の研磨テープ3Aの外側への移動を制限するテープストッパー17が固定されている。このテープストッパー17は省略してもよい。
【0020】
図3は、第1の研磨テープ3Aを押圧パッド7によりウェハWのエッジ部に押圧して、ウェハWのエッジ部を研磨している状態を示す図である。第1研磨ユニット2Aは、第1の研磨テープ3Aを用いてウェハWのエッジ部を研磨する。同様に第2研磨ユニット2Bは、第1の研磨テープ3Aとは異なる第2の研磨テープ3Bを用いてウェハWのエッジ部を研磨する。第1の研磨テープ3Aは、第2の研磨テープ3Bよりも粗い研磨面を有している。例えば、第1の研磨テープ3Aは粗研磨用の粗い研磨面を有する研磨テープであり、第2の研磨テープ3Bは、仕上げ研磨用の細かい研磨面を有する研磨テープである。
【0021】
図4に示すように、第2の研磨テープ3Bおよび第2研磨ユニット2Bの押圧パッド7は、ウェハWの半径方向において第1の研磨テープ3Aおよび第1研磨ユニット2Aの押圧パッド7よりも内側に配置されている。すなわち、図4に示すように、第1の研磨テープ3Aの内側縁部とウェハWの最外周端との距離L1は、第2の研磨テープ3Bの内側縁部とウェハWの最外周端との距離L2よりも短い。したがって、第2の研磨テープ3Bは、第1の研磨テープ3Aの半径方向内側にあるエッジ部の箇所を研磨する。
【0022】
図5(a)乃至図5(c)は、本発明に係る研磨方法の一実施形態を示す図である。ウェハWはその軸心まわりに基板保持部1(図1および図2参照)によって回転される。この状態で、図5(a)に示すように、第1の研磨テープ3AがまずウェハWのエッジ部に接触し、エッジ部の研磨を開始する。このとき、第2の研磨テープ3BはウェハWから離れている。第1の研磨テープ3AがウェハWのエッジ部に接触した時点(すなわち、第1の研磨テープ3Aがエッジ部の研磨を開始した時点)から所定の時間が経過した後、図5(b)に示すように、第2の研磨テープ3BがウェハWのエッジ部に接触し、エッジ部の研磨を開始する。さらに、図5(c)に示すように、研磨ユニット2A,2Bの押圧パッド7,7を押し下げることにより、第1の研磨テープ3Aおよび第2の研磨テープ3BによってウェハWのエッジ部に垂直面および水平面を形成する。図5(a)乃至図5(c)には図示しないが、ウェハWのエッジ部の研磨中は、研磨液供給機構4から研磨液がウェハWの上面に供給される。
【0023】
押圧パッド7のウェハ押圧面(基板押圧面)はウェハ表面と平行な水平面である。研磨ユニット2A,2Bは、この水平な押圧面で研磨テープ3A,3BをウェハWのエッジ部に押し付けることにより、それぞれ別々にウェハWのエッジ部に垂直面および水平面を形成する。ウェハWに接触している研磨テープ3A,3Bの研磨面は、ウェハWの表面と平行である。
【0024】
図5(c)から分かるように、第1の研磨テープ3Aが先にエッジ部の外側領域を研磨し、続いて第2の研磨テープ3Bがエッジ部の内側領域を研磨する。エッジ部に接触しているときの第1の研磨テープ3Aの接触幅P1は、エッジ部に接触しているときの第2の研磨テープ3Bの接触幅P2以上であることが好ましい。これは、第2の研磨テープ3Bとエッジ部との接触面積を小さくして、第2の研磨テープ3Bのエッジ部に対する研磨圧力を上げるためである。ここで、上記接触幅は、ウェハWの半径方向における研磨テープ3A,3Bの接触幅である。
【0025】
研磨中、常に第1の研磨テープ3Aが第2の研磨テープ3Bよりも先行してエッジ部を研磨するように、第1の研磨テープ3Aにより研磨されるエッジ部の除去レートは、第2の研磨テープ3Bにより研磨されるエッジ部の除去レートよりも高いことが好ましい。
【0026】
図6は、1つの研磨テープ20を用いてウェハWのエッジ部を研磨する様子を示す図である。図6図5(c)との対比から分かるように、第1の研磨テープ3AとウェハWとの接触面積、および第2の研磨テープ3BとウェハWとの接触面積は、図6の研磨テープ20とウェハWとの接触面積よりも小さい。このことは、第1の研磨テープ3Aおよび第2の研磨テープ3BのウェハWに対する圧力が、図6に示す研磨テープ20のウェハWに対する圧力よりも高いことを意味する。したがって、第1の研磨テープ3Aおよび第2の研磨テープ3Bは、いずれもウェハWのエッジ部を高い研磨レートで研磨することができる。
【0027】
SOI(Silicon on Insulator)基板の製造工程では、第1の研磨テープ3Aによって形成された水平面および垂直面はグラインダーにより除去される。すなわち、図7(a)乃至図7(d)に示すように、本実施形態の研磨装置によって研磨されたデバイス基板W1をシリコン基板W2に貼り合わせ、デバイス基板W1をその裏面からグラインダーで研削することで、図7(c)に示すようなSOI基板を得る。デバイス基板W1には、細かい研磨面を有する第2の研磨テープ3Bによって形成された滑らかな垂直面のみが残る。
【0028】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0029】
1 基板保持部
2A,2B 研磨ユニット
3A,3B 研磨テープ
4 研磨液供給機構
5 研磨テープ支持機構(研磨具支持機構)
7 押圧パッド(押圧部材)
9 垂直移動機構
10 押圧パッド移動機構(押圧部材移動機構)
11 テープ移動機構(研磨具移動機構)
12 繰り出しリール
14 巻取りリール
17 テープストッパー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11