(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100691
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】高純度アルミニウムコーティングの硬質陽極酸化処理
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20170313BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20170313BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/205
H05H1/46 A
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-536634(P2013-536634)
(86)(22)【出願日】2011年9月30日
(65)【公表番号】特表2013-542612(P2013-542612A)
(43)【公表日】2013年11月21日
(86)【国際出願番号】US2011054225
(87)【国際公開番号】WO2012057963
(87)【国際公開日】20120503
【審査請求日】2014年9月30日
(31)【優先権主張番号】61/407,901
(32)【優先日】2010年10月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】オウイェ アラン ヒロシ
(72)【発明者】
【氏名】コク レネー マルガリテ
【審査官】
溝本 安展
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−319573(JP,A)
【文献】
特表2010−522989(JP,A)
【文献】
特開2000−178790(JP,A)
【文献】
特開平09−217197(JP,A)
【文献】
特開2008−141181(JP,A)
【文献】
特開2008−303442(JP,A)
【文献】
特開平07−086185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/205
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム本体であって、前記本体の外面上に研磨されたアルミニウムコーティングを配置したアルミニウム本体と、
前記アルミニウムコーティング上に配置された硬質陽極酸化コーティングを含み、研磨されたアルミニウムコーティングは、0.2032μmRa又はより平滑な仕上げ面に研磨されている、プラズマ処理装置内で使用するためのチャンバコンポーネント。
【請求項2】
研磨されたアルミニウムコーティングは、高純度アルミニウムの層を含む請求項1記載のチャンバコンポーネント。
【請求項3】
基板を支持するように適合された基板台座部を有するプラズマ処理チャンバ内で使用するための装置であって、
貫通して形成され、プラズマの荷電種及び中性種の空間分布を制御するように構成された複数の開口部を有するプレートであって、前記プレートは、前記プレートの外面上に配置されたアルミニウムの研磨層と、前記アルミニウム層上に配置された硬質陽極酸化コーティングを有し、前記アルミニウム層は、0.2032μmRa又はより平滑な仕上げ面に研磨されているプレートを含む装置。
【請求項4】
台座部の上方でプレートを支持する複数の支持脚部を含む請求項3記載の装置。
【請求項5】
アルミニウムの研磨層は、高純度アルミニウムの層を含む請求項3記載の装置。
【請求項6】
プラズマ処理環境内で使用するためのチャンバコンポーネントの製造方法であって、
アルミニウムからチャンバコンポーネントの本体を形成する工程と、
本体の表面を研磨する工程と、
本体上にアルミニウムの層を堆積させる工程と、
アルミニウム層の表面を研磨する工程であって、アルミニウム層の表面を研磨する工程は、0.2032μmRa又はより平滑な仕上げ面にアルミニウム層の表面を研磨する工程を含む工程と、
アルミニウム層を硬質陽極酸化処理する工程を含む方法。
【請求項7】
アルミニウム層の表面を研磨する工程は、アルミニウム層の表面を非機械的に研磨する工程を含む請求項6記載の方法。
【請求項8】
アルミニウムの層を堆積させる工程は、電着又はイオン蒸着(IVD)法の少なくとも1つを用いてアルミニウムの層を堆積させる工程を含む請求項6記載の方法。
【請求項9】
非堆積材料によって硬質陽極酸化層を機械的にクリーニングする工程を含む請求項6記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
(分野)
本開示は、概して、プラズマ処理チャンバ装置内で使用するためのツール及びコンポーネントに関する。より具体的には、本開示は、腐食性のプラズマ環境に対して耐性のあるプラズマ処理チャンバコンポーネントの製造方法に関する。
【0002】
(従来技術の説明)
半導体処理には、多くの異なる化学的及び物理的プロセスが含まれ、これによって微細な集積回路が基板上に作られる。集積回路を構成する材料の層は、化学蒸着、物理蒸着、エピタキシャル成長等によって作られる。材料の層のいくつかは、フォトレジストマスク及びウェット又はドライエッチング技術を用いてパターニングされる。集積回路を形成するために利用される基板は、シリコン、ガリウムヒ素、リン化インジウム、ガラス、又は他の適切な材料が可能である。
【0003】
典型的な半導体処理チャンバは、処理ゾーンを画定するチャンバ本体と、ガス供給源から処理ゾーン内にガスを供給するように適合されたガス分配アセンブリと、ガス励起装置(例えば、基板支持アセンブリ上に配置された基板を処理するための処理ガスを励起するために利用されるプラズマ発生装置)と、ガス排気装置を含む。プラズマ処理中に、励起ガスは、しばしば、処理チャンバコンポーネント(例えば、処理中に基板を保持する静電チャック)の露出部分をエッチングし、侵食するイオン及び反応性の高い種から構成される。また、処理の副生成物が、しばしばチャンバコンポーネント上に堆積し、反応性の高いフッ素によって定期的にクリーニングしなければならない。チャンバ本体内から処理副生成物を除去するために使用されるインサイチュー(in−situ)クリーニングの手順は、処理チャンバコンポーネントの品質を悪化させる可能性がある。処理中及びクリーニング中における反応種からの攻撃は、チャンバコンポーネントの寿命を減らし、サービス(修理)の頻度を増やす。また、チャンバコンポーネントの侵食された部分からの薄片は、基板処理中の粒子汚染の源となる可能性がある。このように、チャンバコンポーネントは、多くの処理サイクルの後に、そして基板処理中に一貫性のない又は望ましくない特性を提供する前に交換しなければならない。従って、チャンバコンポーネントの耐プラズマ性を促進させることが、処理チャンバの寿命を増加させ、チャンバのダウンタイムを削減し、メンテナンス頻度を低減し、基板の歩留まりを改善するために望ましい。
【0004】
従来、処理チャンバ表面は、腐食性の処理環境からの保護の程度を提供するために陽極酸化(アルマイト)処理される場合がある。あるいはまた、誘電体及び/又はセラミックス層(例えば、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化ケイ素(SiO
2)、又は炭化ケイ素(SiC)等)が、コンポーネントの表面上にコーティング及び/又は形成され、これによってチャンバコンポーネントの表面保護を促進することができる。保護層をコーティングするために利用されるいくつかの従来の方法は、物理蒸着(PVD)法、化学蒸着(CVD)法、スパッタリング法、プラズマ溶射法、エアロゾルデポジション(AD)法等を含む。従来のコーティング技術は、典型的には、コンポーネントの表面上に所望量の材料をスパッタリング、堆積、又は放出するのに十分な熱エネルギーを提供するために、実質的に高い温度を使用する。しかしながら、高温処理は、表面性状を悪化させるか、又はコーティング面の微細構造を悪化させ、これによって昇温に起因する均一性の悪い及び/又は表面クラックを有するコーティング層をもたらす可能性がある。更に、コーティング層又は下地面がマイクロクラックを有する場合や、コーティングが均一に施されていない場合は、コンポーネント表面は、時間の経過とともに悪化し、最終的に下地のコンポーネント表面を腐食性のプラズマの攻撃に曝露させる可能性がある。
【0005】
従って、処理チャンバの環境に対してより耐性をもつチャンバコンポーネントを形成するための改良された方法が必要とされている。
【0006】
本開示の実施形態は、プラズマ処理チャンバ装置内で使用するためのチャンバコンポーネントを提供する。本開示の一実施形態によれば、アルミニウム本体であって、前記本体の外面上に研磨されたアルミニウムコーティングを配置したアルミニウム本体と、前記アルミニウムコーティング上に配置された硬質陽極酸化コーティングを含み、研磨されたアルミニウムコーティングは、8Ra又はより滑らかな仕上げ面に研磨されているチャンバコンポーネントが提供される。
【0007】
本開示の別の一実施形態では、基板を支持するように適合された基板台座部を有する、プラズマ処理チャンバ内で使用するための装置が提供される。装置は、概して、貫通して形成され、プラズマの荷電種及び中性種の空間分布を制御するように構成された複数の開口部を有するプレートであって、前記プレートは、前記プレートの外面上に配置されたアルミニウムの研磨層と、前記アルミニウム層上に配置された硬質陽極酸化コーティングを有し、前記アルミニウム層は、8Ra又はより滑らかな仕上げ面に研磨されているプレートを含む。
【0008】
本開示の一実施形態では、プラズマ処理チャンバコンポーネントの製造方法は、アルミニウムからチャンバコンポーネントの本体を形成する工程と、本体の表面を研磨する工程と、本体上にアルミニウムの層を堆積させる工程と、アルミニウム層の表面を研磨する工程と、アルミニウム層を硬質陽極酸化処理する工程を含む。
【0009】
以下の図面に図示される以下の詳細な説明を読んだ後で、当業者は本開示の更なる実施形態を当然理解するだろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の開示内容は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を考慮することによって容易に理解することができる。
【
図1】本開示の一実施形態に係るコーティングを有するチャンバコンポーネントの断面図を示す。
【
図2】
図1のチャンバコンポーネントの製造方法の一実施形態のフロー図を示す。
【
図3】
図1のチャンバコンポーネント、具体的には、プラズマスクリーンの代替実施形態の斜視図を示す。
【
図4】
図1のチャンバコンポーネントを用いた処理チャンバを示す。
【0011】
理解を促進するために、図面に共通する同一の要素を示す際には可能な限り同一の参照番号を使用している。一実施形態内で開示される要素を特別な説明なしに他の実施形態に有益に組み込んでもよいと理解される。
【0012】
図1は、処理チャンバ内で使用することができるプラズマ処理チャンバコンポーネント100の一実施形態の断面図である。チャンバコンポーネント100は、説明のために断面が矩形を有するように
図1に示されているが、チャンバコンポーネント100は、任意のチャンバ部分の形態をとることができ、チャンバ本体プラズマドア、カソードライナ、チャンバ蓋ガスリング、スロットルゲートバルブスプール、プラズマスクリーン、台座、基板支持アセンブリ、シャワーヘッド、ガスノズル等を含むが、これらに限定されない。チャンバコンポーネント100は、使用時に処理チャンバ内でプラズマ環境に曝露される少なくとも1つの露出面114を有する。チャンバコンポーネント100は、高純度アルミニウムのコンフォーマルアルミニウムコーティング106及びアルミニウムコーティング106の外面112上に配置された硬質陽極酸化コーティング104を有する本体102を含む。本体102は、本体102へのアルミニウムコーティング106の密着性を向上させる、本体102の外面110上に配置された(参照番号108として極細線で示される)接着層を、オプションとして含むことができる。
【0013】
アルミニウムコーティング106は、滑らかで亀裂のない外面112を作り出すと同時に、アルミニウム本体102の外面110に沿って欠陥を塞ぎ、埋める。硬質陽極酸化コーティング104が形成された外面112は実質的に欠陥が無いので、亀裂が形成され硬質陽極酸化コーティング104を通って伝播する開始部位は存在せず、比較的滑らかで欠陥の無い外面114をもたらす。アルミニウムコーティング106は、概して柔らかく、延性があり、高純度のアルミニウム材でできている。アルミニウムコーティング106は、概して金属間化合物が無く、加工による表面欠陥が無く(すなわち、それは加工されておらず)、残留応力が無い。アルミニウムコーティング106は、非機械的研磨(例えば、化学研磨等)を使用して研磨され、これによってアルミニウムコーティング106の外面112の表面純度を陽極酸化処理のために向上させる。一実施形態では、外面112は、16RMS又はより平滑(例えば、8RMS以下)に研磨される。表面の不純物を除去し、均一な表面を確立するために研磨することによって、上層の硬質陽極酸化コーティング104の亀裂耐性が高まる。一般的に、アルミニウムコーティング106は、下地の本体102が、硬質陽極酸化処理によって影響されないような厚さを有する。一実施形態では、アルミニウムコーティング106は、少なくとも0.002インチ(例えば、0.003インチ)の厚さを有することができる。
【0014】
オプションとして、外面110上に配置された接着層108は、チャンバコンポーネント100へのアルミニウムコーティング106の密着性を向上させることができる。接着層108は更に、不純物が本体102からアルミニウムコーティング106内へと移動することに対する、本体102とアルミニウムコーティング106の間のバリア層として作用することができる。一実施形態では、接着層108は、薄いニッケルフラッシュ層である。
【0015】
陽極酸化コーティング104は、アルミニウムコーティング106及び本体102を覆い、カプセル化し、処理チャンバのプラズマ環境に曝露される表面114を形成する。陽極酸化コーティング104は、一般的に処理容積内で見出される腐食性要素に抵抗し、チャンバコンポーネントを品質低下及び摩耗から保護する。特定の一実施形態では、陽極酸化コーティング104は、0.002インチ±0.0005インチの厚さを有する。別の一実施例では、陽極酸化コーティング104は、約0.0015インチ±0.0002インチの厚さを有する。
【0016】
図2は、
図1に示されるチャンバコンポーネントを製造するために使用可能な方法200の一実施形態のフロー図を示す。上述したように、方法200は、特に、基板支持アセンブリ、シャワーヘッド、ノズル、プラズマスクリーンを含む任意の適切なチャンバコンポーネントに対して容易に適合させることができる。
【0017】
方法200は、アルミニウムから本体102を形成することによって、ブロック202で始まる。一実施形態では、本体102は、ベースアルミニウム(例えば、6061−T6アルミニウム)で作られる。本明細書内に記載される方法200を用いて製造されない従来のアルミニウムコンポーネントは、コンポーネントがプラズマ環境に曝露された後に、チャンバコンポーネント100の表面上の亀裂やひび割れの形成につながる可能性のある信頼性の低い品質と不整合な表面構造を有する。このように、更なる処理は、以下で詳細に説明するように、堅牢で耐プラズマ性のあるコンポーネントを作るのに望ましい。
【0018】
ブロック204では、本体102の外面110が研磨され、これによって従来陽極酸化コーティングでの割れにつながっていた表面欠陥を低減する。なお、当業者は、本体102上の表面の亀裂やひび割れがより少ないことは、パーティクルの削減及び膜寿命の目的においてより重要であると見なすであろうことに留意されたい。外面110は、例えば、ANSI/ASME B46.1によって記載されるような、任意の適切な電解研磨又は機械的研磨方法又はプロセスを用いて研磨してもよい。一実施形態では、外面110は、8μin Ra又はより平滑な仕上げ面に研磨することができる。
【0019】
ブロック206では、アルミコーティング106が、本体102の外面110上に堆積される。アルミニウムコーティング106は、種々の方法により製造することができる。一実施形態では、本体102の外面110上に高純度アルミニウム金属の層を電着することができる。別の一実施形態では、本体102の外面110上にアルミニウムコーティング106を堆積させるために、イオン蒸着(IVD)プロセスを使用することができる。
【0020】
ブロック208では、外面112から表面の不純物を除去するために、アルミニウムコーティング106の外面112が研磨される。一実施形態では、表面上に見られる不純物を除去するために、非機械的研磨(例えば、化学研磨又は電解研磨)を使用して外面112を研磨してもよい。例えば、外面112は、8μin(0.2032μm)Ra又はより平滑な仕上げ面に研磨することができる。この仕上げ工程は、有利なことに、チャンバコンポーネント100が硬質陽極酸化処理された後に形成される亀裂やひび割れの可能性を低減する。
【0021】
ブロック210では、アルミニウムコーティング106の外面112が硬質陽極酸化処理され、これによってプラズマ処理チャンバ内の腐食性のプロセス環境からチャンバコンポーネントの下地金属を保護する陽極酸化コーティング104を形成する。アルミニウムコーティング106は、処理環境から適切に保護するのに十分な厚さを有するが、表面の亀裂やひび割れを悪化させるほど厚くはない陽極酸化コーティング104を形成するように陽極酸化処理を施すことができる。特定の一実施例では、陽極酸化コーティングは、0.002インチ±0.0005インチの厚さを有する。別の一実施例では、陽極酸化コーティング104は、約0.0015インチの厚さを有する。
【0022】
オプションで、ブロック212において、チャンバコンポーネント100は、陽極酸化コーティング104の露出面114上での強い汚れや遊離した粒子を除去するためにクリーニングすることができる。一実施形態では、チャンバコンポーネント100は、非堆積材料(スコッチブライト等)で機械的にクリーニングして、これによって通常のポストクリーニングプロセスによってではなく、処理チャンバの動作中に放出される可能性のある大きな粒子又は軽く付着した物質を除去することができる。別の一実施形態では、チャンバコンポーネント100は、チャンバコンポーネント100の表面上の小さな残留物質を除去するのに十分な24時間クリーニング処理を用いてクリーニングすることができる。
【0023】
高純度アルミニウムコーティングを硬質陽極酸化処理する方法200は、チャンバコンポーネントの露出面内に亀裂やひび割れが形成されるのを防止する硬質陽極酸化の整合性を大幅に向上させる。硬質陽極酸化に対する塩酸テストは、8時間の曝露でベースのアルミニウムに浸透することが無ければ良いと考えられている。上記のような硬質陽極酸化を有する方法200によって生成されたチャンバコンポーネントは、有利なことに、ベースのアルミニウム内へ浸透する前にかなり長い曝露を維持することができ、物理的な粒子をほとんどあるいは全く生成しない。また、高純度アルミニウムコーティング106によって、金属間化合物、表面欠陥、及び内部構造に関して、ベースのアルミニウム材料の特性は、それほど大きな問題とはならない。このように、硬質陽極酸化コーティング104の下のアルミニウムコーティング106によって、真空環境内で使用されるチャンバコンポーネントの製造時に、本体102用に多孔質材料(例えば、鋳造アルミニウム)を利用することができ、これによってこれらの要因が仕様を満たす上であまり重要ではなくなるため、製造歩留まりの増加が可能となる。
【0024】
図3は、方法200を使用して製造することができるプラズマスクリーン300として示されている例示的なチャンバコンポーネントの一実施形態を示している。プラズマスクリーン300は、処理チャンバ内に配置された基板の表面全域に亘ってイオン及びラジカルを分配するために処理チャンバ内で使用される。
図3に示されるように、プラズマスクリーン300は、概して複数の開口部314が貫通して形成されたプレート312を含む。別の一実施形態では、プレート312は、スクリーン又はメッシュの開口領域が、開口部314によって提供される所望の開口領域に対応するスクリーン又はメッシュであることが可能である。あるいはまた、プレートと、スクリーン又はメッシュとの組み合わせも利用可能である。
【0025】
図3Aは、プラズマスクリーン300の断面図を示す。図示の実施形態では、プレート312は、チャンバコンポーネント100を参照して上述したように、本体302の表面上に配置されたアルミニウムコーティング306及び陽極酸化コーティング304を有する本体302でできている。一実施形態では、本体302は、アルミニウム(例えば、6061−T6アルミニウム)又は任意の他の適切な材料で作ることができる。上述のように、アルミニウムコーティング306は、電着及びIVDを含む様々な方法を用いて、本体302の外面上に堆積された高純度アルミニウムの層であることができる。一実施形態では、陽極酸化コーティング304は、プラズマ処理中にプラズマスクリーン300で発生したイオンから本体302を保護する硬質陽極酸化層を含むことができる。なお、プラズマスクリーン300の製造中に、開口部314及び(後述する)穴316は、開口部の整合性を維持するために、陽極酸化処理の前にマスクされてもよいことに留意されたい。
【0026】
図3に戻って、複数の開口部314は、プレート312の表面全域に亘って、大きさ、間隔、及び幾何学的配置が異なっていてもよい。開口部314の大きさは、一般的に0.03インチ(0.07cm)〜約3インチ(7.62cm)の範囲にある。開口部314は、正方格子状に配置してもよい。開口部314は、プレート312の表面内で、約2%〜約90%の開口領域を画定するように配置することができる。一実施形態では、1以上の開口部314は、約30%の開口領域を画定する正方格子状に配置された約1/2インチ(1.25cm)の直径の複数の穴を含む。他の大きさの穴又は様々な大きさの穴を利用して、他の幾何学的な又はランダムなパターンで穴を配置可能であることが理解される。穴の大きさ、形状、及びパターンは、処理チャンバ内で処理容積内の所望のイオン密度に応じて変化させることができる。例えば、容積内でのラジカル対イオンの密度比を増加させるためには、より多くの小径穴を使用することができる。他の状況において、容積内でのイオン対ラジカルの密度比を増加させるためには、多数のより大きな穴に、小さな穴をちりばめることができる。あるいはまた、容積内のイオン分布に合わせるように、プレート312の特定領域内に、より大きな穴を配置することができる。
【0027】
プラズマ処理チャンバ内に支持される基板に対して、プレート312を離間した関係に維持するために、プレート312は、プレート312から延びる複数の脚部310によって支持される。簡潔にするために、
図3Aには1つの脚部310が示されている。脚部310は、一般的にプレート312の外周の周りに配置され、上述したようにプレート312と同じ材料及びプロセスを用いて製造することができる。一実施形態では、プラズマスクリーン300の安定した支持を提供するために、3つの脚部310を利用することができる。脚部310は、一般的に基板又は基板支持台座部に対して実質的に平行な向きにプレートを維持する。しかしながら、様々な長さの脚部を有することによって、斜めの向きを使用できることが理解される。
【0028】
脚部310の上端は、プレート312の下面側から3ヶ所に延びるボス318内に形成された対応する止まり穴316内に圧入又はねじ込み可能である。あるいはまた、脚部310の上端は、プレート312内に又はプレート312の下面に固定されたブラケット内にねじ込み可能である。処理条件と不整合の生じない他の従来の締結方法もまた、プレート312に脚部310を固定するために使用することができる。脚部310は、台座部、アダプタ、又は基板支持体を取り囲むエッジリング上にあってもよいことが理解される。あるいはまた、脚部310は、台座部、アダプタ、又はエッジリング内に形成された受け入れ穴内に延びることができる。例えば、ねじ止め、ボルト締め、接着等による他の締結方法もまた、台座部、アダプタ、又はエッジリングにプラズマスクリーン300を固定するために考えられる。プラズマスクリーン300は、エッジリングに固定されたときに、使用、メンテナンス、交換等が楽な、容易に交換可能なプロセスキットの一部であることができる。
【0029】
図4は、プラズマ処理システム400を概略的に示している。一実施形態では、プラズマ処理システム400は、処理容積441を画定するチャンバ本体425を含む。チャンバ本体425は、密封可能なスリットバルブトンネル424を含み、これによって処理容積441から基板401の出し入れを可能にする。チャンバ本体425は、側壁426及び蓋443を含む。側壁426及び蓋443は、上述した方法200を用いて、多孔質アルミニウムを含む、アルミニウムから作ることができる。プラズマ処理システム400は、チャンバ本体425の蓋443の上に配置されたアンテナアセンブリ470を更に含む。プラズマ発生のためのエネルギーを供給するために、電源415と整合ネットワーク417がアンテナアセンブリ470に結合される。一実施形態では、アンテナアセンブリ470は、プラズマ処理システム400の対称軸473と同軸に配置された1以上のソレノイドインターリーブコイルアンテナを含むことができる。
図4に示されるように、プラズマ処理システム400は、蓋443の上に配置された外側コイルアンテナ471及び内側コイルアンテナ472を含む。一実施形態では、コイルアンテナ471、472は独立して制御することができる。なお、プラズマ処理システム400内には2つの同軸アンテナが記載されているが、他の構成(例えば、1つのコイルアンテナ、3つ以上のコイルアンテナの構成)を用いてもよいことに留意すべきである。
【0030】
一実施形態では、内側コイルアンテナ472は、小さなピッチで螺旋状に巻かれ、内側アンテナ容積474を形成する1以上の導電体を含む。電流が1以上の導電体を通過すると、内側コイルアンテナ472の内側アンテナ容積474内に磁場が確立する。後述するように、本開示の実施形態は、内側コイルアンテナ472の内側アンテナ容積474内にチャンバ拡張容積を提供し、これによって内側アンテナ容積474内の磁場を用いてプラズマを生成する。
【0031】
なお、内側コイルアンテナ472及び外側コイルアンテナ471は、用途に応じて(例えば、チャンバ壁の特定の形状と一致するように、又は処理チャンバ内で対称性又は非対称性を達成するように)他の形状を有してもよいことに留意すべきである。一実施形態では、内側コイルアンテナ472及び外側コイルアンテナ471は、直方体形状に内側アンテナ容積を形成することができる。
【0032】
プラズマ処理システム400は、処理容積441内に配置された基板支持体440を更に含む。基板支持体440は、処理中に基板401を支持する。一実施形態では、基板支持体440は、静電チャックである。バイアス電源420と整合ネットワーク421は、基板支持体440に接続することができる。バイアス電源420は、処理容積441内で生成されたプラズマにバイアス電位を供給する。
【0033】
図示の実施形態では、基板支持体440は、リング状のカソードライナ456によって囲まれている。プラズマ閉じ込めスクリーン又はバッフル452は、カソードライナ456の上部を覆い、基板支持体440の周辺部を覆う。上述したように、バッフル452及びカソードライナ456は、その耐用年数を向上させるためにアルミニウムコーティング及び陽極酸化コーティングを有することができる。基板支持体440は、腐食性のプラズマ処理環境には適合しない又は影響を受けやすい材料を含むことができ、カソードライナ456及びバッフル452はそれぞれ、プラズマから基板支持体440を分離し、処理容積441内にプラズマを封じ込める。一実施形態では、カソードライナ456及びバッフル452は、処理容積441内に含まれるプラズマに対して耐性のある硬質陽極酸化層で覆われた高純度アルミニウムコーティングを含むことができる。
【0034】
プラズマスクリーン450は、基板支持体440の上部の上に配置されており、これによって基板401の表面全域に亘ってプラズマの荷電種及び中性種の空間分布を制御する。一実施形態では、プラズマスクリーン450は、チャンバ壁から電気的に絶縁された実質的に平坦な部材を含み、平坦な部材を通って垂直方向に延びる複数の開口部を含む。一実施形態では、
図3及び3Aに関連して上述したように、プラズマスクリーン450は、プラズマスクリーン300である。プラズマスクリーン450は、高純度アルミニウムコーティングと、処理容積441内の処理環境に耐性をもつ上述したような硬質陽極酸化コーティングを含むことができる。
【0035】
一実施形態では、蓋443は、1以上の処理ガスの侵入を可能にする開口部444を有する。一実施形態では、開口部444は、プラズマ処理システム400の中心軸の近傍に配置することができ、処理される基板401の中央部に一致する。
【0036】
一実施形態では、プラズマ処理システム400は、開口部444を覆う蓋443上に配置されたチャンバ拡張部451を含む。一実施形態では、チャンバ拡張部451は、アンテナアセンブリ470のコイルアンテナの内側に配置される。チャンバ拡張部451は、開口部444を介して処理容積441と流体連通している拡張容積442を画定する。
【0037】
一実施形態では、プラズマ処理システム400は、処理容積441及び拡張容積442内で開口部444を通って配置されたバッフルノズルアセンブリ455を含む。バッフルノズルアセンブリ455は、拡張容積442を介して処理容積441内へと1以上の処理ガスを導く。一実施形態では、バッフルノズルアセンブリ455は、処理ガスが拡張容積442を通過することなく処理容積441に入ることを可能にするバイパス経路を有する。バッフルノズルアセンブリ455は、上述の方法200を用いてアルミニウムから製造することができる。
【0038】
拡張容積442は内側アンテナ容積474内にあるので、拡張容積442内の処理ガスは、処理容積441に入る前に、内側コイルアンテナ472の磁場に曝露される。拡張容積442の使用は、内側コイルアンテナ472又は外側コイルアンテナ471に印加される電力の増加なしに処理容積441内のプラズマ強度を増加させる。
【0039】
プラズマ処理システム400は、真空を提供し、処理容積441を排気するためのポンプ430及びスロットルバルブ435を含む。スロットルバルブ435は、ゲートバルブスプール454を含むことができる。ゲートバルブスプール454は、上述の方法200を用いてアルミニウムから製造することができる。プラズマ処理システム400は、プラズマ処理システム400の温度を制御する冷却装置445を更に含むことができる。スロットルバルブ435は、ポンプ430とチャンバ本体425との間に配置可能であり、チャンバ本体425内の圧力を制御するように操作可能であってもよい。
【0040】
プラズマ処理システム400は、処理容積441に1以上の処理ガスを供給するガス送出システム402も含む。一実施形態では、ガス送出システム402は、チャンバ本体425に直接隣接して(例えば、下に)配置されたハウジング405内に位置する。ガス送出システム402は、処理ガスをチャンバ本体425へ供給するために、1以上のガスパネル404内に位置する1以上のガス供給源をバッフルノズルアセンブリ455に選択的に結合する。一実施形態では、ガス送出システム402は、処理容積441にガスを供給するために、バッフルノズルアセンブリ455に接続される。一実施形態では、ハウジング405は、チャンバ本体425に近接して配置され、これによってガスを変更する際のガス遷移時間を短縮し、ガス使用量を最小限に抑え、ガスの無駄を最小限に抑える。
【0041】
プラズマ処理システム400は、チャンバ本体425内で基板401を支持する基板支持体440を昇降させるためのリフト427を更に含むことができる。
【0042】
アルミニウムであり、上述の方法200を使用して製造することができる下部ライナ422及び上部ライナ423によって、チャンバ本体425は保護される。
【0043】
ガス送出システム402は、更に後述するように、チャンバ本体425に少なくとも2つの異なるガス混合物を瞬間的な速度で供給するために使用することができる。オプションの一実施形態では、プラズマ処理システム400は、トレンチがチャンバ本体425内に形成されているときに、エッチングされたトレンチ及び堆積された膜厚の深さを測定するように動作可能なスペクトルモニタを含み、リアクタの状態を判断するために他のスペクトル機能を使用する能力も備えることができる。プラズマ処理システム400は、様々な基板サイズ(例えば、約300mmまでの基板直径)を収容することができる。
【0044】
上述した処理システム400内の様々なチャンバコンポーネントは、上述したアルミニウムコーティング及び硬質陽極酸化処理を用いて製造することができる。これらのチャンバコンポーネントは、プラズマ処理環境に頻繁に曝露される。例えば、アルミニウムコーティング及び陽極酸化コーティングは、チャンバ本体425、チャンバ本体上部ライナ423、チャンバ本体下部ライナ422、チャンバ本体プラズマドア424、カソードライナ456、チャンバ蓋ガスリング、スロットルゲートバルブスプール454、プラズマスクリーン450、バッフルノズルアセンブリ455、バッフル452、及び台座部又は基板支持体440に適用することができる。
【0045】
上記の例及び説明において、本開示の実施形態の構成及び趣旨が説明されている。開示内容を維持しながら、本装置の多数の修正及び変更がなされ得ることに、当業者は容易に気付くであろう。従って、上記の開示は、添付の特許請求の範囲の境界及び範囲によってのみ限定されると解釈されるべきである。