特許第6100766号(P6100766)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6100766透明化剤組成物、樹脂組成物および成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100766
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】透明化剤組成物、樹脂組成物および成形品
(51)【国際特許分類】
   C08K 5/523 20060101AFI20170313BHJP
   C08K 13/02 20060101ALI20170313BHJP
   C08K 5/098 20060101ALI20170313BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20170313BHJP
   C08J 5/00 20060101ALI20170313BHJP
   B65D 1/00 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   C08K5/523
   C08K13/02
   C08K5/098
   C08L23/00
   C08J5/00
   B65D1/00 110
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-514727(P2014-514727)
(86)(22)【出願日】2013年5月7日
(86)【国際出願番号】JP2013062859
(87)【国際公開番号】WO2013168717
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2015年12月9日
(31)【優先権主張番号】特願2012-109253(P2012-109253)
(32)【優先日】2012年5月11日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-109254(P2012-109254)
(32)【優先日】2012年5月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 卓也
(72)【発明者】
【氏名】酒井 敦史
(72)【発明者】
【氏名】丹治 直子
(72)【発明者】
【氏名】川本 尚史
【審査官】 藤本 保
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−526123(JP,A)
【文献】 特開2004−346122(JP,A)
【文献】 特開2006−225576(JP,A)
【文献】 特開平05−222078(JP,A)
【文献】 特開2011−021048(JP,A)
【文献】 特開平11−140247(JP,A)
【文献】 特開平09−077925(JP,A)
【文献】 特開2008−081172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00−13/08
B65D 1/00
C08L 1/00−101/14
C08J 5/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される透明化剤100質量部に対して、着色剤を1.3〜3.27質量部配合し、前記着色剤が青色顔料であることを特徴とする透明化剤組成物。
(式中、R〜Rは各々独立して、水素原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは1又は2を表し、nが1の場合、Mはアルカリ金属を表し、nが2の場合、MはAl(OH)を表す)
【請求項2】
さらに脂肪酸金属塩又は充填材を配合してなる請求項記載の透明化剤組成物。
【請求項3】
ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、請求項1または2記載の透明化剤組成物を0.04〜10質量部配合したことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項4】
ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、下記一般式(1)で表される透明化剤を0.04〜10質量部含有し、さらに着色剤を、該透明化剤100質量部に対して1.3〜3.27質量部含有し、前記着色剤が青色顔料であることを特徴とする樹脂組成物。
(式中、R〜Rは各々独立して、水素原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは1又は2を表し、nが1の場合、Mはアルカリ金属を表し、nが2の場合、MはAl(OH)を表す)
【請求項5】
請求項記載の樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明感が重視される成形品用途に有用な透明化剤組成物、樹脂組成物および成形品に関する。
また、本発明は透明感に優れた透明材料の製造方法および該製造方法により得られるプラスチックボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィンは成形性、剛性、衛生性や耐衝撃性に優れ、透明化剤の添加により、成形品の霞度が低減して透明性が向上することが知られており、食品容器、飲料容器、保護シート、ラップ等種々の用途に使用されている。
【0003】
一般に、消費者は多くの製品の用途において透明性が高い製品を好む傾向にある。消費者が容器の中身を見ることを望む貯蔵容器である場合、透明であればあるほど商品の訴求力が高まり、貯蔵容器市場において高価格を要求することが可能である。
【0004】
しかしながら、個々の成形品が無色透明であっても、例えばそこに水が充填されると、成形品の背景が歪んでしまい、透明感にかけるといった問題点があった。
【0005】
また、成形品に対して耐熱性、耐候性といった機能を付与するために、抗酸化剤、酸除去剤、スリップ剤、光沢剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン化合物といった添加剤を配合することが行われているが、これら添加剤の配合によって成形品が着色してしまう場合があり、改善を求められていた。
【0006】
例えば、特許文献1では、成形品の透明性を改善する目的で、100万部の透明化剤に対して、50〜10000部の水不溶性着色剤を添加した組成物を開示している。また、特許文献2では、ポリマー状核剤とプロピレンポリマー及び着色顔料を配合したポリマー組成物が開示されている。
【0007】
一方、ポリオレフィン等のポリマーは、その分子一つ一つがナノサイズの紐状の形態であることが知られている。アモルファスな状態ではポリマー分子は折れ曲がり方向性がないため光にとっても均一な媒体であるが、射出成形などで成形されるとポリマー分子が配向状態になる。配向状態では、配向方向に偏光した直線偏光に対する屈折率(n)と、配向方向に直交する方向に偏光した直線偏光に対する屈折率(n)が異なるため複屈折の現象が現れる。特に、飲料容器等のプラスチックボトルに水を充填した場合、この複屈折の現象が顕著になり、プラスチックボトルの透明感を損なう場合があった。
【0008】
また、商品の内容を視認できる材料が求められるプラスチックボトルの場合、個々のプラスチックボトルが透明なものであっても、店頭で陳列されてしまうと透明に見えなくなってしまう問題があった。
【0009】
オレフィン成形品の透明性を改善させる方法としては、種々の方法が検討されており、例えば、特許文献1、2には、結晶核剤を100ppm以下の配合量で、複屈折率(Δn)が0.4×10−3〜2.5×10−3である表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特表2009−526123号公報
【特許文献2】特表2001−522918号公報
【特許文献3】特開2010−184990号公報
【特許文献4】特開2011−74202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1においては、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の添加剤を配合して成形した場合、成形品に着色が発生し外観を損なう問題があった。また、特許文献2のポリマー組成物をボトル容器に成形した場合の透明感は満足できるものではなく更なる改善が求められていた。
【0012】
さらに、特許文献3、4は、結晶核剤の配合量が充分なものではなく、プラスチックボトルのように厚みを有する成形品では透明な材料を得るのは困難なものであった。
【0013】
したがって、本発明の目的は上記従来技術の問題点を解消し、初期着色性が抑制され、透明感に優れた成形品が得られる透明化剤組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、透明感に優れた透明材料の製造方法および該製造方法より得られるプラスチックボトルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者等は、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、特定の透明化剤と着色剤を配合することにより上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
即ち、本発明の透明化剤組成物は、下記一般式(1)、
(式中、R〜Rは各々独立して、水素原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは1又は2を表し、nが1の場合、Mはアルカリ金属を表し、nが2の場合、MはAl(OH)を表す)
で表される透明化剤100質量部に対して、着色剤を1.3〜3.27質量部配合し、前記着色剤が青色顔料であることを特徴とするものである。
【0017】
本発明の透明化剤組成物において、脂肪酸金属塩又は充填材を配合したものが好ましく用いられる。
【0018】
本発明の樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、上記透明化剤組成物を0.04〜10質量部配合してなることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明の樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、下記一般式(1)で表される透明化剤を0.04〜10質量部含有し、さらに着色剤を、該透明化剤100質量部に対して1.3〜3.27質量部含有し、前記着色剤が青色顔料であることを特徴とするものである。
(式中、R〜Rは各々独立して、水素原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは1又は2を表し、nが1の場合、Mはアルカリ金属を表し、nが2の場合、MはAl(OH)を表す)
【0020】
本発明の成形品は、上記樹脂組成物を成形加工して得られるものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、初期着色性が抑制され、透明感に優れた成形品を得ることのできる透明化剤組成物および該透明化剤組成物を含有してなる樹脂組成物を得ることができる。
【0028】
また、本発明の製造方法により、透明感に優れた成形品を得ることができ、プラスチックボトル、特に飲料容器において好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[透明化剤組成物]
本発明の透明化剤組成物について、先ず、以下に詳述する。
本発明の透明化剤組成物は、下記一般式(1)、
(式中、R〜Rは各々独立して、水素原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは1又は2を表し、nが1の場合、Mはアルカリ金属を表し、nが2の場合、MはAl(OH)を表す)
で表される透明化剤100質量部に対して、着色剤を1.0〜10質量部配合してなるものである。
【0030】
本発明の透明化剤組成物においては、透明化剤100質量部に対して、着色剤は1.0〜10質量部の範囲内に用いられる。1.0質量部より少ないと、成形品が着色したりして外観を損ねる場合があり、10質量部を超えると着色が強くなり透明感を損ねる場合がある。着色剤の好ましい使用範囲は、透明化剤100質量部に対して、1.3〜2.0質量部である。
【0031】
上記一般式(1)中のR、R、RおよびRで表される、炭素原子数1〜9のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、第三アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、第三ヘプチル基が挙げられるが、これらの中でも特に第三ブチル基であるものが好ましい。
【0032】
上記一般式(1)中のMで表されるアルカリ金属とは、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられるが、特にリチウムである化合物が好ましく用いられる。
【0033】
本発明で用いられる透明化剤としては、例えば、下記に示す化合物が挙げられる。ただし、本発明は以下の化合物により制限を受けるものではない。
【0034】
【0035】
上記着色剤としては、公知化合物を特に制限なく使用できるが、青色系着色剤が好ましく用いられる。青色系の着色剤としては、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、無機系の合成ウルトラマリン、プルシアンブルー等の無機系材料、フタロシアニンブルーなどのフタロシアニン系顔料、インダンスレンブル−、アルカリブルーレーキ等の有機系材料などが挙げられる。
【0036】
本発明の透明化剤組成物においては、着色剤の分散性を向上させるため、金属石けん、ポリエチレンワックス等の分散剤を使用することができる。金属石けんとしては、例えば、パルミチン酸マグネシウム、オレイン酸カルシウム、オレイン酸銅、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどが挙げられる。また、ポリエチレンワックスとしては、一般重合型、分解型、変性型などの各種ポリエチレンワックスを用いることができる。着色剤の分散剤の好ましい使用範囲は、着色剤100質量部に対して、15〜900質量部である。
【0037】
また、上記着色剤は、無定型シリカ、低融点ガラス、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、スズ、鉄、希土類元素のランタン、プラセオジム及びネオジムの水酸化物、酸化物、炭酸塩、リン酸塩、並びに珪酸塩等で被覆されたものも用いることができる。
【0038】
また、従来のプラスチックの着色に一般的に使用されている顔料、例えば酸化亜鉛,酸化チタン等の無機顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料等の有機顔料を用いることにより本発明の樹脂組成物の成形品に対して、所望の色相に調整することができる。
【0039】
本発明の透明化剤組成物においては、脂肪酸金属塩、特に脂肪酸リチウム塩、脂肪酸マグネシウム塩、脂肪酸カルシウム塩、脂肪酸ナトリウム塩を併用すると、本発明の効果が顕著に得られるので好ましく用いられる。これらの脂肪酸金属塩が、透明化剤の分散剤として添加される場合は、透明化剤100質量部に対して、1〜100質量部が好ましい使用量の範囲である。
【0040】
また、本発明の透明化剤組成物は充填剤を含むことが好ましい。充填材を併用すると成形品の物性を改善することができる。充填材は公知の化合物を制限なく使用することができるが、例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ガラス粉末、ガラス繊維、クレー、ドロマイト、マイカ、シリカ、アルミナ、チタン酸カリウムウィスカー、ワラステナイト、繊維状マグネシウムオキシサルフェート等が好ましい。これらの充填剤において、平均粒径(球状乃至平板状のもの)又は平均繊維径(針状乃至繊維状)のものが5μm以下のものが好ましい。
【0041】
次に、本発明の樹脂組成物について、以下に詳述する。
本発明の樹脂組成物に用いられるポリオレフィン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ヘミアイソタクチックポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ステレオブロックポリプロピレン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン重合体、エチレン/プロピレンブロックまたはランダム共重合体等のα−オレフィン共重合体等が挙げられる。
【0042】
かかるポリオレフィン樹脂は、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンブロック又はランダム共重合体、エチレン以外のα−オレフィン/プロピレンブロックまたはランダム共重合体等のプロピレン系重合体と他のα−オレフィン重合体との混合物も用いることができる。
【0043】
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、必要に応じてさらに従来公知の他の添加剤を含んでいてもよい。
【0044】
他の添加剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤、重金属不活性化剤、難燃剤、金属石鹸、ハイドロタルサイト、充填剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、染料、可塑剤等が挙げられる。
【0045】
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、スチレン化フェノール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス−(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−メチル−4,6−ビス(オクチルスルファニルメチル)フェノール、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド、2,2’−オキサミド−ビス[エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−エチルヘキシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−エチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパン酸及びC13−15アルキルのエステル、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、ヒンダードフェノールの重合物(アデカパルマロマール社製商品名AO.OH998)、2,2’−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフォビン、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス[モノエチル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネートカルシウム塩、5,7−ビス(1,1−ジメチルエチル)−3−ヒドロキシ−2(3H)−ベンゾフラノン、とo−キシレンとの反応生成物、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、DL−a−トコフェノール(ビタミンE)、2,6−ビス(α−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、ビス[3,3−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−フェニル)ブタン酸]グリコールエステル、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−t−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−t−ブチル−4−メチル−6−(2−アクロイルオキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、ステアリル−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、パルミチル−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、ミリスチル−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、ラウリル−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミドなどの3−(3,5−ジアルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸誘導体等が挙げられる。
【0046】
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジイソオクチルホスファイト、ヘプタキストリホスファイト、トリイソデシルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジイソオクチルフェニルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジフェニルホスファイト、トリス(ジプロピレングリコール)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ジオレイルヒドロゲンホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(トリデシル)ホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジノニルフェニルビス(ノニルフェニル)ホスファイト、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト、テトラフェニルジプロピルグリコールジホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2−t−ブチル−4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールとステアリン酸カルシウム塩との混合物、アルキル(C10)ビスフェノールAホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラフェニル−テトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、(1−メチル−1―プロパニル−3−イリデン)トリス(2−1,1−ジメチルエチル)−5−メチル−4,1−フェニレン)ヘキサトリデシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−t−ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス−t−ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、3,9−ビス(4−ノニルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスフェススピロ[5,5]ウンデカン、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル−2−ブチル−2エチル−1,3−プロパンジオールホスファイト、ポリ4,4’−イソプロピリデンジフェノールC12−15アルコールホスファイト、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールのホスファイト等が挙げられる。
【0047】
上記チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、テトラキス[メチレン−3−(ラウリルチオ)プロピオネート]メタン、ビス(メチル−4−[3−n−アルキル(C12/C14)チオプロピオニルオキシ]5−t−ブチルフェニル)スルファイド、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3‘−チオジプロピオネート、ラウリル/ステアリルチオジプロピオネート、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2,2’−チオビス(6−t−ブチル−p−クレゾール)、ジステアリル−ジサルファイドが挙げられる。
【0048】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−アクリロイルオキシエチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三アミル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−C12〜13混合アルコキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシ−3−アリルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ヘキシロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等の2−(2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジアリール−1,3,5−トリアジン類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクチル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ドデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、テトラデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ヘキサデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、オクタデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ベヘニル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;各種の金属塩、又は金属キレート、特にニッケル、クロムの塩、又はキレート類等が挙げられる。
【0049】
上記難燃剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジル−2,6−キシレニルホスフェート及びレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)等の芳香族リン酸エステル、フェニルホスホン酸ジビニル、フェニルホスホン酸ジアリル及びフェニルホスホン酸(1−ブテニル)等のホスホン酸エステル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸メチル、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド誘導体等のホスフィン酸エステル、ビス(2−アリルフェノキシ)ホスファゼン、ジクレジルホスファゼン等のホスファゼン化合物、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸アンモニウム、リン含有ビニルベンジル化合物及び赤リン等のリン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビステトラブロモフタルイミド、1,2−ジブロモ−4−(1,2−ジブロモエチル)シクロヘキサン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリスチレン及び2,4,6−トリス(トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、トリブロモフェニルマレイミド、トリブロモフェニルアクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート、テトラブロモビスフェノールA型ジメタクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、及び、臭素化スチレン等の臭素系難燃剤等が挙げられる。
【0050】
上記充填剤は、上記に挙げたものと同じものが挙げられる。
【0051】
上記滑剤は、成形体表面に滑性を付与し傷つき防止効果を高める目的で加えられる。滑剤としては、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;ベヘン酸アミド、ステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0052】
上記帯電防止剤は、成形品の帯電性の低減化や、帯電による埃の付着防止の目的で加えられる。帯電防止剤としては、カチオン系、アニオン系、非イオン系等が挙げられる。好ましい例としては、ポリオキシエチレンアルキルアミンやポリオキシエチレンアルキルアミドが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0053】
本発明で使用される添加剤の好ましい使用量の範囲は、効果が発現される量から添加効果の向上が見られなくなる範囲である。ポリオレフィン樹脂100質量部に対する各添加剤の使用量は、可塑剤が0.1〜20質量部、充填剤が1〜50質量部、表面処理剤が0.001〜1質量部、フェノール系酸化防止剤が0.001〜10質量部、リン系酸化防止剤が0.001〜10質量部、チオエーテル系酸化防止剤が0.001〜10質量部、紫外線吸収剤が0.001〜5質量部、ヒンダードアミン化合物が0.01〜1質量部、難燃剤が1〜50質量部、滑剤が0.03〜2質量部、帯電防止剤が0.03〜2質量部であることが好ましい。
【0054】
本発明の樹脂組成物は、押出成形、射出成形、中空成形、ブロー成形、圧縮成形等の公知の成形方法で成形することができ、食品用容器、化粧品・衣料用容器、食品用ボトル、飲料用ボトル、食用油ボトル、調味料ボトル等のボトル、食品用包装材、ラッピング材、輸送用包装材等の包装材料、シート・フィルム、繊維、日用雑貨、玩具等の成形品を容易に得ることができる。また、ガラス繊維、カーボン繊維等を配合して繊維強化プラスチックとしてもよい。
【0055】
[透明材料の製造方法]
本発明の透明材料の製造方法は、上記一般式(1)で表される透明化剤を、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して0.01〜0.5質量部配合してなるポリオレフィン樹脂組成物を成形する工程を備え、用いるポリオレフィン樹脂組成物において、厚みが0.5mmのシートを成形した場合の複屈折率(Δn)が5.0×10−3〜6.0×10−3の範囲であることを特徴とするものである。複屈折率(Δn)は、成形品の配向方向に偏光した直線偏光に対する屈折率Nxと、配向方向に直交する方向に偏光した直線偏光に対する屈折率Nyとした場合に、
Δn=|Nx―Ny|
で表わされる。
【0056】
ポリオレフィン樹脂組成物の成形方法は特に限定されず公知の方法により成形することができる。例えば、押出成形、射出成形、中空成形、ブロー成形、圧縮成形等により成形することができる。また、透明材料の形状としては、ボトル、シート、フィルム、包装材等を挙げることができる。
【0057】
上記一般式(1)で表される透明化剤の好ましいものおよび具体例は前記透明化剤組成物の実施形態で挙げたものと同じであり、ポリオレフィン樹脂組成物に用いられるポリオレフィン樹脂の具体例も前記のものと同じものを挙げることができる。
【0058】
本発明においては、上記ポリオレフィン樹脂組成物が、さらに、脂肪酸金属塩、特に脂肪酸リチウム塩、脂肪酸マグネシウム塩、脂肪酸カルシウム塩、脂肪酸ナトリウム塩等を含有すると、本発明の効果が顕著に得られるので好ましい。これらの脂肪酸金属塩が、透明化剤の分散剤として添加される場合は、透明化剤100質量部に対して、1〜100質量部が好ましい使用量の範囲である。
【0059】
また、本発明においては、前記ポリオレフィン樹脂組成物が、さらに、充填材を含有すると成形品の物性を改善することが出来るので好ましい。充填材は公知の化合物を制限無く使用することができるが、例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ガラス粉末、ガラス繊維、クレー、ドロマイト、マイカ、シリカ、アルミナ、チタン酸カリウムウィスカー、ワラステナイト、繊維状マグネシウムオキシサルフェート等が好ましい。これらの充填剤において、平均粒径(球状乃至平板状のもの)又は平均繊維径(針状乃至繊維状)のものが5μm以下のものが好ましい。
【0060】
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲であれば、必要に応じてさらに従来公知の他の添加剤をポリオレフィン樹脂組成物に加えてもよい。かかる他の添加剤としては前記透明化剤組成物の実施形態で挙げたものと同じものを挙げることができる。
【0061】
着色剤は、成形品の色相を調整するために使用される。着色剤は、公知化合物において特に制限なく使用できるが、青色系着色剤は、透明感が向上するので好ましく用いられる。青色系の着色剤としては、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、無機系の合成ウルトラマリン、プルシアンブルー等の無機系材料、フタロシアニンブルーなどのフタロシアニン系顔料、インダンスレンブル−、アルカリブルーレーキ等の有機系材料などを使用できる。
【0062】
上記着色剤は、本発明の透明化剤組成物においては、着色剤の分散性を向上させるため、金属石けん、ポリエチレンワックス等の分散剤を使用することができる。金属石けんとしては、例えば、パルミチン酸マグネシウム、オレイン酸カルシウム、オレイン酸銅、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどが挙げられる。また、ポリエチレンワックスとしては、一般重合型、分解型、変性型などの各種ポリエチレンワックスを用いてもよい。
【0063】
また、上記着色剤は、無定型シリカ、低融点ガラス、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、スズ、鉄、希土類元素のランタン、プラセオジム及びネオジムの水酸化物、酸化物、炭酸塩、リン酸塩、並びに珪酸塩等で被覆されたものも用いてもよい。
【0064】
また、従来のプラスチックの着色に一般的に使用されている顔料、例えば酸化亜鉛,酸化チタン等の無機顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料等の有機顔料を用いることにより本発明の樹脂組成物の成形品に対して、所望の色相に調整してもよい。
【0065】
上記各添加剤の好ましい使用量の範囲は、効果が発現される量から添加効果の向上が見られなくなる範囲である。ポリオレフィン100質量部に対する各添加剤の使用量は、可塑剤が0.1〜20質量部、充填剤が1〜50質量部、表面処理剤が0.001〜1質量部、フェノール系酸化防止剤が0.001〜10質量部、リン系酸化防止剤が0.001〜10質量部、チオエーテル系酸化防止剤が0.001〜10質量部、紫外線吸収剤が0.001〜5質量部、ヒンダードアミン化合物が0.01〜1質量部、難燃剤が1〜50質量部、滑剤が0.03〜2質量部、帯電防止剤が、0.03〜2質量部であることが好ましい。尚、上記に示した使用量とは、透明材料中の各添加剤の最終的な使用量を示すものである。
【0066】
上記ポリオレフィン樹脂組成物は、押出成形、射出成形、中空成形、ブロー成形、圧縮成形等の公知の成形方法で成形することができ、食品用容器、化粧品・衣料用容器、食品用ボトル、飲料用ボトル、食用油ボトル、調味料ボトル等のボトル、食品用包装材、ラッピング材、輸送用包装材等の包装材料、シート・フィルム、繊維、日用雑貨、玩具等の成形品を容易に得ることができる。また、本発明の効果を損なわない範囲内において、ガラス繊維、カーボン繊維等を配合して繊維強化プラスチックとしてもよい。
【実施例】
【0067】
以下、本発明を実施例、参考例、比較例によりさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例、参考例、比較例により制限されるものではい。
【0068】
(実施例1−1〜5、比較例1−1、2)
メルトフローレート8g/10minのエチレン/プロピレンランダム共重合体100質量部に対し、フェノール系抗酸化剤;テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.1質量部、リン系抗酸化剤:トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト0.1質量部、ステアリン酸カルシウム0.05質量部、青色顔料:群青(無機顔料)表1記載の量、及び下記の表1記載の透明化剤組成物をヘンシェルミキサー(FM200;三井鉱山(株)製)で1000rpm、1分間混合し、二軸押出機(PCM−30;株式会社池貝製)で、240℃、160rpmのスクリュー速度の加工条件で押出加工してペレットを製造した。
得られたペレットについて、200℃の成形温度で厚みが0.5mmのボトル形状に成形した。ボトル形状の成形品において下記の評価を実施した。
【0069】
(1)HAZE
ボトル形状の成形品から切り出したものを試験片とし、ヘイズ・ガード2〔株式会社東洋精機製作所製〕にて、試験片の霞度(Haze)を求めた。
【0070】
(2)黄色度(Y.I.)
ボトル形状の成形品から切り出したものを試験片とし、分光測色計(SC−T;スガ試験機株式会社製)により試験片の黄色度を測定した。
【0071】
(3)透明感
ボトル形状の成形品を水で充填した場合において、ボトル形状の成形品の背後から10cm離れた場所に置いた文字の視認性について評価した。
文字が読み取れない場合は、×、文字は読み取れるが、文字の輪郭がにじむ場合は、△、文字も輪郭も明確に視認できる場合は、○として評価した。
【0072】
【表1】
1)比較化合物1:Milliken社製透明化剤(商品名:Millad NX−8000)
【0073】
比較例1−1より、一般式(1)で表される透明化剤を用いなかった場合、透明感に優れる成形品は得られなかった。又、比較例1−2より、一般式(1)で表される透明化剤を用いても、着色剤を使用しなかった場合は、着色が大きく、成形品外観に影響することが確認できた。
これらに対し、一般式(1)で表される透明化剤および着色剤をともに用いた実施例1−1〜5は、比較例1−1よりも透明化剤の配合量が少ないにも関わらず、透明感に優れ、着色の少ない成形品を得られることが確認できた。
【0074】
(参考例2−1〜3、比較例2−1、2)
メルトフローレート8g/10minのエチレン/プロピレンランダム共重合体100質量部に対し、フェノール系抗酸化剤;テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.1質量部、リン系抗酸化剤:トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト0.1質量部、ステアリン酸カルシウム0.05質量部、及び下記の表2記載の透明化剤組成物をヘンシェルミキサー(FM200;三井鉱山(株)製)で1000rpm、1分間混合し、二軸押出機(PCM−30;株式会社池貝製)で、240℃、160rpmのスクリュー速度の加工条件で押出加工してペレットを製造した。
得られたペレットについて、200℃の成形温度で厚みが0.5mmのプラスチックボトルに成形した。得られたプラスチックボトルについて、下記の評価を実施した。
【0075】
(1)複屈折率(Δn)
得られたプラスチックボトルからシート状断片を切り出して、リタデーション測定装置(大塚電子株式会社製RETS−100)を用いて屈折率を測定し、下記式により複屈折率(Δn)を算出した。なお、式中、Nxは、シートの配向方向に偏光した直線偏光に対する屈折率、Nyは、配向方向に直交する方向に偏光した直線偏光に対する屈折率を表す。
Δn=|Nx―Ny|
【0076】
(2)霞度(HAZE)
前記と同様にして、試験片の霞度(Haze)を求めた。
【0077】
(3)視認性
ボトル形状の成形品を水で充填した場合において、ボトル形状の成形品の背後から10cm離れた場所に置いた場合において、水で充填されたプラスチックボトルを介して文字の視認性を評価した。
文字が読み取れない場合は、×、文字は読み取れるが、文字の輪郭がにじむ場合は、△、文字も輪郭も明確に視認できる場合は、○として評価した。
【0078】
【表2】
1)コントロール:透明化剤未配合
2)比較化合物1:1,3:2,4−ビス−o−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール
【0079】
比較例2−1および2より、式(1)で表される透明化剤を使用しない場合、透明性及び文字の視認性が満足できるプラスチックボトルが得られないことが確認できた。これに対し、一般式(1)で表される透明化剤を含み、複屈折率が所定の範囲内にある参考例2−1〜3のプラスチックボトルは、比較例2−2の透明化剤よりも透明化剤の添加量が少ないにも関わらず、透明感に優れたものであった。