(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6101095
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】搬送ハンド、搬送装置および搬送方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20170313BHJP
B25J 15/06 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J15/06 Z
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-20890(P2013-20890)
(22)【出願日】2013年2月5日
(65)【公開番号】特開2014-154607(P2014-154607A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】稲尾 吉浩
(72)【発明者】
【氏名】中村 彰彦
(72)【発明者】
【氏名】宮成 淳
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 真治
(72)【発明者】
【氏名】福島 偉仁
(72)【発明者】
【氏名】対馬 修吾
【審査官】
宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−243483(JP,A)
【文献】
特開2011−060841(JP,A)
【文献】
特開2011−135026(JP,A)
【文献】
特開2009−107097(JP,A)
【文献】
特開2006−019566(JP,A)
【文献】
特開2009−140971(JP,A)
【文献】
特開2010−076929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B25J 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に枠部材を備えている搬送物を搬送して、搬送物を吸着する吸着ステージに受け渡す搬送ハンドであって、
枠部材の片面の一部を吸着する吸着部と、
吸着部とは異なる位置に配置され、搬送物を吸着ステージに受け渡すときに、枠部材の上記片面に当接することにより、枠部材を吸着ステージに押し付ける押し付け部と、
上記押し付け部を上記枠部材に向かう方向に付勢する付勢部材と、を備えていることを特徴とする搬送ハンド。
【請求項2】
上記吸着部および上記押し付け部は、搬送ハンドにおける枠部材に対向する面から突出して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の搬送ハンド。
【請求項3】
複数の押し付け部を備えており、
各押し付け部の突出している先端面が面一であることを特徴とする請求項2に記載の搬送ハンド。
【請求項4】
複数の押し付け部を備えており、
搬送時における搬送物の中心から見たときに、隣り合う二つの押し付け部を見込む角度が、18度以上、180度以下の範囲となるように当該押し付け部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の搬送ハンド。
【請求項5】
搬送対象である上記搬送物は、基板および支持膜をさらに備えており、
支持膜の内周に基板が貼付されており、
支持膜の外周に枠部材が貼付されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の搬送ハンド。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の搬送ハンドを備えていることを特徴とする搬送装置。
【請求項7】
搬送ハンドが、外周に枠部材を備えている搬送物を、搬送物を吸着する吸着ステージまで搬送する搬送工程と、
搬送工程の後、搬送ハンドが、搬送物を吸着ステージに受け渡す受け渡し工程と、を包含しており、
搬送ハンドは、枠部材の片面の一部を吸着する吸着部、吸着部とは異なる位置に配置された押し付け部、および上記押し付け部を上記枠部材に向かう方向に付勢する付勢部材、を備えており、
受け渡し工程では、押し付け部が、枠部材の上記片面に当接して、枠部材を吸着ステージに押し付けることを特徴とする搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ハンド、搬送装置および搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、その外周にダイシングフレームを有する積層体を搬送する搬送ハンドが記載されている。当該搬送ハンドは、積層体のダイシングフレームを吸着することにより積層体を保持する。そのため当該搬送ハンドにおいて、積層体と対向する面には、搬送ハンドをダイシングフレームの上方に配置したとき、搬送ハンドとダイシングフレームとの重なる位置に、吸着機構が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−140971号公報(2009年6月25日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の技術を用いて、上記積層体を搬送し、当該積層体を吸着する吸着ステージに受け渡すときに、ダイシングフレームが歪んでいるか若しくは反っていると、吸着ステージと積層体との間にリークが発生し、吸着ステージが当該積層体を良好に吸着し得ないことがある。そのため、外周に枠部材が設けられた搬送物を搬送して吸着ステージに受け渡すときに、当該枠部材が歪んでいるか若しくは反っているとしても、当該搬送物を吸着ステージに好適に受け渡すことができる搬送技術が求められている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、外周に枠部材が設けられた搬送物を搬送して、吸着ステージに好適に受け渡すための搬送技術を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る搬送ハンドは、外周に枠部材を備えている搬送物を搬送して、搬送物を吸着する吸着ステージに受け渡す搬送ハンドであって、枠部材の片面の一部を吸着する吸着部と、吸着部とは異なる位置に配置され、搬送物を吸着ステージに受け渡すときに、枠部材の上記片面に当接することにより、枠部材を吸着ステージに押し付ける押し付け部と、を備えていることを特徴としている。
【0007】
本発明に係る搬送方法は、搬送ハンドが、外周に枠部材を備えている搬送物を、搬送物を吸着する吸着ステージまで搬送する搬送工程と、搬送工程の後、搬送ハンドが、搬送物を吸着ステージに受け渡す受け渡し工程と、を包含しており、搬送ハンドは、枠部材の片面の一部を吸着する吸着部、および吸着部とは異なる位置に配置された押し付け部を備えており、受け渡し工程では、押し付け部が、枠部材の上記片面に当接して、枠部材を吸着ステージに押し付けることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外周に枠部材が設けられた搬送物を搬送して吸着ステージに受け渡すときに、押し付け部が吸着ステージに枠部材を押し付けて、枠部材の歪みまたは反りを補正することができる。そのため、上記搬送物は吸着ステージに良好に吸着される。すなわち、本発明によれば、上記搬送物を搬送して、好適に吸着ステージに受け渡すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る搬送ハンドの動作を説明する側面図であり、(a)は、搬送ハンドが搬送物を搬送しているとき、(b)は、搬送ハンドが搬送物を吸着ステージの上方まで搬送したとき、(c)は、搬送ハンドが搬送物を吸着ステージに受け渡すときの様子をそれぞれ示す。
【
図2】本発明の一実施形態に係る搬送ハンドが搬送物を搬送しているときの様子を示す上面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る搬送ハンドが搬送物を搬送しているときの様子を示す下面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る搬送ハンドが搬送物を吸着ステージに受け渡すときの様子を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る搬送ハンドは、外周に枠部材を備えている搬送物を搬送して、搬送物を吸着する吸着ステージに受け渡す搬送ハンドであって、枠部材の片面の一部を吸着する吸着部と、吸着部とは異なる位置に配置され、搬送物を吸着ステージに受け渡すときに、枠部材の上記片面に当接することにより、枠部材を吸着ステージに押し付ける押し付け部と、を備えている構成である。
【0011】
また、本発明に係る搬送装置は、上記搬送ハンドを備える構成である。
【0012】
さらに、本発明に係る搬送方法は、搬送ハンドが、外周に枠部材を備えている搬送物を、搬送物を吸着する吸着ステージまで搬送する搬送工程と、搬送工程の後、搬送ハンドが、搬送物を吸着ステージに受け渡す受け渡し工程と、を包含しており、搬送ハンドは、枠部材の片面の一部を吸着する吸着部、および吸着部とは異なる位置に配置された押し付け部を備えており、受け渡し工程では、押し付け部が、枠部材の上記片面に当接して、枠部材を吸着ステージに押し付ける構成である。
【0013】
〔搬送物〕
先ず、本発明に係る搬送ハンドによって保持されて搬送される搬送物について、以下に説明する。
【0014】
本発明において保持されて搬送される対象となる搬送物は、例えば、
図2に示すような、その外周に枠部材(ダイシングフレーム)11が貼付された支持膜(ダイシングテープ)12の内周に基板13が貼付された搬送物10である。
【0015】
基板13は、例えば、半導体ウェハであるが、これに限定されず、例えば、セラミックス基板、フィルム基板、フレキシブル基板等の任意の基板であってもよい。ダイシングテープは、基板を保持するものである。支持膜12は、少なくとも基板に接する部分のみが粘着性を有していればよい。支持膜12としては、例えば、ベースフィルムがPVC(ポリ塩化ビニル)やポリオレフィン、ポリプロピレン等の樹脂フィルムを用いることができる。枠部材11は、支持膜12の弛みを防止するものであり、金属、樹脂等により形成され得る。
【0016】
尚、本発明において保持されて搬送される対象となる搬送物は、これに限定されず、外周に枠部材を備えているものであればよい。
【0017】
また、本発明において保持されて搬送される対象となる搬送物は、任意の場所から、当該搬送物を吸着する吸着ステージまで搬送され、吸着ステージ上において所望の処理がなされる。吸着ステージは、例えば、公知のポーラス吸着ステージであればよく、搬送物を真空吸着するものであれば、特に限定されない。
【0018】
〔搬送ハンド〕
次に、本発明に係る搬送ハンドについて、
図1〜4を参照しながら以下に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る搬送ハンド1の動作を説明する側面図であり、(a)は、搬送ハンド1が搬送物10を搬送しているとき、(b)は、搬送ハンド1が搬送物10を吸着ステージ20の上方まで搬送したとき、(c)は、搬送ハンド1が搬送物10を吸着ステージ20に受け渡すときの様子をそれぞれ示す。
【0020】
図1に示すように、搬送ハンド1は、搬送物10を保持して、吸着ステージ20の上方まで搬送し(
図1(a)〜(b)、搬送工程)、その後、搬送ハンド1が吸着ステージ20に向けて下降するとともに、搬送物10の保持を解除することにより、搬送物10を吸着ステージ20に受け渡す(
図1(c)、受け渡し工程)ようになっている。
【0021】
なお、本実施形態では、搬送ハンド1が、搬送物10の上側を保持して搬送し、搬送物10を上方から吸着ステージ20に受け渡す場合について説明するが、本発明はこれに限定されず、搬送ハンドは、搬送物の任意の面を保持して搬送してもよく、また、搬送物を、任意の方向から吸着ステージに受け渡してもよい。
【0022】
図2は、
図1(a)において示した、搬送ハンド1が搬送物10を搬送しているときの様子を示す上面図であり、
図3は、搬送ハンド1が搬送物10を搬送しているときの様子を、搬送物10から搬送ハンド1を見上げた下面図であり、
図4は、
図1(c)において示した、搬送ハンド1が搬送物10を吸着ステージ20に受け渡すときの様子を示す上面図である。
【0023】
図1〜4に示すように、本発明の一実施形態に係る搬送ハンド1は、搬送物10の枠部材11の一部を真空吸着して保持する吸着部2と、吸着部2とは異なる位置に配置された押し付け部3と、を備えている。
【0024】
搬送ハンド1は、搬送物10を保持するために必要な強度を有していればよく、より軽量であることが望ましい。以上の観点から、搬送ハンド1は、剛性を有するアルミニウム、ステンレス、セラミックス等で形成されていることが好ましく、セラミックスで形成されていることがより好ましい。搬送ハンド1は、例えば、概略の外観が厚さの薄い板状に形成され得るが、特にこの形状に限定されない。また、軽量化のために、適宜肉抜き加工されていることが好ましい。搬送ハンド1の末端側、即ち、吸着部2を備えていない側は、当該搬送ハンド1を駆動する駆動部(図示しない)に連結されるようになっている。尚、搬送ハンド1の外観の形状は、搬送物10を保持して搬送することに支障の無い形状であればよい。
【0025】
(吸着部)
吸着部2は、枠部材11の片面の一部を真空吸着することができるようになっていればよく、特に構造は限定されないが、例えば、搬送ハンド1における枠部材11に対向する面から突出して設けられており、枠部材11と搬送ハンド1との間の気体(空気)を吸引する排気口を有している。
図3に示すように、当該排気口は、搬送ハンド1の内部に末端側に向かって形成された排気管4を通じて排気装置(図示しない)に接続されており、排気口から吸引された気体は、排気装置を介して外部に排気される。従って、吸着部2は、搬送物10を保持するときには排気口から気体を排気して搬送物10を真空吸着し、搬送物10の保持を解除するときには排気口からの気体の排気を停止するようになっている。尚、排気口の開口の形状は、円形であることが好ましいものの、特に限定されない。吸着部2の材質は特に限定されないが、ゴム、樹脂等の柔軟性を有する材質、または、アルミニウム、ステンレス、セラミックス等の剛性を有する材質であり得る。
【0026】
本発明における「吸着」とは、搬送物10を安定して保持して搬送することができる程度の強さで当該搬送物10を吸着している状態を指す。従って、本発明における「吸着」で必要とされる吸着力は、搬送物10が損傷しない程度の力であり、80kPa以上が好適であり、95kPa程度が最適である。また、上記吸着力に達するまでの時間は、搬送の効率性を考慮して、排気装置による吸引開始から6秒以内が好ましく、2秒以内がより好ましく、1秒以内が特に好ましい。吸着部2の排気口の面積(吸着部2を複数備える場合は合計の面積)や排気装置の能力は、搬送物10に加わる吸着力や搬送の効率性等を考慮して、適宜設定すればよい。尚、枠部材11が歪んでいるか若しくは反っている場合、リークを避けるために、吸着部2の各々の排気口の面積は小さいことが好ましい。
【0027】
搬送ハンド1が備える吸着部2の個数は、少なくとも一つあればよいが、搬送物10を安定して保持することができるように、少なくとも三つあることがより好ましく、例えば、
図2〜4に示すように、吸着部2を四つ備えていてもよい。吸着部2の配置位置は特に限定されず、搬送物10を安定して保持することができるように配置されていればよい。
【0028】
(押し付け部)
押し付け部3は、搬送物10を吸着ステージ20に受け渡すときに、枠部材11における吸着部2が吸着する面に当接することにより、枠部材11を吸着ステージ20に押し付けることができるようになっていればよく、特に構造は限定されないが、例えば、搬送ハンド1における枠部材11に対向する面の吸着部2とは異なる位置から突出して設けられている。押し付け部3が、搬送ハンド1の上記面から突出していることにより、吸着部2が当該面から突出している場合であっても、首尾よく枠部材11における吸着部2が吸着する面に当接することができる。そして、
図1(c)および
図4に示すように、搬送物10を吸着ステージ20に受け渡すときに、押し付け部3が、枠部材11における吸着部2が吸着する面に当接することにより、枠部材11を吸着ステージ20に押し付け、枠部材11の歪みまたは反りを補正することができる。これにより、吸着ステージ20と搬送物10との間にリークが発生することを防ぎ、枠部材11が歪んでいるか若しくは反っているとしても、吸着ステージ20が搬送物10を首尾よく吸着することができる。押し付け部3の形状としては、特に限定されないが、例えば、円柱、多角柱、半球、円錐、多角錐等の形状であり得る。また、吸着部2の材質は特に限定されないが、SUS、樹脂等の材質であり得る。
【0029】
搬送ハンド1が備える押し付け部3の個数は、少なくとも一つあればよいが、搬送物10を吸着ステージ20に受け渡すときに、枠部材11を均等に吸着ステージ20に押し付けるために、複数存在していることがより好ましく、4個以上存在していることがさらに好ましく、8個以上存在していることが特に好ましい。このとき、各押し付け部3の突出している先端面を面一とすることにより、より均等に、枠部材11を吸着ステージ20に押し付けることができる。
【0030】
また、押し付け部3の配置位置は特に限定されないが、搬送物10を吸着ステージ20に受け渡すときに、枠部材11を均等に吸着ステージ20に押し付けるために、枠部材11において当接される位置の間隔が所定の範囲内であることが好ましい。具体的には、これに限定されないが、
図4に示すように、搬送時における搬送物10の中心Oから見たときに、隣り合う二つの押し付け部3を見込む角度θが、18度以上、180度以下の範囲となることがより好ましく、45度程度であることが特に好ましい。
【0031】
なお、押し付け部3は、バネ等の付勢部材によって枠部材11に向かう方向に付勢されていてもよい。これにより、搬送物10を吸着ステージ20に受け渡すときに、枠部材11を好適に吸着ステージ20に押し付けることができる。このとき、各押し付け部3の付勢力を一定とすることにより、より均等に、枠部材11を吸着ステージ20に押し付けることができる。
【0032】
〔搬送装置、搬送方法〕
本発明に係る搬送装置は、本発明に係る搬送ハンドを備えている。搬送装置は、また、当該搬送ハンドを駆動する駆動部を備え得る。具体的には、搬送装置においては、上記搬送ハンドの末端側、即ち、吸着部を備えていない側が上記駆動部に連結されており、当該駆動部による駆動によって、搬送ハンドが、保持した搬送物を或る工程から次の工程を行うための吸着ステージに搬送するようになっている。駆動部の具体的な構成は、特に限定されるものではなく、例えば、半導体装置の製造工程において必要な搬送に用いられている公知の駆動装置を適宜採用することができる。搬送装置は、例えば、半導体装置の製造工程における各工程間での搬送物を搬送するために用いられ、特に、熱処理工程後の、ダイシングフレーム(枠部材)が貼付されたダイシングテープ(支持膜)に貼付された基板を搬送するために好適に用いられる。従って、搬送装置の動作、即ち、駆動部の駆動による搬送ハンドの保持動作や搬送動作は、例えば、半導体装置の製造工程全体を制御する制御部によって制御されている。
【0033】
また、本発明に係る搬送方法は、搬送ハンドが、外周に枠部材を備えている搬送物を、搬送物を吸着する吸着ステージまで搬送する搬送工程と、搬送工程の後、搬送ハンドが、搬送物を吸着ステージに受け渡す受け渡し工程と、を包含しており、搬送ハンドは、枠部材の片面の一部を吸着する吸着部、および吸着部とは異なる位置に配置された押し付け部を備えており、受け渡し工程では、押し付け部が、枠部材の上記片面に当接して、枠部材を吸着ステージに押し付ける。上記搬送方法は、半導体装置の製造工程等における各工程間での搬送物の搬送に採用され、特に、熱処理工程後の搬送物の搬送に好適に採用される。
【0034】
以上のように、本発明に係る搬送ハンド、搬送装置および搬送方法によれば、外周に枠部材が設けられた搬送物を搬送して吸着ステージに受け渡すときに、押し付け部が吸着ステージに枠部材を押し付けて、枠部材の歪みまたは反りを補正することができる。そのため、上記搬送物は吸着ステージに良好に吸着される。すなわち、本発明によれば、上記搬送物を搬送して、好適に吸着ステージに受け渡すことができる。
【0035】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明に係る搬送ハンド、搬送装置および搬送方法は、例えば、微細化された半導体装置の製造工程において広範に利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 搬送ハンド
2 吸着部
3 押し付け部
4 排気管
10 搬送物
11 枠部材
12 支持膜
13 基板
20 吸着ステージ