(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
銅または銅合金とニッケルを同時に有する電子基板から銅または銅合金を選択的にエッチングする工程用のエッチング液であって、酸基を分子内に有するキレート剤(A)、過酸化水素(B)、およびオキシエチレン鎖を分子内に有する界面活性剤(C)を含み、
該キレート剤(A)と過酸化水素(B)の重量比(A)/(B)が2〜20であり、該キレート剤(A)と該界面活性剤(C)の重量比(A)/(C)が2〜50であり、
少なくとも1つの前記キレート剤は、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、β−アラニンジ酢酸、アスパラギン酸ジ酢酸、メチルグリシンジ酢酸、イミノジコハク酸、セリンジ酢酸、ヒドロキシイミノジコハク酸、ピロメリット酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、メチルジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1、1−ジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、プロピレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、トリエチレンテトラミンヘキサ(メチレンホスホン酸)、トリアミノトリエチルアミンヘキサ(メチレンホスホン酸)、トランス−1、2−シクロヘキサンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、グリコールエーテルジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、テトラエチレンペンタミンヘプタ(メチレンホスホン酸)、メタンジスルホン酸、エタンジスルホン酸、フェノールジスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ピペラジン‐1,4‐ビス(2‐エタンスルホン酸)、ホスホノ酢酸、2−ヒドロキシ−2−ホスホノ酢酸、カルボキシホスホン酸、3−ホスホノプロピオン酸、4−(3−ホスホノプロピル)−2−ピペラジンカルボン酸、およびそれらの組合せからなる群から選択される種を含み、
該界面活性剤(C)がオクチルアミンのエチレンオキサイド(EO)付加物、ラウリルアミンのEO付加物、ショ糖のEO付加物、ソルビトールのEO付加物、ペンタエリスリトールのEO付加物、ポリオキシエチレンオクチルエーテルスルホコハク酸(塩)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸(塩)、ポリオキシエチレンオクチルエーテル硫酸エステル(塩)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステル(塩)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステル(塩)、およびポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル硫酸エステル(塩)からなる群から選択される種を含む、
銅または銅合金用エッチング液。
少なくとも1つの腐食防止剤、少なくとも1つの酸化防止剤、および少なくとも1つの塩基性化合物からなる群から選択される少なくとも1つの成分をさらに含む、請求項1記載のエッチング液。
前記少なくとも1つの溶剤は、水、メタノ−ル、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチルエーテル、ジソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、γ−ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソピロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、およびそれらの組合せからなる群から選択される種を含む、請求項4記載のエッチング液。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスは性能向上のため素子の微細化、高密度化が進んでいるが、特に半導体デバイスでは微細化技術が限界に近づきつつある。高密度化の技術として従来のワイヤボンディング、フリップチップやバンプを用いて3次元構造のデバイスが実用化されているが、さらなる高密度化が望まれている。そこでシリコンを貫通している細いビアを作成し、銅などの導電体を充填し電極を作成する技術(TSV技術)の開発が進んでいる(非特許文献1)。
【0003】
一般的にTSV技術において銅を電極とする場合、シリコン基板に孔を空け、孔の内壁にシリコン酸化膜、チタン等のバリヤメタル層を作成した後、有機金属気相成長法や物理的気相成長法により銅のシード層を作成する(
図1)。次に電極を形成する部位以外の銅のシード層の上にレジスト樹脂により保護膜を形成する(
図2)。さらに保護膜が形成されていない部分に銅などの金属を埋め込み、バンプの形成が行われる。しかし、銅のままであると表面酸化現象などで接続信頼性が劣るため、一般的にニッケル層と金や錫および銀の合金からなる半田層がそれぞれ積層される(
図3)。このあとレジスト樹脂を除去することでバンプが形成される(
図4)。
【0004】
ところで銅のシード層とバリヤメタル層はシリコン基板の孔の内部だけでなくシリコン基板表面にも形成されており、レジストを除去した後も残ったままである。このため、エッチング液により除去しなければならない(
図5)。
【0005】
このうち銅のシード層をウェットエッチングする方法として、硫酸と過酸化水素混合液などの酸と酸化剤からなるエッチング液を用いた方法が広く用いられている(特許文献1、特許文献2)。また、塩化第二銅や塩化第二鉄を含むエッチング液を用いた方法も広く知られている(特許文献3)。
【0006】
しかしながら特許文献1〜3のようなエッチング方法では、電子基板に形成された銅のシード層をバンプ形成後にエッチングする場合、バンプ形成のために使用したニッケルもエッチングしてしまうため、バンプが変形するという問題があった。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の銅または銅合金用エッチング液は、銅または銅合金とニッケルを同時に有する電子基板から銅または銅合金を選択的にエッチングする工程用のエッチング液であって、酸基を分子内に有するキレート剤(A)、過酸化水素(B)、およびオキシエチレン鎖を分子内に有する界面活性剤(C)を必須成分とする。
【0019】
本発明において、エッチングされる銅または銅合金とニッケルを同時に有する電子基板としては、半導体、フラットパネルディスプレーに使用されるものが挙げられ、銅としては化学気相成長法(CVD法)、物理的気相成長法(PVD法)、原子層堆積法(ALD法)、めっきで形成されたもの等が挙げられる。また、ニッケルも上記の方法で形成されたもの等が挙げられる。
【0020】
本発明において、銅または銅合金のエッチング処理方法としては、浸漬式エッチングや枚葉式エッチングなどが挙げられる。
【0021】
本発明のエッチング液は通常10〜100℃の範囲、好ましくは20℃〜80℃の温度条件で使用する。10℃以上であればエッチング速度の点で好ましく、100℃以下の温度であればエッチング速度にバラツキが生じない点で好ましい。
【0022】
本発明の銅または銅合金用エッチング液の第1の必須成分である酸基を分子内に有するキレート剤(A)は銅または銅合金のエッチング速度を高める作用がある。
本発明のおける酸基を分子内に有するキレート剤(A)は、キレート効果を有するための官能基を2個以上有するものであって、そのうちの1個以上が酸基であれば、他の官能基として酸基でもよいし、例えば中性の水酸基、フェノール性水酸基などでもよい。
本発明のおけるキレート剤(A)中の酸基としては、カルボキシル基、ホスホン基、スルホン基、リン酸基、硫酸基、硝酸基、ホウ酸基などが挙げられる。
【0023】
酸基としてカルボキシル基を2個以上含む有機酸またはその塩(A1)、酸基としてホスホン酸基を2個以上含む有機酸またはその塩(A2)、酸基としてスルホン酸基を2個以上含む有機酸またはその塩(A3)、酸基としてカルボキシル基とホスホン酸基をそれぞれ1個以上含む有機酸またはその塩(A4)などが挙げられる。
また、酸基を分子内に有するキレート剤(A)としては、キレート効果を示す水酸基を分子内に有するものであれば、酸基としてカルボキシル基、ホスホン酸基またはスルホン酸基を1個だけ含むキレート剤(A5)であっても差しつかえない。
【0024】
酸基としてカルボキシル基を2個以上含む有機酸またはその塩(A1)としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(塩)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(塩)、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸(塩)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(塩)、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン四酢酸(塩)、ニトリロ酸酢酸(塩)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(塩)、β−アラニンジ酢酸(塩)、アスパラギン酸ジ酢酸(塩)、メチルグリシンジ酢酸(塩)、イミノジコハク酸(塩)、セリンジ酢酸(塩)、ヒドロキシイミノジコハク酸(塩)、酒石酸(塩)、クエン酸(塩)、ピロメリット酸(塩)、ベンゾポリカルボン酸(塩)、シクロペンタンテトラカルボン酸(塩)などが挙げられる。
【0025】
酸基としてホスホン酸基を2個以上含む有機酸またはその塩(A2)としては、メチルジホスホン酸(塩)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)(塩)、1−ヒドロキシエチリデン−1、1−ジホスホン酸(塩)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(塩)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(塩)、プロピレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(塩)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(塩)、トリエチレンテトラミンヘキサ(メチレンホスホン酸)(塩)、トリアミノトリエチルアミンヘキサ(メチレンホスホン酸)(塩)、トランス−1、2−シクロヘキサンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(塩)、グリコールエーテルジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(塩)、テトラエチレンペンタミンヘプタ(メチレンホスホン酸)(塩)等が挙げられる。
【0026】
酸基としてスルホン酸基を2個以上含む有機酸またはその塩(A3)としては、メタンジスルホン酸(塩)、エタンジスルホン酸(塩)、フェノールジスルホン酸(塩)、ナフタレンジスルホン酸(塩)、ピペラジン‐1,4‐ビス(2‐エタンスルホン酸)(塩)等が挙げられる。
【0027】
酸基としてカルボキシル基とホスホン酸基をそれぞれ1個以上含む有機酸またはその塩(A4)としては、ホスホノ酢酸(塩)、2−ヒドロキシ−2−ホスホノ酢酸(塩)、カルボキシホスホン酸(塩)、3−ホスホノプロピオン酸(塩)、4−(3−ホスホノプロピル)−2−ピペラジンカルボン酸(塩)等が挙げられる。
【0028】
水酸基と酸基としてカルボキシル基、ホスホン酸基またはスルホン酸基を1個だけ含むキレート剤(A5)としては、乳酸(塩)、サリチル酸(塩)、没食子酸(塩)、2‐ヒドロキシエチルホスホン酸(塩)、2‐ヒドロキシエタンスルホン酸(塩)等が挙げられる。
【0029】
酸基を分子内に有するキレート剤(A)のうち銅または銅合金のエッチング速度の観点から好ましいものは酸基としてカルボキシル基を2個以上含む有機酸またはその塩(A1)、酸基としてホスホン酸基を2個以上含む有機酸またはその塩(A2)、酸基としてスルホン酸基を2個以上含む有機酸またはその塩(A3)であり、さらに好ましいのは酸基としてホスホン酸基を2個以上含む有機酸(A2)である。
【0030】
酸基を分子内に有するキレート剤(A)は単独または2つ以上を同時に併用することができる。
【0031】
酸基を分子内に有するキレート剤(A)含有量は銅または銅合金のエッチング速度の観点から、エッチング液の合計重量に基づいて、0.1〜50重量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜30重量%、特に好ましくは1〜20重量%である。
【0032】
本発明の第2の必須成分である過酸化水素(B)はエッチング速度を高める作用がある。過酸化水素(B)としては過酸化水素の水溶液を使用することができる。
【0033】
過酸化水素(B)含有量は、エッチング速度の観点から、エッチング液の合計重量に基づいて、純分換算で0.05〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.2〜5重量%である。
【0034】
本発明の第3の必須成分であるオキシエチレン鎖を分子内に有する界面活性剤(C)は、分子内にオキシエチレン鎖を有するものであればよく、アルキルアミンのエチレンオキサイド(以下、エチレンオキサイドを「EO」と略記する。)付加物(C1)、1価アルコールのEO付加物(C2)、多価アルコールのEO付加物(C3)、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合体(C4)、アルキルフェノールのEO付加物(C5)、脂肪酸のEO付加物(C6)などのノニオン界面活性剤、アルキルアルコールのEO付加物の末端を変性したアニオン界面活性剤(C7)、アルキルフェノールのEO付加物の末端を変性したアニオン界面活性剤(C8)などを挙げることができる。
【0035】
アルキルアミンのEO付加物(C1)してはオクチルアミンのEO付加物、ラウリルアミンのEO付加物等が挙げられる。
【0036】
1価アルコールのEO付加物(C2)としては、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等が挙げられる。
【0037】
多価アルコールのEO付加物(C3)としては、ショ糖のEO付加物、ソルビトールのEO付加物、ペンタエリスリトールのEO付加物;ソルビタンのラウリン酸モノエステルのEO付加物等が挙げられる。
【0038】
エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合体(C4)としては、ポリオキシプロピレングリコールのエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレングリコールのプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。エチレンオキサイドの付加モル数は1〜300、プロピレンオキサイドの付加モル数は1〜300のものが挙げられる。
エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合体(C4)を(C)成分として用いると消泡剤としての効果も有しているため特に有益である。
【0039】
アルキルフェノールのEO付加物(C5)としてはポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0040】
脂肪酸のEO付加物(C6)としてはモノステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0041】
アルキルアルコールのEO付加物の末端を変性したアニオン界面活性剤(C7)としては、上記の1価アルコールのEO付加物(C2)を有機酸で変性したアニオン界面活性剤であり、ポリオキシエチレンオクチルエーテル酢酸(塩)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸(塩)、ポリオキシエチレンオクチルエーテルスルホコハク酸(塩)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸(塩)ポリオキシエチレンオクチルエーテル硫酸エステル(塩)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステル(塩)等が挙げられる。
【0042】
アルキルフェノールのEO付加物の末端を変性したアニオン界面活性剤(C8)としては、上記のアルキルフェノールのEO付加物(C5)を有機酸で変性したアニオン界面活性剤であり、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステル(塩)、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル硫酸エステル(塩)等が挙げられる。
【0043】
オキシエチレン鎖を分子内に有する界面活性剤(C)のEOの付加モル数としては、銅または銅合金とニッケルのエッチング速度比の観点から1〜20、好ましくは2〜15である。
【0044】
オキシエチレン鎖を分子内に有する界面活性剤(C)のうち、銅または銅合金とニッケルのエッチング速度比の観点、銅めっき層(
図4中の6)が銅シード(
図4中の4)よりもエッチングが少ないという観点、ウエハへのエッチング液の濡れ広がりの良さの観点から好ましいものはアルキルアミンのEO付加物(C1)、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合体(C4)、アルキルアルコールのEO付加物の末端を変性したアニオン界面活性剤(C7)である。金属不純物が少ないという観点からアルキルアミンのEO付加物(C1)がさらに好ましく、抑泡効果の観点からエチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合体(C4)がさらに好ましい。
【0045】
オキシエチレン鎖を分子内に有する界面活性剤(C)は単独または2種以上を併用することができる。
【0046】
本発明の酸基を分子内に有するキレート剤(A)と過酸化水素(B)の重量比(A)/(B)は銅または銅合金のエッチング速度の観点から好ましくは1〜30、さらに好ましくは2〜20、特に好ましくは3〜10である。
【0047】
本発明の酸基を分子内に有するキレート剤(A)と界面活性剤(C)の重量比(A)/(C)は銅または銅合金とニッケルのエッチング速度比と泡立ちの観点から好ましくは1〜100、さらに好ましくは2〜50、特に好ましくは5〜30である。
【0048】
本発明のエッチング液は(A)、(B)、(C)を溶剤中に混合して使用することが望ましい。その溶剤としては水、アルコール、グリコールエーテル、エーテル、エステル、ケトン、カーボネート、アミド等が挙げられる。
【0049】
アルコールとしては、メタノ−ル、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセリンなどが挙げられる。
【0050】
グリコールエーテルとしては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
【0051】
エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどが挙げられる。
【0052】
エステルとしては、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0053】
ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソピロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。
【0054】
カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどが挙げられる。
【0055】
アミドとしては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
【0056】
エッチング液の溶剤として取り扱いやすさの観点から好ましいのは水である。
【0057】
本発明のエッチング液は配線金属の保護の目的で必要に応じてトリアゾール類、イミダゾール類、チオール化合物、糖アルコール類などの腐食防止剤を添加することができる。
【0058】
トリアゾール類としては、ベンゾトリアゾール、o−トリルトリアゾール、m−トリルトリアゾール、p−トリルトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、ニトロベンゾトリアゾール、ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール等が挙げられる。
イミダゾール類としては、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ベンズイミダゾールカルボン酸、イミダゾール−2−カルボン酸、イミダゾール−4−カルボン酸、イミダゾール−2−カルボキシアルデヒド、イミダゾール−4−カルボキシアルデヒド、4−イミダゾールジチオカルボン酸等が挙げられる。
チオール化合物としては、メルカプトチアゾール、メルカプトエタノール、チオグリセロール等が挙げられる。
糖アルコールとしては、エリスリトール、トレイトール、アラビニトール、キシリトール、リビトール、マンニトール、ソルビトール、マルチトイノシトール等が挙げられる。
【0059】
本発明のエッチング液は配線金属の保護の目的で必要に応じて酸化防止剤を添加することができる。
酸化防止剤としては、カテキン、トコフェロール、カテコール、メチルカテコール、エチルカテコール、tert−ブチルカテコール、没食子酸、没食子酸メチル、没食子酸プロピル等のフェノール類、3−ヒドロキシフラボン、アスコルビン酸等が挙げられる。
【0060】
本発明のエッチング液には、pH調整の目的で塩基性化合物または酸性化合物を添加することができる。
その目的で添加する塩基性化合物は、アンモニア、アミンまたはテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、含窒素複素環式化合物である。また、その目的で添加する酸性化合物は、硫酸、塩酸、硝酸、フッ化水素酸などの無機酸、酢酸などの有機酸である。
【0061】
また、エッチング速度を安定化する目的で、無機酸またはその塩を添加することが有効である。このような無機酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、フッ化水素酸などが好ましい。
【0062】
アミンとしては、脂肪族アミン、アルカノールアミン、アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミン、芳香族アミン、脂環式アミン、グアニジンなどが挙げられる。
【0063】
脂肪族アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ジメチルアミン、エチルメチルアミン、プロピルメチルアミン、ブチルメチルアミン、ジエチルアミン、プロピルエチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリメチルアミン、エチルジメチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリn−ブチルアミン等が挙げられる。
【0064】
アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−(アミノエチル)エタノールアミン、N,N−ジメチル−2−アミノエタノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール等が挙げられる。
【0065】
アルキレンジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
【0066】
ポリアルキレンポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンヘプタミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、ペンタエチレンヘキサミン等が挙げられる。
【0067】
芳香族アミンとしては、アニリン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、メチレンジアニリン、ジフェニルエーテルジアミン、ナフタレンジアミン、アントラセンジアミン等が挙げられる。
【0068】
脂環式アミンとしてはイソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン等が挙げられる。
【0069】
テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドとしては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等が挙げられる。
【0070】
含窒素複素環式化合物としては、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ビピリジン、フェナントロリン等が挙げられる。
【0071】
本発明のエッチング液は配線金属の保護の目的で必要に応じて消泡剤を添加することができる。
【0072】
消泡剤としては、シリコーン消泡剤、長鎖アルコール消泡剤、脂肪酸エステル消泡剤及び金属セッケン消泡剤等が挙げられる。前述のエチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合体(C4)も消泡剤として使用することができる。
【0073】
腐食防止剤、酸化防止剤、pH調整剤、消泡剤は単独で使用しても、2種以上併用してもよい。
【実施例】
【0074】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
【0075】
<実施例1〜7および比較例1〜5>
表1に記載したキレート剤(A)、過酸化水素(B)、界面活性剤(C)、および水をポリプロピレン製の容器中で混合して、本発明のエッチング液と比較のためのエッチング液を得た。
【0076】
【表1】
【0077】
なお、表中の記号は以下の化合物を表す。
(A−1):クエン酸
(A−2):60%1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸水溶液
(A−3):1,2−エタンジスルホン酸二水和物
(A−4):ニトリロトリスメチレンホスホン酸
(B−1):35%過酸化水素水
(C−1):ラウリルアミンのEO8モル付加物
(C−2):ラウリルアルコールのEO2.5モル付加物の硫酸エステルナトリウム塩
(C−3):ポリオキシプロピレングリコールのEO付加物(プロピレンオキサイド平均31モル、エチレンオキサイド平均45モル)
(C’−1):塩化ステアリルトリメチルアンモニウム
【0078】
性能評価として、銅のエッチング時間とニッケルのエッチング性能(エッチング量)を以下の方法で行った。
【0079】
<銅のエッチング時間>
銅のエッチング時間を、以下の操作方法で銅シード層の光沢が消失するまでの時間で評価した。
(1)シリコン基板に加工を加えて
図4の状態まで作成したウエハ(銅シード層の厚み1μm)を15mm角の正方形に切断してテストピースを作成した。なお、走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社製S−4800)でウエハを1cm各に切断したテストピースの断面を観察したところ、バンプの幅は約30μm、バンプの高さは約8μmであった。銅シード層の厚みは1μmであった。
(2)実施例1〜7および比較例1〜5で作成したエッチング液をポリプロピレン製の容器に入れて撹拌し、この中に上記のテストピースを浸漬する。
(3)液中に浸漬した状態でテストピースの表面を目視で観察し、銅シード層の全面の銅光沢が消失する(
図5の3:チタン層の全面が見える状態)までの時間を測定する。
この目的で使用される本発明のエッチング液においては、 銅光沢の消失時間が10分以内であることが好ましい。
なお、60分で光沢が消失しなかったものは、60分で浸漬を中止し、表1中には「>60」と表記した。
【0080】
<ニッケルのエッチング量>
走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社製S−4800)で、銅シード層をエッチングする前のテストピースとエッチング後のテストピースのそれぞれニッケル層の浸食の程度とその幅が確認できる側面の写真撮影をした。そして、写真画像から、銅シード層をエッチングする前のテストピースのニッケル層(
図4の7)の幅A
1(μm)と、エッチング後のテストピースのニッケル層(
図5の7)の幅A
2(μm)を測定した。エッチング前後のニッケル層の幅の差A
1−A
2が1.0μm未満のものを○、差が1.0μm以上のものを×と判定した。
【0081】
表1から明らかなように、実施例1〜7では、銅シード層のエッチングが速く、その反面、ニッケル部分のエッチングが認められず、所望のバンプを形成することができた。
一方、本発明のオキシエチレン鎖を分子内に有する界面活性剤(C)を含んでいない比較例1および比較例2は銅シード層のエッチングは速いものの、ニッケルをエッチングしてしまい、バンプが変形し、使用できなくなる。
また、本発明の本発明のキレート剤(A)の代わりに硫酸を使用した比較例3についても銅シード層のエッチングは速いものの、ニッケルをエッチングしてしまい、バンプが変形し、使用できなくなる。
本発明のキレート剤(A)を含まない比較例4については銅シード層もニッケルもエッチングしない。
過酸化水素(B)を含まない比較例5については銅シード層もニッケルもエッチングしない。