(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6101466
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/377 20060101AFI20170313BHJP
F26B 21/00 20060101ALI20170313BHJP
F26B 13/00 20060101ALI20170313BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20170313BHJP
B41F 23/04 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
B41J29/377 103
F26B21/00 B
F26B13/00 Z
B41J2/01 301
B41J2/01 125
B41F23/04 A
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-216665(P2012-216665)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-69406(P2014-69406A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(72)【発明者】
【氏名】片山 雄士
(72)【発明者】
【氏名】泰地 亮
【審査官】
大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−341399(JP,A)
【文献】
特開2009−192679(JP,A)
【文献】
特開平06−059549(JP,A)
【文献】
特開2011−104863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/377
B41F 23/04
B41J 2/01
F26B 13/00
F26B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が印刷された印刷媒体を乾燥させる乾燥部を備えた印刷装置において、
内部に中空部を有し、印刷装置の筐体の天井面に取り付けられた排気集合部と、
前記排気集合部よりも下方に設けられた前記乾燥部と前記排気集合部とを連通接続する排気管と、
前記排気管を介して前記乾燥部内の気体を前記排気集合部の内部に導入し、前記印刷装置の筐体外部へと排出する排出手段と、
前記乾燥部の外部であって印刷装置の筐体内部の気体を前記排気集合部の内部に取り込む気体取り込み手段と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記排気集合部は、その容量が、前記乾燥部から排出される気体の時間あたりの容量よりも大きく設定されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の印刷装置において、
前記排気集合部は、気体の温度を測定する排気温度測定手段をさらに備え、
前記排気温度測定手段の測定温度に応じて、前記排出手段による排出量を調整することを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷装置において、
前記排気温度測定手段による測定温度が閾値より高い場合には、前記排気手段による排出量を増加させ、前記排気温度測定手段による測定温度が閾値より低い場合には、前記排気手段による排出量を減少させる制御手段をさらに備えていることを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の印刷装置において、
前記排気集合部は、前記排出手段に近い位置に前記気体取り込み手段を備え、前記排出手段から離れた位置に前記排気管が接続されることを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の印刷装置において、
前記印刷装置の筐体は、インクジェット印刷装置の筐体であることを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の印刷装置において、
前記気体取り込み手段は、前記排気集合部の内部の前記中空部の底面に形成された吸入穴であることを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の印刷装置において、
前記排出手段は、前記排気集合部の内部の前記中空部の上面に設けられ、前記筐体の外部に連通する排気ファンであることを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク滴を吐出させて印刷媒体に印刷画像を形成するインクジェット印刷装置、凹版印刷の一種であるグラビア印刷装置、転写を用いたオフセット印刷装置などの印刷装置に係り、特に、内部の熱を排気する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、印刷媒体に印刷画像をグラビア印刷により印刷するグラビア印刷機と、グラビア印刷機に内蔵され、印刷媒体を乾燥させる乾燥室と、グラビア印刷機の全体を囲うように設けられた密閉室と、密閉室内の空気を外部へ排出する密閉室用排気管と、乾燥室内の空気を外部へ排出する乾燥室用排気管とを備えたグラビア印刷装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような構成における詳細について
図4を参照して説明する。なお、
図4は、従来例に係る排気周りの概略構成図である。
【0004】
密閉室101は、乾燥室用排気管103と、密閉室用排気管105とが設けられている。乾燥室用排気管103は、乾燥室107と配管で連通接続されている。乾燥室用排気管103は、排気ファンを内蔵し、密閉室用排気管105も同様に排気ファンを内蔵している。なお、乾燥室107内では、乾燥のための熱源が設けられているので、乾燥室用排気管103を通して排気される空気の温度が高温(例えば、80〜90℃程度)である。一方、密閉室101は、乾燥室107の空気に比較して低温(例えば、40℃程度)である。このように密閉室101と乾燥室107とで個別の排気を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−274364号公報(
図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、乾燥室用排気管103には高温の空気が流通する関係上、乾燥室用排気管103の排気ファンの回転軸に塗布されている潤滑油が短期間で劣化するので、排気ファンが短期化で寿命に達するという問題がある。この問題を解決するために耐熱性が高い排気ファンを用いることも考えられるが、耐熱性に優れる排気ファンは高価であって装置コストが高くなるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、高温の気体に起因する短寿命化を防止しつつも低コスト化を図ることができる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、画像が印刷された印刷媒体を乾燥させる乾燥部を備えた印刷装置において、
内部に中空部を有し、印刷装置の筐体の天井面に取り付けられた排気集合部と、前記排気集合部よりも下方に設けられた前記乾燥部と前記排気集合部とを連通接続する排気管と、前記排気管を介して前記乾燥部内の気体を
前記排気集合部の内部に導入し、前記印刷装置の筐体外部へと排出する排出手段と、
前記乾燥部の外部であって印刷装置の筐体内部の気体を
前記排気集合部の内部に取り込む気体取り込み手段と、を備え
たことを特徴とするものである。
【0009】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、
筐体の天井面に取り付けられた排気集合部は、
排気管を介して排気集合部に導入された乾燥部内の気体を
排出手段により印刷装置の筐体外部へ排出する。また、排気集合部は、乾燥部内の気体よりも温度が低い印刷装置の筐体内部の気体を気体取り込み手段により取り込むので、排気集合部内に導入された乾燥部内の高温の気体の温度が低下する。したがって、排出手段を通過する気体は乾燥部の気体よりも温度が低下しているので、排出手段に対する乾燥部からの高温の気体による影響を軽減でき、高温の気体に起因する短寿命化を防止することができる。また、排気手段に対して高温対策が不要であるので、低コスト化を図ることができる。
【0010】
また、本発明において、前記排気集合部は、その容量が、前記乾燥部から排出される気体の時間あたりの容量よりも大きく設定されていることが好ましい(請求項2)。
【0011】
排気集合部の容量を大きくすることにより、効率よく乾燥部からの気体を取り込んで、低温の気体と混合させることができる。したがって、効率的に乾燥部からの気体の温度を低下させることができる。
【0012】
また、本発明において、前記排気集合部は、気体の温度を測定する排気温度測定手段をさらに備え、前記排気温度測定手段の測定温度に応じて、前記排出手段による排出量を調整することが好ましい(請求項3)。
【0013】
排気温度測定手段を備えているので、排気集合部の気体の温度状態を判断することができる。したがって、その測定温度に応じて排出手段による排出量を調整することにより、乾燥部からの気体の状態に応じて適切な排気を行うことができる。
【0014】
また、本発明において、前記排気温度測定手段による測定温度が閾値より高い場合には、前記排気手段による排出量を増加させ、前記排気温度測定手段による測定温度が閾値より低い場合には、前記排気手段による排出量を減少させる制御手段をさらに備えていることが好ましい(請求項4)。
【0015】
制御手段は、測定温度が閾値より高い場合には、排気手段による排出量を増加させ、測定温度が閾値より低い場合には、排気手段による排出量を減少させる。したがって、排気集合部における乾燥部の気体の温度を確実に下げることができる。
【0016】
また、本発明において、前記排気集合部は、前記排出手段に近い位置に前記気体取り込み手段を備え、前記排出手段から離れた位置に前記
排気管が接続されることが好ましい(請求項5)。
【0017】
温度が高い気体を排出手段から離れた位置に取り込み、温度が低い気体を排出手段に近い位置に取り込むので、温度の高い気体が温度の低い気体と混合されてから排出手段を通ることになる。したがって、排出手段への温度の影響を抑制できる。
【0018】
また、本発明において、前記印刷装置の筐体は、インクジェット印刷装置の筐体であることが好ましい(請求項6)。
【0019】
インクジェット印刷装置は、印刷媒体に打滴されたインクを乾燥させるために乾燥部に熱源が設けられている。したがって、熱源からの高温の気体による排出手段への影響が強いので、効果が期待できる。
【0020】
また、本発明において、前記気体取り込み手段は、前記排気集合部の内部の前記中空部の底面に形成された吸入穴であることが好ましい(請求項7)。
【0021】
また、本発明において、前記排出手段は、前記排気集合部の内部の前記中空部の上面に設けられ、前記筐体の外部に連通する排気ファンであることが好ましい(請求項8)。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る印刷装置によれば、
筐体の天井面に取り付けられた排気集合部は、
排気管を介して排気集合部に導入された乾燥部内の気体を
排出手段により印刷装置の筐体外部へ排出する。また、排気集合部は、乾燥部内の気体よりも温度が低い印刷装置の筐体内部の気体を気体取り込み手段により取り込むので、排気集合部内に導入された乾燥部内の高温の気体の温度が低下する。したがって、排出手段を通過する気体は乾燥部の気体よりも温度が低下しているので、排出手段に対する乾燥部からの高温の気体による影響を軽減でき、高温の気体に起因する短寿命化を防止することができる。また、排気手段に対して高温対策が不要であるので、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施例に係るインクジェット印刷システムの概略構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
図1は、実施例に係るインクジェット印刷システムの概略構成を示す側面図であり、
図2は、本発明の要部を示す図である。
【0025】
実施例に係るインクジェット印刷システムは、給紙部1と、インクジェット印刷装置3と、排紙部5とを備えている。
【0026】
給紙部1は、ロール状の連続紙WPを水平軸周りに回転可能に保持し、インクジェット印刷装置3に対して連続紙WPを巻き出して供給する。インクジェット印刷装置3は、連続紙WPに対して印刷を行う。排紙部5は、インクジェット印刷装置3で印刷された連続紙WPを水平軸周りに巻き取る。連続紙WPの供給側を上流とし、連続紙WPの排紙側を下流とした場合、給紙部1はインクジェット印刷装置3の上流側に配置され、排紙部5はインクジェット印刷装置3の下流側に配置されている。
【0027】
なお、上記の連続紙WPが本発明における「印刷媒体」に相当する。
【0028】
インクジェット印刷装置3は、給紙部1からの連続紙WPを取り込むための駆動ローラ7を上流側に備えている。駆動ローラ7によって給紙部1から巻き出された連続紙WPは、複数個の搬送ローラ9に沿って下流側の排紙部5に向かって搬送される。最下流の搬送ローラ9と排紙部5との間には、駆動ローラ11が配置されている。この駆動ローラ11は、搬送ローラ9上を搬送されている連続紙WPを排紙部5に向かって送り出す。
【0029】
インクジェット印刷装置3は、駆動ローラ7と駆動ローラ11との間に、上流側から下流側に向かって、印刷ユニット13と、乾燥部15とをその順に備えている。印刷ユニット13は、インク滴を吐出して連続紙WPに対して画像を印刷する。この例では、印刷ユニット13が連続紙WPの搬送方向に沿って2個配置されている。
【0030】
また、インクジェット印刷装置3は、上述した駆動ローラ7と、搬送ローラ9と、駆動ローラ11と、印刷ユニット13と、乾燥部15とを囲う筐体17を備えている。
【0031】
乾燥部15は、インク滴が吐出されて印刷画像が形成された連続紙WPを乾燥させる。乾燥部15は、例えば、熱源を備えたヒートドラム19を設けられており、連続紙WPをヒートドラム19に接触させることにより、連続紙WPに打滴されたインク滴を乾燥させる。
【0032】
乾燥部15の上方に相当する筐体17の天井面には、排気集合部21が取り付けられている。この排気集合部21は、内部に中空部を有する箱状を呈する。排気集合部21の内部容量は、乾燥部15から排出される気体の時間あたりの容量よりも大きく設定されていることが好ましい。これにより、効率よく乾燥部15からの気体を取り込んで、低温の気体と混合させることができ、効率的に乾燥部15からの気体の温度を低下させることができる。排気集合部21は、例えば、6個の排気ファン23がその上面に設けられている。6個の排気ファン23は、隣接する排気ファン同士が側面を密着させるようにひとかたまりとされ、平面視にて排気集合部21の右側よりに取り付けられている。6個の排気ファン23は、排出側が筐体17の外部に連通し、吸気側が排気集合部21の内部に連通している。
【0033】
排気集合部21の底面右側には、例えば、5個の吸入穴25が形成されている。これらの吸入穴25は、排出側が排気集合部21の内部に連通し、吸入側が筐体17内部に連通している。吸引穴25は、筐体17に備えられた図示しない電装系を冷却するため、また印刷ユニット13によるインク吐出時に連続紙WPに付着せずミストとなったインクを除去するため、あるいは連続紙WPを搬送することによって生じた筐体17内に浮遊する紙粉を除去するため筐体17内の気体を吸引するが、その気体の温度は、例えば、40℃程度で比較的低温である。排気集合部21の底面左側には、例えば、3個の吸引口27が形成されている。上述した5個の吸入穴25は、排気ファン23に近い位置に設けられ、一方、上述した3個の吸引口27は、5個の吸引穴25に比較して、排気ファン23から離れた位置に設けられている。
【0034】
なお、上述した5個の吸入穴25が本発明における「気体取り込み手段」に相当し、排気ファン23が本発明における「排出手段」に相当する。
【0035】
3個の吸引口27には、乾燥部1
5の内部に連通した3本の排気管29の一端側(排気側)が連通接続されている。3本の排気管29の他端側(吸引側)は、乾燥部15の内部に連通接続されている。乾燥部15は、内部にヒートドラム19を備えているので、排気管29を流通する気体は、例えば、80〜90℃であり、吸引穴25から吸引される筐体17内の気体に比較して高温になっている。
【0036】
排気集合部21は、その内部に温度センサ31が配置されている。具体的には、5個の排気ファン23の中央部付近であって、吸引口27から離れた位置に温度センサ31が取り付けられている。これは、排気集合部21内において、吸入穴25からの比較的低温である気体と、吸引口27からの比較的高温である気体とが混合された状態である気体の温度を測定するためである。
【0037】
なお、上述した温度センサ31が本発明における「排気温度測定手段」に相当する。
【0038】
6個の排気ファン23は、制御部33によって操作される。制御部33は、CPUや制御出力部を備えている。また、制御部33は、閾値メモリ35が接続されている。閾値メモリ35は、後述する排気ファンの動作制御の判断のために用いられ、予め設定されている。制御部33は、温度センサ31からの温度に係る出力信号を定期的に受信し、その温度と閾値メモリ35の閾値とを比較する。そして、温度が閾値以上である場合には、制御部33は、排気ファン23の回転数を増加させて風量を増加させる一方、温度が閾値より小さい場合には、排気ファン23の回転数を減少させて風量を減少させるという操作を行って排気集合部21からの排気風量を制御する。
【0039】
なお、上述した制御部33が本発明における「制御手段」に相当する。
【0040】
次に、
図3を参照して、上述したインクジェット印刷システムの動作のうち、排気に係る動作について説明する。なお、
図3は、排気動作を示すフローチャートである。ここでは、既にインクジェット印刷システムの電源がオンにされ、印刷可能な状態にされつつある状態から説明する。
【0041】
ステップS1
制御部33は、インクジェット印刷装置3の電源がオンされた時点から、排気ファン23を動作させ始める。
【0042】
ステップS2〜S5
制御部33は、温度センサ31からの出力信号を受信し(ステップS2)、その出力信号に相当する温度と、閾値メモリ35内の閾値とを比較する(ステップS3)。そして、温度が閾値以上である場合には、排気ファン23の回転数を増加させて風量を増加させる(ステップS4)。一方、温度が閾値未満である場合には、排気ファン23の回転数を減少させて風量を減少させる(ステップS5)。
【0043】
ステップS6,S7
制御部33は、インクジェット印刷装置3の電源状態に応じて処理を分岐する。つまり、電源がオンのままである場合には、ステップS2に戻り、排気ファン23の風量制御を継続し、電源がオフとされた場合には、所定時間だけ排気ファン23を回転させた後、排気ファン23を停止させる(ステップS7)。
【0044】
本実施例によると、排気集合部21は、排気ファン23により乾燥部15内の気体をインクジェット印刷装置3の筐体17外部へ排出する。また、排気集合部21は、乾燥部15内の気体よりも温度が低いインクジェット印刷装置3の筐体17内部の気体を吸入穴25により取り込むので、排気集合部21内に導入された乾燥部15内の高温の気体の温度が低下される。したがって、排気ファン23を通過する気体は乾燥部15の気体よりも温度が低下しているので、排出ファン23に対する乾燥部15からの高温の気体による影響を軽減でき、高温の気体に起因する短寿命化を防止することができる。また、排気ファン23に対して高温対策が不要であるので、低コスト化を図ることができる。
【0045】
また、排気集合部21が温度センサ31を備えているので、排気集合部21の気体の温度状態を判断することができる。したがって、その測定温度に応じて排出ファン23による排出量を調整することにより、乾燥部15からの気体の状態に応じて適切な排気を行うことができる。
【0046】
また、制御部33は、測定温度が閾値より高い場合には、排気ファン23による排出量を増加させ、測定温度が閾値より低い場合には、排気ファン23による排出量を減少させる。したがって、排気集合部21における乾燥部15の気体の温度を確実に下げることができる。
【0047】
また、排気集合部21は、温度が高い気体を排出ファン23から離れた位置に取り込み、温度が低い気体を排出ファン23に近い位置に取り込むので、温度の高い気体が温度の低い気体と混合されてから排出ファン23を通ることになる。したがって、排出ファン23への温度の影響を抑制できる。
【0048】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0049】
(1)上述した実施例では、排気ファン23の回転数を調整するように構成したが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、一定の回転数で排気ファン23を常時回転させるようにしてもよい。その場合には、温度センサ31と制御部33等を省略できるので、コストを抑制することができる。
【0050】
(2)上述した実施例では、排出量を調整させるための制御部33についてコンピュータで実現するような記載を行っているが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、制御部33に代えてサーモスタットを用いるようにしてもよい。これによりコストを抑制することができる。
【0051】
(3)上述した実施例では、排気集合部21の内部容量が乾燥部15から排出される気体の時間あたりの容量よりも大きく設定されている。しかしながら、本発明は、排気集合部21の容量をそのように限定するものではない。
【0052】
(4)上述した実施例では、排気集合部21は、温度が高い気体を排出ファン23から離れた位置に取り込み、温度が低い気体を排出ファン23に近い位置に取り込むように構成したが、本発明はそのような構成に限定されるものではない。例えば、高温の気体の温度が低温の気体で十分に低下されるのであれば、上記位置関係を逆にした排気集合部21としてもよい。
【0053】
(5)上述した実施例では、印刷装置としてインクジェット印刷装置3を例示したが、本発明は印刷装置であれば、インクジェット印刷装置3に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0054】
1 … 給紙部
3 … インクジェット印刷装置
5 … 排紙部
15 … 乾燥部
17 … 筐体
19 … ヒートドラム
21 … 排気集合部
23 … 排気ファン
25 … 吸入穴
27 … 吸引口
29 … 排気管
31 … 温度センサ
33 … 制御部
35 … 閾値メモリ