(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6101502
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 1/00 20060101AFI20170313BHJP
【FI】
B23Q1/00 G
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-24216(P2013-24216)
(22)【出願日】2013年2月12日
(65)【公開番号】特開2014-151406(P2014-151406A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087099
【弁理士】
【氏名又は名称】川村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100063174
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 功
(74)【代理人】
【識別番号】100124338
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 健
(72)【発明者】
【氏名】野宮 進
【審査官】
山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−218497(JP,A)
【文献】
特開2011−183403(JP,A)
【文献】
特開2002−154135(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0128915(US,A1)
【文献】
特開2008−272872(JP,A)
【文献】
特開2011−218450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 1/00,
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する加工テーブルと、該加工テーブルに保持される被加工物を加工する加工手段と、該加工手段による加工状態を表示する表示モニタに含まれ該加工手段の動作条件を入力する操作画面と、により少なくとも構成される加工装置において、
該加工装置は、該操作画面を操作する操作エリアと被加工物を加工する加工エリアとに区分され、該加工エリアは装置ハウジングによって覆われており、
該操作エリアで該操作画面の操作を可能とする第1の操作位置と該加工エリアで該操作画面の操作を可能とする第2の操作位置との間で該表示モニタを移動させる移動手段を備え、
該移動手段は、表示モニタの一端に連結され水平方向に回転可能なヒンジであり、
該表示モニタは、該第1の操作位置においては該装置ハウジングの前面に現れ、該第2の操作位置においては該装置ハウジングの側面に背を向けた状態となり、
該表示モニタを該操作エリアと該加工エリアとのどちらにおいても操作可能とした加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置を動作させるために操作される操作パネルを備えた加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被加工物を加工する加工装置には、被加工物を保持する保持面を有する加工テーブルと、加工テーブルに保持された被加工物に加工を施す加工手段を少なくとも備えている。また、前面側に加工手段を動作させるためのフロント操作パネルが配設されている加工装置の通常使用時には、フロント操作パネルにおける加工開始ボタンを押すことにより、加工手段が作動して被加工物が加工される。
【0003】
加工手段に装着された加工具の交換時には、加工手段を操作する必要があるが、この加工手段は、加工装置において上記フロント操作パネルが配設されている部分(装置の前面側)から離れた部分に配設されていることが多い。そのため、上記フロント操作パネルのほかに加工手段の加工具などを交換するためのメンテナンス用の操作パネルを装置に設置する必要がある。この操作パネルは、例えば、装置の修理、点検、加工具の交換などを実施する際に使用される。
【0004】
また、下記の特許文献1に示す加工装置には、加工装置の操作領域にフロント操作パネルの操作手順やエラーに関する情報等を表示する表示モニタが配設され、加工装置の作業領域の任意の位置に装置コネクタが配設されている。加工装置のメンテナンス時には、操作パネルを有する持ち運び可能なモニタを装置コネクタに接続することによってフロント操作パネルを使用不能にするとともに、上記表示モニタに表示されていた情報を持ち運び可能なモニタに表示した後、オペレータが操作パネルを操作して加工装置の動作を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−48059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記したような加工装置においては、加工手段を操作するフロント操作パネルと、メンテナンス用の操作パネルといった2つの操作パネルを配置しているため、オペレータがそれぞれの操作パネルを必要に応じて使い分けなければならず、オペレータの操作負担が大きいという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の事情にかんがみてなされたものであり、加工装置において操作パネルをの操作負担を軽減することに発明の解決すべき課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、被加工物を保持する加工テーブルと、該加工テーブルに保持される被加工物を加工する加工手段と、該加工手段による加工状態を表示する表示モニタに含まれ該加工手段の動作条件を入力する操作画面と、により少なくとも構成される加工装置において、該加工装置は、該操作画面を操作する操作エリアと被加工物を加工する加工エリアとに区分され、
該加工エリアは装置ハウジングによって覆われており、該操作エリアで該操作画面の操作を可能とする第1の操作位置と該加工エリアで該操作画面の操作を可能とする第2の操作位置との間で該表示モニタを移動させる移動手段を備え、
該移動手段は、表示モニタの一端に連結され水平方向に回転可能なヒンジであり、該表示モニタは、該第1の操作位置においては該装置ハウジングの前面に現れ、該第2の操作位置においては該装置ハウジングの側面に背を向けた状態となり、該表示モニタを該操作エリアと該加工エリアとのどちらにおいても操作可能としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる加工装置は、移動手段によって、加工装置の通常使用時には、表示モニタを操作エリアで操作画面の操作を可能とする第1の操作位置に移動させることができ、加工装置のメンテナンス時には、表示モニタを加工エリアで操作画面の操作を可能とする第2の操作位置に移動させることができる。
したがって、操作エリアと加工エリアとの両エリアにおいて表示モニタに含まれる操作画面を操作することができるため、加工装置に2つの表示モニタを別々に配置する必要がなく、操作画面の切り替えもする必要がなくなる。これにより、オペレータによる加工装置の操作負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の操作位置に操作パネルが移動された加工装置の構成を示す正面側から見た斜視図である。
【
図2】第2の操作位置に操作パネルが移動された加工装置の構成を示す背面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示す加工装置1は、Y軸方向にのびる装置ベース2と、被加工物の加工が行われる領域を内部側に設けた装置ハウジング9とを有している。装置ベース2の上面3には、Y軸方向に移動可能な移動基台4が配設されており、加工テーブル6は、被加工物を保持する保持面5を有し、自転可能となっている。加工テーブル6は、蛇腹7の伸縮をともなって水平方向(Y軸方向)に移動可能となっている。
【0012】
装置ベース2の上面3の後部側には、鉛直方向にのびるコラム8が立設されており、コラム8の側方において被加工物を研削加工する加工手段10が加工送り手段20を介して昇降可能に支持されている。加工手段10は、鉛直方向の軸心を有するスピンドル11と、スピンドル11を保持するホルダ12と、スピンドル11に接続されたモータ13と、スピンドル11の下端においてマウント14を介して装着されたホイール15と、ホイール15の下部において環状に固着された砥石16と、により構成されている。加工手段10は、モータ13を駆動することによりホイール15を所定の速度で回転させることができる。
【0013】
加工送り手段20は、Z軸方向にのびるボールネジ21と、ボールネジ21の一端に接続されたモータ22と、ボールネジ21と平行にのびる一対のガイドレール23と、内部に備えたナットがボールネジ21に螺合するとともに側部がガイドレール23に摺接しホルダ12が固定された昇降板24と、を備えている。加工送り手段20は、モータ22によって駆動されてボールネジ21が回動し、一対のガイドレール23に沿って昇降板24をZ軸方向に移動させることにより、昇降板24に連結された加工手段10を昇降させることができる。
【0014】
装置ハウジング9の前面には、加工手段10による加工状態を表示する表示モニタ30が配設されている。表示モニタ30には、加工手段10の動作条件を入力するための操作画面である操作パネル31が複数含まれている。操作パネル31は、タッチパネルにより構成されていることが望ましい。なお、操作パネル31は、加工手段10の制御のほか、加工装置1のメンテナンスとして、例えば加工テーブル6の交換、砥石16の交換、砥石16の交換にともなって加工手段10の高さ制御のための基準位置の設定を行うセットアップ、砥石16のドレス(目立て)等を行う際に作業者であるオペレータによって操作される。
【0015】
加工装置1は、装置ハウジング9の内部側において被加工物に加工を行う加工エリアP1と、装置ハウジング9の前面側においてオペレータによって操作パネル31を操作する操作エリアP2とに区分されている。表示モニタ30の一端には、Z軸方向の軸心を有し回転可能なヒンジ34が連結されている。そして、ヒンジ34を回転させることによって、表示モニタ30を加工エリアP1と操作エリアP2との間で移動させることができる。
【0016】
以下では、加工装置1における表示モニタ30の操作について説明する。なお、研削の対象となる被加工物は、特に限定されるものではなく、例えば円形のウエーハを使用することができる。
【0017】
加工装置1を通常使用するときは、
図1に示すように、表示モニタ30をあらかじめ第1の操作位置32に移動させる。第1の操作位置32とは、操作エリアP2においてオペレータが操作パネル31を操作できる位置であり、ヒンジ34を右回りに回転することによって表示モニタ30が装置ハウジング9の前面に現れた状態を指す。
【0018】
第1の操作位置32に表示モニタ30が移動したら、オペレータが操作パネル31を操作して、加工手段10の加工動作の条件を入力する。なお、加工動作の条件は、スピンドル11の回転速度、加工手段10が研削すべき被加工物の厚みおよび加工送り手段20による加工手段10の加工送り速度等である。
【0019】
オペレータが操作パネル31を操作した後、加工装置1が作動する。加工テーブル6に被加工物が保持されたら、蛇腹7の伸縮をともなって加工テーブル6が加工手段10の下方に移動する。
【0020】
次いで、スピンドル11を回転させるとともに、加工送り手段20によってホイール15に固着された砥石16を加工テーブル6に保持された被加工物に接触するまで下降させる。そして、あらかじめ操作パネル31から入力され加工手段10に設定された厚みに至るまで砥石16によって被加工物を研削させる。
【0021】
被加工物が所定の厚みに研削された後は、加工送り手段20によって加工手段10を上昇させ、加工テーブル6に保持された被加工物から砥石16を離反させる。このようにして、加工装置1による被加工物に対する加工動作が終了する。
【0022】
次に、加工装置1のメンテナンスをするときは、
図1に示す表示モニタ30を第1の操作位置32から
図2に示す第2の操作位置33に移動させる。第2の操作位置33とは、加工エリアP1においてオペレータが操作パネル31を操作できる領域であり、ヒンジ34を左回りに回転させることによって表示モニタ30が装置ハウジング9の側面側を背にして移動された状態を指す。
【0023】
例えば、砥石16を新たな砥石と交換する際には、第2の操作位置33に移動された表示モニタ30においてオペレータが操作パネル31を操作し、加工手段10のスピンドル11を上昇させるとともにスピンドル11からホイール15を外す。そして、ホイール15を新たなものに交換した後、オペレータが操作パネル31を操作することにより加工手段10のセットアップを実施する。
【0024】
以上のように、表示モニタ30には、回転可能なヒンジ34が連結されているため、加工装置1の通常使用時には、ヒンジ34を右回りに回転させることにより表示モニタ30を操作エリアP2で操作パネル31の操作を可能とする第1の操作位置32に移動させることができ、加工装置1のメンテナンス時には、ヒンジ34を左回りに回転させることにより表示モニタ30を加工エリアP1で操作パネル31の操作を可能とする第2の操作位置33に移動させることができる。すなわち、ヒンジ34は、第1の操作位置32と第2の操作位置33との間で表示モニタ30を移動させる移動手段として機能する。
したがって、操作エリアP2と加工エリアP1との両エリアにおいて表示モニタ30に含まれる操作パネル31を操作することができるため、加工装置1に2つの表示モニタを別々に配置する必要がなく、操作パネルの切り替えもする必要がなくなる。これにより、オペレータによる加工装置の操作負担を軽減することができる。
【0025】
なお、第1の操作位置32と第2の操作位置33との間で表示モニタ30を移動させる移動手段は、ヒンジ34には限定されない。
【符号の説明】
【0026】
1:加工装置 2:装置ベース 3:上面 4:移動基台 5:保持面
6:加工テーブル 7:蛇腹 8:コラム 9:装置ハウジング
10:加工手段 11:スピンドル 12:スピンドルハウジング
13:モータ 14:マウンタ 15:ホイール 16:砥石
20:加工送り手段 21:ボールネジ 22:モータ 23:ガイドレール
24:昇降板
30:表示モニタ 31:操作パネル 32:第1の操作位置 33:第2の操作位置
34:ヒンジ(移動手段)