特許第6102015号(P6102015)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6102015
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】フラワーペースト類及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 9/20 20160101AFI20170316BHJP
   A23G 3/00 20060101ALI20170316BHJP
   A23G 3/34 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   A23L9/20
   A23G3/00
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-245499(P2012-245499)
(22)【出願日】2012年11月7日
(65)【公開番号】特開2014-93947(P2014-93947A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2015年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100143856
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 廣己
(72)【発明者】
【氏名】若松 義夫
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 和洋
【審査官】 西村 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/130611(WO,A1)
【文献】 特開2010−268751(JP,A)
【文献】 特開2010−075138(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0136199(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 9/
A23L 7/
A23G
A21D
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
CA/WPIDS/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワキシースターチ由来の澱粉を1質量%以上4質量%未満、及び、ガラクトマンナンを0.01〜0.1質量%含有し、油分含量が20質量%超35質量%以下であり、水分含有量が30〜70質量%であり、糖分含有量が5〜45質量%であることを特徴とするブレークダウンが抑制されたシート状のロールイン用フラワーペースト類。
【請求項2】
ワキシースターチ由来の澱粉が糊化膨潤抑制澱粉であることを特徴とする請求項1記載のフラワーペースト類。
【請求項3】
ワキシースターチ由来の澱粉以外のその他の澱粉の含有量が3質量%未満であるか、あるいはガラクトマンナン以外のその他の増粘安定剤の含有量がガラクトマンナンの含有量の50質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフラワーペースト類。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項記載のフラワーペースト類の製造方法であって、食用油脂、ワキシースターチ由来の澱粉及びガラクトマンナンを含有するフラワーペースト原料を、均質化処理した後、掻き取り式加熱装置により加熱し、冷却することを特徴とするフラワーペースト類の製造方法。
【請求項5】
ワキシースターチ由来の澱粉及びガラクトマンナンを油相中に分散させる工程を含むことを特徴とする請求項4記載のフラワーペースト類の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプレッド性や伸展性が良好であり、且つ、冷蔵耐性及び冷凍耐性が良好である、フラワーペースト、カスタード等のフラワーペースト類に関する。また、本発明は、該特徴を有するフラワーペースト類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フラワーペーストや、カスタード等の澱粉の糊化によるボディーを有するフラワーペースト類は、パン類や菓子類のトッピング、フィリングとして広く利用されてきた。このフラワーペースト類は、一般的に、小麦粉や穀物澱粉等の澱粉類と、ミルク、砂糖、卵、水等の水性原料を混合した後、加熱して糊化させることによって得られるもので、一般に粘弾性に富んだ物性と食感を示す。
しかし、フラワーペースト類を冷蔵保管した場合は、糊化澱粉が老化することで水分分離を起こすという問題があり、また、冷凍した場合は氷結晶の成長による澱粉ゲルの破壊により、解凍時に激しい水分分離を起こす問題がある。
【0003】
ここで最近では、フラワーペースト類をシート状に成型してベーカリー生地に折込むロールイン用途や、ベーカリー製品への塗布用途等の様々な用途に用いられるようになり、従来の粘弾性に富んだ物性ではなく、スプレッド性や伸展性に富んだ物性が求められることが多くなってきている。この場合、一般的には油分含量が高い配合とすることで伸展性やスプレッド性を付与するが、上記冷蔵保管時、あるいは冷凍・解凍時に乳化破壊による油分分離を起こすなど、乳化安定性が問題となっていた。
澱粉の老化を抑制し、乳化安定性を高めるための基本配合は、老化の原因であるアミロースを含有しないワキシースターチ(アミロペクチン含量の高い澱粉)由来の澱粉を使用することである。
また、リン酸架橋澱粉などの糊化膨潤力が抑制された澱粉(膨潤抑制澱粉)を使用する方法も用いられる。
更には、老化の原因となる澱粉の配合量を大幅に減らし、各種増粘安定剤や乳化剤などの乳化成分の増量による物性改善を行う方法などが行われている。
【0004】
しかし、ワキシースターチ由来の澱粉は糊化時の粘度が極めて高いがブレークダウンしやすいという特徴があり、そのためフラワーペースト類の製造時に安定した製造の制御が難しいという問題がある。特にブレークダウンした澱粉を使用して得られたフラワーペースト類は、ねちゃついた不良な物性や食感になってしまい、更には、包材剥離性も悪化してしまうことに加え、特に、油分含量の高いフラワーペースト類である場合は、冷蔵保管時、あるいは冷凍・解凍時に、乳化破壊による油分分離を起こす問題もある。
また、膨潤抑制澱粉を使用する方法は、糊化度の低い澱粉は老化しにくいという原則を利用したものであるが、そのため、十分な伸展性やスプレッド性を得られないという問題があることに加え、ざらついた食感になり、滑らかな食感が得られないおそれがあった。
更に、澱粉含量を減じ、増粘安定剤や乳化剤の増量を行う方法では、曳糸性や粘つきのある物性や食感になってしまい、ボディー感のあるフラワーペースト類の物性や食感が得られなくなってしまうことに加え、食味に違和感を生じる場合もある。
そのため、油分含量の高い、冷蔵耐性及び冷凍耐性を高めたフラワーペースト類を得るには、従来は、リン酸架橋などの膨潤抑制化工を施した澱粉を使用し、ブレークダウンしても一定の物性が出るように澱粉含量を高めることで製造安定性を高め、更に乳化安定性を高めるために増粘安定剤や乳化剤含量を増量する方法が行われていた。
【0005】
しかし、それでも、高温・長時間加熱条件下での攪拌や、過度の攪拌などの激しいシェアストレスがかかるような製造条件、例えば掻き取り式加熱装置を使用して製造する場合などでは、澱粉がブレークダウンしてしまう問題があった。この現象は、ワキシーコーンスターチ等のワキシースターチ由来の澱粉を使用した場合は、上記のような特性のために特に顕著であり、たとえリン酸架橋などの化工を施した化工澱粉を使用した場合であっても防止することができず、大きな問題となっていた。
そのため、ワキシーコーンスターチ等のワキシースターチ由来の澱粉を使用したフラワーペースト類を、掻き取り式加熱装置を使用して製造することは行われていなかった。
なお、上記の現象は、ワキシースターチ以外の由来の澱粉を使用することで改善可能であるが、油分の多いフラワーペースト類では冷蔵時、あるいは冷凍・解凍時に乳化安定性が悪く、油分分離を起こす問題があった。
【0006】
もちろん、昔から澱粉、特にワキシーコーンスターチ等のワキシースターチ由来の澱粉に対し、上記シェアストレスへの耐性や冷蔵・冷凍耐性を付与する方法は様々な方法が提案されている。
例えば、卵黄でコーティングした澱粉を使用する方法(例えば特許文献1参照)、ワキシーコーン由来の親油性澱粉を使用する方法(例えば特許文献2参照)、澱粉表面を増粘剤でコーティングした後に乾熱処理した澱粉を使用する方法(例えば特許文献3参照)、ワキシーコーン生澱粉に脱アシル化ジェランガムとカルシウム塩を併用する方法(例えば特許文献4参照)、小粒子澱粉を併用する方法(例えば特許文献5参照)、ワキシーコーンの化工澱粉と、それ以外の化工澱粉を併用する方法(例えば特許文献6参照)が提案されている。
【0007】
しかし、卵黄を使用する方法は、油分を含有しないか、又は低油分のフラワーペースト類の発明であり、伸展性やスプレッド性が十分ではなく、また油分含量を増加させると急激に乳化安定性が悪化するため冷蔵耐性や冷凍耐性が得られないという問題がある。
ワキシーコーン由来の親油性澱粉を使用する方法は乳化性が高まることで冷蔵耐性や冷凍耐性は改善されるが、シェアストレスへの耐性に対しては殆ど改善されていないという問題がある。
澱粉表面を増粘剤でコーティングした後に乾熱処理した澱粉を使用する方法は、架橋澱粉と同等の澱粉を、生澱粉を使用して製造するという発明であり、製造が煩雑であるわりには架橋澱粉に比べてシェアストレスに対する効果が低いという問題があった。
【0008】
ワキシーコーン生澱粉に脱アシル化ジェランガムとカルシウム塩を併用する方法もまた、架橋澱粉と同等の澱粉を、生澱粉を使用して製造するという発明であり、架橋澱粉に比べてシェアストレスに対する効果が低いという問題があった。
小粒子澱粉を併用する方法は、ブレークダウンしやすい澱粉としにくい澱粉を併用することによる効果であるため、その効果は低く、冷蔵・冷凍耐性はむしろ悪化してしまう問題があった。
ワキシーコーンの化工澱粉とそれ以外の化工澱粉を併用する方法もまた、ブレークダウンしやすい澱粉としにくい澱粉を併用することによる効果であるため、その効果は低く、特に油分含量を増加させると急激に乳化安定性が悪化するため冷蔵耐性や冷凍耐性が得られないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平02−031647号公報
【特許文献2】特開2001−211850号公報
【特許文献3】特開2005−054028号公報
【特許文献4】特開2005−102617号公報
【特許文献5】特開2008−228661号公報
【特許文献6】特開2010−268751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、掻き取り式加熱装置のようなシェアストレスの高い加熱装置を使用して製造した場合であっても、ボディー感のある滑らかな物性及び食感であり、十分な伸展性やスプレッド性を有し、更に十分な冷蔵耐性及び冷凍耐性を有し、包材剥離性も良好であるフラワーペースト類を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、上記目的を達成すべく、ワキシーコーンスターチ等のワキシースターチ由来の澱粉を使用したフラワーペーストを製造する際のブレークダウン現象について種々検討した結果、特定の増粘安定剤を使用した場合に、粘度に関係なくブレークダウンが抑制され、更に油脂含量が高い配合の場合に澱粉含量を低減しても高い乳化安定性を維持していることを見出した。
【0012】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、ワキシースターチ由来の澱粉を1質量%以上4質量%未満、及び、ガラクトマンナンを0.01〜0.1質量%含有し、油分含量が20質量%超35質量%以下であることを特徴とするブレークダウンが抑制されたロールイン用フラワーペースト類を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、上記フラワーペースト類の製造方法であって、食用油脂、ワキシースターチ由来の澱粉及びガラクトマンナンを含有するフラワーペースト原料を、均質化処理した後、掻き取り式加熱装置により加熱し、冷却することを特徴とするフラワーペースト類の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、油脂の含有量が多い場合、特に20質量%超であっても、また、澱粉、増粘安定剤や乳化剤の含有量を低減した場合であっても、良好な物性及び食感を有し、乳化安定性が良好で、十分な冷蔵耐性及び冷凍耐性を有し、包材剥離性も良好であるフラワーペースト類を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のフラワーペースト類について詳述する。
本発明のフラワーペースト類は、ワキシースターチ由来の澱粉、及び、ガラクトマンナンを含有し、油脂の含有量が5〜45質量%であることを特徴とする。
なお、フラワーペースト類とは、澱粉類が糊化した糊化澱粉によるボディーを有するものであり、例えば、フラワーペースト、カスタード等が挙げられる。
【0016】
ここでまず、上記ワキシースターチ由来の澱粉について述べる。
ワキシースターチとはアミロペクチン含有量の高い澱粉であり、例えばタピオカ澱粉、ワキシーコーンスターチ、餅米澱粉を挙げることができる。なお、本発明においては、アミロペクチン含有量が85質量%以上であるものをワキシースターチとするが、冷蔵保管の点では、ワキシーコーンスターチ及び/又は餅米澱粉が好ましい。
本発明では、ワキシースターチ由来の澱粉が、上記ワキシースターチそのものであってもよく、また、それらの化工澱粉であってもよいが、本発明では、上記ワキシースターチ由来の澱粉は化工澱粉であることが好ましく、膨潤抑制澱粉であることが更に好ましく、糊化膨潤抑制澱粉であることが特に好ましい。
【0017】
上記糊化膨潤抑制澱粉とは、澱粉を加熱糊化した際に澱粉粒子の膨潤が抑制されて澱粉粒形を残存させるように何らかの方法で加工した化工澱粉を、更に糊化して得られるものである。
即ち、この糊化膨潤抑制澱粉は、糊化澱粉であるにもかかわらず澱粉粒形を存置している点に特徴がある。
上記糊化膨潤抑制澱粉としては、具体的には、糊化架橋澱粉、糊化湿熱処理澱粉、糊化乳化剤処理澱粉等が挙げられるが、本発明では、糊化架橋澱粉であることが好ましく、なかでも糊化リン酸架橋澱粉であることが特に好ましい。
【0018】
本発明のフラワーペースト類では、上記ワキシースターチ由来の澱粉の含有量の下限は好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上である。また、上限についてはブレークダウンによる粘度低下や乳化安定性を見込んだ澱粉含量の増量が必要ないことから、好ましくは6質量%未満、より好ましくは4質量%未満である。
【0019】
本発明のフラワーペースト類では、上記ワキシースターチ由来の澱粉以外のその他の澱粉を含有するものであってもよい。
上記その他の澱粉の原料澱粉としては、一般に食品に使用される澱粉類、例えば、コーンスターチ、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱粉等の澱粉や、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、全粒粉、ライ麦粉、大麦粉、米粉等の穀粉類、更にはそれらの加工澱粉や加工穀粉類を特に制限なく使用することができる。
本発明のフラワーペースト類では、上記その他の澱粉の含有量は、好ましくは3質量%未満、より好ましくは2質量%未満となる量である。
【0020】
次に、本発明で使用するガラクトマンナンについて述べる。
ガラクトマンナンとは、多糖類の一種であり、マンノースからなる直線状主鎖(β-1,4-D-マンノピラノース)にガラクトース(α-D-ガラクトピラノース)がα-1,6結合したものである。
このようなガラクトマンナンとしては、具体的には、ローカストビーンガム、グアーガム、フェヌグリークガムなどが挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。なかでも、水溶性が高く使いやすい点でローカストビーンガムを使用することが好ましい。
【0021】
上記ガラクトマンナンの含有量は、本発明のフラワーペースト類中、好ましくは0.01〜2質量%、更に好ましくは0.01〜1質量%、特に好ましくは0.02〜0.1質量%、最も好ましくは0.02〜0.06質量%である。ここで、0.01質量%未満であると本発明の効果が明確ではなく、2質量%を超えるとねちゃついた物性や食感になるおそれがある。
【0022】
本発明のフラワーペースト類では、上記ガラクトマンナン以外のその他の増粘安定剤を使用してもよい。
上記増粘安定剤としては、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができるが、上記ガラクトマンナンの効果を減衰させないことが必要であることから、タンパク質であるゼラチン以外の多糖類である増粘安定剤については、ガラクトマンナンの含有量の50質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは10質量%以下、最も好ましくは使用しないことが好ましい。特にキサンタンガムについてはガラクトマンナンと反応して著しく増粘、又はゲル化する特性を有するため、使用しないことが好ましい。
【0023】
本発明のフラワーペースト類の油分含量は5〜45質量%、好ましくは10〜35質量%である。該油分含量が5質量%未満であると、良好なスプレッド性や伸展性を有するフラワーペースト類が得られない。また、45質量%を超えると、乳化安定性が悪化し、べとつきやすく、油分が分離しやすくなることに加え、フラワーペースト類の口溶けがワキシーになる等の問題が生じる。
なお、本発明のフラワーペースト類に、油脂を含有する副原料を使用した場合は、上記油分含量には、それらの副原料に含まれる油脂分も含めるものとする。
【0024】
上記油分含量にするためには一般的には食用油脂を使用する。該食用油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、キャノーラ油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂及び動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂等が挙げられる。これらの食用油脂は、単独で用いることもでき、又は2種以上を組合せて用いることもできる。
【0025】
また、本発明のフラワーペースト類は糖類を含有することが好ましい。上記糖類としては、例えば、上白糖、グラニュー糖、粉糖、液糖、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖等が挙げられる。これらの糖類は、単独で用いることもでき、又は2種以上を組合せて用いることもできる。
【0026】
上記糖類の含有量は、本発明のフラワーペースト類中、好ましくは5〜45質量%、より好ましくは10〜40質量%、更に好ましくは15〜40質量%である。該糖類の含有量が5質量%未満では、スプレッド性や伸展性の向上効果が得られないことに加え、食感も硬く、老化しやすいものとなる。また、45質量%超では、スプレッド性や伸展性の向上効果が得られないことに加え、べたつきやすい等の問題が生じる。
【0027】
また、本発明のフラワーペースト類は、実質的にトランス酸を含まないことが好ましい。水素添加は、油脂の融点を上昇させる典型的な方法であるが、水素添加油脂は、完全水素添加油脂を除いて、通常、構成脂肪酸中にトランス酸が10〜50質量%程度含まれている。
一方、天然油脂中にはトランス酸が殆ど存在せず、反芻動物由来の油脂に10質量%未満含まれているにすぎない。近年、化学的な処理、特に水素添加に付されていない油脂組成物、即ち実質的にトランス酸を含まない油脂組成物であって、適切なコンシステンシーを有するものも要求されている。
ここでいう「実質的にトランス酸を含まない」とは、油脂の全構成脂肪酸中、トランス酸の含有量が好ましくは10質量%未満、更に好ましくは5質量%以下、最も好ましくは1質量%以下であることを意味する。
【0028】
本発明のフラワーペースト類には、通常フラワーペースト類の原料として使用し得るその他の食品素材や食品添加物を使用することが可能であり、例えば、水、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、グリセリン脂肪酸エステル・グリセリン酢酸脂肪酸エステル・グリセリン乳酸脂肪酸エステル・グリセリンコハク酸脂肪酸エステル・グリセリン酒石酸脂肪酸エステル・グリセリンクエン酸脂肪酸エステル・グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル・ソルビタン脂肪酸エステル・ショ糖脂肪酸エステル・ショ糖酢酸イソ酪酸エステル・ポリグリセリン脂肪酸エステル・ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル・プロピレングリコール脂肪酸エステル・ステアロイル乳酸カルシウム・ステアロイル乳酸ナトリウム・ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド・レシチン・リゾレシチン・酵素処理卵黄・酵素処理全卵・乳脂肪球皮膜蛋白質等の乳化剤、酢酸・乳酸・グルコン酸等の酸味料、牛乳・練乳・脱脂粉乳・カゼイン・ホエーパウダー・バター・クリーム・ナチュラルチーズ・プロセスチーズ・発酵乳等の乳や乳製品、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β−カロチン・カラメル・紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白等の植物蛋白、ホエー蛋白濃縮物・トータルミルクプロテイン等の乳蛋白や動物蛋白、卵及び各種卵加工品、着香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、酵素、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、香辛料抽出物、カカオマス、ココアパウダー、野菜類、肉類、魚介類等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0029】
なお、これらの食品素材や食品添加物のうち、水並びに牛乳及び卵等の水分を含有する成分は、本発明のフラワーペースト類中の水分含有量が30〜70質量%となるように使用することが好ましい。
【0030】
次に、本発明のフラワーペースト類の好ましい製造方法について述べる。
本発明のフラワーペースト類は、油脂、ワキシースターチ由来の澱粉及びガラクトマンナンを含有するフラワーペースト原料を、均質化処理した後、加熱し、冷却することによって得ることができる。
なお、ここで使用する、ワキシースターチ由来の澱粉は、糊化済みのものであっても未糊化のものであってもよいが、下記の予備乳化物の粘度を抑え、製造が容易で安定した生産が可能である点で、未糊化のものを使用することが好ましい。
【0031】
具体的には、先ず、油脂を含み、必要に応じて該油脂に油溶性原料を添加・溶解した油相と、水、牛乳、卵等の水性原料を含み、必要に応じて該水性原料に水溶性原料を添加・溶解した水相とを用意する。そして、水相と油相を乳化して予備乳化物を作成する。
乳化する際の水相と油相との比率(前者:後者、質量基準)は、90:10〜65:35とすることが好ましい。
【0032】
ここで、ワキシースターチ由来の澱粉及び/又はガラクトマンナンを油相に添加し、分散させること、即ち、この2種原料を同時に水相に添加溶解するよりも、少なくとも一方を油相に添加分散することが好ましい。
なお、ワキシースターチ由来の澱粉を油相に添加することで製造時の急激な増粘を抑制することが可能な点、また、ガラクトマンナンについては、ダマになりにくく均質なフラワーペースト類の製造が可能な点でも、油相に添加するのが好ましい。
【0033】
更に、本発明のフラワーペースト類の製造方法においては、ワキシースターチ由来の澱粉及びガラクトマンナンの両方を油相に添加分散して製造することが、特に高い冷蔵耐性及び冷凍耐性を得ることができる点で特に好ましい。
ここで、なぜ、本来水溶性のこの2種のフラワーペースト原料を油相に添加して製造することで、より高い冷蔵耐性及び冷凍耐性を有するフラワーペースト類を得ることができるのかについては明らかではないが、おそらくは、澱粉粒の表面に徐々に且つ均質で厚いガラクトマンナンの被膜を形成することができ、その結果として糊化膨潤力抑制効果がより高く発揮されるためではないかと考えられる。
なお、ワキシースターチ由来の澱粉以外の澱粉類、ガラクトマンナン以外の増粘安定剤を併用する場合は、ガラクトマンナンの効果を阻害させないために、これらについては水相に添加するのが好ましい。
【0034】
次いで、得られた上記予備乳化物を、バルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均質化装置により、好ましくは圧力0〜80MPaの範囲で均質化した後、加熱、好ましくは加熱殺菌又は加熱滅菌する。
なお、この加熱操作により、未糊化澱粉は膨潤糊化するのであるが、ワキシースターチ由来の澱粉として未化工の澱粉を使用した場合は、糊化に伴う粘度増加が激しく、安定した製造が難しい。ここで、ワキシースターチ由来の澱粉として上記膨潤抑制澱粉を使用すると、この段階での膨潤が抑制されるため、粘度増加が抑えられ、得られたフラワーペースト類中でもその澱粉形状を保持している。
即ち、本発明においては、未糊化の膨潤抑制澱粉を使用することが特に好ましい。
【0035】
上記加熱は、インジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT、HTST、バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱方式等の加熱殺菌又は加熱滅菌処理、あるいは釜による炊き上げなどの加熱調理、などの方法により行うことができる。
【0036】
なお、上記製造方法の中で、最も生産性が高い、即ち単位時間あたりの生産量が多く、安定した品質のフラワーペースト類を製造可能なのは、掻き取り式の間接加熱方式である。その理由は以下のとおりである。
上記予備乳化物はこの加熱工程で澱粉が糊化し、その粘度が急激に高まり高粘度のペースト状となる。そのため、液体の製品と異なり均質な製品を安定的に製造するには攪拌が必要である。その点、掻き取り式間接加熱装置はブレードにより強制的に攪拌し、しかも高熱がかかる加熱壁面への接触時間を全体として平準化できる。そのために、熱交換効率が高く、ムラなく短時間で低粘度から高粘度まであらゆる粘度のフラワーペースト類の製造を安定的に行うことができるため、フラワーペースト類の製造に広く使用されているのである。
【0037】
しかし、本発明で使用するワキシースターチ由来の澱粉は、上述のように、糊化した際の最高粘度は極めて高く、ブレークダウンしやすいという問題がある。
そのため、上記加熱の際に掻き取り式の加熱装置を使用すると、たとえ、架橋澱粉などの糊化膨潤が強く抑制された化工澱粉であったとしても簡単にブレークダウンしてしまう。もちろんブレークダウンした場合であっても他の澱粉と併用したり増粘安定剤と併用するなどの方法で一定の物性のフラワーペースト類を製造することは可能であるが、べとついた食感となってしまう。更にブレークダウンした澱粉は乳化安定性も低いため冷蔵耐性が悪化する問題や包材剥離性が悪化する問題、特に、油脂含量が高い場合には冷凍・解凍時の乳化破壊の問題があった。そのため、従来は、ワキシースターチ由来の澱粉をフラワーペースト類に使用する際は、シェアストレスのかからないインジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式、チューブラー式等の間接加熱方式を用いて製造し、反対に掻き取り式加熱装置を使用してフラワーペースト類を製造する際は、ワキシースターチ由来の澱粉を使用せずに製造することが行われていた。
【0038】
しかし本発明ではガラクトマンナンを併用することで、このブレークダウンが抑制されているため、生産性の高い加熱装置である掻き取り式加熱装置を使用しても良好な品質のフラワーペースト類を安定的に生産することができる。即ち、本発明のフラワーペースト類の製造方法においては、加熱の際に、掻き取り式加熱装置を使用することが好ましい。
なお、掻き取り式殺菌装置を使用する場合の加熱温度は好ましくは60〜130℃、より好ましくは85〜110℃であり、加熱時間は好ましくは0.05〜30分、より好ましくは0.5〜5分である。
【0039】
また、加熱後には必要により再度均質化してもよい。
次いで、加熱した上記予備乳化組成物を冷却する。冷却は急速冷却、徐冷却等のいずれでもよく、冷却の前、又は後にエージングを行ってもよい。更に、得られた本発明のフラワーペースト類は、必要により、冷蔵状態又は冷凍状態で保存してもよい。
更に、本発明のフラワーペースト類は、その形状を、シート状、ブロック状、円柱状、ダイス状等としてもよい。各々の形状についての好ましいサイズは、シート状:縦50〜1000mm、横50〜1000mm、厚さ1〜50mm、ブロック状:縦50〜1000mm、横50〜1000mm、厚さ50〜500mm、円柱状:直径1〜25mm、長さ5〜100mm、ダイス状:縦5〜50mm、横5〜50mm、厚さ5〜50mmである。
【0040】
このようにして得られた本発明のフラワーペースト類は、フィリング、トッピング、練り込み用、折り込み(ロールイン)用として、クッキー、パイ、シュー、サブレ、スポンジケーキ、バターケーキ、ケーキドーナツ等の菓子類、食パン、フランスパン、デニッシュ、スイートロール、イーストドーナツ等のパン類等に広く用いることができる。なかでも、本発明のフラワーペースト類は、折り込み(ロールイン)用として特に好ましく用いることができる。
【実施例】
【0041】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例により何等制限されるものではない。以下の実施例1〜15のうち、実施例4、7、8、11、12、15及び16は参考例であり、本発明の範囲外である。
【0042】
<ペースト状フラワーペーストの製造>
〔実施例1〕
パーム油25質量%に、ワキシーコーン由来のリン酸架橋澱粉3質量%及びローカストビーンガム0.05質量%を添加し分散させて油相とした。水38.45質量%、小麦粉1質量%、砂糖30質量%、WPC(ホエータンパク質濃縮物)2質量%、及び、卵黄0.5質量%を混合し水相とした。この油相と水相とを加熱溶解、混合、乳化、均質化し、掻き取り式加熱装置で100℃で2分間加熱殺菌し、厚さ0.2mmポリエチレン製の包材にピロー充填後、22℃まで冷却し、ペースト状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは、後述の冷蔵試験、冷凍試験、及び、食感・物性評価に供した。
【0043】
〔実施例2〕
実施例1における、ローカストビーンガム0.05質量%を0.02質量%に、水の配合量38.45質量%を38.48質量%に変更した以外は、実施例1と同一の配合・製法で、ペースト状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは実施例1と同様の試験及び評価を行った。
【0044】
〔実施例3〕
実施例1における、ローカストビーンガム0.05質量%を0.1質量%に、水の配合量38.45質量%を38.4質量%に変更した以外は、実施例1と同一の配合・製法で、ペースト状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは実施例1と同様の試験及び評価を行った。
【0045】
〔実施例4〕
実施例1における、ローカストビーンガム0.05質量%を0.2質量%に、水の配合量38.45質量%を38.3質量%に変更した以外は、実施例1と同一の配合・製法で、ペースト状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは実施例1と同様の試験及び評価を行った。
【0046】
〔実施例5〕
実施例1における、ローカストビーンガム0.05質量%を等量のグアーガムに変更した以外は、実施例1と同一の配合・製法で、ペースト状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは実施例1と同様の試験及び評価を行った。
【0047】
〔実施例6〕
実施例1における、ワキシーコーン由来のリン酸架橋澱粉3質量%を1.5質量%に、水の配合量38.45質量%を39.95質量%に変更した以外は、実施例1と同一の配合・製法で、ペースト状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは実施例1と同様の試験及び評価を行った。
【0048】
〔実施例7〕
実施例1における、ワキシーコーン由来のリン酸架橋澱粉3質量%を6質量%に、水の配合量38.45質量%を35.45質量%に変更した以外は、実施例1と同一の配合・製法で、ペースト状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは実施例1と同様の試験及び評価を行った。
【0049】
〔実施例8〕
実施例1における、ワキシーコーン由来のリン酸架橋澱粉3質量%を6質量%に、ローカストビーンガム0.05質量%を0.2質量%に、水の配合量38.45質量%を35.3質量%に変更した以外は、実施例1と同一の配合・製法で、ペースト状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは実施例1と同様の試験及び評価を行った。
【0050】
〔実施例9〕
実施例1における、ワキシーコーン由来のリン酸架橋澱粉3質量%を未化工のワキシーコーン澱粉3質量%に変更した以外は、実施例1と同一の配合・製法で、ペースト状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは実施例1と同様の試験及び評価を行った。
【0051】
〔実施例10〕
実施例1における、ワキシーコーン由来のリン酸架橋澱粉3質量%を同澱粉の糊化澱粉3質量%に変更した以外は、実施例1と同一の配合・製法で、ペースト状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは実施例1と同様の試験及び評価を行った。
【0052】
〔実施例11〕
実施例1における、パーム油25質量%を10質量%に、水の配合量38.45質量%を53.45質量%に変更した以外は、実施例1と同一の配合・製法で、ペースト状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは実施例1と同様の試験及び評価を行った。
【0053】
〔実施例12〕
実施例1における、パーム油25質量%を40質量%に、水の配合量38.45質量%を23.45質量%に変更した以外は、実施例1と同一の配合・製法で、ペースト状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは実施例1と同様の試験及び評価を行った。
【0054】
〔実施例13〕
実施例1において油相に添加していたワキシーコーン由来のリン酸架橋澱粉3質量%及びローカストビーンガムを、水相に添加して製造した以外は、実施例1と同一の配合・製法で、ペースト状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは実施例1と同様の試験及び評価を行った。
【0055】
〔比較例1〕
実施例1における、ローカストビーンガム0.05質量%を無添加に、水の配合量38.45質量%を38.5質量%に変更した以外は、実施例1と同一の配合・製法で、ペースト状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは実施例1と同様の試験及び評価を行った。
【0056】
〔比較例2〕
実施例1における、ローカストビーンガム0.05質量%を等量のキサンタンガムに変更した以外は、実施例1と同一の配合・製法で、ペースト状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは実施例1と同様の試験及び評価を行った。
【0057】
〔比較例3〕
実施例1における、ローカストビーンガム0.05質量%を等量のゼラチン粉末に変更した以外は、実施例1と同一の配合・製法で、ペースト状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは実施例1と同様の試験及び評価を行った。
【0058】
〔比較例4〕
実施例1における、ワキシーコーン由来のリン酸架橋澱粉3質量%を6質量%に、ローカストビーンガム0.05質量%を等量のキサンタンガムに、水の配合量38.45質量%を35.45質量%に変更した以外は、実施例1と同一の配合・製法で、ペースト状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは実施例1と同様の試験及び評価を行った。
【0059】
〔比較例5〕
実施例1における、ローカストビーンガム0.05質量%をキサンタンガム0.2質量%に、水の配合量38.45質量%を38.3質量%に変更した以外は、実施例1と同一の配合・製法で、ペースト状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは実施例1と同様の試験及び評価を行った。
【0060】
〔比較例6〕
実施例1におけるワキシーコーン由来のリン酸架橋澱粉3質量%を6質量%に、ローカストビーンガム0.05質量%をキサンタンガム0.2質量%に、水の配合量38.45質量%を35.3質量%に変更した以外は、実施例1と同一の配合・製法で、ペースト状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは実施例1と同様の試験及び評価を行った。
【0061】
〔比較例7〕
実施例1におけるパーム油25質量%を無添加に、水の配合量38.45質量%を63.45質量%に変更した以外は、実施例1と同一の配合・製法で、ペースト状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは実施例1と同様の試験及び評価を行った。
【0062】
〔比較例8〕
実施例1におけるパーム油25質量%を無添加に、ワキシーコーン由来のリン酸架橋澱粉3質量%を6質量%に、水の配合量38.45質量%を60.45質量%に変更した以外は、実施例1と同一の配合・製法で、ペースト状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは実施例1と同様の試験及び評価を行った。
【0063】
〔比較例9〕
実施例1におけるパーム油25質量%を55質量%に、水の配合量38.45質量%を8.45質量%に変更した以外は、実施例1と同一の配合・製法で、ペースト状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは実施例1と同様の試験及び評価を行った。
【0064】
<冷蔵試験>
上記実施例1〜13及び比較例1〜9で得られたフラワーペーストを、100ml容のポリカップに20g充填し、5℃で1週間冷蔵保存した際の水分分離状況を以下の評価基準に従って、評価を行ない、その結果を表1に記した。
【0065】
・水分分離状況の評価基準
−:離水が全く見られなかった。
±:わずかに離水が見られた。
+:顕著な離水が見られた。
++:激しい離水が見られた。
【0066】
【表1】
【0067】
<冷凍試験>
上記実施例1〜13及び比較例1〜9で得られたフラワーペーストを、100ml容のポリカップに20g充填し、−20℃で3週間冷凍保存した後、10℃の恒温器で一晩解凍した際の乳化状態を以下の評価基準に従って、評価を行ない、その結果を表2に記した。
【0068】
・乳化状態の評価基準
◎:油分分離は全く見られなかった。
○:油分分離は見られなかったがやや艶がなかった。
△:組織がややごわごわになり若干の油分分離が見られた。
×:組織がごわごわになり顕著な油分分離が見られた。
××:組織が破壊され激しい油分分離が見られた。
【0069】
【表2】
【0070】
<物性及び食感評価>
上記実施例1〜13及び比較例1〜9で得られたフラワーペーストを、5℃で24時間冷蔵保存した後、これを絞り袋に入れ、板口金でスプレッドし、その物性及び食感を以下の評価基準に従って評価を行ない、その結果を表3に記した。
【0071】
・物性(スプレッド性)評価基準
◎:べたつきも無く、適度な硬さであり、極めて良好である。
○:やや硬いものの、良好である。
○−:ややべたつくが良好
△:弾性が強く、不良である。
×:粘性が強く、不良である。
××:流動状であり、極めて不良である。
【0072】
・食感(口溶け)評価基準
◎:極めて良好な口溶けである。
○:良好な口溶けである。
○−:ややねばつきがあるが良好である。
△:ねばつきがあり、やや不良である。
×:べとつきが激しく、不良である。
××:やや硬く不良な口溶けである。
【0073】
・食感(ボディー感)評価基準
◎:極めて良好なボディー感が感じられる。
○:良好なボディー感を感じる。
○−:ボディー感がやや強いが良好
△:ボディー感があまり感じられない。
×:口中分散性が高く、ボディー感が全く感じられない。
【0074】
【表3】
【0075】
上記実験例からわかるように、ワキシースターチ由来の澱粉、及び、ガラクトマンナンを含有し、油分含量が5〜45質量%であるフラワーペースト類は冷蔵耐性、冷凍耐性、物性及び食感のすべてが良好であるのに対し、増粘安定剤を含まないフラワーペースト類は口溶けは良好であるがそれ以外は不良であり(比較例1)、ガラクトマンナンに代えて他の増粘安定剤を使用した場合は物性や食感は若干改善されるものの、冷蔵耐性及び冷凍耐性は不良であることがわかる(比較例2及び比較例3)。そしてその冷蔵及び冷凍耐性は、澱粉や増粘安定剤の増量では補えないことがわかる。(比較例4〜6)。
なお、油分含量が5質量%未満であると物性及び食感が不良であり(比較例7、8)、油分含量が50質量%を超えるとガラクトマンナンを使用しても冷凍時の油分分離が発生してしまうことに加え食感、特にボディー感が失われる(比較例9)。
【0076】
<シート状フラワーペーストの製造>
〔実施例14〕
パーム油25質量%に、ワキシーコーン由来のリン酸架橋澱粉3質量%及びローカストビーンガム0.05質量%を添加し分散させて油相とした。水37.45質量%、小麦粉1質量%、砂糖30質量%、WPC(ホエータンパク質濃縮物)2質量%、ゼラチン1質量%、及び、卵黄0.5質量%を混合し水相とした。この油相と水相とを加熱、溶解、混合、乳化、均質化し、掻き取り式加熱装置で100℃で2分間加熱殺菌し、厚さ0.2mmポリエチレン製の包材にピロー充填後、22℃まで冷却し、長さ400mm、幅200mm、厚さ8mmのシート状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは、後述の包材剥離性試験、及び、ベーカリー試験に供した。
【0077】
〔実施例15〕
実施例14における、ワキシーコーン由来のリン酸架橋澱粉3質量%を6質量%に、水の配合量37.45質量%を34.45質量%に変更した以外は、実施例14と同一の配合・製法で、シート状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは実施例14と同様の試験及び評価を行った。
【0078】
〔実施例16〕
実施例14における、ワキシーコーン由来のリン酸架橋澱粉3質量%を6質量%に、ローカストビーンガム0.05質量%を0.2質量%に、水の配合量37.45質量%を34.3質量%に変更した以外は、実施例14と同一の配合・製法で、シート状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは実施例14と同様の試験及び評価を行った。
【0079】
〔比較例10〕
実施例14における、ローカストビーンガム0.05質量%を等量のキサンタンガムに変更した以外は、実施例14と同一の配合・製法で、シート状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは実施例14と同様の試験及び評価を行った。
【0080】
〔比較例11〕
実施例14における、ワキシーコーン由来のリン酸架橋澱粉3質量%を6質量%に、ローカストビーンガム0.05質量%をキサンタンガム0.2質量%に、水の配合量37.45質量%を34.3質量%に変更した以外は、実施例14と同一の配合・製法で、シート状であるカスタード風味フラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストは実施例14と同様の試験及び評価を行った。
【0081】
<包材剥離性試験>
上記実施例14〜16及び比較例10〜11で得られたフラワーペーストを、5℃で24時間冷蔵保存した後、包材剥離性を以下の評価基準に従って、評価を行ない、その結果を表4に記した。
【0082】
・包材剥離性評価基準
◎:包材への付着が全く見られなかった。
○:包材への付着が全く見られなかったが、やや艶がなかった。
△:わずかに包材への付着が見られた。
×:はっきりした包材への付着が見られた。
【0083】
【表4】
【0084】
<ベーカリー試験>
実施例14〜16及び比較例10〜11で得られたシート状のフラワーペーストを使用し、下記配合・製法により、フラワーペースト折り込みデニッシュをそれぞれ製造した。
得られたフラワーペースト折り込みデニッシュについて、以下の評価基準に従って、ロールイン時の作業性、及び、フラワーペースト部分の食感の評価を行ない、その結果を以下の表5に記した。
【0085】
(デニッシュ生地の配合)
強力粉50質量部、薄力粉50質量部、脱脂粉乳3質量部、食塩1.5質量部、全卵(正味)8質量部、イースト3質量部、イーストフード0.1質量部、練込用マーガリン10質量部、冷水48質量部、チップ状マーガリン70質量部。
【0086】
(デニッシュ生地の製法)
強力粉、薄力粉、脱脂粉乳、イーストフード、練込用マーガリンをミキサーボールに入れ、縦型ミキサーを用い、低速で各材料が均一になるまで3分混合した後、冷凍しておいたチップ状マーガリンを入れ、更に低速で1分混合した。更に、撹拌しながらイーストと食塩を溶いた冷水、全卵を加え、低速で2分混合し、捏ね上げ温度を20℃とした。次いで、20分フロアタイムを取った後、−20℃の冷凍庫にて60分生地を冷却し、リバースシーターにて3つ折りを3回行ない、27層のデニッシュ生地を得た。
【0087】
(フラワーペースト折り込みデニッシュの製法)
上記デニッシュ生地を厚さ6mmに圧延し、デニッシュ生地100質量部に対し、シート状のフラワーペースト50質量部を積置後、包み込み、リバースシーターで3つ折り2回のロールイン操作を行ない、243層(フラワーペースト層は9層)の積層生地である複合生地を得た。この複合生地を2℃で4時間冷却した後、厚さ10mmまで圧延し、幅30mm、長さ150mmにカットして中央に1本切り込みを入れ、端部を3回くぐらせた蒟蒻成型とし、これを天板に並べ、温度34℃、相対湿度80%のホイロで50分醗酵させた後、上火200℃、下火180℃に設定した固定窯で14分焼成した。
【0088】
・ロールイン時作業性(伸展性と生地との密着性)評価基準
◎:適度な硬さであり、伸展性も良好であり、切れも見られない。
○+:やや硬いが、伸展性は良好である。
○−:やや軟らかいが、伸展性は良好である。
△+:硬すぎて伸展性が悪く、やや切れが見られる。
△−:べたつきがあり、やや生地の滑りが見られる。
×+:硬すぎて伸展性が極めて悪く、切れが多い。
×−:べたつきが激しく、生地からのはみ出し、生地の滑りが見られる。
【0089】
・食感評価基準
◎:極めて良好な口溶けであり、且つ、ボディー感のある滑らかな食感である。
○:良好な口溶けであり、且つ、ボディー感のある滑らかな食感である。
△:ややねばつきがあり、やや不良である。
×:ねばつきが激しく、不良である。
【0090】
【表5】
【0091】
上記実験例からわかるように、ワキシースターチ由来の澱粉、及び、ガラクトマンナンを含有し、油分含量が5〜45質量%であるフラワーペースト類は包材剥離性、物性及び食感のすべてが良好であるのに対し、ガラクトマンナンに代えて他の増粘安定剤を等量置換した場合は包材剥離性、ロールイン時作業性及び食感のすべてが不良であり(比較例10)、増粘安定剤の添加量を増やすことで伸展性は改善されるが食感や包材剥離性は改善されないことがわかる(比較例11)。