(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6102318
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】湿式塗装ブース循環水の処理方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/52 20060101AFI20170316BHJP
C02F 1/24 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
C02F1/52 G
C02F1/24 B
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-29196(P2013-29196)
(22)【出願日】2013年2月18日
(65)【公開番号】特開2014-155916(P2014-155916A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2016年1月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(72)【発明者】
【氏名】堀内 正弘
【審査官】
金 公彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−079263(JP,A)
【文献】
特開平11−267659(JP,A)
【文献】
特開2008−173562(JP,A)
【文献】
特開2006−061776(JP,A)
【文献】
特開昭63−042706(JP,A)
【文献】
特開2006−247456(JP,A)
【文献】
特開2009−022852(JP,A)
【文献】
特開2011−072866(JP,A)
【文献】
特開2008−149250(JP,A)
【文献】
特開2008−149249(JP,A)
【文献】
特開2004−337671(JP,A)
【文献】
特開2011−194306(JP,A)
【文献】
特開2011−218258(JP,A)
【文献】
特開2011−020084(JP,A)
【文献】
特開昭54−048959(JP,A)
【文献】
特開2009−240928(JP,A)
【文献】
特開平07−148451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 21/01
C02F 1/52− 1/56
B05B 15/00−15/02
B05D 1/00− 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿式塗装ブース循環水の処理方法であって、
湿式塗装ブース循環水にカチオン性薬剤及びアニオン性薬剤を添加する工程と、
前記カチオン性薬剤及びアニオン性薬剤を含む湿式塗装ブース循環水から塗料成分を浮上分離する工程と、を有し、
前記塗料成分が浮上分離する際の湿式塗装ブース循環水の荷電量が−5μeq/L〜−200μeq/Lであり、
前記カチオン性薬剤は、前記湿式塗装ブース循環水に塗料が排出される箇所より上流で添加され、
前記アニオン性薬剤は、前記湿式塗装ブース循環水に塗料が排出される箇所より下流で添加される方法。
【請求項2】
前記アニオン性薬剤を前記カチオン性薬剤より下流で添加する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記塗料成分が浮上分離する際の湿式塗装ブース循環水の荷電量が−150μeq/L〜−200μeq/Lである請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記アニオン性薬剤は、アニオン性無機薬剤又はレゾール型フェノール樹脂の一以上である請求項1〜3いずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿式塗装ブース循環水の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車工業や家庭電器、金属製品製造業等の塗装工程では、様々な塗料がスプレー塗装される。工業的に使用される塗料は、溶剤型塗料と水性塗料とに大別され、各塗料は単独又は併用で使用される。その際の余剰塗料は、通常、水洗され、その後、水と分離されて処理される。余剰塗料と水とを分離するため、余剰塗料を含む水に薬剤が添加され、塗料成分が不粘着化され、又は凝集される(特許文献1、2)。
【0003】
余剰塗料の水洗に使用された水は、循環水ピットに貯留され、薬剤が添加され、塗料成分がその水中に沈殿又は浮上して分離され、湿式塗装ブース循環水として使用される。
【0004】
湿式塗装ブース循環水は、そこに含まれる塗料成分の種類、性状又は量によって不粘着性、凝集性、発泡性等が異なるため、添加する薬剤の量の管理が難しかった。
【0005】
特許文献3では、カチオン性凝集剤を湿式塗装ブース循環水に添加し、特許文献4では、カチオン性凝結剤とアミノ樹脂酸コロイドとを湿式塗装ブース循環水に添加し、溶液の荷電量を概ね正の値(カチオン側)で管理して、水性塗料と溶剤型塗料との塗料成分を不粘着化、凝集して湿式塗装ブース循環水が処理されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−337671号公報
【特許文献2】特開2006−247456号公報
【特許文献3】特開2002−79263号公報
【特許文献4】特開2006−61776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通常、湿式塗装ブース循環水は、塗料由来のアニオン性界面活性剤を含むため、気泡が発生しやすく、その泡の表面はアニオン性の官能基で覆われている。特許文献3、4のように、荷電量をカチオン側で湿式塗装ブース循環水を処理すると、泡の表面が電気的に中和され、水中の気泡や水面の泡沫が電気的に消泡される。その結果、塗料成分の浮上効果が低下し、塗料成分が湿式塗装ブース循環水から十分に浮上分離されにくいという問題があった。
【0008】
本発明は、塗料成分を湿式塗装ブース循環水から十分に浮上分離できる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、カチオン性薬剤及びアニオン性薬剤を湿式塗装ブース循環水に添加し、湿式塗装ブース循環水の荷電量を所定の範囲内とすることで、水中の塗料成分を浮上分離しやすくなることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
具体的には、本発明は以下の方法を提供する。
【0011】
(1)湿式塗装ブース循環水の処理方法であって、
湿式塗装ブース循環水にカチオン性薬剤及びアニオン性薬剤を添加する工程と、
前記カチオン性薬剤及びアニオン性薬剤を含む湿式塗装ブース循環水から塗料成分を浮上分離する工程と、を有し、
前記塗料成分が浮上分離する際の湿式塗装ブース循環水の荷電量が−5μeq/L〜−200μeq/Lである方法。
【0012】
(2)前記アニオン性薬剤を前記カチオン性薬剤より下流で添加する(1)に記載の方法。
【0013】
(3) 前記カチオン性薬剤は、前記湿式塗装ブース循環水に塗料が排出される箇所より上流で添加され、
前記アニオン性薬剤は、前記湿式塗装ブース循環水に塗料が排出される箇所より下流で添加される(1)又は(2)に記載の方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、塗料成分を湿式塗装ブース循環水から十分に浮上分離させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の方法が適用される湿式塗装ブース循環系の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、湿式塗装ブース循環水の処理方法であって、湿式塗装ブース循環水にカチオン性薬剤及びアニオン性薬剤を添加する工程と、前記カチオン性薬剤及びアニオン性薬剤を含む湿式塗装ブース循環水から塗料成分を浮上分離する工程と、を有し、前記塗料成分が浮上分離する際の湿式塗装ブース循環水の荷電量が−5μeq/L〜−200μeq/Lである方法である。
【0017】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明するが、これにより本発明が制限されるものはない。
【0018】
本発明の湿式塗装ブース循環系1は、塗装ブース10、循環水ピット20、固液分離装置30を有し、塗装ブース10と循環水ピット20との間に、循環水ピット20から塗装ブース10に流れる循環水(上流)Aの通る配管41及び塗装ブース10から循環水ピット20に戻る循環水(下流)Bの通る配管42を有する。また、循環水ピット20と固液分離装置30との間に、循環水ピット20で浮上分離された塗料成分含有水Dが通る配管43及び固液分離装置30で塗料成分と分離された塗料成分分離水Eが通る配管44を有する。そして、塗料成分が分離された水が、再び配管41へと導出され、再利用される。
【0019】
湿式塗装ブース循環水は、循環水ピット20で塗料成分が低減又は除去され、ポンプ21により配管41に循環水(上流)Aとして送り込まれ、塗装ブース10で排出された余剰塗料を捕集し、配管42を通り、循環水(下流)Bとして循環水ピット20に戻る。また、循環水ピット20で浮上分離された塗料成分含有水Dが、配管43を通って固液分離装置30に運ばれ、塗料成分と分離された塗料成分分離水Eが配管44を通って循環水ピット20に戻る。
【0020】
湿式塗装ブース循環水は、塗料に含まれる界面活性剤を溶解しているため、循環水ピット20の貯留水Cの表面で発泡しやすい。過剰な発泡を抑制するため、循環水ピット20は、その上部に泡消シャワー22を有していてもよい。泡消シャワー水は、工業用水、地下水等であってもよく、湿式塗装ブース循環水であってもよい。湿式塗装ブース循環水を有効利用できるため、好ましくは湿式塗装ブース循環水である。
【0021】
本発明において、上流とは、循環水ピット20の排出口から始まり、循環水ピット20の導入口に終わる循環路における、循環水の流れ方向の反対側を指し、下流とは循環水の流れ方向に沿った側を意味する。
【0022】
塗装ブース10で捕集された余剰塗料は、循環水ピット20で、循環水中に沈殿又は循環水中の気泡により浮上分離され、循環水とともに固液分離装置30に運ばれ、固液分離装置30で、濃縮され濃縮粕31とされ、廃棄される。塗料成分を浮上分離するときは、加圧浮上装置を用いることもできる。
【0023】
塗装ブース10は、塗料で被塗布物を塗装するブースであって、特に制限されないが、例えば、自動車工業や家庭電器、金属製品製造業等の塗装工程で使用されるブースである。塗装ブースでは、例えば、スプレー等によって、被塗布物に噴霧された塗料の余剰塗料等が発生し、湿式塗装ブース循環水に溶解又は沈殿される。
【0024】
塗装に使用される塗料は、特に制限されないが、水性塗料又は溶媒型塗料を少なくとも一つ以上を含む。水性塗料、溶剤型塗料の種類や量等は特に制限されない。
【0025】
湿式塗装ブース循環水の処理において、カチオン性薬剤及びアニオン性薬剤の両方の薬剤が添加される。カチオン性薬剤及びアニオン性薬剤の両方の薬剤を添加して、循環水ピット20の貯留水Cの荷電量を−5μeq/L〜−200μeq/Lとすることで、湿式塗装ブース循環水から塗料成分を効率よく浮上分離できる。上記荷電量は、より好ましくは、−10μeq/L以下である。
【0026】
貯留水Cの荷電量が、−5μeq/Lより大きい場合、塗料成分を湿式塗装ブース循環水から浮上分離しにくくなるおそれがあり、また、湿式塗装ブース循環水の表面が発泡しやすくなる。貯留水Cの荷電量が、−200μeq/Lより小さい場合、塗料成分の粘着性が強くなり、また、湿式塗装ブース循環水の表面は過剰に発泡しやすくなる。他方で、貯留水Cの荷電量が−5μeq/L〜−200μeq/Lの範囲内であると、塗料成分を浮上分離しやすくなる。貯留水Cの荷電量は、−50μeq/L〜−200μeq/Lであるのが好ましい。
【0027】
カチオン性薬剤は、塗料成分に対してカチオンとして作用し得る化合物であれば特に制限されないが、カチオン性無機薬剤又はカチオン性有機薬剤の一以上である。カチオン性無機薬剤は、例えば、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等から選択される一以上である。カチオン性有機薬剤は、例えば、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、アルキルアミン・エピクロルヒドリン縮合物、ポリエチレンイミン、DMA、DADMAC等から選択される一以上である。
【0028】
アニオン性薬剤は、塗料成分に対してアニオンとして作用し得る化合物であれば特に制限されないが、アニオン性無機薬剤又はアニオン性有機薬剤の一以上である。アニオン性無機薬剤は、例えば、クレー、ベントナイト、セピオライト、ヘクトライト、アルミン酸ソーダ等から選択される一以上である。アニオン性有機薬剤は、例えば、ノボラック型フェノール系樹脂、レゾール型フェノール樹脂等から選択される一以上である。ノボラック型フェノール系樹脂は、難水溶性であるため、苛性ソーダ等のアルカリ水溶液として添加してもよい。
【0029】
カチオン性薬剤の添加量は特に制限されないが、過小であると塗料成分の粘着性が強くなり、塗料成分が浮上分離されにくくなるため、例えば、湿式塗装ブース循環水の1質量%以上、好ましくは1.5質量%以上添加することができる。カチオン性薬剤の添加量が過大であると荷電量が正の値に大きくなり、湿式塗装ブース循環水の表面から発泡が激しくなり、塗料成分が浮上分離されにくくなるため、カチオン性薬剤の添加量は、例えば、湿式塗装ブース循環水の10質量%以下添加することができるが、10質量%超であることを妨げない。なお、配管におけるカチオン性薬剤の添加量は、湿式塗装ブース循環水の流量に基づき決定することができる。
【0030】
また、塗料成分の浮上効果を向上し、湿式塗装ブース循環水の表面からの発泡を抑制できるので、アニオン性薬剤の量は、貯留水Cの荷電量に基づき選択でき、特に制限されないが、例えば、湿式塗装ブース循環水の8質量%以上、10質量%以上、12質量%以上、15質量%以上であって、30質量%以下であってもよい。
【0031】
カチオン性薬剤を添加する場所は、例えば、湿式塗装ブース循環水に塗料が排出される箇所より上流の循環水(上流)A又は湿式塗装ブース循環水に塗料が排出される箇所より下流の循環水(下流)Bであってよい。塗装ブース10で排出された余剰塗料が設備へ凝集、固着することを抑制することができるため、塗装ブースより上流でカチオン性薬剤を添加するのが好ましい。
【0032】
アニオン性薬剤を添加する場所は、特に制限されないが、カチオン性薬剤の添加場所と同じ場所であってもよく、カチオン性薬剤の添加場所より下流であってもよい。カチオン性薬剤を添加後の湿式循環ブース循環水の荷電量に基づきアニオン性薬剤の添加量を調整できるため、アニオン性薬剤を添加する場所は、カチオン性薬剤の添加場所より下流であるのが好ましい。例えば、湿式塗装ブース循環水に塗料が排出される箇所より上流の循環水(上流)A、湿式塗装ブース循環水に塗料が排出される箇所より下流の循環水(下流)B又は循環水ピット内の貯留水Cであってよい。塗料成分の種類、性状又は量によって不粘着性、凝集性、発泡性等が異なり、カチオン性薬剤が湿式塗装ブース循環水中に過剰になる場合がある。そのような場合に対応できるため、アニオン性薬剤を添加する場所は、湿式塗装ブース循環水に塗料が排出される箇所より下流又は貯留水Cであるのが好ましい。
【0033】
塗装ブースに導入される循環水(上流)Aにカチオン性薬剤を添加した時、その循環水の荷電量は0〜−50μeq/Lであるのが好ましい。循環水(上流)Aの荷電量がその範囲内にあることで、塗装ブース10内の余剰塗料の不粘着化を促進でき、塗料成分を洗浄しやすくなり、また、湿式塗装ブース循環水が配管内で湿式塗装ブース循環水の表面が多量に発泡することや塗料成分が粘着することを抑制することができる。
【0034】
湿式塗装ブース循環水の荷電量は、カチオン性薬剤添加の前後又はアニオン性薬剤添加の前後に測定することができる。カチオン性薬剤添加の前後及びアニオン性薬剤添加の前後に湿式塗装ブース循環水の荷電量を測定すれば、それぞれの薬剤の量の調整等の点から好ましいが、カチオン性薬剤添加後及びアニオン性薬剤添加後の両方で測定するのでもよい。特に制限されないが、湿式循環ブース循環水の荷電量を測定することで、使用するカチオン性薬剤及びアニオン性薬剤の両薬剤の過不足判定に使え、湿式塗装ブース循環系1で発生する発泡や浮上分離の不具合に対しても、効果的な対処をすることができる。例えば、カチオン性薬剤添加後に荷電量が正の値である場合、カチオン薬剤が過剰であることがわかり、カチオン性薬剤の添加量を低減し、又はアニオン性薬剤を増量して湿式塗装ブース循環水の荷電量を調整することができる。なお、薬剤の添加量は、荷電量の測定値に基づき自動制御されてもよい。湿式塗装ブース循環水の荷電量はPCD装置等の粒子電荷計を用い測定できる。
【実施例】
【0035】
本発明は、以下の薬剤又は塗料を使用して行った。
【0036】
(カチオン性薬剤)
カチオン系薬剤として、ゼーターエース(アルキルアミン・エピクロルヒドリン縮合物、栗田工業株式会社製)を使用した。
【0037】
(アニオン性薬剤)
アニオン性薬剤として、フェノール系樹脂溶液を使用した。フェノール系樹脂溶液は、苛性ソーダ10g、純水170gをビーカーに採り、水を撹拌しながら、レヂトップPSM4324(ノボラック型フェノール樹脂、群栄化学工業株式会社製)20gを加えて、溶解させ、調製した。
【0038】
(塗料)
水性塗料として、GWP2000(日本ペイント株式会社製)、溶剤型塗料として、OG12K(日本ペイント株式会社製)を使用した。
【0039】
(実施例1〜11、比較例1〜14)
保有水量50Lの試験装置を用い、循環水量を50L/分として試験した。循環水に、塗料(水性塗料、溶剤型塗料、水性塗料及び溶剤型塗料の混合物)のそれぞれを10g/分(混合物の場合は水性塗料及び溶剤型塗料を同時に、それぞれ5g/分)で20分スプレーして吹き付けた。所定量のカチオン性薬剤及びアニオン性薬剤を試験機の水槽に連続して添加した。その後、塗料、カチオン性薬剤及びアニオン性薬剤を含む循環水を1リットルシリンダーに移し50回の上下振とうさせた後、塗料スラッジの粘着状態、塗料スラッジの浮上速度及び泡高さを測定し、それぞれ塗料成分の不粘着性能、浮上性能及び貯留水の発泡の防止性能を評価・判定した。また、循環水の荷電量を、PCD−04(ミューテック製)を用いて測定した。不粘着性能、浮上性能、発泡防止性能の評価・判定及び荷電量を、それぞれの塗料に対して表2〜4に示した。
【0040】
不粘着性能、浮上性能、発泡防止性能の評価・判定は表1の基準に基づく。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
実施例1〜11及び比較例1〜14より、カチオン性薬剤とアニオン性薬剤との両方を用いて、湿式塗装ブース循環水の荷電量を−5μeq/L〜−200μeq/Lの範囲内にあるように調整することによって、塗料成分の浮上分離性能や湿式塗装ブース循環水の処理効果が得られることがわかった。
【0046】
また、実施例6、比較例2、11等から、溶剤型塗料は水性塗料、混合塗料に比べ荷電量が高くなることがわかった。このことから、湿式塗装ブース循環水の処理は、添加するカチオン性薬剤とアニオン性薬剤の量だけに基づいて行うより、湿式塗装ブース循環水の荷電量に基づいて行うのが好ましいと言える。
【符号の説明】
【0047】
1 湿式塗装ブース循環系
10 塗装ブース
11 水膜板
20 循環水ピット
21 ポンプ
22 泡消シャワー
30 固液分離装置
31 濃縮粕
41、42、43、44 配管
60 ファン
61 フィルター
A 循環水(上流)
B 循環水(下流)
C 貯留水
D 塗料成分含有水
E 塗料成分分離水