(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104157
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】大面積電極にぴったりと嵌合されたセラミックス絶縁体
(51)【国際特許分類】
C23C 16/455 20060101AFI20170316BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
C23C16/455
H05H1/46 M
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-511318(P2013-511318)
(86)(22)【出願日】2011年5月18日
(65)【公表番号】特表2013-529254(P2013-529254A)
(43)【公表日】2013年7月18日
(86)【国際出願番号】US2011036932
(87)【国際公開番号】WO2011146571
(87)【国際公開日】20111124
【審査請求日】2014年5月17日
(31)【優先権主張番号】61/346,907
(32)【優先日】2010年5月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】クデラ ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】べック ジョンフン
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト ジョン エム
(72)【発明者】
【氏名】タイナー ロビン エル
(72)【発明者】
【氏名】アンワール スハイリ
【審査官】
吉野 涼
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−284271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00−16/56
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス分散板の周端部を囲むためのマルチピースフレームアセンブリであって、
第1端部に穴と第2端部にスロットを有する第1の細長フレーム部材と、
第1端部に穴と第2端部にスロットを有する第2の細長フレーム部材と、
第1端部に穴と第2端部にスロットを有する第3の細長フレーム部材と、
第1端部に穴と第2端部にスロットを有する第4の細長フレーム部材を含み、第4の細長フレーム部材の第1端部は、第3の細長フレーム部材の第2端部が自由に越えて摺動することができるように構成され、第4の細長フレーム部材の第2端部は、第1の細長フレーム部材の第1端部を越えて自由に摺動するマルチピースフレームアセンブリ。
【請求項2】
第1の細長フレーム部材は、内側端部及び外側端部を含み、内側端部は凹部を有する請求項1記載のマルチピースフレームアセンブリ。
【請求項3】
第1の細長フレーム部材の内側端部は、直線表面部を含む請求項2記載のマルチピースフレームアセンブリ。
【請求項4】
内側端部の直線表面部は、第1の細長フレーム部材のスロットに隣接して配置されている請求項3記載のマルチピースフレームアセンブリ。
【請求項5】
第1の細長フレーム部材のスロットは、第1の細長フレーム部材の長辺と平行に揃った向きを有する請求項1記載のマルチピースフレームアセンブリ。
【請求項6】
第3の細長フレーム部材は、内方に延びるリップを有する本体を含む請求項1記載のマルチピースフレームアセンブリ。
【請求項7】
第3の細長フレーム部材は、内方へ延びるリップと、本体の底面から本体の上面へと延びる第2のスロットを有する本体を含む請求項1記載のマルチピースフレームアセンブリ。
【請求項8】
第1、第2、第3、及び第4の細長フレーム部材は、セラミックスから製造される請求項1記載のマルチピースフレームアセンブリ。
【請求項9】
第3の細長フレーム部材のスロットは、第3の細長フレーム部材の長さ方向に延びる請求項8記載のマルチピースフレームアセンブリ。
【請求項10】
ガス分散板と、
ガス分散板の周端部を囲むためのマルチピースフレームアセンブリであって、
第1端部に穴と第2端部にスロットを有する第1の細長フレーム部材と、
第1端部に穴と第2端部にスロットを有する第2の細長フレーム部材と、
第1端部に穴と第2端部にスロットを有する第3の細長フレーム部材と、
第1端部に穴と第2端部にスロットを有する第4の細長フレーム部材を含み、第4の細長フレーム部材の第1端部は、第3の細長フレーム部材の第2端部が自由に越えて摺動することができるように構成され、第4の細長フレーム部材の第2端部は、第1の細長フレーム部材の第1端部を越えて自由に摺動するマルチピースフレームアセンブリを含むシャワーヘッドアセンブリ。
【請求項11】
第1、第2、第3、及び第4の細長フレーム部材はセラミックスから製造される請求項10記載のシャワーヘッドアセンブリ。
【請求項12】
第1の細長フレーム部材の第2端部は、スロット内に配置され、第2端部をガス分散板に固定するガイドピンを更に含む請求項10記載のシャワーヘッドアセンブリ。
【請求項13】
第1の細長フレーム部材は、
第1端部の穴内に配置され、第1の細長フレーム部材の第1端部をガス分散板に固定する静止ピンを更に含む請求項10記載のシャワーヘッドアセンブリ。
【請求項14】
マルチピースフレームアセンブリの第1の細長フレーム部材内に配置され、ガス分散板に電気的に結合された導電性要素を更に含む請求項10記載のシャワーヘッドアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、概して、ぴったりと嵌合されたセラミックス絶縁体を有する電極(例えば、シャワーヘッドアセンブリ)に関する。
【0002】
(従来技術の説明)
1.5メートル四方を超える基板を処理するために使用される大面積矩形PECVDチャンバ内では、同じ固有の処理条件(例えば、RF周波数及び電力密度、電極間隔、圧力、及びガス化学物質)の下で動作するより小型のチャンバよりも、駆動電極の周囲でアーク放電に悩まされる傾向は大きい。二次元的に2〜3メートルのオーダーの電極を有するチャンバにとっては、有用なフィルム及び/又は十分に有用な堆積速度及び商業的な生産性を達成することができないような低いRF印加電力レベルでのアーク放電に悩まされる可能性がある。
【0003】
このように、大面積PECVDチャンバ等での使用に適した改良された電極が必要である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態は、概して、シャワーヘッドアセンブリと共に使用するためのシールドフレームアセンブリと、真空処理チャンバ内でシャワーヘッドの周囲にぴったりと嵌合した絶縁体を含むシールドフレームアセンブリを有するシャワーヘッドアセンブリとを含む。一実施形態では、ガス分散板シャワーヘッドアセンブリの周端部を囲むためのマルチピースフレームアセンブリが提供される。マルチピースフレームアセンブリは、第1端部に穴と第2端部にスロットを有する第1の短い細長フレーム部材と、第1端部に穴と第2端部にスロットを有する第2の短い細長フレーム部材と、第1端部に穴と第2端部にスロットを有する第1の長い細長フレーム部材と、第1端部に穴と第2端部にスロットを有する第2の長い細長フレーム部材を含む。
【0005】
本発明の別の一実施形態では、シャワーヘッドアセンブリは、ガス分散板とマルチピースフレームアセンブリを含む。マルチピースフレームアセンブリは、ガス分散板の周端部を囲む。マルチピースフレームアセンブリは、第1のフレーム部材と第2のフレーム部材を含む。第1のフレーム部材は、第2のフレーム部材の固定端に当接する自由端を有する。
【0006】
別の一実施形態では、シャワーヘッドアセンブリは、ガス分散板の周端部を囲む絶縁フレームアセンブリを含む。導電性要素が、絶縁フレームアセンブリ内に配置され、ガス分散板に電気的に結合されている。
【0007】
本発明の目的は、以下の図面に示される好適な実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後で、当業者には疑いなく明らかとなるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の開示内容は、添付の図面と共に以下の詳細な説明を考慮することによって容易に理解することができる。
【
図1】シールドフレームアセンブリを有するPECVD処理チャンバの一実施形態の部分断面図を示す。
【
図2】ガス分散板アセンブリに取り付けられたシールドフレームアセンブリの一実施形態の底面図である。
【
図3】加熱条件下における
図2のシールドフレームアセンブリ及びガス分散板アセンブリを示す。
【
図4C】冷却及び加熱条件下における
図2のシールドフレームアセンブリの接合部分の側面図及び底面図である。
【
図5F】シールドフレームアセンブリの様々な実施形態の模式的断面輪郭形状を示す。
【
図6】シールドフレームアセンブリの別の一実施形態の平面図である。
【0009】
理解を促進するために、図面に共通する同一の要素を指定する際に、可能な限り同一の参照符号が使用されている。しかしながら、添付の図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示すものであり、したがって、その範囲を限定すると考えるべきではなく、本発明は、他の同様に効果的な実施形態を認めることができることに注意すべきである。
【0010】
本発明の実施形態は、一般的に、PECVDシャワーヘッドアセンブリの周囲にぴったりと嵌合されたマルチピース絶縁体を含むシールドフレームアセンブリを含む。マルチピース絶縁体は、シャワーヘッドアセンブリの伸縮が熱によって引き起こされた場合に、ぴったりとした嵌合を維持し、これによってアーク放電の可能性を最小限に抑えるように構成される。更に、マルチピース絶縁体は、隣接するチャンバコンポーネントへのアーク放電を防止するために、シャワーヘッドの周囲を覆って密閉するように機能する。一実施形態では、シールドフレームアセンブリは、シャワーヘッドアセンブリの周囲を絶縁材料で物理的に覆うことにより、アーク放電を防止する。絶縁材料は、セラミックス又は他の適切な材料が可能である。更に、他の実施形態では、シャワーヘッドアセンブリ及び/又はマルチピースセラミックス絶縁体の外周部は、電界集中を低減し、更に、アーク放電の可能性を低減させる半径を含む。他の実施形態では、導電性要素は、シャワーヘッドアセンブリに電気的に接続された、又はシャワーヘッドアセンブリの一部であるシールドフレームアセンブリ内に存在し、これによって導電性要素は、シャワーヘッドアセンブリと本質的に同じ電圧で動作し、これによってシャワーヘッドアセンブリの露出した周囲の電界を低減させる。本発明の実施形態は、例示的にPECVDシャワーヘッドアセンブリを参照して説明するが、本発明は他のプラズマ援用プロセス(例えば、CVD、ALD、エッチングなど)でも利用できることが理解される。また、シールドフレームアセンブリは、シールドフレームアセンブリに対して異なる熱膨張係数を有する他の四角形の対象物に利用できることも理解される。
【0011】
図1は、シールドされたシャワーヘッドアセンブリ114を有する処理チャンバ100の一実施形態の部分断面図を示す。処理チャンバ100は、RF電源124及びガスパネル122に結合されたチャンバ本体102を含む。チャンバ本体102は、一般的に導電性材料で製造されている壁104及び蓋106を含む。チャンバ本体102は、上で基板130が処理される基板支持体132の上方で処理領域160を閉じ込める。バッキングプレート110は、蓋106の上に配置される。絶縁体108は、バッキングプレート110と蓋106との間に配置され、これによって電気的絶縁を提供する。
【0012】
シャワーヘッドアセンブリ114は、ブラケット112によってバッキングプレート110の下に吊り下げられている。シャワーヘッドアセンブリ114は、一般的に、ガス分散板116及び誘電体シールドフレームアセンブリ118を含む。処理ガス及び/又はクリーニングガスが、ガスパネル122からバッキングプレート110を貫通するガス流路120を通って送られ、これによってガス分散板116とバッキングプレート110との間の間隙空間内にガスを供給する。間隙空間内のガスは、ガス分散板116を貫通して形成された複数のガス通路140を通って、ガス分散板116の底面138と基板支持体132上に支持された基板130との間に画定された処理領域160内に流れる。整合回路126を介してガス分散板116に供給されるRF電力は、ガス分散板116と基板130との間に配置されたガスを励起し、これによって基板130上への堆積を促進するためのプラズマを維持する。
【0013】
基板130の端部は、シャドーフレーム128で覆われ、これによって処理中に基板130の周囲に沿った堆積を防ぐ。シャドーフレーム128及び/又は基板支持体132は、グランドRFリターンパス134(例えば、導電性ストラップ)によって、チャンバ本体102の壁104に電気的に結合されている。チャンバ壁104は、シャドーフレーム128を支持して、基板支持体132から持ち上げるシャドーフレーム支持体136を更に含み、基板搬送を促進するために基板支持体132は下げられる。チャンバ壁104及び蓋106の表面に沿って伝わるRF電力は、ブラケット146及びカバー148を通ってRF電源124に戻る。
【0014】
ガス分散板116は、一般的に、その周囲に沿って段差150を含む。ガス分散板116の底面138と交差する段差150の内壁152によって形成された角部154は、一般的に、幾何学的形状に起因する高電界を有する。これらの場所でアーク放電を防止するために、誘電体シールドフレームアセンブリ118が、段差150内に配置され、内壁152に対してぴったりと嵌合されている。内壁152に沿って生成された高濃度電界がシールドフレームアセンブリ118の誘電体材料内に配置されるので、ガス分散板116と、接地されたチャンバコンポーネント(例えば、蓋106及び/又はチャンバ壁104)の間のアーク放電が大幅に削減される。誘電体シールドフレームアセンブリ118は、締結具又は他の適切な方法(詳細後述)によって、ガス分散板116に固定される。締結具は、ガス分散板116の内壁152と誘電体シールドフレームアセンブリ118の間にギャップがほとんど又は全く無いように、更にシールドフレームアセンブリ自体のコンポーネント間にもギャップがほとんど又は全く無いように維持しながら、シールドフレームアセンブリ118がガス分散板116の熱膨張及び収縮に対応できるように構成される。
【0015】
図2は、シールドフレームアセンブリ118の一実施形態の底面図を示す。シールドフレームアセンブリ118は、四辺形リング状に配置された少なくとも4つのフレーム部材を含む。
図2に示される実施形態では、シールドフレームアセンブリ118は、短いフレーム部材202と、長いフレーム部材252と、短いフレーム部材254と、長いフレーム部材256を含む。短いフレーム部材202、254は、細長く平行な向きを有する。長いフレーム部材252、256は細長く、短いフレーム部材202、254の向きに実質的に垂直である平行な向きを有する。フレーム部材202、252、254、256の各々は、ガス分散板116に固定された固定端と、ガス分散板116の熱膨張及び収縮に応じて、ガス分散板がフレーム部材に対して移動することができるような方法で、ガス分散板116に固定された自由端を有する。
【0016】
図2に示される実施形態では、短いフレーム部材202は、固定端204と、自由端206と、外側長辺208と、内側長辺210を有する実質的に長方形の形状を有する。内側長辺210は、ガス分散板116の内壁152に当接する。外側長辺208は、内側長辺210にほぼ平行な方向を有する。固定端204は、短いフレーム部材202をガス分散板116に固定する静止ピン(固定ピン)218を受け入れる穴216が貫通形成されている。穴216は、静止ピン218に精密嵌合するような大きさで作られ、これによって短いフレーム部材202は、ねじ止め、圧入、その他の方法でガス分散板116に固定された静止ピン218に対して、ほとんど又は全く動かない。一実施形態では、静止ピン218は、ガス分散板116内に形成された(
図5Aに見られる)ねじ穴230に係合される。
【0017】
短いフレーム部材202の自由端206は、固定端204の反対側に配置される。スロット212は、自由端206の近くに短いフレーム部材を貫通して形成される。スロット212は、長辺208、210の向きと略平行な方向を有しており、固定端204に貫通形成された穴216と揃えることができる。ガイドピン214は、短いフレーム部材202の自由端206をガス分散板116に摺動可能に固定するためにスロット212を貫通して配置される。ガイドピン214及びスロット212は、内側長辺210とガス分散板116の内壁152の間の精密嵌合を維持しながら、スロット212及び長辺208、210の方向と平行な方向に、短いフレーム部材202の自由端206を移動することができるすきまばめを有する。
【0018】
長いフレーム部材252は、固定端264と、自由端266と、外側長辺268と、内側長辺270を含む。長いフレーム部材252の端部264、266及び辺268、270は、概して、短いフレーム部材202で説明されたものと同様の方向性を有する。長いフレーム部材252の固定端264は、自由端206の近傍の接合部分220で、短いフレーム部材202の内側長辺210に当接する。短いフレーム部材202を参照して上述したように、静止ピン218は、長いフレーム部材252の固定端264をガス分散板116に固定し、スロット212を通して配置されたガイドピン214は、自由端266をガス分散板116に固定する。長いフレーム部材252の固定端264は、ガス分散板116に対して実質的に静止した位置に固定されているので、短いフレーム部材202の自由端206は、長いフレーム部材252の固定端264と短いフレーム部材202の内側長辺210の当接部の接合部分220にギャップを作ることなく、長いフレーム部材252の固定端264を越えて自由に摺動する。
【0019】
短いフレーム部材254は、短いフレーム部材202と実質的に同一である。短いフレーム部材254は、固定端274と、自由端276と、外側長辺278と、内側長辺280を有する実質的に長方形の形状を有する。内側長辺280は、ガス分散板116の内壁152に当接する。外側長辺278は、内側長辺280にほぼ平行な方向を有する。固定端274は、短いフレーム部材254をガス分散板116に固定する静止ピン218を受け入れる穴216が貫通形成されている。穴216は、静止ピン218に精密嵌合するような大きさで作られ、これによって短いフレーム部材254は、ねじ止め、圧入、その他の方法でガス分散板116に固定された静止ピン218に対して、ほとんど又は全く動かない。一実施形態では、静止ピン218は、ガス分散板116内に形成されたねじ穴230に係合される。
【0020】
短いフレーム部材254の固定端274は、自由端266に近接する接合部分222で、長いフレーム部材252の内側長辺270に当接する。短いフレーム部材254の固定端274は、ガス分散板116に対して実質的に静止した位置に固定されているので、長いフレーム部材252の自由端266は、短いフレーム部材254の固定端274と長いフレーム部材252の内側長辺270の当接部の接合部分222にギャップを作ることなく、短いフレーム部材254の固定端274を越えて自由に摺動する。
【0021】
短いフレーム部材254の自由端276は、固定端274の反対側に配置される。スロット212は、自由端276の近くに短いフレーム部材を貫通して形成される。スロット212は、長辺278、280の向きと略平行な方向を有しており、固定端274に貫通形成された穴216と揃えることができる。ガイドピン214は、短いフレーム部材254の自由端276をガス分散板116に摺動可能に固定するためにスロット212を貫通して配置される。ガイドピン214及びスロット212は、内側長辺280とガス分散板116の内壁152の間の精密嵌合を維持しながら、スロット212及び長辺278、280の方向と平行な方向に、短いフレーム部材254の自由端276を移動することができるすきまばめを有する。
【0022】
長いフレーム部材256は、長いフレーム部材252と実質的に同一である。長いフレーム部材256は、固定端284と、自由端286と、外側長辺288と、内側長辺290を含む。長いフレーム部材256の端部284、286及び辺288、290は、概して、長いフレーム部材256で説明されたものと同様の方向性を有する。長いフレーム部材256は、穴216を貫通して配置された静止ピン218及びスロット212を貫通して配置されたガイドピン214によって、ガス分散板116に結合される。長いフレーム部材256の自由端286は、自由端286の近傍の接合部分226で、短いフレーム部材202の固定端204に当接する。短いフレーム部材202の固定端204は、ガス分散板116に対して実質的に静止した位置に固定されているので、長いフレーム部材256の内側長辺290は、短いフレーム部材202の固定端204と長いフレーム部材256の内側長辺290の当接部の接合部分226にギャップを作ることなく、短いフレーム部材202の固定端204を越えて自由に摺動する。
【0023】
長いフレーム部材256の固定端284は、自由端276に近接する接合部分224で、短いフレーム部材254の内側長辺280に当接する。長いフレーム部材256の固定端284は、ガス分散板116に対して実質的に静止した位置に固定されているので、短いフレーム部材254の自由端276は、長いフレーム部材256の固定端284と短いフレーム部材254の内側長辺280の当接部の接合部分224にギャップを作ることなく、長いフレーム部材256の固定端284を越えて自由に摺動する。
【0024】
上述のように、フレーム部材254、252、254、256は、
図2に示されるような低温状態から、
図3に示されるような高温状態まで、ガス分散板116の熱膨張に対応する。
図4A〜
図4Bに描かれた接合部分224の詳細に更に示されるように、ガス分散板116が、
図4Aに示されるような低温状態から、
図4Bに示されるような高温状態まで膨張するとき、静止ピン218のガイドピン214に対する相対位置が近接している(例えば、密接している)ため、長いフレーム部材256の固定端284は、
図4Cに示されるように、短いフレーム部材254の内側長辺280に対して実質的に固定される。短いフレーム部材254に対する長いフレーム部材256の動きは、短いフレーム部材254の自由端276に対する長いフレーム部材256の位置の相対的な変化、及びスロット212の内端部232からスロット212の外端部234までのスロット212内のガイドピン214の位置の変化に見ることができ、これは、ガス分散板116の膨張を示しており、ガス分散板116の共通の端部に沿ってガイドピン214、218を受け入れるガス分散板116内に形成された穴の間の距離を増加させる。
【0025】
図5A〜
図5Fは、側面、シールドフレームアセンブリ、及びガス分散板の部分断面図を示している。ガス分散板に電源が投入されると、ガス分散板の角部は、ガス分散板の周囲に電界を集中させるので、シールドフレームアセンブリの側面は、シールドフレームアセンブリを含む絶縁材料内で電界集中の電界及び/又は位置を最小化するように設計することができ、これによってガス分散板と他のコンポーネント(例えば、チャンバ壁)との間のアーク放電の可能性を最小限に抑える。
【0026】
図5Aは、シールドフレームアセンブリ118の長いフレーム部材252の輪郭形状の一実施形態を示す。シールドフレームアセンブリ118の他のフレーム部材も同様に構成することができる。長いフレーム部材252は、内方に延びるリップ502を有する本体508を含む。リップ502は、上方にあり、ガス分散板116の底面138の一部を覆っている先端506まで延びている。リップ502は、ガス分散板116の角部154を覆っているので、角部154に集中された電界は、長いフレーム部材252内に埋まり、これによってガス分散板116とチャンバ本体102及び/又は他のチャンバコンポーネント間のアーク放電の可能性を実質的に低減する。
【0027】
図5Bは、シールドフレームアセンブリ118の長いフレーム部材500Bの輪郭形状の別の一実施形態を示す。シールドフレームアセンブリ118の他のフレーム部材も同様に構成することができる。長いフレーム部材500Bは、内方に延びる先細リップ512を有する本体508を含む。リップ512は、ガス分散板116の底面138の上方にある本体508の上面514から先細になっている。リップ512は、ガス分散板116の角部154を覆っており、本体508の上面514はガス分散板116の底面138の上方に離間しているので、角部154に集中された電界は、長いフレーム部材500B内に埋まり、これによってガス分散板116とチャンバ本体102及び/又は他のチャンバコンポーネント間のアーク放電の可能性を実質的に低減する。
【0028】
図5Cは、シールドフレームアセンブリ118の長いフレーム部材500Cの輪郭形状の別の一実施形態を示す。シールドフレームアセンブリ118の他のフレーム部材も同様に構成することができる。長いフレーム部材500Cは、内方に延びるリップ522を有する本体508を含む。リップ522は、ガス分散板116の底面138と実質的に同一平面上にある本体508の上面514と略同一平面上にある。リップ522は、端部524まで延びており、これは曲面520を介して本体508に戻る。面520の輪郭形状又は曲率は、半径を有するように
図5Cに示される角部154の形状に一致するように選択される。角部154の半径は、角部154に集中した電界を低減するのに役立つ。リップ522は、ガス分散板116の湾曲角部154を覆うので、湾曲角部154に集中された低減された電界は、更に長いフレーム部材500C内に埋まり、これによってガス分散板116とチャンバ本体102及び/又は他のチャンバコンポーネント間のアーク放電の可能性を実質的に低減する。
【0029】
図5Dは、シールドフレームアセンブリ118の長いフレーム部材500Dの輪郭形状の別の一実施形態を示す。シールドフレームアセンブリ118の他のフレーム部材も同様に構成することができる。
【0030】
図5Dに示される実施形態では、長いフレーム部材500Dの本体508の上面514は、ガス分散板116の底面138を越えて延びる。したがって、たとえ本体508の内側端部530が上部湾曲角部154の全輪郭形状に一致しなくても、湾曲角部154に集中された低減された電界は、更に長いフレーム部材500Dの上昇した上部514の下に埋まり、これによってアーク放電の可能性を実質的に低減する。
【0031】
図5Eは、シールドフレームアセンブリ118の長いフレーム部材500Eの輪郭形状の別の一実施形態を示す。シールドフレームアセンブリ118の他のフレーム部材も同様に構成することができる。
図5Eに示される実施形態では、長いフレーム部材500Eの本体508は、ガス分散板116の底面138と実質的に同一平面上にある。長いフレーム部材500Eは、長いフレーム部材500Cを参照して説明したものと同様の丸みを帯びた角部154と実質的に一致するリップ522を含む。長いフレーム部材500Eは、本体508の底面544から上面514に向かって延びるスロット540を更に含む。ガス分散板116に電気的に結合された導電性要素542が、スロット540内に配置される、又はそうでなければ長いフレーム部材500Eの本体508内に埋められている。スロット540は、長いフレーム部材500Eの長さ方向に延びる。導電性要素542は、ガス分散板116と原則的に同じ電圧で動作し、これによってシャワーヘッドアセンブリの露出した角部154における電界を低減し、更に本体508内に実質的に電気力線を集中させ、これによってアーク放電の可能性を実質的に低減する。
図5Eに示される実施形態では、導電性要素542は、ガス分散板116から長いフレーム部材500E内に延びるタブとして示されている。さもなければ導電性要素542は、アーク放電の可能性を実質的に低減する方法で長いフレーム部材500Eを含む材料を挟んで内部を埋めた他の構成を有していてもよいことが理解される。
【0032】
図5Fは、シールドフレームアセンブリ118の長いフレーム部材500Fの輪郭形状の別の一実施形態を示す。シールドフレームアセンブリ118の他のフレーム部材も同様に構成することができる。長いフレーム部材500Fは、導電性要素542を受け入れるスロット540を含み、本体508の上面514が、ガス分散板116の底面138を越えて延びることを除き、上記の長いフレーム部材500Eと同様に構成される。リップは、
図5Fに示された実施形態には図示されていないが、角部154を覆い、アーク放電の可能性の低減を高めるために、リップ(例えば、リップ522及び/又はリップ502又はリップ512)を利用可能であることが理解される。
【0033】
図6は、シールドフレームアセンブリ600の別の一実施形態の平面図である。シールドフレームアセンブリ600は、シールドフレームアセンブリ118と実質的に類似しており、短いフレーム部材602と、長いフレーム部材606と、短いフレーム部材604と、長いフレーム部材608を含む。短いフレーム部材602、604は、細長く平行な向きを有する。長いフレーム部材606、608は細長く、短いフレーム部材602、604の向きに実質的に垂直である平行な向きを有する。フレーム部材602、604、606、608の各々は、ガス分散板116(
図6には図示せず)に固定された固定端632と、ガス分散板116の熱膨張及び収縮に応じて、ガス分散板がフレーム部材に対して移動することができるような方法で、ガス分散板116に固定された自由端630を有する。
【0034】
フレーム部材602、604、606、608の各々は、外側端部610及び内側端部622を含む。フレーム部材602、604、606、608の外側端部610は、直線的な方向性を有することができる。シールドフレームアセンブリ600の内側端部622は、フレーム部材602、604、606、608の各々の内側端部622が凹部612を有しているという点で、シールドフレームアセンブリ118の内側端部とは異なる。内側端部622の凹部612は、フレーム部材602、604、606、608の内側角部から延びる直線破線の基準線614と比較して示されている。一旦加熱されると、ガス分散板116の中心部が、ガス分散板の角部よりも外側により遠くに延びるので、内側端部622の凹部612は、シールドフレームアセンブリ600とガス分散板116との間に実質的に均一な隙間を維持できる。したがって、内側端部622の凹部612は、ガス分散板116とのこすれ及び粒子生成の可能性を最小限に抑える。
【0035】
内側端部622の各々は、スロット212が内部に形成されたフレーム部材の自由端630に配置された直線表面部(平面部)618も含む。直線表面部618は、フレーム部材602、604、606、608の内側角部から延びる基準線614と略同一線上にある。直線表面部618は、固定端632の端部620に対して摺動する平面を提供し、これによって加熱及び冷却に起因してシールドフレームアセンブリ600及びガス分散板116が伸縮するとき、隣接するフレーム部材602、604、606、608間のギャップを最小限に抑える。
【0036】
このように、シャワーヘッドの周囲にぴったりと嵌合する絶縁シールドフレームアセンブリを含むシャワーヘッドアセンブリが提供された。有利なことには、絶縁シールドフレームアセンブリは、熱に起因してシャワーヘッドが伸縮する間にぴったりとした嵌合を維持するように構成され、これによってアーク放電の可能性を最小限に抑える。更に、絶縁シールドフレームアセンブリは、シャワーヘッドの周囲を覆って密封し、これによって隣接するチャンバコンポーネントへのアーク放電を防止するように機能する。更に、シャワーヘッドに電気的に結合された又はシャワーヘッドの一部である導電性要素が、シールドフレームアセンブリのいくつかの実施形態には存在し、これによって導電性要素はシャワーヘッドと原則的に同じ電圧で動作し、これによってシャワーヘッドの露出した周囲で電界を低減する。
【0037】
上述の実施例及び説明では、本発明の実施形態の構成及び趣旨が記載されている。本発明の開示内容を保持したまま、装置の多数の修正及び変更を行うことができることを、当業者は容易に気付くだろう。したがって、上記の開示は、添付の特許請求の範囲の境界によってのみ限定されると解釈されるべきである。