(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スキッドの貫通孔から出没可能に設けられているとともにワーク表面に沿って倣い移動する触針、および、ワーク表面に垂直な方向における前記触針の変位を検出する変位検出部、を有する触針ユニットと、
前記触針ユニットをワーク表面に沿って進退させる駆動部と、
前記触針ユニットおよび前記駆動部と三次元測定機の測定ヘッド保持部に連結するためのジョイント部と、を備えた表面粗さ測定ユニットであって、
前記スキッドがワーク表面に当接したことを検知する接触検出部を備え、
前記測定ヘッド保持部が移動することで前記表面粗さ測定ユニットが駆動されている状態で、前記接触検出部は、前記スキッドがワーク表面に当接したことを検知したときに検知結果を出力し、
前記三次元測定機の前記測定ヘッド保持部が前記検知結果に応じて停止した状態で、前記駆動部が前記触針ユニットをワーク表面に沿って進退させて、前記変位検出部が前記触針の前記変位を検出する、
ことを特徴とする表面粗さ測定ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の主たるポイントは三次元測定機に取り付けて使用できる表面粗さ測定ユニットの構成にあるのであるが、後の説明の都合上、まず三次元測定機を含む三次元測定システムの構成を説明しておく。
【0015】
図1は、三次元測定システム100の構成を示す図である。三次元測定システム100は、三次元測定機120と、コンピュータ端末140と、を備えている。
【0016】
三次元測定機120は、
ワークWを載置する定盤121と、
ワークWの輪郭形状を倣い測定する測定ヘッド122と、
この測定ヘッド122をX、YおよびZ方向に三次元的に移動させる移動機構130と、を備えている。
【0017】
ここでは、測定ヘッド122として、スタイラスの先端に接触球127を有するタッチセンサプローブを示しているが、測定ヘッド122は別種のものに交換可能となっている。(すなわち、後述の説明においては、タッチセンサプローブに代えて使用できる表面粗さ測定ユニットを説明する。)
【0018】
図1に示すように、X、Y、Zの直交座標系をマシン座標系として定める。
X方向は
図1において左右方向であり、Y方向は
図1中において紙面の奥から手前の方向であり、Z方向は上下方向である。
【0019】
移動機構130は、門型フレーム131と、Xスライダ133と、Z軸スピンドル134と、駆動機構(不図示)と、を備える。
門型フレーム131は、X軸方向に横架された水平ビーム132を有するとともに、Y軸方向に移動可能に設けられている。
【0020】
Xスライダ133は、Z軸方向に長さを有するコラムを有し、水平ビーム132に沿ってX軸方向にスライド可能に設けられている。
Z軸スピンドル134は、Xスライダ133の内部に挿入され、Z軸方向に摺動可能に設けられている。
【0021】
駆動機構(不図示)は、門型フレーム131、Xスライダ133およびZ軸スピンドル134を各軸方向に駆動させるモータ等で構成される。
【0022】
測定ヘッド122としてのタッチセンサプローブは、Z軸スピンドル134の下端に取り付けられ、タッチセンサプローブは接触球127を備える。
三次元測定機120は、移動機構130で測定ヘッド122を移動させ、接触球127をワークWに接触させることで、ワークWの形状を測定する。
【0023】
前述のように、三次元測定システム100は、測定ヘッドを交換することが可能になっており、例えば、測定ヘッドをタッチセンサプローブにしておいてワークの輪郭形状をまずは測定する。そして、タッチセンサプローブに代えて表面粗さ測定ユニットをZ軸スピンドルの下端に取り付ける。この表面粗さ測定ユニットによってワーク表面粗さを測定するわけである。
【0024】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態にかかる表面粗さ測定ユニットを説明する。
表面粗さ測定ユニットは、タッチセンサプローブに代えて、三次元測定システム100の移動機構130に連結させて使用可能なものである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0025】
図2(a)は、表面粗さ測定ユニット1の側面図である。
図2(b)は、表面粗さ測定ユニット1の上面図である。
図2(c)は、表面粗さ測定ユニット1の正面図である。
【0026】
表面粗さ測定ユニット1は、触針ユニット3と、駆動部4と、第2支持部6と、ジョイント部40と、を備える。
表面粗さ測定ユニット1は、ジョイント部40によって移動機構130(具体的にはZ軸スピンドルの下端)に連結される。(なお、第2支持部6はジョイント部40と繋がっており、触針ユニット3および駆動部4をジョイント部40に連携させるものであるが、詳しくは第2実施形態として後述する。)
【0027】
図3は駆動部4の内部機構を説明するための図であり、
図4は、触針ユニット3の内部機構を説明するための図である。まず、
図4を参照して触針ユニット3の機構を説明する。
【0028】
触針ユニット3は、内部に空間を有するケース体18と、ケース体18内で揺動可能に設けられた触針レバー20と、変位検出部16と、を有する。
ケース体18は、略直方体の胴部と、この胴部の先端から突き出たノーズ部17と、有し、さらに、ノーズ部17の先端にはスキッド11が設けられている。
【0029】
スキッド11はその内部にL字型に屈曲した貫通孔19を有し、この貫通孔19はノーズ部17内の空洞に連続している。
【0030】
触針レバー20は、その先端に下向きの触針12を有する。
(説明の都合上、表面粗さ測定ユニット1の上下方向を、
図2a、
図3〜
図6において紙面上に表された通りに上下を規定して表現する。また、紙面の左側を表面粗さ測定ユニット1の前方、紙面の右側を表面粗さ測定ユニット1の後方と表現する。)
触針レバー20は、胴部からノーズ部17にかけて挿通され、先端の触針12がスキッド11の下端開口から外部に臨むように配設されている。
触針レバー20は、その中間部において板ばね21によって胴部の内部空間に取り付けられている。
板ばね21は、触針レバー20の揺動支点となっているとともに、触針12がスキッド11の下面からわずかに突出した状態でバランスが取れるように触針レバー10を弾性的に支持している。
【0031】
変位検出部16は、胴部の内部に配置されている。
変位検出部16は、フェライト板22と、インダクタンス検出器23と、を有する。
【0032】
フェライト板22は、触針レバー20の後端上面に取り付けられている。胴部の内部空間においてフェライト板22と対向する位置には、インダクタンス検出器23が取り付けられている。
【0033】
スキッド11の下面は、測定時においてワークWと接触するワーク接触面である。スキッド11の下面がワークWの測定面に沿って移動すると、測定面の表面粗さによって触針12が上下動する。触針12が上下動すると、インダクタンス検出器23によってこの上下動が検出される。インダクタンス検出器23から出力される検出信号によりワークW測定面の表面粗さが測定される。触針ユニット3は、ワークWの測定面の表面粗さの測定結果を、外部に出力する。
【0034】
次に、
図3に戻って、駆動部4について説明する。
図3は、駆動部4の機構を示す図である。
駆動部4は、
第1支持部7と、
動力機構部24と、
接触検出部15と、を備える。
なお、駆動ケース5を点線で表示している。
【0035】
第1支持部7は、L字形状のフレーム25と、触針ユニット3をフレーム25に連結する連結手段14と、フレーム25の移動方向を規制するガイド部26と、を備える。
【0036】
フレーム25は、触針ユニット3の上側に配置されて、触針ユニット3の後端を片持ち支持するものである。ここで、フレーム25は、触針ユニット3の上側に対してルーフ(屋根)のようにかぶさるように位置する部材25aと、部材25aから直角に屈曲しており触針ユニット3の後端に対向する部材25bと、有する形状である。
【0037】
連結手段14は、触針ユニット3の後端と部材25bとを連結しており、ここでは具体的には板バネである。この板バネは、他に力が作用していなければ、触針ユニット3が部材25aから離隔する方向に触針ユニット3を付勢している。
図3でいうと、触針ユニット3の先端部(すなわちスキッド11)が触針ユニット3の後端よりも下に下がるように傾いていることがわかるであろう。
【0038】
ガイド部26は、ガイドシャフト27を有し、フレーム25を平行移動可能に支持するものである。
部材25aの上面に設けられた軸受27aと27bの穴に、ガイドシャフト27が貫通している。
【0039】
動力機構部24は、モータ28と、送りネジ29と、ねじ受けナット30と、で構成されている。
部材25bの下端面には、送りねじ29に螺合するねじ受けナット30が設けられる。送りネジ29がガイドシャフト27と平行に設けられているのはもちろんである。
【0040】
ねじ受けナット30が螺合する送りねじ29の末端にはモータ28が接続され、モータ28が回転駆動することにより、送りねじ29は測定面に対して平行な方向に移動し、フレーム25がガイドシャフト27に沿って移動する。
【0041】
なお、ここでは、モータ28、送りねじ29、及びねじ受け30がフレーム25の部材25bの下面側に設けられる構成について記載したが、例えばフレーム25の側面側や、上面側に設けられるようにしてもよい。
【0042】
接触検出部15は、触針ユニット3とフレーム25との間に配置され、スキッド11がワークWに接触したことを検出する。
図5は、スキッド11(さらには触針12)がワークWに接触する際の図である。
接触検出部15は、具体的には、フォトセンサ151と、遮蔽板152と、で構成される。
【0043】
フォトセンサ151は部材25aの下面に配設され、フォトセンサ151は発光部151aと受光部151bとを有する。
発光部151aは光を発射し、受光部151bは前記光を受光する。受光部151bで光を受光できなくなれば、発光部151aと受光部151bとの間に遮蔽物が存在していることを検出することができるようになっている。
そして、遮蔽板152は、触針ユニット3のケース体18の上面でフォトセンサ151と向かい合う位置に配設されている。
【0044】
スキッド11がワークWの測定面と接触していない状態では、スキッド11が後端部より下がった状態となるように触針ユニット3は連結手段14により付勢されているということは既に述べた。このとき、触針ユニット3と部材25aとは離れているため、遮蔽板152はフォトセンサ151の光を遮断しない。
これに対し、スキッド11がワークWの測定面と接触すると、スキッド11が測定面により押し上げられ、これにより、触針ユニット3が押し上げられる。すると、触針ユニット3の上面と部材25aの下面とが接近し、遮蔽板152がフォトセンサ151の光を遮断する。
このようにして、スキッド11がワークWに接触したことによる、触針ユニット3のわずかな傾きの変化をフォトセンサ151で検出する。
表面粗さ測定ユニット1は、接触検出部15でスキッド11がワークWに接触したことを検出すると、この検出結果を出力する。
この検出結果を受けると、移動機構130は、ワークに接近する方向への移動を停止する。そして、表面粗さ測定ユニット1は、ワークWの表面粗さ測定を開始する。すなわち、モータ28を回転駆動させて触針ユニット3をワークW表面に沿って進退させる。
【0045】
本実施の形態にかかる表面粗さ測定ユニット1は、スキッド11がワークWの測定面に接触した際の、触針ユニット3のわずかな傾きの変化を検出可能である。
したがって、三次元測定機120の移動機構130の駆動精度だけで触針ユニット3をワークW表面に対して適切な位置にセッティングするのは困難であるが、接触検出部15からの検出信号を用いることにより、スキッド11(さらには触針)を適切にワークWに接触させることが可能になる。
また、接触検出部15でスキッド11とワークWとの接触が検出されたときには移動機構130による表面粗さ測定ユニット1の移動を停止させるため、スキッド11等の精巧な部品が破損してしまうような事故を防止することができる。
さらに、接触検出部15によってワークWとスキッド11との接触を正確に検出可能であるので、事故回避のために表面粗さ測定ユニット1をワークWにわざとゆっくり近づけるような必要もなく、測定効率のさらなる向上を図ることができる。
ここで、接触検出部15として、触針12の変位により触針ユニット3がワークWに接触したことを検出する構成も考えられるはする。しかし、触針ユニット3の変位検出部16の測定レンジや分解能を考慮すると、ワークに対して触針ユニット3を相当ゆっくり近づけていかなければならないだろう。この点、本実施形態にかかる触針ユニットは、表面粗さ測定ユニット1をワークWにわざとゆっくり近づけるような必要もなく、測定効率のさらなる向上を図ることができる。
さらにまた、本実施の形態にかかる測定ユニット1は、スキッド11を駆動させる駆動部4を備えているために、表面粗さを測定するときに、移動機構130の駆動を停止することができるため、移動機構130の駆動による、表面粗さの測定結果のぶれが発生しない。このため、本実施の形態にかかる測定ユニット1は、正確に表面粗さを検出することができる。また、三次元測定機の駆動機構130を、表面の粗さ測定は使用しないために、他の装置、例えばロボットや工作機械等でも装着することが可能である。
【0046】
(第2実施形態)
本発明にかかる表面粗さ測定ユニット1は、第1実施形態で説明した接触検出部に加えて、さらに衝突検知部50を備える。衝突検知部50は、スキッド11ではなく、表面粗さ測定ユニット1自体が意図しない障害物に衝突したことを検出するものである。
【0047】
表面粗さ測定ユニット1では、触針ユニット3を高精度に平行移動させる必要がある。そのため、スキッド11、ガイド部26および動力機構部24の配置関係がある程度規定されてしまい、どうしてもスキッド11の下端面と駆動ケース5の下面との間にギャップを十分に確保することが難しい。
例えば、
図2に示すように、スキッド11の下端と駆動ケース5との下面とがほぼ面一になることが多い。ここで、例えば加工漏れ等でワークWの表面に凹凸や突起が残ってしまっている場合、スキッド11をワークW表面に接触させるつもりで表面粗さ測定ユニット1をワークW表面に接近させると、スキッド11よりも先に駆動ケース5の下面など表面粗さ測定ユニット1自体が突起等に当たってしまう可能性がある。
【0048】
そこで、衝突検知部50は、例えば表面粗さ測定ユニット
1を移動機構130に連結してワークWを測定しようとしたときに、オペレータの予期しない場所の突起(例えばワークW表面の加工漏れ等)で表面粗さ測定ユニット
1が破損することを防ぐものである。
【0049】
図6は、第2支持部6の構成を示す図である。
第2支持部6は、外カバー6aの内部に設けられる。
【0050】
第2支持部6は、支持ケース51と、コイルばね52と、支持板53と、フォトセンサ55と、遮蔽板56と、を備える。
フォトセンサ55と遮蔽板56とにより衝突検知部50が構成されている。
【0051】
支持ケース51は、中空の筺体であり、下面に凹部を有する長方形の上板51aと、中心部に穴51dが設けられた長方形の下板51bと、上板51aの周囲と下板51bの周囲とを接続する壁面部51cと、を備える。
下板51bに設けられた穴51dには、触針ユニット3の駆動ケース5を支持板53に接続する接続部材54が挿通される。
【0052】
支持板53は、長方形であり、下板51b上に、3つ以上の鋼球57を介して保持されている。(
図7では側面図のため二つの鋼球57が見えていると解釈されたい。)
下板51bの上面には、それぞれの鋼球57を受けるための複数の受け穴58を有する。受け穴58は、鋼球57が転がらないように設けられるものであり、ここでは円錐形に凹んだ形状となっている。
【0053】
なお、ここでは支持ケース51の上板51a、下板51b、及び支持板53は長方形である物として説明したが、これに限られるものではない。これらの形状は、例えば、円形、正三角形、二等辺三角形、正方形等で構成することも可能である。すなわち、支持ケース51の面を保持できるよう、3以上の鋼球57が設けられていればよい。
【0054】
支持板53は、接続部材54と固定的に連結されており、駆動ケース5の傾きに合わせて支持板53も同じ角度に傾くことになる。
【0055】
上板51aと支持板53との間には、コイルばね52が配置され、コイルばね52の弾性力により、支持板53が下板51bに押しつけられる構成となっている。
また、上板51aの下面と、支持板53の上面と、にはそれぞれコイルばね52が挿入されるための凹部が設けられている。
ここに、下板51bが座部となり、支持板53が支持部となり、支持板53が下板51bに着座するようになっている。
【0056】
壁面部51cには、フォトセンサ55が配設されている。フォトセンサ55は、発光部55aと受光部55bとを備え、発光部55aと受光部55bとの間で光を照射・受光して、発光部55aと受光部55bとの間に遮蔽物があるか否かを検出する。
遮蔽板56は、壁面部51cのフォトセンサ55が設けられた位置と向かい合う位置の支持板53の側面に配設される。遮蔽板56は、支持板53と下板51bとが平行な状態であるときには、フォトセンサ55の発光部55aと受光部55bとの間に挿入されるように設けられる。
図6(b)は、駆動ケース5が障害物と接触した状態を示す図である。駆動ケース5の先端部付近の下面から障害物が接触すると、駆動ケース5の先端部分が持ち上げられて、駆動ケース5が傾く。
駆動ケース5が傾くのと同時に、接続部材54で駆動ケース5と連結された支持板53が傾く。すると、フォトセンサ55の間に挿入されていた遮蔽板56がずれ、フォトセンサ55の検出状態が変化する。これにより、駆動ケース5が外部の障害物に接触したことを検出可能である。
これにより、本実施の形態にかかる表面粗さ測定ユニット
1は、測定面以外に外部の障害物が接触したことを検出することが可能である。
そして、このように、意図しない障害物に表面粗さ測定ユニッ
ト1が衝突したことを衝突検知部50で検知した際には、移動機構130による表面粗さ測定ユニット
1の移動を停止させる。
これにより、意図しない障害物への衝突によって表面粗さ測定ユニッ
ト1が破損するなどの事故を防ぐことができる。
【0057】
(校正について)
次に、表面粗さ測定ユニット1を三次元測定システム100に取り付けて使用する際の校正について説明する。
図7は、表面粗さ測定ユニット1と基準球200とを示す図である。
表面粗さ測定ユニット1を使用するにあたっては、表面粗さ測定ユニット1を移動機構130に連結したあと、ワークWの形状を測定する前に、基準球200を用いてのオフセット校正を行う。
【0058】
ここで、校正にあたっては、先に説明した触針ユニット3ではなく、接触球127を先端に有するオフセット校正用ヘッド300に交換してある。
これは次の理由による。
表面粗さ測定ユニット1で直接基準球200を測定することも可能なのであるが、表面粗さ測定ユニット1のスキッド11の形状は球体ではないため、基準球200の表面上の複数の点にスキッド11を接触させても正しく基準球200を測定することができず、オフセットの値もバイアスがかかってしまう。
バイアスがかかったオフセットの値を含めて校正することも可能であるが、バイアスは基準球200や基準球200の測定ポイントにより異なることが予測されるために、望ましい方法ではない。
そこで、校正にあたっては、接触球127を先端に有するオフセット校正用ヘッド300を用いることが好ましいのである。
【0059】
校正にあたっては、接触球127を基準球200に対して一方向からアプローチして基準球200に接触させ、接触球127で基準球200の中心点の座標を測定する。(表面粗さ測定ユニット1はワークに対して一方向のセンシングしかできないので、基準球200の測定も一方向からのアプローチでよい。)
接触球127で測定した基準球200の中心点の座標と、基準のデータとしてコンピュータ端末140内に格納された基準球200の中心点の座標と、の差分を計算して、表面粗さ測定ユニット1のオフセット量を校正する。
なお、オフセット校正用ヘッド300の接触球127と触針ユニット3のスキッド11との間にも寸法差があるが、この寸法差は設計値を用いて校正すればよい。
【0060】
以上のように、本発明にかかる表面粗さ測定ユニット1は、スキッド11の測定面がワークWに接触したことを検出する接触検出部15を備えるため、三次元測定機120の移動機構130の駆動精度であっても表面粗さ測定ユニット1(つまりスキッド11)を正確にワークWにセッティングすることが可能である。
【0061】
さらに、表面粗さ測定ユニット1は、衝突検知部50を備えるため、表面粗さ測定ユニット1をワークに近づけようとする際に、例えば駆動ケース5の底面にオペレータの予期しない障害物が接触したとしても、速やかに障害物との衝突を検知でき、表面粗さ測定ユニット1の破損を防ぐことができる。
【0062】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
例えば、門型のフレームを有する三次元測定機について説明したが、移動機構が多関節型のものであっても、本実施の形態にかかる表面粗さ測定ユニットが適用可能であることはもちろんである。
(多関節型三次元測定機は、例えば特開2007−47014号公報に開示されている。)
また、例えば触針と触針レバーとが直角の構成有する表面粗さ測定ユニットについて記載したが、触針と触針レバーとがまっすぐに連結されている構成など、触針ユニットの内部構造自体が限定されるものではない。
またさらに、本発明にかかる表面粗さ測定ユニットは、例えばロボットや工作機械などに装着して使用することも可能である。
接触検出部15や衝突検知部50としてはフォトセンサを例示したが、メカニカルな接点スイッチとしてもよいことはもちろんであり、具体的な構成が実施形態の例示に限定されないのはもちろんである。