(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記他方の側壁の複数の前記基板支持板状部間における溝の幅は、前記一方の側壁の複数の前記基板支持板状部間における溝の幅よりも大きい請求項1に記載の非対称溝形状ウェーハカセット。
前記一方の側壁に設けられた複数の前記基板支持板状部は、前記一方の内面の法線に対して5°以上15°以下の角度で交差する方向へ延出する請求項1又は請求項2に記載の非対称溝形状ウェーハカセット。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハ等の基板を収納する容器としては、一対の側壁と、側方基板支持部とを備える構成のものが、従来より知られている。一対の側壁のそれぞれには側方基板支持部が形成されている。また、一対の側壁間には、複数の基板を収容可能な基板収容空間が形成されている。側方基板支持部は、基板収容空間内において対をなすように配置されており、複数の基板のうちの隣接する基板同士を所定の間隔で離間させて並列させた状態で、複数の基板の縁部を支持可能である。
【0003】
より具体的には、一方の側壁は、他方の側壁に対向する一方の内面を有している。また、他方の側壁は、一方の内面に平行な位置関係を有して一方の内面に対向する他方の内面を有している。側方基板支持部は、一方の内面と他方の内面とのそれぞれにおいて、基板収容空間の内方へ平行に延出する複数の基板支持板状部を有している。
【0004】
複数の基板支持板状部間には、複数の基板の縁部を挿入可能な溝が形成されている。一方の側壁の複数の基板支持板状部間の溝と他方の側壁の複数の基板支持板状部間の溝とは対向する位置関係を有している。一方の側壁の複数の基板支持板状部間の溝と他方の側壁の複数の基板支持板状部間の溝とに基板の縁部が挿入されることにより、基板の縁部が側方基板支持部に支持される。
【0005】
一方の側壁に設けられた複数の基板支持板状部は、一方の内面に対して直交する方向へ延出している。また、他方の側壁に設けられた複数の基板支持板状部は、他方の内面に対して直交する方向へ延出している(特許文献1参照)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態による非対称溝形状ウェーハカセットについて、
図1〜
図5を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態による非対称溝形状ウェーハカセット1に基板Wが収容された状態を示す下方斜視図である。
図2は、本発明の実施形態による非対称溝形状ウェーハカセット1に基板Wが収容された状態を示す正面図である。
図3は、
図2のA―A線に沿った断面図である。
図4は、本発明の実施形態による非対称溝形状ウェーハカセット1の基板支持板状部50、60を示す拡大断面図である。
図5は、本発明の実施形態による非対称溝形状ウェーハカセット1に収容される基板Wを示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は斜視図である。
【0016】
ここで、説明の便宜上、後述の奥側開口部22から容器本体開口部21へ向かう方向(
図1における右下から左上へ向かう方向)を前方向D11と定義し、その反対の方向を後方向D12と定義し、これらを前後方向D1と定義する。また、後述の下壁24から上壁23へと向かう方向(
図1における上方向)を上方向D21と定義し、その反対の方向を下方向D22と定義し、これらを上下方向D2と定義する。また、後述する第2側壁26から第1側壁25へと向かう方向(
図1における右から左へ向かう方向)を左方向D31と定義し、その反対の方向を右方向D32と定義し、これらを左右方向D3と定義する。各図においては、これらの方向を示す矢印を付して説明する。
【0017】
非対称溝形状ウェーハカセット1に収納される基板W(
図5参照)は、円盤状のシリコンウェーハ、ガラスウェーハ、サファイアウェーハ等であり、産業に用いられる薄いものである。本実施形態における基板Wは、直径が4インチ程度で、厚さが0.1mm程度の略円盤状のサファイアウェーハである。基板Wは、サファイアの上に半導体層を形成したものである。その半導体層は、例えば窒化物半導体が積層されたものである。基板Wの厚みは特に限定されるものではないが、例えば100μm以上2mm以下の厚みがあればよい。また、半導体層の厚みは、20μm以下である。基板Wは、上面側が下面側に対して全体として凸となるように反っている。基板Wの反り量WPは、基板Wにより個体差がありばらつきがあるが、最大値は、
図5(a)に示す基板Wの左右両端を結ぶ仮想直線Xから、基板Wの中央までの距離が12mmとなる程度である。また、基板Wの周縁の一部は、直線状の部分W1(
図5(b)参照)を有している。
【0018】
図1〜
図2に示すように、非対称溝形状ウェーハカセット1は、容器本体2と、側方基板支持部としての基板支持板状部50、60とを有している。
【0019】
図1に示すように、容器本体2は、前端部に容器本体開口部21が形成されると共に後端部に奥側開口部22が形成される壁部20により構成されている。壁部20は、上壁23と下壁24と第1側壁25と第2側壁26とを有する。容器本体2内には基板収容空間27が形成されている。基板収容空間27は、壁部20により取り囲まれて形成されている。壁部20の部分であって基板収容空間27を形成している部分には、基板支持板状部50、60が配置されている。基板収容空間27には、
図1に示すように、複数の基板Wを収納可能である。
【0020】
基板支持板状部50、60は、基板収容空間27内で左右方向D3において対をなすように壁部20に設けられている。基板支持板状部50、60は、隣接する基板W同士を所定の間隔で離間させて並列させた状態で、複数の基板Wの縁部を支持可能である。基板支持板状部50、60の奥側(後方向D12の側)には、基板後部当接壁252、262(
図3等参照)が設けられている。基板後部当接壁252、262は、基板Wが基板収容空間27に収容されているときに、基板Wの後部の縁部が当接する。
【0021】
基板Wは、表面W11(
図5参照)の法線が上方向D21に一致し、裏面W12の法線が下方向D22に一致した位置関係とされて、基板収容空間27内に支持される。以下、本実施形態における主要な構成について、詳細に説明する。
【0022】
壁部20を構成する上壁23、下壁24、第1側壁25、及び第2側壁26は、プラスチック材等により構成されており、第1実施形態では、PEEK樹脂により一体成形されて構成されている。
【0023】
第1側壁25と第2側壁26とは対向しており、上壁23と下壁24とは対向している。第1側壁25の上端及び第2側壁26の上端は、上壁23に接続されており、第1側壁25の下端及び第2側壁26の下端は、下壁24に接続されている。従って、上壁23、下壁24、第1側壁25、及び第2側壁26によって、
図2に示すように、前方視で略長方形状が形成される。
【0024】
上壁23の前端、第1側壁25の前端、及び第2側壁26の前端は、最も前方に位置して、容器本体2の前端に容器本体開口部21を形成する開口周縁部28を構成する。第1側壁25の前端は、左方へ延びる左開口フランジ部251を有している。また、第2側壁26の前端は、右方へ延びる右開口フランジ部261を有している。基板収容空間27は、第1側壁25と第2側壁26との間に形成されている。
【0025】
また、第1側壁25の後部、及び第2側壁26の後部は、後方へ行くにつれて左右方向D3における幅が小さくなる基板後部当接壁252、262(
図3等参照)を有している。基板後部当接壁252、262には、基板収容空間27内に収容された基板Wの後部の縁部が当接することにより、基板Wが後方へ移動を規制する。また、第1側壁25の後部、及び第2側壁26の後部は、第1側壁25の基板後部当接壁252、第2側壁26の基板後部当接壁262からそれぞれ後方へ延びる後方延出壁253、263を有している。後方延出壁253、263は、平行の位置関係を有している。後方延出壁253の後端と後方延出壁263の後端は、
図2に示すように、正面視で長方形状の奥側開口部22を形成する。
【0026】
また、
図1に示すように、下壁24は、下方視で略H形状を有している。下壁24は、左側延出部241と、右側延出部242と、中央連結部243とを有する。左側延出部241は、第1側壁25の下端に沿って、第1側壁25の下端の後端から前端近傍まで延びている。右側延出部242は、第2側壁26の下端に沿って、第2側壁26の下端の後端から前端近傍まで延びている。中央連結部243は、左側延出部241及び右側延出部242と一体成形されて、左側延出部241と右側延出部242とを掛け渡すようにしてこれらを連結している。
【0027】
壁部20の内面、即ち、上壁23の内面231(
図2等参照)、下壁24の内面245、一方の内面としての第1側壁25の内面255、及び他方の内面としての第2側壁26の内面265は、これらによって取り囲まれた基板収容空間27(
図1等参照)を形成している。第2側壁26の内面265は、第1側壁25の内面255に平行な位置関係を有して、第1側壁25に対向する。
図2に示すように、第1側壁25の内面255及び第2側壁26の内面265は、前後方向D1及び上下方向D2に平行な位置関係を有している。基板収容空間27には、最大で12枚の基板Wを収納可能である。
【0028】
基板支持板状部50、60は、第1側壁25及び第2側壁26にそれぞれ設けられて、左右方向D3において対をなすようにして基板収容空間27内に配置されている。具体的には、
図1、
図2に示すように、基板支持板状部50は、第1側壁25の内面255において13枚設けられている。基板支持板状部50は、第1側壁25と一体成形されており、第1側壁25の前端から基板後部当接壁252の前後方向D1における略中央位置に至るまで延びるとともに、基板収容空間27の内方へ平行に延出している。
【0029】
図4に示すように、基板支持板状部50の延出する方向は、右方向D32に平行に延びる第1側壁25の内面255の法線255Aに対して交差する方向、具体的には、第1側壁25の内面255の法線255Aに対して、基板支持板状部50間に形成された溝256の上面と溝256の下面との中央に位置する仮想平面256Aが、上方へ5°以上15°以下の角度θをなす方向である。角度θを5°以上としたのは、5°未満では、溝256に基板Wの縁部を挿入し易いという効果を得られないからである。角度θを15°以下としたのは、最大の反り量WPを有する基板Wの場合であっても、15°を超えてしまうと、溝256に基板Wの縁部を挿入しにくくなるからである。本実施形態では、第1側壁25の内面255の法線255Aに対して、上方へ10°の角度θをなす方向である。左右方向D3における内面255からの基板支持板状部50の延出長さは、12.5mm程度である。上下方向D2における基板支持板状部50の厚さは、6.8mm程度である。
【0030】
基板支持板状部50間に形成された溝256は、計12筋形成されている。溝256の幅は、2.7mm程度である。また、溝256の後端部に相当する基板後部当接壁262の部分には、水切り用貫通孔257(
図3等参照)が形成されている。水切り用貫通孔257は、基板収容空間27内と基板収容空間27外とを連通する。また、
図3に示すように、溝256の底部には、溝256が延びている前後方向D1に沿って延びる貫通孔258が形成されている。貫通孔258は、基板収容空間27内と基板収容空間27外とを連通する。溝256には、基板Wの縁部をそれぞれ1枚ずつ挿入可能である。
【0031】
同様に、基板支持板状部60は、第2側壁26の内面265において13枚設けられている。基板支持板状部60は、第2側壁26と一体成形されており、
図3に示すように、第2側壁26の前端から、基板後部当接壁262の前後方向D1における略中央位置に至るまで延びるとともに、基板収容空間27の内方へ平行に延出している。
図4に示すように、基板支持板状部60の延出する方向は、左右方向D3に平行に延びる第2側壁26の内面265の法線265Aに対して、基板支持板状部60間に形成された溝266の上面と溝266の下面との中央に位置する仮想平面266Aが、平行をなす方向(一致する方向)である。左右方向D3における内面265からの基板支持板状部60の延出長さは、12.5mm程度である。上下方向D2における基板支持板状部60の厚さは、3.2mm程度である。
【0032】
図4に示すように、基板支持板状部50の延出長さA
1と基板支持板状部60の延出長さB
1の関係は、基板支持板状部60の延出長さB
1が基板支持板状部50の延出長さA
1よりも長い(B
1>A
1)ことが好ましい。基板支持板状部60の延出長さB
1は、12.5mm〜15mmの範囲であることが好ましい。この範囲にあると、基板Wを非対称溝形状ウェーハカセット1内に安定して保持することができる。一方で、基板支持板状部50の長さA
1をB
1よりも短くすることにより、反りを持った基板Wが基板支持板状部50の上面に当たり、基板Wを下方に押さえる力がはたらいて、基板Wに割れが生じることを、極力回避することができる。
【0033】
基板支持板状部60間に形成された溝266は、計12筋形成されている。溝266の幅は、6.3mm程度であり、第1側壁25の基板支持板状部50の間に形成された溝256の幅よりも大きい。また、溝266の後端部に相当する基板後部当接壁262の部分には、水切り用貫通孔267が形成されている。水切り用貫通孔267は、基板収容空間27内と基板収容空間27外とを連通する。また、
図3に示すように、溝266の底部には、溝266が延びている前後方向D1に沿って延びる貫通孔268が形成されている。貫通孔268は、基板収容空間27内と基板収容空間27外とを連通する。溝266には、基板Wの縁部をそれぞれ1枚ずつ挿入可能である。
【0034】
図4に示すように、第1側壁25の基板支持板状部50の間に形成された溝256の開口部255Bと、第2側壁26の基板支持板状部60の間に形成された溝266の開口部265Bとは対向している。この構成により、第1側壁25の基板支持板状部50の間に形成された溝256と、第2側壁26の基板支持板状部60の間に形成された溝266とに、基板Wの縁部が挿入されることにより、基板Wの縁部が側方基板支持部としての基板支持板状部50、60に支持される。
【0035】
また、上述のような構成から、
図2に示すように、左右方向D3における基板収容空間27の中央位置を通り、前後方向D1及び上下方向D2に平行な仮想平面Cに関して、第1側壁25の基板支持板状部50と、第2側壁26の基板支持板状部60とは非対称形状を有している。このため、第1側壁25の基板支持板状部50の間に形成された溝256の形状と、第2側壁26の基板支持板状部60の間に形成された溝266の形状とは、異なっている。
【0036】
なお、
図2では、反り量が最大の基板Wを溝256、266に挿入した様子を図示したが、実際には、
図2に示す基板Wよりも反り量が小さい基板Wが、主として溝256、266に挿入され、基板収容空間27内において収容される。従って、実際には、溝256の上面と溝256の下面との中央に位置する仮想平面256Aと、溝256に収容された基板Wの上面(表面W11)及び下面(裏面W12)とは、略並行な位置関係を有する。
【0037】
上記構成の第1実施形態による非対称溝形状ウェーハカセット1によれば、以下のような効果を得ることができる。
上述のように、一方の側壁としての第1側壁25に設けられた複数の基板支持板状部50は、一方の内面としての第1側壁25の内面255の法線255Aに対して交差する方向へ延出している。そして、他方の側壁としての第2側壁26に設けられた複数の基板支持板状部60が、第1側壁25に設けられた複数の基板支持板状部50とは非対称の形状を有することにより、第1側壁25の基板支持板状部50間の溝256の形状と、第2側壁26の基板支持板状部60間の溝266の形状とは異なる。
【0038】
この構成により、全体として反った形状を有して反り量の大きな基板Wの縁部を、確実に溝256、266に挿入させることができる。この結果、反った形状を有する基板Wを基板収容空間27に収容することができる。また、容器本体開口部21を上方に位置させ、奥側開口部22を下方に位置させた状態とするいわゆる縦置きの状態としたときに、基板Wが溝256、266内においてバタつくことを抑制することができる。
【0039】
また、他方の側壁としての第2側壁26に設けられた複数の基板支持板状部60は、他方の内面としての第2側壁26の内面265の法線265Aに平行に延出し、第2側壁26の複数の基板支持板状部60間における溝266の幅は、一方の側壁としての第1側壁25の複数の基板支持板状部50間における溝256の幅よりも大きい。
【0040】
この構成により、作業者が目視により基板Wを溝256、266に挿入するマニュアル操作により、基板Wを溝256、266に挿入する際に、目視により、第1側壁25の基板支持板状部50間の溝256に基板Wの縁部を挿入することによって、目視をせずに、第2側壁26の基板支持板状部60の溝266に、基板Wの反対側の端部を挿入可能とすることができる。即ち、基板Wの反り量と、基板支持板状部50の延出する方向とを考慮して、第2側壁26の複数の基板支持板状部60間における溝266の幅を、適切に広くする。これにより、目視によって、第1側壁25の基板支持板状部50間の溝256に基板Wの縁部を挿入することにより、目視をせずに、第2側壁26の基板支持板状部60の溝266に、基板Wの反対側の端部を挿入可能とすることができる。また、溝266が形成された基板支持板状部60が設けられた第2側壁26の成形を、容易とすることができる。
【0041】
また、一方の側壁としての第1側壁25に設けられた複数の基板支持板状部50は、一方の内面としての第1側壁25の内面255の法線255Aに対して5°以上15°以下の角度θで交差する方向へ延出する。このため、第1側壁25の基板支持板状部50間の溝256への基板Wの挿入を、より確実に容易とすることができる。
【0042】
本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的範囲において変形が可能である。例えば、溝256、266は、それぞれ12筋形成されていたが、この数に限定されない。即ち、基板支持板状部50、基板支持板状部60の数も13に限定されない。
【0043】
また、第2側壁26に設けられた複数の基板支持板状部60は、第2側壁26の内面265の法線265Aに平行に延出し、第2側壁26の複数の基板支持板状部60間における溝266の幅は、第1側壁25の複数の基板支持板状部50間における溝256の幅よりも大きく構成されたが、この構成に限定されない。他方の側壁に設けられた複数の基板支持板状部が、一方の側壁に設けられた複数の基板支持板状部とは非対称の形状を有することにより、一方の側壁の基板支持板状部間の溝の形状と、他方の側壁の基板支持板状部間の溝の形状とが、異なっていればよい。
【0044】
また、上壁23、下壁24、第1側壁25、及び第2側壁26は、PEEK樹脂により一体成形されて構成されていたが、PEEK樹脂に限定されない。上壁23、下壁24、第1側壁25、及び第2側壁26には、例えば、汎用の樹脂、例えば、PFA(フッ素樹脂)やPP(ポリプロピレン)等が用いられても良い。
【0045】
また、上壁23、下壁24、第1側壁25、及び、第2側壁26の形状は、本実施の形態の形状に限定されない。同様に、各部の寸法の値は、本実施形態に記載の寸法の値に限定されない。また、本実施形態における基板Wは、直径4インチ、厚さが0.1mm程度の略円盤状のサファイアウェーハであったが、この寸法に限定されない。