特許第6104928号(P6104928)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6104928層間多結晶シリコン誘電体キャップおよびその形成方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104928
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】層間多結晶シリコン誘電体キャップおよびその形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/318 20060101AFI20170316BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20170316BHJP
   H01L 27/115 20170101ALI20170316BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20170316BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20170316BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   H01L21/318 M
   H01L21/316 M
   H01L27/10 434
   H01L29/78 371
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-541176(P2014-541176)
(86)(22)【出願日】2012年11月7日
(65)【公表番号】特表2014-533437(P2014-533437A)
(43)【公表日】2014年12月11日
(86)【国際出願番号】US2012063841
(87)【国際公開番号】WO2013070685
(87)【国際公開日】20130516
【審査請求日】2015年11月6日
(31)【優先権主張番号】13/294,608
(32)【優先日】2011年11月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】ロジャーズ, マシュー エス.
(72)【発明者】
【氏名】シューグラフ, クラウス
【審査官】 正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−010480(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0121972(US,A1)
【文献】 特開2009−272547(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0073931(US,A1)
【文献】 特開2008−078317(JP,A)
【文献】 特開2011−077321(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0217834(US,A1)
【文献】 特表2013−521653(JP,A)
【文献】 特開2008−091915(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0081417(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0248435(US,A1)
【文献】 特表2012−522399(JP,A)
【文献】 特開2008−182104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/318
H01L 21/316
H01L 21/336
H01L 27/115
H01L 29/788
H01L 29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の浮遊ゲート、第2の浮遊ゲート、および前記第1の浮遊ゲートと前記第2の浮遊ゲートとの間に配置された分離層を有する基板上に配置された誘電体キャップであって、
前記第1の浮遊ゲートおよび前記第2の浮遊ゲートの上部部分上および側壁上に配置された第1の窒素含有層と、
前記第1の窒素含有層上および前記分離層の上面上に配置された第1の酸素含有層と、
前記第1の酸素含有層の上部部分上および側壁上に配置された第2の窒素含有層と、
前記第2の窒素含有層上および前記第1の酸素含有層の上面上に直接接触して配置された第2の酸素含有層とを備える誘電体キャップ
【請求項2】
前記第2の酸素含有層上に配置された第3の窒素含有層をさらに備える、請求項1に記載の誘電体キャップ
【請求項3】
前記第3の窒素含有層が、厚さ約10〜約20Åである、請求項2に記載の誘電体キャップ
【請求項4】
前記第3の窒素含有層上に配置された制御ゲート層をさらに備える、請求項2に記載の誘電体キャップ
【請求項5】
前記第1の窒素含有層が、厚さ約5〜約20Åであること、
前記第1の酸素含有層が、厚さ約20〜約40Åであること、
前記第2の窒素含有層が、厚さ約20〜約40Åであること、または
前記第2の酸素含有層が、厚さ約40〜約80Åであることのうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の誘電体キャップ
【請求項6】
前記第1の窒素含有層および前記第2の窒素含有層が、窒化ケイ素(SiN)、酸窒化ケイ素(SiON)の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の誘電体キャップ
【請求項7】
前記第1の酸素含有層および前記第2の酸素含有層がそれぞれ、酸化ケイ素(SiO、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、ランタン(La)、もしくはジルコニウム(Zr)ベースの酸化物もしくは酸窒化物、または窒化ケイ素(Siの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の誘電体キャップ
【請求項8】
第1の浮遊ゲート、第2の浮遊ゲート、および前記第1の浮遊ゲートと前記第2の浮遊ゲートとの間に配置された分離層を有する基板と、
前記第1の浮遊ゲートおよび前記第2の浮遊ゲートの上部部分上および側壁上に配置された第1の窒素含有層と、
前記第1の窒素含有層上および前記分離層の上面上に配置された第1の酸素含有層と、
前記第1の酸素含有層の上部部分上および側壁上に配置された第2の窒素含有層と、
前記第2の窒素含有層上および前記第1の酸素含有層の上面上に直接接触して配置された第2の酸素含有層と備える、デバイス。
【請求項9】
前記第2の酸素含有層上に配置された第3の窒素含有層
をさらに備える、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第3の窒素含有層上に配置された制御ゲート層
をさらに備える、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
第1の浮遊ゲート、第2の浮遊ゲート、および前記第1の浮遊ゲートと前記第2の浮遊ゲートとの間に配置された分離層を有する基板上に誘電体キャップを形成する方法であって、
前記第1の浮遊ゲートおよび前記第2の浮遊ゲートの上部部分上および側壁上に第1の窒素含有層を選択的に形成することと、
前記第1の窒素含有層上および前記分離層の上面上に第1の酸素含有層を形成することと、
前記第1の浮遊ゲートおよび前記第2の浮遊ゲートの前記上部部分の上に堆積された第1の厚さ、ならびに前記分離層の前記上面の上に堆積された、前記第1の厚さより小さい第2の厚さを有する第2の窒素含有層を、前記第1の酸素含有層上に堆積させることと、
前記第1の浮遊ゲートおよび前記第2の浮遊ゲートの前記上部部分の上に堆積された前記第2の窒素含有層の少なくとも一部分、ならび、前記分離層の前記上面の上に堆積された前記第2の窒素含有層の実質上すべてを酸化させることによって、第2の酸素含有層を形成することとを含む方法。
【請求項12】
前記第2の酸素含有層上に第3の窒素含有層を形成すること
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第3の窒素含有層上に制御ゲート層を堆積させること
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の窒素含有層を選択的に形成することが、前記第1の浮遊ゲートおよび前記第2の浮遊ゲートの前記上部部分および前記側壁の少なくとも一部分を窒化させるプラズマ窒化プロセスを実行することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の酸素含有層上に第3の酸素含有層を堆積させて前記第2の酸素含有層の厚さを増大させることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に、半導体、および半導体を形成するプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者らは、単にデバイス構造を小さくすることによって半導体デバイスを縮小しても、小さい寸法で許容できる結果が得られないことが多いことを観察してきた。NANDフラッシュメモリデバイス内では、トンネル酸化物層、層間多結晶シリコン誘電体(IPD)キャップなどの特徴が縮小されたとき、たとえば基板と浮遊ゲートとの間、浮遊ゲートと制御ゲートとの間などで、望ましくない漏れが生じる可能性がある。たとえば、本発明者らは、フラッシュメモリデバイスを縮小するとき、従来の層間多結晶シリコン誘電体キャップを形成するために使用される共形の窒化物層は、隣接する浮遊ゲートを電気結合させ、それによって隣接する浮遊ゲート間に漏れを引き起こし、したがってデバイス性能を低減させることがあることを観察してきた。
【0003】
したがって、本発明者らは、層間多結晶シリコン誘電体キャップを使用する改善された半導体デバイス、およびその作製方法を提供する。
【発明の概要】
【0004】
層間多結晶シリコン誘電体キャップおよびその形成方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、第1の浮遊ゲート、第2の浮遊ゲート、および第1の浮遊ゲートと第2の浮遊ゲートとの間に配置された分離層を有する基板上に配置された層間多結晶シリコン誘電体キャップは、第1の浮遊ゲートおよび第2の浮遊ゲートの上部部分上および側壁上に配置された第1の窒素含有層と、第1の窒素含有層上および分離層の上面上に配置された第1の酸素含有層と、第1の酸素含有層の上部部分上および側壁上に配置された第2の窒素含有層と、第2の窒素含有層上および第1の酸素含有層の上面上に配置された第2の酸素含有層とを含むことができる。
【0005】
いくつかの実施形態では、デバイスは、第1の浮遊ゲート、第2の浮遊ゲート、および第1の浮遊ゲートと第2の浮遊ゲートとの間に配置された分離層を有する基板と、第1の浮遊ゲートおよび第2の浮遊ゲートの上部部分上および側壁上に配置された第1の窒素含有層と、第1の窒素含有層上および分離層の上面上に配置された第1の酸素含有層と、第1の酸素含有層の上部部分上および側壁上に配置された第2の窒素含有層と、第2の窒素含有層上および第1の酸素含有層の上面上に配置された第2の酸素含有層とを含むことができ、第1および第2の窒素含有層ならびに第1および第2の酸素含有層は、層間多結晶シリコン誘電体キャップを形成する。
【0006】
いくつかの実施形態では、第1の浮遊ゲート、第2の浮遊ゲート、および第1の浮遊ゲートと第2の浮遊ゲートとの間に配置された分離層を有する基板上に層間多結晶シリコン誘電体キャップを形成する方法は、第1の浮遊ゲートおよび第2の浮遊ゲートの上部部分上および側壁上に第1の窒素含有層を選択的に形成することと、第1の窒素含有層上および分離層の上面上に第1の酸素含有層を形成することと、第1の浮遊ゲートおよび第2の浮遊ゲートの上部部分の上に堆積された第1の厚さ、ならびに分離層の上面の上に堆積された、第1の厚さより小さい第2の厚さを有する第2の窒素含有層を、第1の酸素含有層上に堆積させることと、第1の浮遊ゲートおよび第2の浮遊ゲートの上部部分の上に堆積された第2の窒素含有層の少なくとも一部分、ならび、分離層の上面の上に堆積された第2の窒素含有層の実質上すべてを酸化させることによって、第2の酸素含有層を形成することとを含むことができる。
【0007】
本発明の他のさらなる実施形態については、以下に説明する。
【0008】
上記で簡単に要約し、以下でより詳細に論じる本発明の実施形態は、添付の図面に示す本発明の例示的な実施形態を参照することによって理解することができる。しかし、本発明は他の等しく有効な実施形態も許容しうるため、添付の図面は本発明の典型的な実施形態のみを示しており、したがって本発明の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のいくつかの実施形態による層間多結晶シリコン誘電体(IPD)キャップを有するデバイスの横断面図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態による層間多結晶シリコン誘電体キャップを形成する方法を示す図である。
図3A】本発明のいくつかの実施形態による層間多結晶シリコン誘電体キャップを形成する方法の様々な段階全体にわたる層間多結晶シリコン誘電体キャップの横断面図である。
図3B】本発明のいくつかの実施形態による層間多結晶シリコン誘電体キャップを形成する方法の様々な段階全体にわたる層間多結晶シリコン誘電体キャップの横断面図である。
図3C】本発明のいくつかの実施形態による層間多結晶シリコン誘電体キャップを形成する方法の様々な段階全体にわたる層間多結晶シリコン誘電体キャップの横断面図である。
図3D】本発明のいくつかの実施形態による層間多結晶シリコン誘電体キャップを形成する方法の様々な段階全体にわたる層間多結晶シリコン誘電体キャップの横断面図である。
図3E】本発明のいくつかの実施形態による層間多結晶シリコン誘電体キャップを形成する方法の様々な段階全体にわたる層間多結晶シリコン誘電体キャップの横断面図である。
図3F】本発明のいくつかの実施形態による層間多結晶シリコン誘電体キャップを形成する方法の様々な段階全体にわたる層間多結晶シリコン誘電体キャップの横断面図である。
図3G】本発明のいくつかの実施形態による層間多結晶シリコン誘電体キャップを形成する方法の様々な段階全体にわたる層間多結晶シリコン誘電体キャップの横断面図である。
図3H】本発明のいくつかの実施形態による層間多結晶シリコン誘電体キャップを形成する方法の様々な段階全体にわたる層間多結晶シリコン誘電体キャップの横断面図である。
図4】本発明のいくつかの実施形態による層間多結晶シリコン誘電体キャップを形成する方法を実行するのに適したクラスタツールの図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするために、可能な場合、複数の図に共通の同一の要素を指すのに同一の参照番号を使用した。これらの図は、原寸に比例して描かれたものではなく、見やすいように簡略化されることもある。一実施形態の要素および特徴は、さらなる記述がなくても、他の実施形態内に有益に組み込むことができることが企図される。
【0011】
層間多結晶シリコン誘電体キャップおよびその作製方法が、本明細書に提供される。本発明の層間多結晶シリコン誘電体(IPD)キャップは、有利には、隣接する浮遊ゲート間に非共形の窒素含有層を備えることができ、それによって隣接する浮遊ゲートの電気結合を低減させ、または排除し、したがってデバイスの隣接する浮遊ゲート間の漏れを最小にし、または排除することができる。さらに、本発明の方法は、有利には、複数の非共形層形成プロセスを利用して、非共形の窒素含有層の形成を容易にする。範囲を限定するものではないが、本発明は、NANDフラッシュメモリデバイスなどのメモリデバイスの製造にとって、具体的には縮小されたNANDフラッシュメモリデバイス(たとえば、45nm未満のデバイス)に対して、特に有利であろう。
【0012】
図1は、本発明のいくつかの実施形態による層間多結晶シリコン誘電体(IPD)キャップ102を有するデバイス100の横断面図である。デバイス100は、互いからの分離を必要とする隣接するフィールドゲートを利用する任意のタイプのデバイスとすることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、デバイス100は、メモリデバイス、たとえばNANDフラッシュメモリデバイスとすることができる。いくつかの実施形態では、デバイス100は、縮小されたNANDフラッシュメモリデバイス、またはたとえば45nm、30nm、もしくは20nmのノード寸法を有する他の適したデバイスとすることができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、デバイス100は、概して、基板108と、複数の浮遊ゲート(第1の浮遊ゲート104および第2の浮遊ゲート106を示す)と、分離層110(トンネル酸化物層と呼ばれることもある)と、IPDキャップ102とを備える。
【0014】
基板108は、デバイス100(たとえば、NANDフラッシュメモリデバイス)の製造に適した任意の材料、たとえば結晶シリコン(たとえば、Si<100>またはSi<111>)、ストレインドシリコン、シリコンゲルマニウム、ドープされたまたはドープされていない多結晶シリコン、ドープされたまたはドープされていないシリコンウエハ、パターン付きまたはパターンなしのウエハ、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、砒化ガリウム、ガラス、サファイアなどを含むことができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、分離層110は、基板108と第1の浮遊ゲート104および第2の浮遊ゲート106との間に配置することができ、第1の浮遊ゲート104と第2の浮遊ゲート106との間の分離領域112(フィールド酸化物層と呼ばれることもある)内へ延びて、第1の浮遊ゲート104および第2の浮遊ゲート106を互いから、また基板108から分離するのを容易にすることができる。分離層110は、第1の浮遊ゲート104および第2の浮遊ゲート106ならびに基板108の前述の分離を提供するのに適した任意の材料を含むことができる。たとえば、いくつかの実施形態では、分離層110は、酸化ケイ素(SiO)、酸窒化ケイ素(SiON)などのシリコンおよび酸素、あるいはアルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、ランタン(La)、もしくはジルコニウム(Zr)ベースの酸化物もしくは酸窒化物、または窒化ケイ素(Si)などの高誘電率誘電体材料などを、単層または積層構造(たとえば、SiO/高誘電率/SiO)で含むことができる。さらに、分離層110は、たとえば約50〜約80Åなど、上記で論じたように第1の浮遊ゲート104および第2の浮遊ゲート106ならびに基板108の分離を提供するのに適した任意の厚さを有することができる。
【0016】
第1の浮遊ゲート104および第2の浮遊ゲート106は、たとえば金属、ドープされたもしくはドープされていないシリコン、または多結晶シリコンなどの導電性材料など、所望のデバイス(たとえば、メモリデバイス)を形成するのに適した任意の材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の浮遊ゲート104および第2の浮遊ゲート106は、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)などを含むことができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、IPDキャップ102は、窒素含有層と酸素含有層が交互に重なった層(たとえば、NONON構造)を備えることができる。そのような実施形態では、IPDキャップ102は、第1の浮遊ゲート104および第2の浮遊ゲート106の上部部分116および側壁118上に配置された第1の窒素含有層114を備えることができる。本発明者らは、分離層110の頂面120上ではなく(従来のIPDキャップ内に設けられるものなど)、第1の浮遊ゲート104および第2の浮遊ゲート106の上部部分116および側壁118上に第1の窒素含有層114を設けることによって、第1の浮遊ゲート104と第2の浮遊ゲート106の電気結合を防止し、または低減させ、それによって第1の浮遊ゲート104と第2の浮遊ゲート106との間の漏れを著しく低減させ、または排除し、したがってデバイス性能を増大させることができることを観察してきた。
【0018】
第1の窒素含有層114は、所望のデバイス100を形成するのに適した任意の窒素含有材料を含むことができる。たとえば、いくつかの実施形態では、第1の窒素含有層114は、シリコンおよび窒素、たとえば窒化ケイ素(SiN)、酸窒化ケイ素(SiON)などを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の窒素含有層114は、約5〜約20Åの厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、第1の窒素含有層114は、約10〜約90原子パーセントの窒素含有率を含むことができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1の窒素含有層114および分離層110の頂面120上に、第1の酸素含有層122を配置することができる。いくつかの実施形態では、第1の酸素含有層122は、たとえば酸化ケイ素(SiO)、酸窒化ケイ素(SiON)などのシリコンおよび酸素、あるいはアルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、ランタン(La)、もしくはジルコニウム(Zr)ベースの酸化物もしくは酸窒化物、または窒化ケイ素(Si)などの高誘電率誘電体材料などを、単層または積層構造(たとえば、SiO/高誘電率/SiO)で含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の酸素含有層122は、分離層110に使用される材料と同じ材料を含むことができ、またはいくつかの実施形態では、異なる材料を含むこともできる。たとえば、分離層110が酸化物、たとえば酸化ケイ素(SiO)を含む実施形態では、第1の酸素含有層122もまた、酸化ケイ素(SiO)を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の酸素含有層122は、約20〜約40Åの厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、第1の酸素含有層122は、約50〜約80原子パーセントの酸素含有率を含むことができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1の酸素含有層122の上部部分136および側壁134上に、第2の窒素含有層124を配置することができる。本発明者らは、第1の酸素含有層122の底面132上ではなく(従来のIPDキャップ内に設けられるものなど)、第1の酸素含有層122の上部部分136および側壁134上に第2の窒素含有層124を設けることによって、第1の浮遊ゲート104と第2の浮遊ゲート106の電気結合を防止し、または低減させ、それによって第1の浮遊ゲート104と第2の浮遊ゲート106との間の漏れを著しく低減させ、または排除し、したがってデバイス性能を増大させることができることを観察してきた。
【0021】
第2の窒素含有層124は、たとえば第1の窒素含有層114に関して上記で論じた材料など、所望のデバイス100を形成するのに適した任意の窒素含有材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の窒素含有層124は、上記で論じたように、第1の窒素含有層114内で利用される材料と同じ材料を含むことができ、またはいくつかの実施形態では、異なる材料を含むこともできる。いくつかの実施形態では、第2の窒素含有層124は、約20〜約40Åの厚さを有することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、第2の窒素含有層124および第1の酸素含有層122の底面132上に、第2の酸素含有層126を配置することができる。第2の酸素含有層126は、たとえば酸化ケイ素(SiO)などのシリコンおよび酸素、または第1の酸素含有層122に関して上記で論じた材料のいずれかを含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の酸素含有層126は、第1の酸素含有層122内で利用される材料と同じ材料を含むことができ、またはいくつかの実施形態では、異なる材料を含むこともできる。いくつかの実施形態では、第2の酸素含有層126は、約20〜約50Åの厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、第2の酸素含有層126は、約40〜約80原子パーセントの酸素含有率を含むことができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、第2の酸素含有層126上に、任意選択の第3の窒素含有層128を配置することができる。第3の窒素含有層128は、たとえば第1の窒素含有層114および/または第2の窒素含有層124に関して上記で論じた材料など、所望のデバイス100を形成するのに適した任意の窒素含有材料を含むことができる。第3の窒素含有層128は、第1の窒素含有層114および第2の窒素含有層124内で利用される材料と同じ材料を含むことができ、またはいくつかの実施形態では、異なる材料を含むこともできる。いくつかの実施形態では、第3の窒素含有層128は、約10〜約20Åの厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、第3の窒素含有層128は、約10〜約100原子パーセントの窒素含有率を含むことができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、第2の酸素含有層126(または存在する場合、任意選択の第3の窒素含有層128)上に、制御ゲート層130を配置することができる。いくつかの実施形態では、制御ゲート層130は、金属、ドープされたもしくはドープされていないシリコン、または多結晶シリコンなどの導電性材料を含む。
【0025】
図2は、本発明のいくつかの実施形態による、たとえば図1で上述したIPDキャップ102などの層間多結晶シリコン誘電体(IPD)キャップを形成する方法200を示す。
【0026】
この方法は、202で、図3Aに示すように、第1の浮遊ゲート306、第2の浮遊ゲート308、および分離層304を有する基板302を設けることから始まる。いくつかの実施形態では、分離層304は、基板302と第1の浮遊ゲート306および第2の浮遊ゲート308との間に配置することができ、第1の浮遊ゲート306と第2の浮遊ゲート308との間に延びて、第1の浮遊ゲート306および第2の浮遊ゲート308を互いから、また基板302から分離するのを容易にすることができる。
【0027】
たとえば図1に関して上記で論じた基板などの基板302は、デバイス300(たとえば、NANDフラッシュメモリデバイス)の製造に適した任意のタイプの材料を含むことができる。分離層304は、たとえば図1に示す分離層110に関して上述した材料など、第1の浮遊ゲート306および第2の浮遊ゲート308ならびに基板302の前述の分離を提供するのに適した任意の材料を含むことができる。第1の浮遊ゲート306および第2の浮遊ゲート308は、たとえば図1に示す第1の浮遊ゲート104および第2の浮遊ゲート106に関して上述した材料など、所望のデバイス(たとえば、メモリデバイス)を形成するのに適した任意の材料を含むことができる。
【0028】
次に204で、図3Bに示すように、第1の浮遊ゲート306および第2の浮遊ゲート308の上部部分316、317および側壁310、312上に、第1の窒素含有層314が選択的に形成される。第1の窒素含有層314は、たとえば、図1に上述した第1の窒素含有層114に関して上記で論じた材料のいずれかなど、所望のデバイスを形成するのに適した任意の窒素含有材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の窒素含有層314は、約10〜約20Åの厚さまで堆積させることができる。
【0029】
第1の窒素含有層314は、たとえば分離プラズマ源を使用するプラズマ窒化プロセスなど、所望のデバイス300に対する第1の窒素含有層314の特有の材料を堆積させるのに適した任意の窒化プロセスを使用して形成することができる。窒素含有層314を形成するのに適した例示的なチャンバは、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials,Inc.から市販のSINGEN(登録商標)、RADOX(商標)、RADIANCE(登録商標)、もしくはVANTAGE(登録商標)というプロセスチャンバ、または分離プラズマ窒化(DPN)もしくは遠隔プラズマ窒化(RPN)が可能な任意のチャンバなど、プラズマ窒化のために構成された任意のチャンバとすることができる。窒素含有層314を実行するのに適した他のチャンバを使用することもできる。
【0030】
たとえば第1の窒素含有層314がプラズマ窒化プロセスを介して形成されるいくつかの実施形態では、第1の窒素含有層314は、窒素含有プロセスガスから形成されたプラズマに第1の浮遊ゲート306および第2の浮遊ゲート308の上部部分316、317および側壁310、312を露出させることによって形成することができる。
【0031】
本発明者らは、Si−Si結合のエネルギーがより低いため(Si−O結合と比較)、窒素含有ラジカルがシリコンと優先的に反応するので、窒素ラジカルを利用することで、窒素イオンを利用することに比べて、より高い選択性を提供することができることを観察してきた。したがって、いくつかの実施形態では、プラズマ内で形成される窒素ラジカルに、第1の浮遊ゲート306および第2の浮遊ゲート308の上部部分316、317および側壁310、312を露出させることができる。そのような実施形態では、所与のプロセス後のシリコン中の窒素の濃度と酸化物中の窒素の濃度との比は、約10:1〜約100:1、またはいくつかの実施形態では約20:1〜約70:1、またはいくつかの実施形態では約40:1とすることができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、インシトゥプラズマ発生プロセスを使用することができる。別法として、いくつかの実施形態では、プラズマは、遠隔で生成することができる。そのような実施形態では、遠隔プラズマジェネレータ、たとえばマイクロ波、RF、または熱チャンバを、比較的長い経路によって処理チャンバに接続することができ、イオン核種がプロセスチャンバに到達する前に経路に沿って再結合することを促進し、それによって窒素ラジカルを形成することができる。次いでこれらのラジカルは、たとえば、いくつかの実施形態ではシャワーヘッドもしくはラジカル分配器を通って、またはチャンバの側壁内の入り口を通って、プロセスチャンバ内へ流れ込む。
【0033】
いくつかの実施形態では、窒素含有ガスは、窒素(N)、アンモニア(NH)、ヒドラジン(N)、より低置換度のヒドラジン(N、ここで各Rは別個に、水素、メチル、エチル、プロピル、ビニル、もしくはプロペニル基である)、ならびに低級アミン(NR、ここでaおよびbはそれぞれ、0〜3の整数であり、かつa+b=3であり、各Rは別個に、水素、メチル、エチル、プロピル、ビニル、もしくはプロペニル基である)、アミド(RCONR’R”、ここでR、R’、およびR”はそれぞれ別個に、水素、メチル、エチル、プロピル、ビニル、もしくはプロペニル基である)、イミン(RR’C=NR”、ここでR、R’、およびR”はそれぞれ別個に、水素、メチル、エチル、プロピル、ビニル、もしくはプロペニル基である)、またはイミド(RCONR’COR”、ここでR、R’、およびR”はそれぞれ別個に、水素、メチル、エチル、プロピル、ビニル、もしくはプロペニル基である)を含むことができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、プロセスガスは、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)などの不活性ガスをさらに含むことができる。そのような実施形態では、プロセスガスは、約50〜約95パーセントの窒素含有ガスを含むことができる。プロセスガスは、窒化プロセスに対するプラズマを形成するのに十分な量の窒素含有ガスを提供するのに適した任意の総ガス流量で供給することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、プロセスガスは、約1000〜約20000sccmの総流量で供給することができる。
【0035】
プラズマは、たとえば誘導結合プラズマ源を使用して、プロセスガスから形成することができる。いくつかの実施形態では、プラズマ源は、RF電源とすることができる。いくつかの実施形態では、提供されるRF電源は、約2MHz〜約2GHzの周波数で約0.5〜約5kWである。
【0036】
さらに、窒化プロセスを容易にするために、他のパラメータを利用することもできる。たとえば、いくつかの実施形態では、窒化プロセスは、基板302を約300℃〜約1200℃、またはいくつかの実施形態では約800℃〜約1000℃の温度で維持しながら実行される。いくつかの実施形態では、この温度をプロセス中に徐々に増大させて、表面に堆積した窒素を揮発させ、それによって表面の飽和を相殺し、したがって基板内への窒素の侵入を増大させることができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、プラズマ内の窒素含有ラジカル(たとえば、N、NH、またはNH)のイオン密度に比べて高いラジカル密度を形成するために、プロセスチャンバ内で約5トルより大きい圧力を維持することができる。本発明者らは、そのような圧力を提供することでイオンが電子と迅速に再結合すことが促進され、中性ラジカル核種および不活性の核種が残ることを観察してきた。
【0038】
次に206で、図3Cに示すように、第1の窒素含有層314および分離層304の上面320上に、第1の酸素含有層318が形成される。第1の酸素含有層318は、たとえば酸化ケイ素(SiO)などのシリコンおよび酸素を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の酸素含有層318は、約20〜約40Åの厚さまで形成することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1の酸素含有層318は、酸化プロセス、堆積プロセス、またはこれらの組合せによって形成することができる。たとえば、適したプロセスには、熱酸化、化学気相堆積(CVD)、低圧化学気相堆積(LPCVD)、原子層堆積(ALD)、プラズマ化学気相堆積(PECVD)、またはこれらの組合せを含むことができる。第1の酸素含有層318が酸化プロセスを介して形成される実施形態では、このプロセスを高温(たとえば、摂氏約800〜約1200度)で実行して、高温酸化物層(HTO)を生じさせることができる。前述のプロセスのいずれかを実行することが可能な任意のタイプのプロセスチャンバを利用することができる。例示的なプロセスチャンバには、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials,Inc.から市販のRADOX(商標)、RADIANCE(登録商標)、VANTAGE(登録商標)、またはSINGEN(登録商標)というチャンバが含まれる。
【0040】
例示的な堆積プロセス、たとえば化学気相堆積(CVD)では、第1の酸素含有層318は、堆積混合ガスを含む1つまたは複数の前駆体ガスの所望の化学反応に起因する化学気相から堆積させることができる。たとえば、堆積混合ガスは、1つまたは複数の前駆体ガスを含むことができ、任意選択で、不活性またはキャリアガスをさらに含むことができる。
【0041】
たとえば、第1の酸素含有層318が酸化ケイ素(SiO)を含む実施形態では、堆積混合ガスは、シリコン含有ガス、酸素含有ガス、およびキャリアガスを含むことができる。例示的なシリコン含有ガスは、それだけに限定されるものではないが、シラン、ハロゲン化シラン、およびオルガノシランの1つまたは複数を含むことができる。例示的な酸素含有ガスは、それだけに限定されるものではないが、酸素(O)、オゾン(O)、または水蒸気(HO)の1つまたは複数を含むことができる。キャリアガスは、窒素(N)、水素(H)、アルゴン、ヘリウム、およびこれらの組合せを含むことができる。キャリアガスは、1つもしくは複数の前駆体ガスが何であるか、および/または堆積プロセス中のプロセス温度に基づいて、選択することができる。堆積混合ガスおよび/またはプロセスチャンバは、第1の酸素含有層318を堆積させるのに適した処理温度および圧力で維持することができる。
【0042】
次に208で、図3Dに示すように、第1の酸素含有層318の上に第2の窒素含有層321が堆積され、第2の窒素含有層321は、第1の浮遊ゲート306、308および第2の浮遊ゲートの上部部分316、317の上に堆積された第1の厚さ322と、分離層304の上面320の上に堆積された第2の厚さ324とを有する。第2の窒素含有層321は、たとえば図1に示す第2の窒素層124に関して上述した材料など、所望のデバイスを形成するのに適した任意の窒素含有材料を含むことができる。
【0043】
第2の窒素含有層321は、たとえば第1の窒素含有層314の形成に関して上述したプロセスなど、第2の窒素含有層321を所望の厚さまで堆積させることが可能な任意の適したプロセスを介して堆積させることができる。前述のプロセスのいずれかを実行することが可能な任意のタイプのプロセスチャンバを利用することができる。例示的なプロセスチャンバには、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials,Inc.から市販のSINGEN(登録商標)というチャンバが含まれる。
【0044】
第2の窒素含有層321を非共形層として提供する(すなわち、上述したように第1の厚さ322および第2の厚さ324を有する)ことで、第1の浮遊ゲート306、308および第2の浮遊ゲートの上部部分316、317の上の第2の窒素含有層321の一部分を部分的に消費し、分離層304の上面320の上に堆積された第2の窒素含有層321の実質上すべてを、後の酸化ステップ(後述)で実質上すべて消費することが可能になる。いくつかの実施形態では、第1の厚さ322は、約30〜約50Åである。いくつかの実施形態では、第2の厚さ324は、約10〜約30Åである。
【0045】
次に210で、図3Eに示すように、第1の浮遊ゲート306、308および第2の浮遊ゲートの上部部分316、317の上に堆積された第2の窒素含有層321の少なくとも一部分、ならび、分離層304の上面320の上に堆積された第2の窒素含有層321の実質上すべてを酸化させることによって、第2の酸素含有層326が形成される。本発明者らは、非共形の第2の酸素含有層326を形成し(すなわち、前述の酸化プロセスを実行する)、第2の窒素含有層321のうち、分離層304の上面320の上に堆積された実質上すべてを除去することによって、第1の浮遊ゲート306と第2の浮遊ゲート308の電気結合を防止し、または低減させ、第1の浮遊ゲート306と第2の浮遊ゲート308との間の漏れを著しく低減させ、または排除し、したがってデバイス300の性能を増大させることができることを観察してきた。
【0046】
第2の酸素含有層326は、たとえば図1に示す第2の酸素含有層126に関して上記で論じた材料など、所望のデバイスを形成するのに適した任意の酸素含有材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の酸素含有層326は、厚さ約40〜約80Åとすることができる。
【0047】
第2の酸素含有層326を形成するために、任意の適した酸化プロセス、たとえば分離プラズマ酸化(DPO)などのプラズマ酸化を利用することができる。酸化プロセスを実行するのに適した例示的なプロセスチャンバには、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials,Inc.から入手可能な分離プラズマ酸化(DPO)プロセスを実行するように構成された任意のプロセスチャンバを含むことができる。他の製造業者から入手可能なチャンバを含めて、他の適したプロセスチャンバを使用することもできる。
【0048】
例示的な酸化プロセスでは、酸化プロセスガスから形成される酸化プラズマに、第2の窒素含有層321を露出させることができる。いくつかの実施形態では、酸化プロセスガスは、たとえば酸素(O)、オゾン(O)、水蒸気(HO)などの酸素含有ガスを含む。いくつかの実施形態では、酸化プロセスガスは、キャリアガスとして作用するために、および/または酸化をさらに容易にするために、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)などの不活性ガスをさらに含むことができる。そのような実施形態では、酸化プロセスガスは、約10〜約99パーセントの酸素含有ガスを含むことができる。酸化プロセスガスは、酸化プロセスに対するプラズマを形成するのに十分な量の酸素含有ガスを提供するのに適した任意の総ガス流量で供給することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、酸化プロセスガスは、約1000〜約50000sccmの総流量で供給することができる。
【0049】
酸化プラズマを形成するために、プラズマ出力、たとえばRF電力が酸化プロセスガスに結合される。いくつかの実施形態では、プラズマを形成するために、RF電力は、約2MHz〜約2GHzの周波数で約50〜約5000Wとすることができる。酸化プラズマを維持するために、および/または酸化を容易にするために、他のパラメータを利用することもできる。たとえば、いくつかの実施形態では、プロセスチャンバは、約1〜約500トルの圧力で維持することができる。別法として、または組み合わせて、いくつかの実施形態では、基板302は、摂氏約500〜約1000度の温度で維持することができる。
【0050】
酸化プラズマの存在下では基板302に自己バイアスがかかるため、酸化プラズマ内に含まれる帯電した核種は、帯電した核種から基板の方へ何らかの方向性を提供し、したがって、帯電した核種を基板の方へ加速させることができ、したがって上述した第2の窒素含有層321部分の除去を容易にすることができる。さらに、バイアスをかける電力を基板302に提供することによって、酸化プラズマの線束を制御することができ、それによって基板302に対して直角の方向に帯電した核種の方向性および加速度を増大させて、第1の浮遊ゲート306、308および第2の浮遊ゲートの上部部分316、317ならびに分離層304の上面320の上に位置する第2の窒素含有層321の除去を容易にすることができる。したがって、いくつかの実施形態では、処理中に約50〜約1000ワットのバイアス電力を基板302に提供することができる。
【0051】
本発明者らは、210で第2の酸素含有層326の形成中に、第2の窒素含有層321の側壁上に何らかの酸化が生じることがある(破線で328に示す)ことを観察してきた。しかし、側壁上の第2の窒素含有層321上のこの酸化は、許容できるデバイス300の性能に必要な浮遊ゲート306、308の容量結合を提供するのに十分な厚さの酸化物層を提供することはできない。たとえば、いくつかの実施形態では、酸化プロセス後の側壁上の第2の酸素含有層326の厚さは、最高約20Åとすることができる。したがって、次に212で、いくつかの実施形態では、図3Fに示すように、第2の酸素含有層326上に、第3の酸素含有層330を任意選択で堆積させて、第2の酸素含有層326の厚さを増大させることができる。いくつかの実施形態では、第3の酸素含有層330を堆積させることによって、第2の酸素含有層326の厚さを約30〜約60Åまで増大させることができる。
【0052】
第3の酸素含有層330は、上述した第2の酸素含有層326と同じ材料を含むことができる。第3の酸素含有層330は、たとえば上述した第1の酸素含有層318の形成に関して上記で論じたプロセスに類似のプロセスなど、第2の酸素含有層326の厚さを所望の厚さまで増大させるのに適した任意の方法で堆積させることができる。
【0053】
次に214で、いくつかの実施形態では、図3Gに示すように、第2の酸素含有層326上に、第3の窒素含有層332を任意選択で形成することができる。第3の窒素含有層332は、たとえば上述した第1の窒素含有層314および/または第2の窒素含有層321に関して上記で論じた材料など、所望のデバイスを形成するのに適した任意の材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、第3の窒素含有層332は、第1の窒素含有層314および第2の窒素含有層321と同じ材料を含むことができ、またはいくつかの実施形態では、異なる材料を含むこともできる。
【0054】
第3の窒素含有層332は、たとえば204で第1の窒素含有層314を形成するために使用されるプロセスに類似のプロセスなど、第3の窒素含有層332を所望の厚さまで形成することが可能な任意の適したプロセスを介して形成することができる。いくつかの実施形態では、第3の窒素含有層332は、約10〜約20Åの厚さまで堆積させることができる。
【0055】
第3の酸素含有層330の堆積(または存在する場合、第3の窒素含有層332の形成)後、方法200は、概して終了し、デバイスはさらなる処理へ進むことができる。たとえば、いくつかの実施形態では、図3Hに示すように、第3の酸素含有層330(または存在する場合、第3の窒素含有層332)上に、制御ゲート層を堆積させることができる。いくつかの実施形態では、制御ゲート層334は、多結晶シリコン、金属などの導電性材料を含むことができる。
【0056】
たとえば窒化および酸化プロセスなどの本明細書に記載する方法は、上記で論じた例示的なチャンバなどの別個の窒化および酸化チャンバ内で実行することができ、これらのチャンバは、独立型の構成で設けることができ、または図4に関して後述するクラスタツール、たとえば一体型のツール400(すなわち、クラスタツール)の一部として設けることができる。一体型のツール400の例には、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials,Inc.からすべて入手可能なCENTURA(登録商標)およびENDURA(登録商標)という一体型のツール、たとえばCENTURA(登録商標)DPN Gate Stackが含まれる。本明細書に記載する方法は、適したプロセスチャンバが結合されている、または他の適したプロセスチャンバ内に位置する、他のクラスタツールを使用して実行することもできることが企図される。
【0057】
一体型のツール400は、真空気密処理プラットフォーム401、ファクトリインターフェース404、およびシステムコントローラ402を含む。プラットフォーム401は、真空基板移送チャンバ403に動作可能に結合された414A、414B、414C、および414Dなどの複数の処理チャンバを備える。ファクトリインターフェース404は、1つまたは複数のロードロックチャンバ(図4に示す406Aおよび406Bなどの2つのロードロックチャンバ)によって、移送チャンバ403に動作可能に結合される。
【0058】
いくつかの実施形態では、ファクトリインターフェース404は、半導体基板の移送を容易にするために、少なくとも1つのドッキングステーション407、少なくとも1つのファクトリインターフェースロボット438を備える。ドッキングステーション407は、1つまたは複数の前方開口型統一ポッド(FOUP)を受け入れるように構成される。図4の実施形態には、405A、405B、405C、および405Dなどの4つのFOUPを示す。ファクトリインターフェースロボット438は、406Aおよび406Bなどのロードロックチャンバを通ってファクトリインターフェース404から処理プラットフォーム401へ基板を移送するように構成される。ロードロックチャンバ406Aおよび406Bはそれぞれ、ファクトリインターフェース404に結合された第1のポートと、移送チャンバ403に結合された第2のポートとを有する。ロードロックチャンバ406Aおよび406Bは、圧力制御システム(図示せず)に結合され、圧力制御システムは、チャンバ406Aおよび406Bをポンプダウンして通気し、移送チャンバ403の真空環境とファクトリインターフェース404の実質上周囲(たとえば、大気)の環境との間の基板の受け渡しを容易にする。移送チャンバ403内には、真空ロボット413が配置される。真空ロボット413は、ロードロックチャンバ406Aおよび406Bと処理チャンバ414A、414B、414C、および414Dとの間で基板421を移送することが可能である。
【0059】
いくつかの実施形態では、処理チャンバ414A、314B、314C、および414Dは、移送チャンバ403に結合される。処理チャンバ414A、414B、414C、および414Dは、酸化チャンバ、窒化チャンバ、および任意選択でエッチングチャンバ、ならびにトンネル酸化物層、材料層、IPD層、制御ゲート層などを堆積させるための堆積チャンバの少なくとも1つを備える。酸化チャンバは、プラズマ酸化、急速熱酸化、またはラジカル酸化向けに構成されたチャンバを含むことができる。窒化チャンバは、分離プラズマ窒化(DPN)など向けに構成されたチャンバを含むことができる。エッチングチャンバは、湿式または乾式エッチング、反応性イオンエッチング(RIE)など向けに構成されたチャンバを含むことができる。本発明の実施形態の少なくともいくつかを実行するのに適したチャンバの例については、上記で論じた。
【0060】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の任意選択のサービスチャンバ(416Aおよび416Bとして示す)を、移送チャンバ403に結合することができる。サービスチャンバ416Aおよび416Bは、ガス抜き、配向、基板計測、冷却などの他の基板プロセスを実行するように構成することができる。
【0061】
システムコントローラ402は、プロセスチャンバ414A、414B、414C、および414Dの直接制御を使用して、または別法として、プロセスチャンバ414A、414B、414C、および414D、ならびにツール400に関連するコンピュータ(またはコントローラ)を制御することによって、ツール400の動作を制御する。動作の際には、システムコントローラ402は、それぞれのチャンバおよびシステムからのデータ収集およびフィードバックを可能にし、ツール400の性能を最適化する。システムコントローラ402は、概して、中央処理装置(CPU)430、メモリ434、および支持回路432を含む。CPU430は、産業用の設定で使用できる任意の形態の汎用コンピュータプロセッサの1つとすることができる。支持回路432は、CPU430に従来どおり結合され、キャッシュ、クロック回路、入出力サブシステム、電源などを備えることができる。上述した方法などのソフトウェアルーチンは、CPU430によって実行されると、CPU430を特定用途向けのコンピュータ(コントローラ)402に変換する。ソフトウェアルーチンはまた、ツール400から離れて位置する第2のコントローラ(図示せず)によって記憶および/または実行することもできる。
【0062】
したがって、層間多結晶シリコン誘電体キャップおよびその作製方法が、本明細書に提供される。本発明の層間多結晶シリコン誘電体(IPD)キャップは、有利には、隣接する浮遊ゲート間に非共形の窒素含有層を備えることができ、それによって隣接する浮遊ゲートの電気結合を低減させ、または排除し、したがってデバイスの隣接する浮遊ゲート間の漏れを最小にし、または排除することができる。さらに、本発明の方法は、有利には、複数の非共形層形成プロセスを利用して、非共形の窒素含有層の形成を容易にする。範囲を限定するものではないが、本発明は、NANDフラッシュメモリデバイスなどのメモリデバイスの製造にとって、具体的には縮小されたNANDフラッシュメモリデバイス(たとえば、45nm未満のデバイス)に対して、特に有利であろう。
【0063】
上記は本発明の実施形態を対象とするが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、本発明の他のさらなる実施形態を考案することもできる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図4