(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ドリフト領域が、前記少なくとも2つのデバイスセルにおける2つの隣接するデバイスセルの前記ダイオード領域(30)間で前記ドーピング濃度の極大値を含む、請求項10または11に記載の半導体デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明において、添付の図面が参照される。図面は、説明の一部を形成し、図面では、本発明を実施することができる特定の実施形態が実例として示されている。
【0011】
図1は、半導体デバイスの、具体的には縦型半導体デバイスの、且つより具体的には集積ダイオードを備えた縦型トランジスタデバイスの垂直断面図を示す。半導体デバイスは、第1の表面101を備えた半導体ボディ100を含む。
図1は、垂直切断面における半導体デバイスのセクションを示し、それは、第1の表面101に垂直なセクションである。半導体ボディ100は、垂直に、即ち第1の表面101に垂直な方向に、且つ水平に、即ち第1の表面101と平行な方向に延びる。
【0012】
図1を参照すると、半導体デバイスは、半導体ボディ100に集積された少なくとも1つのデバイスセル10
1、10
2を含む。デバイスセルはまた、以下においてトランジスタセルとも呼ばれる。
図1において、2つのデバイスセル10
1、10
2が示されている。しかしながら、半導体デバイスは、1つの半導体ボディ100に集積された数十、数百、数千、数万、数十万、又は更に数百万のデバイスセルなど、3つ以上のデバイスセルを含んでも良い。
【0013】
図1において、2つのデバイスセル10
1、10
2は、異なる参照文字でラベル付けされ、一方で個別デバイスセル10
1、10
2の同様の特徴は、同様の参照文字でラベル付けされる。
図1を参照すると、各トランジスタセル10
1、10
2は、ドリフト領域11、ソース領域12、及びボディ領域13を含む。ボディ領域13は、ソース領域12とドリフト領域11との間に配置される。各デバイスセル10
1、10
2は、ダイオード領域30、及びダイオード領域30とドリフト領域11との間に形成されたpn接合を更に含む。
図1の実施形態において、個別デバイスセル10
1、10
2は、ドリフト領域11を共有する。即ち、個別デバイスセル10
1、10
2は、1つのドリフト領域11を共通に有する。
【0014】
図1を参照すると、各デバイスセル10
1、10
2は、トレンチに配置され、且つゲート誘電体22によってボディ領域13、ダイオード領域30、ソース領域12、及びドリフト領域11から誘電的に絶縁されたゲート電極21を更に含む。各デバイスセル10
1、10
2のゲート電極21を備えたトレンチは、第1の側壁110
1、第1の側壁110
1の反対側の第2の側壁110
2、及び底部110
3を有する。各デバイスセル10
1、10
2のボディ領域13は、対応するトレンチの第1の側壁110
1に隣接し、ダイオード領域30は、対応するトレンチの第2の側壁110
2に隣接し、ドリフト領域11とダイオード領域30との間のpn接合は、対応するトレンチの底部110
3に隣接する。各デバイスセル10
1、10
2は、半導体ボディ100の第1の表面101から半導体ボディの中に延びる更なるトレンチを更に含む。この更なるトレンチはまた、以下においてコンタクトトレンチとも呼ばれる。ソース電極41が、第1の表面101の上に配置され、ソース電極41の電極セクション43は、それがコンタクトトレンチにおいてソース領域12及びダイオード領域30に隣接するように、コンタクトトレンチに配置される。ダイオード領域30は、トレンチの底部110
3の下方に配置される下部ダイオード領域を含む。この下部ダイオード領域は、トレンチの底部110
3から離れて最大ドーピング濃度を含む。
【0015】
図1に示されている実施形態を参照すると、デバイスセル10
1などの1つのデバイスセルのダイオード領域30は、ソース領域12に隣接し、且つソース領域12から、デバイスセル10
2などの隣接するデバイスセルのボディ領域13を通って、pn接合が形成されるドリフト領域11の中に延びる。別の実施形態において、ダイオード領域30は、ソース領域12から垂直に離間される。
【0016】
図1を参照すると、各デバイスセル10
1、10
2は、表面101から、ソース領域12を通ってダイオード領域30の中に延びる更なるトレンチを更に含む。各デバイスセル10
1、10
2の更なるトレンチは、第1の側壁115
1、第1の側壁115
1の反対側の第2の側壁115
2、及び底部115
3を有する。ソース領域12は、対応する更なるトレンチの第1及び第2の側壁115
1、115
2に隣接する。各デバイスセル10
1、10
2のダイオード領域30は、対応するコンタクトトレンチの第1及び第2の側壁115
1、115
2並びに底部115
3に隣接する。しかしながら、これは、単に例である。(
図1において一点鎖線によって示されている)一実施形態において、ダイオード領域30は、第1の側壁115
1及び底部115
3に隣接し、ボディ領域13は、対応するコンタクトトレンチの第2の側壁115
2に隣接する。即ち、コンタクトトレンチは、(
図1において一点鎖線によって示されているように)ダイオード領域30及びボディ領域13の中に延びる。
【0017】
図1を参照すると、ソース電極41は、絶縁層51上に、且つコンタクトトレンチに形成される。ソース電極41は、絶縁層51によってゲート電極21から電気的に絶縁され、且つ個別ダイオード領域30及び個別ソース領域12をソース端子S(
図1には単に概略的に示されている)に電気的に接続するか、又はソース端子Sをコンタクトトレンチに形成する。コンタクトトレンチが、ボディ領域13(
図1における一点鎖線を参照)の中に延びる実施形態において、ソース電極41は、個別ボディ領域13をソース端子Sに電気的に接続するか、又はソース端子Sをコンタクトトレンチに形成する。ソース電極層41は、例えば、チタン(Ti)、白金(Pt)、ニッケル合金などを含む。第2の電極層41
2は、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)などを含む。一実施形態によれば、ソース電極層41は、例えば、半導体ボディ100に隣接するチタン(Ti)層、拡散バリアとしての窒化チタン(TiN)層、及びTiN層上のアルミニウム−銅(AlCu)層などの幾つかの異なる層を含む複合電極である。
図1に示されている実施形態において、ソース電極41は、コンタクトトレンチにおいて、ソース領域12、ダイオード領域30、及び任意選択的にボディ領域13と接触する。
【0018】
図1を参照すると、半導体デバイスは、ドリフト領域11に隣接するドレイン領域14を更に含む。任意選択的に、ドリフト領域11と同じドーピング型であるが、しかしドリフト領域11においてより高度にドープされたフィールドストップ領域(図示せず)が、ドリフト領域11とドレイン領域14との間に配置される。ドレイン領域14は、ドレイン端子D(
図1では単に概略的に示されている)に電気的に接続される。個別デバイスセル10
1、10
2は、1つのドレイン領域14を共有する。即ち、個別デバイスセル10
1、10
2に共通の1つのドレイン領域14が存在する。
【0019】
個別デバイスセル10
1、10
2は、コンタクトトレンチにおけるソース電極41を介してソース端子Sにソース領域12を接続することによって、ドレイン領域14を共有し、ドレイン領域14をドレイン端子Dに接続することによって、且つゲート電極21を共通ゲート端子Gに電気的に接続することによって、並列に接続される。ゲート端子Gへのゲート電極21の接続は、
図1に単に概略的に示されている。ゲート端子Gにゲート電極21を接続する1つの可能な方法が、本明細書において以下で
図2及び3に関連して説明される。
【0020】
図1に示されている半導体デバイスは、集積ダイオードを備えたMOSトランジスタデバイスである。トランジスタデバイスは、n型デバイス又はp型デバイスとして実現することができる。n型デバイスにおいて、ソース領域及びドリフト領域11は、nドープされ、一方でボディ領域13は、pドープされる。p型デバイスにおいて、ソース領域12及びドリフト領域11は、pドープされ、一方でボディ領域13は、nドープされる。トランジスタデバイスは、エンハンスメント(ノーマリオフ)デバイス、又は空乏型(ノーマリオン)デバイスとして実現することができる。エンハンスメントデバイスにおいて、個別デバイスセル10
1、10
2のボディ領域13は、ゲート誘電体22に隣接する。空乏型デバイスには、ゲート誘電体22に沿ってソース領域12及びドリフト領域11と同じドーピング型のチャネル領域15(
図1に破線で示されている)が存在する。各デバイスセル10
1、10
2のチャネル領域15は、ゲート誘電体22に沿って、対応するソース領域12からドリフト領域11に延び、且つトランジスタデバイスがオフにされた場合に、電荷キャリアを失う。代替として、ゲート誘電体22は、ゲート駆動電圧(ゲート−ソース電圧)がゼロの場合に、ゲート誘電体22に沿ってボディ領域13に伝導チャネルの生成をもたらす固定電荷を含む。
【0021】
更に、トランジスタデバイスは、MOSFET又はIGBTとして実現することができる。MOSFETにおいて、ドレイン領域14は、ソース領域12及びドリフト領域11と同じドーピング型を有し、一方でIGBTにおいて、ドレイン領域14は、ソース領域12及びドリフト領域11のドーピング型と相補的なドーピング型を有する。IGBTにおいて、ドレイン領域14はまた、コレクタ領域とも呼ばれる。
【0022】
ダイオード領域30は、ボディ領域13と同じドーピング型を有し、そのドーピング型は、ドリフト領域11のドーピング型と相補的なドーピング型である。
図1におけるデバイスセル10
1などの1つのデバイスセルのダイオード領域30が、
図1におけるデバイスセル10
2などの隣接するデバイスセルのボディ領域13に隣接するため、各デバイスセルのボディ領域13は、隣接するデバイスセルのダイオード領域30を通してソース電極41に電気的に接続される。(
図1における一点鎖線によって示されている)一実施形態において、コンタクトトレンチにおけるソース電極41は、各デバイスセルのボディ領域13に隣接し、その結果、ボディ領域13は、コンタクトトレンチにおけるソース電極41に電気的に接続される。
【0023】
任意選択的に、各ダイオード領域30は、2つの異なってドープされた半導体領域、即ちドリフト領域11に隣接し、且つドリフト領域11とpn接合を形成する第1の領域31と、第1の領域31をソース電極41に電気的に接続する第2の領域32と、を含む。この実施形態において、ソース電極41は、コンタクトトレンチにおいて第2のダイオード領域32に接続される。第2の領域32は、以下ではコンタクト領域とも呼ばれるが、第1の領域31より高いドーピング濃度を有しても良い。
図1に示されている実施形態において、
図1におけるデバイスセル10
1などの1つのデバイスセルのコンタクト領域32は、対応するトレンチの第2の側壁と同様に、対応する更なるトレンチの第1の側壁115
1に隣接し、且つ
図1におけるデバイスセル10
2などの隣接するデバイスセルのボディ領域13をコンタクトトレンチにおけるソース電極41に電気的に接続する。
【0024】
各デバイスセル10
1、10
2のダイオード領域30は、ドリフト領域11及びドレイン領域14とバイポーラダイオードを形成する。このバイポーラダイオードの回路記号がまた、
図1に示されている(
図1に示されている回路記号の極性は、n型半導体デバイスに関係する。p型デバイスにおいて、極性は、逆にされる)。個別デバイスセル10
1、10
2のダイオード領域30とドリフト領域11との間に形成されるダイオードは、並列に接続され、且つMOSトランジスタの負荷経路(ドレイン−ソース経路)と並列に接続される。MOSトランジスタのドレイン−ソース経路は、ドレイン端子Dとソース端子Sとの間の内部経路である。個別ダイオードは、第1の極性を備えた電圧が、MOSトランジスタのドレイン及びソース端子D、S間に印加された場合に、逆バイアスをかけられ(阻止)、個別ダイオードは、第2の極性を備えた電圧が、ドレイン及びソース端子D、S間に印加された場合に、順方向バイアスをかけられる(導通)。n型半導体デバイスにおいて、ダイオードは、正電圧が、ドレイン及びソース端子D、S間に印加された場合に、逆バイアスをかけられ、ダイオードは、負電圧が、ドレイン及びソース端子D、S間に印加された場合(ソース及びドレイン端子S、D間の正電圧である)に、順方向にバイアスをかけられる。個別ダイオードは、トランジスタセルのボディダイオードと平行である。ボディダイオードは、個別デバイスセル10
1、10
2のボディ領域13及びドリフト領域11によって形成されたダイオードである。しかしながら、ボディダイオードと異なり、ダイオード領域30とドリフト領域11との間のダイオードの特性は、MOSトランジスタの特性と無関係に広く調整することができる。具体的には、ダイオード領域30とドリフト領域11との間のダイオードは、ダイオード領域30とドリフト領域11との間のpn接合が、比較的大きな面積を有するようにダイオード領域30を実現することによって、高電流定格を有するように実現することができる。
【0025】
図1の半導体デバイスは、ドレイン及びソース端子D、S間に負荷電圧を印加することによって、且つ駆動電位をゲート電極Gに印加することによって、従来のMOSトランジスタのように動作させることができる。1つの動作方法が、n型半導体デバイスに関連して簡潔に説明される。しかしながら、この操作方法はまた、p型デバイスにも当てはまり、p型デバイスにおいて、以下で説明される電圧の極性は反転される。半導体デバイスは、個別デバイスセル10
1、10
2のボディダイオード及び追加のダイオード(ダイオード領域30とドリフト領域11との間のダイオード)に逆バイアスをかける負荷電圧がドレイン及びソース端子D、S間に印加された場合に、順方向動作モードである。この電圧は、n型デバイスにおいて正電圧である。順方向動作モードにおいて、MOSトランジスタは、ゲート端子Gに印加される駆動電位を介して、オン及びオフに切り替えることができる。MOSトランジスタは、ゲート端子Gに印加された駆動電位が、ソース領域12とドリフト領域11との間のボディ領域13に伝導チャネルを生成する場合に、オン(オン状態)に切り替えられ、MOSトランジスタは、ボディ領域13における伝導チャネルが阻止された場合に、オフ(オフ状態)に切り替えられる。トランジスタデバイスをオン又はオフに切り替える駆動電位の絶対値は、トランジスタデバイスの特定の型(エンハンスメントデバイス又は空乏型デバイス)に依存する。
【0026】
半導体デバイスは、ボディダイオード及び追加のダイオードに順方向バイアスをかける電圧がドレイン及びソース端子D、S間に印加された場合に、逆方向動作モードである。この動作モードにおいて、半導体デバイスは、負荷電圧の極性のみによって主に制御することができる。また、正のゲートソース電圧を印加することによって、トランジスタをオンにすることが可能であり、その結果、MOSチャネルは、ボディ領域13とドリフト領域11との間のpn接合を迂回する。
【0027】
半導体デバイスが、順方向動作モードである場合及び半導体デバイスがオフにされた場合に、ダイオード領域30とドリフト領域11との間のpn接合、及びボディ領域13とドリフト領域11との間のpn接合は、空乏領域が、pn接合で始まるドリフト領域11において拡大するように、逆バイアスをかけられる。負荷電圧が増加すると、空乏領域は、ドレイン領域14の方向においてドリフト領域11の中により深く拡大する。負荷電圧が増加し、且つ空乏領域が、ドリフト領域11の中により深く拡大すると、pn接合における電界強度もまた増加する。ボディ領域13と第1のドリフト領域11との間のpn接合が、ゲート誘電体22に近いため、ゲート誘電体22は、高負荷電圧が印加された場合に、即ち高電界強度が発生した場合に、損傷される可能性がある。しかしながら、
図1の半導体デバイスにおいて、2つの隣接するデバイスセル10
1、10
2のダイオード領域30は、ドリフト領域11と一緒に、JFET(接合型電界効果トランジスタ)として機能する。このJFETは、2つの隣接するダイオード領域30間にチャネル領域11
1を有する。負荷電圧が増加するにつれて、且つドリフト領域11の電位が増加するにつれて、JFETは、負荷電圧が更に増加した場合に更に増加するために、チャネル領域11
1をピンチオフし、且つボディ領域13とドリフト領域11との間のpn接合における電界の電界強度を防ぐ。
【0028】
JFETのチャネル11
1がピンチオフする負荷電圧は、例えば、半導体ボディ100の横方向における2つの隣接するダイオード領域30間の距離に依存する。半導体ボディ100の「横方向」は、垂直方向(そこでは、ドレイン領域14が、ボディ領域13及びダイオード領域30から離間される)に直角であり、且つ第1の表面101とほぼ平行である。2つの隣接するダイオード領域30間のこの横方向距離は、例えば、0.5μm(マイクロメートル)〜2μm(マイクロメートル)、又はゲート電極21を収容するトレンチの幅の0.25倍〜1.5倍である。トレンチの「幅」は、第1及び第2の側壁110
1、110
2間の距離である。
図1の実施形態に示されているように、トレンチが先細にされる場合に、幅は、第1及び第2の側壁110
1、110
2間の最大距離か、又は幅の平均である。別の実施形態によれば、2つの隣接するダイオード領域30間の横方向距離は、トレンチ110の下のドリフト領域11の横方向におけるダイオード領域30の寸法(幅)の30%〜60%である。ダイオード領域が、ドリフト領域11において可変幅を有する場合に、幅は、最大幅又は平均幅のいずれかである。
【0029】
各デバイスセル10
1、10
2は、チャネル領域を含み、チャネル領域は、ゲート誘電体22に沿ったボディ領域13の領域であるか、又はチャンネル領域は、任意選択のチャネル領域15(
図1に破線で示されている)である。ゲート誘電体22に沿ったチャネル領域は、トランジスタデバイスがオン状態である場合に、電荷キャリアが、ソース領域12からドリフト領域11へ流れることができるようにする。
図1を参照すると、ソース領域12は、ゲートトレンチ(ゲート電極21及びゲート誘電体22を含むトレンチ)の第1の側壁110
1及び第2の側壁110
2に隣接しても良い。ソース領域12とドリフト領域11との間の電流フローをボディ領域13におけるチャネル領域に、即ち第1の側壁110
1に沿ったチャネル領域に制限することが望ましくなり得る。そのために、ダイオード領域30、特に第2のダイオード領域セクション32は、ボディ領域13より高いドーピング濃度を有しても良い。ダイオード領域のより高いドーピング濃度は、次の効果を有する。即ち、ボディ領域13に反転チャネルをもたらすゲート電位(ゲート電極の電位)において、ダイオード領域30には反転チャネルがないか、又はほぼないという効果を有する。各デバイスセル10
1、10
2のダイオード領域30は、チャネル領域に重ならない。即ち、ダイオード領域30とドリフト領域11との間のpn接合は、個別ゲートトレンチの底部110
3に隣接し、且つチャネル領域の方向においてゲートトレンチを越えては延びない。従って、ダイオード領域30は、チャネル領域から、それぞれドリフト領域11及びドレイン領域14への電荷キャリアフローを抑制しない。
【0030】
半導体デバイスの電圧阻止能力は、とりわけ、ダイオード領域30とドレイン領域14との間の距離に依存する。この距離は、所望の電圧阻止能力に従って製造プロセスにおいて調整することができる。経験則として、SiC半導体ボディ100において、ドレイン領域14とダイオード領域30との間の距離は、100V電圧阻止能力当たり0.8マイクロメートル〜1.0マイクロメートルである。
【0031】
半導体ボディ100は、炭化ケイ素など(SiC)などの従来の半導体材料、特にワイドバンドギャップ半導体材料を含んでも良い。
図1に示されているデバイストポロジは、特に、SiC技術で実現される半導体デバイスに適している。例えば、半導体ボディ100がSiCを含む場合に、ゲート誘電体22は、二酸化ケイ素(SiO
2)として実現されても良い。SiO
2のゲート誘電体22は、高電圧デバイスにおいて発生する可能性がある高電界強度にさらされた場合に、劣化に悩まされる可能性がある。かかるデバイスにおいて、ダイオード領域30及びドリフト領域11によって形成されたJFETは、半導体デバイスがオフにされ、且つ高負荷電圧がドレイン及びソース端子D、S間に印加された場合に、ゲート誘電体22を効率的に保護する。逆動作モードにおいて、ソース電極41に直接接続される追加のダイオードは、MOSトランジスタの負荷経路と並列に接続される、低損失の非常に効率的なダイオードである。
【0032】
ドリフト領域11のドーピング濃度は、例えば、1E14cm
−3〜1E17cm
−3である。ボディ領域13のドーピング濃度は、例えば、5E16cm
−3 〜5E17cm
−3である。ソース領域及びドレイン領域12、14のドーピング濃度は、例えば、1E19cm
−3より高い。ダイオード領域30のドーピング濃度は、例えば、1E18cm
−3〜1E19cm
−3である。
【0033】
図1を参照すると、各デバイスセル10
1、10
2のボディ領域13は、第1の側壁110
1において、対応するゲートトレンチに隣接する。特に、ゲートトレンチが先細の側壁を有する場合に、第1及び第2の側壁110
1、110
2は、半導体ボディ100の結晶格子の異なる結晶面に対応しても良い。一実施形態によれば、半導体ボディ100は、六角形のSiC結晶を含み、ゲートトレンチは、先細の側壁を有し、その結果、第1の側壁110
1は、SiC結晶における11−20面に対応する。この場合に、個別チャネル領域は、比較的低い抵抗を特徴とする。この実施形態において、第1の側壁110
1は、SiC半導体ボディの結晶のc軸と整列される。c軸(六角形の主軸)は、SiC結晶の成長面(0001面)に垂直である。この成長面は、
図1に示されていない。トレンチの底部110
3は、第1の表面101とほぼ平行である。
【0034】
トレンチ110の第1の側壁110
1と第1の表面101との間の角度α(アルファ)は、成長面(0001面)に対する第1の表面の向きに依存する。一実施形態によれば、第1の表面101は、成長面に対して傾斜され、第1の表面101と成長面との間の角度は、1°〜10°、特に2°〜8°であっても良い。この場合に、αは、80°(90°−10°)〜89°(90°−1°)、特に82°(90°−8°)〜88°(90°−2°)である。特定の一実施形態によれば、第1の表面101と成長面との間の角度は、4°であり、その結果、第1の表面101とトレンチ110の第1の側壁110
1との間の角度αは、86°である。c軸に対する第1の側壁の整列が、ボディ領域13においてゲート誘電体22に沿ってチャネル領域の低抵抗に帰着するように、11−20面(同様に(11−20)面と書かれても良い)に沿ってSiC結晶における高荷電キャリア移動度が存在する。
【0035】
ゲートトレンチは、長尺状のトレンチとすることができ、ゲート電極21は、
図1の垂直断面図では見えない位置でゲート端子電極に接続することができる。
【0036】
図2は、長尺状のゲートトレンチを含む
図1の半導体デバイスの一実施形態における水平断面図を示す。
図2は、半導体ボディ100の3つの異なる水平層における半導体デバイスの特徴を示す。
図2において、ゲート電極21及びゲート誘電体22は、点線で示されている。
図2から分かるように、ゲート電極21及びゲート誘電体22を備えたゲートトレンチは、長尺状のトレンチである。ソース領域12、及び任意選択のコンタクト領域32を備えたダイオード領域30は、ゲートトレンチと平行に延在する。
図2は、ソース電極セクション43を備えたコンタクトトレンチを(破線で)更に示す。一点鎖線で示されているのは、コンタクトトレンチが、対応するボディ領域13(
図1を参照)に隣接する一実施形態である。更に、ゲート電極と接触するための絶縁層51のコンタクト開口部53が、
図2に実線で示されている。これらの開口部53は、半導体ボディ100の第1の横方向zにおいてコンタクトトレンチから離間される。個別ゲートトレンチ及び個別ダイオード領域30は、本実施形態において第1の横方向zに直角の第2の横方向yにおいて離間される。
【0037】
図1及び2を参照すると、ソース電極41は、コンタクトトレンチが配置され且つコンタクトトレンチにおいてコンタクト領域32及びソース領域12に電気的に接続される領域において、絶縁層51を覆う。
【0038】
ゲート接続電極(ゲートランナー)42は、第1の横方向zにおいてソース電極41から離間され、且つコンタクト開口部53が配置される領域において絶縁層51を覆う。ゲート接続電極42は、コンタクト開口部53においてゲート電極21に電気的に接続される。
図2を参照すると、ソース電極41及びゲート接続電極42は、ほぼ平行であっても良い。
【0039】
図1に示されている垂直断面図は、
図2に示されている切断面A−Aにおける垂直断面図に対応する。
図3は、
図2に示されている切断面B−Bにおける垂直断面図を示し、切断面B−Bは、ゲート接続電極42及びコンタクト開口部53を切断する。
図3を参照すると、絶縁層51は、ソース領域12をゲート接続電極42から分離し、ゲート接続電極42は、コンタクト開口部53を通ってゲート電極21に電気的に接続される。
【0040】
一実施形態によれば、半導体デバイスは、ソース端子Sに接続された1つのソース電極41、及びゲート端子Gに接続された1つのゲート接続電極42を含む。更なる実施形態(図示せず)によれば、半導体デバイスは、ゲート端子Gにそれぞれ接続された幾つかのゲート接続電極42、及びソース端子Sにそれぞれ接続された幾つかのソース電極41を含み、ゲート接続電極42及びソース電極41は、ほぼ平行であり、且つ第1の横方向zに交互に配置される。
【0041】
図1及び2を参照すると、ダイオード領域30は、半導体ボディ100の垂直方向においてトレンチの底部110
3の下方に位置する領域を含む。半導体ボディ100の「垂直方向」は、半導体ボディ100の第1の表面101に垂直な方向である。底部110
3の下のダイオード領域30のこの領域は、以下において「下部ダイオード領域」と呼ばれる。ダイオード領域30が、第1のダイオード領域31及び第2のダイオード領域32を含む実施形態において、下部ダイオード領域は、第1のダイオード領域31及び第2のダイオード領域32のセクションを含んでも良い。
【0042】
一実施形態によれば、下部ダイオード領域は、それが最大ドーピング濃度を有する領域が、トレンチの底部110
3から離間されるように、垂直方向に可変ドーピング濃度を有する。これは、
図4に関連して以下で説明される。
【0043】
図4は、
図1に示されているラインI−Iに沿ったダイオード領域30のドーピング濃度N
30を示す。
図4において、xは、第1の表面101と、ドーピング濃度が
図4に示されている個別位置との間の距離を表す。x0は、ダイオード領域30の上端、即ちソース領域12とダイオード領域30との間の接合部の位置を示し、x1は、トレンチ底部110
3の位置を示し、x2は、ダイオード領域30がドリフト領域とpn接合を形成するダイオード領域30の下端を示す。
図4において、ダイオード領域30を形成するドーパントのドーピング濃度のみが示されている。上記のように、これらのドーパントは、n型トランジスタデバイスにおいてp型ドーパントであり、p型トランジスタデバイスにおいてn型ドーパントである。
図4を参照すると、ダイオード領域30のドーピング濃度は、トレンチ底部110
3から離間された位置における下部ダイオード領域30で極大値を有する。トレンチ底部110
3と最大値の位置x3との間の最短距離dは、例えば、200ナノメートル(nm)〜1マイクロメートル(μm)、特に250ナノメートル〜500ナノメートルである。一実施形態によれば、下部ダイオード領域におけるこの最大ドーピング濃度は、1E18cm
−3〜5E18cm
−3である。
【0044】
図4を参照すると、下部ダイオード領域における最大ドーピング濃度は、全体的なダイオード領域30の極大値であっても良い。即ち、ダイオード領域は、ドーピング濃度の絶対最大値、又は下部ダイオード領域の外側の、且つ下部ダイオード領域30の最大ドーピング濃度より高いドーピング濃度領域の更なる極大値を含んでも良い。
図4に示されている実施形態において、ダイオード領域30は、位置x
0における上端(接合部)の近くでドーピング濃度の絶対最大値を有する。ドーピング濃度の絶対最大値を有するこの領域は、ソース電極41が、それぞれのコンタクトトレンチにおいてダイオード領域30と電気的に接続するコンタクト領域として機能する。この領域における最大ドーピング濃度は、例えば、1E19cm
−3〜1E20cm
−3である。一実施形態によれば、トレンチ底部110
3と最大(極大)ドーピング濃度を備えた位置x3との間にドーピング濃度の最小値(極小値)がある。一実施形態によれば、この最小ドーピング濃度は、トレンチ底部に隣接する領域にある。一実施形態によれば、この最小ドーピング濃度は、5E17cm
−3〜1E18cm
−3である。
【0045】
トレンチ底部110
3から離間された下部ダイオード領域のドーピング濃度の極大値を備えたダイオード領域30の実現は、半導体デバイスがブロッキング状態である場合に、ゲート誘電体22を高電界から効果的に保護するのを支援する。
【0046】
一実施形態によれば、ドリフト領域11は、チャネル領域11
1におけるローカルに増加されたドーピング濃度を有する。これは、
図5に関連して以下で説明される。
図5は、
図1に示されているラインII−IIに沿ったドーピング濃度を示す。
図5では、ソース領域12のドーピング濃度N
12、ボディ領域13のドーピング濃度N
13、及びドリフト領域11のドーピング濃度N
11が示されている。
図4において、x0’は、第1の表面101の位置を示し、x1は、トレンチ底部110
3の位置を示し、x2は、ダイオード領域30の下端の位置を示す。
図5を参照すると、ドリフト領域11は、ドレイン領域14の方向でドリフト領域11より更に下の領域におけるよりも、ボディ領域13に隣接する領域において、より高いドーピング濃度を有する。即ち、ドリフト領域11は、ボディ領域13及びドリフト領域11間の境界におけるpn接合と、ダイオード領域30の下端の垂直位置に対応する垂直位置との間の領域において最大ドーピング濃度を有する。増加されたドーピング濃度を備えたこの領域の長さは、例えば、200ナノメートル〜1マイクロメートルである。この領域におけるドーピング濃度は、例えば、チャネル領域11
1の外側のドーピング濃度の少なくとも2倍である。一実施形態によれば、チャネル領域11
1のより高度にドープされたセクションにおけるドーピング濃度は、5E16cm
−3〜1E17cm
−3である。チャネル領域11
1の外側において、ドリフト領域11のドーピング濃度は、2E16cm
−3未満である。チャネル領域11
1のより高いドーピングは、半導体デバイスのオン抵抗を低減するのを支援するが、オン抵抗は、半導体デバイスのオン状態における電気抵抗である。一実施形態によれば、チャネル領域11
1のより高度にドープされたセクションは、下部ダイオード領域がドーピング最大値を有する垂直位置x3を覆う。
【0047】
別の実施形態によれば、ドリフト領域11は、ダイオード領域30の下方に更なる高度にドープされた領域11
2を含む。この更なるより高度にドープされた領域11
2(
図1に破線で示されている)は、ダイオード領域30に隣接しても良く、且つ横方向において、チャネル領域11
1の方向にダイオード領域30を越えて延びても良い。この更なるより高度にドープされた領域11
2のドーピング濃度は、チャネル領域11
1におけるより高度にドープされた領域のドーピング濃度に対応しても良い。この更なるより高度にドープされた領域11
2は、チャネル領域11
1におけるより高度にドープされた領域から離間されても良い。
【0048】
本明細書で前に説明されたような半導体デバイスを製造する方法の一実施形態が、以下で
図6A〜6Jに関連して説明される。これらの図のそれぞれは、方法の個別方法ステップ中の半導体ボディ100の垂直断面図を示す。
【0049】
図6Aを参照すると、方法は、ドリフト領域層111、ドリフト領域層111に隣接するボディ領域層113、及びボディ領域層113に隣接するソース領域層112を備えた半導体ボディ100を提供することを含む。ソース領域層112は、半導体ボディ100の第1の表面101を形成する。半導体ボディ100は、ボディ領域層113の反対側の、ドリフト領域層111に隣接するドレイン領域層114を更に含む。任意選択的に、ドリフト領域層111と同じドーピング型であるが、しかしドリフト領域層111より高度にドープされたフィールドストップ領域層(図示せず)が、ドレイン領域層114とドリフト領域層111との間に配置される。完成した半導体デバイスにおいて、ドリフト領域層111は、ドリフト領域11を形成し、ボディ領域層113は、ボディ領域13を形成し、ソース領域層112は、ソース領域12を形成し、ドレイン領域層114は、ドレイン領域14を形成する。個別半導体層111〜114のドーピング型及びドーピング濃度は、個別半導体層によって形成されたデバイス領域のドーピング型及びドーピング濃度に対応する。個別デバイス領域のこれらのドーピング型及びドーピング濃度は、本明細書で前に説明された。
【0050】
図6Aの半導体ボディ100は、幾つかの異なってドープされた半導体層を有する半導体ボディを生成するための従来の技術を用いて生成することができる。一実施形態によれば、半導体ボディ100の生成は、ドレイン領域層114を形成する半導体基板を提供することと、ドレイン領域層114上に第1のエピタキシャル層としてドリフト領域層111を成長させることと、ドリフト領域層111上に第2のエピタキシャル層としてボディ領域層113を成長させることと、ボディ領域層113上に第3のエピタキシャル層としてソース領域層112を成長させることと、を含む。個別エピタキシャル層は、個別エピタキシャルプロセス中にその場でドープすることができる。
【0051】
第2の実施形態によれば、ドリフト領域層111のドーピング濃度に対応するドーピング濃度を有する半導体基板が提供される。ボディ領域層113及びソース領域層112を形成するために、注入プロセスによって、ドーピング原子が、第1の表面101を通して、この基板の中に注入される。更に、ドーピング原子は、ドレイン領域層114を形成するために、第1の表面101の反対側の第2の表面102を通して基板の中に注入される。
【0052】
第3の実施形態によれば、ドレイン領域層114を形成する半導体基板が提供される。エピタキシャル層が、ドレイン領域層114上に成長され、エピタキシャル層は、ドリフト領域層111のドーピング濃度に対応するドーピング濃度を有する。このエピタキシャル層は、半導体ボディ100の第1の表面101を形成する。最後に、ボディ領域層113及びソース領域層112を形成するために、ドーピング原子が、第1の表面101を通してエピタキシャル層の中に注入される。
【0053】
図6Bを参照すると、半導体ボディ100の第2の横方向yにおいて離間されるダイオード領域30が形成される。ダイオード領域30の形成は、ドリフト領域層111に第1のダイオード領域31を形成することと、第2のダイオード領域(コンタクト領域)32を形成することと、を含んでも良く、コンタクト領域32は、ボディ領域層113を通って第1のダイオード領域31の中に延びる。
図6Bに示されている実施形態において、第2のダイオード領域32は、ソース領域層112に隣接する。しかしながら、これは、単に例である。別の実施形態(図示せず)によれば、第2のダイオード領域32は、半導体ボディ100の垂直方向においてソース領域層112から離間される。更に別の実施形態(図示せず)によれば、第2のダイオード領域32は、ソース領域層112の中に延びるが、しかし第1の表面101から離間される。第1及び第2のダイオード領域31、32の形成は、従来の注入プロセスを含んでも良い。ダイオード領域30を生成するための方法の実施形態が、本明細書において更に以下で
図7A及び7Bに関連して説明される。
【0054】
図6Cを参照すると、方法は、半導体ボディ100の第1の表面101にトレンチを生成することを更に含む。トレンチは、それぞれ、第1の側壁110
1、第1の側壁110
1の反対側の第2の側壁110
2、及び底部110
3を含む。トレンチは、ボディ領域層113及びソース領域層112を幾つかのセクションに細分し、ダイオード領域30を形成する前にボディ領域層113のドーピング濃度を有する領域が、ボディ領域13を形成し、ダイオード領域30を形成する前にソース領域層112のドーピング濃度を有する領域が、半導体デバイスのソース領域12を形成する。
図6Cを参照すると、トレンチ110は、各トレンチ110の第1の側壁110
1が、1つのソース領域12及び1つのボディ領域13に隣接するように、且つ各トレンチ110の第2の側壁110
2が、1つのソース領域12及び1つのダイオード領域30、特にダイオード領域30のコンタクト領域32に隣接するように、形成される。この場合に、ダイオード領域30とドリフト領域11との間に形成されたpn接合は、各トレンチ110の底部110
3に隣接する。トレンチ110の形成は、エッチングマスク210を用いる従来のエッチングプロセスを含んでも良い。
【0055】
任意選択的に、個別トレンチの側壁110
1、110
2と底部110
3との間の角が丸められるトレンチ110の後処理がある。かかる丸めプロセスの結果は、
図6Dに示されている。丸めプロセスは、水素含有雰囲気における熱処理を含んでも良い。この熱処理における温度は、例えば、1200℃〜1700℃であり、期間は、例えば、1分〜60分である。一実施形態によれば、側壁110
1、110
2と底部110
3との間の角は、ゲート誘電体22が第1の側壁110
1に沿って有する厚さの少なくとも2倍又は少なくとも4倍の半径で形成される。ゲート誘電体22は、以下で説明されるプロセスステップで形成される。一実施形態によれば、角の半径は、少なくとも300ナノメートル(nm)である。このプロセスは、トレンチの底部における角だけでなく、第1の表面101と側壁110
1、110
2(図示せず)との間の角も丸める。
【0056】
一実施形態によれば、トレンチ110は、先細の側壁を用いて形成される。一実施形態によれば、半導体ボディ100は、SiCを含み、トレンチ110は、第1の側壁110
1が、SiC半導体結晶のc軸と整列されるように、先細の側壁を用いて形成される。
【0057】
先細の側壁を用いたトレンチの形成は、第1のエッチング速度で垂直方向において、且つ第1のエッチング速度より遅い第2のエッチング速度で横方向において半導体ボディをエッチングするエッチングプロセスを含んでも良い。第1の表面101により近いトレンチの側壁110
1、110
2が、底部110
3により近いセクションより長くエッチング剤にさらされるため、トレンチは、底部110
3よりも第1の表面101でより広くなる。エッチングプロセスの精度に依存し、半導体ボディ100の第1の表面101が所望の結晶面とどの程度正確に整列されるかに依存し、且つ半導体ボディ100がエッチングプロセスにおいてエッチングマスク(図示せず)とどの程度正確に整列されるかに依存して、第1の側壁110
1は、チャネル領域が実現されるのが望ましい結晶面に正確に適合するか又は適合しない可能性がある。
【0058】
一実施形態によれば、トレンチの形成は、第1の側壁110
1を上記の結晶面、即ち11−20面と整列させる役割を果たす調整プロセスを含む。このプロセスは、トレンチを形成した後で、水素含有雰囲気における熱処理を含んでも良い。熱処理において、温度は、例えば、1200℃〜1700℃であり、期間は、例えば、1分〜60分である。一実施形態によれば、同じ熱処理は、トレンチの角を丸めるために、且つ第1の側壁110
1の整列を微調整するために用いられる。
【0059】
図6Eに示されている次のプロセスステップにおいて、ゲート誘電体22は、トレンチ110の側壁110
1、110
2及び底部110
3上に形成される。任意選択的に、ゲート誘電体22はまた、半導体ボディ100の第1の表面101上に形成される。一実施形態によれば、半導体ボディ100は、SiCを含み、ゲート誘電体22は、二酸化ケイ素(SiO
2)を含む。ゲート誘電体22の形成は、酸化プロセス、堆積プロセス、又は堆積プロセス及び酸化プロセスの組み合わせを含んでも良い。
【0060】
図を6F参照すると、電極層21’が、半導体ボディ100のトレンチ110に、且つ第1の表面101上に形成される。トレンチ110に位置する電極層21’のセクションは、個別デバイスセルのゲート電極21を形成する。例えば、電極層21’は、ポリシリコン又はケイ素化合物などの高度にドープされた多結晶半導体材料を含む。
【0061】
図6Gを参照すると、電極層21’は、第1の表面101から除去されるが、しかしそれがゲート電極21を形成するトレンチには残る。第1の表面101上の電極層21’の除去は、ドライエッチングプロセスなどのエッチングプロセスを含んでも良い。
【0062】
図6Hを参照すると、絶縁層51は、第1の表面101及びゲート電極21上に形成される。絶縁層51は、酸化物など、従来の電気絶縁層であっても良い。絶縁層51の形成は、化学蒸着法(CVD)を含んでも良い。
【0063】
図6Iを参照すると、絶縁層51を通って半導体ボディ100の中に延びるコンタクトトレンチ115が形成される。半導体ボディ100において、各コンタクトトレンチは、第1の表面101から、ソース領域層112を通ってダイオード領域30の中に延びる。各コンタクトトレンチ115は、第1の側壁115
1、第1の側壁115
1の反対側の第2の側壁115
2、及び底部115
3を含む。コンタクトトレンチの形成は、エッチングマスクを用いる従来のエッチングプロセスを含んでも良い。
【0064】
図6Iに示されている実施形態を参照すると、更なるトレンチ115は、先細の側壁を用いて形成されても良い。これらのトレンチの側壁と第1の表面101との間の角度は、例えば、50°〜88°、特に60°〜70°である。先細の側壁を用いたコンタクトトレンチ115の形成は、第1のエッチング速度で垂直方向において、且つ第1のエッチング速度より遅い第2のエッチング速度で横方向において半導体ボディ100をエッチングするエッチングプロセスを含んでも良い。絶縁層51の上面により近い各コンタクトトレンチ115の側壁115
1、115
2が、底部115
3により近いセクションより長くエッチング剤にさらされるため、それぞれのトレンチ115は、底部115
3よりも絶縁層51の上面でより広くなる。
【0065】
最後に、ソース電極41は、絶縁層51の上に、且つコンタクトトレンチ115に形成される。
図6Jを参照すると、ソース電極41は、コンタクトトレンチ43を満たし、従って、コンタクトトレンチにおいてダイオード領域30及びソース領域12と電気的に接触する。ソース電極41の形成は、CVDプロセス、蒸発プロセス、ガルバニックプロセス、及びスパッタプロセスの1つなどの金属堆積プロセスを含んでも良い。ソース電極41は、金属又はケイ素化合物などの導電材料を含む。同様に、ゲート接続電極42は、
図6Jでは見えない領域に形成され、且つ第2のコンタクト開口部53においてゲート電極21と接触する。
【0066】
前に説明した方法において、下部ダイオード領域30におけるドーピング最大値の垂直位置x3(
図4を参照)及びドーピング濃度は、
図6Bに関連して説明された注入プロセスにおいて調整することができる。特に、垂直位置は、ドーピング最大値を形成するために注入されるイオンの注入エネルギを調整することによって調整することができ、ドーピング濃度は、注入ドーズを調整することによって調整することができる。一ダイオード領域30の形成が、半導体ボディの垂直方向において変化するドーピング濃度でダイオード領域30を形成するために、注入エネルギ及び注入ドーズの点で異なり得る幾つかの注入プロセスを含んでも良いことに留意されたい。
【0067】
図7A及び7Bは、ダイオード領域30を生成するための方法の一実施形態を示す。
図7A及び7Bに示されている方法において、ダイオード領域30は、第1のダイオード領域31及び第2のダイオード領域32で形成される。
図7Aを参照すると、第1のダイオード領域31の形成は、注入マスク210を用いた少なくとも1つの注入プロセスを含んでも良い。この注入プロセスの注入エネルギは、ドーピング原子がドリフト領域層111の中に注入されるように、調整される。
【0068】
図7Bを参照すると、第2のダイオード領域(コンタクト領域)32の形成は、更なる注入マスクを用いた少なくとも1つの更なる注入プロセスを含む。更なる注入マスクは、第1の注入マスク210の開口部の側壁に沿ってスペーサ220を形成することによって得ることができる。コンタクト領域32の形成は、異なる注入エネルギを用いる幾つかの引き続く注入プロセスを含んでも良い。更に、各注入プロセスは、同様に
図6A〜6Jに関連して前に説明された注入プロセスは、注入されたドーピング原子を活性化するための熱処理を含む。
【0069】
少なくとも1つの注入プロセス及び少なくとも1つの更なる注入プロセスにおける注入エネルギ及び注入ドーズは、完成したデバイスの下部ダイオード領域が、所望の垂直位置x3(
図4を参照)において最大ドーピング濃度を有するように選択される。一実施形態によれば、最大値の位置及びドーピング濃度は、第1のダイオード領域31を形成するプロセスにおいて定義される。別の実施形態によれば、第1のダイオード領域31を形成するためのプロセス、及び第2のダイオード領域32を形成するプロセスの両方が、ドーピング最大値の位置及びドーピング濃度を定義する。
【0070】
図7A〜7Bに示されている実施形態において、第2のダイオード領域32は、ソース領域層112に隣接する。しかしながら、これは、単に例である。別の実施形態(図示せず)によれば、第2のダイオード領域32は、半導体ボディ100の垂直方向においてソース領域層112から離間されるか、又はソース領域層112の中に延びる。
【0071】
図7A〜7Bに示されている実施形態において、第2のダイオード領域32は、第1のダイオード領域31の中に深く(第1のダイオード領域31の垂直寸法の50%超)延びる。しかしながら、これは、単に例である。別の実施形態によれば、第2のダイオード領域32は、第1のダイオード領域31の垂直寸法の50%未満又は更に25%未満で、第1のダイオード領域31の中に延びる。
【0072】
異なる横方向寸法を備えた第1のダイオード領域31及び第2のダイオード領域32の形成、即ち、これらの第1及び第2のダイオード領域31、32を形成するために2つの異なる注入マスクを用いる形成が、任意選択である。一実施形態によれば、
図7Aに示されているマスク210などのただ1つのマスクが、両方、即ち、ドリフト領域11における第1のダイオード領域31、及び完成したデバイスにおけるソース電極に第1のダイオード領域31を接続する第2のダイオード領域32の両方を形成するために用いられる。
【0073】
図5を参照すると、チャネル領域11
1は、ドリフト領域11の他のセクションより高いドーピング濃度を備えた領域を有しても良い。チャネル領域のより高いドーピング濃度は、第1の表面101を介してドーパント原子を半導体ボディ100の中に注入することによって得ることができる。完成したデバイスがチャネル領域11
1を含む領域にのみドーパント原子を注入するために、注入マスクが用いられても良い。より高いドーピング濃度を備えたチャネル領域11
1セクションの垂直位置及びドーピング濃度は、このプロセスにおいて注入エネルギ及び注入ドーズを適切に調整することによって、調整することができる。更なるより高度にドープされた領域11
2(
図1を参照)は、上記で
図6Dに関連して説明されたプロセスステップ後に、トレンチの底部110
3を介して半導体ボディ100の中にドーピング原子を注入することによって、生成することができる。
【0074】
図8は、別の実施形態による半導体デバイスの垂直断面図を示す。この実施形態において、ゲート誘電体22は、第1の側壁110
1におけるよりもトレンチ底部110
3においてより厚い。即ち、ゲート誘電体22は、第1の側壁110
1における第1の厚さ及び底部110
3における第2の厚さを有し、第2の厚さは、第1の厚さより厚い。一実施形態によれば、第2の厚さは、第1の厚さの少なくとも1.5倍、第1の厚さの少なくとも2倍、又は第1の厚さの少なくとも3倍でさえある。製造プロセスにおける変動又は欠陥故に、ゲート誘電体22の厚さは、第1の側壁110
1及び底部110
3に沿って変化する可能性がある。従って、側壁110
1、110
2又は底部110
3の1つにおけるゲート誘電体22の「厚さ」は、それぞれ、それぞれの側壁/底部におけるゲート誘電体22の平均厚さ又は最小厚さとして理解される。
【0075】
図9に示されている別の実施形態によれば、トレンチの底部110
3だけでなく第2の側壁110
2におけるゲート誘電体22は、第1の側壁110
1におけるよりも厚い。即ち、ゲート誘電体22は、第1の側壁110
1における第1の厚さよりも厚い、第2の側壁110
2における第3の厚さを有する。一実施形態によれば、第3の厚さは、第1の厚さの少なくとも1.5倍、第1の厚さの少なくとも2倍、又は第1の厚さの少なくとも3倍でさえある。第3の厚さは、底部110
3における第2の厚さとほぼ等しくても良く、又は第2の厚さと異なっても良い。一実施形態によれば、第1の厚さは、40ナノメートル〜100ナノメートルである。第2の厚さ及び第3の厚さは、それぞれ、例えば60ナノメートル〜300ナノメートルである。
【0076】
図10A〜10Dは、トレンチ110の底部110
3及び任意選択的に第2の側壁110
2上により厚いゲート誘電体22を生成するための方法の一実施形態を示す。
図10A〜10Cは、方法における異なるプロセスシーケンス中の/後の半導体ボディ100の垂直断面図を示す。
図10A〜10Cに関連して説明される方法は、半導体ボディ100にトレンチ110を形成した後に、即ち、前に
図6A〜6Dに関連して説明されたプロセスシーケンスの後に始まる。
【0077】
図10Aを参照すると、方法は、トレンチ110の側壁110
1、110
2及び底部110
3上に第1の誘電体層221を形成することを含む。任意選択的に、この誘電体層221はまた、第1の表面101上に形成される。第1の誘電体層221は、酸化物を含んでも良い。この第1の誘電体層221の形成は、酸化プロセス、堆積プロセス、又は酸化プロセス及び堆積プロセスの組み合わせを含んでも良い。例えば、堆積プロセスは、CVD(化学蒸着)プロセスを含む。
【0078】
図10Bを参照すると、方法は、トレンチ110を第1の保護層301で満たすことを更に含む。例えば、保護層301は、例えばポリシリコン又はアモルファスシリコンなどの多結晶又はアモルファス半導体材料を含む。任意選択的に、第2の保護層302が、第2の側壁110
2を覆う第1の誘電体層221のセクション上に第2の保護層302が配置されるように、第1の保護層301及び第1の表面101上に形成される。第2の保護層302は、任意選択であり、且つより厚いゲート誘電体22が底部110
3のみに生成されることになる実施形態において、省略することができる。第2の保護層302は、多結晶又はアモルファス半導体材料、フォトレジストなどを含んでも良い。
【0079】
方法は、半導体ボディ100、第1の保護層301、及び任意選択の第2の保護層302に対して第1の誘電体層221を選択的にエッチングすることを更に含む。このプロセスにおいて、第1の保護層201は、底部110
3における第1の誘電体層221をエッチングされることから保護し、一方で第1の表面101上の、且つ第1の側壁110
1に沿った第1の誘電体層221は、エッチングされ得る。第2の保護層302が省略された場合に、第2の側壁110
2に沿った第1の誘電体層221もまたエッチングされ、その結果、エッチングプロセス後に、底部110
3における第1の誘電体層221のみが残る。第2の保護層302が第2の側壁110
2の上方にある場合に、底部110
3における第1の誘電体層221だけでなく、第2の側壁110
2に沿った第1の誘電体層221も残る。
【0080】
図10Cは、これらのプロセスステップ後の、且つ第1の保護層301及び任意選択の第2の保護層302を除去した後の半導体ボディ100を示す。
図10Cにおいて、第2の側壁110
2に沿った第1の誘電体層221は、破線で示されている。何故なら、第1の誘電体層221のこの部分が、任意選択であり、且つ第2の保護層302が生成された場合にのみ残るからである。
【0081】
図10Dを参照すると、方法は、トレンチ110の側壁110
1、110
2及び底部110
3上に第2の誘電体層222を形成することを更に含む。トレンチ110において、この第2の誘電体層222は、第1の誘電体層221を増加させる。第1の誘電体層221及び第2の誘電体層222は、ゲート誘電体22を形成する。ゲート誘電体22は、第2の誘電体層222のみが生成される第1の側壁110
1で薄く、第1の誘電体層221及び第2の誘電体層222が生成される底部110
3でより厚く、且つ第2の誘電体層222及び任意選択的に第1の誘電体層221が生成される第2の側壁110
2でより厚くても良い。半導体デバイスを製造するための更なる方法ステップは、前に
図6F〜6Jに関連して説明された方法ステップに対応しても良い。
【0082】
図11A〜11Cは、別の実施形態に従ってゲート誘電体22を形成するための方法を示す。
図11Aを参照すると、方法は、トレンチ110の側壁110
1、110
2及び底部110
3に第1の誘電体層221を形成することを含む。第1の誘電体層221は、
図10Aに関連して前に説明されたように生成されても良い。
【0083】
方法は、少なくとも第1の側壁110
1に沿って第1の誘電体層221を除去することを更に含む。任意選択的に、第1の誘電体層221はまた、第2の側壁110
2に沿って除去される。第1の側壁110
1に沿った第1の誘電体層221の除去は、底部110
3にわたり、且つ任意選択的に第2の側壁110
2にわたり、第1の誘電体層221上にマスク層を形成することを含んでも良い。
【0084】
図11Bを参照すると、このマスク層の形成は、第1の誘電体層221の上方に犠牲層224を形成することを含んでも良い。一実施形態によれば、この犠牲層224は、例えばポリシリコンなどの多結晶半導体材料を含む。
図11Bを参照すると、この犠牲層224は、犠牲層224を除去することが望ましい領域においてダメージ注入にさらされる。
図11Bを参照すると、第1の表面101及び第1の側壁110
1に沿った犠牲層224は、ダメージ注入にさらされても良い。底部110
3及び第2の側壁110
2における犠牲層224を注入から保護するために、傾斜注入が用いられても良い。ダメージ注入プロセスにおいて用いられるイオンの例は、例えばアルゴン又はキセノンイオンなどの希ガスイオンを含む。
【0085】
次のプロセスステップにおいて、ダメージ注入された犠牲層224のセクションは、ダメージを受けていない犠牲層セクションに対して、ダメージを受けた犠牲層セクションを選択的にエッチングするエッチングプロセスで除去される。
図11Cは、この選択的エッチングプロセス後の犠牲層224を示す。次に、犠牲層224の残ったセクションは、犠牲層224によって覆われていない第1の誘電体層221のセクションをエッチングするためのエッチングマスクとして用いられる。この結果は、
図11Dに示されている。
【0086】
図11Dを参照すると、第1の誘電体層221は、トレンチ110の底部110
3及び第2の側壁110
2に残る。この構造は、
図10Cに関連して説明された構造に対応する。従って、ゲート誘電体22を形成するための更なるプロセスステップは、前に
図10Dに関連して説明されたプロセスステップに対応しても良い。
【0087】
図11A〜11Dに関連して説明された方法に基づいて、より厚いゲート誘電体22が、底部110
3及び第2の側壁110
2に形成される。何故なら、この方法における第1の誘電体層221が、底部110
3及び第2の側壁110
2に残るからである。しかしながら、この方法は、トレンチ110の底部110
3上にのみ第1の誘電体層221を形成するために、容易に修正することができる。修正された方法は、犠牲層224が、第1の側壁110
1上だけでなく第2の側壁110
2上でもダメージ注入されるように選択される更なるダメージ注入プロセスを含む。
図11Bに示されている方法の注入角度と異なる注入角度を用いる傾斜注入が用いられても良い。例えば、β(ベータ)を、
図11Bに示されている方法における、第1の表面101に対する注入角度とすると、修正された方法において追加的に用いられる注入角度は、−β(
図11Bに点線に示されている)である。
【0088】
しかしながら、底部110
3における犠牲層224は、修正された方法ではダメージ注入されない。犠牲層224が、第2の側壁110
2上でダメージ注入される場合に、
図11Cに関連して説明されたエッチングプロセスは、第2の側壁110
2上でもまた犠牲層224エッチングし、その結果、犠牲層224は、底部110
3上にのみマスク層として残る。従って、第1の誘電体層221をエッチングするエッチングプロセスは、トレンチ110の底部110
3上にのみ第1の誘電体層221を残す。
【0089】
図12は、ゲートトレンチにゲート誘電体を形成する前に、即ち
図6Eに示されているステップの前に、第3のダイオード領域33をダイオード領域30に形成するための方法の一実施形態を示す。
図12を参照すると、注入マスク300が、ゲートトレンチの外側で第1の表面101上に形成される。次に、ダイオード領域30のドーパント原子と同じドーピング型のドーパント原子が、第2のダイオード領域32の中に注入される。注入プロセスにおいて、半導体ボディ100の垂直方向に対して0°以外の注入角度が用いられる。この注入角度は、ドーパント原子が、ゲートトレンチの第2の側壁110
2に隣接する第2のダイオード領域32の領域の中にほぼ注入されるように、選択される。注入プロセスにおいて、注入マスクは、ドーパント原子がソース領域層112に注入されることからソース領域層112を保護する。
【0090】
第3のダイオード領域33の形成は、異なる注入エネルギを用いた幾つかの引き続く注入プロセスを含んでも良い。更に、注入されたドーパント原子は、第3のダイオード領域33を形成するために、アニーリングプロセスを用いて活性化される。それらのアニーリングプロセスの1つ又は複数が実行されても良い。少なくとも1つの注入プロセスにおける少なくとも1つの注入エネルギ及び少なくとも1つの注入ドーズは、完成したデバイスにおける第3のダイオード領域33が、第2のダイオード領域32(コンタクト領域)より高いドーピング濃度を有するように、選択される。一実施形態において、第3のダイオード領域のドーピング濃度は、5E18cm
−3〜5E19cm
−3である。
【0091】
図13は、別の実施形態による半導体デバイスの垂直断面図を示す。この実施形態において、更なるトレンチは、コンタクト領域32を通ってドリフト領域11の中に延びる。従って、ドリフト領域11は、コンタクトトレンチにおけるソース電極41に隣接する。少なくともソース電極41がドリフト領域11と接触する領域において、ソース電極41の材料が、ソース電極41とドリフト領域11との間にショットキーコンタクトがあるように、選択される。一実施形態によれば、この材料は、チタン(Ti)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、並びにTi、W、Mo及びTaの1つにおける窒化物の少なくとも1つから選択される。この実施形態において、半導体ボディ100の垂直方向におけるコンタクトトレンチの深さは、第1の表面101とコンタクトトレンチの底部115
3との間の垂直距離が、第1の表面101とダイオード領域30の下端との間の垂直距離より小さいようにされる。換言すれば、コンタクトトレンチは、(垂直方向において)ダイオード領域ほどの深さまで半導体ボディの中に延びない。これは、次のことを保証する。即ち、デバイスセル10
1、10
2のダイオード領域30によって形成されたチャネル領域11
1を備えたJFET構造がまた、デバイスがオフ状態にある場合にショットキーコンタクトを高電界強度から保護することを保証する。ショットキーダイオードの順方向電圧が、(ボディ領域13及びドリフト領域11によって形成された)ボディダイオードの順方向電圧より低いため、ショットキーダイオードの存在は、デバイスが逆バイアスモード(ショットキーダイオードは、この場合にボディダイオードを迂回する)で動作される場合に、より低い伝導損に帰着する。従って、逆バイアスモードにおける伝導損は、たとえデバイスがオン状態で駆動されていない場合でも低い。
【0092】
図14は、ソース電極41が配置される領域における半導体デバイスの上面図を示す。
図14は、ソース電極41の上面図を示す。参照文字21は、ソース電極の下のゲート電極を示し(ゲート誘電体は示されていない)、参照文字43は、ソース電極41によって満たされるコンタクトトレンチを示す。
図14に示されている実施形態において、コンタクトトレンチ43は、ゲート電極21とほぼ平行であり、且つゲート電極21及びゲートトレンチからそれぞれ離間された長尺状のトレンチである。コンタクトトレンチ43の長手方向は、半導体ボディ100の第1の横方向xにほぼ対応する。
【0093】
切断面A−Aにおける、
図14に示されているデバイスの垂直断面図は、
図1に示されている図に対応する。
【0094】
図15は、
図14に示されているデバイスの修正である半導体デバイスの上面図を示す。
図15に示されているデバイスにおいて、1つのゲート電極21に沿ったコンタクトトレンチ43は、第1の横方向xにおいて間隔された幾つかのトレンチセクションを含む。
【0095】
図15において、切断面A−Aは、切断面A−Aにおけるデバイスの垂直切断面図が、
図1に示されている図に対応するように、コンタクトトレンチ43のセクションを切断する。第1の横方向において切断面A−Aから離間された、且つコンタクトトレンチ43のセクション間でデバイスを切断する切断面C−Cにおける垂直切断面図が、
図16に示されている。この切断面C−Cにおいて、ソース電極41は、ソース領域12と接触するのみで、半導体ボディの中には延びない。ただ1つの長尺状のトレンチの代わりに、幾つかの離間されたトレンチセクション43が、ボイドなしにソース電極41を生成する点で有利になり得る。
また、本願は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
半導体ボディ及び前記半導体ボディに集積された少なくとも1つのデバイスセル(101、102)を含む半導体デバイスであって、前記少なくとも1つのデバイスセルが、
ドリフト領域(11)、ソース領域(12)、及び前記ソース領域(12)と前記ドリフト領域(11)との間に配置されたボディ領域(13)と、
ダイオード領域(30)、及び前記ダイオード領域(30)と前記ドリフト領域(11)との間のpn接合と、
第1の側壁(1101)、前記第1の側壁の反対側の第2の側壁(1102)、及び底部(1103)を備えたトレンチであって、前記ボディ領域(13)が、前記第1の側壁(1101)に隣接し、前記ダイオード領域(30)が、前記第2の側壁(1102)に隣接し、且つ前記pn接合が、前記トレンチの前記底部(1103)に隣接するトレンチと、
前記トレンチに配置され、且つゲート誘電体(22)によって、前記ソース領域(12)、前記ボディ領域(13)、前記ダイオード領域(30)及び前記ドリフト領域(11)から誘電的に絶縁されたゲート電極(21)と、
前記半導体ボディ(100)の第1の表面(101)から前記半導体ボディ(100)の中に延びる更なるトレンチと、
前記更なるトレンチにおいて前記ソース領域(12)及び前記ダイオード領域(30)に隣接する、前記更なるトレンチに配置されたソース電極(41)と、
を含み、
前記ダイオード領域(30)が、前記トレンチの前記底部(1103)の下方に配置された下部ダイオード領域を含み、
前記下部ダイオード領域が、前記トレンチの前記底部(1103)から離れて最大ドーピング濃度を含む半導体デバイス。
(態様2)
前記更なるトレンチにおける前記ソース電極(41)が、前記少なくとも1つのデバイスセル(101)の前記ボディ領域(13)に隣接する、態様1に記載の半導体デバイス。
(態様3)
前記更なるトレンチが、第1の側壁(1151)、前記第1の側壁の反対側の第2の側壁(1152)、及び底部(1153)を含み、前記ソース領域(12)が、前記第1及び第2の側壁(1151、1152)に隣接し、且つ前記ダイオード領域(30)が、前記更なるトレンチの少なくとも前記第1の側壁(1151)に隣接する、態様1に記載の半導体デバイス。
(態様4)
少なくとも2つのデバイスセルを含み、
前記少なくとも2つのデバイスセル(101、102)の前記ダイオード領域(30)が、前記半導体ボディ(100)の横方向において離れている、態様1〜3のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
(態様5)
前記少なくとも2つのデバイスセル(101、102)の前記ダイオード領域(30)間の距離が、
0.5マイクロメートル〜2マイクロメートルと、
前記トレンチの幅の0.25倍〜1.5倍と、
前記トレンチの下方の前記ドリフト領域(11)における前記ダイオード領域(30)の横幅の30%〜60%と、
からなる群から選択される、態様4に記載の半導体デバイス。
(態様6)
前記更なるトレンチにおける前記ソース電極(41)が、前記ドリフト領域(11)に隣接し、
ショットキーコンタクトが、前記ドリフト領域(11)と前記ソース電極(41)との間に形成される、態様1〜5のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
(態様7)
前記第1の表面(101)と前記更なるトレンチの前記底部(1153)との間の垂直距離が、前記第1の表面(101)と前記ダイオード領域(30)の下端との間の垂直距離より小さい、態様6に記載の半導体デバイス。
(態様8)
前記トレンチの前記底部(1103)と前記最大ドーピング濃度の位置との間の距離が、200ナノメートル〜1マイクロメートルである、態様1〜7のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
(態様9)
前記トレンチの前記底部(1103)と前記最大ドーピング濃度の位置との間の距離が、250ナノメートル〜500ナノメートルである、態様8に記載の半導体デバイス。
(態様10)
前記最大ドーピング濃度が、1E18cm−3〜5E18cm−3である、態様1〜9のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
(態様11)
前記ダイオード領域(30)が、前記最大ドーピング濃度の位置と前記トレンチの前記底部(1103)との間の前記ドーピング濃度の極小値を更に含む、態様1〜10のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
(態様12)
前記極小ドーピング濃度が、5E17cm−3〜1E18cm−3である、態様11に記載の半導体デバイス。
(態様13)
前記ゲート誘電体(22)が、前記トレンチの前記第1の側壁(1101)における第1の厚さ、及び前記トレンチの前記第2の側壁(1102)における第2の厚さを有し、前記第2の厚さが、前記第1の厚さより大きい、態様1〜12のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
(態様14)
前記第2の厚さが、前記第1の厚さの少なくとも1.5倍である、態様13に記載の半導体デバイス。
(態様15)
前記ゲート誘電体(22)が、前記トレンチの前記第1の側壁(1101)における第1の厚さ、及び前記トレンチの前記底部(1103)における第3の厚さを有し、前記第3の厚さが、前記第1の厚さより厚い、態様1〜14のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
(態様16)
前記第3の厚さが、前記第1の厚さの少なくとも1.5倍である、態様13〜15のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
(態様17)
前記トレンチが、前記第1の側壁(1101)と前記底部(1103)との間の丸い角を含み、
前記丸い角の半径が、前記第1の側壁(1101)における前記ゲート誘電体(22)の厚さの少なくとも2倍である、態様1〜16のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
(態様18)
前記ドリフト領域が、前記少なくとも2つのデバイスセルにおける2つの隣接するデバイスセルの前記ダイオード領域(30)間で前記ドーピング濃度の極大値を含む、態様4〜17のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
(態様19)
各ダイオード領域(30)が、
前記ドリフト領域(11)と前記pn接合を形成する第1のダイオード領域(31)と、
前記第1のダイオード領域(31)より高度にドープされ、且つ前記ソース電極(41)に接続される第2のダイオード領域(32)と、
を含む、態様1〜18のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
(態様20)
前記第2のダイオード領域(32)が、前記トレンチの前記第2の側壁に隣接する、態様19に記載の半導体デバイス。
(態様21)
各ダイオード領域(30)が、前記第2のダイオード領域(32)より高度にドープされた第3のダイオード領域(33)を含み、
前記第3のダイオード領域(33)が、前記トレンチの前記第2の側壁(1102)に隣接する、態様19又は20に記載の半導体デバイス。
(態様22)
前記第3のダイオード領域(33)の前記ドーピング濃度が、5E18cm−3〜5E19cm−3である、態様21に記載の半導体デバイス。
(態様23)
前記少なくとも2つのデバイスセルが隣接し、
一方のデバイスセルの前記ダイオード領域(30)が、他方のデバイスセルの前記ボディ領域(13)に隣接する、態様1〜22のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
(態様24)
前記半導体ボディ(100)が、SiC結晶を含み、
前記トレンチの前記第1の側壁が、前記SiC結晶のc軸と整列される、態様1〜23のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
(態様25)
前記半導体ボディ(100)の前記第1の表面(101)と前記第1の側壁(1101)との間の角度が、80°〜89°である、態様24に記載の半導体デバイス。
(態様26)
半導体デバイスを製造する方法であって、
ドリフト領域層(111)、前記ドリフト領域層(111)に隣接するボディ領域層(113)、及び前記ボディ領域層(113)に隣接するソース領域層(112)を含む半導体ボディを提供し、並びに前記半導体ボディ(100)の第1の表面(101)を形成することと、
少なくとも1つのダイオード領域(30)を形成することであって、前記ダイオード領域(30)が、前記ソース領域層(112)から、前記ボディ領域層(113)を通って前記ドリフト領域層(111)の中に延びるように形成し、前記ダイオード領域(30)及び前記ドリフト領域層(111)が1つのpn接合を形成する、形成することと、
少なくとも1つのトレンチ(110)が、第1の側壁において前記ボディ領域層(113)に隣接し、第2の側壁において前記ダイオード領域(30)に隣接し、且つ底部(1103)において前記pn接合に隣接するように、前記第1の側壁(1101)、前記第1の側壁(1101)の反対側の前記第2の側壁(1102)、及び前記底部(1103)を有する前記少なくとも1つのトレンチ(110)を形成することと、
ゲート電極(21)、及び前記ゲート電極(21)を前記半導体ボディ(100)から誘電的に絶縁するゲート誘電体(22)を前記少なくとも1つのトレンチに形成することと、
少なくとも1つの更なるトレンチ(115)が、前記ソース領域層(112)及び前記ダイオード領域(30)に隣接するように、前記少なくとも1つの更なるトレンチ(115)を形成することと、
前記更なるトレンチ(115)において前記ソース領域層(112)及び前記ダイオード領域(30)に隣接するソース電極(41)を前記少なくとも1つの更なるトレンチ(115)に形成することと、
を含み、
前記ダイオード領域(30)を形成した後に残る前記ソース領域層(112)のセクションが、ソース領域(12)を形成し、前記少なくとも1つのダイオード領域(30)を形成した後に残る前記ボディ領域層(113)のセクションが、ボディ領域(13)を形成し、前記少なくとも1つのダイオード領域(30)を形成した後に残る前記ドリフト領域層(111)のセクションが、ドリフト領域(11)を形成し、
前記少なくとも1つのダイオード領域(30)の形成が、前記トレンチの前記底部(1103)の下方に下部ダイオード領域を形成することと、前記トレンチの前記底部(1103)から離れて前記下部ダイオード領域の最大ドーピング濃度を形成することとを含む方法。
(態様27)
前記少なくとも1つの更なるトレンチ(115)を形成する前に、絶縁層(51)を前記第1の表面(101)上に形成することを更に含む、態様26に記載の方法。
(態様28)
各ゲート電極(22)の上方で前記絶縁層(51)にコンタクト開口部(53)を形成することと、
各コンタクト開口部(53)において前記ゲート電極(22)に電気的に接続されるゲート接続電極(42)を形成することと、
を更に含む、態様27に記載の方法。
(態様29)
前記トレンチ(110)を形成した後で、水素雰囲気において、前記半導体ボディを熱処理にさらすことを更に含む、態様26〜28のいずれか一項に記載の方法。