特許第6105598号(P6105598)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6105598クロマトグラフィー精製のための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6105598
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】クロマトグラフィー精製のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 15/08 20060101AFI20170316BHJP
   G01N 30/46 20060101ALI20170316BHJP
   G01N 30/88 20060101ALI20170316BHJP
   B01J 20/281 20060101ALI20170316BHJP
   B01J 20/34 20060101ALI20170316BHJP
   C07K 1/22 20060101ALI20170316BHJP
   C07K 1/18 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   B01D15/08
   G01N30/46 A
   G01N30/46 E
   G01N30/88 J
   B01J20/22 D
   B01J20/34 G
   C07K1/22
   C07K1/18
【請求項の数】14
【全頁数】53
(21)【出願番号】特願2014-533782(P2014-533782)
(86)(22)【出願日】2012年9月15日
(65)【公表番号】特表2014-534055(P2014-534055A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】EP2012003866
(87)【国際公開番号】WO2013050104
(87)【国際公開日】20130411
【審査請求日】2015年9月15日
(31)【優先権主張番号】11008021.5
(32)【優先日】2011年10月4日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/666,338
(32)【優先日】2012年6月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(74)【代理人】
【識別番号】100201972
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 綾子
(72)【発明者】
【氏名】スクダス,ローマス
【審査官】 河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/046468(WO,A1)
【文献】 特開昭51−104893(JP,A)
【文献】 特表2000−503112(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/087761(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/045897(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/071208(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 15/00 − 15/08
G01N 30/14
G01N 30/26
G01N 30/46
G01N 30/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
− いずれも同じクロマトグラフィーマトリックスを有する2つの分離ユニットA1およびA2、ならびに、前記分離ユニットA1およびA2のクロマトグラフィーマトリックスとは異なるクロマトグラフィーマトリックスを有する分離ユニットB;全ての分離ユニットは流体入口および流体出口を有し、それにより、少なくとも前記分離ユニットA1の流体出口と前記分離ユニットBの流体入口との間の流体接続、および前記分離ユニットA2の流体出口と前記分離ユニットBの流体入口との間の流体接続が存在する、
− 前記分離ユニットA1の出口と前記分離ユニットBの流体入口との間の流体連通と、前記分離ユニットA2の出口と前記分離ユニットBの流体入口との間の流体連通との間で切り替えることを可能にする、分離ユニットA1およびA2と分離ユニットBとの間の流体接続における少なくとも1つの弁、
− 少なくとも2つのバッファーリザーバ、および少なくとも2つのポンプ、
− 試料溶液を含むリザーバであって、前記分離ユニットA1およびA2の入口と流体接続にある、前記リザーバ、
− 分離ユニットA1の流体出口と分離ユニットA2の流体入口との間の接続線、および分離ユニットA2の流体出口と分離ユニットA1の流体入口との間の接続線
を含む装置。
【請求項2】
分離ユニットA1およびA2が、アフィニティークロマトグラフィー、カチオン交換、ミックスモードカチオン交換またはアニオン交換クロマトグラフィーマトリックスを有することにより特徴づけられる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
分離ユニットBが、カチオン交換、ミックスモードアニオン交換またはアニオン交換クロマトグラフィーマトリックスを有することにより特徴づけられる、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
分離ユニットA1およびA2がアフィニティークロマトグラフィーマトリックスを有し、分離ユニットBがカチオン交換、ミックスモードアニオン交換またはアニオン交換クロマトグラフィーマトリックスを有することにより特徴づけられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
分離ユニットA1およびA2がカチオン交換またはミックスモードカチオン交換クロマトグラフィーマトリックスを有し、分離ユニットBがアニオン交換またはミックスモードアニオン交換クロマトグラフィーマトリックスを有することにより特徴づけられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
分離ユニットA1およびA2の出口と分離ユニットBの流体入口との間の接続線において流体入口を含むことにより特徴づけられる、請求項1〜のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
3つの分離ユニットのうちの1つの出口と少なくとも流体接続にあるウイルス不活化バッファーを有するさらなるリザーバを含むことにより特徴づけられる、請求項1〜のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
3つの分離ユニットのうちの1つの出口と少なくとも流体接続にある、定置洗浄のためのバッファーを有する少なくとも1つのさらなるリザーバを含むことにより特徴づけられる、請求項1〜のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか1項に記載の装置を用いて、試料中の1または2以上の不純物から標的分子を精製する方法であって、以下のステップ:
− 試料が分離ユニットA1上にロードされる間に(ここで、試料は、標的分子が分離ユニットA1に結合することを可能にする第1のpHおよび伝導率にある)、分離ユニットA2は、その時間の少なくとも一部において、分離ユニットA2上にロードされた標的分子が分離ユニットB上に溶離して分離ユニットA2が再平衡化されるように、分離ユニットBと流体連通にあるように、ならびに、試料が分離ユニットA2上にロードされる間に(ここで、試料は、標的分子が分離ユニットA2に結合することを可能にする第1のpHおよび伝導率にある)、分離ユニットA1は、その時間の少なくとも一部において、分離ユニットA1上にロードされた標的分子が分離ユニットB上に溶離し、分離ユニットA1が再平衡化されるように、分離ユニットBとの流体連通にあるように、試料を分離ユニットA1およびA2上に交互にロードすること、
− 分離ユニットBの流体出口から標的分子を回収すること、
を含む、前記方法。
【請求項10】
標的分子が抗体であることにより特徴づけられる、請求項に記載の方法。
【請求項11】
試料を分離ユニットA1上にロードする間に、分離ユニットA1の流体出口がその時間の少なくとも一部において分離ユニットA2の流体入口と接続線によって流体連通にあり、分離カラムA1から浸出し始めた標的分子の、分離カラムA2に結合されるキャプチャーを可能にすること、ならびに、試料を分離ユニットA2上にロードする間に、分離ユニットA2の流体出口が、その時間の少なくとも一部において分離ユニットA1の流体入口と接続線によって流体連通にあり、分離カラムA2から浸出し始めた標的分子の、分離カラムA1に結合されるキャプチャーを可能にすることにより特徴づけられる、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
ウイルス不活化バッファーを、分離ユニットA1に標的分子をロードした後で分離ユニットA1に、ならびに、分離ユニットA2に標的分子をロードした後で分離ユニットA2に、ポンプで通過させることにより特徴づけられる、請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
分離ユニットA1から未結合の試料を洗い流す間に、分離ユニットA2は、その時間の少なくとも一部において、試料溶液を含有するリザーバおよび分離ユニットA1と流体連通にあり、分離ユニットA2から未結合の試料を洗い流す間に、分離ユニットA1は、その時間の少なくとも一部において、試料溶液を含有するリザーバおよび分離ユニットA2と流体連通にあることにより特徴づけられる、請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
分離ユニットA1またはA2にロードする前に、試料を遠心分離、濾過および/または沈下によって清澄化することにより特徴づけられる、請求項9〜13のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3つの分離カラムのみを必要とする連続クロマトグラフィープロセスのために好適な方法および装置に関する。前記プロセスは、2つのクロマトグラフィーのステップを含む2ステップの手順である。第1のクロマトグラフィーステップ(キャプチャー)は、好ましくは2個の分離カラムにおいて、交互に、および逐次的に行い、第2のクロマトグラフィーステップ(ポリッシング)もまた、第3のカラムにおいて逐次的に行う。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
大規模で経済的なタンパク質の精製は、バイオテクノロジーおよび製薬の産業において、ますます重要な問題となっている。典型的には、タンパク質は、目的のタンパク質についての遺伝子を含む組換プラスミドの挿入によりそのタンパク質を生成するように操作された哺乳動物または細菌の細胞株のいずれかを用いて、細胞培養により生成される。用いられる細胞株は、生きた生物であるので、それらに、糖、アミノ酸、および通常は動物血清の調製物から供給される増殖因子を含有する、複雑な増殖培地をフィードしなければならない。細胞にフィードされた化合物の混合物からの、および細胞自体の副産物からの、ヒト治療剤としての使用のために十分な純度までの所望のタンパク質の分離は、恐るべき挑戦を提起する。
【0003】
細胞デブリからのタンパク質の精製のための手順は、最初に、タンパク質の発現の部位に依存する。幾つかのタンパク質は、細胞から周囲の増殖培地中へと直接的に分泌させられる。他のものは細胞内で作られる。後者のタンパク質について、精製プロセスの第1のステップは細胞の溶解を含み、これは、機械的剪断、浸透圧ショックまたは酵素処理を含む多様な方法により行うことができる。かかる破壊により、細胞の全内容物がホモジェネート中に放出され、さらに、それらの小さなサイズの所為で取り除くことが困難な細胞内フラグメントを生成する。それらは一般に遠心分離により、または濾過により、取り除かれる。同じ問題は、より小さな規模であるが、直接的に分泌されるタンパク質に関しても、タンパク質生成の実行の過程における細胞の自然死および細胞内宿主細胞タンパク質の放出に起因して生じる。
【0004】
結果として、現在用いられる典型的な精製プロセスは、以下のステップを含む:
− 細胞内タンパク質を回収するための細胞の溶解、または、分泌型タンパク質の場合は培地からのタンパク質の回収、
− 目的のタンパク質を含有する清澄化された試料を得るための、例えば分画遠心分離または濾過を用いる細胞デブリの除去、
− 試料中の他のタンパク質および多様な他の不純物から目的のタンパク質を分離するための、マルチステップのプロセスにおける多様なクロマトグラフィー媒質の使用。
【0005】
クロマトグラフィー技術は、典型的には、タンパク質の混合物を、それらの電荷、疎水性の程度またはサイズに基づいて分離する。これらの技術の各々について幾つかの異なるクロマトグラフィー樹脂が利用可能であり、それにより関与する特定のタンパク質に対する精製スキームの正確な調整が可能になる。これらの分離方法の各々の本質は、タンパク質を長いカラムに沿って異なる速度において移動させることができ、これにより、それらがカラムをさらに通過するにしたがって増大する物理的分離を達成することができること、または、タンパク質を分離媒質に選択的に接着させることができ、それにより、次いで異なる溶媒により差次的に溶離させることができることである。一部の例において、不純物が特異的にカラムに接着し、目的のタンパク質が接着しない場合に、所望のタンパク質は不純物から分離される。すなわち、目的のタンパク質は、「フロースルー」中に存在する。
【0006】
交換可能な対イオンにちなんで名づけられるイオン交換クロマトグラフィーは、イオン化可能な分子の精製に適用可能な手順である。イオン化された分子は、その荷電された基と、固相支持マトリックスに付着した逆に荷電された分子との非特異的静電相互作用により、固相とより強力に相互作用するイオン化された分子を遅延させることに基づいて、分離される。各々の型のイオン化された分子の正味の電荷、およびマトリックスに対するそのアフィニティーは、荷電された基の数、各々の基の電荷、および荷電された固相マトリックスとの相互作用について競合する分子の性質に従って変化する。これらの差異は、イオン交換クロマトグラフィーによる多様な分子型の分解をもたらす。イオン交換クロマトグラフィーを用いる典型的なタンパク質精製において、宿主細胞に由来する多くのタンパク質の混合物(哺乳動物細胞培養におけるものなど)を、イオン交換カラムに適用する。結合していない分子を洗い流した後で、段階的または勾配的な様式においてpH、対イオン濃度などを変化させることなどにより条件を調整し、固相から、非特異的に保持または遅延されたイオン化された目的のタンパク質を放出させ、それを、異なる電荷の特徴を有するタンパク質から分離する。アニオン交換クロマトグラフィーは、そのpHにおいて、および特定の分離プロセスの条件下においての、固相マトリックスに付着した正に荷電された分子との相互作用についての、目的のアニオン分子と負の対イオンとの競合を含む。対照的に、カチオン交換クロマトグラフィーは、そのpHにおいて、および特定の分離プロセスの条件下においての、固相マトリックスに付着した負に荷電された分子についての、目的のカチオン分子と正の対イオンとの競合を含む。ミックスモードイオン交換クロマトグラフィーは、同じステップにおけるカチオンおよびアニオン交換クロマトグラフィー用媒質の組み合わせの使用を含む。特に、「ミックスモード(mixed-mode)」とは、カチオン交換および/またはアニオン交換と疎水性相互作用部分との混合物が共有結合している固相支持マトリックスを指す。
【0007】
精製されるべきタンパク質と固定されたキャプチャー剤との間の特異的な構造的に依存的な(すなわち、空間的に相補的な)相互作用を利用するアフィニティークロマトグラフィーは、抗体などの幾つかのタンパク質についての標準的な精製の選択肢である。例えばプロテインAは、Fc領域を含む抗体などのタンパク質のアフィニティークロマトグラフィーのために有用な吸着剤である。プロテインAは、Staphylococcus aureasからの41kDの細胞壁タンパク質であって、抗体のFc領域に高いアフィニティー(ヒトIgGに対して約10-8M)で結合するものである。その一般的な用途にも関わらず、アフィニティークロマトグラフィーは、治療用タンパク質を精製するために必要な工業的な規模においては特に、高価である。
【0008】
さらなるクロマトグラフィー的方法は、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーまたは疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)である。
したがって、典型的な精製プロセスとして、異なる遠心分離および濾過のステップ、ならびに、アフィニティークロマトグラフィー(AC)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、イオン交換クロマトグラフィー(IEC)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、逆相クロマトグラフィー(RPC)、および順相クロマトグラフィー(NPC)などの少なくとも3つのクロマトグラフィーによる分離技術が挙げられる。通常、指名された技術の各々は、クロマトグラフィーによる分離の実行の前に試料の調製をもたらす、異なる操作(バッファー、pH、伝導率)条件を必要とする。より効率的および経済的な精製プロセスは、1つの精製の列における多様なクロマトグラフィーのモードの直接的な組み合わせにより、精製ステップの間の試料のフォールディング/調製ステップを取り除くことにより、達成することができる。
【0009】
単純なバッチクロマトグラフィー技術は、工業的適用においてよく受容されているが、この技術は、その長い処理時間および高い運用コスト(例えば、大量の溶媒、高価な樹脂およびハードウェア)のために高価である。この技術はまた、運用条件に対して感受性である(例えば生成物のタイター、滞留時間およびフィード速度)(生成物の損失は、80%の動的結合能力値から始まる)。
【0010】
幾つかの代替的な半連続的技術もまた開発された。すなわち、それらは2つまたは3つの異なるクロマトグラフィーのモードを接続するが、連続的なフィードを有することを可能にしない。
WO 2011/037522は、出口を入口に接続した少なくとも2つの分離ユニットを含む分離システムを開示する。全てのカラムは直列に接続される。
WO 2011/017514は、保持タンクまたはバッファー交換ステップを必要としない、アフィニティークロマトグラフィーステップと2つのイオン交換クロマトグラフィーステップとの組合せを開示する。
しかし、より効率的および経済的な解決の必要性がなお存在する。
【発明の概要】
【0011】
発明の簡単な説明
驚くべきことに、本発明者らは、分離ユニット(カラム)の接続しか必要としないのみならず、連続的なフィードを可能にするシステムを見出した。このことは、少なくとも2つのキャプチャーカラムを提供することにより達成される。
本発明は、したがって、以下を含む装置に関する:
− いずれも同じクロマトグラフィーマトリックスを有する2つの分離ユニットA1およびA2、ならびに分離ユニットA1およびA2のクロマトグラフィーマトリックスとは異なるクロマトグラフィーマトリックスを有する分離ユニットB;全ての分離ユニットは流体入口および流体出口を有し、それにより、少なくとも分離ユニットA1の流体出口と分離ユニットBの流体入口との間の流体接続、および分離ユニットA2の流体出口と分離ユニットBの流体入口との間の流体接続が存在する(図2、3および4における接続線C−P)。
− 分離カラムA1の流体出口と分離カラムBの流体入口との間の流体連通と、分離カラムA2の流体出口と分離カラムBの流体入口との間の流体連通との間で、切り替えを可能にする、分離カラムA1およびA2と分離カラムBとの間の流体接続における少なくとも1つの弁。
− 少なくとも2つのバッファーリザーバおよび少なくとも2つのポンプであって、それにより、バッファーリザーバが、少なくとも分離ユニットA1およびA2の入口と流体接続にあり、ポンプが、リザーバから分離ユニットへの液体の輸送に用いられる。
− 試料溶液を含むリザーバ(試料のフィード)であって、分離ユニットA1の入り口およびA2と流体接続にあるもの。
【0012】
一態様において、分離ユニットA1およびA2は、アフィニティークロマトグラフィー、カチオン交換、アニオン交換クロマトグラフィーマトリックスまたはミックスモードカチオン交換マトリックスを有する。
別の態様において、分離ユニットBは、カチオン交換、ミックスモードアニオン交換またはアニオン交換クロマトグラフィーマトリックスを有する。
別の態様において、分離ユニットBは、カチオン交換およびアニオン交換クロマトグラフィーマトリックス、またはカチオンおよびミックスモードアニオン交換マトリックス、またはミックスモードカチオン交換マトリックスおよびアニオン交換マトリックスを含む、マトリックスの混合物を有する。
【0013】
好ましい態様において、分離ユニットA1およびA2はアフィニティークロマトグラフィーマトリックスを有し、分離ユニットBはカチオン交換クロマトグラフィーマトリックスを有する。
別の好ましい態様において、分離ユニットA1およびA2はアフィニティークロマトグラフィーマトリックスを有し、分離ユニットBはアニオン交換またはミックスモードアニオン交換クロマトグラフィーマトリックスを有する。
別の態様において、分離ユニットA1およびA2はアフィニティークロマトグラフィーマトリックスを有し、分離ユニットBはアニオン交換とカチオン交換クロマトグラフィーマトリックスとの混合物を有する。
【0014】
別の態様において、分離ユニットA1およびA2はアフィニティークロマトグラフィーマトリックスを有し、分離ユニットBは、アニオン交換とミックスモードカチオン交換クロマトグラフィーマトリックスとの混合物、またはカチオン交換とミックスモードアニオン交換クロマトグラフィーマトリックスとの混合物、またはミックスモードカチオン交換とミックスモードアニオン交換クロマトグラフィーマトリックスとの混合物を有する。
【0015】
別の好ましい態様において、分離ユニットA1およびA2はカチオン交換またはミックスモードカチオン交換クロマトグラフィーマトリックスを有し、分離ユニットBはアニオン交換またはミックスモードアニオン交換クロマトグラフィーマトリックスを有する。
【0016】
別の態様において、分離ユニットA1およびA2はアニオン交換またはミックスモードアニオン交換クロマトグラフィーマトリックスを有し、分離ユニットBはカチオン交換またはミックスモードカチオン交換クロマトグラフィーマトリックスを有する。
【0017】
別の好ましい態様において、2つの分離ユニットA1およびA2は、いずれも、分離ユニット出口において少なくとも1つの流体選択弁を有し、それにより、分離ユニットA1およびA2の出口における流体選択弁の少なくとも1つのチャネルは、分離ユニットBの出口と接続し(接続線を介して)、分離ユニットA1と分離ユニットBとの間、および分離ユニットA2と分離ユニットBとの間の流体連通の制御(開始および停止)を可能にする。
【0018】
別の好ましい態様において、分離ユニットBは、分離ユニット出口において流体選択弁を有する。
別の好ましい態様において、分離ユニットA1およびA2は、いずれも、分離ユニット入口において少なくとも1つの流体選択弁を有する。
【0019】
好ましい態様において、装置はさらに、分離ユニットA1の流体出口と分離ユニットA2の流体入口との間の接続線、および分離ユニットA2の流体出口と分離ユニットA1の流体入口との間の接続線を含み(図2、3および4における接続線F−F)、それにより、分離ユニットA1の出口と分離ユニットA2の入り口との間の流体連通、ならびに、分離ユニットA2の出口と分離ユニットA1の入り口との間の流体連通を可能にする。非常に好ましい態様において、少なくとも1つの弁は、分離ユニットA1の出口と分離ユニットA2の入り口との間の接続線において位置し、少なくとも1つの弁は、分離ユニットA2の出口と分離ユニットA1の入り口との間の接続線において位置する。典型的には、弁は、分離ユニットA1およびA2の出口の近傍、および/または分離ユニットA1およびA2の入口の近傍に位置する。
【0020】
別の好ましい態様において、装置は、分離ユニットA1の流体出口と分離ユニットA2の流体入口との間に2本の接続線、ならびに、分離ユニットA2の流体出口と分離ユニットA1の流体入口との間に2本の接続線(図4における接続線F−FおよびW−F)を含み、それにより、分離ユニットA1の出口と分離ユニットA2の入り口との間の流体連通、ならびに、分離ユニットA2の出口と分離ユニットA1の入り口との間の流体連通を可能にする。非常に好ましい態様において、弁は、分離ユニットA1およびA2の入口および出口の近傍に位置し、接続線は、これらの弁から開始する。
【0021】
別の好ましい態様において、少なくとも2つのバッファーリザーバは、分離ユニットA1およびA2の入口と流体接続にある。1または2以上の弁および/またはさらなる流体入口が、バッファーリザーバと分離ユニットA1およびA2の入口との間の接続線中に位置していてもよい。
【0022】
別の好ましい態様において、装置はさらに、分離ユニットA1およびA2の流体入口の前、好ましくは、分離ユニットA2の流体出口と分離ユニットA1の流体入口との間の接続線の前、ならびに分離ユニットA1の流体出口と分離ユニットA2の流体入口との間の接続線の前に、1または2以上のさらなる流体入口を含む。
【0023】
別の好ましい態様において、装置は、カラムBの流体入口の前に、さらなる流体入口を含み、このことは、好ましくは、1または2以上のリザーバへの接続線が、カラムA1およびA2の出口とカラムBの入口との間の接続線において、カラムBの流体入口の前に位置することを意味する。
別の好ましい態様において、装置は、3つの分離ユニットのうちの1つの出口と少なくとも流体接続にあるウイルス不活化バッファーを有するさらなるリザーバを含む。
【0024】
本発明はさらに、試料中の1または2以上の不純物から標的分子を精製する連続的方法に関し、該方法は、以下のステップ:
− 試料が分離ユニットA1にロードされる間に(ここで、試料は、標的分子が分離ユニットA1に結合することを可能にする第1のpHおよび伝導率にある)、分離ユニットA2は、少なくとも部分的に、
分離ユニットA2上にロードされた標的分子が分離ユニットB上に溶離され、分離ユニットA2が再平衡化されるように、分離ユニットBと流体連通にあり、試料が分離ユニットA2上にロードされる間に(ここで、試料は、標的分子が分離ユニットA2に結合することを可能にする第1のpHおよび伝導率にある)、分離ユニットA1は、少なくとも部分的に、標的分子が分離ユニットB上に溶離され、分離ユニットA1が再平衡化されるように、分離ユニットBと流体連通にあるように、試料を分離ユニットA1およびA2上に交互にロードすること、
− 分離ユニットBの流体出口から標的分子を回収すること。
を含む。
【0025】
好ましい態様において、標的分子は抗体である.
好ましい態様において、試料は、分離ユニットA1または分離ユニットA2のいずれかに交互に、連続的にロードされる。
別の態様において、分離ユニットA1およびA2は、結合および溶離モードにおいて実行され、分離ユニットBは、フロースルーモードにおいて実行される。
【0026】
別の好ましい態様において、試料を分離ユニットA1上にロードする間に、分離ユニットA1の流体出口は、少なくとも部分的に、分離ユニットA2の流体入口と流体連通にあり、分離ユニットA1から浸出し始めた分離ユニットA2に結合すべき標的分子のキャプチャーを可能にする。ならびに、試料を分離ユニットA2上にロードする間に、分離ユニットA2の流体出口は、好ましくは少なくとも部分的に、分離ユニットA1の流体入口と流体連通にあり、分離ユニットA2から浸出し始めた分離ユニットA1に結合するべき標的分子のキャプチャーを可能にする。
【0027】
別の好ましい態様において、未結合の試料を分離ユニットA1から洗い流す間に、分離ユニットA2は、少なくとも部分的に、試料溶液を含有するリザーバおよび分離ユニットA1と流体連通にある。すなわち、分離ユニットA2に、ユニットA1から溶離する未結合の試料およびリザーバから出て来る試料溶液を、同時にロードする。ならびに、未結合の試料を分離ユニットA2から洗い流す間に、分離ユニットA1は、試料溶液を含有するリザーバおよび分離ユニットA2と流体連通にある。
【0028】
別の好ましい態様において、分離ユニットBが分離ユニットA1と流体連通にある間に、それはまた、バッファーリザーバとも流体連通にある。
ならびに、分離ユニットBが分離ユニットA2と流体連通にある間に、それはまた、バッファーリザーバとも流体連通にある。
【0029】
好ましい態様において、分離ユニットA1およびA2に標的分子をロードした後で、ウイルス不活化バッファーを、分離ユニットA1およびA2に、ポンプで通過させる。
別の態様において、分離ユニットBが結合/溶離モードで実行される場合、当該ユニットに標的分子をロードした後で、ウイルス不活化バッファーを、分離ユニットBにポンプで通過せる。
【0030】
好ましい態様において、本発明の方法に供される試料は、清澄化された試料である。すなわち、試料を分離ユニットA1またはA2上にロードする前に、以下の1または2以上に供することによりそれを清澄化する:遠心分離、濾過および/または沈下。
非常に好ましい態様において、遠心分離、濾過および/または沈下による清澄化の前に、試料を沈澱剤で処理する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、本発明による装置の好ましい態様の模式図を示す。それは、2つのキャプチャー分離ユニット(CIEX)、1つのポリッシング分離ユニット(AIEX)、リザーバ(CIP、VI、E.A、E.B、Dil.、Feed、CIP、E.A、E.B)、ならびに接続線、弁、ポンプおよび検出器を示す。
【0032】
図2図2、3および4は、本発明による装置の異なる態様を模式的に示す。図2は、必須の特徴に主に限定されるが、例えば、分離ユニットBの前のさらなる流体入口(入口C)を有する、セットアップを示す。
【0033】
図3図3は、分離ユニットA1の出口と分離ユニットA2の入り口との間の流体接続、ならびに、分離ユニットA2の出口と分離ユニットA2の入り口との間の流体接続(接続線F−F)をさらに含むセットアップを示す。
【0034】
図4図4は、分離ユニットA1の出口と分離ユニットA2の入り口との間の流体接続を可能にする2つの接続線、ならびに、分離ユニットA2の出口と分離ユニットA2の入り口との間の流体接続を可能にする2つの接続線(接続線F−F、接続線W−F)を有するセットアップを示す。
【0035】
図5図5は、3つのキャプチャー分離ユニットA1、A2およびA3、ならびに2つのポリッシング分離ユニットB1およびB2を有する、本発明による装置の態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
定義
本発明を詳細に記載する前に、本発明は特定の組成物またはプロセスステップに限定されず、それら自体は変更されてもよいことが理解されるべきである。本明細書および添付の請求の範囲において用いられる場合、文脈が明らかに異なることを示さない限りにおいて、単数形「a」「an」および「the」は、複数形の参照対象を含むことに留意しなければならない。したがって、例えば、「a ligand」への言及は、複数のリガンドを含み、「an antibody」への言及は、複数の抗体を含み、他も同様である。
【0037】
他に定義されない限りにおいて、本明細書において用いられる全ての技術および科学用語は、本発明が関連する分野の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。以下の用語を、本明細書において記載されるような本発明の目的のために定義する。
【0038】
本明細書において用いられる場合、用語「標的分子」は、試料中の1または2以上の不純物から単離、分離または精製されるべき、任意の分子、物質もしくは化合物、またはそれらの混合物を指す。好ましい態様において、標的分子はタンパク質、または1もしくは2以上のタンパク質の混合物である。非常に好ましい態様において、標的分子は抗体である。
【0039】
用語「抗体」は、抗原に特異的に結合する能力を有するタンパク質を指す。典型的には、抗体は、2つの重鎖および2つの軽鎖からなる基本的な4ポリペプチド鎖構造を有しており、前記鎖は、例えば鎖間ジスルフィド結合により安定化されている。抗体は、モノクローナルであってもポリクローナルであってもよく、単量体形態で存在しても多量体形態で存在してもよく、例えば、五量体形態で存在するIgM抗体、および/または単量体、二量体もしくは多量体形態で存在するIgA抗体であってもよい。抗体はまた、多選択性抗体(例えば二選択性抗体)、および、それらがリガンド特異的結合ドメインを保持するかまたはそれを含むように改変される限り、抗体フラグメントを含んでもよい。用語「フラグメント」とは、インタクトまたは完全な抗体または抗体鎖よりも少ないアミノ酸残基を含む抗体または抗体鎖の一部または部分を指す。フラグメントは、インタクトまたは完全な抗体または抗体鎖の化学的または酵素的処理を介して得ることができる。フラグメントはまた、組換え的手段により得ることができる。組換えにより生成される場合、フラグメントは、単独で、または融合タンパク質と称されるより大きなタンパク質の一部として、発現させることができる。例示的なフラグメントとして、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fcおよび/またはFvフラグメントが挙げられる。例示的な融合タンパク質として、Fc融合タンパク質が挙げられる。本発明により、融合タンパク質はまた、用語「抗体」により包含される。
【0040】
上で議論されるように、一部の態様において、抗体は、タンパク質含有Fc領域、例えば免疫グロブリンである。一部の態様において、Fc領域含有タンパク質は、別のポリペプチドまたはそのフラグメントに融合した免疫グロブリンのFc領域を含む、組換えタンパク質である。例示的なポリペプチドとして、例えば以下が挙げられる:レニン;ヒト成長ホルモンおよびウシ成長ホルモンを含む成長ホルモン;成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン;甲状腺刺激ホルモン;リポタンパク質;α−1−アンチトリプシン;インスリンα鎖;インスリンβ鎖;プロインスリン;卵胞刺激ホルモン;カルシトニン;黄体ホルモン;グルカゴン;VIIIC因子、IX因子、組織因子およびフォン・ウヴィルブラント因子などの凝固因子;タンパク質Cなどの抗凝固因子;心房性ナトリウム利尿因子;肺サーファクタント;ウロキナーゼまたはヒト尿もしくは組織型プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)などのプラスミノーゲン活性化因子;ボンベシン;トロンビン;造血系増殖因子;腫瘍壊死因子−αおよび−β;エンケファリナーゼ;ランテス(RANTES:regulated on activation normally T-cell expressed and secreted);ヒトマクロファージ炎症タンパク質(MIP−1−α);ヒト血清アルブミンなどの血清アルブミン;ミュラー管抑制因子;リラキシンα鎖;リラキシンβ鎖;プロリラキシン;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;β−ラクタマーゼなどの微生物タンパク質;DNase;IgE;細胞障害性Tリンパ球関連抗原(CTLA)(例えば、CTLA-4);インヒビン;アクチビン;血管内非増殖因子(VEGF);ホルモンまたは増殖因子のための受容体;プロテインAまたはD;リウマトイド因子;骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン−3、−4、−5、もしくは−6(NT-3、NT-4、NT-5またはNT-6)などの神経栄養因子、またはNGF−βなどの神経増殖因子;血小板由来増殖因子(PDGF);αFGFおよびβFGFなどの線維芽細胞増殖因子;上皮増殖因子(EGF);TGF−βl、TGF−β2、TGF−β3、TGF−β4またはTGF−β5を含むTGF−アルファおよびTGF−βなどのトランスフォーミング増殖因子(TGF);インスリン様増殖因子−Iおよび−II(IGF-IおよびIGF-II);des(l-3)-IGF-I(脳IGF-I)、インスリン様増殖因子阻害タンパク質(IGFBP);CD3、CD4、CD8、CD 19 CD20、CD34、およびCD40などのCDタンパク質;エリスロポエチン;骨誘導因子;イムノトキシン;骨形成タンパク質(BMP);インターフェロン−α、−β、および−γなどのインターフェロン;コロニー刺激因子(CSF)
、例えばM-CSF、GM-CSFおよびG-CSF;インターロイキン(IL)、例えば、IL-1〜IL-10;スーパーオキシドジムスターゼ;T細胞受容体;表面膜(surface membrane)タンパク質;崩壊促進因子;例えばAIDSエンベロープの一部などのウイルス抗原;輸送タンパク質;ホーミング受容体;アドレシン;調節タンパク質;CDl Ia、CDl Ib、CDl Ic、CD 18、ICAM、VLA-4およびVCAMなどのインテグリン;HER2、HER3またはHER4受容体などの腫瘍関連抗原;ならびに上で列記されるポリペプチドのいずれかのフラグメントおよび/またはバリアント。さらに、本発明による抗体は、上で列記されるポリペプチドのいずれかに特異的に結合する任意のタンパク質またはポリペプチド、そのフラグメントまたはバリアントである。
【0041】
本明細書において用いられる場合、および他に記述されない限り、用語「試料」は、標的分子を任意の組成物または混合物を指す。試料は、生物学的ソースまたは他のソースから誘導することができる。生物学的ソースとして、植物および動物細胞、組織または器官などの真核生物または原核生物のソースが挙げられる。試料はまた、標的分子と混合されて見出される希釈剤、バッファー、洗剤、および混入する種、デブリなどを含んでもよい。試料は、「部分的に精製され」ていても(すなわち、濾過ステップなどの1または2以上の精製ステップに供されていても)、または、標的分子を生成する宿主細胞または生物から直接的に得てもよい(例えば、試料は、収集された細胞培養液を含んでもよい)。
【0042】
用語「不純物」または「混入物」とは、本明細書において用いられる場合、任意の外来のまたは好ましくない分子を指し、本発明のプロセスを用いて1または2以上の外来のまたは好ましくない分子から分離されている標的分子を含む試料中に存在し得る、DNA、RNA、1または2以上の宿主細胞タンパク質、エンドトキシン、脂質、および1または2以上の添加物などの生物学的巨大分子を含む。さらに、かかる不純物は、本発明の方法に先立って行われてもよいステップにおいて用いられる任意の試薬を含んでもよい。
【0043】
用語「精製する」、「分離する」、または「単離する」は、本明細書において交換可能に用いられ、標的分子および1または2以上の不純物を含む組成物または試料からの標的分子の純度の程度を増大させることを指す。典型的には、標的分子の純度の程度は、組成物からの少なくとも1つの不純物を(完全にまたは部分的に)取り除くことにより、増大する。
【0044】
用語「フロースループロセス」、「フロースルーモード」、および「フロースルークロマトグラフィー」は、本明細書において交換可能に用いられ、試料中に1または2以上の混入物と共に含有される少なくとも1つの生成物(例えば、Fc領域を含有するタンパク質)は、クロマトグラフィー用樹脂または媒質を貫流する(flow through)ことを意図されるが、一方、少なくとも1つの潜在的な混入物または不純物は、当該クロマトグラフィー用樹脂または媒質に結合する、生成物分離技術を指す。「フロースルーモード」は、一般に、均一濃度の操作(すなわち、クロマトグラフィープロセスの間に移動相の組成物が変化しない)である。
【0045】
請求される方法による幾つかの態様において、および本明細書において記載される例において記載されるように、方法は、例えば、フロースルーモードにおいて行われるアニオンおよび/またはカチオン交換クロマトグラフィーステップを使用する。
【0046】
用語「結合および溶離モード」および「結合および溶離プロセス」は、本明細書において交換可能に用いられ、試料中に含有される少なくとも1つの生成物(標的分子)(例えば、Fc領域を含有するタンパク質)をクロマトグラフィー用樹脂または媒質に結合させて、それをその後に溶離させる、生成物分離技術を指す。
【0047】
本明細書において用いられる場合、用語「リザーバ」とは、本明細書において用いられる場合、任意の容器、タンクまたはバッグであって、本発明の方法を行う場合に用いられるべき任意のバッファー、または本発明の方法において用いられるであろう任意の他の液体を貯蔵するために用いることができるものを指す。さらに、「リザーバ」は、任意の容器、タンクまたはバッグであって、プロセスステップのアウトプット(例えば、カラムからの溶出液)を収集するために用いることができるものを指す。
【0048】
本明細書において用いられる場合、用語「インライン希釈(inline dilution)」とは、バッファー交換ステップまたはインラインでの溶液条件の調整を指し、これは、典型的には、多くの従来のプロセスにおける保持タンクの使用に対する代替である。典型的なインライン希釈において、2つの溶液を、移動の間に、パイプまたはミキシング容器、濾過デバイスまたは装置中での溶液の混合を用いて混合または滴定してもよい。例えば、伝導率を低下させるために、溶液を別のより低い伝導率の溶液と混合することにより、溶液を希釈する必要がある場合もある。バッファー交換は、ダイアフィルトレーション、限外濾過などの濾過デバイスの補助により達成することができる。請求される発明による幾つかの態様において、方法は、タンパク質を生成するための改善されたプロセスを提供し、これにより、バッファー交換ステップの必要性が取り除かれる。
【0049】
用語「クロマトグラフィー」とは、混合物中に存在する他の分子から目的の分析物(例えば標的分子)を分離する任意の種類の技術を指す。通常、標的分子は、移動相の影響下において、または結合および溶離プロセスにおいて、混合物の個々の分子が固定媒体中を通って移動する速度の差異の結果として、他の分子から分離される。
【0050】
用語「マトリックス」または「クロマトグラフィーマトリックス」は、本明細書において相互交換可能に用いられ、任意の種類の吸着剤、樹脂または固相であって、分離プロセスにおいて、混合物中に存在する他の分子から標的分子(例えば、免疫グロブリンなどのFc領域を含有するタンパク質)を分離するものを指す。通常、標的分子は、移動相の影響下において、または結合および溶離プロセスにおいて、混合物の個々の分子がマトリックス中を通って移動する速度の差異の結果として、他の分子から分離される。非限定的な例として、カラムまたはカートリッジ中に入れることができる、粒子性、モノリス性または繊維性の樹脂ならびに膜が挙げられる。マトリックスを形成するための材料の例として、多糖(アガロースおよびセルロースなど);ならびにシリカ(例えば孔が制御されたガラス)、ポリ(スチレンジビニル)ベンゼン、ポリアクリルアミド、セラミック粒子および上のいずれかの誘導体などの他の機械的に安定なマトリックスが挙げられる。本発明の方法のために好適な典型的なマトリックス型の例は、カチオン交換樹脂、アフィニティー樹脂、アニオン交換樹脂またはミックスモード樹脂である。
【0051】
「リガンド」とは、クロマトグラフィーマトリックスに付着して、当該マトリックスの結合特性を決定する官能基である。「リガンド」の例として、限定されないが、イオン交換基、疎水性相互作用基、親水性相互作用基、thiophilic相互作用基、金属アフィニティー基、アフィニティー基、バイオアフィニティー基、およびミックスモード基(前述のものの組み合わせ)が挙げられる。本明細書において用いることができる幾つかの好ましいリガンドとして、限定されないが、スルホプロピル、スルホン酸などの強力なカチオン交換基;トリメチル塩化アンモニウムなどの強力なアニオン交換基;カルボン酸などの弱いカチオン交換基;N5NジエチルアミノまたはDEAEなどの弱いアニオン交換基;フェニル、ブチル、プロピル、ヘキシルなどの疎水性相互作用基;ならびに、プロテインA、プロテインGおよびプロテインLなどのアフィニティー基が挙げられる。
【0052】
用語「アフィニティークロマトグラフィー」とは、標的タンパク質(例えば、目的のFc領域を含有するタンパク質または抗体)が、当該標的タンパク質に対して特異的であるリガンドに特異的に結合するタンパク質分離技術を指す。かかるリガンドは、一般に、生物特異的リガンドとして言及される。一部の態様において、生物特異的リガンド(例えば、プロテインAまたはその機能的バリアント)は、クロマトグラフィーマトリックス材料に共有結合し、溶液が当該クロマトグラフィーマトリックスに接触した際に、当該液中の標的タンパク質にアクセス可能である。標的タンパク質は、一般に、クロマトグラフィーのステップの間、生物特異的リガンドに対するその特異的結合アフィニティーを保持するが、一方、混合物中の他の溶質および/またはタンパク質は、当該リガンドに対して、感知できるほどには、または特異的には、結合しない。固定されたリガンドに対する標的タンパク質の結合により、標的タンパク質を固相材料上に固定されたリガンドに特異的に結合させたままで、混入しているタンパク質またはタンパク質不純物をクロマトグラフィーマトリックスに通過させることが可能になる。特異的に結合した標的タンパク質を、次いで、活性形態において、固定されたリガンドから、好適な条件下(例えば、低pH、高pH、高塩、競合するリガンドなど)において取り除き、前にカラムを通過させられた混入タンパク質またはタンパク質不純物フリーで、溶離バッファーによりクロマトグラフィーカラムを通過させる。そのそれぞれの特異的結合タンパク質、例えば抗体を精製するために、任意の成分をリガンドとして用いてよい。しかし、本発明による多様な方法において、プロテインAを、Fc領域を含有する標的タンパク質のためのリガンドとして用いる。生物特異的リガンド(例えばプロテインA)からの標的タンパク質(例えば、Fc領域を含有するタンパク質)の溶離のための条件は、当業者により、容易に決定され得る。一部の態様において、プロテインGもしくはプロテインLまたはそれらの機能的バリアントを、生物特異的リガンドとして用いてもよい。一部の態様において、Fc領域を含有するタンパク質への結合、生物特異的リガンド/標的タンパク質コンジュゲートを洗浄または再平衡化するために、プロテインAなどの生物特異的リガンドを、5〜9のpH範囲において用い、その後、約4またはそれより低いpHを有する、少なくとも1つの塩を含有するバッファーにより溶離する。
【0053】
用語「イオン交換」および「イオン交換クロマトグラフィー」とは、目的の溶質または分析物が、混合物中の溶質不純物または混入物より高くまたは低く、荷電された化合物と非特異的に相互作用するように、混合物中の目的の溶質または分析物(例えば、Fc領域を含有する標的タンパク質)が、固相イオン交換材料に結合(共有結合によるものなど)した荷電された化合物と相互作用する、クロマトグラフィーのプロセスを指す。混合物中に混入している溶質は、イオン交換材料のカラムから、目的の溶質より速くまたは遅く溶離するか、目的の溶質に相対的に樹脂に結合するかまたはこれから取り除かれる。「イオン交換クロマトグラフィー」は特に、カチオン交換、アニオン交換およびミックスモードイオン交換クロマトグラフィーを含む。例えば、カチオン交換クロマトグラフィーを、標的分子(例えば、Fc領域を含有する標的タンパク質)に結合させ、その後溶離させても(カチオン交換は、クロマトグラフィーまたは「CIEX」に結合して溶離する)、あるいは、標的分子がカラムを貫流する間に、不純物に優先的に結合してもよい(カチオン交換フロースルークロマトグラフィーFT-CIEX)。アニオン交換クロマトグラフィーは、標的分子(例えば、Fc領域を含有する標的タンパク質)に結合させて、その後溶離しても、標的分子がカラムを貫流する間に、不純物に優先的に結合してもよい。幾つかの態様において、および本明細書において記載される例において示されるように、アニオン交換クロマトグラフィーステップは、フロースルーモードにおいて行われる。
【0054】
句「イオン交換マトリックス」とは、負に荷電(すなわちカチオン交換樹脂)または正に荷電(すなわちアニオン交換樹脂)されたクロマトグラフィーマトリックスを指す。電荷は、例えば共有結合により、1または2以上の荷電されたリガンドをマトリックスに付着させることにより、提供することができる。代替的に、またはさらに、電荷はマトリックスの固有の特性であってもよい(例えば、全体的な負の電荷を有するシリカについての場合のように)。
【0055】
「カチオン交換マトリックス」とは、負に荷電したクロマトグラフィーマトリックスを指し、これはしたがって、固相の上または中を通過する水溶液中のカチオンとの交換のための遊離のカチオンを有する。固相に付着してカチオン交換樹脂を形成する負に荷電されたリガンドは、例えばカルボン酸またはスルホン酸であってよい。市販のカチオン交換樹脂として、カルボキシメチルセルロース、アガロース上に固定されたスルホプロピル(SP)(例えば、SP-SEPHAROSE FAST FLOW(商標)またはSP-SEPHAROSE HIGH PERFORMANCE(商標)、Pharmacia製)およびアガロース上に固定されたスルホニル(例えばS-SEPHAROSE FAST FLOW(商標)、Pharmacia製)が挙げられる。好ましいものは、Fractogel(登録商標)EMD SO3、Fractogel(登録商標)EMD SE Highcap、Eshmuno(登録商標)SおよびFractogel(登録商標)EMD COO(Merck)である。
【0056】
「ミックスモード」マトリックスは、標的分子および/または不純物と相互作用することができる少なくとも2つの型の官能基を担持する、クロマトグラフィーマトリックスである。かかる官能基は、イオン交換基、疎水性相互作用基、親水性相互作用基、thiophilic相互作用基、金属アフィニティー基、アフィニティー基およびバイオアフィニティー基であってよい。本発明において用いられるべき好ましいミックスモードマトリックスは、少なくともアニオン交換およびカチオン交換基またはミックスモードイオン交換マトリックスを担持するマトリックスである。「少なくとも2つの型の官能基を担持する」とは、一態様において、少なくとも2つの型の異なる官能基により共有的に修飾された1つの型のマトリックスが提供されることを意味する。また、ミックスモードマトリックスは、各々が少なくとも1つの官能基を有する2または3以上の異なるマトリックスの組み合わせから作ることも可能であり、それにより、当該組み合わせは、1つの分離ユニットにおけるマトリックスを組み合わせることにより現実化される。この場合、ミックスモードマトリックスは、各々のマトリックスが少なくとも1つの官能基を担持する2つの異なるマトリックスの混合物であっても、例えば、両方が分離ユニット中で容易に混合することができる吸着剤粒子の形態において存在する、カチオン交換マトリックスとアニオン交換マトリックスとの混合物であってもよい。また、第1のマトリックスで充填された1つのカラムと第2のマトリックスで充填された別のカラムとを、試料液が両方のマトリックスを貫流するように、1つの分離ユニットを組み合わせることも可能である。
【0057】
「ミックスモードイオン交換マトリックス」とは、カチオン性および/またはアニオン性ならびに疎水性の部分で共有的に修飾されているクロマトグラフィーマトリックスを指す。市販のミックスモードイオン交換樹脂は、シリカゲル固相支持マトリックスに付着した弱いカチオン交換基、低濃度のアニオン交換基、および疎水性リガンドを含有する、BAKERBOND ABX(商標)(J. T. Baker, Phillipsburg, N.J.)である。ミックスモードカチオン交換マトリックスは、典型的には、カチオン交換基および疎水性部分を有する。好適なミックスモードカチオン交換マトリックスは、Capto(登録商標)MMC(GE Healthcare)およびEshmuno(登録商標)HCX(Merck)である。
ミックスモードアニオン交換マトリックスは、典型的には、アニオン交換基および疎水性部分を有する。好適なミックスモードアニオン交換マトリックスは、Capto(登録商標)Adhere(GE Healthcare)である。
【0058】
用語「アニオン交換マトリックス」は、本明細書において、正に荷電した、例えばそれに付着した四級アミノ基などの1または2以上の正に荷電されたリガンドを有する、クロマトグラフィーマトリックスを指す。市販のアニオン交換樹脂として、DEAEセルロース、QAE SEPHADEX(商標)およびFAST Q SEPHAROSE(商標)(Pharmacia)が挙げられる。好ましい材料は、Fractogel(登録商標)EMD TMAE、Fractogel(登録商標)EMD TMAE highcap、Eshmuno(登録商標)QおよびFractogel(登録商標)EMD DEAEである。
【0059】
用語「プロテインA」および「Prot A」は、本明細書において相互交換可能に用いられ、そのネイティブのソースから回収されたプロテインA、合成で(例えば、ペプチド合成により、または組換え技術により)生成されたプロテインA、および、Fc領域などのCH/CH領域を有するタンパク質に結合する能力を保持するそれらのバリアントを包含する。プロテインAは、Repligen、PharmaciaおよびFermatechから市販で購入することができる。プロテインAは、一般に、クロマトグラフィーマトリックス上に固定される。用語「ProA」はまた、プロテインAが共有結合するクロマトグラフィー用固体支持マトリックスを含有する、アフィニティークロマトグラフィーマトリックスまたはカラムを指す。
【0060】
本発明による方法において用いられるプロテインAの機能的誘導体またはバリアントは、マウスIgG2aまたはヒトIgGlのFc領域について、少なくともK=10”8M、および好ましくはK=10”9Mの結合定数により特徴づけることができる。結合定数についてのかかる値を遵守する相互作用は、本文脈において「高アフィニティー結合」と称される。好ましくは、プロテインAのかかる機能的誘導体またはバリアントは、天然のドメインE、D、A、B、C、またはその操作された変異体であってIgG結合機能を保持しているものから選択される、野生型プロテインAの機能的IgG結合ドメインの少なくとも一部を含む。
また、一点付着(single-point attachment)を可能にするように操作されたプロテインAの誘導体またはバリアントもまた、請求される方法におけるアフィニティークロマトグラフィーステップにおいて用いることができる。
【0061】
一点付着は、一般に、タンパク質部分が、単一の共有結合を介してプロテインAアフィニティークロマトグラフィーのクロマトグラフィー支持材料に付着することを意味する。かかる一点付着はまた、NまたはC末端の近傍、またはタンパク質折り畳みの外周のどこかにおける、暴露されたアミノ酸位置に、すなわちループにおいて位置する、好適な反応性残基の使用によっても起こる。好適な反応性基は、例えばスルフヒドリルまたはアミノ官能基である。
【0062】
用語「アフィニティークロマトグラフィーマトリックス」は、本明細書において、アフィニティークロマトグラフィーのために好適なリガンドを担持するクロマトグラフィーマトリックスを指すように用いられる。典型的には、リガンド(例えば、プロテインAまたはその機能的バリアント)は、クロマトグラフィーマトリックス材料に共有結合しており、溶液がクロマトグラフィーマトリックスと接触した際に、溶液中の標的分子に対してアクセス可能である。アフィニティークロマトグラフィーマトリックスの一例は、プロテインAマトリックスである。
【0063】
用語「結合する」とは、本明細書において、標的分子(例えば、Fc領域を含有するタンパク質)とマトリックスに付着したリガンド(例えば、固相マトリックスまたは樹脂に結合したプロテインA)との間の相互作用を記載するために用いられる場合、例えば、結合部位におけるタンパク質およびリガンドの構造の空間的相補性と、結合部位における静電力、水素結合、疎水力、および/またはファンデルワールス力との組み合わせ効果を通しての、一般的には可逆的なリガンドへの標的分子の結合を指す。一般に、空間的相補性が高いほど、および結合部位における他の力が強いほど、タンパク質のそのそれぞれのリガンドに対する結合特異性は高くなるであろう。特異的結合の非限定的な例として、抗体−抗原結合、酵素−基質結合、酵素−コファクター結合、金属イオンキレート、DNA結合タンパク質−DNA結合、調節タンパク質−タンパク質相互作用などが挙げられる。理想的には、アフィニティークロマトグラフィーにおいては、特異的結合は、遊離溶液(free solution)中で、約10”4〜10”8Mのアフィニティーにより起こる。
【0064】
用語「洗剤」とは、ポリソルベート(例えばポリソルベート20または80);ポリクサマー(例えばポリクサマー188);Triton;ドデシル硫酸ナトリウム(SDS);ラウリル硫酸ナトリウム;オクチルグリコシドナトリウム;ラウリル−、ミリスチル−、リノレイル−、またはステアリル−スルホベタイン;ラウリル−、ミリスチル−、リノレイル−、またはステアリル−サルコシン;リノレイル−、ミリスチル−、またはセチル−ベタイン;ラウロアミドプロピル−、コカミドプロピル−、リノールアミドプロピル−、ミリスタミドプロピル−、パルミドプロピル−、またはイソステアラミドプロピル−ベタイン(例えばラウロアミドプロピル);ミリスタミドプロピル−、パルミドプロピル−、またはイソステアラミドプロピル−ジメチルアミン;メチルココイルナトリウム−、またはメチルオレイルタウリン酸二ナトリウム;およびMONAQU AT(商標)シリーズ(Mona Industries, Inc., Paterson、N. J.)などの、イオン性および非イオン性界面活性剤を指す。有用な洗剤は、ポリソルベート20(TWEEN 20(登録商標))またはポリソルベート80(TWEEN 80(登録商標))などのポリソルベート、またはオクタン酸などの多様な酸である。
【0065】
「バッファー」は、その酸−塩基コンジュゲート成分の作用によりpHの変化を耐容する溶液である。例えばバッファーの所望されるpHに依存して使用することができる多様なバッファーは、Buffers. A Guide for the Preparation and Use of Buffers in Biological Systems、Gueffroy, D.編、Calbiochem Corporation(1975年)において記載される。バッファーの非限定的な例として、MES、MOPS、MOPSO、Tris、HEPES、リン酸、酢酸、クエン酸、コハク酸、およびアンモニウムバッファー、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
本発明によれば、用語「バッファー」または「溶媒」は、分離ユニットをロード、洗浄および再平衡化するために用いられる任意の液体組成物について用いられる。
【0066】
分離カラムを「ロードする」場合、バッファーは、標的分子を含む試料または組成物(例えば、Fc領域を含有する標的タンパク質)および1または2以上の不純物を、クロマトグラフィーカラム(例えば、アフィニティーカラムまたはイオン交換カラム)上にロードするために用いられる。バッファーは、標的分子はクロマトグラフィーマトリックスに結合するが、一方、理想的には全ての不純物は当該カラムに結合せずそれを貫流するような、伝導率および/またはpHを有する。
【0067】
標的分子を「貫流させる」ために分離カラムを「ロードする」場合、バッファーは、標的分子を含む試料または組成物(例えば、Fc領域を含有する標的タンパク質)および1または2以上の不純物を、クロマトグラフィーカラム(例えば、アフィニティーカラムまたはイオン交換カラム)上にロードするために用いられる。バッファーは、標的分子はクロマトグラフィーマトリックスに結合せずカラムを貫流するが、一方、理想的には全ての不純物は当該カラムに結合するような伝導率および/またはpHを有する。
【0068】
用語「再平衡化する」とは、標的分子をロードする前にクロマトグラフィーマトリックスを再平衡化するためのバッファーの使用を指す。典型的には、ローディングバッファーは、再平衡化のために用いられる。
【0069】
クロマトグラフィーマトリックスを「洗浄する」により、適切なバッファーをマトリックスの中または上を通過させることが意味される。典型的には、洗浄は、標的分子を溶離させる前に、マトリックスから弱く結合した混入物を取り除くために用いられる。
【0070】
この場合において、典型的には、洗浄バッファーおよびローディングバッファーは同じである。ウイルス不活化バッファーが用いられる場合、それは、標的分子を溶離させる前に、特定の存在するウイルスを不活化するために用いられる。この場合において、典型的には、ウイルス不活化バッファーは、ローディングバッファーとは異なる。なぜならば、それは、洗剤を含有するか、または異なる特性(pH/伝導率/塩およびそれらの量)を有する場合があるからである。
【0071】
クロマトグラフィーマトリックスから分子(例えば、目的のポリペプチドまたは不純物)を「溶離させる」とは、クロマトグラフィー樹脂上のリガンド部位について目的の分子と競合するバッファーなどの溶液の条件を変更することにより、それから分子を取り除くことを意味する。非限定的な例は、バッファーがイオン交換材料上の荷電された部位について分子と競合するように、イオン交換材料を取り囲むバッファーのイオン強度を変更することにより、イオン交換樹脂から分子を溶離させることである。
【0072】
用語「ウイルス不活化」、または「VI」は、本明細書において交換可能に用いられ、物理化学的手段を通してウイルスが細胞に感染することをできなくし得るか、またはウイルスの機能を阻害し得る、任意のプロセスを指す。典型的なウイルス不活化方法として、限定されないが、低pH処置(例えば、pH4.5より低い、4.0より低い、または3.8より低い)、熱処置、界面活性剤および照射による処置(例えば、紫外光暴露)が挙げられる。一部の態様において、ウイルス不活化方法は、レトロウイルスを対象とする。
【0073】
ある態様において、低pH条件をウイルス不活化のために用いる。なぜならば、かかる条件は典型的にウイルスの脂質エンベロープを破壊し、それによりウイルスを不活化するからである。
ある態様において、特定の界面活性剤を用いる。なぜならば、それらは典型的にウイルスを破壊し、それによりウイルスを不活化するからである(Tween、Triton X-100、SDSなど)。
【0074】
本発明によれば、「分離ユニット」は、クロマトグラフィーによる分離ステップを行うことができる設備である。分離ユニットは、典型的には、吸着剤マトリックスで充填されたクロマトグラフィーカラムまたはクロマトグラフィーカートリッジである。クロマトグラフィーカラムは、当業者に公知である。それらは、典型的には、液体入口および液体出口のための末端接続器具(end-fitting)を備えたカラムチューブを含む。カラムチューブは、好適なクロマトグラフィーマトリックスで充填される。
【0075】
本発明によれば、「連続的(continuous)」プロセスとは、バッチモードにおいては実行されないプロセスである。本発明による連続的プロセスにおいて、新たな試料は、1度のみならず、逐次的に、分離ユニットA1または分離ユニットA2のいずれかに対して交互に、短い間隔を開けて、または好ましくはその間に間隔を開けずに、分離ユニットA1またはA2上にロードされる。
本発明によれば、「逐次的(sequential)」とは、2回または2回より多くである。
【0076】
本発明によれば、「接続線」は、それらを通して液体を流すために好適である任意のチューブ、パイプまたはチャネルである。接続線は、1または2以上の弁により断続されてもよい。接続線は、直線状であっても分枝状であってもよい。
本発明によれば、装置の2つの部分が「流体接続にある」場合、それは、装置の2つの部分の間に、液体が一方の部分から他方へ流れることができるような接続線が存在することを意味する。この接続線は、直接的であっても、1または2以上の弁により、分離ユニットまたは装置の他の部分により、断続されてもよい。用語「流体接続にある」とは、永続的である流体接続を包含するが、それはまた、永続的でなく、接続線を通る液体のフローが、必要な場所であればどこでも開始して停止することができるように、例えば1または2以上の弁により断続される接続線から作られるものも包含する。典型的には、流体接続にある装置のほとんどの部分は、永続的でない流体接続を有する。例えば、バッファーリザーバが分離ユニットと流体接続にある場合、これは、カラムへのバッファーのフローは、必要である場合に実現することができるが、典型的には、必要な時に液体のフローを停止させ、必要な時に開始させることができるように、リザーバと分離ユニットとの間の接続線において位置する少なくとも1つの弁が存在することを意味する。
液体のフローは、実際には、液体接続にある装置の2つの部分の間で実現され、それにより、液体は、2つの部分の間の接続線を貫流し、これらの2つの部分は、「流体連通(fluid communication)」にある。その結果、「流体連通」は、本発明によれば、「流体接続(fluid connection)」が、液体を接続線を貫流することにより実際に用いられる状態を説明する。システムの2つの部分が部分的に流体連通にある場合、それは、流体連通が永続的でなく、液体は、一方の部分から他方へ永続的には流動せず、時間の一部のみ流動することを意味する。典型的には、システムの2つの部分の間の液体のフローは、液体のフローを指揮する弁の補助により開始および/または停止される。
【0077】
「流体入口」または「入口」は、液体の導入を可能にする任意の手段である。分離ユニット入口は、例えば、接続線を接続することができる、クロマトグラフィーカラムの末端接続器具である。入口はまた、接続線における液体の導入を提供する弁であってもよい。入口はまた、接続線の末端であってもよい。
【0078】
「出口」または「流体出口」は、液体の除去を可能にする任意の手段である。分離ユニット出口は、例えば、接続線を接続することができる、クロマトグラフィーカラムの末端接続器具である。出口はまた、接続線における液体の導入を提供する弁であってもよい。出口はまた、接続線の末端であってもよい。
【0079】
「流体選択弁」は、任意の接続された液体とシステムの部分との間で選択的に流体連通を可能にする任意の手段である。流体選択弁は、例えば、接続線を接続することおよび選択的に選択することができる、分離ユニット入口より前にある弁であって、選択された線と分離ユニット入口との間の流体連通を可能にすることができるものである。流体選択弁は、例えば、接続線を接続することおよび選択的に選択することができる、分離ユニット出口の後にある弁であって、選択された線と分離ユニット出口との間の流体連通を可能にすることができるものである。流体選択弁はまた、接続線における液体の導入を提供する弁であってもよい。流体選択弁はまた、接続線の末端であってもよい。
【0080】
「溶媒選択弁」は、任意の接続された溶媒リザーバとシステムの部分との間で選択的に流体連通を可能にする、流体選択弁である。溶媒選択弁は、例えば、溶媒リザーバから接続線を接続することができ、選択的に選択することができる、溶媒ポンプより前にある弁であって、選択された溶媒とポンプとの間の流体連通を可能にするものである。
「流体選択弁」および「溶媒選択弁」は、同一の型のものであっても異なる型のものであってもよい。
【0081】
溶媒送達システムは、液体の送達を可能にするシステムである。典型的には、装置の溶媒送達システムは、少なくとも1つのリザーバ、および、液体をリザーバからリザーバと液体接続にある装置の別の部分へと輸送する少なくとも1つのポンプを含む。当業者には公知であるが、液体がリザーバから分離ユニットへと移動される時は毎回、これは、ポンプの補助により行われる。ポンプはまた、2または3以上のリザーバから来る2または3以上の液体の流れを混合するために用いることができる。
【0082】
発明の詳細な説明
本発明は、3つの分離カラムのみを必要とする連続クロマトグラフィープロセスのために好適な方法および装置を、初めて提供する。プロセスは、2つのクロマトグラフィーのステップを含む2ステップの手順である。装置が3つの分離ユニットを有する場合、第1のクロマトグラフィーのステップ(キャプチャー)は、2つの分離ユニット上で交互に逐次的に行われ、第2のクロマトグラフィーのステップ(ポリッシング)もまた、第3の分離ユニット上で交互に逐次的に行われる。同じクロマトグラフィーマトリックスを有する最初の二つの分離ユニットに、試料を交互にロードする。すなわち、ユニットの一方に試料をロードする間に、同時に、他方のユニットを、平衡化、洗浄、標的分子の溶離などの他のプロセスステップに供してもよい。最初の二つのユニットのマトリックスとは異なるクロマトグラフィーマトリックスを有する第3の分離ユニットに、最初の二つのユニットから溶離する標的分子をフィードする。最初の二つのユニットは逐次的にロードされるので、それらはまた、逐次的に溶離される。すなわち、一方のユニットをロードする間に、他方の、既にロードされているユニットを、随意に洗浄し、次いでこのユニットから、好ましくは第3のユニットへの直接的なフィードを可能にする溶離バッファーで、標的分子を溶離する。
第3のユニット上で第2のクロマトグラフィーによる分離を行った後で、精製された標的分子を次いで、第3のユニットの流体出口から回収することができる。
【0083】
本発明による方法および装置は、第1の次元の分離ユニットの高いローディングを可能にし、これは、高い動的結合能力、および、滞留時間を短縮するより速いスループットをもたらす。
【0084】
さらに、本発明による方法および装置は、典型的にはさらなる条件付けなしで、第1の分離次元(キャプチャー)を第2の分離次元(ポリッシング)に接続することを可能にする。なぜならば、キャプチャーされた生成物は、好ましくは、第2の(ポリッシング)次元に適合する条件において、第1の次元から溶離されるからである。
【0085】
本発明による方法は、異なるクロマトグラフィーモード、例えば、AIEXポリッシングと組み合わせたCIEXキャプチャー、CIEXポリッシングと組み合わせたProt Aキャプチャー、およびCIEXポリッシングと組み合わせたAIEXキャプチャーに、概念および技術的解決を変更することなく、適用することができる。したがって、それは、経済的であるのみならず、広範な標的分子(例えば2−14からのpIを有するバイオ医薬品分子)の精製のために好適な強力な精製技術でもある。
【0086】
好ましい態様において、分離ユニットA1およびA2はアフィニティークロマトグラフィーマトリックスを有し、分離ユニットBはカチオン交換クロマトグラフィーマトリックスを有する。
別の好ましい態様において、分離ユニットA1およびA2はアフィニティークロマトグラフィーマトリックスを有し、分離ユニットBはアニオン交換クロマトグラフィーマトリックスを有する。
別の好ましい態様において、分離ユニットA1およびA2はカチオン交換クロマトグラフィーマトリックスを有し、分離ユニットBはアニオン交換クロマトグラフィーマトリックスを有する。
【0087】
別の態様において、分離ユニットA1およびA2はアニオン交換クロマトグラフィーマトリックスを有し、分離ユニットBはカチオン交換クロマトグラフィーマトリックスを有する。
別の態様において、分離ユニットA1およびA2はアフィニティークロマトグラフィーマトリックスを有し、分離ユニットBはミックスモードクロマトグラフィーマトリックスを有する。
【0088】
別の態様において、分離ユニットA1およびA2はアフィニティークロマトグラフィーマトリックスを有し、分離ユニットBは、ミックスモードカチオンおよびアニオン交換クロマトグラフィーマトリックス、またはミックスモードアニオンおよびカチオン交換クロマトグラフィーマトリックス、またはミックスモードカチオンおよびミックスモードアニオン交換クロマトグラフィーマトリックスを有する。
別の態様において、分離ユニットA1およびA2はカチオン交換マトリックスを有し、分離ユニットBはミックスモードクロマトグラフィーマトリックスを有する。
【0089】
本発明による装置の模式図を、図2において示す。図2において、分離ユニットA1およびA2の出口と分離ユニットBの出口との間の接続線は、接続線C−Pと名づけられる。
本発明による装置は、3つの分離ユニット、同じクロマトグラフィーマトリックスを有する2つのキャプチャー分離ユニットA1およびA2、ならびに1つのポリッシング分離ユニットBを含む。分離ユニットの他に、それは、典型的には、少なくとも2つのポンプ、1または2以上の弁、液体接続およびリザーバを含む。それはさらに、フィルターユニット、検出ユニット、およびクロマトグラフィーによる分離手順において必要とされる化合物または好適であり得る他の機器を含んでもよい。
本発明による装置は、従来のクロマトグラフィーシステムであっても単回使用システムであってもよい。それは、カラム、弁、リザーバ、およびクロマトグラフィーシステムにおいて典型的に使用される他の設備を含む。分離ユニットは、例えば、それぞれのクロマトグラフィーマトリックスで充填されたステンレススチールカラム、プラスチックカラムまたはガラスカラムであってもよく、溶媒入口および出口のために好適な末端接続器具を有していてもよい。
【0090】
幾つかの態様において、本発明による装置は、3つより多くの分離ユニットを含み、例えば、同じクロマトグラフィーマトリックスを有する3または4つのキャプチャー分離ユニット、および、同じクロマトグラフィーマトリックスであるがキャプチャー分離ユニットのマトリックスとは異なるクロマトグラフィーマトリックスを有する2または3つのポリッシング分離ユニットを含んでもよい。例示的な態様において、それは、以下:
− 2つのポリッシング分離ユニットB1およびB2と組み合わせた、2つのキャプチャー分離ユニットA1およびA2、
− 1つのポリッシング分離ユニットBと組み合わせた、3つのキャプチャー分離ユニットA1、A2およびA3、
− 2つのポリッシング分離ユニットB1およびB2と組み合わせた、3つのキャプチャー分離ユニットA1、A2およびA3、
を含んでもよい。
【0091】
好ましい態様において、本発明による装置は、5つの分離ユニット、同じクロマトグラフィーマトリックスを有する3つのキャプチャー分離ユニットA1、A2およびA3、ならびに、2つのポリッシング分離ユニットB1およびB2を有する。
【0092】
分離ユニットA1の流体出口または分離ユニットA2の流体出口または分離ユニットA3の流体出口のいずれかが、分離ユニットBの出口1と、または分離ユニットBの出口2と、流体連通し得ることを確実にするために、少なくとも1つの弁が、分離ユニットA1、A2およびA3の流体出口と、分離ユニットB1およびB2の流体入口との間に位置する。好ましくは、各々の分離ユニットA1およびA2およびA3の出口の後に位置する弁が存在し、これが、分離ユニットBの出口1と、または分離ユニットBの出口2との流体連通を可能にする。装置はまた、少なくとも2つのバッファーリザーバおよび少なくとも2つのポンプを含み、これはまた溶媒送達システムとも称され、例えばローディング、洗浄および標的分子の溶離のために必要とされるバッファーの貯蔵および供給を提供する。典型的には分離ユニットA1、A2およびA3は、少なくとも1つのバッファーリザーバに接続された少なくとも1つの流体入口を有し、分離ユニットB1およびB2は、少なくとも1つのバッファーリザーバに接続された少なくとも1つの流体入口を有する。典型的には、分離ユニットB1およびB2は、少なくとも1つの流体出口を有する。
【0093】
非常に好ましい態様において、本発明による装置は、3つの分離ユニット、同じクロマトグラフィーマトリックスを有する2つのキャプチャー分離ユニットA1およびA2、ならびに1つのポリッシング分離ユニットBを有する。
【0094】
以下において、装置および方法の説明を、同じクロマトグラフィーマトリックスを有する2つのキャプチャー分離ユニットA1およびA2、ならびに1つのポリッシング分離ユニットBを有する装置に焦点を当てる。これは、限定的であることを意味せず、説明をより包括的にするためのものである。当業者は、説明をまた、上記のような3つより多くのユニットを有するシステムにトランスファーすることができる。
【0095】
分離ユニットA1の流体出口または分離ユニットA2の流体出口のいずれかが分離ユニットBの出口と流体連通することを確実にするために、少なくとも1つの弁が、分離ユニットA1およびA2の流体出口と、分離ユニットBの流体入口との間に位置する。
【0096】
装置はまた、少なくとも2つのバッファーリザーバおよび少なくとも2つのポンプを含み、これはまた、溶媒送達システムとも称され、例えばローディング、洗浄および標的分子の溶離のために必要とされるバッファーの貯蔵および供給を提供する。典型的には、各々のクロマトグラフィーのステップのために、クロマトグラフィーのステップ、1つのローディングバッファーおよび1つの溶離バッファーが必要とされる。
【0097】
本発明の一態様において、装置は、結合および溶離バッファーのための2つのバッファーリザーバ、バッファーAのための1つのリザーバ、およびバッファーBのための1つのリザーバのみを含む。バッファーAは、ローディングバッファーであり、したがって、標的分子が分離ユニットA1/A2上にキャプチャーされる条件を提供する第1の次元のための結合バッファーである。さらに、バッファーAは、標的分子が分離ユニットBから溶離される条件を提供する第2の次元のための溶離バッファーである。バッファーBは、第1の次元(分離ユニットA1/A2)のための溶離バッファーであるが、第2の次元(分離ユニットB)のための結合バッファーである。
【0098】
他の態様において、装置は、他のバッファー、定置洗浄、ウイルス不活化などのためのさらなるリザーバを含んでもよい。
典型的には、リザーバと分離ユニットとは、接続線、弁およびポンプを介して接続される。ポンプの前の溶媒の選択のための好ましい溶媒選択弁は、6つの溶媒入口、および直接的にポンプに接続され得る1つの溶媒出口を有する弁である。蠕動ポンプ、均一濃度ポンプ、勾配ポンプ、高圧ポンプなど、低圧ポンプなどを含む、溶媒のフローを保証する任意のポンプを用いることができる。システム部分の入口の前における液体の導入の選択のための好ましい流体選択弁は、6つの流体入口、およびシステム部分の入口に接続することができる1つの出口を有する弁である。システム部分の出口の後ろにおける液体の除去の選択ための好ましい流体選択弁は、6つの流体出口、およびシステム部分の出口に接続することができる1つの入口を有する弁である。
【0099】
1つの好ましい態様において、装置はさらに、2つのキャプチャー分離ユニットA1とA2との間に、カラムA1の出口とカラムA2の入口との間の液体接続、およびその逆を可能にする接続線を含む。この態様の模式図を、図3において示し、ここで、さらなる接続線は、接続線F−Fと名づけられる。このセットアップは、第1のキャプチャー分離ユニットから(ローディングの最後に)浸出した生成物の、第2の分離ユニット(再平衡化されたばかりであり、キャプチャーのための準備ができている)上でのキャプチャーが可能にする。このことが、標的分子の損失を伴わずに、より高いスループットおよび結合能力を使用することを可能にする。
【0100】
好ましい態様において、任意の選択されたキャプチャー分離ユニットに対する連続的な試料のフィードを保証するために、溶媒送達システムを、2つのキャプチャー分離ユニットA1とA2との間の接続線、好ましくは試料溶媒送達システムに接続する。
【0101】
別の好ましい態様において、装置はさらに1または2以上の検出器を含む。検出器は、試料の質の分析、モニタリングなどのための、カラム間の試料移動の制御のために用いることができる。検出器は、好適な場所であればどこに位置してもよく、典型的には、それらは分離カラムの流体入口の前、および/または流体出口の後に位置する。好適な検出器の例は、pH検出器、UV検出器、赤外線検出器または伝導率を測定する検出器である。
【0102】
好ましくは、検出器は、全ての分離カラムの流体入口の前および流体出口の後に位置する。このセットアップは、分離ユニット間の試料の移動の制御を確実にする。
【0103】
別の好ましい態様において、装置はさらに、コンピューターシステムを含む。検出器ならびにポンプおよび弁は、コンピューターシステムに接続される。このコンピューターシステムは、ポンプおよび弁および検出器の制御を可能にする。好ましくは、コンピューターシステムは、装置が部分的にまたは完全に自動化されたモードにおいて用いられることを可能にするソフトウェアおよびアルゴリズムを含む。
【0104】
別の好ましい態様において、さらなる流体入口、すなわち、好ましくは1または2以上のリザーバへの接続線は、分離ユニットBの流体入口の前に位置する。図2、3および4において、このさらなる入口は、入口Cと名づけられる。典型的には、さらなる流体入口は、分離ユニットA1およびA2の出口の後、および分離ユニットBの流体入口の前に位置する。好ましくは、それは、分離ユニットA1およびA2の出口と分離ユニットBの流体入口との間の接続線において位置する弁の後、および分離ユニットBの流体入口の前に位置する。このことにより、カラムBが、分離ユニットA1およびA2からの溶出液によってのみフィードされるのではなく、さらなるバッファーまたは試薬、例えばインライン希釈については、溶離、平衡化、定置洗浄、ウイルス不活化などによってもまたフィードされ得ることを確実にする。
【0105】
別の好ましい態様において、装置はさらに、定置洗浄のためのさらなるリザーバを含む。定置洗浄(cleaning in place:CIP)は、当業者に公知の技術である。定置洗浄は、クロマトグラフィーマトリックスからの、非常に緊密に結合、沈澱または変性した物質の除去である。かかる混入物がクロマトグラフィーマトリックスから除去されないと、それらはカラムのクロマトグラフィー特性に影響を及ぼして、結合能力およびその後の実行における結果を低下させる場合があり、これは、サイクルの間の混入物または生成物のキャリーオーバーをもたらす。
標準的なCIPプロトコルは、典型的には、1〜5の洗浄、および、以下のような材料を含む1〜3カラム容積の水性バッファーを含む:
− 6Mの塩酸グアニジン
− 10mM〜500mMのNaOH
− 10mM〜500mMのNaOHおよび1MのNaCl、
− 50mMのNaOHおよび1MのNaSO
− 150mMのリン酸溶液、
− 6Mの尿素、
− 20%のエタノール、
− 20%のエタノールおよび0.5Mの酢酸、
− 20%のエタノールおよび2Mの酢酸、
− 1%のTweenまたはTriton(登録商標)界面活性剤X-100など。
NaOH等の材料の濃度、カラム上でのCIPバッファーの接触時間、ならびにCIPを行う頻度は、当業者により調整および決定され得る。
【0106】
本発明による装置は、好ましくは、CIPバッファーを含有する少なくとも1つのリザーバを有する。CIPバッファーは、好適である場合は、全ての分離ユニットのCIPのために用いることができる。したがって、バッファーリザーバは、全ての分離ユニットと、CIPバッファーのフローが、カラムの各々に対して独立して向けることができるように、液体接続にある。別の態様において、装置は、2つの異なるCIPバッファーを有する2つのリザーバを含む。一方のリザーバは、分離ユニットA1およびA2との流体接続にあり、それにより分離ユニットA1および分離ユニットA2へのフローが独立して実現され、他方のリザーバは、分離ユニットBと流体接続にある。定置洗浄は、各々の分離サイクルの後で行うことができる。典型的にはCIPは、試料に依存して、したがって分離ユニットを汚染している可能性がある混入物の量および型に依存して、2、3、4、5、6、7、8、9または10回の分離サイクル毎にその後に行われる。当業者は、CIPは省略してもよく、単回使用システムのために劇的に単純化することができる事実を知っている。
【0107】
別の好ましい態様において、装置は、ウイルス不活化(VI)のためのさらなるリザーバを含む。不純物の精製、特にウイルスの不活化および除去は、バイオ医薬化合物生成における主要な役割を果たしている。なぜならば、バイオ医薬化合物化合物中のウイルスレベルは、FDAにより規制されているからである。さらなる精製ステップにおいてウイルス不活化を行うことが可能であり、ここで、バイオ医薬化合物に依存して、ウイルス不活化は、例えば、溶媒/洗剤による不活化、低温殺菌、酸性pHによる不活化、またはUVによる不活化により行うことができる。
【0108】
本発明による装置および本発明による手順を用いる場合、精製プロセスにウイルス不活化を含めることもまた可能である。このために、分離ユニットA1およびA2または分離ユニットBのいずれかまたは全ての分離ユニットは、ウイルス不活化バッファーを含有するさらなるリザーバと流体接続にある。ウイルス不活化バッファーは、次いで、分離ユニットを貫流し、ここで、標的分子が前記分離ユニットのマトリックス上に結合する間に、ウイルス不活化が行われる。好ましくは分離ユニットは、低pHまたは洗剤のいずれかまたは両方によるウイルス不活化のためのリザーバに接続され、好ましくは、ウイルス不活化ステップは、カチオン交換マトリックス上で行われる。ウイルス不活化がキャプチャーユニットA1およびA2上で行われる場合、ウイルス不活化バッファーを含有するリザーバは、分離ユニットA1および分離ユニットA2へのフローを独立して実現することができるような方法で、分離ユニットA1およびA2と流体接続にある。ウイルス不活化がポリッシングユニットB上で行われる場合、ウイルス不活化バッファーを含有するリザーバは、分離ユニットBと流体接続にある。統合された低pHによるウイルス不活化のために好適なバッファーは、酸性pHを有するバッファー、好ましくは、3〜4のpHを有するバッファーである。好適なバッファーの例は、酢酸、グリシンおよび他のものである。統合された界面活性剤によるウイルス不活化のために好適なバッファーは、少なくとも1つの界面活性剤または洗剤を有するバッファーである。好適な洗剤の例は、オクタン酸、TweenまたはTriton界面活性剤X-100である。ウイルス不活化ステップを行うために、標的分子は、「カラム上で」、すなわちそれが分離ユニットのマトリックス上に結合しているうちに、精製ステップの合計数の減少をもたらす。なぜならば、典型的にはクロマトグラフィーステップに加えて行われるプールにおけるウイルス不活化が回避されるからである。
【0109】
好ましい態様において、装置は、貯留のためのいかなるリザーバも含まない。既知のクロマトグラフィーによる分離手順において、しばしば、第1のカラムから溶離する画分であって標的分子を含有するものを全て、それらを第2のクロマトグラフィーカラム上にロードとする前に、最初にプールする。本発明の方法および装置はかかる貯蔵を必要としないセットアップを提供することが見出された。好ましくは、ローディングおよび洗浄の後で標的分子が分離ユニットA1またはA2から溶離される場合、標的分子を含有する全ての溶出液は、貯蔵することなく直接的に、分離ユニットBの出口に対して向けられ、分離ユニットB上にロードされる。
このことが、さらに、精製プロセスをスピードアップする。このために、分離ユニットA1およびA2は、この接続を切断するいかなるリザーバもなしに、分離ユニットBには流体接続にある。これは、装置が、上記のような結合および溶離のための2つのバッファーリザーバのみを含む場合に、特に好ましい。分離モードが、2つより多くのバッファーの使用を必要とする場合、分離ユニットBの流体入口の前に、インライン希釈およびバッファー交換のために用いることができるさらなる流体入口(上記のようなもの)を導入することにより、貯蔵をまた回避することができる。
【0110】
一態様において、装置は、1つのアフィニティークロマトグラフィーマトリックスを有する2つの分離ユニット、およびイオン交換、好ましくはカチオン交換マトリックスを有する1つの分離ユニットを含む。好適なアフィニティーマトリックスは、プロテインA、プロテインG、プロテインLまたはプロテインr官能基を有するマトリックスである(例えばProsep(登録商標)Highcap(Merck Millipore)、Prosep(登録商標)Ultra Plus(Merck Millipore)、Poros(登録商標)Prot A(Life Technologies)、A650F (Tosoh)、MabSelect(登録商標)Sure(GE))。好適なカチオン交換マトリックスは、限定されないが、スルホプロピル、スルホン酸などの強力なカチオン交換基を有するマトリックス(Fractogel EMD(登録商標)SO3、Fractogel EMD(登録商標)SE highcap(Merck)、Eshmuno(登録商標)S(Merck) SP-SEPHAROSE FAST FLOW(商標)またはSP-SEPHAROSE HIGH PERFORMANCE(商標)、Pharmacia製)、または、限定されないが、カルボン酸などの弱いカチオン交換基を有するFractogel(登録商標)EMD Carboxy(Merck)のようなマトリックスである。
【0111】
別の態様において、装置は、カチオン交換マトリックスを有する2つの分離ユニット、およびアニオン交換マトリックスを有する1つの分離ユニットを含む。
好適なカチオン交換マトリックスは、限定されないが、スルホプロピル、スルホン酸などの強力なカチオン交換基を有するか、または限定されないが、カルボン酸などの弱いカチオン交換基を有するマトリックスであり、上述のものである。
好適なアニオン交換マトリックスは、限定されないが、四級アミノ基などの1または2以上の正に荷電されたリガンドを有するマトリックスである。
市販のアニオン交換樹脂として、DEAEセルロース、QAE SEPHADEX(商標)およびFAST Q SEPHAROSE(商標)(Pharmacia)、Fractogel(登録商標)TMAE (M)、Fractogel(登録商標)TMAE HC (M)またはEshmuno(登録商標)Q(Merck)が挙げられる。
【0112】
別の態様において、装置は、アニオン交換マトリックスを有する2つの分離ユニットおよびカチオン交換マトリックスを有する1つの分離ユニットを含む。好適なカチオン交換マトリックスおよびアニオン交換マトリックスは、上に列記されている。
【0113】
全ての態様において、また、ミックスモードマトリックスは、イオン交換マトリックスならびにその組み合わせの代わりに用いることができる。一例は、アニオン交換官能基と疎水性官能基との組合せ(Capto Adhere(GE Healthcare)、またはカチオン交換官能基と疎水性官能基との組み合わせ(Capto (商標)MMC(GE Healthcare)、Eshmuno(登録商標)HCX(Merck KGaA)、POROS(登録商標)XS(Applied Biosystems)など)である。
【0114】
図1は、本発明による装置の好ましい態様を示す。カラムA1およびA2は、「CIEX」と称され、これら2つのカラムが、同じクロマトグラフィーマトリックス、例えばカチオン交換樹脂を有することを示している。カラムBは、AIEXと称され、このカラムがアニオン交換クロマトグラフィーマトリックスを有してもよいことを示唆する。伝導率検出器(「Cond.」)は、3つ全てカラムの流体入口の前に位置する。UVおよびpH検出器(「UV, pH」)は、3つ全てカラムの流体出口において位置する。カラムA1およびA2は、定置洗浄(「CIP」)、ウイルス不活化(「VI」)、ローディングバッファー(「E.A」)、溶離バッファー(「E.B」)、希釈バッファー(「Dil.」)および試料のフィード(「フィード」)のための6つのリザーバに接続される。カラムBは、定置洗浄(「CIP」)、ローディングバッファー(「E.A」)、溶離バッファー(「E.B」)のための3つのリザーバに接続される。カラムA1/A2のために用いられる好ましい溶離バッファーは、カラムBのために用いられるローディングバッファーと同じであり、逆もまた然りである。リザーバおよびカラムは、接続線を介して接続される。好ましくは、全ての接続線は、少なくとも1回、液体の流動を制御することができるように、弁により断続される。液体輸送は、ポンプの補助により実現される。
【0115】
本発明はさらに、標的分子および1または2以上の不純物を含む試料からの標的分子の連続精製のための方法を提供する。本発明の方法は、それぞれの本発明の装置において行われる。好適な装置の模式図を、図2、3および4において示す。方法は、逐次的に繰り返すステップを含む。試料が分離ユニットA1上にロードされる間に、標的分子が分離ユニットB上に溶離されて分離ユニットA2が再平衡化されるように、分離ユニットA2が少なくとも部分的に分離ユニットBと流体連通にあるように、ならびに、試料が分離ユニットA2上にロードされる間に、標的分子が分離ユニットB上に溶離されて分離ユニットA1が再平衡化されるように、分離ユニットA1が少なくとも部分的に分離ユニットBと流体連通にあるように、第1のクロマトグラフィー次元のための分離ユニットA1およびA2に、連続的に逐次的に、試料をロードする。
【0116】
さらに、第2のクロマトグラフィーステップは、分離ユニットB上で行われ、これは、分離ユニットBの流体出口からの精製された標的分子の回収をもたらす。
【0117】
本発明の方法を確実に連続モードで作動させるために、2つのクロマトグラフィーによる分離ステップの速度を調節する必要がある。典型的には、標的分子が分離ユニットA1または分離ユニットA2のいずれかから溶離される度に、分離ユニットBが新たなローディングのための準備ができているように、第2のクロマトグラフィーのステップにおける分離ユニットB上でのローディング、クロマトグラフィーによる分離および再平衡化は、分離ユニットA1およびA2上でのローディング、クロマトグラフィーによる分離および再平衡化よりも早い。さもなくば、分離ユニットA1またはA2からの標的分子の溶離は、分離ユニットBがローディングのための準備ができるまで遅延されるか、または、第2の分離ユニットB2が、システム中に統合される場合がある。
【0118】
本発明による方法を行う場合、分離ユニットA1/A2から分離ユニットBへ標的分子を溶離することとは、標的分子を含有する画分全体、または画分の一部のみを、分離ユニットB上にロードすることができることを意味する。不純物の量を減少させるために、標的分子を含有する画分の、不純物をほとんど含まない部分のみを、分離ユニットB上にロードすることが得策である場合もある。また、プロセスの制御において純度および他の特性を分析するために、第1の分離ステップの後で、標的分子画分の部分を取り去ることも可能である。
【0119】
以下において、例示的な態様をさらに記載する。装置の成分の標識は、図2において用いられる標識を参照する。
A)両方のクロマトグラフィーステップ(キャプチャーおよびポリッシング)において標的分子がそれぞれの分離ユニットのマトリックスに結合する態様(結合−結合モード):
【0120】
一態様において、本発明による方法は、以下により行われる:
a)試料を分離カラムA1(例えばカチオン交換材料)上に入口A(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA1に結合させ、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除くことを可能にする;一方、分離カラムA2(例えばカチオン交換材料)を、第1のpHにおけるバッファーAによる結合した標的分子の洗浄、第2のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離カラムA2の再平衡化のために、入口B(例えば溶媒送達システム)に接続する。洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットA2を出口A2−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA2を、接続線C−Pを通して分離ユニットB(例えばアニオン交換媒質)に接続し、直接的に標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBを、標的分子を分離ユニットBに結合させることを可能にする条件における、分離ユニットA2からの標的分子のフィーディングと、その後のバッファーBによる洗浄、バッファーAによる標的分子の溶離、およびバッファーBによる再平衡化のために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続する。フィーディング、洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
【0121】
b)試料を分離ユニットA2(例えばカチオン交換材料)上に入口A(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA2(例えばカチオン交換媒質)に結合させ、未結合の分子を出口A2−Wを通して取り除くことを可能にする;一方、分離ユニットA1(例えばカチオン交換材料)を、結合した標的分子を第1のpHにおけるバッファーAにより洗浄すること、第2のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離ユニットAの再平衡化のために、入口B(例えば溶媒送達システム)に接続する。洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットA1を出口A1−Wに接続し、指名された溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA1を、接続線C−Pを通して分離ユニットB(例えばアニオン交換媒質)に接続し、直接的に標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBを、標的分子を分離ユニットBに結合させることを可能にする条件における、分離ユニットA1からの標的分子のフィーディング、バッファーBによる洗浄、バッファーAによる標的分子の溶離、およびバッファーBによる再平衡化のために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続する。フィーディング、洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
連続モードについて、好ましくは、ステップa)およびb)を、少なくとも2回繰り返す。
【0122】
好ましい態様において、試料を分離ユニットA2(例えばカチオン交換材料)上へ入口B(例えば溶媒送達システム)を通してフィードする(ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA2に結合させ、ローディングの最後において、すなわちローディングがほぼ終了したときに、妥当な損失なしで特に高い量の結合した標的分子を達成することを可能にする)間に、分離ユニットA2から浸出し始めた、分離ユニットA1に結合するべき標的分子のキャプチャーを可能にするために、分離ユニットA2の出口を、接続線F−Fを通して分離ユニットA1の入り口に接続する。分離ユニットA2からの標的分子が多すぎることが検出された場合はすぐに、試料のフィードを、分離ユニットA2から分離ユニットA1へと切り替える。一方、A1上の標的分子を洗浄し、分離ユニットB上に溶離させる。分離ユニットA1の再平衡化の後で、その入口を分離カラムA2の出口に接続し、分離ユニットA1から浸出し始めた標的分子を、確実に分離ユニットA2に結合させる。
【0123】
2つの分離ユニットA1およびA2のこの特異的な中間接続は、分離ユニットA1およびA2を非常に高い量の標的分子でロードすることにより、時間を接続するというユニークな可能性を提供する。既知のクロマトグラフィーシステムにおいて、典型的には、カラムは60〜80%の動的結合能力までロードされる。2つの分離ユニットA1およびA2の特異的な中間接続を有する本発明による装置および方法は、標的分子を損失することなく、分離ユニットA1およびA2を、80%より高い動的結合能力まで、好ましくは80〜95%の動的結合能力まで、ロードする可能性を提供する。クロマトグラフィー媒質の動的結合能力は、実際の流動条件下において、未結合のタンパク質の著しい発生が生じる前に、当該媒質が結合するであろう標的分子の量である。
【0124】
試料を分離ユニットA1上にロードする場合、特に、ローディングがほぼ終了して、標的分子が分離ユニットの外に浸出し始めた場合は、他の手段で収集して試料のフィードに入れなければならないであろう標的分子が、直接的に分離ユニットA2上にフィードされるように、分離ユニットA1の出口を分離ユニットA2の入り口に連結することができる。当業者は、分離ユニットA1への試料のフィードを停止して、試料のフィードを分離ユニットA2へ切り替えるための最良の時点を決定することができる。同時にまた、分離ユニットA1の出口の分離ユニットA2の入り口への接続を断続し、分離ユニットA2を試料のフィードでさらにロードしつつ、分離ユニットA1を洗浄し、次いで分離ユニットBの出口と接続し、標的分子を分離ユニットB上に溶離させる。分離ユニットA1の再平衡化の後で、それを再び分離ユニットA2の出口に接続して、試料のローディングの終了時においてカラムA2から浸出し得る標的分子をキャプチャーする。
【0125】
この態様のために好適な装置の模式図を、図3において示す。図3において示される模式図による装置を用いて、本発明の方法は、例えば以下のように行うことができる:
a)試料を分離カラムA1(例えばカチオン交換材料)上に入口B(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA1に結合させ、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除くことを可能にする;一方、分離カラムA2(例えばカチオン交換材料)を、第1のpHにおけるバッファーAによる結合した標的分子の洗浄、第2のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離カラムA2の再平衡化のために、入口A(例えば溶媒送達システム)と接続する。洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットA2を出口A2−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA2を、接続線C−Pを通して分離ユニットB(例えばアニオン交換媒質)に接続し、直接的に標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBを、標的分子を分離ユニットBに結合させることを可能にする条件における、分離ユニットA2からの標的分子のフィーディングと、その後のバッファーBによる洗浄、バッファーAによる標的分子の溶離、およびバッファーBによる再平衡化のために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続する。フィーディング、洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
【0126】
b)ローディングがカラムA1上でほぼ終了した場合、それをさらに入口B(例えば溶媒送達システム)を通してロードする。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA1に結合させ、未結合の標的分子を、接続線F−Fを直接的に通してカラムA2へ移動し、未結合の分子を出口A2−Wを通して取り除くことを可能にする。同時に、カラムBを、再平衡化のために入口Cに接続する。
【0127】
c)試料を分離ユニットA2(例えばカチオン交換材料)上に入口B(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、組成物は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA2(例えばカチオン交換媒質)に結合させ、未結合の分子を出口A2−Wを通して取り除くことを可能にする;一方、分離ユニットA1(例えばカチオン交換材料)を、第1のpHにおけるバッファーAによる結合した標的分子の洗浄、第2のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離ユニットAの再平衡化のために、入口B(例えば溶媒送達システム)に接続する。洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットA1を出口A1−Wに接続し、指名された溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA1を、接続線C−Pを通して分離ユニットB(例えばアニオン交換媒質)に接続し、直接的に標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBを、標的分子を分離ユニットBに結合させることを可能にする条件における、分離ユニットA1からの標的分子のフィーディング、バッファーBによる洗浄、バッファーAによる標的分子の溶離、およびバッファーBによる再平衡化のために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続する。フィーディング、洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
【0128】
d)ローディングがカラムA2上でほぼ終了した場合、それをさらに入口B(例えば溶媒送達システム)を通してロードする。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA2に結合させ、未結合の標的分子を、直接的に接続線F−Fを通してカラムA1に移動し、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除くことを可能にする。同時に、カラムBを、再平衡化のために入口Cに接続する。
連続モードについて、好ましくは、ステップa)〜d)を、少なくとも2回繰り返す。
【0129】
本発明による方法を行う以下の方法により、洗浄中に未結合の標的分子を溶離させることにしばしば起因する標的分子の損失を減少させることができることを見出した:
【0130】
好ましい態様において、洗浄中に、分離ユニットA2(またはA1、それぞれ)を、入口B(例えば溶媒送達システム)を通して、高い量の結合した標的分子に対してロードした後で、未結合の標的分子を分離ユニットA1に洗い流し、妥当な損失なしで未結合の標的分子を移動する。すなわち、ローディングが終了した場合、分離ユニットA2の出口を、分離ユニットA2から洗い流された分離ユニットA1に結合すべき標的分子のキャプチャーを可能にするために、例えば接続線W−Fを通して、分離ユニットA1の入り口に接続する(図4を参照)。分離ユニットA2からの標的分子が少なすぎることが検出された場合はすぐに、流体連通を断続し、カラムA2の出口を出口位置A2−Wへ切り替え、未結合の分子を取り除く。一方、標的分子を、さらに分離ユニットA1上にロードしつつ、分離ユニットA2上の標的分子をさらに洗浄し、分離ユニットB上に溶離させる。分離ユニットA2の再平衡化の後で、その入口を、分離カラムA1の出口に接続し、分離ユニットA1から浸出し始めた標的分子を、確実に分離ユニットA2に結合させる。
【0131】
2つの分離ユニットA1およびA2のこの特異的な接続は、時間を節約し、それらを洗浄することによる標的分子の損失を回避するというユニークな可能性を提供する。既知のクロマトグラフィーシステムにおいて、典型的には、カラム洗浄分画は、取り除かれて廃棄されるか、リザーバをフィードするために回収される。本発明による装置および方法は、この好ましい精製プロセスを用いることにより、少ない標的分子の損失、好ましくは標的分子の合計の2〜3%までの損失により、分離ユニットA1およびA2を洗浄する可能性を提供する。
【0132】
この態様のために好適な装置の模式図を、図4において示す。図4において示される模式図による装置を用いて、本発明の方法は、例えば以下のように行うことができる:
a)試料を分離カラムA1(例えばカチオン交換材料)上に入口B(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA1に結合させ、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除くことを可能にする;一方、分離カラムA2(例えばカチオン交換材料)を、第1のpHにおけるバッファーAによる結合した標的分子の洗浄、第2のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離カラムA2の再平衡化のために、入口A(例えば溶媒送達システム)と接続する。洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットA2を出口A2−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA2を、接続線C−Pを通して分離ユニットB(例えばアニオン交換媒質)に接続し、直接的に標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBを、標的分子を分離ユニットBに結合させることを可能にする条件における、分離ユニットA2からの標的分子のフィーディングと、その後のバッファーBによる洗浄、バッファーAによる標的分子の溶離、およびバッファーBによる再平衡化のために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続する。フィーディング、洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
【0133】
b)ローディングがカラムA1上でほぼ終了した場合、それをさらに入口B(例えば溶媒送達システム)を通してロードする。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA1に結合させ、未結合の標的分子を、接続線F−Fを直接的に通してカラムA2へ移動し、未結合の分子を出口A2−Wを通して取り除くことを可能にする。同時に、カラムBを、再平衡化のために入口Cに接続する。
【0134】
c)分離ユニットA1のローディングが終了した場合、分離ユニットA1からの未結合の標的分子を、入口Aを用いて洗浄しつつ、分離ユニットA1を、接続線W−Fにより入口Bを通しロードされる分離ユニットA2に接続する。分離ユニットA1から標的分子が少なすぎることが検出された場合はすぐに、接続を断続し、カラムA1出口を出口位置A1−Wに切り替えて、未結合の分子を取り除き、一方、標的分子をさらに分離ユニットA2上にロードして、出口A2−Wを通して未結合の分子を取り除く。
【0135】
d)試料を分離ユニットA2(例えばカチオン交換材料)上に入口B(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、組成物は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA2(例えばカチオン交換媒質)に結合させ、未結合の分子を出口A2−Wを通して取り除くことを可能にする;一方、分離ユニットA1(例えばカチオン交換材料)を、結合した標的分子を第1のpHにおけるバッファーAにより洗浄すること、第2のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離ユニットAの再平衡化のために、入口B(例えば溶媒送達システム)に接続する。洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットA1を出口A1−Wに接続し、指名された溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA1を、接続線C−Pを通して分離ユニットB(例えばアニオン交換媒質)に接続し、直接的に標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBは、標的分子を分離ユニットBに結合させることを可能にする条件における、分離ユニットA1からの標的分子のフィーディング、バッファーBによる洗浄、バッファーAによる標的分子の溶離、およびバッファーBによる再平衡化のために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続される。フィーディング、洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
【0136】
e)ローディングがカラムA2上でほぼ終了した場合、それをさらに入口B(例えば溶媒送達システム)を通してロードする。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA2に結合させ、未結合の標的分子を、直接的に接続線F−Fを通してカラムA1に移動し、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除くことを可能にする。同時に、カラムBを、再平衡化のために入口Cに接続する。
【0137】
f)分離ユニットA2のローディングが終了した場合、分離ユニットA2からの未結合の標的分子を、入口Aを用いて洗浄しつつ、分離ユニットA2を、接続線W−Fにより、入口Bを通してロードされる分離ユニットA1に接続する。分離ユニットA2からの標的分子が少なすぎることが検出された場合はすぐに、接続を断続し、カラムA2の出口を出口位置A2−Wへ切り替え、未結合の分子を取り除き、一方、標的分子を、さらに分離ユニットA1上にロードし、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除く。
連続モードについて、好ましくは、ステップa)〜f)を、少なくとも2回繰り返す。
【0138】
B)第1のクロマトグラフィーステップ(キャプチャー)において、標的分子がそれぞれの分離ユニットのマトリックスに結合し、第2のクロマトグラフィーのステップ(ポリッシング)において、標的分子が当該マトリックスに弱く結合するかまたは結合しないが不純物は結合する態様において(結合−フロースルーモード):
【0139】
一態様において、第1のクロマトグラフィー次元のための分離カラムA1およびA2に、試料が分離カラムA1上にロードされる間に、標的分子が分離カラムB上に溶離され、カラムA2が再平衡化されるように、分離カラムA2が少なくとも部分的にカラムBと流体接続にあるように、ならびに、試料が分離カラムA2上にロードされる間に、標的分子が分離カラムB上に溶離され、カラムA1が再平衡化されるように、分離カラムA1が少なくとも部分的にカラムBと流体接続にあるように、連続的に、逐次的に、試料をロードする。
さらに、フロースルーモードにおける第2のクロマトグラフィーステップは、分離カラム上で行われ、これにより、分離カラムBの流体出口からの精製された標的分子の回収がもたらされる。
【0140】
本発明の方法を確実に連続モードにおいて作動させるために、結合・溶離(bind-and elute)クロマトグラフィーによる分離ステップの溶離条件を、カラムBにおいて行われるフロースルーステップのためのローディング条件に調整する必要がある。分離ユニットB上でのローディングのために好適な条件下において分離ユニットA1およびA2から標的分子を溶離させることが可能でない場合、典型的には、カラムBに対する標的分子の弱結合条件または非結合条件に調整するために、入口Cを用いることができる。至適および一定の弱結合または非結合性能を得るために、pHおよび伝導率などの一定の溶液特性が必要である。このことは、例えばインライン希釈またはバッファー交換により、分離ユニットA1またはA2からの入口Cを介しての標的分子の溶離を条件付けしながら、行われる。
【0141】
ときに、バイオ医薬製品の精製は、非常に類似した不純物からの標的分子の分離を含み、弱イオン交換クロマトグラフィーなどの高感度の分離方法が必要とされる。本発明の方法により、標的タンパク質について、結合溶離モードにおけるアフィニティー分離、および弱結合または非結合条件(フロースルー)におけるアニオン交換クロマトグラフィーを行うことができる。このことは、非常に強力なツールであることが示された。特に、このフロースルーポリッシングのための幾つかのマトリックスの組み合わせは、カチオン交換もしくはアニオン交換または疎水性官能基およびそれらの混合物などの幾つかの異なる官能基により不純物を吸着することを介して、要求される生成物の純度を達成することを可能にする。
【0142】
フロースルークロマトグラフィーステップのためにまた、活性炭などの非常に弱いイオン交換マトリックスまたは弱いミックスモードマトリックスを用いることも可能である。炭素質材料、活性炭、およびフロースルー精製プロセスにおけるそれらの使用についてのさらなる詳細は、米国仮特許出願第61/575349号において見出すことができ、これは、本明細書により参考として援用される。以下において、例示的な態様をさらに記載する。装置の成分の標識は、図2において用いられる標識を参照する。
【0143】
一態様において、本発明による方法は、以下により行われる:
a)試料を分離カラムA1(例えばカチオン交換材料またはアフィニティー材料)上に、入口B(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA1に結合させ、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除くことを可能にする;一方、分離カラムA2(例えばカチオン交換材料またはアフィニティー材料)を、第1のpHにおけるバッファーAによる結合した標的分子の洗浄、第2のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離カラムA2の再平衡化のために、入口A(例えば溶媒送達システム)と接続する。洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットA2を出口A2−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA2を、接続線C−Pを通して分離ユニットB(例えばアニオン交換媒質またはミックスモード媒質)に接続し、直接的に、標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBを、標的分子が分離ユニットBに弱く結合するかまたは結合しないことを可能にする条件下における分離ユニットA2からの標的分子のフィーディングのために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続し、その後、分離ユニットBはバッファーBにより再平衡化される。再平衡化ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、フィーディングステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
【0144】
b)試料を、分離ユニットA2(例えばカチオン交換材料またはアフィニティー材料)上に入口B(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、組成物は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA2(例えばカチオン交換媒質またはアフィニティー材料)に結合させ、未結合の分子を出口A2−Wを通して取り除くことを可能にする;一方、分離ユニットA1(例えばカチオン交換材料またはアフィニティー材料)を、結合した標的分子を第1のpHにおけるバッファーAにより洗浄すること、第2のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離ユニットAの再平衡化のために、入口B(例えば溶媒送達システム)に接続する。洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットA1を出口A1−Wに接続し、指名された溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA1を、接続線C−Pを通して分離ユニットB(例えばアニオン交換媒質またはミックスモード媒質)に接続し、直接的に、標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBを、標的分子が分離ユニットBに弱く結合するかまたは結合しないことを可能にする条件における分離ユニットA1からの標的分子のフィーディングのために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続し、その後、分離ユニットBをバッファーBにより再平衡化する。再平衡化ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、フィーディングステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
連続モードについて、好ましくは、ステップa)およびb)を、少なくとも2回繰り返す。
【0145】
好ましい態様において、組成物を分離ユニットA2(例えばカチオン交換材料またはアフィニティー材料)上に入口B(例えば溶媒送達システム)を通してフィードし(ここで、組成物は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA2に結合させ、ローディングの最後において、すなわちローディングがほぼ終了したときに、妥当な損失なしで特に高い量の結合した標的分子を達成することを可能にする)、一方で、分離ユニットA2から浸出し始めた、分離ユニットA1に結合するべき標的分子のキャプチャーを可能にするために、分離ユニットA2の出口を、接続線F−Fを通して分離ユニットA1の入り口に接続する(図3を参照)。分離ユニットA2からの標的分子が多すぎることが検出された場合はすぐに、試料のフィードを、分離ユニットA2から分離ユニットA1へと切り替える。一方、A1上の標的分子を洗浄し、分離ユニットB上に溶離させる。分離ユニットA1の再平衡化の後で、その入口を分離カラムA2の出口に接続し、分離ユニットA1から浸出し始めた標的分子を、確実に分離ユニットA2に結合させる。
【0146】
2つの分離ユニットA1およびA2のこの特異的な中間接続は、分離ユニットA1およびA2を非常に高い量の標的分子でロードすることにより、時間を節約するというユニークな可能性を提供する。既知のクロマトグラフィーシステムにおいては、典型的には、カラムは、60〜80%の動的結合能力までロードされる。本発明による装置および方法は、分離ユニットA1およびA2を、80%より高い動的結合能力まで、好ましくは80〜95%の動的結合能力まで、ロードする可能性を提供する。
【0147】
この態様のために好適な装置の模式図を、図3において示す。図3において示される模式図による装置を用いて、本発明の方法は、例えば以下のように行うことができる:
a)試料を分離カラムA1(例えばカチオン交換材料またはアフィニティー材料)上に、入口B(例えば溶媒送達システム)を通してフィードする。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA1に結合させ、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除くことを可能にする;一方、分離カラムA2(例えばカチオン交換材料またはアフィニティー材料)を、第1のpHにおけるバッファーAによる結合した標的分子の洗浄、第2のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離カラムA2の再平衡化のために、入口A(例えば溶媒送達システム)と接続する。洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットA2を出口A2−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA2を、接続線C−Pを通して分離ユニットB(例えばアニオン交換媒質またはミックスモード媒質)に接続し、直接的に、標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBを、標的分子が分離ユニットBに弱く結合するかまたは結合しないことを可能にする条件下における分離ユニットA2からの標的分子のフィーディングのために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続し、その後、バッファーBで分離ユニットBを再平衡化する。再平衡化ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、フィーディングステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
【0148】
b)ローディングがカラムA1上でほぼ終了した場合、それをさらに入口B(例えば溶媒送達システム)を通してロードする。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA1に結合させ、未結合の標的分子を、接続線F−Fを直接的に通してカラムA2へ移動し、未結合の分子を出口A2−Wを通して取り除くことを可能にする。同時に、カラムBを、再平衡化のために入口Cに接続する。
【0149】
c)試料を、分離ユニットA2(例えばカチオン交換材料またはアフィニティー材料)上に入口B(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、組成物は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA2(例えばカチオン交換媒質またはアフィニティー材料)に結合させ、未結合の分子を出口A2−Wを通して取り除くことを可能にする;一方、分離ユニットA1(例えばカチオン交換材料またはアフィニティー材料)を、結合した標的分子を第1のpHにおけるバッファーAにより洗浄すること、第2のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離ユニットAの再平衡化のために、入口B(例えば溶媒送達システム)に接続する。洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットA1を出口A1−Wに接続し、指名された溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA1を、接続線C−Pを通して分離ユニットB(例えばアニオン交換媒質またはミックスモード媒質)に接続し、直接的に、標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBを、標的分子が分離ユニットBに弱く結合するかまたは結合しないことを可能にする条件における分離ユニットA1からの標的分子のフィーディングのために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続し、その後、バッファーBで分離ユニットBを再平衡化する。再平衡化ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、フィーディングステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
【0150】
d)ローディングがカラムA2上でほぼ終了した場合、それをさらに入口B(例えば溶媒送達システム)を通してロードする。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA2に結合させ、未結合の標的分子を、直接的に接続線F−Fを通してカラムA1に移動し、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除くを可能にする。同時に、カラムBを、再平衡化のために入口Cに接続する。
連続モードについて、好ましくは、ステップa)〜d)を、少なくとも2回繰り返す。
【0151】
好ましい態様において、分離ユニットA2(例えばカチオン交換材料またはアフィニティー材料)が、入口B(例えば溶媒送達システム)を通して、妥当な損失なしで、特に高い量の結合した標的分子に対してロードされ、ここで組成物が、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA2に結合させることを可能にする第1のpHおよび伝導率にあった場合、未結合の標的分子を分離ユニットA1に洗い流し、妥当な損失なしで未結合の標的分子を移動する。すなわち、ローディングが終了した場合、分離ユニットA2から洗い流された分離ユニットA1に結合すべき標的分子のキャプチャーを可能にするために、分離ユニットA2の出口を、接続線W−Fを通して分離ユニットA1の入り口に接続する(図4を参照)。分離ユニットA2からの標的分子が少なすぎることが検出された場合はすぐに、接続を断続し、カラムA2の出口を出口位置A2−Wへ切り替え、未結合の分子を取り除く。一方、分離ユニットA2上の標的分子をさらに洗浄し、分離ユニットB上に溶離させながら、標的分子をさらに分離ユニットA1上にロードする。分離ユニットA2の再平衡化の後で、その入口を分離カラムA1の出口に接続し、分離ユニットA1から浸出し始めた標的分子を、確実に分離ユニットA2に結合させる。
【0152】
2つの分離ユニットA1およびA2のこの特異的な中間接続は、時間を節約し、それらを洗浄することによる標的分子の損失を回避する、ユニークな可能性を提供する。既知のクロマトグラフィーシステムにおいては、典型的には、カラム洗浄分画は、取り除かれて廃棄されるか、リザーバをフィードするために回収される。本発明による装置および方法は、好ましい精製プロセスにおいて、僅かな標的分子の損失、好ましくは標的分子の合計の2〜3%までの損失により、分離ユニットA1およびA2を洗浄する可能性を提供する。
【0153】
この態様のために好適な装置の模式図を図4において示す。図4において示す模式図による装置を用いて、本発明の方法は、例えば以下のように行うことができる:
a)試料を分離カラムA1(例えばカチオン交換材料またはアフィニティー材料)上に、入口B(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA1に結合させ、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除くことを可能にする;一方、分離カラムA2(例えばカチオン交換材料またはアフィニティー材料)を、第1のpHにおけるバッファーAによる結合した標的分子の洗浄、第2のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離カラムA2の再平衡化のために、入口A(例えば溶媒送達システム)と接続する。洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットA2を出口A2−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA2を、接続線C−Pを通して分離ユニットB(例えばアニオン交換媒質)に接続し、直接的に標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBを、標的分子が分離ユニットBに弱く結合するかまたは結合しないことを可能にする条件下における分離ユニットA2からの標的分子のフィーディングのために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続し、バッファーBで分離ユニットBを再平衡化する。再平衡化ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、フィーディングステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
【0154】
b)ローディングがカラムA1上でほぼ終了した場合、それをさらに入口B(例えば溶媒送達システム)を通してロードする。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA1に結合させ、未結合の標的分子を、接続線F−Fを直接的に通してカラムA2へ移動し、未結合の分子を出口A2−Wを通して取り除くことを可能にする。同時に、カラムBを、再平衡化のために入口Cに接続する。
【0155】
c)分離ユニットA1のローディングが終了した場合、分離ユニットA1からの未結合の標的分子を、入口Aを用いて洗浄しつつ、分離ユニットA1を、接続線W−Fにより入口Bを通しロードされる分離ユニットA2に接続する。分離ユニットA1から標的分子が少なすぎることが検出された場合はすぐに、接続を断続し、カラムA1出口を出口位置A1−Wに切り替えて、未結合の分子を取り除き、一方、標的分子をさらに分離ユニットA2上にロードして、出口A2−Wを通して未結合の分子を取り除く。
【0156】
d)試料を分離ユニットA2(例えばカチオン交換材料)上に入口B(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、組成物は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA2(例えばカチオン交換媒質)に結合させ、未結合の分子を出口A2−Wを通して取り除くことを可能にする;一方、分離ユニットA1(例えばカチオン交換材料)を、結合した標的分子を第1のpHにおけるバッファーAにより洗浄すること、第2のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離ユニットAの再平衡化のために、入口B(例えば溶媒送達システム)に接続する。洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットA1を出口A1−Wに接続し、指名された溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA1を、接続線C−Pを通して分離ユニットB(例えばアニオン交換媒質)に接続し、直接的に標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBを、標的分子が分離ユニットBに弱く結合するかまたは結合しないことを可能にする条件における分離ユニットA1からの標的分子のフィーディングのために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続し、その後、バッファーBで分離ユニットBを再平衡化する。再平衡化ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、フィーディングステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
【0157】
e)ローディングがカラムA2上でほぼ終了した場合、それをさらに入口B(例えば溶媒送達システム)を通してロードする。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA2に結合させ、未結合の標的分子を、直接的に接続線F−Fを通してカラムA1に移動し、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除くことを可能にする。同時に、カラムBを、再平衡化のために入口Cに接続する。
【0158】
f)分離ユニットA2のローディングが終了した場合、分離ユニットA2からの未結合の標的分子を、入口Aを用いて洗浄しつつ、分離ユニットA2を、接続線W−Fにより、入口Bを通してロードされる分離ユニットA1に接続する。分離ユニットA2からの標的分子が少なすぎることが検出された場合はすぐに、接続を断続し、カラムA2の出口を出口位置A2−Wへ切り替え、未結合の分子を取り除き、一方、標的分子を、さらに分離ユニットA1上にロードし、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除く。
連続モードについて、好ましくは、ステップa)〜f)を、少なくとも2回繰り返す。
【0159】
本発明の方法において、好ましくは、pH依存的な結合および溶離を提供するバッファーが用いられることが見出されている。特に分離ユニットA1およびA2からの標的分子の溶離は、ローディングバッファーのpHとは異なるpHを有する溶離バッファーを使用する場合に、より効率的であり、より速いことが見出されている。言い換えると、溶離プロフィールは、ローディングバッファーのpHとは異なるpHを有する溶離バッファーを用いる場合に、より有利である。pH勾配による溶離が、特に好ましい。pH依存的な結合および溶離のために好適なバッファーは、当業者に公知である。好適なバッファーの組み合わせの例は、PBS−グリシン、酢酸−TRISなどである。
【0160】
好ましい態様において、本発明の方法は、バッファーAが、標的分子が分離カラムA1/A2上でキャプチャーされる条件を提供する第1の次元のためのローディングバッファーとなるような、2つのみのローディングバッファーおよび溶離バッファー、バッファーAおよびバッファーBのみの使用を含む。さらに、バッファーAは、標的分子が分離カラムBから溶離される条件を提供する第2の次元のための溶離バッファーである。バッファーBは、第1の次元(カラムA1/A2)のための溶離バッファーであるが、第2の次元(カラムB)のためのキャプチャーバッファーである。
【0161】
分離ユニットA1およびA2が、Prot Aマトリックスなどのアフィニティークロマトグラフィーマトリックスを有する場合、結合バッファー(バッファーA)は、典型的には、6〜8のpHおよび10mM〜2Mの塩濃度(典型的な塩は、リン酸塩、酢酸塩、塩化物塩などである)を有する。好ましいものは、6.8〜7.3のpHおよび50mM〜1Mの塩濃度を有する結合バッファーである。溶離バッファーは、典型的には、2〜5のpHおよび20mM〜200mMの塩濃度(典型的な塩は、グリシン、酢酸塩などである)を有する。好ましいものは、2.5〜4.5のpHおよび20mM〜50mMの塩濃度を有する溶離バッファーである。例えば、溶離バッファーが4のpHを有する場合、分離ユニットA1およびA2のProt Aマトリックスから標的分子を溶離させるために好適なこのバッファーは、カチオン交換マトリックスを有する分離ユニットB上に標的分子をロードするためにも好適である。
【0162】
分離ユニットA1およびA2がカチオン交換マトリックスを有する場合、結合バッファーは、典型的には、4〜7のpHおよび10mM〜300mMの塩濃度(典型的な塩は、リン酸塩、酢酸塩、NaClなどである)を有する。好ましいものは、4.5〜6のpHおよび20mM〜100mMの塩濃度を有する結合バッファーである。溶離バッファーは、典型的には、7〜10のpHおよび10mM〜300mMの塩濃度(典型的な塩は、TRIS、PBS、NaClである)を有する。好ましいものは、8〜9のpHおよび10mM〜150mMの塩濃度を有する溶離バッファーである。例えば溶離バッファーが8.5のpHを有する場合、分離ユニットA1およびA2のカチオン交換マトリックスから標的分子を溶離させるために好適なこのバッファーはまた、アニオン交換マトリックスを有する分離ユニットB上に標的分子をロードするためにも好適である。
【0163】
分離ユニットA1およびA2がアニオン7〜10のpHおよび交換マトリックスを有する場合、結合バッファーは、典型的には、10mM〜300mMの塩濃度(典型的な塩は、TRIS、PBS、NaClである)を有する。好ましいものは、7.5〜9.5のpHおよび10mM〜300mMの塩濃度を有する結合バッファーである。溶離バッファーは、典型的には、4〜7のpHおよび10mM〜100mMの塩濃度(典型的な塩は、PBS、酢酸塩、NaClなどである)を有する。好ましいものは、4.5〜6.5のpHおよび10mM〜100mMの塩濃度を有する溶離バッファーである。例えば溶離バッファーが5.5のpHを有する場合、分離ユニットA1およびA2のアニオン交換マトリックスから標的分子を溶離させるために好適なこのバッファーはまた、カチオン交換マトリックスを有する分離ユニットB上に標的分子をロードするためにも好適である。
【0164】
好ましい態様において、本発明の方法に供される試料は、清澄化された試料である。すなわち、試料は、分離ユニットA1またはA2上にロードされる前に、清澄化ステップに供される。
清澄化ステップは、1または2以上の可溶性および/または不溶性の不純物を標的から分離することを意図している。例えば、細胞および細胞デブリのような不溶性不純物を試料から取り除き、これにより、溶液中の標的分子ならびに他の可溶性不純物を含有する液体をもたらす。清澄化ステップは、以下の1または2以上を、単独でまたは任意の組み合わせにおいて含んでもよい:遠心分離、沈下および/または濾過、好ましくはタンジェンシャルフロー濾過(tangential flow filtration)またはデプス濾過(depth filtration)。好ましくは、清澄化ステップは、遠心分離を含まず、濾過および/または沈下のみを含む。好ましい態様において、濾過は、デプス濾過である。
【0165】
一部の態様において、デプスフィルター(デプスフィルター)は、1または2以上の不溶性不純物を取り除くために用いられる。デプスフィルターは、単に媒質の表面上のみならず媒質全体において粒子を保持するための、多孔質濾過媒質を用いるフィルターである。かかるデプスフィルターの一般的なクラスは、結合(または他の手段で固定)されて、複雑な、入り組んだ流路の迷路を形成する線維のランダムマトリックスを含むものである。これらのフィルターにおける粒子の分離は、一般に、線維マトリックスによる捕捉、またはこれへの吸着をもたらす。細胞培養ブロスおよび他の原料の生物学的処理のための最も頻繁に用いられるデプスフィルター媒質は、通常、セルロース繊維、DE(珪藻土)などのフィルター補助剤、および正に荷電された樹脂結合剤からなる。
【0166】
多孔質デプスフィルターが異方性である場合に、粒子性不純物の一次除去において特に良好な結果が達成されることが見出されている。一部の態様において、孔は、>約25μmと評価される名目孔サイズを有する。一部の態様において、デプスフィルターは、少なくとも2つの段階的な不織布の層を含み、ここで、段階的な層は、約0.3cm〜約3cmの合計の厚みを有する。
【0167】
一部の態様において、デプスフィルターは、不織布、セルロースおよび珪藻土の段階的な層の複合体を含む。不織布は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロンまたはそれらの組み合わせを含む。
例示的なデプスフィルターは、本明細書において参考として援用される米国仮出願第61/571994号において見出すことができる。
一部の態様において、遠心分離および/またはタンジェンシャルフロー濾過ステップは、デプス濾過ステップに先立ち用いられる。代替的に、遠心分離および/またはタンジェンシャルフロー濾過ステップを必要とすることなく、デプス濾過ステップを行うことができる。
【0168】
一態様において、遠心分離および/または濾過および/または沈下による清澄化に先立ち、試料を、沈澱組成物で前処理して、望ましくない混入物を沈澱させて試料から取り除く。沈澱組成物は、少なくとも、試料からHCP’s、DNA、ホルモンなどの混入物を沈澱させることができる沈澱剤を含む。沈澱剤は、水性および/または可溶性の状態から非水性および/または不溶性の状態への化合物の沈澱を引き起こすか、あるいは、溶液から微粒子を凝集(aggregate)および凝集(agglutinate)させて、液相からのそれらの沈下および溶液の濁度の減少をもたらす
【0169】
好適な沈澱剤の例は、有機酸(例えばオクタン酸)、無機酸(例えばHCl)、pHを酸性に向かって実質的に低下させる他の酸性剤、塩(例えば安息香酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウムなど)、酸性溶媒中で沈澱する他の一価の塩または有機酸である。沈澱剤の他の例は、カプリル酸などの短鎖脂肪酸である。穏和に酸性な条件においては、カプリル酸などの短鎖脂肪酸の付加は、典型的には、非IgGタンパク質を沈澱させるが、一方、IgGは沈澱しない。
【0170】
他の好適な沈澱剤は、多価電解質ポリマーである(例えば、本明細書において参考として援用される国際PCT特許出願第WO2008/091740号を参照)。
好ましい態様において、1または2以上の不純物を沈殿させるために、刺激応答性ポリマーを用いる。かかる刺激応答性ポリマーの例は、例えば、本明細書において参考として援用される米国公開第20080255027号、同第20090036651号、同第20090232737号および同第20110020327号において見出すことができる。刺激応答性ポリマーは、一般に、pH、温度および/または塩濃度などの特定のプロセス条件のセットの下で、水ベースの溶媒中で可溶性であり、かかる条件のうちの1または2以上の変化により不溶性となり、その後沈澱する。例示的な刺激応答性ポリマーとして、限定されないが、ポリアリルアミン、ベンジル基で修飾されたポリアリルアミン、またはポリビニルアミンおよびベンジル基で修飾されたポリビニルアミンが挙げられ、ここで、刺激はリン酸またはクエン酸である。
【0171】
沈澱組成物はさらに、洗剤(Triton X-100、triton X-114、NP-40、Tween-20、OTD、SDS、CHAPS、および/またはポリエチレングリコール(PEG)(PEG-1000、PEG 10000)および/またはポリビニルアルコールおよび/または多価電解質を含んでもよい。
沈澱した混入物を、次いで、試料を分離ユニット上にロードする前に、清澄化により試料から取り除く。
好ましい態様において、沈澱の後に、遠心分離のステップを行うことなくデプス濾過を行い、清澄化された試料を提供する。
【0172】
好ましい態様において、試料の清澄化は、その期間の少なくとも一部の間、本発明の方法によるクロマトグラフィー精製と同時に行う。言い換えれば、標的分子を含有する液体試料は、清澄化の後は、全試料の容積が清澄化されるまで待つために、プールタンク中には貯蔵されないが、清澄化された試料が清澄化プロセスからもたらされるとすぐに、それを連続的に本発明の方法のための試料溶液として用い、分離ユニットA1またはA2上にロードする。
したがって、本発明の方法はまた、清澄化された試料溶液を用いる場合は、試料溶液の全溶液を貯蔵することができるプールタンクの使用を必要としない。好ましくは、プールタンクを用いないか、試料溶液の全容積の25%未満、好ましくは10%未満を貯蔵することができるプールタンクのみを用いる。
【0173】
一部の態様において、分離ユニットB上で第2のクロマトグラフィーのステップを行った後で、1または2以上のさらなるフロースルー精製ステップを行ってもよい。このために、分離ユニットBの出口は、1または2以上のさらなる分離ユニットと流体接続にある。インライン希釈および/またはバッファー交換の可能性を確実にするために、分離ユニットBの出口と第1のさらなる分離ユニットの入口との間、および/または、随意に後に続くさらなる分離ユニット(典型的には直列に接続される)との間の接続線において、1または2以上の弁が位置してもよい。さらなるフロースルーデバイスのマトリックスは、典型的には、以下から選択される:
− 活性炭
− カチオン交換
− ミックスモード
− 分子ふるい
− アニオン交換
【0174】
本発明による方法からもたらされる精製された標的分子を、さらに、処方/無菌化/濃縮のステップなどのさらなるプロセスステップに供してもよく、ここで、標的分子を含有する溶液を無菌化し、所望のバッファー中で所望の濃度となるように処方する。
【0175】
以下の例において、本発明による方法のさらなる態様を列記する:
CIEXキャプチャーおよびAIEXポリッシングを含む例示的な手順において、本発明による方法は、以下により行われる:
a)試料を、分離ユニットA1(例えばカチオン交換材料)上に、入口A(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA1(例えばカチオン交換媒質)に結合させ、未結合の分子を出口A1−Wを通して取り除くことを可能にする;一方、分離ユニットA2(例えばカチオン交換材料)を、結合した標的分子を第1のpHにおけるバッファーAにより洗浄すること、第2のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離ユニットA1の再平衡化ステップのために、入口B(例えば溶媒送達システム)に接続し、ここで、指名された洗浄、再平衡化ステップを行いつつ、分離ユニットA2を出口A2−Wに接続し、指名された溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA2を分離ユニットB(例えばアニオン交換媒質)に接続し、直接的に、標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBを、標的分子を分離ユニットBに結合させることを可能にする条件における、分離ユニットA2からの標的分子のフィーディング、バッファーBによる洗浄、バッファーAによる標的分子の溶離、およびバッファーBによる再平衡化ステップのために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続し、ここで、フィーディング、洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
【0176】
b)試料を、分離ユニットA1(例えばカチオン交換材料)上に、入口A(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、組成物は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を、妥当な損失なしで、高い量の結合した標的分子まで、分離ユニットA1に結合させることを可能にする;一方、分離ユニットA1から浸出し始めた、分離ユニットA2に結合すべき標的分子のキャプチャーを可能にするために、直接的に、分離ユニットA1を分離ユニットA2に接続して、ここで、分離ユニットA2を出口A2−Wに接続して、未結合の分子を取り除く;一方、分離ユニットBを、例えば分離ユニットBの再平衡化のために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続しつつ、分離ユニットBを出口B=Wに接続する。
【0177】
c)組成物を分離ユニットA2(例えばカチオン交換材料)上に入口A(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、組成物は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA2(例えばカチオン交換媒質)に結合させ、出口Bを通して未結合の分子を取り除くことを可能にする;一方、分離ユニットA1(例えばカチオン交換材料)を、結合した標的分子を第1のpHにおけるバッファーAにより洗浄すること、第2のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離ユニットA1の再平衡化ステップのために、入口B(例えば溶媒送達システム)に接続し、ここで、指名された洗浄、再平衡化ステップを行いつつ、分離ユニットA1を出口A1−Wに接続し、指名された溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA1を分離ユニットB(例えばアニオン交換媒質)に接続し、直接的に、標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBを、標的分子を分離ユニットBに結合させることを可能にする条件における、分離ユニットA1からの標的分子のフィーディング、バッファーBによる洗浄、バッファーAによる標的分子の溶離、およびバッファーBによる再平衡化ステップのために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続し、ここで、フィーディング、洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
【0178】
d)組成物を分離ユニットA2(例えばカチオン交換材料)上に入口A(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、組成物は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を、妥当な損失なしで、高い量の結合した標的分子まで、分離ユニットA2に結合させることを可能にする;一方、分離ユニットA2から浸出し始めた、分離ユニットA1に結合するべき標的分子のキャプチャーを可能にするために、直接的に、分離ユニットA2を分離ユニットA1に接続し、ここで、分離ユニットA1を出口A1−Wに接続し、未結合の分子を取り除く;一方、分離ユニットBを、例えば分離ユニットBの再平衡化ステップのために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続しつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、抗体をアニオン交換材料上に結合させ溶離させるために、抗体溶液を第3のバッファーでインライン希釈して溶離する。
好ましくは、ステップa)〜d)は逐次的に行われ、すなわち、それらは同じ順序において2回または3回以上行われる。
【0179】
一態様において、方法は、CIEXキャプチャー、ハイスループットおよびAIEXポリッシングを含む。
CIEXキャプチャー、ハイスループット、およびAIEXポリッシングを含む例示的な手順において、本発明による方法は、以下により行われる:
a)試料を分離カラムA1(例えばカチオン交換材料)上に入口B(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA1に結合させ、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除くことを可能にする;一方、分離カラムA2(例えばカチオン交換材料)を、第1のpHにおけるバッファーAによる結合した標的分子の洗浄、第2のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離カラムA2の再平衡化のために、入口A(例えば溶媒送達システム)と接続する。洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットA2を出口A2−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA2を、接続線C−Pを通して分離ユニットB(例えばアニオン交換媒質)に接続し、直接的に標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBを、標的分子を分離ユニットBに結合させることを可能にする条件における、分離ユニットA2からの標的分子のフィーディングと、その後のバッファーBによる洗浄、バッファーAによる標的分子の溶離、およびバッファーBによる再平衡化のために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続する。フィーディング、洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
【0180】
b)ローディングがカラムA1上でほぼ終了した場合、それをさらに入口B(例えば溶媒送達システム)を通してロードする。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA1に結合させ、未結合の標的分子を、接続線F−Fを直接的に通してカラムA2へ移動し、未結合の分子を出口A2−Wを通して取り除くことを可能にする。同時に、カラムBを、再平衡化のために入口Cに接続する。
【0181】
c)分離ユニットA1のローディングが終了した場合、分離ユニットA1からの未結合の標的分子を、入口Aを用いて洗浄しつつ、分離ユニットA1を、接続線W−Fにより入口Bを通しロードされる分離ユニットA2に接続する。分離ユニットA1から標的分子が少なすぎることが検出された場合はすぐに、接続を断続し、カラムA1出口を出口位置A1−Wに切り替えて、未結合の分子を取り除き、一方、標的分子をさらに分離ユニットA2上にロードして、出口A2−Wを通して未結合の分子を取り除く。
【0182】
d)試料を分離ユニットA2(例えばカチオン交換材料)上に入口B(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、組成物は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA2(例えばカチオン交換媒質)に結合させ、未結合の分子を出口A2−Wを通して取り除くことを可能にする。;一方、分離ユニットA1(例えばカチオン交換材料)を、結合した標的分子を第1のpHにおけるバッファーAにより洗浄すること、第2のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離ユニットAの再平衡化のために、入口B(例えば溶媒送達システム)に接続する。洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットA1を出口A1−Wに接続し、指名された溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA1を、接続線C−Pを通して分離ユニットB(例えばアニオン交換媒質)に接続し、直接的に標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBを、標的分子を分離ユニットBに結合させることを可能にする条件における、分離ユニットA1からの標的分子のフィーディング、バッファーBによる洗浄、バッファーAによる標的分子の溶離、およびバッファーBによる再平衡化のために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続する。フィーディング、洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
【0183】
e)ローディングがカラムA2上でほぼ終了した場合、それをさらに入口B(例えば溶媒送達システム)を通してロードする。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA2に結合させ、未結合の標的分子を、直接的に接続線F−Fを通してカラムA1に移動し、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除くことを可能にする。同時に、カラムBを、再平衡化のために入口Cに接続する。
【0184】
f)分離ユニットA2のローディングが終了した場合、分離ユニットA2からの未結合の標的分子を、入口Aを用いて洗浄しつつ、分離ユニットA2を、接続線W−Fにより、入口Bを通してロードされる分離ユニットA1に接続する。分離ユニットA2からの標的分子が少なすぎることが検出された場合はすぐに、接続を断続し、カラムA2の出口を出口位置A2−Wへ切り替え、未結合の分子を取り除き、一方、標的分子を、さらに分離ユニットA1上にロードし、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除く。
好ましくは、ステップa)〜f)は逐次的に行われ、すなわち、それらは同じ順序において2回または3回以上行われる。
【0185】
一態様において、方法は、CIEXキャプチャー、ウイルス不活化およびAIEXポリッシング(結合&溶離または貫流)を含む。
CIEXキャプチャー、ウイルス不活化およびAIEXポリッシングを含む例示的な手順において、本発明による方法は、以下により行われる:
a)組成物を分離ユニットA1(例えばカチオン交換材料)上に入口A(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、組成物は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA1(例えばカチオン交換媒質)に結合させ、、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除くことを可能にする;一方、分離ユニットA2(例えばカチオン交換材料)を、結合した標的分子を第1のpHにおけるバッファーAにより洗浄すること、第2のpHにおけるバッファーCによるウイルス不活化、第3のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離ユニットA2の再平衡化ステップのために、入口B(例えば溶媒送達システム)に接続し、ここで、指名された洗浄、ウイルス不活化および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットA2を出口A2−Wに接続し、指名された溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA2を分離ユニットB(例えばアニオン交換媒質)に接続し、直接的に、標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBを、標的分子を分離ユニットBに結合させることを可能にする条件における、分離ユニットA2からの標的分子のフィーディング、バッファーBによる洗浄、バッファーAによる標的分子の溶離、およびバッファーBによる再平衡化ステップのために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続し、ここで、フィーディング、洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
【0186】
b)組成物を分離ユニットA2(例えばカチオン交換材料)上に入口A(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、組成物は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA2(例えばカチオン交換媒質)に結合させ、出口A2−Wを通して未結合の分子を取り除くことを可能にする;一方、分離ユニットA1(例えばカチオン交換材料)を、結合した標的分子を第1のpHにおけるバッファーAにより洗浄すること、第2のpHにおけるバッファーCによるウイルス不活化、第3のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離ユニットA1の再平衡化ステップのために、入口B(例えば溶媒送達システム)に接続し、ここで、指名された洗浄、ウイルス不活化および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットA1を出口A1−Wに接続し、指名された溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA1を分離ユニットB(例えばアニオン交換媒質)に接続し、直接的に、標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBを、標的分子を分離ユニットBに結合させることを可能にする条件における、分離ユニットA1からの標的分子のフィーディング、バッファーBによる洗浄、バッファーAによる標的分子の溶離、およびバッファーBによる再平衡化ステップのために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続し、ここで、フィーディング、洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
好ましくは、ステップa)〜b)は逐次的に行われ、すなわち、それらは同じ順序において2回または3回以上行われる。
【0187】
一態様において、方法は、CIEXキャプチャー、ハイスループット、ウイルス不活化およびAIEXポリッシングを含む。CIEXキャプチャー、ハイスループット、ウイルス不活化およびAIEXポリッシングを含む例示的な手順において、本発明による方法は、以下により行われる:
a)試料を分離カラムA1(例えばカチオン交換材料)上に入口B(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA1に結合させ、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除くことを可能にする;一方、分離カラムA2(例えばカチオン交換材料)を、第1のpHにおけるバッファーAによる結合した標的分子の洗浄、ウイルス不活化バッファーによるウイルス不活化ステップ、第2のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離カラムA2の再平衡化のために、入口A(例えば溶媒送達システム)に接続する。洗浄、ウイルス不活化および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットA2を出口A2−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA2を、接続線C−Pを通して分離ユニットB(例えばアニオン交換媒質)に接続し、直接的に標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBを、標的分子を分離ユニットBに結合させることを可能にする条件における、分離ユニットA2からの標的分子のフィーディングと、その後のバッファーBによる洗浄、バッファーAによる標的分子の溶離、およびバッファーBによる再平衡化のために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続する。フィーディング、洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
【0188】
b)ローディングがカラムA1上でほぼ終了した場合、それをさらに入口B(例えば溶媒送達システム)を通してロードする。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA1に結合させ、未結合の標的分子を、接続線F−Fを直接的に通してカラムA2へ移動し、未結合の分子を出口A2−Wを通して取り除くことを可能にする。同時に、カラムBを、再平衡化のために入口Cに接続する。
【0189】
c)分離ユニットA1のローディングが終了した場合、分離ユニットA1からの未結合の標的分子を、入口Aを用いて洗浄しつつ、分離ユニットA1を、接続線W−Fにより入口Bを通しロードされる分離ユニットA2に接続する。分離ユニットA1から標的分子が少なすぎることが検出された場合はすぐに、接続を断続し、カラムA1出口を出口位置A1−Wに切り替えて、未結合の分子を取り除き、一方、標的分子をさらに分離ユニットA2上にロードして、出口A2−Wを通して未結合の分子を取り除く。
【0190】
d)試料を分離ユニットA2(例えばカチオン交換材料)上に入口B(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、組成物は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA2(例えばカチオン交換媒質)に結合させ、未結合の分子を出口A2−Wを通して取り除くことを可能にする;一方、分離ユニットA1(例えばカチオン交換材料)を、第1のpHにおけるバッファーAによる結合した標的分子の洗浄、ウイルス不活化バッファーによるウイルス不活化ステップ、第2のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離カラムA1の再平衡化のために、入口B(例えば溶媒送達システム)に接続する。洗浄、ウイルス不活化および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットA1を出口A1−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA1を、接続線C−Pを通して分離ユニットB(例えばアニオン交換媒質)に接続し、直接的に標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBは、標的分子を分離ユニットBに結合させることを可能にする条件における、分離ユニットA1からの標的分子のフィーディング、バッファーBによる洗浄、バッファーAによる標的分子の溶離、およびバッファーBによる再平衡化のために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続される。フィーディング、洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
【0191】
e)ローディングがカラムA2上でほぼ終了した場合、それをさらに入口B(例えば溶媒送達システム)を通してロードする。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA2に結合させ、未結合の標的分子を、直接的に接続線F−Fを通してカラムA1に移動し、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除くことを可能にする。同時に、カラムBを、再平衡化のために入口Cに接続する。
【0192】
f)分離ユニットA2のローディングが終了した場合、分離ユニットA2からの未結合の標的分子を、入口Aを用いて洗浄しつつ、分離ユニットA2を、接続線W−Fにより、入口Bを通してロードされる分離ユニットA1に接続する。分離ユニットA2からの標的分子が少なすぎることが検出された場合はすぐに、接続を断続し、カラムA2の出口を出口位置A2−Wへ切り替え、未結合の分子を取り除き、一方、標的分子を、さらに分離ユニットA1上にロードし、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除く。
好ましくは、ステップa)〜f)は逐次的に行われ、すなわち、それらは同じ順序において2回または3回以上行われる。
【0193】
一態様において、方法は、ProtAキャプチャー、CIEXポリッシング(結合&溶離)およびウイルス不活化を含む。ProtAキャプチャー、CIEXポリッシング(結合&溶離)およびウイルス不活化を含む例示的な手順において、本発明による方法は、以下のステップを行うことにより、行うことができる:
a)組成物を、分離ユニットA1(例えばProtAカラムアフィニティーマトリックス)上に、入口A(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、組成物は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA1に結合させて、未結合の分子を出口A1−Wを通して取り除くことを可能にする;一方、分離ユニットA2(例えばProtA材料)を、結合した標的分子を第1のpHにおけるバッファーAにより洗浄すること、第2のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離ユニットA1の再平衡化ステップのために、入口B(例えば溶媒送達システム)に接続し、ここで、指名された洗浄、再平衡化ステップを行いつつ、分離ユニットA2を出口A2−Wに接続し、指名された溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA2を分離ユニットB(例えばカチオン交換媒質)に連結し、直接的に、標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBを、標的分子を分離ユニットBに結合させることを可能にする条件における、分離ユニットA2からの標的分子のフィーディング、バッファーBによる洗浄、バッファーCによるウイルス不活化、およびバッファーAによる標的分子の溶離、およびバッファーBによる再平衡化ステップのために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続し、ここで、フィーディング、洗浄、ウイルス不活化および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
【0194】
b)組成物を、分離ユニットA1上に、入口A(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、組成物は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を、妥当な損失なしで、高い量の結合した標的分子まで、分離ユニットA1に結合させることを可能にする;一方、分離ユニットA1から浸出し始めた、分離ユニットA2に結合すべき標的分子のキャプチャーを可能にするために、直接的に、分離ユニットA1を分離ユニットA2に接続して、ここで、分離ユニットA2を出口A2−Wに接続して、未結合の分子を取り除く;一方、分離ユニットBを、例えば分離ユニットBの再平衡化のために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続しつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続する。
【0195】
c)組成物を、分離ユニットA2(例えばProtA材料)上に入口A(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、組成物は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA2に結合させ(例えばProtA媒質)、出口A2−Wを通して未結合の分子を取り除くことを可能にする;一方、分離ユニットA1(例えばアフィニティー材料)を、結合した標的分子を第1のpHにおけるバッファーAにより洗浄すること、第2のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離ユニットA1の再平衡化ステップのために、入口B(例えば溶媒送達システム)に接続し、ここで、指名された洗浄、および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットA1を出口Aに接続し、指名された溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA1を分離ユニットB(例えばカチオン交換媒質)に接続し、直接的に、標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBを、標的分子を分離ユニットBに結合させることを可能にする条件における、分離ユニットA1からの標的分子のフィーディング、バッファーBによる洗浄、第3のpHにおけるバッファーCによるウイルス不活化、バッファーAによる標的分子の溶離、およびバッファーBによる再平衡化ステップのために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続し、ここで、フィーディング、洗浄、ウイルス不活化および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
【0196】
d)組成物を、分離ユニットA2(例えばアフィニティー材料)上に入口A(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、組成物は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を、妥当な損失なしで、高い量の結合した標的分子まで、分離ユニットA2に結合させることを可能にする;一方、分離ユニットA2から浸出し始めた、分離ユニットA1に結合するべき標的分子のキャプチャーを可能にするために、直接的に分離ユニットA2を分離ユニットA1に接続し、ここで、分離ユニットA1を出口A1−Wに接続して、未結合の分子を取り除く;一方、分離ユニットBを、例えば分離ユニットBの再平衡化のために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続しつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続する。
好ましくは、ステップa)〜d)は逐次的に行われ、すなわち、それらは同じ順序において2回または3回以上行われる。
【0197】
一態様において、方法は、ProtAキャプチャー、ハイスループットおよびCIEXポリッシングを含む。ProtAキャプチャー、ハイスループットおよびCIEXポリッシングを含む例示的な手順において、本発明による方法は、以下により行われる:
a)試料を分離カラムA1(例えばProtAアフィニティーマトリックス)上に、入口B(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること、ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA1に結合させ、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除くことを可能にする;一方、分離カラムA2(例えばProtAアフィニティーマトリックス)を、第1のpHにおけるバッファーAによる結合した標的分子の洗浄、ウイルス不活化バッファーによるウイルス不活化ステップ、第2のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離カラムA2の再平衡化のために、入口A(例えば溶媒送達システム)に接続する。洗浄、ウイルス不活化および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットA2を出口A2−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA2を、接続線C−Pを通して分離ユニットB(例えばカチオン交換媒質)に接続し、直接的に、標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBを、標的分子を分離ユニットBに結合させることを可能にする条件における、分離ユニットA2からの標的分子のフィーディングと、その後のバッファーBによる洗浄、バッファーAによる標的分子の溶離、およびバッファーBによる再平衡化のために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続する。フィーディング、洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
【0198】
b)ローディングがカラムA1上でほぼ終了した場合、それをさらに入口B(例えば溶媒送達システム)を通してロードする。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA1に結合させ、未結合の標的分子を、接続線F−Fを直接的に通してカラムA2へ移動し、未結合の分子を出口A2−Wを通して取り除くことを可能にする。同時に、カラムBを、再平衡化のために入口Cに接続する。
【0199】
c)分離ユニットA1のローディングが終了した場合、分離ユニットA1からの未結合の標的分子を、入口Aを用いて洗浄しつつ、分離ユニットA1を、接続線W−Fにより入口Bを通しロードされる分離ユニットA2に接続する。分離ユニットA1から標的分子が少なすぎることが検出された場合はすぐに、接続を断続し、カラムA1出口を出口位置A1−Wに切り替えて、未結合の分子を取り除き、一方、標的分子をさらに分離ユニットA2上にロードして、出口A2−Wを通して未結合の分子を取り除く。
【0200】
d)試料を、分離ユニットA2(例えばProtAアフィニティーマトリックス)上に、入口B(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、組成物は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA2に結合させ、(例えばProtAアフィニティーマトリックス)未結合の分子を出口A2−Wを通して取り除くことを可能にする;一方、分離ユニットA1(例えばProtAアフィニティーマトリックス)を、第1のpHにおけるバッファーAによる結合した標的分子の洗浄、ウイルス不活化バッファーによるウイルス不活化ステップ、第2のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離カラムA2の再平衡化のために、入口B(例えば溶媒送達システム)に接続する。洗浄、ウイルス不活化および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットA1を出口A1−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA1を、接続線C−Pを通して分離ユニットB(例えばカチオン交換媒質)に接続し、直接的に、標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBを、標的分子を分離ユニットBに結合させることを可能にする条件における、分離ユニットA1からの標的分子のフィーディング、バッファーBによる洗浄、バッファーAによる標的分子の溶離、およびバッファーBによる再平衡化のために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続する。フィーディング、洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
【0201】
e)ローディングがカラムA2上でほぼ終了した場合、それをさらに入口B(例えば溶媒送達システム)を通してロードする。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA2に結合させ、未結合の標的分子を、直接的に接続線F−Fを通してカラムA1に移動し、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除くことを可能にする。同時に、カラムBを、再平衡化のために入口Cに接続する。
【0202】
f)分離ユニットA2のローディングが終了した場合、分離ユニットA2からの未結合の標的分子を、入口Aを用いて洗浄しつつ、分離ユニットA2を、接続線W−Fにより、入口Bを通してロードされる分離ユニットA1に接続する。分離ユニットA2からの標的分子が少なすぎることが検出された場合はすぐに、接続を断続し、カラムA2の出口を出口位置A2−Wへ切り替え、未結合の分子を取り除き、一方、標的分子を、さらに分離ユニットA1上にロードし、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除く。
好ましくは、ステップa)〜f)は逐次的に行われ、すなわち、それらは同じ順序において2回または3回以上行われる。
【0203】
一態様において、方法は、結合−溶離モードにおけるProtAキャプチャー、およびフロースルーモードにおけるハイスループットおよびミックスモードポリッシングを含む。ProtAキャプチャー、ハイスループット、およびミックスモードポリッシングを含む例示的な手順において、本発明による方法は、以下により行われる:
a)試料を分離カラムA1(例えばProtAアフィニティーマトリックス)上に、入口B(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA1に結合させ、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除くことを可能にする;一方、分離カラムA2(例えばProtAアフィニティーマトリックス)を、第1のpHにおけるバッファーAによる結合した標的分子の洗浄、ウイルス不活化バッファーによるウイルス不活化ステップ、第2のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離カラムA2の再平衡化のために、入口A(例えば溶媒送達システム)に接続する。洗浄、ウイルス不活化および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットA2を出口A2−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA2を、接続線C−Pを通して分離ユニットB(例えばミックスモード媒質)に接続し、直接的に、標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBを、標的分子が分離ユニットBに弱く結合するかまたは結合しないことを可能にする条件下における分離ユニットA2からの標的分子のフィーディングのために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続し、その後、バッファーBで再平衡化する。再平衡化ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、フィーディングステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
【0204】
b)ローディングがカラムA1上でほぼ終了した場合、それをさらに入口B(例えば溶媒送達システム)を通してロードする。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA1に結合させ、未結合の標的分子を、接続線F−Fを直接的に通してカラムA2へ移動し、未結合の分子を出口A2−Wを通して取り除くことを可能にする。同時に、カラムBを、再平衡化のために入口Cに接続する。
【0205】
c)分離ユニットA1のローディングが終了した場合、分離ユニットA1からの未結合の標的分子を、入口Aを用いて洗浄しつつ、分離ユニットA1を、接続線W−Fにより入口Bを通しロードされる分離ユニットA2に接続する。分離ユニットA1から標的分子が少なすぎることが検出された場合はすぐに、接続を断続し、カラムA1出口を出口位置A1−Wに切り替えて、未結合の分子を取り除き、一方、標的分子をさらに分離ユニットA2上にロードして、出口A2−Wを通して未結合の分子を取り除く。
【0206】
d)試料を、分離ユニットA2(例えばProtAアフィニティーマトリックス)上に、入口B(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、組成物は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA2に結合させ、(例えばProtAアフィニティーマトリックス)未結合の分子を出口A2−Wを通して取り除くことを可能にする;一方、分離ユニットA1(例えばProtAアフィニティーマトリックス)を、第1のpHにおけるバッファーAによる結合した標的分子の洗浄、ウイルス不活化バッファーによるウイルス不活化ステップ、第2のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離カラムA2の再平衡化のために、入口B(例えば溶媒送達システム)に接続する。洗浄、ウイルス不活化および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットA1を出口A1−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA1を、接続線C−Pを通して分離ユニットB(例えばカチオン交換媒質)に接続し、直接的に、標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBを、標的分子が分離ユニットBに弱く結合するかまたは結合しないことを可能にする条件における分離ユニットA1からの標的分子のフィーディングのために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続し、その後、バッファーBで再平衡化する。再平衡化ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、フィーディングステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
【0207】
e)ローディングがカラムA2上でほぼ終了した場合、それをさらに入口B(例えば溶媒送達システム)を通してロードする。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA2に結合させ、未結合の標的分子を、直接的に接続線F−Fを通してカラムA1に移動し、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除くことを可能にする。同時に、カラムBを、再平衡化のために入口Cに接続する。
【0208】
f)分離ユニットA2のローディングが終了した場合、分離ユニットA2からの未結合の標的分子を、入口Aを用いて洗浄しつつ、分離ユニットA2を、接続線W−Fにより、入口Bを通してロードされる分離ユニットA1に接続する。分離ユニットA2からの標的分子が少なすぎることが検出された場合はすぐに、接続を断続し、カラムA2の出口を出口位置A2−Wへ切り替え、未結合の分子を取り除き、一方、標的分子を、さらに分離ユニットA1上にロードし、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除く。
好ましくは、ステップa)〜f)は逐次的に行われ、すなわち、それらは同じ順序において2回または3回以上行われる。
【0209】
一態様において、方法は、AIEXキャプチャー、ハイスループット、CIEXポリッシング(結合&溶離)およびウイルス不活化を含む。AIEXキャプチャー、ハイスループット、CIEXポリッシング(結合&溶離)およびウイルス不活化を含む例示的な手順において、本発明による方法は、以下により行われる:
a)試料を、分離カラムA1(例えばアニオン交換材料)上に、入口B(例えば溶媒送達システム)を通してフィードすること。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA1に結合させ、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除くことを可能にする;一方、分離カラムA2(例えばアニオン交換材料)を、第1のpHにおけるバッファーAによる結合した標的分子の洗浄、第2のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離カラムA2の再平衡化のために、入口A(例えば溶媒送達システム)と接続する。洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットA2を出口A2−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットA2を、接続線C−Pを通して分離ユニットB(例えばカチオン交換媒質)に接続し、直接的に、標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBを、標的分子を分離ユニットBに結合させることを可能にする条件における、分離ユニットA2からの標的分子のフィーディングと、その後のバッファーBによる洗浄、ウイルス不活化バッファーによるウイルス不活化ステップ、バッファーAによる標的分子の溶離、およびバッファーBによる再平衡化のために入口C(例えば溶媒送達システム)に接続する。フィーディング、洗浄、ウイルス不活化および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
【0210】
b)ローディングがカラムA1上でほぼ終了した場合、それをさらに入口B(例えば溶媒送達システム)を通してロードする。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA1に結合させ、未結合の標的分子を、接続線F−Fを直接的に通してカラムA2へ移動し、未結合の分子を出口A2−Wを通して取り除くことを可能にする。同時に、カラムBを、再平衡化のために入口Cに接続する。
【0211】
c)分離ユニットA1のローディングが終了した場合、分離ユニットA1からの未結合の標的分子を、入口Aを用いて洗浄しつつ、分離ユニットA1を、接続線W−Fにより入口Bを通しロードされる分離ユニットA2に接続する。分離ユニットA1から標的分子が少なすぎることが検出された場合はすぐに、接続を断続し、カラムA1出口を出口位置A1−Wに切り替えて、未結合の分子を取り除き、一方、標的分子をさらに分離ユニットA2上にロードして、出口A2−Wを通して未結合の分子を取り除く。
【0212】
d)試料を、分離ユニットA2(例えばアニオン交換材料)上に、入口B(例えば溶媒送達システム)を通してフィードする。ここで、組成物は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA2に結合させ(例えばアニオン交換材料)、未結合の分子を出口A2−Wを通して取り除くことを可能にする;一方、分離ユニットA1(例えばアニオン交換材料)を、第1のpHにおけるバッファーAによる結合した標的分子の洗浄、第2のpHにおけるバッファーBによる結合した標的分子の溶離、およびバッファーAによる分離カラムA2の再平衡化のために、入口B(例えば溶媒送達システム)に接続する。洗浄および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットA2を、接続線C−Pを通して分離ユニットB(例えばカチオン交換媒質)に接続し、直接的に、標的分子を分離ユニットBに移動する;一方、分離ユニットBを、標的分子を分離ユニットBに結合させることを可能にする条件における、分離ユニットA1からの標的分子のフィーディング、バッファーBによる洗浄、ウイルス不活化バッファーによるウイルス不活化ステップ、バッファーAによる標的分子の溶離、およびバッファーBによる再平衡化のために、入口C(例えば溶媒送達システム)に接続する。フィーディング、洗浄、ウイルス不活化および再平衡化のステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Wに接続し、溶離ステップを行いつつ、分離ユニットBを出口B−Pに接続して、精製された標的分子(例えば抗体)を取り除く。
【0213】
e)ローディングがカラムA2上でほぼ終了した場合、それをさらに入口B(例えば溶媒送達システム)を通してロードする。ここで、試料は、第1のpHおよび伝導率にあり、このことが、標的分子(例えば抗体)を分離ユニットA2に結合させ、未結合の標的分子を、直接的に接続線F−Fを通してカラムA1に移動し、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除くことを可能にする。同時に、カラムBを、再平衡化のために入口Cに接続する。
【0214】
f)分離ユニットA2のローディングが終了した場合、分離ユニットA2からの未結合の標的分子を、入口Aを用いて洗浄しつつ、分離ユニットA2を、接続線W−Fにより、入口Bを通してロードされる分離ユニットA1に接続する。分離ユニットA2からの標的分子が少なすぎることが検出された場合はすぐに、接続を断続し、カラムA2の出口を出口位置A2−Wへ切り替え、未結合の分子を取り除き、一方、標的分子を、さらに分離ユニットA1上にロードし、出口A1−Wを通して未結合の分子を取り除く。
好ましくは、ステップa)〜f)は逐次的に行われ、すなわち、それらは同じ順序において2回または3回以上行われる。
【0215】
本発明による装置および方法は、抗体などの標的分子の精製のための、時間を節約する2ステップのクロマトグラフィーの手順のための可能性を、初めて提供する。特有の選択性が必要とされる場合、手順を、例えばアフィニティーキャプチャーおよびカチオン交換ポリッシングを用いて行い、アフィニティー吸着剤を回避する場合は、精製プロセスを、カチオンキャプチャーおよびアニオンポリッシング、またはアニオンキャプチャーおよびカチオンポリッシングを用いるイオン交換クロマトグラフィーによるアフィニティークロマトグラフィーステップ(Prot A)の交換を介して行う。このことは、より長い樹脂使用時間、定置洗浄、安価な樹脂、および複数のバイオ医薬化合物へのその適用性の利点を有する。
【0216】
カラム上でのウイルス不活化を介したこの精製プロセスの最適化により、処理時間を短縮することができる。しばしば、処理時間は、時間の半分まで、またはそれより短く短縮される。
上および下で引用される全ての出願、特許および刊行物、ならびに、2011年10月4日に出願された対応するEP出願EP 11008021.5、ならびに、2012年6月29日に出願された米国仮出願61/666,338の刊行物は、本明細書により参考として援用される。
【0217】

以下の例は、本発明の実際の適用を代表する。
1.
溶液の全成分の17%(分析SECにより)を構成する0.9mg/mlのモノクローナル抗体を有するモノクローナル抗体細胞培養溶液(ここで、HCPの量は抗体600000ng/mg(酵素免疫測定アッセイSP 2/0により)であった)を、第1のモードにおいてEshmuno(商標) S樹脂(カラムA1およびA2に類似する)および第2のモードにおいてCapto(商標) Adhere(カラムBに類似する)上で、以下の条件下において精製した。クロマトグラフィー条件:第1のモード−33.5mlのEshmuno(商標) S樹脂を、16×150mmカラム中に充填した;カラムを次いで、20mMのNaCl(pH4.5)を含有する25mMのリン酸バッファーで、30ml/分(1000cm/時間)において平衡化した。第2のモード−33.5mlのCapto(商標) Adhere樹脂を、16×150mmカラム中に充填した;カラムを次いで、20mMのNaCl(pH9)を含有する50mMのTRISバッファーで、15ml/分(500cm/時間)において、平衡化した。試料を調製するために:モノクローナル抗体細胞培養溶液を水で1:2に希釈し、10分間撹拌しながら0.5%カプリル酸を添加した。形成された沈澱を、さらに20分間沈下させた。得られた溶液を0.45μmフィルターを通して濾過し、pH5.5まで約6mS/cmの伝導率において滴定した。3000mlの試料をEshmuno(商標) Sカラム上にロードし、カラムを次いで25mMの酢酸(pH4.6)で洗浄した。次いで、カラムを25mMのリン酸(pH6.3)で洗浄した。流速を次いで300cm/時間(10ml/分)まで減少させ、50mMのTRIS、20mMのNaCl(pH〜7.5)までの直線勾配における10カラム容積により、Capto(商標) Adhereカラム上へ抗体を溶離させた(伝導率:約3.3mS/cm)。50mMのTRISバッファーによるインライン希釈を用いて、溶離溶液のpH値を8.5まで増大させた。Capto(商標) Adhereカラムを次いで、50mMのTRISバッファー(pH8.5)で逐次的に洗浄し、10mMのクエン酸、10mMのリン酸および20mMのNaCl(pH3.5)までの直線勾配における10カラム容積により抗体を溶離させた。溶離された画分は、3.2mg/mlの抗体を含有し、これは全成分の99.9%を構成し(分析SECによる)、ここで、HCPの量は抗体33ng/mg(酵素免疫測定アッセイSP 2/0により)であった。溶離の後で、両方のカラムを、1MのNaClで、次いで1MのNaOHでストリップした。
【0218】
2.カチオンキャプチャー+アニオンフロースルー
溶液の全成分の17%(分析SECにより)を構成する0.9mg/mlのモノクローナル抗体を有するモノクローナル抗体細胞培養溶液(ここで、HCPの量は抗体600000ng/mg(酵素免疫測定アッセイSP 2/0による)であった)を、第1のモードにおいてEshmuno(商標) S樹脂(カラムA1およびA2に類似する)および第2のモードにおいてFractogel(商標) TMAE (M)(カラムBに類似する)上で以下の条件下において精製した。クロマトグラフィー条件:第1のモード−33.5mlのEshmuno(商標) S樹脂を、16×150mmカラム中に充填した;カラムを次いで20mMのNaClを含有する25mMのリン酸バッファー(pH4.5)で、30ml/分(1000cm/時間)において平衡化した。第2のモード−33.5mlのFractogel(商標) TMAE (M)樹脂を、16×150mmカラム中に充填した;カラムを次いで20mMのNaCl(pH8.6)を含有する50mMのTRISバッファーにより、15ml/分(500cm/時間)において平衡化した。試料を調製するために:モノクローナル抗体細胞培養溶液を水で1:2に希釈し、10分間撹拌しながら0.5%カプリル酸を添加した。形成された沈澱を、さらに20分間沈下させた。得られた溶液を0.45μmフィルターを通して濾過し、pH5.5まで約6mS/cmの伝導率において滴定した。3000mlの試料をEshmuno(商標) Sカラム上にロードし、カラムを次いで25mMの酢酸(pH4.6)で洗浄した。次いで、カラムを25mMのリン酸(pH6.3)で洗浄した。流速を次いで300cm/時間(10ml/分)まで減少させ、10カラム容積の、100mMのTRIS、20mMのNaCl(pH〜8.5)(伝導率:約4.6mS/cm)によりFractogel(商標) TMAE (M)カラム上へ抗体を溶離させた。100mMのTRISバッファーによるインライン希釈を用いて、溶離溶液のpH値を8.6に保持した。Fractogel(商標) TMAE (M)カラムを次いで、50mMのTRISバッファー(pH8.5)で逐次的に洗浄し、残った抗体を2カラム容積で洗浄した。フロースルー画分は、2.8mg/mlの抗体を含み、これは全成分の99.9%を構成し(分析SECによる)、ここで、HCPの量は、抗体30ng/mgであった(酵素免疫測定アッセイSP 2/0により)。Eshmuno(商標) Sのための溶離およびFractogel(商標) TMAE (M)カラムのための洗浄の後で、両方のカラムを、1MのNaClで、次いで1MのNaOHによりストリップした。
【0219】
3.ProtAキャプチャー+カチオンポリッシング
溶液の全成分の17%(分析SECによる)を構成する0.9mg/mlのモノクローナル抗体を有するモノクローナル抗体細胞培養溶液(ここで、HCPの量は抗体600000ng/mg(酵素免疫測定アッセイSP 2/0による)であった)を、第1のモードにおいてProsep(登録商標)Ultra Plus樹脂(カラムA1およびA2に類似する)および第2のモードにおいてEshmuno(商標) S(カラムBに類似する)上で、以下の条件下において精製した。クロマトグラフィー条件:第1のモード−33.5mlのProsep Ultra(登録商標)Plus樹脂を、16×150mmカラム中に充填した;カラムを次いで20mMのNaCl(pH7.2)を含有する25mMのリン酸バッファーで、30ml/分(1000cm/時間)において平衡化した。第2のモード−33.5mlのEshmuno(商標) S樹脂を、16×150mmカラム中に充填した;カラムを次いで20mMのNaClを含有する10mMのグリシンバッファー(pH4.0)で30ml/分(1000cm/時間)において平衡化した。試料を調製するために:モノクローナル抗体細胞培養溶液を0.45μmフィルターを通して濾過し、pH7.2まで約16mS/cmの伝導率において滴定した。1500mlの試料をProsep(登録商標)Ultra Plusカラム上にロードし、カラムを次いで20mMのNaClを含有する25mMのリン酸バッファー(pH7.2)で洗浄した。流速を次いで300cm/時間(10ml/分)まで減少させ、10カラム容積の、20mMのNaClを含む10mMのグリシンバッファー(pH〜5.0)(伝導率:約3.6mS/cm)で、Eshmuno(商標) Sカラム上に抗体を溶離させた。10mMのグリシンバッファーによるインライン希釈を用いて、溶離溶液のpH値を〜5.5に保持した。Eshmuno(商標) Sカラムを次いで、10mMのグリシンバッファー(pH4.0)で逐次的に洗浄し、20mMのNaClを含有する25mMのリン酸バッファー(pH7.2)までの直線勾配における10カラム容積により抗体を溶離させた。溶離画分は、4.5mg/mlの抗体を含み、これは全成分の99.9%(分析SECによる)を構成し、ここでHCPの量は抗体40ng/mgであった(酵素免疫測定アッセイSP 2/0により)。溶離の後で、Prosep Ultra Plusカラムを、0.15MのHPOで、Eshmuno(商標) Sカラムを1MのNaClで、次いで1MのNaOHでストリップした。
【0220】
4.ProtAキャプチャー+ミックスイオン交換フロースルー
溶液の全成分の10%(分析SECによる)を構成する1.25mg/mlのモノクローナル抗体を有するモノクローナル抗体細胞培養溶液(ここで、HCPの量は抗体250000ng/mg(酵素免疫測定アッセイCHOによる)であった)を、第1のモードにおいてProsep(登録商標)-vA High Capacity樹脂(カラムA1およびA2に類似する)、ならびに第2のモードにおいてEshmuno(商標) SおよびFractogel(登録商標)TMAE Hicap(カラムBに類似する)上で、以下の条件下において精製した。クロマトグラフィー条件:第1のモード−17.3mlのProsep(登録商標)-vA High Capacity樹脂を16×8.6mmカラム中に充填した;カラムを次いで20mMのNaClを含有する25mMのTRISバッファー(pH7.0)で30ml/分(1000cm/時間)において平衡化した。第2のモード−16.75mlのEshmuno(商標) S樹脂を16×75mmカラム中に充填し、16.75mlのFractogel(登録商標)TMAE Hicap樹脂を16×75mmカラム中に充填し、両方のカラムを1つの分離ユニットにおいて組み合わせた;この分離ユニットを次いで、20mMのNaClを含有する25mMのTRISバッファー(pH7.4)で30ml/分(1000cm/時間)において平衡化した。試料を調製するために:モノクローナル抗体細胞培養溶液を、0.8μmおよび0.2μmの孔を有するデプスフィルターを通して濾過し、約18mS/cmの伝導率においてpH7.2まで滴定した。220mlの試料をProsep(登録商標)-vA High Capacityカラム上にロードし、カラムを次いで500mMのNaClを含有する25mMのTRISバッファー(pH7.2)で洗浄した。流速を次いで300cm/時間(10ml/分)まで減少させ、10カラム容積の、20mMのNaClを含有する10mMのグリシンバッファー(pH〜4.0)(伝導率:約3.6mS/cm)でEshmuno(商標) S/ Fractogel(登録商標)TMAE Hicapカラム上に抗体を溶離させた。100mMのTRISバッファーによるインライン希釈を用いて、溶離溶液のpH値を〜7.4に保持した。貫流した画分は、5.67mg/mlの抗体を含有し、これは全成分の99.9%(分析SECによる)を構成し、ここでHCPの量は、<50ng/mgの抗体であった(酵素免疫測定アッセイCHOによる)。溶離の後で、Prosep(登録商標)-vA High Capacityカラムを0.15MのHPOで、およびEshmuno(商標) S/Fractogel(登録商標)TMAE Hicapカラムを1MのNaClで、および次いで1MのNaOHでストリップした。
【0221】
5.ProtAキャプチャー+ミックスモードフロースルー
溶液の全成分の10%(分析SECによる)を構成する1.25mg/mlのモノクローナル抗体を有するモノクローナル抗体細胞培養溶液(ここで、HCPの量は抗体250000ng/mg(酵素免疫測定アッセイCHOによる)であった)を、第1のモードにおいてProsep(登録商標)-vA High Capacity樹脂(カラムA1およびA2に類似する)、ならびに第2のモードにおいてEshmuno(商標) SおよびFractogel(登録商標)TMAE Hicap(カラムBに類似する)上で、以下の条件下において精製した。クロマトグラフィー条件:第1のモード−17.3mlのProsep(登録商標)-vA High Capacity樹脂を16×8.6mmカラム中に充填した;カラムを次いで20mMのNaClを含有する25mMのTRISバッファー(pH7.0)で30ml/分(1000cm/時間)において平衡化した。第2のモード−16.75mlのCapto(商標) Adhere樹脂を16×75mmカラム中に充填し、16.75mlのCapto(商標) MMC樹脂を16×75mmカラム中に充填し、両方のカラムを1つの分離ユニットにおいて組み合わせた;この分離ユニットを次いで、50mMのNaClを含有する25mMのTRISバッファー(pH7.4)で30ml/分(1000cm/時間)において平衡化した。試料を調製するために:モノクローナル抗体細胞培養溶液を、0.8μmおよび0.2μmの孔を有するデプスフィルターを通して濾過し、約18mS/cmの伝導率においてpH7.2まで滴定した。220mlの試料をProsep(登録商標)-vA High Capacityカラム上にロードし、カラムを次いで500mMのNaClを含有する25mMのTRISバッファー(pH7.2)で洗浄した。流速を次いで300cm/時間(10ml/分)まで減少させ、10カラム容積の、50mMのNaClを含有する50mMのグリシンバッファー(pH〜4.0)(伝導率:約7.6mS/cm)で、Capto(商標) Adhere/ Capto(商標) MMCカラム上に抗体を溶離させた。100mMのTRISバッファーによるインライン希釈を用いて、溶離溶液のpH値を〜7.2に保持した。貫流した画分は、6.15mg/mlの抗体を含有し、これは全成分の99.9%(分析SECによる)を構成し、ここでHCPの量は、<30ng/mgの抗体であった(酵素免疫測定アッセイCHOによる)。溶離の後で、Prosep(登録商標)-vA High Capacityカラムを0.15MのHPOで、Capto(商標) Adhere/ Capto(商標) MMCカラムを1MのNaClおよび次いで1MのNaOHでストリップした。
図1
図2
図3
図4
図5