(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記信号処理部は、前記第2表示領域内の所定の点における前記補正値を、前記境界上の第1の点における前記第1表示領域及び前記第2表示領域の第1輝度差と、前記境界上の第2の点における前記第1表示領域及び前記第2表示領域の第2輝度差とを、前記境界に直角な第1方向における前記境界から前記所定の点までの第1距離と、前記境界に平行な第2方向における前記第1の点又は前記第2の点から前記所定の点までの第2距離とに応じて配分することによって決定する、請求項1又は2記載の表示装置。
前記信号処理部は、複数の前記所定の点についての複数の補正値を、前記配分することによって求まる値に、乱数を加算又は減算することによって決定する、請求項3記載の表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の表示装置を適用した実施の形態について説明する。
【0010】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1の表示装置を示す図である。
【0011】
図1に示すように、実施の形態1の表示装置100は、表示部10、駆動ドライバ20、30、及び信号処理装置40を含む。
【0012】
表示部10は、例えば、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、又は有機ELディスプレイ等である。表示部10は、駆動ドライバ20、30によって駆動され、信号処理装置40から出力される画像信号に基づく画像が表示される。
【0013】
表示部10は、左半分の表示部10Aと、右半分の表示部10Bとの2つの表示部を並べて配置したものである。
【0014】
駆動ドライバ20、30は、表示部10を駆動する駆動部である。駆動ドライバ20は、表示部10の横方向(X方向)の走査を行い、駆動ドライバ30は、表示部10の縦方向(Y方向)の走査を行う。
【0015】
信号処理装置40は、表示部10に表示させるための画像信号(映像信号)を画像データに基づいて生成し、駆動ドライバ20、30を介して、表示部10に表示させる。
【0016】
このような実施の形態1の表示装置100において、表示部10は、左半分の表示部10Aと、右半分の表示部10Bとの2つの表示部を並べて配置しているため、表示部10Aと表示部10Bとの境界では、輝度に差が生じる可能性がある。左半分の表示部10Aと、右半分の表示部10Bとは、別々に製造した2つの表示部の間隔を詰めて隣り合わせで配置しただけでもよいし、又は、1つの表示部を分割して製造したものであってもよい。
【0017】
実施の形態1の表示装置100は、信号処理装置40により、表示部10Aと10Bとに生じる輝度差を補正する。
【0018】
図2は、表示部10を拡大して示す図であり、表示部10Aと表示部10Bとに輝度差が生じた状態を示す図である。なお、
図2では、表示部10の左上の角を原点とするXY座標を定義する。このXY座標では、右方向にX軸正方向を取り、下方向にY軸正方向を取る。
【0019】
また、ここでは、一例として、表示部10Aよりも表示部10Bの方が輝度が高い場合を示す。このように表示部10Aよりも表示部10Bの方が輝度が高いと、表示部10Aと10Bの境界10Cを境として、左右に輝度差が生じる。
【0020】
なお、
図2において、境界10Cは、表示部10の左半分である表示部10Aと、表示部10の右半分である表示部10Bとの境界であり、境界10Cは、表示部10のX軸方向の中央において、Y軸方向に延在する。
【0021】
表示部10Aと表示部10Bとの間に輝度差が存在し、輝度差の補正を行っていない状態では、
図2に示すように、表示部10Aと表示部10Bとの境界10Cの左右の表示に輝度むらが生じることになる。
【0022】
次に、
図3を用いて、境界10Cにおける輝度差の測定について説明する。
【0023】
図3は、実施の形態1の表示装置100の表示部10において、境界10Cにおける輝度差を測定する手法を示す図である。
図3では、
図2と同様に、表示部10の左上の角を原点(0,0)とするXY座標を定義する。このXY座標では、右方向にX軸正方向を取り、下方向にY軸正方向を取る。
【0024】
また、表示部10は、7680ピクセル(X軸方向)×4320ピクセル(Y軸方向)のサイズを有するものとする。表示部10における座標は、ピクセルの数で示すこととする。
【0025】
実施の形態1の表示装置100では、
図3に示すように、境界10C上に位置する4つの点A、B、C、Dにおける輝度差を測定する。点A、B、C、Dの座標は、それぞれ、(3840,1000)、(3840,1500)、(3840,2000)、(3840,2500)である。なお、輝度差を測定する点A、B、C、Dを測定点A、B、C、Dと称する場合がある。
【0026】
点A、B、C、Dにおける輝度差は、各点よりも100ピクセルX軸負方向側の点A1、B1、C1、D1の輝度と、各点よりも100ピクセルX軸正方向側の点A2、B2、C2、D2の輝度との差をそれぞれ求めることによって測定した。
【0027】
また、点A1、B1、C1、D1、A2、B2、C2、D2における輝度は、それぞれ、点A1、B1、C1、D1、A2、B2、C2、D2を中心として存在する約120ピクセルで得られる輝度である。実際の測定から得られた輝度差を
図4に示す。
【0028】
図4は、実施の形態1の表示装置100の点A、B、C、Dにおける輝度差と、補正係数を示す表形式の図である。
【0029】
図4に示すように、点A、B、C、Dにおける輝度差は、それぞれ、1%、2%、2%、1%であった。なお、輝度差は、表示部10Aよりも表示部10Bの輝度が高い場合に正の値で示すこととする。
【0030】
また、補正係数は、各点における輝度差を補正するために、表示部10Aと表示部10Bとのうち、輝度が高い方の表示部の画像信号に乗じる係数である。このため、補正係数は、100%−輝度差(%)で得ることができる。このため、点A、B、C、Dにおける補正係数は、それぞれ、0.99、0.98、0.98、0.99である。
【0031】
次に、
図5を用いて、実施の形態1の表示装置100において、表示部10B内の任意の点P(X,Y)(3840≦X≦7680、0≦Y≦4320)における画像信号を補正するための補正係数の求め方について説明する。
【0032】
図5は、実施の形態1の表示装置100において、表示部10B内の点Pにおける補正係数の算出に必要なパラメータを説明するための図である。
図6は、実施の形態1の表示装置100において、表示部10B内の点Pにおける補正係数の算出に必要なパラメータの値を示す表形式の図である。
【0033】
図5には、境界10C上の点A、B、表示部10の上辺(Y=0で表される辺)、及び点P(X,Y)を示す。
【0034】
実施の形態1では、表示部10Aと10Bの輝度差は(X軸方向において)境界10Cの近くでは認識されやすいが、境界10CよりもX軸方向に比較的離れた位置では輝度差が認識されにくくなるという実情を利用して、表示部10Aよりも輝度の高い表示部10Bについて、境界10Cの近くでは輝度の補正を行い、境界10CよりもX軸正方向側に離れた位置では輝度の補正を行わないこととする。
【0035】
また、この際に、表示部10Bについては、境界10Cから離れるに連れて補正値を小さくし、境界10Cからある程度離れた点では補正値をゼロ(0)にする。すなわち、補正値は、境界10Cから遠ざかるに従って小さくされている。ここで、補正値とは、補正係数によって補正が行われる度合を示す値である。
【0036】
すなわち、実施の形態1の表示装置100では、表示部10Bについては、境界10Cに近い側から遠い側にかけて補正値をX軸方向において徐々に変化させて、境界10Cからある程度離れた点では、補正係数を1にすることによって補正値をゼロ(0)にする。
【0037】
また、実施の形態1の表示装置100では、Y軸方向における輝度のばらつきがあることを考慮して、Y軸方向においては、隣り合う測定点(点A〜D)で得られた補正係数の調整を行う。
【0038】
このような輝度の補正を行うために、実施の形態1の表示装置100では、
図5及び
図6に示すlen_X、len_Y、Xa、Yaを用いる。
【0039】
ここで、実施の形態1の表示装置100では、4つの測定点A〜Dを用いるとともに、表示部10BをY軸方向に5つの領域に分けて点Pの補正係数を求める。表示部10Bは、0<Y≦1000(測定点Aよりも上側)、1000<Y≦1500(測定点A、Bの間)、1500<Y≦2500(測定点B、Cの間)、2500<Y≦3000(測定点C、Dの間)、及び、3000<Y≦4320(測定点Dよりも下側)の5つの領域に分けられる。
【0040】
長さlen_Xは、点Pから境界10CまでのX軸方向の長さである。このため、長さlen_Xは、
図6に示すように、Y座標によらずに常に4320−Xである。
【0041】
長さlen_Yは、5つの領域の各々において、点Pから、点PよりもY軸負方向側(原点側)の領域同士の境界までの長さである。このため、長さlen_Yは、表示部10Bの上側から下側の5つの領域において、それぞれ、Y、Y−1000、Y−1500、Y−2500、Y−3000である。
【0042】
Xaは、X軸方向において補正を行う範囲(X軸方向の長さ)を示しており、境界10CからのX軸方向の長さとして表される。このため、Xaは、表示部10Bの上側から下側の5つの領域において、それぞれ、400である。
【0043】
Yaは、表示部10Bの上側から下側の5つの領域における、Y軸方向の範囲(Y軸方向の長さ)を示す。このため、Yaは、表示部10Bの上側から下側の5つの領域において、それぞれ、1000、500、1000、500、1320である。
【0044】
また、実施の形態1の表示装置100では、輝度の補正を行うために、2つのパラメータrate1、rate2を示す。パラメータrate1、rate2は、上述の5つの領域によって異なる。
【0045】
パラメータrate1の値は、測定点A〜Dで得られた補正値のうち、表示部10Bの上側から下側の5つの領域において、Y軸負方向側に位置する測定点の補正値を表す。なお、表示部10Bの5つの領域のうち、最も上側の領域では、Y軸負方向側に測定点が存在しないため、パラメータrate1の値は、0である。
【0046】
以上より、パラメータrate1の値は、
図6に示すように、表示部10Bの上側から下側の5つの領域において、それぞれ、0、0.01、0.02、0.02、0.01である。
【0047】
また、パラメータrate2の値は、測定点A〜Dで得られた補正値のうち、表示部10Bの上側から下側の5つの領域において、Y軸正方向側に位置する測定点の補正値を表す。なお、表示部10Bの5つの領域のうち、最も下側の領域では、Y軸正方向側に測定点が存在しないため、パラメータrate2の値は、0である。
【0048】
以上より、パラメータrate2の値は、
図6に示すように、表示部10Bの上側から下側の5つの領域において、それぞれ、0.01、0.02、0.02、0.01、0である。
【0049】
次に、点Pにおける補正係数rate_COを求める計算式について説明する。
【0050】
点Pにおける補正係数rate_COは、次式(1)で求まる。ただし、3840≦X≦4240である。
【0051】
【数1】
式(1)は、rate1からrate2を引いて得る値(rate1−rate2)に、len_YとYaの比(len_Y/Ya)を乗じた値(rate1−rate2)×(len_Y/Ya)をrate1から引いた値{rate1−(rate1−rate2)×(len_Y/Ya)}を求めている。これにより、輝度の補正値をY軸方向に配分(按分)している。
【0052】
また、式(1)は、さらに、上述の値{rate1−(rate1−rate2)×(len_Y/Ya)}にlen_XとXaの比(len_X/Xa)を乗じた値{rate1−(rate1−rate2)×(len_Y/Ya)}×(len_X/Xa)を1から引いている。これにより、輝度の補正値をX軸方向に配分(按分)している。
【0053】
以上のように、式(1)により、表示部10Bの上側から下側の5つの領域において、それぞれ、点P(X,Y)の座標に応じて、補正値をX軸方向及びY軸方向に配分することにより、点P(X,Y)における補正係数rate_COを求める。
【0054】
このような処理は、信号処理装置40が行う。
【0055】
そして、信号処理装置40は、式(1)で求めた補正係数rate_COを画像信号に乗じることによって、表示部10Bに出力する画像信号の値を補正する。このような補正は、次式(2)を用いて行われる。
【0056】
【数2】
式(2)で得られる出力信号Output_dataは、式(1)で求めた補正係数rate_COを画像信号Input_dataに乗じることによって得る、補正後の画像信号の値を示す。画像信号Input_dataは、点P(X,Y)における画像信号であり、補正前の入力データである。出力信号Output_dataは、補正後の出力データである。
【0057】
なお、
図5に破線で囲まれる範囲は、式(1)において、X、Yが取り得る値の範囲を表したものであり、式(1)による補正が行われる範囲を表したものである。
【0058】
上述のような点P(X,Y)についての補正係数rate_COは、
図7に示す流れで求められる。
【0059】
図7は、実施の形態1の表示装置100における補正係数rate_COを求める処理の流れを示すフローチャートである。なお、このフローによる処理が行われる前に、点A〜Dにおける輝度差は測定されていることとする。
【0060】
信号処理装置40は、まず、入力データ(画像信号Input_data)の位置座標により、
図6に示す各パラメータを取得する(ステップS1)。
【0061】
次に、信号処理装置40は、式(1)と各パラメータより、補正係数rate_COを求める(ステップS2)。
【0062】
最後に、信号処理装置40は、式(2)と補正係数rate_COより、出力データOutput_dataを求める(ステップS3)。
【0063】
信号処理装置40は、以上のような処理をすべての点P(X,Y)について行う。
【0064】
なお、補正係数rate_COと出力データOutput_dataの計算は、X軸方向及びY軸方向において1ピクセル毎に行ってもよいが、より少ない計算量で輝度の補正を行うためには、所定のピクセル毎に補正係数rate_COを求めてもよい。
【0065】
例えば、8bitの階調で表示部10全体の表示を行う場合には、境界10C(X=3840)からX=4240の400ピクセルの範囲(補正を行う範囲)に含まれる階調数に対応するピクセル毎に補正係数rate_COを求めればよい。
【0066】
次に、
図8を用いて、実施の形態1の表示装置100における輝度の補正の効果について説明する。
【0067】
図8は、実施の形態1の表示装置100による輝度の補正の効果を示す図である。
【0068】
図8において、横軸は表示部10の横方向(X軸方向)を表し、縦軸は出力データOutput_dataによって表示部10で得られる輝度を示す。横軸の単位はピクセルであり、縦軸の単位は任意単位である。
【0069】
図8には、X軸方向において、境界10C(X=3840)からX=4240の400ピクセルの範囲(補正を行う範囲)を3段階に分けて補正を行った結果を示す。
図8において、実線は補正後の輝度であり、破線は補正前の輝度を表す。
図8に示す輝度は、一例として、表示部10の点Aを通るY軸方向の位置におけるX軸方向の輝度の分布を示す。
【0070】
図8に示すように、補正前は、破線で示すように境界10C(X=3840)を境に、左右で表示部10Aと10Bの輝度差が生じるため、輝度が急激に変化している。
【0071】
これに対して、補正後は、実線で示すように境界10C(X=3840)の右側にある表示部10Bにおいて、輝度が緩やかな3段のステップ状に変化しており、X=4240の点で補正前の輝度と等しくなっている。
【0072】
このように、実施の形態1の表示装置100では、境界10CがあるX=3840からX=4240までの400ピクセルの範囲にわたって、輝度が緩やかにステップ状に変化するように補正されている。
【0073】
このようなステップにおける輝度差を人間の視覚で認識できない程度の輝度差に設定すれば、
図8に示すようにステップ状に輝度を補正しても、境界10C(X=3840)からX=4240の点までの輝度の変化を人間の視覚が認識することはできなくなるので、表示部10Aと10Bの輝度差を容易に補正することができる。
【0074】
なお、表示部10BのX=4240よりも外側(X軸正方向側)の領域では、輝度の補正を行っていないが、境界10Cにおける表示部10Aと10Bの輝度差をX=3840〜4240の400ピクセルの範囲にわたって段階的に補正しているため、人間の視覚では、表示部10Aと、表示部10BのうちX=4240よりX軸正方向側の領域との間に輝度差があることを認識することは困難になる。
【0075】
以上より、実施の形態1によれば、相隣接し人間の視覚で認識できる程度の輝度差のある表示部10Aと10Bのうち、輝度差の高い表示部10Bの輝度を低下させるように、容易な手法によって補正を行うことのできる表示装置100を提供することができる。
【0076】
プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等で、特に大画面の表示用の装置を製造する場合には、製造過程において、製作装置の精度などにより、画面に輝度むらができることがある。
【0077】
緩やかな輝度むらであれば、視覚的にそれほど目立たないが、表示部10Aと10Bの合わせ目のような部位で急激に輝度が変化する場合には、非常に目につきやすく、著しい画質劣化を引き起こしてしまう。
【0078】
このため、表示装置100において、輝度むらを補正する信号処理装置40を導入することで、上述のように容易な手法によって補正を行うことにより、画質劣化を抑制することが可能である。
【0079】
例えば、すべての画素において補正量を正確に演算することは、非常に難しく手間がかかる。すべての画素の明るさが同じになるように画素値に対して補正係数を掛けることで、均一な明るさにすることが可能であるが、補正係数を取得することが非常に困難である上に、補正のために演算量が増えるため多大なフレームメモリが必要となる。
【0080】
これに対して、実施の形態1の表示装置100は、すべての画素において補正値を正確に算出しなくても、輝度むらによる画質劣化を抑制することができる。
【0081】
<実施の形態2>
実施の形態2の表示装置は、実施の形態1の表示装置100で用いるパラメータのうちの長さlen_Xと長さlen_Yの値を求める工程において、点P(X,Y)の座標(X,Y)の座標値によって値がランダムに異なる乱数を減算する点が実施の形態1の表示装置100と異なる。その他の構成は実施の形態1の表示装置100と同様であるため、同一の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0082】
図9は、実施の形態2の表示装置において、表示部10B内の点Pにおける補正係数の算出に必要なパラメータの値を示す表形式の図である。
図9に示すパラメータのうち、Xa、Ya、rate1、rate2の値は
図6に示す値と同一であるため、説明を省略する。
【0083】
実施の形態2では、乱数tx、tyを用いる。乱数tx、tyは、それぞれ、X軸方向及びY軸方向用の乱数であり、0から99のうちのいずれかの整数を取る。乱数tx、tyの値の生成は、周知の乱数生成用のアルゴリズム等に従って行えばよい。実施の形態2では、例えば、信号処理装置40に乱数生成用の機能を持たせればよい。
【0084】
実施の形態2の表示装置では、長さlen_Xは、点Pから境界10CまでのX軸方向の長さから、乱数txを減じて得られる長さである。このため、長さlen_Xは、4320−X−txである。
【0085】
実施の形態2の表示装置では、長さlen_Yは、5つの領域の各々において、点Pから、点PよりもY軸負方向側(原点側)の領域同士の境界までの長さから、乱数tyを減じて得る長さである。このため、長さlen_Yは、表示部10Bの上側から下側の5つの領域において、それぞれ、Y−ty、Y−1000−ty、Y−1500−ty、Y−2500−ty、Y−3000−tyである。
【0086】
なお、表示部10Bのうち、実施の形態2の表示装置によって輝度の補正が行われる点P(X,Y)についてのX軸方向及びY軸方向用の乱数tx、tyの値は、同一の値であってもよいが、互いに異なる値であることが好ましい。従って、点P(X,Y)について乱数tx、tyを求める際には、乱数txと乱数tyとを別々に求めればよい。
【0087】
以上のようにして乱数tx、tyを用いて求めた長さlen_X、長さlen_Yを実施の形態1と同様に式(1)に代入して補正係数rate_COを求める。
【0088】
そして、式(1)で求めた補正係数rate_COを画像信号に乗じることによって、表示部10Bに出力する画像信号の値を補正する。このような補正は、実施の形態1と同様に、次式(2)を用いて行えばよい。
【0089】
式(2)で得られる出力信号Output_dataは、式(1)で求めた補正係数rate_COを画像信号Input_dataに乗じることによって得る、補正後の画像信号の値を示す。画像信号Input_dataは、点P(X,Y)における画像信号であり、補正前の入力データである。出力信号Output_dataは、補正後の出力データである。
【0090】
以上により、実施の形態2の表示装置によれば、乱数を用いて長さlen_Xと長さlen_Yを算出することによって補正係数rate_COを求め、出力信号Output_dataを得る。
【0091】
ここで、
図10を用いて、実施の形態2の表示装置における輝度の補正の効果について説明する。
【0092】
図10は、実施の形態2の表示装置における輝度の補正の効果を説明するための図である。
図10(A)には乱数を用いずに輝度の補正を行った場合の画像を示し、
図10(B)には乱数を用いて補正を行った場合の画像を示す。また、
図10(A)、(B)には、表示部10(10A、10B)のうち、X軸方向については、境界10Cの近くの部分のみを示す。
【0093】
例えば、乱数を用いない状態において、グラデーションを示す画像が
図10(A)に示すように、階段状に示されているとする。
図10(A)において、濃い色で示す部分は輝度が低い部分であり、薄い色で示す部分は輝度が高い部分である。
【0094】
図10(A)に示すようにグラデーションが階段状に表示されることは、例えば、階調数が少ない場合に生じる可能性がある。このような現象は、特に、階調数が8bit程度以下の場合に、生じる可能性がある。
【0095】
一方、乱数を用いた場合は、
図10(B)に示すように、階調数が少ない場合でも、グラデーションが自然に表示される。
【0096】
このように、実施の形態2によれば、相隣接し人間の視覚で認識できる程度の輝度差のある表示部10Aと10Bのうち、輝度差の高い表示部10Bの輝度を低下させるように、容易な手法によって補正を行うことのできる表示装置を提供することができる。
【0097】
また、乱数を用いて補正係数rate_COを算出することにより、より自然な画像を表示することができる表示装置を提供することができる。
【0098】
なお、以上では、乱数を用いて長さlen_Xと長さlen_Yを算出する形態について説明したが、乱数を減算することによってパラメータrate1、rate2の値を算出するようにしてもよい。このような場合にも、乱数を用いて補正係数rate_COの値に不規則性を持たせることができ、より自然な画像を表示することができる表示装置を提供することができる。
【0099】
また、以上では、乱数を減算することによって長さlen_Xと長さlen_Yを算出する形態について説明したが、乱数を加算することによって長さlen_Xと長さlen_Yを算出してもよい。
【0100】
以上、本発明の例示的な実施の形態の表示装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。