特許第6105951号(P6105951)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6105951
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】テープ剥離方法及びテープ剥離装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20170316BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20170316BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   H01L21/78 P
   H01L21/68 B
   H01L21/68 P
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-10020(P2013-10020)
(22)【出願日】2013年1月23日
(65)【公開番号】特開2014-143268(P2014-143268A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2015年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(74)【代理人】
【識別番号】100137903
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】上原 健
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−118376(JP,A)
【文献】 特開2011−054650(JP,A)
【文献】 特開2004−063645(JP,A)
【文献】 特開2001−023936(JP,A)
【文献】 特開2006−156777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
H01L 21/677
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデバイスが行と列の分割予定ラインによって区画されて形成された矩形基板の裏面に保護テープが貼着され予め切削ブレードで分割予定ラインに沿って個々のデバイスに分割された状態で、複数のデバイスを該保護テープから剥離してバルク収容するテープ剥離方法であって、
該保護テープは加熱することで粘着力が低減する熱剥離性テープであり、
保持部が加熱する機能を有する保持手段により該保護テープ側を該保持部に吸引保持する保護テープ保持工程と、
該保護テープ保持工程の後に、該保護テープを加熱し該保護テープの粘着力を低減させる保護テープ粘着力低減工程と、
該保護テープ粘着力低減工程の前又は後に、該保持手段をバルク収容手段の上方に位置付け該保持部を該バルク収容手段側に反転させて該複数のデバイスを該バルク収容手段に落下させるバルク収容工程と、
から構成されるテープ剥離方法。
【請求項2】
複数のデバイスが行と列の分割予定ラインによって区画されて形成された矩形基板の裏面に保護テープが貼着され予め切削ブレードで分割予定ラインに沿って個々のデバイスに分割された状態で、複数のデバイスを該保護テープから剥離してバルク収容するテープ剥離装置であって、
該保護テープは加熱することで粘着力が低減する熱剥離性テープであり、
複数のデバイスを表面に貼着した保護テープ側全面を吸引保持する保持部を有する保持手段と、
該複数のデバイスを表面に貼着した保護テープを該保持手段の保持部に載置する搬送手段と、
該保護テープから剥離された複数のデバイスをバルク収容するバルク収容手段と、から構成され、
該保持手段は、該保持部が吸引保持した該保護テープを加熱する加熱部と、該保護テープを吸引保持した状態で該保持部を反転させる反転部を備え、
該保持手段の該保持部により吸引保持された該保護テープは該バルク収容手段の上方に位置づけられ、該加熱部で該保護テープが加熱され粘着力が低減した状態で該反転部により該保持部が反転することで、複数のデバイスは該保護テープから剥離し該バルク収容手段に落下してバルク収容されること、
を特徴とするテープ剥離装置。
【請求項3】
数のデバイスが行と列の分割予定ラインによって区画されて形成された矩形基板の裏面に保護テープが貼着され予め切削ブレードで分割予定ラインに沿って個々のデバイスに分割された状態で、複数のデバイスを該保護テープから剥離してバルク収容するテープ剥離方法であって、
該保護テープは加熱することで粘着力が低減する熱剥離性テープであり、
加熱する支持部を有する支持テーブルにより該保護テープ側を該支持部に載置する保護テープ載置工程と、
該保護テープ載置工程の後に、該保護テープを加熱し該保護テープの粘着力を低減させる保護テープ粘着力低減工程と、
該保護テープ粘着力低減工程の前又は後に、複数のデバイスに対応する領域に吸引部を有し移動可能なデバイス保持手段を複数のデバイスの上方に該吸引部を位置付けて吸引保持するデバイス吸引保持工程と、
該複数のデバイスを吸引保持した該デバイス保持手段をバルク収容手段の上方に移動し、
該吸引部の吸引保持を解除し該複数のデバイスを該バルク収容手段に落下させるバルク収容工程と、
から構成されるテープ剥離方法。
【請求項4】
複数のデバイスが行と列の分割予定ラインによって区画されて形成された矩形基板の裏面に保護テープが貼着され予め切削ブレードで分割予定ラインに沿って個々のデバイスに分割された状態で、複数のデバイスを該保護テープから剥離してバルク収容するテープ剥離装置であって、
該保護テープは加熱することで粘着力が低減する熱剥離性テープであり、
該複数のデバイスを表面に貼着した保護テープを上面に支持し該保護テープを加熱する支持部を有する支持テーブルと、
該支持テーブルの該支持部に該複数のデバイスを表面に貼着した保護テープを搬送する搬送手段と、
該支持テーブルの上面に載置された該複数のデバイスを表面に貼着した保護テープの該複数のデバイスに対応した領域に吸引部を有し移動可能なデバイス保持手段と、
該複数のデバイスをバルク収容するバルク収容手段と、から構成され、
該デバイス保持手段は、該支持テーブルに載置された該保護テープの上面の複数のデバイスに該吸引部を位置付けて該複数のデバイスを吸引保持し、該支持テーブルが加熱され該保護テープの粘着力が低減した状態で該複数のデバイスを該保護テープから剥離して、該バルク収容手段の上に位置づけ該吸引部の吸引を解除することで、該複数のデバイスを該バルク収容手段に落下してバルク収容すること、
を特徴とするテープ剥離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分割済みのCSP(Chip Size Package)基板から保護テープを剥離するテープ剥離方法及びテープ剥離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やパソコン等の電子機器はより軽量化、小型化が求められており、半導体デバイスのパッケージについても、チップサイズパッケージ(CSP)と呼ばれる小型化可能なパッケージ技術が開発されている。このCSP技術の1つとして、Quad Flat Non−lead package(QFN)と呼ばれるパッケージ技術が実用化されている。このようなパッケージ基板は、分割予定ラインに沿って切削されることで、個々にパッケージングされたデバイスサイズパッケージに分割される。パッケージ基板を分割する装置として、個々のデバイスを治具で直接保持した状態で分割する加工装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の装置では、治具にパッケージ基板の各デバイスに対応して個別に吸引口が形成されており、パッケージ基板を治具で直接保持させた状態で分割予定ラインに沿って切削される。しかしながら、従来の切削加工では、近年のデバイスサイズの小型化(3mm以下)の要請に伴って適切な加工ができないおそれがあった。具体的には、1デバイスが小さく治具の吸引面積が小さくなるため、加工中のデバイスの位置ズレや飛散によって製品不良になる場合があった。このため、パッケージ基板の裏面に保護テープを貼着した状態で切削する加工装置も提案されている(特許文献2参照)。この装置では、パッケージ基板の分割後に保護テープからデバイスが効率的にピックアップされてトレーに収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−23936号公報
【特許文献2】特開2006−156777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載の加工装置では、デバイスサイズの小型化によって、保護テープからデバイスを1つずつ剥がしてトレーに収容するのに時間がかかるという問題があった。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、複数のデバイスを保護テープから剥離してバルク収容する作業時間を短縮することができるテープ剥離方法及びテープ剥離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のテープ剥離方法は、複数のデバイスが行と列の分割予定ラインによって区画されて形成された矩形基板の裏面に保護テープが貼着され予め切削ブレードで分割予定ラインに沿って個々のデバイスに分割された状態で、複数のデバイスを該保護テープから剥離してバルク収容するテープ剥離方法であって、該保護テープは加熱することで粘着力が低減する熱剥離性テープであり、保持部が加熱する機能を有する保持手段により該保護テープ側を該保持部に吸引保持する保護テープ保持工程と、該保護テープ保持工程の後に、該保護テープを加熱し該保護テープの粘着力を低減させる保護テープ粘着力低減工程と、該保護テープ粘着力低減工程の前又は後に、該保持手段をバルク収容手段の上方に位置付け該保持部を該バルク収容手段側に反転させて該複数のデバイスを該バルク収容手段に落下させるバルク収容工程と、から構成される。
【0008】
本発明のテープ剥離装置は、複数のデバイスが行と列の分割予定ラインによって区画されて形成された矩形基板の裏面に保護テープが貼着され予め切削ブレードで分割予定ラインに沿って個々のデバイスに分割された状態で、複数のデバイスを該保護テープから剥離してバルク収容するテープ剥離装置であって、該保護テープは加熱することで粘着力が低減する熱剥離性テープであり、複数のデバイスを表面に貼着した保護テープ側全面を吸引保持する保持部を有する保持手段と、該複数のデバイスを表面に貼着した保護テープを該保持手段の保持部に載置する搬送手段と、該保護テープから剥離された複数のデバイスをバルク収容するバルク収容手段と、から構成され、該保持手段は、該保持部が吸引保持した該保護テープを加熱する加熱部と、該保護テープを吸引保持した状態で該保持部を反転させる反転部を備え、該保持手段の該保持部により吸引保持された該保護テープは該バルク収容手段の上方に位置づけられ、該加熱部で該保護テープが加熱され粘着力が低減した状態で該反転部により該保持部が反転することで、複数のデバイスは該保護テープから剥離し該バルク収容手段に落下してバルク収容されること、を特徴とする。
【0009】
これらの構成によれば、矩形基板を分割した個々のデバイスが保護テープに粘着されており、保持部に保持された保護テープが加熱されることで、各デバイスに対する保護テープの粘着力が低減される。よって、保持部の反転状態で保護テープを加熱、又は保護テープの加熱後に保持部を反転させることで、保持部に保持された保護テープから各デバイスをバルク収容手段に一度に落下させて収容に要する作業時間を短縮できる。特に、パッケージ基板の場合には、各デバイスがパッケージングによって比較的破損し難いため、落下によるバルク収容に有効である。
【0010】
本発明の他のテープ剥離方法は、複数のデバイスが行と列の分割予定ラインによって区画されて形成された矩形基板の裏面に保護テープが貼着され予め切削ブレードで分割予定ラインに沿って個々のデバイスに分割された状態で、複数のデバイスを該保護テープから剥離してバルク収容するテープ剥離方法であって、該保護テープは加熱することで粘着力が低減する熱剥離性テープであり、加熱する支持部を有する支持テーブルにより該保護テープ側を該支持部に載置する保護テープ載置工程と、該保護テープ載置工程の後に、該保護テープを加熱し該保護テープの粘着力を低減させる保護テープ粘着力低減工程と、該保護テープ粘着力低減工程の前又は後に、複数のデバイスに対応する領域に吸引部を有し移動可能なデバイス保持手段を複数のデバイスの上方に該吸引部を位置付けて吸引保持するデバイス吸引保持工程と、該複数のデバイスを吸引保持した該デバイス保持手段をバルク収容手段の上方に移動し、該吸引部の吸引保持を解除し該複数のデバイスを該バルク収容手段に落下させるバルク収容工程と、から構成される。
【0011】
本発明の他のテープ剥離装置は、複数のデバイスが行と列の分割予定ラインによって区画されて形成された矩形基板の裏面に保護テープが貼着され予め切削ブレードで分割予定ラインに沿って個々のデバイスに分割された状態で、複数のデバイスを該保護テープから剥離してバルク収容するテープ剥離装置であって、該保護テープは加熱することで粘着力が低減する熱剥離性テープであり、該複数のデバイスを表面に貼着した保護テープを上面に支持し該保護テープを加熱する支持部を有する支持テーブルと、該支持テーブルの該支持部に該複数のデバイスを表面に貼着した保護テープを搬送する搬送手段と、該支持テーブルの上面に載置された該複数のデバイスを表面に貼着した保護テープの該複数のデバイスに対応した領域に吸引部を有し移動可能なデバイス保持手段と、該複数のデバイスをバルク収容するバルク収容手段と、から構成され、該デバイス保持手段は、該支持テーブルに載置された該保護テープの上面の複数のデバイスに該吸引部を位置付けて該複数のデバイスを吸引保持し、該支持テーブルが加熱され該保護テープの粘着力が低減した状態で該複数のデバイスを該保護テープから剥離して、該バルク収容手段の上に位置づけ該吸引部の吸引を解除することで、該複数のデバイスを該バルク収容手段に落下してバルク収容すること、を特徴とする。
【0012】
これらの構成によれば、矩形基板を分割した個々のデバイスが保護テープに粘着されており、支持テーブル上で保護テープが加熱されることで、各デバイスに対する保護テープの粘着力が低減される。よって、支持テーブル上において、吸引部で各デバイスを吸引保持した状態で保護テープを加熱、又は保護テープの加熱後に各デバイスを吸引部で吸引保持することで、保護テープから剥離した各デバイスだけを吸引保持できる。そして、吸引部から各デバイスをバルク収容手段に一度に落下させて収容に要する作業時間を短縮できる。特に、パッケージ基板の場合には、各デバイスがパッケージングによって比較的破損し難いため、落下によるバルク収容に有効である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、保護テープとして熱剥離性テープを用いて、加熱によって保護テープから各デバイスを一度に剥離させることで、複数のデバイスの収容に要する作業時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施の形態に係るテープ剥離装置の斜視図である。
図2】第1の実施の形態に係るテープ剥離方法の説明図である。
図3】第2の実施の形態に係るテープ剥離装置の斜視図である。
図4】第2の実施の形態に係るテープ剥離方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照して、第1の実施の形態に係るテープ剥離装置について説明する。図1は、第1の実施の形態に係るテープ剥離装置の斜視図である。また、以下の説明においては、テープ剥離装置単体について説明するが、テープ剥離装置は他の加工装置に設けられていてもよい。
【0016】
図1に示すように、テープ剥離装置1は、分割後の矩形基板WのデバイスDを保護テープTから剥離して所定の場所にバルク収容するように構成されている。なお、バルク収容とは、複数のデバイスDをまとめて収容することを示している。矩形基板Wは、略長方形の板状に形成されており、表面に配列された行と列の分割予定ライン101によって格子状に区画されている。矩形基板Wには長手方向にデバイスD用の複数(本実施の形態では3つ)の形成領域102が設けられ、各形成領域102の周囲には端材となる周辺領域103が設けられている。
【0017】
形成領域102には、複数のデバイスDが形成されており、各デバイスDは背面側からモールド樹脂によって封止されている。矩形基板Wの裏面には保護テープTが貼り付けられている。この矩形基板Wは、前段の切削加工において分割予定ライン101に沿って切削ブレードで保護テープTに至るまで切り込まれることで、個々のデバイスDに分割されている。すなわち、矩形基板Wの各デバイスDは分割された状態で保護テープTに粘着されており、個々のデバイスDが保護テープTを介して一体的化されている。矩形基板Wは、カセットCに収容された状態でテープ剥離装置1に搬入される。
【0018】
保護テープTは、いわゆる熱剥離性テープであり、発泡材を分散した粘着層をテープ基材上に積層して構成されている。発泡材は、熱が加わることで膨張して保護テープTの粘着面に凹凸形状を形成する。この発泡材の膨張によって粘着層から矩形基板Wが引き剥がされ、保護テープTの粘着力が低減される。また、粘着面の凹凸形状によって保護テープTと矩形基板Wとの接触面積が減少して、矩形基板Wに対する保護テープTの再付着が防止される。このように、保護テープTは、加熱によって粘着力が無くなり、外力を加えることなく剥離可能になっている。
【0019】
テープ剥離装置1は、カセットCが載置されるカセットステージ11と、保護テープTから剥離されたデバイスDがバルク収容されるバルク収容手段12とを横並びに配置している。カセットステージ11上のカセットCには、複数の矩形基板Wが積み重ねた状態で収容されている。カセットCの上面は開口されており、カセットCの底面には昇降テーブル21(図2参照)が位置付けられている。この昇降テーブル21がカセットステージ11のロッド部22によって押し上げられることで、カセットCの開口から外部に矩形基板Wが繰り出されている。
【0020】
カセットステージ11及びバルク収容手段12の奥方の壁面13には、矩形基板Wをバルク収容手段12に向けて搬送する搬送手段14と、バルク収容手段12の上方で矩形基板Wを保持する保持手段15とが設けられている。搬送手段14では、Y軸方向に延在するボールネジ式の移動機構31に、搬送アーム32を介して搬送パッド33が片持ち支持されている。移動機構31は、壁面13に配置された一対のガイドレール34に搬送アーム32の基端部をスライド可能に支持している。搬送アーム32の基端部の背面側にはナット部が設けられており、このナット部にボールネジ35が螺合されている。ボールネジ35の一端には、駆動モータ36が連結されている。
【0021】
搬送アーム32の先端部には、Z軸方向に伸縮可能な伸縮アーム37を介して搬送パッド33が設けられている。搬送パッド33の下面には、矩形基板Wを吸引保持する保持面が形成されている。保持面は、矩形基板Wの表面側全面を吸引保持しており、搬送パッド33内の管路を通じて吸引源に接続されている。搬送手段14においては、伸縮アーム37の伸縮によってカセットCから矩形基板Wが搬送パッド33に取り上げられ、搬送パッド33によって矩形基板Wがバルク収容手段12の上方に移動される。バルク収容手段12の上方では、搬送パッド33から保持手段15に矩形基板Wが受け渡される。
【0022】
保持手段15は、壁面13に片持ち支持された保持部41を有している。保持部41の表面は、矩形基板Wを吸引保持する保持面42になっている。保持面42には、保護テープTを下向きにした状態で矩形基板Wが搬送パッド33から受け渡される。保持面42は、矩形基板Wの保護テープT側全面を吸引保持しており、保持部41内の管路を通じて吸引源に接続されている。また、保持部41には、保持面42を加熱する加熱部(不図示)が内蔵されている。加熱部によって保護テープTが加熱されることで、保護テープTの粘着力が低減されて、保護テープTから個々のデバイスDが剥離される。
【0023】
また、保持部41は、反転部43を介して壁面13に表裏反転可能に支持されている。保持部41に保護テープTが吸引保持された状態で反転部43によって保持部41が反転されることで、保護テープTを残して個々のデバイスDがバルク収容手段12に落下する。バルク収容手段12の上面中央には、保持部41から落下したデバイスDをボックス内に取り込む開口45が形成されている。バルク収容手段12の上面は、開口45に向けてデバイスDをガイドするように斜面46が形成されている。バルク収容手段12の内部には、開口45の真下に回収容器47(図2参照)が配置されている。
【0024】
このように構成されたテープ剥離装置1では、保持手段15での加熱によって保護テープTからデバイスDが剥離され、保持手段15に保持された保護テープTから各デバイスDがバルク収容手段12に一度に落下する。バルク収容手段12では、各デバイスDが斜面46を滑り降りて開口45から落ちて回収容器47に収容される。このとき、各デバイスDは、パッケージングによって強度が高められているので、落下時の衝撃によって破損し難くなっている。なお、保護テープTの加熱は、保持部41の反転前に実施されてもよいし、保持部41の反転後に実施されてもよい。
【0025】
図2を参照して、第1の実施の形態に係るテープ剥離装置によるテープ剥離方法について説明する。図2は、第1の実施の形態に係るテープ剥離方法の説明図である。なお、以下のテープ剥離方法は一例に過ぎず、適宜変更することが可能である。
【0026】
図2Aに示すように、先ず搬送工程が実施される。搬送工程では、カセットCがカセットステージ11に載置されており、ロッド部22によって矩形基板Wを載せた昇降テーブル21が押し上げられている。この状態で、搬送手段14の搬送パッド33がカセットCの上方に位置付けられ、搬送パッド33によって矩形基板Wの表面が吸引保持される。搬送パッド33に矩形基板Wが持ち上げられると、搬送パッド33が保持手段15の保持部41の上方に移動され、搬送パッド33から保持部41に矩形基板Wが載置される。保持部41には、保護テープT側を下方に向けた状態で矩形基板Wが搬送パッド33から受け渡される。
【0027】
図2Bに示すように、搬送工程の後には保護テープ保持工程が実施される。保護テープ保持工程では、搬送パッド33の吸引保持が解除されると共に、保持部41によって保護テープT側全面が吸引保持される。この場合、矩形基板Wは複数のデバイスDに分割されているが、保護テープTの表面に貼着されることで保持部41に一体的に保持されている。
【0028】
図2Cに示すように、保護テープ保持工程の後には保護テープ粘着力低減工程が実施される。保護テープ粘着力低減工程では、保持部41に内蔵された加熱部によって保護テープTが加熱される。保護テープTが加熱されると、保護テープTの粘着層に含まれる発泡材が膨張され、粘着層から個々のデバイスDが引き剥がされる。これにより、保護テープTの粘着層とデバイスDとの間に僅かな隙間が形成され、保護テープTの粘着力が大幅に低減される。
【0029】
このとき、矩形基板Wの各デバイスDの形成領域102の粘着力だけでなく、矩形基板Wの端材となる周辺領域103の粘着力も大幅に低下される(図1参照)。このため、専用の回収手段(不図示)によって矩形基板Wの端材が取り除かれる。この専用の搬送手段は、例えば、矩形基板Wの周辺領域103に対応して吸引口が形成された搬送パッドによって、端材だけを吸着保持するように構成されている。
【0030】
図2Dに示すように、保護テープ粘着力低減工程の後にはバルク収容工程が実施される。バルク収容工程では、保護テープTが吸引保持された状態で保持部41が表裏反転されることで、保護テープTの表面から個々のデバイスDがバルク収容手段12に落下する。このとき、保護テープTの粘着力が大幅に低減されるため、保護テープTの粘着面にデバイスDが再付着することなくバルク収容手段12に一度に落下する。また、保護テープTの粘着力が低減した状態においては、保護テープTの粘着面とデバイスDの裏面とに剥離帯電や摩擦帯電が起こり難いため、静電気によって保護テープTにデバイスDが付着されることもない。
【0031】
各デバイスDは、バルク収容手段12の斜面46を伝って開口45から内部に入り、開口45の真下の回収容器47にバルク収容される。保持部41に残った保護テープTは、専用の回収手段(不図示)によって回収される。なお、ここでは、保護テープTの加熱後に保持部41を反転させる構成を例示したが、保持部41を反転させた状態で保護テープTを加熱してもよい。この場合、テープ剥離装置1に矩形基板Wが搬入される前に、矩形基板Wから端材部分が除去されていることが好ましい。これにより、バルク収容工程において、保護テープTからデバイスDと共に端材がバルク収容手段12に落下することを防止できる。
【0032】
以上のように、第1の実施の形態に係るテープ剥離装置1によれば、矩形基板Wを分割した個々のデバイスDが保護テープTに粘着されており、保持部41に保持された保護テープTが加熱されることで、各デバイスDに対する保護テープTの粘着力が低減される。よって、保持部41の反転状態で保護テープTを加熱、又は保護テープTの加熱後に保持部41を反転させることで、保持部41に保持された保護テープTから各デバイスDをバルク収容手段12に一度に落下させて収容に要する作業時間を短縮できる。
【0033】
続いて、添付の図面を参照して、第2の実施の形態に係るテープ剥離装置ついて説明する。図3は、第2の実施の形態に係るテープ剥離装置の斜視図である。また、以下の説明においては、テープ剥離装置単体について説明するが、テープ剥離装置は他の加工装置に設けられていてもよい。なお、第2の実施の形態に係るテープ剥離装置は、支持テーブル上で保護テープからデバイスを剥離させる点で、第1の実施の形態に係るテープ剥離装置と相違する。したがって、主に相違点について詳細に説明する。
【0034】
図3に示すように、テープ剥離装置50は、分割後の矩形基板WのデバイスDを保護テープTから剥離して所定の場所にバルク収容するように構成されている。テープ剥離装置50は、カセットCが載置されるカセットステージ51と、保護テープTから個々のデバイスDを剥離する剥離ステージ52と、個々のデバイスDがバルク収容されるバルク収容手段53とを横並びに配置している。カセットステージ51では、カセットCの底面の昇降テーブル61がロッド部62(図4参照)によって押し上げられることで、カセットCの開口から外部に矩形基板Wが繰り出されている。
【0035】
カセットステージ51、剥離ステージ52、バルク収容手段53の奥方の壁面54には、カセットステージ51から剥離ステージ52にデバイスDを搬送する第1の搬送手段55と、剥離ステージ52からバルク収容手段53にデバイスDを搬送する第2の搬送手段56(デバイス保持手段)とが設けられている。第1の搬送手段55では、Y軸方向に延在するボールネジ式の移動機構71に、搬送アーム72を介して搬送パッド73が片持ち支持されている。移動機構71は、壁面54に配置された一対のガイドレール74に搬送アーム72の基端部をスライド可能に支持している。搬送アーム72の基端部の背面側にはナット部が設けられており、このナット部にボールネジ75が螺合されている。ボールネジ75の一端には、駆動モータ76が連結されている。
【0036】
搬送アーム72の先端部には、Z軸方向に伸縮可能な伸縮アーム77を介して搬送パッド73が設けられている。搬送パッド73の下面には、矩形基板Wを吸引保持する保持面が形成されている。保持面は、矩形基板Wの表面側全面を吸引保持しており、搬送パッド73内の管路を通じて吸引源に接続されている。第1の搬送手段55においては、伸縮アーム77の伸縮によってカセットCから矩形基板Wが搬送パッド73に取り上げられ、搬送パッド73によって矩形基板Wが剥離ステージ52の上方に移動される。剥離ステージ52では、搬送パッド73から支持テーブル65に矩形基板Wが受け渡される。
【0037】
剥離ステージ52には、矩形基板Wを支持する支持テーブル65が設けられている。支持テーブル65の表面中央は、矩形基板Wが載置される支持部66になっている。支持テーブル65の支持部66には、保護テープTを下向きにした状態で矩形基板Wが搬送パッド73から受け渡される。支持部66は、矩形基板Wの保護テープT側全面を吸引保持しており、支持テーブル65内の管路を通じて吸引源に接続されている。また、支持部66は、支持テーブル65に内蔵された熱源(不図示)により加熱される。支持部66によって保護テープTが加熱されることで、保護テープTの粘着力が低減されて、保護テープTから個々のデバイスDが剥離される。
【0038】
第2の搬送手段56では、Y軸方向に延在するボールネジ式の移動機構81に、伸縮アーム82を介して保持パッド83が片持ち支持されている。移動機構81は、壁面54に配置された一対のガイドレール84に伸縮アーム82の上端部をスライド可能に支持している。伸縮アーム82は、Z軸方向に伸縮可能に構成されており、下端部に搬送アーム85を介して保持パッド83が設けられている。伸縮アーム82の上端部の背面側にはナット部が設けられており、このナット部にボールネジ86が螺合されている。ボールネジ86の一端には、駆動モータ87が連結されている。
【0039】
保持パッド83の下面には、保護テープT上の個々のデバイスDに対応する領域に吸引部(不図示)が形成されている。吸引部は、例えば、個々のデバイスを個別に吸引可能な複数の吸引口からなり、保持パッド83内の管路を通じて吸引源に接続されている。このように、保持パッド83の吸引部は、保護テープT上からデバイスDだけを一度に吸引保持するように構成されている。第2の搬送手段56においては、伸縮アーム82の伸縮によって保護テープTからデバイスDだけが保持パッド83に取り上げられ、保持パッド83によってデバイスDがバルク収容手段53の上方に移動される。
【0040】
バルク収容手段53の上方で、保持パッド83によるデバイスDの吸引保持が解除されることで、個々のデバイスDがバルク収容手段53に落下する。バルク収容手段53の上面中央には、保持パッド83から落下したデバイスDをボックス内に取り込む開口91が形成されている。バルク収容手段53の上面は、開口91に向けてデバイスDをガイドするように斜面92が形成されている。バルク収容手段53の内部には、開口91の真下に回収容器93(図4参照)が配置されている。
【0041】
このように構成されたテープ剥離装置50では、支持テーブル65での加熱によって保護テープTからデバイスDが剥離され、保持パッド83によって支持テーブル65上の保護テープTからデバイスDだけが取り上げられてバルク収容手段53に搬送される。バルク収容手段53では、保持パッド83からデバイスDが落下され、各デバイスDが斜面92を滑り降りて開口91から落ちて回収容器93に収容される。このとき、各デバイスDは、パッケージングによって強度が高められているので、落下時の衝撃によって破損し難くなっている。なお、保護テープTの加熱は、保持パッド83によるデバイスDの吸引保持前に実施されてもよいし、保持パッド83によるデバイスDの吸引保持後に実施されてもよい。
【0042】
図4を参照して、第2の実施の形態に係るテープ剥離装置によるテープ剥離方法について説明する。図4は、第2の実施の形態に係るテープ剥離方法の説明図である。なお、以下のテープ剥離方法は一例に過ぎず、適宜変更することが可能である。
【0043】
図4Aに示すように、先ず保護テープ載置工程が実施される。保護テープ載置工程では、カセットCがカセットステージ51に載置されており、ロッド部62によって矩形基板Wを載せた昇降テーブル61が押し上げられている。この状態で、第1の搬送手段55の搬送パッド73がカセットCの上方に位置付けられ、搬送パッド73によって矩形基板Wの表面が吸引保持される。搬送パッド73に矩形基板Wが持ち上げられると、搬送パッド73が支持テーブル65の上方に移動され、搬送パッド73から支持テーブル65の支持部66に矩形基板Wが載置される。支持テーブル65には、保護テープT側を下方に向けた状態で矩形基板Wが搬送パッド73から受け渡される。
【0044】
図4Bに示すように、保護テープ載置工程の後には保護テープ粘着力低減工程が実施される。保護テープ粘着力低減工程では、支持テーブル65の支持部66によって保護テープTが加熱される。保護テープTが加熱されると、保護テープTの粘着層に含まれる発泡材が膨張され、粘着層から個々のデバイスDが引き剥がされる。これにより、保護テープTの粘着層とデバイスDとの間に僅かな隙間が形成され、保護テープTの粘着力が大幅に低減される。このとき、矩形基板Wの各デバイスDの形成領域102の粘着力だけでなく、矩形基板Wの端材となる周辺領域103の粘着力も大幅に低下される(図3参照)。
【0045】
図4Cに示すように、保護テープ粘着力低減工程の後にはデバイス吸引保持工程が実施される。デバイス吸引保持工程では、第2の搬送手段56の保持パッド83が支持テーブル65の上方に位置付けられ、保持パッド83によって複数のデバイスDの表面が吸引保持される。このとき、保持パッド83には複数のデバイスDに対応した領域にのみ吸引部が形成されているため、保持パッド83によって保護テープT上のデバイスDのみが吸引保持される。よって、保護テープT上に端材を残してデバイスDだけが保持パッド83に持ち上げられる。支持テーブル65上の保護テープT及び端材は、専用の回収手段(不図示)によって回収される。
【0046】
図4Dに示すように、デバイス吸引保持工程の後にはバルク収容工程が実施される。バルク収容工程では、保持パッド83がバルク収容手段53の上方まで移動され、保持パッド83の吸引保持が解除される。これにより、保持パッド83から個々のデバイスDがバルク収容手段53に一度に落下する。各デバイスDは、バルク収容手段53の斜面92を伝って開口91から内部に入り、開口91の真下の回収容器93にバルク収容される。なお、ここでは、保護テープTの加熱後に保持パッド83によって各デバイスDを吸引保持する構成としたが、保持パッド83によって各デバイスDを吸引保持した状態で保護テープTを加熱してもよい。各デバイスDを吸引保持した状態で保護テープTを加熱する場合には、粘着力低減時にデバイスDが動かないので、特にデバイスDが小チップの場合に有効である。
【0047】
以上のように、第2の実施の形態に係るテープ剥離装置1によれば、矩形基板Wを分割した個々のデバイスDが保護テープTに粘着されており、支持テーブル65上で保護テープTが加熱されることで、各デバイスDに対する保護テープTの粘着力が低減される。よって、支持テーブル65上において、保持パッド83で各デバイスDを吸引保持した状態で保護テープTを加熱、又は保護テープTの加熱後に各デバイスDを保持パッド83で吸引保持することで、保護テープTから剥離した各デバイスDだけを吸引保持できる。そして、保持パッド83から各デバイスDをバルク収容手段53に一度に落下させて収容に要する作業時間を短縮できる。
【0048】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0049】
例えば、上記した各実施の形態において、バルク収容工程でデバイスDをバルク収容手段12、53の開口45、91の真上から落下させるようにしたが、この構成に限定されない。バルク収容工程では、デバイスDがバルク収容手段12に落下すればよく、バルク収容手段12、53の斜面46、92に近い位置にデバイスDを落下させてもよい。これにより、複数のデバイスDを比較的静かにバルク収容することができる。
【0050】
また、上記した各実施の形態において、矩形基板Wは、パッケージ基板であればよく、CSP(Chip Size Package)基板、LGA(Land Grid Array)基板、QFP(Quad Flat Package)基板、QFN(Quad Flat Non-leaded package)基板でもよい。
【0051】
また、上記した第1の実施の形態において、専用の回収手段によって矩形基板Wの端材や保護テープTを回収する構成としたが、この構成に限定されない。デバイスDと一緒に矩形基板Wの端材や保護テープTをバルク収容手段12に収容してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上説明したように、本発明は、複数のデバイスを保護テープから剥離してバルク収容する作業時間を短縮することができるという効果を有し、特に、分割済みのCSP基板から保護テープを剥離するテープ剥離方法及びテープ剥離装置に有用である。
【符号の説明】
【0053】
1、50 テープ剥離装置
12、53 バルク収容手段
14 搬送手段
15 保持手段
41 保持部
42 保持面
43 反転部
55 第1の搬送手段(搬送手段)
56 第2の搬送手段(デバイス保持手段)
65 支持テーブル
66 支持部
83 保持パッド
101 分割予定ライン
W 矩形基板
D デバイス
T 保護テープ
図1
図2
図3
図4