(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る水処理プロセスシミュレータ(シミュレーション装置)の概略構成を示す。水処理プロセスシミュレータは、演算制御装置1と、入力装置2と、表示装置3とを備えている。ユーザは、入力装置2を介して演算制御装置1に対して指示を入力することができる。入力装置2には、キーボードやマウス等を用いることができる。表示装置3は、演算制御装置1から出力されたデータを表示する。表示装置3には、液晶ディスプレイ等を用いることができる。
【0015】
演算制御装置1は、CPU(中央演算処理部)11、メインメモリ12、ディスク装置13、及び入出力部14を有する。演算制御装置1の各部はバス15を介して接続されている。演算制御装置1は、入出力部14を介して、入力装置2から入力を受け付けたり、表示装置3へデータを出力したりする。
【0016】
ディスク装置13は、CPU11により実行されるシミュレーションプログラム21を格納する。また、ディスク装置13は、水処理プロセスで使用される水処理装置に対応するユニットについての情報を規定したユニット情報データベース22を格納する。ここで、水処理プロセスで使用される水処理装置は、例えば、原水タンク、逆浸透膜濾過装置、限外濾過膜装置、薬品添加槽、活性炭塔、砂濾過塔、熱交換器、蒸発濃縮器、沈殿槽、汚泥濃縮槽、加圧浮上器、真空脱気塔、脱炭酸塔、脱気膜、標準活性汚泥槽、硝化脱窒槽、イオン交換樹脂塔、軟化器、電気式脱イオン装置、紫外線酸化装置等である。シミュレーションプログラム21は、各ユニットにおける反応や分離等に関する数学的モデルを含んでいる。また、ユニット情報データベース22には、数学的モデルに含まれるモデルパラメータの他、各ユニットの各成分の物質収支に関わる変数(水回収率、除去率等)のデフォルト値や、設計パラメータのデフォルト値が登録されている。また、ユニット情報データベース22は、表示装置3にアイコン表示される各ユニットのアイコン情報を含んでいる。
【0017】
また、ディスク装置13には、処理フロー内の各ストリームについて、流量、温度、各成分濃度の情報をまとめて保有するストリーム情報データベース23が格納されている。
【0018】
ディスク装置13は例えばハードディスクドライブである。なお、設計プログラム21は、ディスク装置13でなく、ROMや磁気テープ(共に図示せず)に格納されていてもよい
【0019】
CPU11は、ディスク装置13内のシミュレーションプログラム21をメインメモリ12にロードして、シミュレーションプログラム21を実行する。このとき、ディスク装置13内のユニット情報データベース22及びストリーム情報データベース23をメインメモリ12にロードするようにしてもよい。
【0020】
シミュレーションプログラム21の実行に伴い、メインメモリ12上には、水処理プラントの処理フロー、及び各種計算結果を格納する領域が確保される。水処理プラントの処理フローはユーザにより作成されるものであり、作成方法については後述する。
【0021】
図2に、CPU11がシミュレーションプログラム21を実行することで実現される機能ブロック図を示す。シミュレーションプログラム21の実行により、描画部210、初期値設定部220、水収支計算部230、熱収支計算部240、物質収支計算部250、及びユニット設計計算部260が実現される。
【0022】
描画部210は、各種ユニットに対応するアイコンを表示装置3に表示する。例えば、
図3(a)に示すような原水タンクに対応するアイコンや、
図3(b)に示すような逆浸透膜濾過装置(以下、ROとする)に対応するアイコンが表示される。アイコンは単なる図形ではなく、アイコンの種類ごとに予め決められた形式で、パラメータ名とその値が格納されるデータ領域を保有している。これらのデータはユニット情報データベース22に登録される。
【0023】
図2に示すように、描画部210は、ユニット配置部211、ストリーム形成部212、及びエラー報知部213を有している。
【0024】
ユニット配置部211は、入力装置2を介してユーザにより選択されたユニットを処理フロー内に配置する。
【0025】
ストリーム形成部212は、入力装置2を介してユーザにより選択されたユニットの出力や入力などの水の流れに対応するストリームを形成する。例えば、ユーザが1つのユニットの出力と、他のユニットの入力とを選択した場合、ストリーム形成部212はこれらを接続するストリームを形成する。描画部210に描かれた各ストリームは、それぞれ固有の番号を持っており、流量、温度、各成分濃度の値が格納される領域を保有している。これらのデータはストリーム情報データベース23に登録される。
【0026】
このようなユニットの配置及びストリームの形成により、水処理プラントの処理フローが作成される。
【0027】
エラー報知部213は、後述する水収支計算部230、熱収支計算部240、物質収支計算部250、ユニット設計計算部260による計算結果にエラーが発生した場合、エラーが発生したユニットを報知する。エラー発生ユニットの報知方法については後述する。
【0028】
図4に、水処理プラントの処理フローの一例を示す。この処理フローには、水質設定ユニットU1、原水タンクU2、ROユニットU3〜U5が設けられ、水質設定ユニットU1と原水タンクU2とを接続するストリームS1が原水に対応する。原水タンクU2とROユニットU3とがストリームS2により接続される。ストリームS2は、原水タンクU2からROユニットU3に供給される水に対応する。
【0029】
ROユニットU3の逆浸透膜を透過した透過液がストリームS3に対応し、これはROユニットU5に供給される。また、ROユニットU3の濃縮液(ブライン)がストリームS4に対応し、これはROユニット(回収ROユニット)U4に供給される。
【0030】
ROユニットU4の逆浸透膜を透過した透過液がストリームS7に対応し、これは原水タンクU2に供給される。また、ROユニットU4の濃縮液(ブライン)がストリームS8に対応する。
【0031】
ROユニットU5の逆浸透膜を透過した透過液がストリームS5に対応する。また、ROユニットU5の濃縮液(ブライン)がストリームS6に対応し、これは原水タンクU2に供給される。
【0032】
ストリームS6及びS7が、この処理フローにおける水の循環流れに相当する。
【0033】
図2に示す初期値設定部220は、処理フローの作成後、入力装置2を介してユーザから原水の流量、温度、水質を含む原水情報の指示を受け付け、この原水情報を処理フロー内の原水に設定する。ここで、水質とは、例えば、pH、Mアルカリ度、各成分濃度等である。また、初期値設定部220は、処理フロー内の各ストリームについて、流れる水の流量、温度、水質を含むストリーム情報の初期値を自動設定する。
【0034】
例えば、初期値設定部220は、
図4の処理フローのストリームS2〜S8に対して、原水情報、処理フローの構成、各ユニットに設定されているデフォルト値などに基づいて、流量、温度、水質の初期値を求め、設定する。例えば、ユーザが入力装置2を用いて、処理フロー内のユニットを選択すると、データ入力ウィンドウが開き、以下の表1のような変数名とデフォルト値との組み合わせが表示される。ユーザは、入力装置2を用いて、デフォルト値(表1の右側)を変更することができる。プルダウン形式で固定リストから値を1つ選択することでデフォルト値を変更してもよいし、ユーザが任意の数字や文字列を入力してデフォルト値を変更してもよい。
【0036】
ユーザが、データ入力ウィンドウ内の値を承認する(例えば、OKボタンを押す)と、初期値設定部220が、初期値の設定を行う。例えば、ROユニットについて、入口に接続されたストリームの流量が100m
3/hで、水回収率が80%である場合、OKボタンが押されると、処理水ストリームの流量が80m
3/h、ブラインストリームの流量が20m
3/hと設定される。
【0037】
また、砂濾過塔の逆洗排水のように、原水や処理水の流量より排水の流量が極めて少ない場合は、原水の1%の流量を設定するなど、簡略的な流量設定が行われる。一方、原水中のSS(懸濁物質)は逆洗排水ストリームに全て移行するとし、処理水中のSSを0にする。
【0038】
水収支計算部230は、初期値設定部220によりストリーム情報の初期値設定後、処理フロー全体の水収支を計算する。水収支計算部230は、上流側ユニットから順に水収支を計算する。各ストリームにおける水収支計算が行われるたびに、ストリーム情報データベース23における該当ストリームの流量データが更新される。
【0039】
例えば、
図4の処理フローが作成された場合、流量の初期値が設定されているので、ストリームS2の流量をユーザが設定する必要がない。そのため、水収支計算部230は、ROユニットU3、U4、U5の順で、各ユニットについて、入口流量と出口流量の差が所定値以下となるように流量を調整する。ROユニットU4、U5の計算を行うことで、ストリームS6、S7の流量が更新され、ストリームS2の流量も更新される。
【0040】
ストリームS2の更新後、ROユニットU3、U4、U5について上述の計算が再度行われる。すべてのユニットにおいて、入口流量と出口流量の差が所定値未満となり水収支が収束するまで、計算が繰り返し行われる。
【0041】
例えば、すべてのユニットで、|入口流量合計−出口流量合計|/((入口流量合計+出口流量合計)×0.5)<所定値となった場合、水収支が収束したとみなす。ここで所定値は例えば0.01である。
【0042】
熱収支計算部240は、水収支計算部230による計算の終了後、処理フロー全体の熱収支を計算する。熱収支計算部240は、上流側ユニットから順に、各ユニットについて、入口熱量合計及び出口熱量合計を計算し、各ストリームの温度を求める。熱量は、熱量=流量×比熱×温度で求めることができる。
【0043】
例えば、すべてのユニットで、|入口熱量合計−出口熱量合計|/((入口熱量合計+出口熱量合計)×0.5)<所定値となった場合、熱収支が収束したと判定することができる。ここで所定値は例えば0.01である。
【0044】
物質収支計算部250は、熱収支計算部240による計算の終了後、各成分の物質収支を計算する。物質収支計算部250は、上流側ユニットから順に、各ユニットにおいて、各成分について、入口成分質量流量合計及び出口成分質量流量合計を計算する。成分質量流量は、成分質量流量=成分濃度×流量で求めることができる。
【0045】
例えば、すべてのユニットにおいて、各成分について、|入口成分質量流量合計−出口成分質量流量合計|/((入口成分質量流量合計+出口成分質量流量合計)×0.5)<所定値となった場合、各成分の物質収支が収束したと判定することができる。ここで所定値は例えば0.01である。
【0046】
ユニット設計計算部260は、物質収支計算部250による計算の終了後、各ユニットの設計計算を行う。ユニット計算部260は、水収支計算部230、熱収支計算部240、及び物質収支計算部250の計算結果により得られた各ユニットの水収支、熱収支、物質収支を実現するように、設計計算を行う。例えば、ユニット設計計算部260は、設計計算を行い、
図4の処理フローにおけるROユニットU3、U4、U5の膜エレメントの必要本数、RO供給ポンプの必要動力などを決定する。
【0047】
次に、本実施形態による水処理プロセスシミュレーション方法を
図5に示すフローチャートを用いて説明する。
【0048】
[ステップS101]
ユーザが、入力装置2を用いて、ユニットの配置及びユニット間の接続(ストリーム形成)を行い、水処理プロセスの処理フローを作成する。
【0049】
[ステップS102]
ユーザが、入力装置2を用いて、原水情報を入力する。
【0050】
[ステップS103]
初期値設定部220が、ステップS102で入力された原水情報を、処理フロー内の原水に対応するストリームに設定する。また、初期値設定部220が、原水情報や処理フローの構成などに基づいて、各ストリームに対して、ストリーム情報(流量、温度、水質)の初期値を求めて設定する。初期値は、ストリーム情報データベース23の該当ストリーム領域に書き込まれる。
【0051】
[ステップS104]
水収支計算部230が、ステップS103で設定された初期値を用いて、処理フロー全体の水収支を計算する。
【0052】
[ステップS105]
水収支が収束した場合、すなわち全てのユニットにおいて、入口流量と出口流量の差が所定値未満となった場合、ステップS106に進む。このとき、全てのユニットのアイコンを青色で表示してもよい。
【0053】
一方、水収支が収束しない場合、例えば、一定時間計算を行っても入口流量と出口流量の差が所定値未満とならないエラーユニットが存在する場合は、ステップS112に進む。
【0054】
[ステップS106]
熱収支計算部240が、水収支計算部230による計算結果を用いて、処理フロー全体の熱収支を計算する。熱収支計算の過程で各ユニットの出口側ストリームの温度が計算で求められて、ストリーム情報データベース23における該当ストリーム領域の温度データが更新される。
【0055】
[ステップS107]
熱収支が収束した場合、すなわち全てのユニットにおいて、入口熱量と出口熱量の差が所定値未満となった場合、ステップS108に進む。
【0056】
一方、熱収支が収束しない場合、例えば、一定時間計算を行っても入口熱量と出口熱量の差が所定値未満とならないエラーユニットが存在する場合は、ステップS112に進む。
【0057】
[ステップS108]
物質収支計算部250が、水収支計算部230による計算結果を用いて、各ユニットについて、各成分の物質収支を計算する。
【0058】
[ステップS109]
物質収支が収束した場合、すなわち全てのユニットにおいて、各成分について、入口成分質量流量と出口成分質量流量の差が所定値未満となった場合、ステップS110に進む。
【0059】
一方、物質収支が収束しない場合、例えば、一定時間計算を行っても入口成分質量流量と出口成分質量流量の差が所定値未満とならないエラーユニットが存在する場合は、ステップS112に進む。
【0060】
[ステップS110]
ユニット設計計算部260が、各ユニットの設計計算を行う。この設計計算には、既設プラントの装置性能確認計算及びランニングコスト計算が含まれる。
【0061】
[ステップS111]
設計エラーが無い場合は、設計計算を終了する。一方、設計エラーのユニットがある場合、例えば、設定値や計算結果が設計基準の範囲外である場合は、ステップS112に進む。
【0062】
[ステップS112]
エラー報知部213が、エラーが発生したユニットを報知する。例えば、水収支が収束しなかった場合、エラーの発生したユニットのアイコンを黄色で表示する。また、例えば、熱収支が収束しなかった場合、エラーの発生したユニットのアイコンを橙色で表示する。また、例えば、物質収支が収束しなかった場合、エラーの発生したユニットのアイコンを黄緑色で表示する。また、例えば、設計エラーの発生したユニットのアイコンを赤色で表示する。このように、エラー報知部213は、エラーが発生したユニットのアイコンを、エラー要因毎に異なる色で表示する。このことにより、ユーザは、表示装置3に表示されたアイコンの色を見るだけで、発生したエラーの要因を容易に把握することができる。
【0063】
水収支計算でエラーが発生した場合、流量設定の見直しが対処の1つとなる。例えば、タンクに流入ストリームが1本(ストリームA)、流出ストリームが2本(ストリームB、ストリームC)接続され、ストリームCの流量が固定値で、ストリームB流量=ストリームA流量−ストリームC流量で計算される場合を考える。ストリームAの流量の計算値が10m
3/hであるにもかかわらず、ストリームCの流量設定値が15m
3/hである場合には、ストリームBの流量が負の値となり、エラーとなり計算が停止する。このような場合、ストリームCの流量設定値を見直し、5m
3/hに設定変更したり、ストリームAの流量が増えるように、さらに上流側ユニットの入口ストリームの流量を増やしたりする。
【0064】
また、熱収支計算でエラーが発生した場合、温度設定の見直しが対処の1つとなる。例えば、ストリームD(10m
3/h、30℃)とストリームE(1m
3/h、20℃)で熱交換が行われる場合を考える。このとき、水収支計算は終了しているので、ストリームDとストリームEの流量は確定している。ストリームEの流量と比較して、ストリームDの流量が極めて多いため、熱交換面積を増やしても、ストリームDの出口温度は29℃程度までしか低下しない。しかし、例えば、ストリームDの出口温度が25℃に設定されていると、物理的に実現できない設定であるため、エラーとなり計算が停止する。このような場合、ストリームDの出口設定温度を上げたり、ストリームDの出口温度をユーザが設定(指定)するのではなく、装置側で計算し、算出した値を設定する方法に変更したりする。あるいはまた、ストリームEの流量が増えるように、水収支から見直してもよい。
【0065】
従来例のように処理フロー作成後に各ストリームに入力する初期値をユーザが手計算する場合、初期設定が不良であると、最初のユニットにおいて計算が中断して計算が進まず、収束解とは全く異なるエラーが出力されることがある。しかし、本実施形態によれば、初期値設定部220により各ストリームについて適切な初期値が設定され、また、水収支計算を終了した後で熱収支計算及び各成分の物質収支計算を行うため、計算が進み、収束解が得られやすくなる。また、ユーザが各ストリームの初期値を入力する手間を省くことができる。
【0066】
また、本実施形態では、最初に流量のみの初期値をもとに水収支計算が進行し、各ストリームの流量を確定する。その後、熱収支計算及び物質収支計算を行い、温度及び水質を収束値に近付けることができる。収束解に近い状態でのエラーは十分意味のあるものである。例えば、回収ROユニットのブライン側の塩分濃度が高い場合、スケール(炭酸カルシウム等の固形析出物)の発生が懸念されるが、ROの水回収率の設定値を小さくしたり、pH調整を行ったりするという対応が必要であることを事前に把握することができる。
【0067】
水処理プロセスは、入口ストリームに含まれる成分のほとんどが水(例えば、排水や海水であっても95%以上、工業用水であれば99.9%以上が水)であるため、熱収支や物質収支が水収支に与える影響は無い(無視できるほど極めて小さい)。そのため、本実施形態では、熱収支計算及び各成分の物質収支計算を行う前に、水収支計算を行う。また、熱収支が物質収支に影響を及ぼす場合があるため、成分の物質収支計算を行う前に、熱収支計算を行っている。熱収支が物質収支に影響を及ぼす場合とは、例えば、生物処理において、温度が高い程、有機物の分解速度が速くなる場合や、RO等の膜処理において、水温に応じて脱塩率(イオン除去率)が異なる場合などである。
【0068】
熱収支計算及び各成分の物質収支計算を行う前に、水収支計算を行うことで、水収支がとれている状態、すなわち各ストリームが適切な流量となっている状態で、熱収支計算を行うことができ、熱収支がとることが容易になる。そのため、熱収支計算、各成分の物質収支計算が進みやすくなる。
【0069】
このように、本実施形態によれば、複雑な水の流れを含む水処理プロセスにおける個々の水処理装置の設計計算及び薬品やユーティリティ(電力、蒸気)のランニングコスト計算を容易に行うことができる。また、これらの計算に要する時間を短縮することができる。
【0070】
上記実施形態では、
図5に示すように、初期値の設定後、水収支計算、熱収支計算、物質収支計算、ユニット設計計算を続けて行っているが、水収支計算、熱収支計算、又は物質収支計算の各段階で計算を終了できるようにしてもよい。例えば水収支計算のみを行った段階で終了できるようにしてもよい。また、水収支計算及び熱収支計算を行った段階で終了できるようにしてもよい。また、水収支計算、熱収支計算、及び物質収支計算を行った段階で終了できるようにしてもよい。このように途中で終了させるためには、例えば、各段階が終了した時点で画面上にその旨の表示を表示させ、それ以降の計算を実行するか否か入力装置2から指示信号を与えるようにすればよい。
【0071】
上記実施形態による水処理プロセスのシミュレーション方法は、排水処理プラントなどの排水処理、超純水製造プラントなどの用水処理のいずれにも適用することができる。例えば、小規模プラントにおける沈殿槽まわりの水やSS(懸濁物質)の収支計算に適用することができる。また、熱交換器を多数含んだ大規模な温超純水製造プラントの水収支、熱収支、物質収支の計算に適用することもできる。また、脱水機による濾液回収や蒸発濃縮装置による凝縮水回収を含む排水処理プラントの水収支の計算に適用することができる。
【0072】
上述した実施形態で説明したシミュレーションプログラム21は、フレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。また、シミュレーションプログラム21を、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0073】
なお、上記実施形態は本発明の一例であり、本発明は上記以外の実施形態とされてもよい。