特許第6107327号(P6107327)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6107327成膜装置及びガス供給装置並びに成膜方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6107327
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】成膜装置及びガス供給装置並びに成膜方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/44 20060101AFI20170327BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   C23C16/44 J
   C23C16/52
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-74617(P2013-74617)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-198872(P2014-198872A)
(43)【公開日】2014年10月23日
【審査請求日】2016年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091513
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162008
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 宣明
(72)【発明者】
【氏名】那須 勝行
(72)【発明者】
【氏名】佐野 正樹
(72)【発明者】
【氏名】布重 裕
【審査官】 山田 頼通
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−285922(JP,A)
【文献】 特開2011−058067(JP,A)
【文献】 特開2006−237532(JP,A)
【文献】 特開平06−045256(JP,A)
【文献】 米国特許第7615120(US,B2)
【文献】 米国特許第5963834(US,A)
【文献】 特開2009−33121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00−16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空雰囲気である処理室内の基板に対して互いに反応する複数種類の反応ガスを順番に供給し、反応生成物を積層して薄膜を形成する成膜装置において、
前記反応ガスを処理室に供給するために、反応ガスの種類毎に設けられたガス供給路と、
前記ガス供給路に設けられ、ガスの貯留によりその内部を昇圧するための貯留部と、
前記ガス供給路における前記貯留部の上流側及び下流側の各々に設けられたバルブと、
前記貯留部にパージガスを供給するためのパージガス供給部と、
複数種類の反応ガスの各々について、前記貯留部に反応ガスを貯留して昇圧した後、当該貯留部から処理室内に吐出するように前記バルブを操作する動作を順番に行う成膜ステップと、
成膜後の基板が前記処理室から搬出された後、次の基板が当該処理室内に搬入されるまでの間に、各貯留部に前記パージガスを貯留して前記成膜ステップにおける対応する貯留部の昇圧時の圧力よりも高い圧力に昇圧し、次いで当該貯留部から処理室内に吐出するように前記バルブを操作する動作を複数回繰り返すパージステップと、を実行するための制御部と、を備えたことを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記パージガス供給部は、各ガス供給路における前記貯留部の上流側にパージガスを供給するように設けられることを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
【請求項3】
前記処理室内にクリーニング用流体を供給するクリーニング用流体供給部を備え、
前記パージガスは、クリーニング用流体を処理室内に供給した後、反応ガスを貯留部に供給する前に当該貯留部に供給されることを特徴とする請求項1又は2記載の成膜装置。
【請求項4】
前記パージガスにより昇圧された貯留部から、パージガスを処理室内に吐出した後、パージガスによる貯留部内の次の昇圧のために貯留部の下流側のバルブを閉じるときの貯留部内の圧力は、パージガスによる貯留部内の昇圧時の圧力の80%以上、90%以下に設定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の成膜装置。
【請求項5】
真空雰囲気である処理室内の基板に対して互いに反応する複数種類の反応ガスを順番に供給し、反応生成物を積層して薄膜を形成する成膜装置に用いられるガス供給装置において、
前記反応ガスを処理室に供給するために、反応ガスの種類毎に設けられたガス供給路と、
前記ガス供給路に設けられ、ガスの貯留によりその内部を昇圧するための貯留部と、
前記ガス供給路における前記貯留部の上流側及び下流側の各々に設けられたバルブと、
前記貯留部にパージガスを供給するためのパージガス供給部と、
複数種類の反応ガスの各々について、前記貯留部に反応ガスを貯留して昇圧した後、当該貯留部から処理室内に吐出するように前記バルブを操作する動作を順番に行う成膜ステップと、
成膜後の基板が前記処理室から搬出された後、次の基板が当該処理室内に搬入されるまでの間に、各貯留部に前記パージガスを貯留して前記成膜ステップにおける対応する貯留部の昇圧時の圧力よりも高い圧力に昇圧し、次いで当該貯留部から処理室内に吐出するように前記バルブを操作する動作を複数回繰り返すパージステップと、を実行するための制御部と、を備えたことを特徴とするガス供給装置。
【請求項6】
真空雰囲気である処理室内の基板に対して互いに反応する複数種類の反応ガスを、反応ガスの種類毎に設けられたガス供給路を介して順番に供給し、反応生成物を積層して薄膜を形成する成膜方法において、
複数種類の反応ガスの各々について、前記ガス供給路に設けられた貯留部に反応ガスを貯留して昇圧した後、当該貯留部から処理室内に吐出する動作を順番に行う成膜工程と、
成膜後の基板が前記処理室から搬出された後、次の基板が当該処理室内に搬入されるまでの間に、各貯留部にパージガスを貯留して前記成膜工程における対応する貯留部の昇圧時の圧力よりも高い圧力に昇圧し、次いで当該貯留部から処理室内に吐出する動作を複数回繰り返すパージ工程と、を含むことを特徴とする成膜方法。
【請求項7】
前記処理室内にクリーニング用流体を供給してクリーニングを行う工程を含み、
前記パージ工程は、前記クリーニングを行う工程の後、成膜工程の前に行うことを特徴とする請求項6記載の成膜方法。
【請求項8】
前記パージガスにより昇圧された貯留部から、パージガスを処理室内に吐出した後、パージガスによる貯留部内の次の昇圧のために貯留部の下流側のバルブを閉じるときの貯留部内の圧力は、パージガスによる貯留部内の昇圧時の圧力の80%以上、90%以下に設定されていることを特徴とする請求項6又は7記載の成膜方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に対して反応ガスを用いて成膜を行う技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
基板である例えば半導体ウエハ(以下「ウエハ」と言う)に膜を成膜する手法として、ALD(Atomic Layer Deposition)法やMLD(Multi Layer Deposition)法(以下、これらを総合してALD法と称する)などと呼ばれる方法が知られている。このALD法は、緻密な薄膜を成膜でき、また良好な埋め込み特性を得ることができる手法であり、この方法では、処理室内に置かれたウエハに対して、互いに反応する複数種類の反応ガスを順番に供給して、所定の膜が形成されている。
【0003】
一般に成膜処理ではウエハのみならず処理室の内壁にも膜が堆積し、この堆積膜の膜厚が大きくなるとパーティクルの発生要因となることから、所定枚数のウエハに成膜処理を行った後、クリーニングを行っている。この処理は、例えば処理室内に腐食性の大きいクリーニングガスを供給することにより行われ、処理室の内壁に付着した堆積物は、クリーニングガスとの接触により前記内壁から剥離される。この剥離された成分の大部分は処理室内を排気することにより除去されるが、前記剥離された成分の一部が処理室の内部に残留することがある。このため処理室内にパージガスを供給し、処理室内の残留物をパージガスの流れと共に処理室の外部へ運び、除去している。
【0004】
クリーニングとパージガスの通流を行った後、処理室にウエハを搬入して所定の成膜処理が行われるが、この成膜時にウエハにパーティクルが付着する場合がある。この要因は、成膜ガスの流路内にクリーニングによる残留物が存在し、成膜ガスの通流によって成膜ガスと共にウエハに供給されることにあると推察される。
【0005】
パーティクル低減処理については、特許文献1に、ウエハの処理を行う際には所定流量の不活性ガスを反応ガスと共に導入し、パーティクル低減処理を行うときには大流量の不活性ガスをパージガスとして導入する技術が記載されている。しかしながらこの特許文献1では、不活性ガスの流路と反応ガスの流路とは別個であるため、反応ガスの流路にパーティクルが存在する場合には反応ガスの供給と共にパーティクルがウエハに付着するという懸念がある。また特許文献2には、半導体装置の点検において、プロセスチャンバに接続されたガスラインに関する点検項目を実施する際に、ガスラインにパージフローを最大流量で流すことが記載されている。さらに特許文献3には、ガス供給配管に圧力制御用タンクを設けると共に、圧力制御タンクの排気配管に圧力計を設け、圧力計によってタンク内の圧力が所定圧になるように制御して、ガスをパルス状に供給する技術が記載されている。
【0006】
また特許文献4には、成膜処理を行う場合にチャンバ内の圧力を検出し、この検出値に基づいてバルブの開閉動作の確認を行う技術が記載されている。さらに特許文献5には、反応ガスの流路に圧力計を備えた反応ガスタンクを設け、反応ガスタンクに予め充填させておいた反応ガスをチャンバ内に供給してプラズマ処理を行う技術が記載されている。この手法では、チャンバの容量が大きい場合でも、チャンバ内が設定圧力となるように反応ガスを短時間で供給することができる。しかしながら特許文献2〜5においては、パージガスを通流させてパーティクルを低減させることについては記載されておらず、これら特許文献1〜5によっても、本発明の課題を解決することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−253629号公報:段落0146〜0151、段落0166、0167
【特許文献2】特開2011−192931号公報:段落0044、0052
【特許文献3】特開平6−45256号公報:段落0012、0013、0018
【特許文献4】特開2008−277666号公報:段落0057〜0060
【特許文献5】特開2008−91625号公報:段落0032、0037、0042、0043
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、互いに反応する複数種類の反応ガスを基板に順番に供給して成膜を行うにあたり、基板のパーティクル汚染を低減させることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の成膜装置は、
真空雰囲気である処理室内の基板に対して互いに反応する複数種類の反応ガスを順番に供給し、反応生成物を積層して薄膜を形成する成膜装置において、
前記反応ガスを処理室に供給するために、反応ガスの種類毎に設けられたガス供給路と、
前記ガス供給路に設けられ、ガスの貯留によりその内部を昇圧するための貯留部と、
前記ガス供給路における前記貯留部の上流側及び下流側の各々に設けられたバルブと、
前記貯留部にパージガスを供給するためのパージガス供給部と、
複数種類の反応ガスの各々について、前記貯留部に反応ガスを貯留して昇圧した後、当該貯留部から処理室内に吐出するように前記バルブを操作する動作を順番に行う成膜ステップと、
成膜後の基板が前記処理室から搬出された後、次の基板が当該処理室内に搬入されるまでの間に、各貯留部に前記パージガスを貯留して前記成膜ステップにおける対応する貯留部の昇圧時の圧力よりも高い圧力に昇圧し、次いで当該貯留部から処理室内に吐出するように前記バルブを操作する動作を複数回繰り返すパージステップと、を実行するための制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また本発明のガス供給装置は、
真空雰囲気である処理室内の基板に対して互いに反応する複数種類の反応ガスを順番に供給し、反応生成物を積層して薄膜を形成する成膜装置に用いられるガス供給装置において、
前記反応ガスを処理室に供給するために、反応ガスの種類毎に設けられたガス供給路と、
前記ガス供給路に設けられ、ガスの貯留によりその内部を昇圧するための貯留部と、
前記ガス供給路における前記貯留部の上流側及び下流側の各々に設けられたバルブと、
前記貯留部にパージガスを供給するためのパージガス供給部と、
複数種類の反応ガスの各々について、前記貯留部に反応ガスを貯留して昇圧した後、当該貯留部から処理室内に吐出するように前記バルブを操作する動作を順番に行う成膜ステップと、
成膜後の基板が前記処理室から搬出された後、次の基板が当該処理室内に搬入されるまでの間に、各貯留部に前記パージガスを貯留して前記成膜ステップにおける対応する貯留部の昇圧時の圧力よりも高い圧力に昇圧し、次いで当該貯留部から処理室内に吐出するように前記バルブを操作する動作を複数回繰り返すパージステップと、を実行するための制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
さらに本発明の成膜方法は、
真空雰囲気である処理室内の基板に対して互いに反応する複数種類の反応ガスを、反応ガスの種類毎に設けられたガス供給路を介して順番に供給し、反応生成物を積層して薄膜を形成する成膜方法において、
複数種類の反応ガスの各々について、前記ガス供給路に設けられた貯留部に反応ガスを貯留して昇圧した後、当該貯留部から処理室内に吐出する動作を順番に行う成膜工程と、
成膜後の基板が前記処理室から搬出された後、次の基板が当該処理室内に搬入されるまでの間に、各貯留部にパージガスを貯留して前記成膜工程における対応する貯留部の昇圧時の圧力よりも高い圧力に昇圧し、次いで当該貯留部から処理室内に吐出する動作を複数回繰り返すパージ工程と、を含むことを特徴とする
【発明の効果】
【0012】
本発明では、互いに反応する複数種類の反応ガスを基板に順番に供給して薄膜を形成する処理を行った後、反応ガスに接触する部位に付着したパーティクルをパージガスの通流により削除するようにしている。そして反応ガスを一旦昇圧して処理室内に吐出させるための昇圧用の貯留部を利用して、パージガスの圧力を反応ガスの昇圧時の圧力よりも高めてから処理室に供給している。このためパージガスの強い流れにより、貯留部の下流側の流路に存在するパーティクルがパージガスと共に流されて除去される。従って基板のパーティクル汚染を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係わる成膜装置の縦断面図である。
図2】成膜装置のガス供給系を示す構成図である。
図3】成膜装置にて行われる成膜方法の一例を示す工程図である。
図4】成膜装置にて行われる成膜処理を説明する構成図である。
図5】成膜装置にて行われる成膜処理を説明する構成図である。
図6】成膜装置にて行われるクリーニングを説明する構成図である。
図7】成膜装置にて行われるパージ処理の一例を示す工程図である。
図8】成膜装置にて行われるパージ処理を説明する構成図である。
図9】成膜装置にて行われるパージ処理を説明する構成図である。
図10】ウエハの処理枚数とパーティクル数との関係を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態に係わる成膜装置の構成について、図1及び図2を参照して説明する。本成膜装置は、例えば直径が300mmのウエハWの表面に、互いに反応する反応ガスである塩化チタン(TiCl)ガス(原料ガス)とアンモニア(NH)ガス(窒化ガス)とを交互に供給してALD法により窒化チタン(TiN)膜を成膜する装置として構成されている。
【0015】
図1図2に示すように成膜装置は、処理室を構成する真空容器よりなる処理容器1を備え、この処理容器1内にはウエハWが載置される載置台2が設けられると共に、この載置台2と対向するように天板部材3が配設されている。処理容器1の上部側の位置には排気ダクト13が設けられており、排気ダクト13の内周面には開口部131が形成されると共に、排気ダクト13の外壁面は、排気口132を介して真空ポンプなどからなる排気部14に圧力調整弁141を介して接続されている。図中11はウエハWの搬入出口、12はゲートバルブである。
前記載置台2は、その内部にウエハWを例えば350℃〜530℃の成膜温度に加熱するためのヒーター21を備えると共に、ウエハWの載置領域の外周側の領域がカバー部材22により覆われている。このカバー部材22は、上下端が各々開口する概略円筒形状に形成されると共に、その上端部が内側に向かって周方向に亘って水平方向に屈曲している。
【0016】
載置台2の下面側中央部は、処理容器1の底面を貫通し、上下方向に伸びる支持部材23により、支持板231を介して昇降機構24に接続されている。図中232はベローズである。昇降機構24は、載置台2を、図示しない搬送機構との間でウエハWを受け渡す受け渡し位置と、この受け渡し位置の上方側であって、ウエハWへの成膜が行われる処理位置(図1に示す位置)との間で昇降させる。図中25は、前記搬送機構とのウエハWの受け渡し時に、ウエハWを持ち上げるための支持ピン、図中26は支持ピン25の昇降機構であり、載置台2には支持ピン25の貫通孔201が形成されている。
【0017】
排気ダクト13の上面側には支持板31が設けられており、この支持板31の下面側には、処理空間30に反応ガスや置換ガス等を供給するための天板部材3が配設されている。この天板部材3の下面側には凹部32が形成されており、この凹部32の中央側から外周側へ向けて末広がりの形状の傾斜面が形成されている。この傾斜面のさらに外側には、環状で平坦な先端部33が設けられている。
載置台2を処理位置まで上昇させたとき、天板部材3の先端部33の下面は、カバー部材22の上面と互いに対向するように配置され、このときに天板部材3の凹部32と載置台2の上面とによって囲まれた空間は、ウエハWに対する成膜が行われる処理空間30となる。また天板部材3の先端部33の下面と、カバー部材22の上面との間には隙間34が形成されるように処理位置の高さ位置が設定されている。前記排気ダクト13の開口部131は、この隙間34に向けて開口している。
【0018】
天板部材3の前記凹部32の中央部には、処理空間30内へ反応ガスを供給するためのガス供給路41が形成されている。ガス供給路41は天板部材3を上下方向に貫通し、その下端部は載置台2側へ向けて下方側に開口している。またガス供給路41は接続部材42及びバルブ機構43を介してガス供給系5に接続されている。前記接続部材42は例えばステンレスやハステロイにより構成され、その内部にはガスの流路が形成されている。この例では、ガス供給路41は2本の流路411、412に分岐し、前記バルブ機構43に接続されている。バルブ機構43は例えば4個のバルブV1〜V4を備えており、これらバルブV1〜V4には夫々ガス供給路51〜54が接続されている。
【0019】
前記ガス供給系5について図2を参照して具体的に説明すると、バルブV2は塩化チタン(TiCl)ガスの供給路である塩化チタン供給路52に接続され、バルブV3はアンモニア(NH)ガスの供給路であるアンモニア供給路に接続されている。またバルブV1、V4は夫々置換用ガス例えば窒素(N)ガスの供給路である置換ガス供給路に夫々接続されている。前記塩化チタン供給路52及びアンモニア供給路53は本発明のガス供給路に夫々相当する。
【0020】
塩化チタン供給路52の一端側は塩化チタンガス供給部521に接続されると共に、この塩化チタン供給路52におけるバルブV2の上流側には、処理容器1側から順に、貯留部をなす貯留タンク61と、バルブV21と、流量調整部MF2と、バルブV22と、が設けられている。また塩化チタン供給路52は、流量調整部MF2とバルブV22との間から分岐し、バルブV23を備えた分岐路522を介してパージガスである窒素ガスの供給源523に接続されている。前記塩化チタン供給路52、分岐路522、バルブV23、窒素ガスの供給源523は本発明のパージガス供給部に相当する。さらに塩化チタン供給路52におけるバルブV21と流量調整部MF2との間には排気路524が接続されており、この排気路524はバルブV24を介して排気部14に接続されている。前記バルブはガスの給断、流量調整部はガス供給量の調整を夫々行うものであり、以降のバルブ及び流量調整部についても同様である。
【0021】
同様にアンモニア供給路53の一端側はアンモニアガス供給部531に接続されており、このアンモニア供給路53のバルブV3の上流側には、処理容器1側から順に、貯留部をなす貯留タンク62と、バルブV31と、流量調整部MF3と、バルブV32と、が設けられている。またアンモニア供給路53は、流量調整部MF3とバルブV32との間から分岐し、バルブV33を備えた分岐路532を介してパージガスである窒素ガスの供給源533に接続されている。前記アンモニア供給路53、分岐路532、バルブV33、窒素ガスの供給源533は本発明のパージガス供給部に相当する。さらにアンモニア供給路53におけるバルブV31と流量調整部MF3との間には排気路534が接続されており、この排気路534はバルブV34を介して排気部14に接続されている。
【0022】
前記貯留タンク61、62は例えば同様に構成され、貯留タンク61(62)と処理容器1との間のバルブV2(V3)を閉じ、貯留タンク61(62)にガスを供給したときに、当該貯留タンク61(62)内にガスが貯留されるようになっている。またこのガスの供給を続けることにより貯留タンク61(62)内が昇圧されるように構成されている。これら貯留タンク61、62には当該タンク61、62内の圧力を検出するための圧力計63、64が夫々設けられている。これら貯留タンク61、62は例えばステンレス製であり、例えばその耐圧性能が0.3MPa(2250Torr)、内容積が400ml程度のものが用いられる。
【0023】
置換ガス供給路51は、流量調整部MF1及びバルブV11を介して窒素ガス供給源511に接続されると共に、流量調整部MF1とバルブV11との間から分岐し、バルブV12を備えた分岐路512によりクリーニング用流体であるフッ化塩素(ClF)ガスの供給源513に接続されている。同様に置換ガス供給路54は、流量調整部MF4及びバルブV41を介して窒素ガス供給源541に接続されると共に、流量調整部MF4とバルブV41との間から分岐し、バルブV42を備えた分岐路542によりフッ化塩素ガスの供給源543に接続されている。
【0024】
以上に説明した構成を備えた成膜装置は、図1に示すように制御部7と接続されている。制御部7は例えば図示しないCPUと記憶部とを備えたコンピュータからなり、記憶部には成膜装置の作用、即ち処理容器1内にてウエハWに成膜処理を行うときの制御と、処理容器1内をクリーニングするときの制御と、処理容器1内をパージするときの制御についてのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
【0025】
続いて本成膜装置の作用について、成膜工程と、処理容器1をクリーニングする工程と、パージ工程と、を実施する場合を例にして、図3図9を参照して説明する。先ず成膜工程について図3図5を参照して説明する。予め処理容器1内を真空雰囲気に減圧した後、図示しない搬送機構によりウエハWを処理容器1に搬入する(ステップS1)。そして受け渡し位置にあり、例えば440℃に加熱された載置台2に対して、前記搬送機構と支持ピン25との協働作業によりウエハWを受け渡す。
【0026】
次いで載置台2を処理位置まで上昇させると共に、処理容器1内の圧力調整を行った後、塩化チタン供給路52を介して塩化チタンガスを供給する。この塩化チタンガスの供給では、図4(a)に示すように、バルブV2を閉じ、バルブV21、V22を開く。これにより塩化チタンガスを、塩化チタン供給路52を介して貯留タンク61に所定の流量例えば50sccmで供給して、当該タンク61内に塩化チタンガスを充填する(ステップS2)。またバルブV1、11、V4、V41を開き、置換ガス供給路51、54を介して、窒素ガスを夫々例えば3000sccmの流量で処理容器1に導入する。バルブV23等その他のバルブについては閉じておく。なお図4図6図8図9については、バルブのうち、開いているものについては「O」を付すと共に白色で示し、閉じているものについては「C」を付すと共に黒色で示している。また図示の便宜上、閉じているバルブについては「C」を省略している場合が多く、関連する部分についてのみ、符号を付している。
【0027】
塩化チタンガスの供給により、貯留タンク61では徐々に圧力が高まってくる。そして貯留タンク61内の圧力が第1の圧力例えば12.80kPa(96Torr)以上に昇圧すると、図4(b)に示すように、バルブV2を開いて、処理容器1内に所定量の塩化チタンガスを供給する(ステップS3)。前記第1の圧力とは、例えば空の貯留タンク61に塩化チタンガスの供給を開始したときの当該貯留タンク61の圧力よりも高い圧力であり、例えば12.40kPa(93Torr)〜13.07kPa(98Torr)に設定される。この工程では、バルブV2を開く以外、バルブの開閉は貯留タンク61に塩化チタンガスを充填する場合(図4(a))と同様である。
前記塩化チタンガス及び窒素ガスは、接続部材42及び天板部材3内のガスの流路411、412及びガス供給路41を介して処理空間30内に供給され、処理空間30の天井部の傾斜面に案内されながら、天板部材3の中央部側から外周部側へ向け広がっていき、ウエハWに到達する。また先端部33とカバー部材22との間の隙間34に到達した塩化チタンガス及び窒素ガスは、当該隙間34から処理容器1内に流れ出た後、排気ダクト13を介して外部へ排出される。
【0028】
前記バルブV2を開いて処理容器1へ塩化チタンガスを供給すると、貯留タンク61内の圧力が下がってくるので、例えば12.40kPa(93Torr)以下になると、バルブV2を閉じて塩化チタンガスの供給を停止する。一方、バルブV1及びバルブV4は開いたままにして、処理容器1内に、置換ガス供給路51、54から窒素ガスを夫々例えば3000sccmの流量で供給する(ステップS4)。窒素ガスは、前記ガスの流路411、412及びガス供給路41を介して処理空間30内に供給され、処理容器1内に流出して、排気ダクト13から排気される。こうして前記ガスの経路及び処理空間30内の塩化チタンガスが窒素ガスと置換される。
【0029】
この窒素ガスの供給によりガスを置換した後、アンモニアガス供給路53を介して処理容器1にアンモニアガスを供給する。このアンモニアガスの供給では、図5(a)に示すように、バルブV3を閉じ、バルブV31、V32を開く。これによりアンモニアガスを貯留タンク62に所定の流量例えば2700sccmで供給して、当該タンク62内にアンモニアガスを充填する(ステップS5)。またバルブV1、V4を開き、置換ガス供給路51、54を介して、窒素ガスを夫々例えば3000sccmの流量で処理容器1に導入する。バルブV33等その他のバルブについては閉じておく。
【0030】
アンモニアガスの供給により、貯留タンク62内の圧力が第2の圧力例えば21.73kPa(163Torr)以上になると、図5(b)に示すように、バルブV3を開いて、処理容器1内に所定量のアンモニアガスを供給する(ステップS6)。前記第2の圧力とは、例えば空の貯留タンク62にアンモニアガスの供給を開始したときの当該貯留タンク62の圧力よりも高い圧力であり、例えば19.20kPa(144Torr)〜24.93kPa(187Torr)に設定される。この工程では、バルブV3を開く以外、バルブの開閉は貯留タンク62にアンモニアガスを充填する場合(図5(a))と同様である。
処理容器1に供給されたアンモニアガスは、塩化チタンガスの場合と同様の流れを形成して処理空間30内に供給される。処理空間30内を流れるアンモニアガスがウエハWの表面に到達すると、先にウエハWに吸着している塩化チタンガスの成分を窒化して窒化チタンが形成される。
【0031】
バルブV3を開いて処理容器1へアンモニアガスを供給すると、貯留タンク62内の圧力が下がってくるので、例えば19.33kPa(145Torr)以下になると、バルブV3を閉じてアンモニアガスの供給を停止する。一方、バルブV1及びバルブV4は開いたままにして、処理容器1内に、置換ガス供給路51、54から窒素ガスを夫々例えば3000sccmの流量で供給する(ステップS6)。こうして処理容器1に供給される置換ガス供給路51、54からの置換用の窒素ガスにより、処理空間30内のアンモニアガスを置換する(ステップS7)。
【0032】
このようにして、塩化チタンガス→窒素ガス→アンモニアガス→窒素ガスの順番で反応ガス(塩化チタンガス、アンモニアガス)と置換用のガス(窒素ガス)とを供給することにより、ウエハWの表面に窒化チタン(TiN)の分子層が積層され、窒化チタンの膜が成膜される。この塩化チタンガスの供給とアンモニアガスの供給とを例えば数十回〜数百回繰り返し、所望の膜厚の窒化チタンの膜を成膜する。塩化チタンガスと窒素ガスとアンモニアガスと窒素ガスの供給時間の一例を挙げると、塩化チタンガス0.05秒→窒素ガス0.2秒→アンモニアガス0.3秒→窒素ガス0.3秒である。
こうして置換用の窒素ガスを供給して最後のアンモニアガスを排出した後、載置台2を受け渡し位置まで降下させる。そして搬入時とは逆の手順で成膜後のウエハWを搬出させた後(ステップS8)、次のウエハWの搬入を待つ。
【0033】
この例では、貯留タンク61(62)に塩化チタンガス(アンモニアガス)を充填するときには、タンク61(62)内の圧力が予め設定された時間で第1の圧力(第2の圧力)になるように、貯留タンク61(62)への塩化チタンガス(アンモニアガス)の供給量と供給時間とが設定されている。例えば塩化チタンガス(アンモニアガス)の供給量を一定にしておき、供給時間を調整することによって、貯留タンク61(62)内の圧力を所定時間で第1の圧力(第2の圧力)に設定する。そして前記供給時間に基づいて、バルブV2(V3)の開閉を制御している。
さらに貯留タンク61(62)から処理容器1へ塩化チタンガス(アンモニアガス)を供給するときには、タンク61(62)内が所定の圧力(12.80kPa(96Torr)、21.73kPa(163Torr)になるまでの、処理容器1への塩化チタンガス(アンモニアガス)の供給時間を予め把握しておき、この供給時間に基づいてバルブV2(V3)の開閉を制御している。
【0034】
以上においては、塩化チタンガス→窒素ガス→アンモニアガス→窒素ガスの順番でガスを切り換えて処理容器1に供給すればよく、例えば貯留タンク61、62への塩化チタンガス及びアンモニアガスの充填は夫々並行して行われる。また例えば塩化チタンガス及びアンモニアガスの一方の処理容器1への供給と、塩化チタンガス及びアンモニアガスの他方の貯留タンク61、62への充填は並行して行われる。
【0035】
上述の成膜処理を例えば500枚のウエハWに対して行った後、クリーニングを行う。処理容器1内における反応ガスが到達する領域には、塩化チタンガスとアンモニアガスとの反応により膜が形成され、この膜が次第に堆積していく。このため、クリーニングは処理容器1内の前記堆積膜を除去するために行われる。具体的には、例えば処理容器1内を引ききり状態(圧力調整弁141が全開の状態)にて排気する。その後、図6(a)に示すように、バルブV1、V12を開き、置換ガス供給路51を介して所定流量のフッ化塩素ガスを所定時間供給する。このときバルブV4、V41を開き、置換ガス供給路54を介して所定流量の窒素ガスを供給する。所定時間が経過した後に、バルブV1、V4、V12、V41を閉じる。次いで図6(b)に示すように、バルブV4、V42を開き、置換ガス供給路54を介して所定流量のフッ化塩素ガスを所定時間供給する。このときバルブV1、V11を開き置換ガス供給路51を介して所定流量の窒素ガスを供給する。
【0036】
フッ化塩素ガスは、ガスの流路411、412、ガス供給路41を介して処理空間30内に供給され、反応ガスと同様の経路で流れていく。そして隙間34から処理容器1内に流出し、排気ダクト13を介して外部へ排出される。このように反応ガスの到達する領域にフッ化塩素ガスが供給されるため、処理容器1内に堆積した膜が除去される。
フッ化塩素ガスを所定時間供給してクリーニングを行った後、処理容器1を真空排気しながら、バルブV12、V42を閉じ、バルブV1、V11、V4、V41を開いて窒素ガスを置換ガス供給路51、54を介して処理容器1に導入する。この処理を所定時間行った後、処理容器1の排気を停止すると共に、バルブV1、V11、V4、V41を閉じてクリーニングを終了する。
【0037】
クリーニングを行った後、パージ工程を実施する。この工程は、反応ガスのガス供給路である塩化チタン供給路52とアンモニア供給路53にパージガスである窒素ガスを供給することにより行う。以下、図7図9を参照して具体的に説明する。先ずアンモニア供給路(NHライン)53の実ガス抜きを行う(ステップS11)。この工程は、バルブV1、V11、V4、V41、V31、V34を開き、これら以外のバルブを閉じ、排気部14により排気することにより行う。これによりアンモニア供給路53は、バルブV3の上流側が排気され、当該アンモニア供給路53内に残存するガスが除去される。
次いで塩化チタン供給路(TiClライン)52の実ガス抜きを行う(ステップS12)。この工程は、バルブV1、V11、V4、V41、V21、V24を開き、これら以外のバルブを閉じ、排気部14により排気することにより行う。これにより塩化チタン供給路52は、バルブV2の上流側が吸引排気され、当該塩化チタン供給路52内に残存するガスが除去される。
【0038】
続いて、図8に示すように、貯留タンク61、62にパージガスである窒素ガスを充填する(ステップS13)。つまりバルブV1、V11、V4、V41、V21、V23、V31、V33を開き、これら以外のバルブを閉じる。バルブV2、V3は閉じられているので、塩化チタン供給路52及びアンモニア供給路53を介して夫々流れてくる窒素ガスは、夫々貯留タンク61、62に貯留される。こうして塩化チタン供給路52を介して貯留タンク61に窒素ガスを所定の流量例えば190sccmで供給して、当該タンク61内に窒素ガスを充填する。またアンモニア供給路53を介して貯留タンク62に窒素ガスを所定の流量例えば900sccmで供給して、当該タンク62内に窒素ガスを充填する。一方置換ガス供給路51、54を介して窒素ガスを夫々例えば3000sccmの流量で処理容器1に導入する。
【0039】
前記貯留タンク61、62では、夫々窒素ガスの供給により、タンク61、62内の圧力が徐々に圧力が高まってくる。貯留タンク61内の圧力が前記第1の圧力よりも高い圧力例えば56.00kPa(420Torr)になると、図9(a)に示すように、バルブV2を開く。これにより処理容器1に貯留タンク61から窒素ガスを塩化チタン供給路52を介して処理容器1に供給してパージを行う(ステップS14)。この状態で開いているバルブは、バルブV1、V11、V4、V41、V2、V21、V23、V31、V33である。
処理容器1内に貯留タンク61内で加圧された窒素ガス(パージガス)が供給されると、窒素ガスは圧力差により急激に処理空間30内を拡散し、前記隙間34を介して処理容器1内に広まっていく。また貯留タンク61にて加圧されてから処理容器1へ供給されるので、窒素ガスは強い圧力で処理容器1へ供給される。従って貯留タンク61の下流側における窒素ガスの流路では、窒素ガスの強い流れが発生し、この流れと共に前記流路に存在するパーティクルが除去される。
【0040】
このように貯留タンク61から処理容器1にパージガスを供給すると、貯留タンク61内の圧力が下がってくるので、貯留タンク61内の圧力が例えば46.66kPa(350Torr)になると、バルブV2を閉じて処理容器1への窒素ガスの供給を停止する。
これにより塩化チタン供給路52では、ステップS13の窒素ガスの充填工程が再び行われ、貯留タンク61への窒素ガスの供給により、次第に貯留タンク61の圧力が高まっていく。こうして再び貯留タンク61内の圧力が56.00kPa(420Torr)になるとバルブV2を開き、窒素ガスを処理容器1に供給してパージを行う。このように塩化チタン供給路52では、貯留タンク61内への窒素ガスの充填(ステップS13)と、処理容器1への窒素ガスのパージ(ステップS14)が例えば1000回繰り返される。このとき処理容器1への窒素ガスのパージは例えば0.1秒行われ、貯留タンク61への窒素ガスの充填は例えば3秒行われる。
【0041】
同様にアンモニア供給路53においても、窒素ガスの供給により貯留タンク62内の圧力が前記第2の圧力よりも高い圧力例えば56.00kPa(420Torr)になると、図9(b)に示すように、バルブV3を開いて、アンモニア供給路53を介して処理容器1内に窒素ガスを供給し、パージを行う(ステップS15)。この状態で開いている開閉バルブは、バルブV1、V11、V4、V41、V21、V23、V3、V31、V33である。これにより貯留タンク62の下流側における窒素ガスの流路では、窒素ガスの強い流れが発生し、この流れと共に前記流路に存在するパーティクルが除去される。
【0042】
このようにして貯留タンク62から処理容器1に窒素ガスを供給し、貯留タンク62内の圧力が例えば46.66kPa(350Torr)になると、バルブV3を閉じて処理容器1への窒素ガスの供給を停止する。これによりアンモニア供給路53では、ステップS13の窒素ガスの充填工程が再び行われ、貯留タンク62への窒素ガスの供給により、次第に貯留タンク62の圧力が高まっていく。そして再び貯留タンク62内の圧力が56.00kPa(420Torr)程度になると、バルブV3を開き、窒素ガスを処理容器1に供給し、アンモニア供給路53のパージを行う。このようにアンモニア供給路53では、貯留タンク62内への窒素ガスの充填(ステップS13)と、処理容器1への窒素ガスのパージ(ステップS15)が例えば1000回繰り返される。このとき処理容器1への窒素ガスのパージは例えば0.1秒行われ、貯留タンク61への窒素ガスの充填は例えば2秒行われる。
【0043】
この例では、貯留タンク61、62に窒素ガスを夫々充填するときには、タンク61、62内の圧力が予め設定された時間で夫々56.00kPa(420Torr)程度の圧力になるように、貯留タンク61、62への窒素ガスの供給量と供給時間とが夫々設定され、この供給時間に基づいてバルブV2、V3の夫々の開閉を制御している。このとき窒素ガスの供給量は、窒素ガスを貯留タンク61、62に充填する間、必ずしも一定である必要はない。
さらに貯留タンク61、62から処理容器1へ窒素ガスを供給するときには、タンク61、62内の圧力が所定の圧力(46.66kPa(350Torr))になるまでの、処理容器1への窒素ガスの供給時間を予め把握しておき、前記供給時間に基づいてバルブV2、V3の夫々の開閉が制御される。
【0044】
前記貯留タンク61に窒素ガスを充填するときには、貯留タンク61へ塩化チタンガスを供給するときの第1の圧力よりも高い圧力になるまで充填すればよい。同様に前記貯留タンク62に窒素ガスを充填するときには、貯留タンク62へアンモニアガスを供給するときの第2の圧力よりも高い圧力になるまで充填すればよい。これら貯留タンク61、62への窒素ガスの充填時のタンク圧力は、貯留タンク61、62の耐圧性能等や窒素ガスの供給量、供給時間を考慮して適宜設定される。
【0045】
さらに貯留タンク61、62から窒素ガスの放出を開始したときのタンク61、62の圧力(56.00kPa(420Torr))と、貯留タンク61、62からの窒素ガスの放出を停止するときの圧力(46.66kPa(350Torr))との変動分は、反応ガス供給時における貯留タンク61、62の圧力の変動分よりも大きいことが好ましい。但しこの変動分を大きくし過ぎると、再び貯留タンク61、62を昇圧するときに時間がかかり、またパージガスの供給時の貯留タンク61、62内の圧力が低下し過ぎると、パージ効果が薄れてくる。従って例えばパージガスを処理容器1に供給するときには、貯留タンク61、62からパージガスの放出を開始したときの貯留タンク61、62の圧力(この例では56.00kPa(420Torr))に対して、貯留タンク61、62の圧力が80%以上90%以下の圧力になったときにバルブV2を閉じ、再び貯留タンク61、62内を昇圧することが好ましい。
【0046】
さらにまた窒素ガスを貯留タンク61に充填する工程と、窒素ガスを貯留タンク62に充填する工程とは、夫々異なるタイミングで開始するようにしてもよいし、タイミングを揃えて開始するようにしてもよい。同様に窒素ガスを貯留タンク61から処理容器1に供給する工程と、窒素ガスを貯留タンク62から処理容器1に供給する工程とは、夫々異なるタイミングで開始するようにしてもよい。
【0047】
上述の例では、貯留タンク61、62に設けられた圧力計63、64の検出値に基づいてバルブV2、V3の開閉を制御しているわけではない。このため厳密には、貯留タンク61、62内の圧力が第1又は第2の圧力にならない前にバルブV2、V3を開いて反応ガスを放出し、貯留タンク61、62内の圧力が前記所定の圧力(17.33kPa(130Torr)、25.33kPa(190Torr))以下にならない前にバルブV2、V3を閉じて反応ガスを充填する場合が発生する場合もある。
【0048】
しかしながら貯留タンク61、62の圧力が、空の貯留タンク61、62に反応ガスの供給を開始したときの当該貯留タンク61、62の圧力よりも高くなれば、本発明の効果を得ることができる。従って前記第1の圧力又は第2の圧力は目安であり、実際に貯留タンク61、62内の圧力が前記第1の圧力又は第2の圧力以上にならない場合にバルブV2、V3を開き、貯留タンク61、62内の圧力が前記所定の圧力(12.80kPa(96Torr)、21.73kPa(163Torr))以下にならない前にバルブV2、V3を閉じる場合も本発明に含まれる。
【0049】
パージガス(窒素ガス)を処理容器1に供給する場合も同様である。貯留タンク61、62の圧力が第1の圧力又は第2の圧力よりも高くなれば、本発明の効果を得ることができ、貯留タンク61、62への窒素ガスを充填するときの目標圧力が夫々例えば56.00kPa(420Torr)となる。このため実際にはタンク61、62内の圧力が目標圧力よりも低い段階でバルブV2、V3を開き、貯留タンク61、62内の圧力が前記所定の圧力(46.66kPa(350Torr))以下にならない前にバルブV2、V3を閉じる場合も本発明に含まれる。
【0050】
こうして塩化チタン供給路52を介してのパージ処理と、アンモニア供給路53を介してのパージ処理を行った後、塩化チタン供給路(TiClライン)52の窒素ガス抜き(ステップS16)と、アンモニア供給路(NHライン)53の窒素ガス抜き(ステップS17)を行ってパージ処理を終了する。この塩化チタン供給路52の窒素ガス抜きは、バルブV1、V11、V4、V41、V21、V24を開き、これら以外の開閉バルブを閉じ、排気部14により排気することにより行う。これにより塩化チタン供給路52は、バルブV2の上流側が排気され、当該塩化チタン供給路52内に残存する窒素ガスが除去される。またアンモニア供給路53の窒素ガス抜きは、バルブV1、V11、V4、V41、V31、V34を開き、これら以外の開閉バルブを閉じ、排気部14により排気することにより行う。これによりアンモニア供給路53は、バルブV3の上流側が排気され、当該アンモニア供給路53内に残存する窒素ガスが除去される。図7に示す一連のパージ処理の間、置換ガス供給路51、54を介して窒素ガスを夫々例えば3000sccmの流量で処理容器1に導入しておく。
このようにパージ工程を行った後、例えば処理容器1内のプリコートを行い、再び成膜工程が行われる。プリコートとは、処理容器1内へウエハ成膜時と同じガスを流して、処理容器1の内部表面を成膜する処理である。
【0051】
上述の実施の形態によれば、塩化チタン供給路52とアンモニア供給路53に夫々貯留タンク61、62を設け、反応ガスを処理容器1に供給するときには、一旦貯留タンク61、62と処理容器1との間のバルブV2、V3を閉じる。そして反応ガスを貯留タンク61、62に供給し続けることによって当該貯留タンク61、62内を昇圧している。これにより貯留タンク61、62の内部は、貯留タンク61、62を設けずに単に塩化チタン供給路52やアンモニア供給路53に反応ガスを通流させたときの供給路の圧力よりも高くなる。そして貯留タンク61、62内が第1の圧力及び第2の圧力に昇圧してから、前記バルブV2、V3を開いて反応ガスを処理容器1に供給すると、反応ガスは、貯留タンク61、62内を昇圧しない場合に比べて、処理容器1に対して大きな供給圧力で供給される。処理容器1内は真空排気されているので、反応ガスを供給したときの圧力差が大きく、これにより処理空間30内に反応ガスが一気に拡散する。このためウエハW面内に対して均一に反応ガスを供給することができるので、面内均一性の高い膜を形成することができる。また処理容器1に対して反応ガスが大きな供給圧力で供給されることから、一定量の反応ガスを供給するときの供給時間が短くなり、スループットの向上を図ることができる。
【0052】
さらにパージ工程を行うときには、パージガスを貯留タンク61、62に供給し続けることによって当該貯留タンク61、62の圧力を、反応ガスを供給するときの貯留タンク61、62圧力よりも高くしてから、パージガスを処理容器1に供給している。従ってパージガスは、貯留タンク61、62の下流側において、処理容器1内に反応ガスを供給するときよりも大きな圧力で供給される。これによりパージガスの供給時に、このパージガスの強い流れによって、貯留タンク61、62の下流側の流路に存在するパーティクルがパージガスと共に流されて除去される。この結果、パージガスの後に反応ガスを処理容器1に供給するときに、反応ガスにより処理容器1に持ち込まれるパーティクルが低減され、ウエハWのパーティクル汚染が抑制される。
またパージガスを塩化チタン供給路52とアンモニア供給路53を介して、夫々の供給路に設けられた貯留タンク61、62に供給しているので、これら塩化チタン供給路52及びアンモニア供給路53のパーティクルがパージガスの通流により除去され、よりウエハWのパーティクル汚染を低減することができる。
【0053】
例えばクリーニングを行った後には、処理容器1や接続部材42等のクリーニングガスの流路において、クリーニングの残留物が排気されずにパーティクルとして残っている場合がある。従ってクリーニングの後にパージ処理を行うと、前記残留物が接続部材42や処理容器1の内壁等に付着していたとしても、パージガスにより強い衝撃力が与えられて前記堆積物が前記内壁から剥離され、パージガスの強い流れと共に処理容器1の外へ排出される。
このパージ処理を行った後には、反応ガスを処理容器1に供給して、成膜処理が行われるが、このときに処理容器1に供給される反応ガスは、既述のようにパージガスよりも供給圧力が小さい。このため仮に接続部材42や処理容器1等の反応ガスの流路に、クリーニング後の残留物が付着していたとしても、この残留物はパージ処理において、パージガスを大きな供給圧力で導入したときでさえパージガスと共に移動せずに除去できなかったものである。従って反応ガスの供給時に、前記残留物が反応ガスの通流と共に移動し、パーティクルとなってウエハWに付着することは考えにくい。このようにクリーニング後にパージ処理を行うことによって、ウエハWのパーティクル汚染をより低減することができる。
【0054】
またパージガスを供給するときには、既述のように貯留タンク61、62内の圧力変動が、反応ガスを供給するときよりも大きい。このため処理容器1内においても、パージガスを繰り返して供給するときには、反応ガスを繰り返して供給するときも、大きな圧力変動が繰り返されることになる。これによりパージガスの供給時には、貯留タンク61、62の下流側のガスの流路に付着するパーティクルが圧力変動によって浮き上がってパージガスの流れに乗って移動しやすく、この点からもパーティクルを低減することができる。
【0055】
以上において、反応ガス及びパージガスは、例えば貯留タンク61、62内の圧力を検出し、この検出値に基づいてバルブV2、V3を開閉させることによって処理容器1へ供給するようにしてもよい。この場合には、例えば貯留タンク61、62内の圧力が予め設定された上限値になったら、貯留タンク61、62と処理容器1との間のバルブV2、V3を開いて処理容器1に反応ガス又はパージガスを供給する。そして貯留タンク61、62からの反応ガス又はパージガスの供給により、タンク61、62内の圧力が降圧し、予め設定された下限値になったら、バルブV2、V3を閉じて、再び貯留タンク61、62内を上限値まで昇圧するように制御される。
【0056】
さらに反応ガス及びパージガスは、例えば貯留タンク61、62内の圧力が一定になるように貯留タンク61、62内へのガスの流量を制御し、貯留タンク61、62へのガスの供給時間に基づいて、バルブV2、V3を開閉させることによって処理容器1へ供給するようにしてもよい。この場合には、貯留タンク61、62からガスを放出すると、貯留タンク61、62内の圧力が下がるので、貯留タンク61、62への供給量を多くして、例えば貯留タンク61、62の圧力が所定時間で予め設定された値になるように制御する。そして前記所定時間経過後、処理容器1との間のバルブV2、V3を開いて処理容器1に反応ガス又はパージガスを供給する。これにより貯留タンク61、62内が降圧するので、例えば予め設定された所定時間経過後、バルブV2、V3を閉じて、再び貯留タンク61、62内を昇圧するように制御を行う。
【0057】
以上において、上述の実施の形態では、パージガス(窒素ガス)を塩化チタン供給路52、アンモニア供給路53を介して夫々貯留タンク61、62に供給したが、パージガスを塩化チタン供給路52やアンモニア供給路53を介さずに、貯留タンク61、62に直接供給するようにしてもよい。この場合であっても、貯留タンク61、62の下流側のガスの流路はパージガスの通流によりパーティクルが除去されるため、ウエハWのパーティクル汚染を抑制することができる。
また貯留部61、62としてタンクを用いずに、ガス供給路の一部を貯留部とし、当該貯留部の下流側及び上流側のバルブの開閉により、貯留部内の圧力を昇圧するようにしてもよい。
【0058】
またパージ工程は、クリーニングの後ではなく、成膜工程の後に実施するようにしてもよい。この場合においても、パージ工程を行うことにより、反応ガスに接触する部位に付着したパーティクルがパージガスの通流により削除されるので、ウエハWのパーティクル汚染を低減できる。さらに置換ガス供給路51、54を設けずに、置換ガスである窒素ガスを塩化チタン供給路52及びアンモニア供給路53を介して処理容器1に供給するようにしてもよい。さらにまたクリーニングは、フッ化塩素(ClF)ガス等の塩素・フッ素系ガスの他に、例えば三フッ化窒素(NF)ガス、六フッ化エタン(C)ガス等のフッ素系ガスや塩素(Cl)ガス等の塩素系ガス等のハロゲン系のクリーニングガスよりなるクリーニング用流体を処理容器1に供給して行うようにしてもよい。
【0059】
この他、本発明の成膜装置では、既述のTiN膜の成膜の他に、金属元素、例えば周期表の第3周期の元素であるAl、Si等、周期表の第4周期の元素であるTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge等、周期表の第5周期の元素であるZr、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag等、周期表の第6周期の元素であるBa、Hf、Ta、W、Re、lr、Pt等の元素を含む膜を成膜してもよい。ウエハW表面に吸着させる金属原料としては、これらの金属元素の有機金属化合物や無機金属化合物などを反応ガス(原料ガス)として用いる場合が挙げられる。金属原料の具体例としては、上述のTiClの他に、BTBAS((ビスターシャルブチルアミノ)シラン)、DCS(ジクロロシラン)、HCD(ヘキサジクロロシラン)、TMA(トリメチルアルミニウム)、3DMAS(トリスジメチルアミノシラン)などが挙げられる。
【0060】
またウエハWの表面に吸着した原料ガスを反応させて、所望の膜を得る反応は、例えばO、O、HO等を利用した酸化反応、H、HCOOH、CHCOOH等の有機酸、CHOH、COH等のアルコール類等を利用した還元反応、CH、C、C、C等を利用した炭化反応、NH、NHNH、N等を利用した窒化反応等の各種反応を利用してもよい。
【0061】
さらに反応ガスとして、3種類の反応ガスや4種類の反応ガスを用いてもよい。例えば3種類の反応ガスを用いる場合の例としては、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)を成膜する場合があり、例えばSr原料であるSr(THD)(ストロンチウムビステトラメチルヘプタンジオナト)と、Ti原料であるTi(OiPr)(THD)(チタニウムビスイソプロポキサイドビステトラメチルヘプタンジオナト)と、これらの酸化ガスであるオゾンガスが用いられる。この場合には、Sr原料ガス→置換用のガス→酸化ガス→置換用のガス→Ti原料ガス→置換用のガス→酸化ガス→置換用のガスの順でガスが切り替えられる。
【実施例】
【0062】
(実験1)
上述の図1に示す成膜装置を用いて、処理空間30内に塩化チタンガスとアンモニアガスを供給して窒化チタンの膜を成膜し、ウエハWに付着したパーティクルの個数を測定した。窒化チタン膜は、上述の成膜工程にて説明した処理条件にて成膜した。
そしてウエハを50枚処理する毎に、ウエハWに付着した0.16μm以上の大きさのパーティクルの個数をウエハ表面検査装置(KLA−Tencor社製Surfscan SP2)により測定した。この結果を図10に示す。図中横軸はウエハの処理枚数、縦軸はパーティクルの個数である。
【0063】
前記成膜工程は、ステンレス製の接続部材42を用い、クリーニングを行った成膜装置において、既述のパージ工程を実施した後に行い、このときのウエハWに付着したパーティクル数については△でプロットした(実施例1)。またハステロイ性の接続部材42を用い、クリーニングを行った成膜装置において、既述のパージ工程を実施した後に行い、このときのウエハWに付着したパーティクル数については□でプロットした(実施例2)。さらに既述のパージ工程の代わりに、塩化チタン供給路52及びアンモニア供給路53に夫々パージガスを200sccmと3000sccmの流量で供給してパージを行った場合(比較例1)については▲でプロットした。
実施例1及び実施例2のパージ処理の処理条件、及び前記クリーニング処理の条件は、実施の形態にて説明したとおりである。
【0064】
この結果、実施例1及び実施例2は比較例1に比べて格段にパーティクル数が少ないことが認められ、本発明のパージ工程を実施することにより、ウエハWのパーティクル汚染が低減できることが確認された。また実施例2ではパーティクル数が非常に少ないことから、接続部材42をハステロイにすることは、パーティクルの低減に有効であることが認められた。
パーティクルの発生のメカニズムについて次のように推察される。パーティクルの主要因は、接続部材42の内壁が腐食性の大きいクリーニングガスにより腐食されてしまうことにある。そしてパージ処理を行うことにより、前記接続部材42の内壁では、パージガスの強い流れによって、クリーニングガスにより腐食された領域に存在する残渣が前記内壁から剥がされて除去される。このため次に成膜処理を行ったときに、接続部材42の内壁には残渣がない状態となり、処理容器1に反応ガスによって運び込まれるパーティクルが低減する。
【0065】
一方比較例では、パージガスを塩化チタン供給路52及びアンモニア供給路53に夫々200sccmと3000sccmの流量で供給しているだけであるので、パージガスを処理容器1に供給するときの供給圧力は、反応ガスを供給するときよりも小さい。このためパージガスを接続部材42に通流させても、当該パージガスの流れが弱いので、クリーニングガスにより腐食された領域に存在する残渣を前記内壁から剥がすことはできない。一方パージガスの後に反応ガスを流すと、反応ガスは貯留タンク61、62にて加圧されてから供給されるので、接続部材42の内部をパージガスよりも強い流れで通流していく。このため前記内壁の残渣が反応ガスにより剥がされて、当該反応ガスと共に処理容器1に運び込まれるため、パーティクルが増加するものと推察される。
【符号の説明】
【0066】
W ウエハ
1 処理容器
2 載置台
3 天板部材
41 ガス供給路
51、5 置換ガス供給路
52 塩化チタン供給路
53 アンモニア供給路
61、62 貯留タンク
V1〜V4 バルブ
7 制御部
図1
図2
図3
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図7
図8
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図10