(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6107672
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】コネクタ付きケーブル
(51)【国際特許分類】
H01B 11/12 20060101AFI20170327BHJP
H04B 3/30 20060101ALI20170327BHJP
H04L 25/02 20060101ALI20170327BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
H01B11/12
H04B3/30
H04L25/02 V
H04L25/02 F
H01B7/00 306
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-343(P2014-343)
(22)【出願日】2014年1月6日
(65)【公開番号】特開2015-130247(P2015-130247A)
(43)【公開日】2015年7月16日
【審査請求日】2016年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】西村 慶
(72)【発明者】
【氏名】深作 泉
(72)【発明者】
【氏名】杉山 剛博
【審査官】
神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−211937(JP,A)
【文献】
特開2011−090959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 11/12
H01B 7/00
H04B 3/30
H04L 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動信号の送受信用に少なくとも2本以上の差動信号伝送用ケーブルを備えたケーブルと、
該ケーブルの両端に設けられ、接続対象の機器と前記差動信号伝送用ケーブルとを電気的に接続するパドルカード基板が内蔵されたコネクタと、を備え、
前記パドルカード基板に形成され前記機器から入力された電気信号を前記差動信号伝送用ケーブルに伝送する送信側伝送路に、前記機器側の伝送路に対してコモンモードインピーダンスが不整合となり、前記機器側の伝送路から入力されたコモンモードの電気信号を反射するコモンモード反射用伝送路を備え、
前記パドルカード基板に形成され前記差動信号伝送用ケーブルから入力された電気信号を前記機器に伝送する受信側伝送路に、前記差動信号伝送用ケーブルから入力された電気信号を、前記差動信号伝送用ケーブルの損失特性に応じて補償して出力する補償回路を備え、
前記コモンモード反射用伝送路は、少なくともその一部が前記補償回路より前記機器側の前記送信側伝送路に形成されている
ことを特徴とするコネクタ付きケーブル。
【請求項2】
前記コモンモード反射用伝送路は、前記機器側の伝送路に対してコモンモードインピーダンスが不整合となり、かつ、差動モードインピーダンスが整合するように構成される
請求項1記載のコネクタ付きケーブル。
【請求項3】
前記コモンモード反射用伝送路は、前記送信側伝送路を構成する配線パターンの一部の間隔を変更することで形成されている
請求項1または2記載のコネクタ付きケーブル。
【請求項4】
前記送信側伝送路全体を前記コモンモード反射用伝送路とした
請求項1〜3いずれかに記載のコネクタ付きケーブル。
【請求項5】
前記差動信号伝送用ケーブルとして、前記機器側の伝送路よりもコモンモードインピーダンスが高いものを用い、
前記コモンモード反射用伝送路のコモンモードインピーダンスを、前記差動信号伝送用ケーブルのコモンモードインピーダンスと等しくした
請求項4記載のコネクタ付きケーブル。
【請求項6】
前記差動信号伝送用ケーブルとして、平行配置された2本の内部導体と、該内部導体の周囲を一括して覆う絶縁体と、該絶縁体の周囲に形成された外部導体と、を備えたものを用いた
請求項5記載のコネクタ付きケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ付きケーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
差動信号の送受信用の差動信号伝送用ケーブルを内蔵したケーブルと、ケーブルの両端に設けられたコネクタと、を備えたコネクタ付きケーブルが用いられている。
【0003】
コネクタには、接続対象の機器と差動信号伝送用ケーブルとを電気的に接続するパドルカード基板が内蔵されている。このパドルカード基板における受信側伝送路、すなわち、差動信号伝送用ケーブルから入力された電気信号を機器に伝送する伝送路に、差動信号伝送用ケーブルの損失特性に応じて電気信号をアクティブに補償して出力する補償回路を備えたものが、アクティブケーブルモジュール(アクティブダイレクトアタッチケーブル、アクティブDAC、アクティブカッパーケーブル(ACC:Active Copper Cable)とも呼称される)である。
【0004】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、特許文献1,2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−90959号公報
【特許文献2】特開2013−122825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、アクティブケーブルモジュールなどのコネクタ付きケーブルでは、特に長尺のケーブルを用いて長距離伝送を行う場合に、送信側と受信側の信号レベルの差が大きくなり、コモンモードに起因した近端クロストークの影響を受け易くなる。
【0007】
従来のコネクタ付きケーブルでは、接続対象の機器からコモンモードの電気信号が入力された際に、そのコモンモードの電気信号もケーブル側に伝送されてしまうため、コモンモードに起因した近端クロストークが大きくなってしまう、という問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、コモンモードに起因した近端クロストークを低減可能なコネクタ付きケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、差動信号の送受信用に少なくとも2本以上の差動信号伝送用ケーブルを備えたケーブルと、該ケーブルの両端に設けられ、接続対象の機器と前記差動信号伝送用ケーブルとを電気的に接続するパドルカード基板が内蔵されたコネクタと、を備え、前記パドルカード基板に形成され前記機器から入力された電気信号を前記差動信号伝送用ケーブルに伝送する送信側伝送路に、前記機器側の伝送路に対してコモンモードインピーダンスが不整合となり、前記機器側の伝送路から入力されたコモンモードの電気信号を反射するコモンモード反射用伝送路を備えたコネクタ付きケーブルである。
【0010】
前記コモンモード反射用伝送路は、前記機器側の伝送路に対してコモンモードインピーダンスが不整合となり、かつ、差動モードインピーダンスが整合するように構成されてもよい。
【0011】
前記コモンモード反射用伝送路は、前記送信側伝送路を構成する配線パターンの一部の間隔を変更することで形成されていてもよい。
【0012】
前記パドルカード基板に形成され前記差動信号伝送用ケーブルから入力された電気信号を前記機器に伝送する受信側伝送路に、前記差動信号伝送用ケーブルから入力された電気信号を、前記差動信号伝送用ケーブルの損失特性に応じて補償して出力する補償回路を備えてもよい。
【0013】
前記コモンモード反射用伝送路は、少なくともその一部が前記補償回路より前記機器側の前記送信側伝送路に形成されていてもよい。
【0014】
前記送信側伝送路全体を前記コモンモード反射用伝送路としてもよい。
【0015】
前記差動信号伝送用ケーブルとして、前記機器側の伝送路よりもコモンモードインピーダンスが高いものを用い、前記コモンモード反射用伝送路のコモンモードインピーダンスを、前記差動信号伝送用ケーブルのコモンモードインピーダンスと等しくしてもよい。
【0016】
前記差動信号伝送用ケーブルとして、平行配置された2本の内部導体と、該内部導体の周囲を一括して覆う絶縁体と、該絶縁体の周囲に形成された外部導体と、を備えたものを用いてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コモンモードに起因した近端クロストークを低減可能なコネクタ付きケーブルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(a)は、本発明の一実施形態に係るコネクタ付きケーブルの概略構成図であり、(b)はそのコネクタ付きケーブルで用いるケーブルの横断面図である。
【
図2】本発明の他の実施形態に係るコネクタ付きケーブルの概略構成図である。
【
図3】(a)は、本発明の他の実施形態に係るコネクタ付きケーブルの概略構成図であり、(b)はそのコネクタ付きケーブルで用いるケーブルの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を添付図面にしたがって説明する。
【0020】
図1(a)は、本実施形態に係るコネクタ付きケーブルの概略構成図であり、
図1(b)はケーブルの横断面図である。
【0021】
図1(a),(b)に示すように、コネクタ付きケーブル1は、差動信号の送受信用に少なくとも2本以上の差動信号伝送用ケーブル3を備えたケーブル2と、ケーブル2の両端に設けられたコネクタ4と、を備えている。
【0022】
本実施形態では、ケーブル2として、2本の差動信号伝送用ケーブル3を備えたものを用い、1チャンネルの送受信を可能に構成した場合を説明する。ケーブル2は、2本の差動信号伝送用ケーブル3を束ね、その周囲に押さえ巻きテープ14とジャケット15を順次設けて形成されている。
【0023】
差動信号伝送用ケーブル3としては、平行配置された2本の内部導体11と、内部導体11の周囲を個別に覆う絶縁体12と、絶縁体12の周囲に形成された外部導体13と、を備えた所謂ツイナックスケーブルを用いている。差動信号伝送用ケーブル3では、外部導体13と絶縁体12との間には、外部導体13の接地用のドレイン線16が設けられている。以下、2本の差動信号伝送用ケーブル3をそれぞれ第1差動信号伝送用ケーブル3a、第2差動信号伝送用ケーブル3bと呼称する。
【0024】
ケーブル2の一端(
図1(a)の上側)には第1コネクタ4aが設けられ、他端(
図1(a)の下側)には第2コネクタ4bが設けられている。コネクタ4a,4bには、接続対象の機器(図示せず)と差動信号伝送用ケーブル3とを電気的に接続するパドルカード基板5がそれぞれ内蔵されている。以下、第1コネクタ4aに内蔵されるパドルカード基板5を第1パドルカード基板5a、第2コネクタ4bに内蔵されるパドルカード基板5を第2パドルカード基板5bと呼称する。
【0025】
パドルカード基板5a,5bの一端部(ケーブル2の接続側と反対側の端部)には、機器に接続される複数の送信側電極6と複数の受信側電極7とが形成されている。
【0026】
また、パドルカード基板5a,5bの他端部には、ケーブル2の差動信号伝送用ケーブル3の内部導体11が接続されるケーブル接続用送信側電極8とケーブル接続用受信側電極9が形成されている。
【0027】
第1差動信号伝送用ケーブル3aの内部導体11は、その一端が第1パドルカード基板5aのケーブル接続用送信側電極8に接続され、その他端が第2パドルカード基板5bのケーブル接続用受信側電極9に接続される。第2差動信号伝送用ケーブル3bの内部導体11は、その一端が第1パドルカード基板5aのケーブル接続用受信側電極9に接続され、その他端が第2パドルカード基板5bのケーブル接続用送信側電極8に接続される。
【0028】
送信側電極6とケーブル接続用送信側電極8とは、パドルカード基板5a,5bに形成された配線パターンからなる送信側伝送路20を介して、電気的に接続されている。送信側伝送路20は、機器から送信側電極6を介して入力された電気信号をケーブル接続用送信側電極8に伝送し、差動信号伝送用ケーブル3a,3bに伝送するものである。
【0029】
受信側電極7とケーブル接続用受信側電極9とは、パドルカード基板5a,5bに形成された配線パターンからなる受信側伝送路21を介して、電気的に接続されている。受信側伝送路21は、差動信号伝送用ケーブル3a,3bからケーブル接続用受信側電極9を介して入力された電気信号を受信側電極7に伝送し、機器に伝送するものである。
【0030】
受信側伝送路21には、差動信号伝送用ケーブル3a,3bからケーブル接続用受信側電極9を介して入力された電気信号を、差動信号伝送用ケーブル3a,3bの損失特性に応じてアクティブに補償して出力する補償回路10が設けられている。つまり、コネクタ付きケーブル1は、コネクタ4に補償回路10を備えたアクティブケーブルモジュールである。
【0031】
また、図示省略しているが、差動信号伝送用ケーブル3a,3bのドレイン線16は、パドルカード基板5a,5bのグランドパターンに接続されている。
【0032】
機器から第1コネクタ4aに入力された電気信号は、送信側電極6、送信側伝送路20、ケーブル接続用送信側電極8、差動信号伝送用ケーブル3aの内部導体11を介して第2コネクタ4bに入力され、ケーブル接続用受信側電極9、受信側伝送路21および補償回路10、受信側電極7を介して、第2コネクタ4bが接続された機器に出力される。第2コネクタ4b側から第1コネクタ4a側へも同様である。
【0033】
さて、本実施形態に係るコネクタ付きケーブル1では、パドルカード基板5a,5bの送信側伝送路20に、機器側の伝送路に対してコモンモードインピーダンスが不整合となり、機器側の伝送路から入力されたコモンモードの電気信号を反射するコモンモード反射用伝送路22を備えている。
【0034】
コモンモード反射用伝送路22は、機器から入力される電気信号である差動モードの電気信号は反射しないように、機器側の伝送路に対して差動モードインピーダンスが整合するように構成されている。つまり、コモンモード反射用伝送路22は、機器側の伝送路に対してコモンモードインピーダンスが不整合となり、かつ、差動モードインピーダンスが整合するように構成されている。
【0035】
本実施形態では、コモンモード反射用伝送路22は、送信側伝送路20を構成する配線パターンの一部の間隔を変更し結合率を変化させることで形成されている。ここでは、送信側伝送路20を構成する配線パターンの一部の間隔を狭め結合率を高めることで、コモンモード反射用伝送路22のコモンモードインピーダンスを高めるように構成している。
【0036】
より具体的には、機器側の伝送路のコモンモードインピーダンスは一般的には25Ω程度であるが、この場合、コモンモード反射用伝送路22のコモンモードインピーダンスは、25Ω以上とすればよい。例えば、コモンモードインピーダンスが37.5Ωの差動信号伝送用ケーブル3を用いる場合には、コモンモード反射用伝送路22のコモンモードインピーダンスを37.5Ω前後とすることが望ましい。
【0037】
コネクタ付きケーブル1では、コモンモード反射用伝送路22以外の送信側伝送路20、および受信側伝送路21は、差動モード、コモンモード共に機器側の伝送路と整合するように形成されている。
【0038】
コモンモード反射用伝送路22は、コネクタ付きケーブル1に導入されるコモンモードの電気信号をなるべく少なくするために、機器側の伝送路が接続される送信側電極6の近傍に形成されることが望ましく、少なくともその一部が補償回路10より機器側(送信側電極6側、ケーブル2と反対側)の送信側伝送路20に形成されていることが望ましい。
【0039】
長距離伝送では補償回路10よりケーブル2側の受信側伝送路21では信号レベルが低下しているため、その近傍の送信側伝送路20、すなわち、補償回路10よりもケーブル2側の送信側伝送路20に信号レベルの大きいコモンモードの電気信号が流れると、コモンモードに起因した近端クロストークが大きくなるおそれがあるためである。コネクタ付きケーブル1では、補償回路10で増幅が行われ信号レベルが大きくなるため、補償回路10よりも機器側(受信側電極7側、ケーブル2と反対側)の受信側伝送路21では、近端クロストークへの影響は比較的小さい。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係るコネクタ付きケーブル1では、送信側伝送路20に、機器側の伝送路に対してコモンモードインピーダンスが不整合となり、機器側の伝送路から入力されたコモンモードの電気信号を反射するコモンモード反射用伝送路22を備えている。
【0041】
コモンモード反射用伝送路22を備えることで、機器側から入力されたコモンモードの電気信号をパドルカード基板5上で反射することが可能になる。その結果、長尺のケーブル2を用いて長距離伝送を行う場合など送信側と受信側の信号レベルの差が大きくなる場合であっても、コモンモードに起因した近端クロストークを低減することが可能になる。
【0042】
また、本実施形態では、コモンモード反射用伝送路22を、機器側の伝送路に対してコモンモードインピーダンスが不整合となり、かつ、差動モードインピーダンスが整合するように構成しているため、差動モードの電気信号に影響を与えることなく、コモンモードの電気信号のみを反射することが可能である。
【0044】
図2に示すコネクタ付きケーブル25は、
図1のコネクタ付きケーブル1において、ケーブル2として差動信号伝送用ケーブル3a,3bを2本ずつ備えたものを用いると共に、各差動信号伝送用ケーブル3a,3bに対応するように、送信側電極6、受信側電極7、ケーブル接続用送信側電極8、ケーブル接続用受信側電極9、送信側伝送路20、および受信側伝送路21を2セットパドルカード基板5a,5bに形成したものである。ここでは、補償回路10として2チャンネル用のものを用いているが、1チャンネル用のものを2つ用いても構わない。
【0045】
コネクタ付きケーブル25では、2つの送信側伝送路20を備えるため、この2つの送信側伝送路20にそれぞれコモンモード反射用伝送路22を形成することで、
図1のコネクタ付きケーブル1と同様の作用効果を得ることが可能になる。
【0046】
なお、
図1のコネクタ付きケーブル1では1チャンネルの送受信を可能に構成した場合、
図2のコネクタ付きケーブル25では2チャンネルの送受信を可能に構成した場合を説明したが、これに限らず、3チャンネル以上の送受信を可能に構成することも当然に可能である。
【0047】
図3(a)に示すコネクタ付きケーブル31は、
図1のコネクタ付きケーブル1において、送信側伝送路20全体をコモンモード反射用伝送路22としたものである。
【0048】
コモンモード反射用伝送路22は、その長さが長いほど低い周波数のコモンモードまで反射することが可能になる。そのため、送信側伝送路20全体をコモンモード反射用伝送路22とすることで、コモンモードに起因した近端クロストークをより低減することが可能になる。
【0049】
さらに、コネクタ付きケーブル31では、ケーブル接続用受信側電極9から補償回路10に至る受信側伝送路21もコモンモード反射用伝送路22とし、コモンモード反射用伝送路22のコモンモードインピーダンスを、差動信号伝送用ケーブル3のコモンモードインピーダンスと等しくしている。
【0050】
これにより、送信側電極6から差動信号伝送用ケーブル3を経て補償回路10に至る全ての伝送路のコモンモードインピーダンスが整合するので、コモンモードの電気信号を反射する反射点を1箇所にすることが可能になる。反射点が複数存在する場合、コモンモードが多重反射することにより大きな放射が発生してしまう場合も考えられるが、反射点を1箇所とすることで、コモンモードの多重反射による放射を抑制可能になる。
【0051】
なお、コネクタ付きケーブル31では、差動信号伝送用ケーブル3として、機器側の伝送路よりもコモンモードインピーダンスが高いもの(つまり、機器側の伝送路に対してコモンモードインピーダンスが不整合となるもの)を用いる必要がある。
【0052】
このような差動信号伝送用ケーブル3としては、
図3(b)に示すように、平行配置された2本の内部導体11の周囲を一括して絶縁体32で覆い、その周囲に外部導体13を設けた差動信号伝送用ケーブル33(33a,33b)を用いるとよい。差動信号伝送用ケーブル33は、コモンモードインピーダンスが例えば37.5Ωと比較的高く、コネクタ付きケーブル31に用いる差動信号伝送用ケーブル3として好適である。
【0053】
なお、コネクタ付きケーブルにおいて、受信側におけるコモンモードのリターンロスを規定した規格があるが、本発明のコネクタ付きケーブル1,25,31では、受信側伝送路21にICを用いた補償回路10が搭載されているため、このような規格にも準拠可能である。すなわち、コネクタ付きケーブル1,25,31では、受信側電極7から延びる受信側伝送路21の補償回路10への接続部を開放端とみなすことができるため、受信側電極7から入力されたコモンモードの電気信号がコモンモード反射用伝送路22で反射されることはなく、受信側におけるコモンモードのリターンロスを抑制することが可能である。
【0054】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0055】
1 コネクタ付きケーブル
2 ケーブル
3 差動信号伝送用ケーブル
4 コネクタ
5 パドルカード基板
20 送信側伝送路
22 コモンモード反射用伝送路