(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
現在、民生用の結晶系太陽電池セルを製造するのに用いられている方法ではコスト低減が重要課題であり、そのための方法として、熱拡散法とスクリーン印刷法とを組合せた方法が一般的である。その詳細は例えば
図1に示す通りである。
【0003】
まず、チョクラルスキー(cz)法で引き上げられた単結晶シリコンインゴットや、キャスト法により作製された多結晶シリコンインゴットを、マルチワイヤー法でスライスすることにより得られたp型シリコン基板を用意する(工程(1))。次に、アルカリ溶液で表面のスライスダメージを取り除いた後、最大高さ10μm程度の微細凹凸(テクスチャ)を表面に形成し(工程(2))、基板表面に熱拡散法でn型の拡散層を形成する(工程(3))。更に、受光面には窒化珪素膜等を、例えば70nm程度の膜厚で堆積して反射防止膜兼パッシベーション膜を形成する。次に、基板表面にできたガラスをエッチングで除去し、洗浄処理を施した後(工程(4))、基板の受光面側に反射防止膜を形成する(工程(5))。次いで、スクリーン印刷法を用いてアルミニウムを主成分とする電極ペーストを基板の非受光面である裏面全面にわたって印刷し、乾燥することによって裏面電極を形成する(工程(6))。次に、基板の受光面側に、銀等の金属粒子を含み、その他ガラスフリット等の添加物を含む電極ペースト(電極剤)を、例えば幅100〜200μm程度の櫛歯状にスクリーン印刷し、乾燥する(工程(7))。続いて、接合分離処理を行った後(工程(8))、上記電極ペースト塗布部分を焼成して表面電極とするために基板全体を加熱処理する(工程(99))。この加熱処理で、上記電極ペースト中の金属粒子を焼成させて配線抵抗を抑制すると共に、ガラスフリットによって上記窒化珪素膜を貫通させ(ファイヤースルーと呼ばれている)、受光面電極と拡散層を導通させ、非受光面電極とシリコン基板界面にAl−Siの電界層を形成する。
【0004】
ここで、上記電極焼成熱処理について、例えば特開2011−258813号公報(特許文献1)では、電極焼成熱処理の加熱部の温度は、通常500〜950℃、特に600〜850℃であり、加熱時間は5〜30秒が好ましく、冷却部の温度は25〜500℃で、冷却時間は5〜30秒が好ましいとされており、加熱温度として比較的高い温度範囲を含んでいる。
【0005】
しかしながら、上記電極焼成熱処理で長期信頼性に優れた電極を得るためには、銀粒子の焼成を促進する目的で電極焼成熱処理のピーク温度を800℃以上にしなければならず、この際、基板も高温にさらされるため、基板のバルクライフタイム低下や表面再結合速度の上昇が起こり、高い変換効率を維持することができないという問題があった。
なお、本発明に関連した先行技術として、特表2012−514342号公報(特許文献2)がある。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る太陽電池セルの製造方法について説明する。
図2は、本発明に係る太陽電池セルの製造方法における製造工程の一例を示すフロー図である。
図3に示す太陽電池セルの構成を参照しながら、その製造工程を説明する。
【0012】
まず、シリコン基板を用意する。その導電型はn型でもp型のいずれでもよいが、ここでは高純度シリコン基板にBあるいはGaのようなIII族元素をドープした単結晶又は多結晶インゴットをマルチワイヤソー等を用いて切断し、p型シリコン基板(以下、基板)1を得る(工程(1))。基板の比抵抗は例えば0.1〜20Ω・cmが好ましく、特に0.5〜2.0Ω・cmであることが高い性能の太陽電池を作る上で好適である。
【0013】
次に、上記基板1におけるスライスによるダメージを、濃度5〜60質量%の水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の高濃度のアルカリ水溶液、もしくはフッ酸と硝酸の混酸等を用いてエッチングにより除去する。
【0014】
次いで、ダメージエッチングを行った基板1の表裏面に微小な凹凸構造のランダムテクスチャを形成する(工程(2))。テクスチャ形成は太陽電池セルの反射率を低下させるための有効な方法である。単結晶シリコン基板であってテクスチャをアルカリ溶液による異方エッチングにより形成する場合、結晶面方位は(100)が好ましいが、研削機等を用いて物理研磨する場合はその他の結晶面方位でも構わない。
【0015】
テクスチャ形成後、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸等、もしくはこれらの混合液の酸性水溶液中で洗浄する。経済的及び特性的観点から、塩酸中での洗浄が好ましい。清浄度を向上するため、塩酸溶液中に、0.5〜5質量%の過酸化水素を混合させ、60〜90℃に加温して洗浄してもよい。
【0016】
続いて、この基板1の受光面上に、例えばオキシ塩化リン(POCl
3)を用いた気相拡散法によりエミッタ層(n型拡散層)2を形成する(工程(3))。これによりpn接合が形成される。エミッタ層2のP濃度と深さは、エミッタ層2を流れる電流に対する抵抗と、表面パッシベーション効果の兼ね合い等で決定されるものである。一般的には、四探針法で測定したエミッタ層2のシート抵抗が30〜100Ω/□程度になるようにするのがよい。
【0017】
次に、気相拡散法により基板1表面に形成されたガラス成分をフッ酸等でエッチング除去し、続いて、塩酸/過酸化水素混合溶液やアンモニア/過酸化水素混合溶液を用いた一般的な基板の洗浄処理を行う(工程(4))。
【0018】
続いて、基板1の受光面側のエミッタ層2上にパッシベーション膜でもある反射防止膜3を形成する(工程(5))。例えば、プラズマCVD装置等の化学気相堆積装置を用い、厚さ100nm程度の窒化珪素膜を反射防止膜3として形成する。成膜の反応ガスとして、モノシラン(SiH
4)及びアンモニア(NH
3)を混合して用いることが多いが、アンモニアの代わりに窒素を用いることも可能である。また、H
2ガスによる膜(成膜種)の希釈やプロセス圧力の調整、反応ガスの希釈を行い、反射防止膜3として所望の反射率を実現する。反射防止膜3の成膜種としては、窒化珪素に限らず、化学気相堆積法のほか、熱処理や原子層堆積等の方法による酸化珪素、炭化珪素、酸化アルミニウム、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、酸化チタン等を代わりに用いてもよい。
【0019】
次に、基板1の非受光面(裏面)に、例えばAl粉末と有機バインダーとを混合したAlペーストの電極剤をスクリーン印刷し、150〜250℃程度で5〜15分程度加熱して乾燥させ、裏面電極4を形成する(工程(6))。なお、基板1の非受光面側において、例えば臭化ホウ素の気相拡散等により裏面電界層を形成してもよいが、その場合には配線抵抗を抑制する観点から、Agペーストの電極剤をスクリーン印刷して裏面電極4を形成することが好ましい。
【0020】
続いて、基板1の受光面側の反射防止膜3上に、例えばAg粉末とガラスフリットを有機バインダーで混合したAgペーストの電極剤を使用して所定パターンで塗布し、150〜250℃で5〜15分程度の加熱により乾燥させて電極剤塗布部分とする(工程(7))。具体的には、Agペーストを櫛形電極パターン状、即ちフィンガー電極及びバスバー電極の形状パターンにスクリーン印刷し、乾燥させる。
【0021】
ここで、上記ガラスフリットは、Pb系ガラスフリット(例えば、PbO−BO
3−SiO
2系等)、あるいはPbフリー系ガラスフリット(例えば、Bi
2O
3−B
2O
3−SiO
2−CeO
2−LiO
2−NaO
2系等)を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、ガラスフリットの形状は特に限定されず、例えば球状、不定形等を用いることができる。また、ガラスフリットの粒子径も特に限定されないが、作業性等の点から、粒子径の平均値(重量平均粒子径)が0.01〜10μmの範囲が好ましく、0.05〜1μmの範囲がより好ましい。
【0022】
また、上記有機バインダーは、セルロース系樹脂(例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース等)、(メタ)アクリル系樹脂(例えば、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等)を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、有機バインダーの添加量は、導電性粒子(Ag粒子)100質量部に対し、通常1〜10質量部であり、好ましくは1〜4質量部である。
【0023】
次に、上記電極剤塗布部分のみにレーザー光を照射して上記導電材の少なくとも一部が焼成するように加熱する局所加熱処理を行う(工程(9a))。
【0024】
ここで、使用するレーザー光は、パルスレーザーによるものが好ましく、その波長範囲は電極剤に使用される成分、特に導電材の種類によって決定すればよく、一般的に使用される銀(Ag)を主成分とする電極剤を用いる場合、特に銀の吸光係数の高い300〜500nmが好ましい。
【0025】
また、上記電極剤塗布部分のみにレーザー光が照射されるようにレーザー光走査の制御を行うが、レーザー出力、周波数、パルス幅、レーザービーム径(スポット径)、スキャンスピード等を調整して、導電材の少なくとも一部が焼成するよう、該電極剤塗布部分における加熱条件(熱履歴パターン含む)を調整するとよい。具体的には、表面電極5を構成するバスバー電極5a、フィンガー電極5bに相当する形状パターン(
図5参照)の電極剤塗布部分のみに、その領域が均等に加熱されるように局所加熱を行うことが好適である。
【0026】
この局所加熱処理により、電極剤塗布部分において有機バインダーが除去されると共に、少なくとも一部(場合によっては全部)の導電材同士が結合する焼成が行われる。ただし、反射防止膜3を貫通するファイヤースルーには至っていない。従って、この際の加熱処理は、レーザー光による電極剤塗布部分に限定されたごく表層で短時間の加熱であることから、電極剤塗布部分直下のpn接合界面への熱影響は極めて少なく、バルクタイムライフ低下及び表面再結合速度の上昇が抑制される。
【0027】
次に、pn接合の分離(接合分離)を行う(工程(8))。接合分離とは、太陽電池セルの正極電極と負極電極が同一導電型の高濃度ドーパント拡散層により繋がることで短絡し、特性が低下することを防ぐため、この拡散層を部分的に除去するなどして、正極電極と負極電極とが同一導電型のドーパント拡散層で繋がらない構造にすることである。接合分離の方法としては、当該製造工程のどの時点で実施するかにもよるが、ドライエッチングやウェットエッチング等の基板表層をエッチングする方法、研削機を用いた物理研削法、レーザー光を用いたアブレーション法等のいずれの方法によってもよい。例えば、レーザーで受光面側又は裏面側の基板外周を加工することで接合分離を行うことができる。
なお、接合分離は、必ずしも局所加熱処理の後に実施する必要はなく、pn接合を形成した後や、反射防止膜3形成後、もしくは電極焼成工程後であってもよい。
【0028】
次に、基板1全体を800℃未満の温度に加熱する全体加熱処理を行う(工程(9b))。具体的には、従来より用いられている焼成炉に局所加熱処理が済んだ基板1を投入して、全体加熱処理におけるピーク加熱温度が好ましくは600〜780℃、より好ましくは650〜760℃となるように基板1を加熱する。また、加熱時間は5〜30秒でよい。なお、ここでいう加熱温度は、焼成炉の設定温度ではなく、基板1の実質的な加熱温度である。
【0029】
上記全体加熱処理におけるピーク加熱温度を600〜780℃とすることにより、基板1のバルクライフタイムを高く維持でき、表面再結合速度を小さく維持できる。このピーク加熱温度が780℃より高いと、金属汚染によりバルクライフタイムが低下し、一方で基板1表面に形成された反射防止膜3の窒化珪素膜中のダングリングボンドと結合していた水素が脱離し、表面再結合速度が上昇するため、高い変換効率が得られなくなるおそれがある。また、ピーク温度が600℃より低いと、上記金属汚染による影響は少なくなり、高バルクライフタイムを維持できるが、上記反射防止膜3中のダングリングボンドと水素の結合が不十分となり、表面再結合速度が十分に下がらないため、高い変換効率が得られない場合がある。
【0030】
これにより、局所加熱処理された上記電極剤塗布部分は、完全に焼成されると共に、該電極剤塗布部分に含まれるガラスフリット成分が窒化珪素膜である反射防止膜3と反応し、分解することを利用して、Ag粒子が反射防止膜3を貫通し、エミッタ層2と低抵抗で接触する表面電極5となる(ファイヤースルー法)。なお、形成される表面電極5の抵抗率は低いほどよいが、高くとも5μΩ・cm以下、好ましくは3μΩ・cm以下であることが望ましい。また、シリコン(基板1)と表面電極5の電気的接触抵抗は、シリコン表面のキャリア濃度、即ちドーパント濃度と電極材料に関係し、一般的なAg電極の場合、シリコン表面のドーパント濃度は少なくとも1×10
19cm
-3以上が必要であり、好ましくは5×10
19cm
-3以上が必要である。
また、この全体加熱処理により、裏面電極4と基板1との界面にAl−Siの電界層となるBSF(Back Surface Field)層6が形成される。
【0031】
上記局所加熱処理(工程(9a))と全体加熱処理(工程(9b))とを合わせて、電極焼成(工程(9))と称する。なお、ここでは、局所加熱処理(工程(9a))、次いで全体加熱処理(工程(9b))の順に加熱処理を行う例を示したが、全体加熱処理(工程(9b))、次いで局所加熱処理(工程(9a))の順に加熱処理を行うようにしてもよい。即ち、上記電極剤塗布後に、基板1全体を800℃未満の温度に加熱する全体加熱処理を行って電極剤塗布部分をある程度焼成しつつエミッタ層2と接触するように反射防止膜3をファイヤースルーさせ、次いで上記局所加熱処理を行って該電極剤塗布部分を完全に焼成するようにする。これによっても局所加熱処理(工程(9a))、次いで全体加熱処理(工程(9b))の順に加熱処理を行う場合と同様の効果が得られる。
また、基板1の受光面側電極剤印刷・乾燥(工程(7))を先に行い、次いで非受光面側裏面電極形成(工程(6))を行うようにしてもよい。
【0032】
以上の製造方法によれば、電極の焼成が従来よりも促進され、配線抵抗と接触抵抗を抑制できると共に、長期信頼性が改善され、かつ基板のバルクライフタイム低下及び表面再結合速度の上昇を抑制することができ、長期信頼性に優れた高効率の結晶系太陽電池セルを得ることができる。
【0033】
なお、この例では、局所加熱処理(工程(9a))と、接合分離処理(工程(8))とが別個に実施される例を示したが、
図4に示すように、レーザー光を用いた接合分離処理とすることにより、同じレーザー加工機を用いるなどして、局所加熱処理と接合分離処理を連続的に行う一つの工程(9a’)としてもよい。例えば、レーザー加工機のステージに固定した基板1についてまず上記局所加熱処理を行い、続いて加工用の波長に変更したレーザー光を基板1に照射して接合分離処理を行うとよい。
【0034】
また、本実施形態では、受光面が片面のみ、即ち表面のみに反射防止膜上に電極剤を塗布して焼成及びファイヤースルーを行う構成の場合を示したがこれに限定されるものではなく、表裏面それぞれの拡散層上に反射防止膜を形成し、更にその上に電極剤を塗布してそれぞれ焼成及びファイヤースルーを行う両面受光タイプの太陽電池セルにも本発明を適用することができる。
【実施例】
【0035】
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
[実施例1]
以下の手順で太陽電池セルのサンプルを作製した。
まず、結晶がCZ法で製造されたボロンドープp型単結晶、アズスライス比抵抗0.5〜3.0Ω・cm、面方位(100)、厚さ200μm、正方形156×156mmのシリコン基板(以下、基板)を1000枚用意した。
次に、この基板を40質量%水酸化ナトリウム溶液に浸し、ダメージ層をエッチングで取り除き、該基板を3質量%濃度で水酸化ナトリウムとイソプロピルアルコールを加えた水溶液に浸し、ウェットエッチングすることにより、両面にランダムテクスチャを形成させた。
次に、オキシ塩化リン雰囲気下、870℃で基板を2枚一組で非受光面同士を重ねた状態で熱処理し、受光面にリンを高濃度ドーピングしてシート抵抗50Ω/□のエミッタ層を形成した。
次に、フッ酸にて基板表面のリンガラスを除去し、アンモニア/過酸化水溶混合溶液で洗浄後、リンス洗浄し乾燥させた。
次に、上記洗浄後の基板に反射防止膜兼パッシベーション膜として窒化珪素膜をプラズマCVD装置を用いて、受光面側全面に膜厚90nmで形成した。
次に、基板1の受光面側に
図5に示したような、バスバー電極5a用、フィンガー電極5b用のパターンを持つスクリーン製版を用いて、銀を主成分として含み、かつPbフリー系ガラスフリット(Bi
2O
3−B
2O
3−SiO
2−CeO
2−LiO
2−NaO
2系)を添加物として含む電極ペーストをスクリーン印刷し、加熱温度200℃で15分間乾燥した。なお、
図5のパターンにおけるフィンガー電極5b用のパターンの本数は78本、長さが154mm、間隔は2.0mm、開口幅は100μm、バスバー電極5a用のパターンの本数は3本、長さ154mm、間隔は38.5mm、開口幅は1500μmとした。
次に、基板の非受光面側に、銀を含む電極ペーストをバスバー部にスクリーン印刷し、それ以外の部分全面にアルミニウムを含む電極ペーストをスクリーン印刷し、200℃で15分間乾燥した。
次に、上記電極ペーストを印刷・乾燥させた基板に対し、上記受光面フィンガー電極用パターン部分及びバスバー電極用パターン部分に、レーザー光を照射し局所加熱処理を行った。このときの局所加熱処理のレーザー条件として、出力12.5W、波長355nm、周波数150kHz、パルス幅13nm、スポット径50μmのレーザー光を用い、1000mm/secのスキャンスピードで加工した。
次に、上記基板外周から0.5mmの距離を基板外周に沿ってレーザー光を一周させ、レーザーアブレーション法により接合分離処理を行った。このときの接合分離処理のレーザー条件としては、出力12.5W、波長532nm、周波数150kHz、パルス幅13nm、スポット径25μmのレーザー光を用い、1000mm/secのスキャンスピードで加工した。
次に、加熱温度760℃、10秒間のピーク部を持つ加熱プロファイルで基板を全体加熱することで、受光面及び非受光面電極を同時に形成した。
【0037】
[実施例2]
実施例1において、レーザー光による局所加熱処理と接合分離処理を連続して行い(それぞれのレーザー条件は実施例1と同じ)、それ以外は実施例1と同様にして、太陽電池セルのサンプルを作製した。
【0038】
[比較例1]
実施例1において、局所加熱処理を行わず、接合分離処理の後に、加熱温度800℃、10秒間のピーク部を持つ加熱プロファイルで基板を全体加熱することで、受光面及び非受光面電極を同時に形成し、それ以外は実施例1と同様にして、太陽電池セルのサンプルを作製した。
【0039】
以上のようにして得られた太陽電池セルについて、スペクトルAM(エアマス)1.5グローバルの擬似太陽光を照射して電流電圧測定機で電気特性(開放電圧、短絡電流、曲線因子、変換効率)を測定した。その結果を表1に示す。
高温で全体加熱により電極焼成処理を行った比較例1に対し、レーザー光の局所加熱処理と低温の全体加熱処理による電極焼成処理を行った実施例1及び2はどちらも開放電圧及び短絡電流が顕著に上昇し、曲線因子は同等以上の値を示した。
【0040】
【表1】
【0041】
なお、これまで本発明を図面に示した実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。