(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(D)成分を構成する無機フィラーは、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含む酸化物、水酸化物、炭酸塩、又はケイ酸塩である請求項1又は2に記載の接着剤組成物。
前記(A)成分を構成するフェノキシ樹脂は、40,000〜100,000のスチレン換算質量平均分子量を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
請求項6又は7に記載の接着フィルムを前記接着層が互いに対向するように配置し、その間に挟持されるように導体配線を配設し、さらに前記接着層を熱融着することによって作製された配線フィルム。
請求項6又は7に記載の接着フィルムのうち、前記接着層を前記ポリイミド基材上の一方の面に有する片面接着フィルムを、前記接着層を両面に有する両面接着フィルムの両側に前記接着層が互いに対向するように配置し、前記片面接着フィルムと前記両面接着フィルムとの間にそれぞれ挟持されるように導体配線を配設し、さらに前記接着層を熱融着することによって作製された配線フィルム。
【背景技術】
【0002】
近年、電気・電子機器は省スペース化、軽量化が進行し、それに用いる内部配線材には、微細配線化、薄型化による高密度配線が要求されている。また、環境負荷物質の使用を低減するため、従来の鉛はんだから鉛フリーはんだへの切り替えが進んでいる。これに伴い、内部配線材に対して、耐熱性の向上が求められている。
【0003】
上述の配線部材の絶縁層は、基本的には基材フィルムと接着層とから構成されている(例えば、特許文献1参照)。基材フィルムとしては、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等の耐熱性フィルムや、エポキシ樹脂−ガラスクロス、エポキシ樹脂−ポリイミド−ガラスクロス等の複合耐熱フィルムからなる有機絶縁フィルムが例示されている。接着層にはポリアミド樹脂とエポキシ樹脂とを含有する接着剤が開示されている。
【0004】
しかし、特許文献1の接着剤は、ポリアミド樹脂構造中に存在するアミノ基とエポキシ樹脂との反応性が高いことに起因して、保存安定性が低いという問題を有していた。この問題を解決するため、両末端にエポキシ基を有するフェノキシ樹脂、アクリルゴム、及び硬化剤からなる接着剤が提案されている(例えば、特許文献2参照)。フェノキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型、又はビスフェノールAとビスフェノールFとの共重合型が例示されている。特許文献2の接着剤は、接着力が比較的優れているといわれるフェノキシ樹脂を配合しているにもかかわらず、0.5kN/m程度の接着力しか有しない点、及びはんだ耐熱性が260℃とやや低い点に課題があった。
【0005】
上記課題を解決する手法として、質量平均分子量が80,000〜800,000である熱可塑性ポリウレタン樹脂と、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂硬化剤とを含有する接着剤が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
通常のポリウレタン樹脂は、エポキシ樹脂との反応性が高いため、接着フィルムの保存安定性に問題を有するが、特許文献3では、特定分子量範囲のポリウレタン樹脂を用いることによって保存安定性を改善するとしている。接着力は1.1〜1.7kN/mを有する。
【0007】
また、ポリウレタン樹脂と、エポキシ樹脂と、特定の構造のノボラック樹脂とを含有する接着剤のはんだ耐熱性が300℃であることが開示されている(例えば、特許文献4参照)。しかし、特許文献3、4で使用されるポリウレタン樹脂は、一般に200℃以上の温度において解重合することが知られている。一般に、ポリウレタンの耐熱性は、80〜100℃といわれていることから、ポリウレタン樹脂を含有する接着剤には、高耐熱性が要求される産業用、自動車用電子機器の分野への応用に不安を有する。
【0008】
また、(メタ)アクリル変性フェノキシ樹脂とエポキシ樹脂とを含有する接着剤、及び同様に(メタ)アクリル変性フェノキシ樹脂と、ウレタンアクリレートオリゴマーと、シランカップリング剤とを含有する接着剤が開示されている(特許文献5及び特許文献6参照)。特許文献5に記載のエポキシ樹脂を含有する接着剤は、耐熱性が優れるものの接着力が0.6kN/m程度と低いことに課題を有する。また、ウレタンアクリレートとシランカップリング剤とを含有する特許文献6に記載の接着剤は、金属導体との接着力が優れているものの、耐熱性の高い基材フィルムであるポリイミドフィルムとの接着力に対する配慮が欠けていた。
【0009】
さらに、接着フィルムには、カールができる限り小さいこと、接着層にタックがないことが取扱い上、重要である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[実施の形態の要約]
本実施の形態に係る接着剤組成物は、下記(A)、(B)、(C)、及び(D)成分を、下記配合量で含有し、かつ(B)成分及び(C)成分の総量が、7〜60質量部であるものである。
(A)側鎖に複数の水酸基を含有するフェノキシ樹脂:100質量部、
(B)分子中に1つのイソシアネートと、ビニル基、アクリレート基及びメタクリレート基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基とを有する多官能イソシアネート化合物:2〜55質量部、
(C)複数のマレイミド基を分子中に有するマレイミド化合物又は/及びその反応生成物:5〜30質量部、及び
(D)平均粒子径が5μm以下である1種類以上の無機フィラー:1〜50質量部
ものである。
【0026】
また、本実施の形態に係る接着剤ワニスは、上述の接着剤組成物と、メチルエチルケトンとを含有するものである。
【0027】
また、本実施の形態に係る接着フィルムは、ポリイミド基材上の片面又は両面に、上述の接着剤組成物から構成された接着層を有するものである。
【0028】
さらに、本実施の形態に係る配線フィルムは、上述の接着フィルムを前記接着層が互いに対向するように配置し、その間に挟持されるように導体配線を配設し、さらに前記接着層を熱融着することによって作製されたものであり、また、上述の接着フィルムのうち、前記接着層を前記ポリイミド基材上の一方の面に有する片面接着フィルムを、前記接着層を両面に有する両面接着フィルムの両側に前記接着層が互いに対向するように配置し、前記片面接着フィルムと前記両面接着フィルムとの間にそれぞれ挟持されるように導体配線を配設し、さらに前記接着層を熱融着することによって作製されたものである。
【0029】
[実施の形態]
1.接着剤組成物
本実施の形態に係る接着剤組成物は、下記(A)、(B)、(C)、及び(D)成分を、下記配合量で含有し、かつ(B)成分及び(C)成分の総量が、7〜60質量部であるように構成される。
(A)側鎖に複数の水酸基を含有するフェノキシ樹脂:100質量部、
(B)分子中に1つのイソシアネートと、ビニル基、アクリレート基及びメタクリレート基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基とを有する多官能イソシアネート化合物:2〜55質量部、
(C)複数のマレイミド基を分子中に有するマレイミド化合物又は/及びその反応生成物:5〜30質量部、及び
(D)平均粒子径が5μm以下である1種類以上の無機フィラー:1〜50質量部
【0030】
(1)(A)成分:フェノキシ樹脂
本実施の形態に係る接着剤組成物に用いられる(A)成分は、側鎖に複数の水酸基を含有するフェノキシ樹脂である。(A)成分は、ベース樹脂として用いられるため、保存安定性、接着後の耐熱性、及び耐湿信頼性に優れた、5%熱質量減少温度が350℃を超えるフェノキシ樹脂が用いられている。
【0031】
(A)成分を構成するフェノキシ樹脂は、接着剤組成物に成膜性を付与し、硬化後においては、例えば、接着フィルム等に用いられた場合、その接着層に柔軟性と機械的強度とを付与する機能を有する。
【0032】
このような機能を発現するため、分子量範囲としては、通常、20,000〜100,000の範囲のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレン換算)で測定される質量平均分子量(以下、スチレン換算質量平均分子量ということがある)を有する。硬化物の接着力の維持向上、接着フィルム等における接着層の機械的強度の観点からは、40,000〜100,000のスチレン換算質量平均分子量を有することが好ましい。
【0033】
ビスフェノールA型フェノキシ樹脂としては、例えば、新日鉄住友化学社製、商品名:YP−55U、YP−50、YP−50S、YP−50、EK35等を挙げることができる。
【0034】
(2)(B)成分:多官能イソシアネート化合物
本実施の形態に係る接着剤組成物に用いられる(B)成分は、分子中に1つのイソシアネートと、ビニル基、アクリレート基及びメタクリレート基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基とを有する多官能イソシアネート化合物から構成される。
【0035】
(B)成分としては、例えば、最終的に配線フィルム等に用いられる場合、上述の(A)成分のフェノキシ樹脂と導体との接着力を高めるために、フェノキシ樹脂側鎖の水酸基と反応してフェノキシ樹脂の汎用溶媒への溶解性を増加するとともに、フェノキシ樹脂にラジカル重合性、すなわち架橋性を付与するために、分子内に1個のイソシアネート基を有するとともに、接着剤組成物の耐熱性等を改善するために、イソシアネート基と反応性を異にするビニル基、アクリレート基及びメタクリレート基を有する多官能イソシアネート化合物が用いられている。すなわち、(B)成分を構成する多官能イソシアネート化合物は、フェノキシ樹脂の汎用溶媒への溶解性を増加し、フェノキシ樹脂にラジカル重合性(架橋性)を付与し、かつ接着剤組成物の耐熱性等を改善する機能を有する。多官能イソシアネート化合物は、アルコキシシリル基を有してもよい。
【0036】
(B)成分を構成する多官能イソシアネート化合物としては、例えば、ビニルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、メタクリルイソシアネート、4−メチルベンジルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。
【0037】
具体的には、ビニルイソシアネート(シグマアルドリッチジャパン社製)、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、商品名:カレンズ(登録商標)MOI、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、商品名:カレンズ(登録商標)AOI)、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート(昭和電工社製、商品名:カレンズ(登録商標)BEI)等を挙げることができる。
【0038】
(B)成分を構成する多官能イソシアネート化合物の配合量は、(A)成分を構成するフェノキシ樹脂100質量部に対して、2〜55質量部である。多官能イソシアネート化合物が2質量部未満であると、フェノキシ樹脂の溶解性が低下し、ワニスが不均一となり、55質量部を超えると、接着剤の接着力が低下する。
【0039】
本実施の形態に係る接着剤組成物においては、(B)成分を構成する多官能イソシアネート化合物と、後述する(C)成分を構成するマレイミド化合物の総量が7〜60質量部の範囲にあることが必要である。7質量部未満であると、所期の効果がなく、60質量部を超えると、架橋しすぎて柔軟性がなくなる。
【0040】
(3)(C)成分:マレイミド化合物又は/及びその反応生成物
本実施の形態に係る接着剤組成物に用いられる(C)成分は、複数のマレイミド基を分子中に有するマレイミド化合物又は/及びその反応生成物から構成される。
【0041】
(C)成分としては、例えば、接着フィルムや配線フィルム等に用いられる場合、接着剤組成物と、基材フィルムとしての、例えば、ポリイミドフィルムとの接着性の向上のため、高接着性を示す架橋剤として、複数のマレイミド基を分子中に有するマレイミド化合物又は/及びその反応生成物が用いられている。具体的には、複数のマレイミド基を構造中に有するマレイミド化合物は、(A)成分を構成するフェノキシ樹脂中の水酸基及びフェノキシ樹脂に導入された不飽和2重結合含有基と反応し、系に硬化性と接着性とを付与する成分であり、これによって、硬化後の接着層の耐熱性、耐湿信頼性、接着性、耐薬品性を改善する機能を有する。
【0042】
(C)成分を構成するマレイミド化合物としては、例えば、大和化成工業社製、商品名:BMI−1000、BMI−2000、BMI−5000、BMI−5100、BMI−TMH等を挙げることができる。
【0043】
(C)成分を構成するマレイミド化合物の配合量は、(A)成分を構成するフェノキシ樹脂100質量部に対して、5〜30質量部である。5質量部未満であると、耐熱性が低下し、30質量部を超えると、接着力が低下する傾向にある。
【0044】
(4)(D)成分:無機フィラー
本実施の形態に係る接着剤組成物に用いられる(D)成分は、平均粒子径が5μm以下である1種類以上の無機フィラーから構成される。平均粒子径は、レーザー回析法により測定した粒子径の粒度分布におけるメジアン径(d50)とした。
【0045】
(D)成分は、接着剤組成物にフィラーが添加されていない場合、接着剤組成物の塗布面の滑り性が悪く、巻取時に空気を抱き込んでしまうため、接着フィルムの取扱い性(以下、ハンドリング性ということがある)がよくないこと等を改善するために用いられる。すなわち(D)成分を構成する無機フィラーを用いずに基材上に形成される接着層は、表面が平であり、そのような接着層面同士を重ねると接着層のタックにより、滑り性が悪いことになる。無機フィラーを添加することにより、接着層の表面が少し荒れ、かつ表面にもフィラーが存在するようになる。その結果、接着層面同士を重ねても接着性樹脂成分が直接接触する確率が下がり、滑り性が向上することになる。要するに、(D)成分を構成する無機フィラーは、ハンドリング性を向上させる機能を有する。
【0046】
(D)成分としては、ハンドリング性等を向上させるため、平均粒子径が5μm以下である1種類以上の無機フィラーが用いられている。平均粒子径が5μmを超えると、少量添加でも接着力の低下が大きい。さらに、接着剤ワニスに用いられる場合、接着剤ワニス中での沈殿も早く、ワニスとしての安定性に欠くことになる。
【0047】
性能、入手性のバランスがよく、好適に用いることができる点から、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含む酸化物、水酸化物、炭酸塩、又はケイ酸塩であることが好ましい。
【0048】
具体的には、マグネシウムを含むものとして、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、タルク等のケイ酸マグネシウム、アルミニウムを含むものとして、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、カオリナイト等のケイ酸アルミニウム、ケイ素を含むものとして、シリカ、シリカマグネシア、カルシウムを含むものとして、炭酸カルシウム、ドロマイト、ハンタイト、コレマナイト、ケイ酸アルミニウムカルシウムを挙げることができる。
【0049】
水酸化マグネシウムとしては、例えば、神島化学工業社製、商品名:マグシーズN−4、マグシーズN−6、マグシーズS−4、マグシーズS−6、マグシーズV−6F、マグシーズEP、マグシーズW;協和化学工業社製、商品名:キスマ5A、キスマ5L;堺化学工業社製、商品名:MZG−1,MGZ−3,MGZ−5R、MGZ−6R等を挙げることができる。
【0050】
酸化マグネシウムとしては、例えば、神島化学工業社製、商品名:スターマグPSF、スターマグPSF−150、スターマグM、スターマグL、スターマグP等を挙げることができる。
【0051】
炭酸マグネシウムとしては、例えば、神島化学工業社製、商品名:マグネサイトMSS等を挙げることができる。
【0052】
タルクとしては、例えば、日本タルク社製、商品名:ナノエースD−1000、ナノエースD−800、ナノエースD−600、ミクロエースSG−2000、ミクロエースSG−1000、ミクロエースSG−200、ミクロエースSG−95、ミクロエースP−8、ミクロエースP−6;竹原化学工業社製、商品名:ハイトロン、ハイトロンA、ミクロライト、ハイミクロンHE5;日本ミストロ社製、商品名:ミストロンベーパーシリーズ等を挙げることができる。
【0053】
水酸化アルミニウムとしては、例えば、日本軽金属社製、商品名:BF013、B703、B1403;昭和電工社製、商品名:ハイジライトH−42、ハイジライトH−42M、ハイジライトH−43、ハイジライトH−43M等を挙げることができる。
【0054】
ハイドロタルサイトとしては、例えば、協和化学工業社製、商品名:DHT−4A、アルカマイザー等を挙げることができる。
【0055】
カオリナイトとしては、例えば、白石カルシウム工業社製、商品名:ST−301,ST−309、ST−100、ST−KE、アイスバーグK;竹原化学工業社製、商品名:RC−1、Glomax LL、Satintone W、Satintone NO.5;林化成社製、商品名:トランスリンク#37、トランスリンク#77、トランスリンク#445等を挙げることができる。
【0056】
シリカとしては、例えば、東ソー・シリカ社製、商品名:Nipsil VN−3、Nipsil E−200A、NIPGEL AZ−200、AY−201;日本アエロジル社製、商品名:AEROSIL200、AEROSILR−972等を挙げることができる。
【0057】
シリカマグネシアとしては、例えば、水澤化学工業社製、商品名:ミズパールM−302、ミズパールM−202、ミズパールM−204等を挙げることができる。
【0058】
炭酸カルシウムとしては、例えば、備北粉化工業社製、商品名:ソフトン1200、ソフトン1800、ソフトン2200、ソフトン3200、ライトンBS−0;三共製粉社製、商品名:SCP−E#2010、SCP−E#2300、エスカロン#1500、エスカロン#2000、エスカロン#2300;白石カルシウム工業社製、商品名:Vigot10、Vigot15等を挙げることができる。
【0059】
ハンタイトとしては、例えば、Mineclo社製、商品名:Ultaracarbシリーズ等を挙げることができる。
【0060】
コレマナイトとしては、例えば、キンセイマテック社製、商品名:UBPを挙げることができる。
【0061】
ケイ酸アルミニウムカルシウムとしては、例えば、栄伸化成社製、商品名:CS−100等を挙げることができる。
【0062】
(D)成分を構成する無機フィラーの配合量は、(A)成分を構成するフェノキシ樹脂100質量部に対して、1〜50質量部である。1質量部未満であると、滑り性改善の効果が低く、50質量部を超えると、初期接着力が大きく低下する。
【0063】
(5)(E)成分:ウレタン化触媒
本実施の形態に係る接着剤組成物に、必要に応じて用いられる(E)成分は、ウレタン化触媒から構成される。(E)成分を構成するウレタン化触媒は、(B)成分を構成する多官能イソシアネート化合物と、(A)成分を構成するフェノキシ樹脂との間のウレタン結合の生成を促進する機能を有する。
【0064】
(E)成分を構成するウレタン化触媒としては、例えば、ジラウリン酸ジブチル錫等の金属塩、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等の3級アミン等を挙げることができる。
【0065】
(E)成分を構成するウレタン化触媒の配合量は、(A)成分を構成するフェノキシ樹脂100質量部に対して、0.001〜0.1質量部であることが好ましい。少量では効果がなく、多すぎるとブリードアウトし、接着力を低下させる要因になることがある。
【0066】
(6)(F)成分:ラジカル重合禁止剤
本実施の形態に係る接着剤組成物に、必要に応じて用いられる(F)成分は、ラジカル重合禁止剤から構成される。(F)成分を構成するラジカル重合禁止剤は、接着剤調整時、接着剤ワニスの保管時、及び接着フィルム保管時等における不要なラジカル重合反応を抑制する機能を有する。最終的には接着層の酸化防止剤としての機能を有するとともに、配線フィルムの熱安定性向上にも寄与する機能を有する。
【0067】
(F)成分を構成するラジカル重合禁止剤としては、例えば、t−ブチルヒドロキノン、2,6−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ―t−ブチル―4−メチルフェノール、t−ブチルピロカテコール等のフェノール類を挙げることができる。
【0068】
(F)成分を構成するラジカル重合禁止剤の配合量は、(A)成分を構成するフェノキシ樹脂100質量部に対して、0.0002〜1質量部であることが好ましい。少量では効果がなく、多すぎるとブリードアウトし、接着力を低下させる要因になることがある。
【0069】
(7)その他の成分:ラジカル重合開始剤、シランカップリング剤等
本実施の形態に係る接着剤組成物には、必要に応じて、ラジカル重合開始剤を含有させることができる。ラジカル重合開始剤は、(C)成分を構成するマレイミド化合物、(B)成分を構成する多官能イソシアネート化合物と(A)成分を構成するフェノキシ樹脂との反応生成物の架橋反応を促進する機能を有する。
【0070】
ラジカル重合開始剤としては、1時間半減期温度が80〜120℃である各種有機過酸化物が好ましく、具体的には、日油社製、商品名:パーヘキサC、パーヘキサV、パーヘキシン25B等を挙げることができる。
【0071】
その配合量は、0.03〜1質量部であることが好ましい。少量では効果がなく、多すぎると過度に架橋反応が進み、かえって接着力を低下させる要因になることがある。
【0072】
また、本実施の形態に係る接着剤組成物には、必要に応じて、シランカップリング剤等を含有させることができる。例えば、イソシアネートシラン化合物は、フェノキシ樹脂側鎖の水酸基と反応してフェノキシ樹脂の汎用溶媒への溶解性を増すとともに、フェノキシ樹脂側鎖にシラノール基又は/及びアルコキシシラン基を導入し、アルコキシシラン基又は/及びシラノール基間の架橋による耐熱性向上と、溶解性の向上に寄与する機能を有する。そのような化合物としては、例えば、3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネートを挙げることができる。
【0073】
さらに、アミノ基、ビニル基、アクリレート基及びメタクリレート基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を含むシラン化合物は、無機フィラー表面の水酸基との化学結合により接着剤組成物の強度向上、及び耐熱性に寄与する機能を有する。そのような化合物としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランを用いることができる。これらのシランカップリング剤は、複数ブレンドして用いることもできる。
【0074】
シランカップリング剤の配合量は、0.01〜10質量部であることが好ましい。少量では効果がなく、多すぎると過度に架橋反応が進み、かえって接着力を低下させる要因になることがある。シランカップリング剤を配合することにより、無機フィラー表面の水酸基と化学結合することで、接着剤組成物の強度が向上する。
【0075】
本実施の形態に係る接着剤組成物は、接着性、保存安定性、及び取扱い性に優れたものであり、これを用いて作製された接着フィルムは、タック、カールが抑制されて取扱い性に優れ、かつ高耐熱性を有するものとなる。
【0076】
2.接着剤ワニス
本実施の形態に係る接着剤ワニスは、上述の接着剤組成物と、メチルエチルケトンとを含有するように構成される。すなわち、本実施の形態に係る接着剤ワニスは、上述の接着剤組成物をワニス化する溶媒として、沸点が100℃以下の汎用溶媒であるメチルエチルケトンを用いている。
【0077】
上述の接着剤組成物と、メチルエチルケトンとを含有するように、本実施の形態に係る接着剤ワニスを調製することによって、(A)成分を構成するフェノキシ樹脂の汎用溶媒への溶解性が増し、低温乾燥可能な接着剤ワニスを得ることができる。本実施の形態に係る接着剤ワニスから作製される接着フィルムは、カールしにくく、タックもなく、ハンドリング性がよい。また、このような接着フィルムを用いて作製された最終製品である配線フィルムは、耐熱性、耐湿信頼性と高接着性を兼ね備えることになる。
【0078】
3.接着フィルム
図1に示すように、第1の実施の形態に係る接着フィルムは、ポリイミド基材1上の片面に、上述の接着剤組成物から構成された(接着剤ワニスから作製された)接着層2を有するように構成される。この接着フィルムを片面接着フィルムということがある。
【0079】
また、
図2に示すように、第2の実施の形態に係る接着フィルムは、ポリイミド基材1上の両面に、上述の接着剤組成物から構成された(接着剤ワニスから作製された)接着層2を有するように構成される。この接着フィルムを両面接着フィルムということがある。
【0080】
本実施の形態に係る接着フィルムにおいては、基材として、耐熱性に優れたポリイミド基材1が用いられる。
【0081】
ポリイミド基材1としては、25℃における破断伸び率が75%以上であるポリイミドフィルムを用いることが好ましい。柔軟性の高いポリイミドフィルムをポリイミド基材1に用いることによって、ポリイミド基材1の表面改質を実施することなく接着剤組成物とポリイミド基材1との接着力を増加させることができるとともに、接着フィルムの破断を抑制することができるので、最終製品である配線フィルムの接着信頼性を増加させることができる。そのようなポリイミドフィルムとしては、例えば、東レ・デュポン社製、商品名:カプトン(登録商標)100V、200V、100H、200H;カネカ社製、商品名:アピカル(登録商標)25NPI等を挙げることができる。
【0082】
ポリイミド基材1の厚さは、目的に応じて適宜選択することができるが、ポリイミド基材1の厚さは、25〜100μmの範囲で選択することが、接着フィルム、配線フィルムの生産性、ハンドリング性の観点から好ましい。
【0083】
接着層2は、上述の接着剤組成物から構成される。接着層2の厚さは、10〜100μmの範囲で選択することが接着フィルム、配線フィルムの生産性、ハンドリング性の観点から好ましい。具体的には、例えば、配線フィルムを作製する際、導体配線3の厚さに合わせて上述の範囲から適宜選定することで、配線の埋め込み性を満足することができる。
【0084】
4.配線フィルム
図3に示すように、第1の実施の形態に係る配線フィルムは、上述の接着フィルムを接着層2が互いに対向するように配置し、その間に挟持されるように導体配線3を配設し、さらに接着層2を熱融着することによって作製されたものとして構成される。
【0085】
また、
図4に示すように、第2の実施の形態に係る配線フィルムは、上述の接着フィルムのうち、接着層2をポリイミド基材1上の一方の面に有する片面接着フィルムを、接着層2を両面に有する両面接着フィルムの両側に接着層2が互いに対向するように配置し、2枚の片面接着フィルムと両面接着フィルムとの間にそれぞれ挟持されるように導体配線3を配設し、さらに接着層2を熱融着することによって作製されたものとして構成される。
【0086】
本実施の形態に係る配線フィルムにおいて、導体配線3の厚さは、導体配線3を接着フィルム上に設置する際の導体配線3のハンドリング性を確保するため、35〜500μmの範囲とすることが好ましい。
【0087】
本実施の形態に係る配線フィルムにおいて、導体配線は、同一面内に複数配設されてなる形態とすることも可能である。
【0088】
本実施の形態に係る配線フィルムにおいて、接着層2を熱融着する場合、生産性等の観点から、融着温度は、160℃以下であることが好ましく、融着圧は、3MPa以下であることが好ましく、1MPa以下であることがさらに好ましい。
【0089】
導体配線3及び接着フィルム間の接着力を増加させるために、接着フィルムの接着層2を、その融着温度以上の温度で後加熱することが好ましい。この後加熱は、例えば、180〜220℃の後硬化温度で、30〜60分の間行うことが好ましい。後硬化は、配線フィルムを加圧しながら実施してもよいし、加圧せずに実施してもよい。
【0090】
本実施の形態に係る配線フィルムにおいて、導体配線3は、銅配線であることが、高導電性の観点から好ましい。
【0091】
また、本実施の形態に係る配線フィルムにおいて、銅配線の外層の少なくとも一部分が、錫、ニッケル、亜鉛、及びコバルトからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含有する金属層、金属酸化物層及び金属水酸化物層からなる群から選ばれる少なくとも1つの層で被覆されていることが好ましい。これにより、銅配線の酸化を抑制して接着性を向上させることができる。
【0092】
さらに、本実施の形態に係る配線フィルムにおいて、導体配線3の外層の少なくとも一部が、アミノ基、ビニル基、スチリル基、アクリレート基及びメタクリレート基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を含むシランカップリング剤で被覆されていることが好ましい。これにより、導体配線3と接着層2との接着信頼性を改善させることができる。
【0093】
これらのシランカップリング剤は、(A)成分を構成するフェノキシ樹脂に導入されたビニル基、アクリレート基、メタクリレート基やマレイミド化合物と一次結合を形成するため、配線フィルムの接着性、耐熱性、耐湿信頼性の改善に寄与する機能を有する。
【0094】
シランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン等の市販のシランカップリング剤を挙げることができる。
【0095】
シランカップリング剤による表面処理は、0.5〜8質量%のシランカップリング剤の水溶液又は有機溶媒溶液を導体配線3に塗布し、その後、100〜150℃で、10〜30分の間乾燥することに行うことが好ましい。
【実施例】
【0096】
以下に、本発明の接着剤組成物、接着剤ワニス、接着フィルム、及び配線フィルムを、実施例を用いてさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって、いかなる制限を受けるものではない。
【0097】
(実施例1)
(1)接着剤ワニスの調製
(A)成分を構成するフェノキシ樹脂として、ビスフェノールA型のフェノキシ樹脂(新日鉄住友化学社製、商品名:YP−50、スチレン換算質量平均分子量:73000)100質量部、(B)成分を構成する多官能イソシアネート化合物として、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、商品名:カレンズ(登録商標)MOI)10質量部、(C)成分を構成するマレイミド化合物として、ビスマレイミド(大和化成工業社製、商品名:BMI−5100)20質量部、(D)成分を構成する無機フィラーとして、タルク(含水ケイ酸マグネシウム)(日本タルク社製、商品名:ナノエースD−1000、平均粒子径:1μm)5質量部、(E)成分を構成するウレタン化触媒として、ジラウリン酸ジブチル錫(和光純薬工業社製、商品名:DBTDL)0.006質量部(MEK溶媒と混合した溶液に対して1質量%)、及び(F)成分を構成するラジカル重合禁止剤として、ジブチルヒドロキシトルエン(和光純薬工業社製、商品名:BHT)0.003質量部(MEK溶媒と混合した溶液に対して1質量%)の配合組成で、各成分を配合し、メチルエチルケトン(MEK)に40℃で24時間撹拌し、接着剤ワニスを調製した。
【0098】
(2)接着フィルムの作製
ポリイミド基材上に所定のギャップを有するアプリケーターを用いて、得られた接着剤ワニスを塗布し、80℃で10分、さらに100℃で5分乾燥し、接着フィルムを作製した。ポリイミド基材上に形成された接着層の膜厚は、25μmに調整した。ポリイミド基材として、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、商品名:カプトン(登録商標)100V)を用いた。
【0099】
(実施例2〜16)
実施例1において、表1に示す配合組成に変えて接着剤ワニスを調製したこと以外は、実施例1と同様にして、接着フィルムを作製した。
【0100】
【表1】
【0101】
(比較例1〜7)
実施例1において、表2に示す配合組成に変えて接着剤ワニスを調製したこと以外は、実施例1と同様にして、接着フィルムを作製した。
【0102】
【表2】
【0103】
(評価試験)
得られた接着フィルムについて、以下の評価試験を行った。評価結果を表1及び表2に示す。
【0104】
(1)タック
平滑な板上に1枚の接着フィルムを接着層面が表面になるように固定する。その上に、もう1枚の接着フィルムを接着層面が向き合うように重ね、重ねた接着フィルムを手で滑らせ、引っ掛かりがなく滑る場合は、○(合格)、引っ掛かりが生じ滑りが悪い場合は、×(不合格)とした。
【0105】
(2)外観
接着フィルムの接着層を目視で確認し、ツブが確認できなければ、○(合格)、ツブが確認できた場合は、×(不合格)とした。
【0106】
(3)初期接着力
導体を以下のようにして準備した。すなわち、厚さ300μmの無酸素銅箔表面に、0.5μmのNiめっき層を電気めっきにより形成させ、このNiめっき導体をUVオゾン処理で洗浄後、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの1%水溶液に3分間浸漬し取り出し、110℃で10分間乾燥し、シラン処理を行い、導体を得た。接着フィルムの接着層側に、得られた導体を置き、160℃、1MPaの条件で10分間加圧し、接着させた。さらに、大気中で、無加圧で180℃、60分間後加熱しサンプルフィルムを得た。サンプルフィルムを幅1cmに切り出したサンプルについて、導体と接着フィルム間で180°剥離試験を実施した。剥離強度(N/mm)が0.7N/mm以上を○(合格)とし、0.6N/mm以上、0.7N/mm未満を△(不合格)、0.6N/mm未満を×(不合格)とした。
【0107】
(4)耐湿信頼性
初期接着力評価用のサンプルを、85℃、湿度85%の恒温恒湿環境に1000時間静置した。その後、180°剥離試験を実施した。剥離強度(N/mm)が0.7N/mm以上を○(合格)とし、0.6N/mm以上、0.7N/mm未満を△(不合格)、0.6N/mm未満を×(不合格)とした。
【0108】
(5)はんだ耐熱性
接着フィルムの接着層面に上記導体を置き、160℃、1MPaの条件で10分間加圧し、接着させた。さらに、大気中で無加圧で180℃、60分間後加熱した。本サンプルを280℃はんだ浴槽に浮かべて1時間保持した。外観検査で膨れの発生がないものを、○(合格)、膨れが発生したものを×(不合格)とした。
【0109】
[評価結果]
表1及び表2から以下のことが分かる。
【0110】
実施例1は、平均粒子径1μmの無機フィラー(含水ケイ酸マグネシウム、通称タルク)を5質量部用いた例である。タックがなく、外観も良好な接着フィルムを得ることができた。このフィルムを用いた配線フィルムは、はんだ耐熱、耐湿信頼性ともに良好な結果が得られた。
【0111】
実施例2〜4は、多官能イソシアネートの配合量を変えた例である。配合量によらず、タックがなく、外観も良好な接着フィルムが得られ。それを用いた配線フィルムは、はんだ耐熱性、耐湿信頼性ともに良好な結果が得られた。
【0112】
実施例5、6は、マレイミド化合物の種類を変えた例である。マレイミド化合物の種類によらず、タックがなく、外観も良好な接着フィルムが得られ。それを用いた配線フィルムは、はんだ耐熱性、耐湿信頼性ともに良好な結果が得られた。
【0113】
実施例7、8は、マレイミド化合物の量を5質量部とし、多官能イソシアネートの配合量を変えた例である。いずれにおいても、タックがなく、外観も良好な接着フィルムが得られ。それを用いた配線フィルムは、はんだ耐熱性、耐湿信頼性ともに良好な結果が得られた。
【0114】
実施例9は、マレイミド化合物の量を30質量部とし、多官能イソシアネートの配合量を2質量部とした例である。タックがなく、外観も良好な接着フィルムが得られ。それを用いた配線フィルムは、はんだ耐熱性、耐湿信頼性ともに良好な結果が得られた。
【0115】
実施例10は、無機フィラーの添加量を1質量部にした例である。1質量部でもタックを抑制することが確認できた。
【0116】
実施例11は、無機フィラーの添加量を50質量部にした例である。50質量部でも耐湿信頼性試験後も十分な接着力を有することが確認できた。
【0117】
実施例12〜16は、各種無機フィラーを1〜50質量部の範囲で添加した例である。フィラーの種類、量によらず、タックがなく、外観も良好な接着フィルムが得られた。それを用いた配線フィルムは、はんだ耐熱性、耐湿信頼性ともに良好な結果が得られた。
【0118】
比較例1は、多官能イソシアネート化合物が含まれていない例である。初期接着力、はんだ耐熱性が満足できるものではなかった。
【0119】
比較例2は、多官能イソシアネート化合物の配合量が足りない例である((B)成分を構成する多官能イソシアネート化合物及び(C)成分を構成するマレイミド化合物の総量が足りない例でもある)。初期接着力、はんだ耐熱性が満足できるものではなかった。
【0120】
比較例3は、架橋剤であるマレイミド化合物の配合量が足りない例である(多官能イソシアネート化合物及びマレイミド化合物の総量が足りない例でもある)。初期接着力、はんだ耐熱性が満足できるものではなかった。
【0121】
比較例4は、無機フィラーが含まれない例である。初期接着力、はんだ耐熱性を満足することができるが、タックがあった。
【0122】
比較例5は、平均粒子径が大きすぎる無機フィラーを含む例である平均粒子径。が大きく、目視で確認できるため、外観検査不合格であった。
【0123】
比較例6は、過剰の多官能イソシアネートを含む例である(多官能イソシアネート化合物及びマレイミド化合物の総量が多すぎる例でもある)。このため、無機フィラーを添加してもタックを抑制できなかった。
【0124】
比較例7は、過剰のビスマレイミド化合物を含む例である。このため、架橋が過剰に起こり、初期接着力が満足できるものではなかった。