(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態を、
図1から4を参照して説明する。
【0014】
本実施形態の複合材は、リチウムチタン酸化物及びビスマスチタン酸化物を含む。
【0015】
前記リチウムチタン酸化物(LTO)は、下記化学式1で表示される化合物である。
Li
4+aTi
5−bM
cO
12−d (化学式1)
【0016】
前記化学式1で、−0.2≦a≦0.2、−0.3≦b≦0.3、0≦c≦0.3、−0.3≦d≦0.3であり、Mは、1族ないし6族、8族、12族ないし15族の金属のうち適宜選択された一つ以上の元素である。
【0017】
前記ビスマスチタン酸化物(BTO)は、下記化学式2で表示される化合物である。
Bi
2+eTi
2−fM
g’O
7−h (化学式2)
【0018】
前記化学式2で、−0.2≦e≦0.2、−0.3≦f≦0.3、0≦g≦0.3、−0.3≦h≦0.3であり、M’は、1族ないし6族、8族、12族ないし15族の金属のうち適宜選択された一つ以上の元素である。
【0019】
前記化学式1及び2で、M及びM’は、それぞれLi,Na,Mg,Al,Ca,Sr,Cr,V,Fe,Co,Ni,Zr,Zn,Si,Y,Nb,Ga,Sn,Mo,W,Ba,La,Ce,Ag,Ta,Hf,Ru,Bi,Sb及びAsからなる群から選択される。
【0020】
前記化学式1で表示される化合物は、スピネル型構造を有し、例えば、Li
4Ti
5O
12である。
【0021】
前記化学式2で表示される化合物は、例えば、Bi
2Ti
2O
7である。
【0022】
前記複合材において、LTOの含量は、ビスマスチタン酸化物1モルを基準として1ないし99モル、より好適には、例えば、1.63ないし99モルとすることができ、例えば、1.63モル、3.55モル、10.11モル、19モルまたは99モルである。
【0023】
前記LTOの含量が前記範囲である時、高速放電特性及び寿命特性に優れた複合材を得ることができる。
【0024】
前記複合材において、チタンを基準としたビスマスの原子比(x/y:xは、Biの原子百分率、yは、Tiの原子百分率)として0.004ないし0.2であり、例えば、0.015ないし0.025である。
【0025】
前記原子比は、ICP(inductively coupled plasma)分析によって決定されたものである。
【0026】
前記複合材を構成するBTOの(111)面の面間距離は、4.810ないし4.900Å、例えば、4.811ないし4.820Å、例えば、4.811Å、4.813Å、4.817Å、4.819Åまたは4.820Åである。
【0027】
前記複合材の(111)面の面間距離が、前記範囲である時、高速放電特性および寿命特性に優れた複合材を得ることができる。
【0028】
前記BTOの(111)面の面間距離は、波長1.541ÅのCuK−アルファ(α)特性X線を利用したX線回折分析を用いて測定することができる。
【0029】
前記BTOの(111)面は、ブラッグ2θ角のピークが20±2゜の領域、例えば、約18.4゜に現れる。
【0030】
前述したように、BTOの(111)面の面間距離は、CuK−アルファ(α)特性X線波長1.541Åを利用したXRD(X−ray diffraction)分析で得られたLTOの主ピーク、すなわち 強度が最も高いピークの2θが約18.4゜である領域のピーク特性を利用して、下記数式1によって計算して得られる。
λ=2dsinθ (数式1)
【0031】
前記数式1中、λは、x線波長である1.5405Åを表し、dは、面間距離を表し、θは、ブラッグ2θの“θ”である。
【0032】
X線回折分析による、前記複合材におけるLTO関連の主ピークは、2θが18ないし19゜の範囲、35ないし36.5゜及び42ないし44゜の範囲で観察される。
【0033】
X線回折分析による、前記複合材におけるBTO関連の主ピークは、2θが29.5ないし30.5゜の範囲、34.5ないし35.5゜の範囲、及び49.5ないし50.5゜の範囲で観察される。
【0034】
以下、本発明の実施形態による複合材の製造方法を説明する。
【0035】
リチウム塩、チタン前駆体及びビスマス塩を同時に混合し、機械混合を行う。このように、リチウム塩、チタン前駆体及びビスマス塩を同時に混合する過程を経て、目的とする複合材が得られる。
【0036】
前記リチウム塩、チタン前駆体及びビスマス塩は、化学式1のLTO及び化学式2のBTOが得られるように、その混合比が適切に制御される。
【0037】
例えば、前記ビスマス塩の含量は、リチウム塩1モルを基準として0.005ないし0.5モルを使用し、前記チタン前駆体の含量は、リチウム塩1モルを基準として0.9ないし1.3モルを使用する。
【0038】
前記機械混合は、例えば、ボールミル、バンバリーミキサー、ホモジナイザーなどを利用して行う。
【0039】
前記機械混合処理時間は可変的であるが、例えば、20分ないし10時間、より好適には、例えば、30分ないし3時間行う。
【0040】
前記機械混合時、エタノールのようなアルコール溶媒などを付加して、混合効率を向上させることもできる。
【0041】
次いで、前記リチウム塩、チタン前駆体及びビスマス塩を含有する混合物を、空気または酸素雰囲気下で、例えば、400ないし1000℃、より好適には、例えば、650ないし900℃で熱処理する。
【0042】
前記熱処理時間は、熱処理温度によって変わるが、例えば、3ないし7時間行う。
【0043】
前記熱処理時間及び温度が前記範囲である時、高速放電特性及び寿命特性に優れた複合材が得られる。
【0044】
前記リチウム塩の例としては、炭酸リチウム(Li
2CO
3)、硫酸リチウム(Li
2SO
4)、硝酸リチウム(LiNO
3)、水酸化リチウム(LiOH)などを使用することができる。
【0045】
前記チタン前駆体の例としては、チタン酸化物(TiO
2)、水酸化チタン(Ti(OH)
4)などを使用することができる。
【0046】
前記チタン前駆体としてチタン酸化物を使用する場合、前記チタン酸化物の平均粒径は、特に制限されないが、例えば、20ないし25nm範囲の粒子を使用することができる。
【0047】
前記ビスマス塩の例としては、硝酸ビスマス、水酸化ビスマスなどがある。
【0048】
前記複合材は、例えば、アノード活物質として使われる。
【0049】
前記過程によって得た複合体の平均粒径は、例えば、500ないし5000nmである。
【0050】
本発明の実施形態によるアノードは、前述した複合材を含有するアノード活物質を含む。
【0051】
前記アノードは、前述したアノード活物質以外にバインダーを含んでもよい。
【0052】
前記バインダーは、活物質と導電剤との結合並びにそれらと集電体との結合を助力する成分であって、アノード活物質の総重量100重量部を基準として、1ないし50重量部、例えば2ないし5重量部添加される。かかるバインダーの例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン・ジエン・ターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン・ブタジエンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体などが挙げられる。
【0053】
前記アノードは、導電剤を含有してもよい。
【0054】
前記導電剤は、当該電池に化学的変化を誘発せず、かつ導電性を有するものであれば、特に制限されるものではない。
【0055】
前記導電剤の含量は、アノード活物質である複合材100重量部を基準として、例えば、0.5ないし5重量部、例えば、0.01ないし2重量部である。
【0056】
導電剤の含量が前記範囲である時、伝導度特性に優れたアノードが得られる。
【0057】
前記導電剤は、例えば、カーボンブラック、炭素繊維及び黒鉛からなる群から選択された少なくとも一つの炭素系導電剤を含んでもよい。前記カーボンブラックは、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、スーパーP(登録商標)、チャネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック及びサーマルブラックからなる群から選択されたものを使用することができる。前記黒鉛は、天然黒鉛または人造黒鉛を使用することができる。
【0058】
前記アノードは、前述した炭素系導電剤を除いたその他の導電剤をさらに含んでもよい。
【0059】
前記その他の導電剤は、金属繊維のような導電性繊維;フッ化カーボン粉末、並びにアルミニウム粉末及びニッケル粉末のような金属粉末;酸化亜鉛及びチタン酸カリウムのような導電性ウィスカー;酸化チタンのような導電性金属酸化物;及びポリフェニレン誘導体からなる群から選択されたものを使用することができる。
【0060】
本発明の実施形態によるリチウム二次電池は、前述したアノードを備える。
前記リチウム二次電池は、寿命特性及び高速放電特性に優れる。
【0061】
前記“高速放電特性”は、充電状態が100%であるセルが所定の時間(例えば、約10時間)に完全に放電されるような電流で放電した場合に実際に放電された容量に対する、充電状態が100%であるセルが前記所定の時間よりも短い時間で完全に放電されるような電流で放電させる時、実際に放電された容量の比率を意味する。
【0062】
前記アノードは、例えば、下記のような方法で製造される。
【0063】
まず、本発明の実施形態によるLTOと、LTOとを含む複合材、バインダー及び溶媒を混合して、アノード活物質層形成用の組成物を製造する。
【0064】
前記アノード活物質層形成用の組成物には、炭素系導電剤及び前記その他の導電剤のうち選択された一つ以上の導電剤を選択的に付加してもよい。
【0065】
前記アノード活物質形成用の組成物の製造時、当該技術分野で通常的に使われるアノード活物質をさらに含む。
【0066】
前記通常的に使われるアノード活物質としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な黒鉛、炭素のような炭素系材料、リチウム金属、その合金、酸化シリコン系物質などを使用することができる。
【0067】
次いで、前記アノード活物質層形成用の組成物をアノード集電体上に塗布及び乾燥させて、アノードを製造する。
【0068】
前記アノード集電体は、一般的に3ないし500μmの厚さに形成される。かかるアノード集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せず、かつ導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、熱処理炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム・カドミウム合金などを使用することができる。また、カソード集電体と同様に、表面に微細な凹凸を形成して、アノード活物質の結合力を強化させ、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態のアノード集電体が使われる。
【0069】
前記溶媒としては、N−メチルピロリドン(NMP)、アセトン、水、その混合物などが使われる。前記溶媒の含量は、アノード活物質100重量部を基準として、1ないし50重量部を使用する。溶媒の含量が前記範囲である時、活物質層を形成するための作業が容易である。
【0070】
本発明の実施形態によれば、前述したアノードを含むリチウム二次電池が提供される。本発明の実施形態によるリチウム二次電池の製造方法は、次の通りである。
【0071】
前述したアノード以外に、下記過程によってカソードを製造する。
【0072】
カソードは、前述したアノードの製造過程と同様に、集電体上にカソード活物質層形成用の組成物を塗布及び乾燥して製作される。
【0073】
前記カソード活物質層形成用の組成物は、カソード活物質、導電剤、バインダー及び溶媒を混合して製造される。
【0074】
前記カソード活物質としては、リチウム電池でカソード活物質として通常的に使われるリチウム遷移金属酸化物を使用できる。
【0075】
前記導電剤、バインダー及び溶媒は、アノードの製造時と同じ種類及び含量で使われる。
【0076】
前記リチウム遷移金属酸化物としては、LiCoO
2,LiNiO
2,LiMnO
2,LiMn
2O
4,Li(Ni
aCo
bMn
c)O
2(0<a<1,0<b<1,0<c<1,a+b+c=1),LiNi
1−YCo
YO
2,LiCo
1−YMn
YO
2,LiNi
1−YMn
YO
2(ここで、0≦Y<1),LiMn
2−zNi
zO
4,LiMn
2−zCo
zO
4(ここで、0<Z<2),LiCoPO
4及びLiFePO
4からなる群から一つ以上選択されるものを使用できる。
【0077】
前記カソード集電体は、3ないし500μmの厚さであって、当該電池に化学的変化を誘発せず、かつ高い導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、熱処理炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが使われる。集電体は、その表面に微細な凹凸を形成して、カソード活物質の接着力を強化させ、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態が可能である。
【0078】
前記過程によって得たカソードとアノードとの間にセパレータを介して、ここに有機電解液を供給すれば、リチウム二次電池が製作される。
【0079】
前述したリチウム二次電池は、例えば、アノード、前記セパレータ及び前記カソードを順次に積層した後、それをワインディングするか、または折って円筒形または角形電池ケースまたはポーチに入れた後、前記電池ケースまたはポーチに有機電解液を注入して製造される。
【0080】
前記セパレータは、気孔直径が0.01ないし10μmであり、厚さは一般的に5ないし300μmであるものを使用する。具体的な例として、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー;またはガラス繊維で形成されたシートや不織布などが使われる。
【0081】
前記有機電解液は、有機溶媒にリチウム塩が溶解されたものである。
【0082】
前記有機溶媒は、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸フルオロエチレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸メチルエチル、炭酸メチルプロピル、炭酸エチルプロピル、炭酸メチルイソプロピル、炭酸ジプロピル、炭酸ジブチル、ベンゾニトリル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、スルホラン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、ジエチレングリコール、ジメチルエーテル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されたものである。
【0083】
前記リチウム塩は、LiPF
6,LiBF
4,LiSbF
6,LiAsF
6,LiClO
4,LiCF
3SO
3,Li(CF
3SO
2)
2N,LiC
4F
9SO
3,LiAlO
2,LiAlCl
4,LiN(C
xF
2x+1SO
2)(C
yF
2y+1SO
2)(ただし、x及びyは、自然数である),LiCl,LiI及びそれらの組み合わせからなる群から選択されたものである。
【0084】
本発明の他の実施形態によるリチウム二次電池は、前記セパレータ以外に、有機固体電解質及び/または無機固体電解質を共に使用できる。この時、前記有機固体電解質及び/または無機固体電解質が使われる場合、場合によっては、固体電解質がセパレータを兼ねることもでき、前述したセパレータを使用しなくてもよい。
【0085】
前記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、燐酸エステルポリマー、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデンなどが使われる。
【0086】
前記無機固体電解質としては、例えば、Li
3N,LiI,Li
5NI
2,Li
3N−LiI−LiOH,LiSiO
4,LiSiO
4−LiI−LiOH,Li
2SiS
3,Li
4SiO
4,Li
4SiO
4−LiI−LiOH,Li
3PO
4−Li
2S−SiS
2などのLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸塩などが使われる。
【0087】
図1は、本発明の実施形態によるリチウム二次電池の代表的な構造を概略的に示すものである。
【0088】
図1を参照して、前記リチウム二次電池30は、カソード23、アノード22、前記カソード23とアノード22との間に配置されたセパレータ24、前記カソード23、アノード22及びセパレータ24に含浸された電解質(図示せず)、電池容器25、及び前記電池容器25を封入する封入部材26を主な部分として構成されている。かかるリチウム二次電池30は、カソード23、アノード22及びセパレータ24を順次に積層した後、スパイラル状に巻き取られた状態で電池容器25に収容して構成される。
【0089】
以下、実施例を挙げてさらに詳細に説明するが、これは、例示的なものに過ぎず、下記の実施例のみに限定されるものではない。
【0090】
(製造例1:複合材の製造)
Li
2CO
3 1.2876g、TiO
2 1.7321g及びBi(NO
3)
3・5H
2O 0.0423gを同時に混合し、それをボールミルで30分間機械混合を行った。
【0091】
前記混合物を850℃で5時間空気中で熱処理して、x:y=0.99:0.01(x(Li
4Ti
5O
12)/y(Bi
2Ti
2O
7))モル比のLi
4Ti
5O
12/Bi
2Ti
2O
7複合材を製造した。
【0092】
(製造例2:複合材の製造)
Li
2CO
3 1.2876g、TiO
2 1.7049g及びBi(NO
3)
3・5H
2O 0.2113gを使用した点を除いては、製造例1と同一に実施して、0.95:0.05モル比のLi
4Ti
5O
12/Bi
2Ti
2O
7複合材を製造した。
【0093】
(製造例3:複合材の製造)
Li
2CO
3 1.2876g、TiO
2 1.6701g及びBi(NO
3)
3・5H
2O 0.4226gを使用した点を除いては、製造例1と同一に実施して、0.91:0.09モル比のLi
4Ti
5O
12/Bi
2Ti
2O
7複合材を製造した。
【0094】
(製造例4:複合材の製造)
Li
2CO
3 1.2876g、TiO
2 1.5657g及びBi(NO
3)
3・5H
2O 1.0566gを使用した点を除いては、製造例1と同一に実施して、0.78:0.22モル比のLi
4Ti
5O
12/Bi
2Ti
2O
7複合材を製造した。
【0095】
(製造例5:複合材の製造)
Li
2CO
3 1.2876g、TiO
2 1.3917g及びBi(NO
3)
3・5H
2O 2.1132gを使用した点を除いては、製造例1と同一に実施して、0.62:0.38モル比のLi
4Ti
5O
12/Bi
2Ti
2O
7複合材を製造した。
【0096】
(比較製造例1:Li
4Ti
5O
12の製造)
Li
2CO
3 1.2876g及びTiO
2 1.7397gを30分間混合した。
前記混合物を空気雰囲気下で850℃で5時間熱処理して、Li
4Ti
5O
12を製造した。
【0097】
(比較製造例2:アノード活物質の製造)
前記比較製造例1によって得たLi
4Ti
5O
12 1g、Bi(NO
3)
3・5H
2O 0.2785gを混合し、それを空気雰囲気下で600℃で熱処理して、アノード活物質を準備した。
【0098】
前記製造例1ないし5及び比較製造例1、2によって製造された物質において、XRD(X−ray diffraction)分析を実施し、その結果を
図2に示した。
【0099】
前記製造例1ないし5及び比較製造例1、2によって製造された物質において、XRDパターン(回折パターン)の分析結果中、LTOの主ピーク、すなわち、2θが約18.4の位置であるピークの(111)面の面間距離d(111)を調べ、その結果を下記の表1に示した。
【0101】
前記表1から、製造例1ないし5の複合材は、比較製造例1、2の場合と比較してd(111)が異なるということが確実に分かった。
【0102】
(実施例1:アノード及びコインハーフセルの製造)
N−メチルピロリドン(NMP)と共に、前記製造例1の複合材とポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを98:2の重量比に混合した後、機械式に攪拌してスラリーを製造した。
【0103】
前記スラリーをアルミニウムホイル上に90μmの厚さに塗布した後、120℃で真空乾燥してアノードを製造した。
【0104】
以後、前記アノードを直径12mmの円形に巻き取った後、リチウム金属を相対極として2032タイプのコインハーフセルを製造した。この時、電解液としては、炭酸エチレンと炭酸メチルエチルとを3:7の体積比で混合した溶媒に溶解された1.1M LiPF
6及び0.2M LiBF
4溶液を使用した。
【0105】
(実施例2ないし5:アノード及びコインハーフセルの製造)
製造例1の複合材の代わりに、製造例2ないし5の複合材をそれぞれ使用した点を除いては、実施例1と同じ方法でアノード及びコインハーフセルを製造した。
【0106】
(比較例1、2:アノード及びコインハーフセルの製造)
製造例1の複合材の代わりに、比較製造例1、2による物質をそれぞれ使用した点を除いては、実施例1と同じ方法によって実施して、アノード及びコインハーフセルを製造した。
【0107】
[評価例]
実施例1ないし5及び比較例1でそれぞれ製造されたコインハーフセル、または実施例1及び比較例1、2でそれぞれ製造されたポーチフルセルの充放電特性などを充放電器(製造社:TOYO、モデル:TOYO−3100)で評価した。
【0108】
(評価例1:常温寿命特性の評価)
実施例1ないし5及び比較例1、2でそれぞれ製造されたコインハーフセルに対して、定電流(1C)及び定電圧(1.0V,0.01C cut−off)充電、10分間休止(rest)及び定電流(1C、常温(20℃)、2.5V cut−off)放電の条件で100回充放電を実施した。
【0109】
充放電サイクル回数による正規化された容量の変化でもって、前記各コインハーフセルの寿命特性を評価した。この時、寿命特性を下記表2及び
図3にそれぞれ示した。
【0110】
前記“正規化された容量”は、下記数式2により計算される。前記‘正規化された容量’を‘容量維持率’ともいう。また、下記表2の“1C”で、“C”は、セルの放電速度であって、セルの総容量を総放電時間で割って得られた値を意味する。
正規化された容量(%)=(セルを所定の速度(C−rate)で放電させる時の放電容量)/(セルを0.1Cの速度で放電させる時の放電容量)×100 (数式2)
【0111】
下記表2で、“1C寿命”は、下記数式3により計算される。
1C寿命(%)=(セルを1C、常温で100回充放電サイクルを実施した後の放電容量)/(セルを0.1Cの速度で放電させる時の放電容量)×100 (数式3)
【0113】
前記表2及び
図3を参照すれば、実施例1ないし5のコインハーフセルは、比較例1の場合に比べて、寿命特性が改善されるということが分かった。ここで、寿命特性が改善されたというのは、充放電サイクル回数の増加による正規化された容量(すなわち、容量維持率)の低下率が小さくなったことを意味する。
【0114】
(評価例2:高速放電特性の評価)
実施例1ないし5及び比較例1、2でそれぞれ製造されたコインハーフセルを、定電流(0.1C)及び定電圧(1.0V,0.01C cut−off)の条件で充電させた後、10分間休止し、定電流(0.1C,0.2C,0.5C,1C,2C,5Cまたは10C)の条件下で、2.5Vとなるまで放電させた。すなわち、放電速度をそれぞれ0.1C,0.2C,0.5C,1C,2C,5C及び10Cに変化させることで、前記各コインハーフセルの高速放電特性を評価した。この時の高速放電特性を
図4及び下記表3にそれぞれ示した。
【0115】
図4において、‘C−rate’とは、セルの放電速度であって、セルの総容量を総放電時間で割って得られた値を意味する。下記表3において、高速放電特性は、下記数式4により計算される。
高速放電特性(%)=(セルを10Cで放電させる時の放電容量)/(セルを0.1Cの速度で放電させる時の放電容量)*100 (数式4)
【0117】
前記表3及び
図4から、実施例1ないし5のハーフコインセルは、比較例1、2の場合に比べて、高速放電特性に優れるということが分かった。ここで、‘高速放電特性’に優れるというのは、放電速度(C−rate)の増加による正規化された容量(すなわち、容量維持率)の低下率が小さいことを意味する。
【0118】
以上、図面及び実施例を参照して、本発明による望ましい実施形態が説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲により決まらねばならない。