(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、架橋可能な新規ポリマーを含む吸収性下層コーティング組成物に関し、当該ポリマーは、ポリマー主鎖中に少なくとも一つのヒドロキシ芳香族単位(A)を含み、当該単位は、ヒドロキシ芳香族部分から吊り下がるフルオロ若しくはヨード部分を含む基を有し、そして、アミノプラストを有する少なくとも一つの単位(B)を含む。ヒドロキシ芳香族部分は、さらに置換されていてもよい。新規ポリマーは自己架橋可能であってもよい。さらに、本発明は、12〜300nmの放射線、特にEUVリソグラフィのための新規反射防止コーティング膜の上にコーティングされるフォトレジスト層のイメージング方法に関する。
【0012】
本発明の新規反射防止組成物は、EUV放射線を効果的に吸収できそして架橋することができる新規ポリマーを含み、それにより架橋後の組成物から形成されるコーティングは、その上にコーティングされた材料の溶液の中で不溶性となる。新規コーティング組成物のポリマーは自己架橋できるか、または、付加的に組成物が、新規ポリマーと架橋させることができる外部の架橋化合物を含むことができる。組成物は、任意で他の添加剤、例えば、熱酸発生剤、光酸発生剤、界面活性剤、他の第二のポリマーなどを含むことができる。組成物は、さらに第二のポリマー、特に膜のエッチング速度を速めるか、新規ポリマーとの架橋のための架橋剤としての機能を強めるための第二のポリマーを含むことができる。新規組成物の固体成分は、少なくとも一つか二つ以上の有機溶剤を含む有機コーティング溶液組成物に溶解する。新規ポリマーは有機コーティング溶液に溶解可能である。
【0013】
新規組成物の新規ポリマーは、置換フェノール、非置換フェノール、置換ナフトールおよび非置換ナフトール、置換ヒドロキシアントラセン、非置換ヒドロキシアントラセンから選択されるヒドロキシ芳香族基を含む少なくとも一つの単位(A)をポリマー主鎖中に含み、ここでヒドロキシ芳香族基はフルオロもしくはヨード部分を含むペンダント基を有し、かつアミノプラストを含む少なくとも一つの単位(B)を含む。したがって、ポリマー主鎖中あるヒドロキシ芳香族単位(A)、少なくとも一つのフルオロもしくはヨード部分を有することになる。また、ヒドロキシ芳香族単位は、さらに他の基、例えばヨード部分、フルオロ部分、ヒドロキシル、(C
1−C
4)アルキル、ヒドロキシ(C
1−C
4)アルキルOC
1−C
4アルキル、(C=O)(C
1−C
4)アルキル、C
1−C
4アルキルO(C
1−C
4)アルキル、C
1−C
4アルキル(C=O)(C
1−C
4)アルキル、およびC(O)O(C
1−C
4)アルキルによって置換されることができる。ヨード部分およびフルオロ部分は、ヒドロキシ芳香族部分(例えばフェノールもしくはナフトール)に直接結合しているIもしくはF、ヨウ素もしくはフッ素を含む炭化水素、ヨウ素もしくはフッ素を含む官能化炭化水素(ここで官能化はエーテル、ケト、エステルなど)から選択することができる。ヨード部分およびフルオロ部分の例としては、I、F、C
1−C
4フルオロアルキル、C
1−C
4ヒドロキシフルオロアルキル、OC
1−C
4フルオロアルキルC(O)(C
1−C
4)フルオロアルキル、C(O)O(C
1−C
4)フルオロアルキルなどであり、ここで、C
1−C
4フルオロアルキルは、炭素主鎖から吊り下がるフッ素のみか、炭素主鎖から吊り下がるフッ素と水素の混合物を含むことができる炭化水素であり、さらなる例としては、I、F、CF
3、C(O)−CF
3、CF
2CF
3、CF
2CHF
2、OCF
3、C(CF
3)
2OHであるフェノール性環における他の置換基の例としては、F、I、CH
3、C
2H
5、OH、CF
3、C(O)−CF
3、C(O)−CH
3などである。
【0014】
ポリマー中のヨード部分もしくはフルオロ部分は、EUV放射線を効果的に吸収できる。新規ポリマー中の強いEUV吸収は、第二の電子増感剤、例えばフェノールなどのヒドロキシ芳香族に近近接し結合するヨウ化物もしくはフッ化物により誘導される。吸収により発生する二次的な電子は、フォトレジスト中の光酸発生剤からの酸を形成を引き起こすことができ、さらに、フォトレジストの感光性およびパターンプロフィールを改善する。当該EUV吸収性反射防止下層は、また、フォトレジスト/下層の境界面におけるフッティングおよびスカムを低減させるのを助け、また、崩壊縁およびプロセシング範囲などのリソグラフィ特性を改善し、そして塩基など有毒な基材からフォトレジストを保護する。
【0015】
新規ポリマー中の単位(A)は構造1とすることができる。
【0016】
【化1】
ここで、R
1はヨード部分およびフルオロ部分から選択され、R
2およびR
3は、ヨード部分、フルオロ部分、水素、ヒドロキシル、(C
1−C
4)アルキル、ヒドロキシ(C
1−C
4)アルキルOC
1−C
4アルキル、(C=O)(C
1−C
4)アルキル、C
1−C
4アルキルO(C
1−C
4)アルキル、C
1−C
4アルキル(C=O)(C
1−C
4)アルキル、およびC(O)O(C
1−C
4)アルキルなどから独立して選択される。ヨード部分およびフルオロ部分はI、F、または、少なくとも一つのIおよびFを含む有機基とすることができる。Fを含む有機基としては、C
1−C
4フルオロアルキル、C
1−C
4ヒドロキシフルオロアルキル、OC
1−C
4フルオロアルキルC(O)(C
1−C
4)フルオロアルキル、C(O)O(C
1−C
4)フルオロアルキルなどであり、ここでフルオロアルキルは、炭素主鎖から吊り下がるフッ素のみを含むことができる炭化水素、または炭素主鎖から吊り下がるフッ素および水素の混合物を含むことができる炭化水素であり;ヨード部分およびフルオロ部分の更なる例としては、I、F、CF
3、C(O)−CF
3、CF
2CF
3、CF
2CHF
2、OCF
3、C(CF
3)
2OHである。R
2およびR
3の例としては、独立して、H、F、I、CH
3、OH、CF
3、C(O)−CF
3、C(O)−CH
3、C
2H
5、OCH
3、CH
2OCH
3、およびCH
2C(O)−CH
3である。ある実施形態例においては、R
2およびR
3は、
フェノールと縮合したヒドロキシ芳香環を形成するように結合し、ヨード部分およびフルオロ部分
により置換されたナフトールもしくはヒドロキシアントラセンである単位(A)を形成する。
【0017】
ポリマー主鎖中のフェノール性単位(A)の由来となるモノマーは構造(2)とすることができ、ここで、R
1、R
2およびR
3は、前記のとおりである。
【0019】
ポリマー主鎖中のフェノール性単位を形成するモノマー(2)のと規定の例は、
図1に示すとおりである。
【0020】
本発明の新規ポリマーは、ここに示すヒドロキシ芳香族単位(A)およびアミノプラスト(B)を含む単位を含む。アミノプラストは、ポリマーを自己架橋もしくは他のポリマーと架橋させることができる。ある実施形態においては、新規ポリマーを含む組成物は自己架橋可能であり、他の架橋化合物を含まない。新規ポリマーは、アミノプラスト化合物と少なくとも一つのヨード部分またはフルオロ部分を含むヒドロキシ芳香族化合物と、トルエンスルホン酸などの強酸が触媒量存在する中で縮合重合した生成物である。アミノプラスト化合物は、反応性アミノメチレンアルコキシ部位(N−CH
2−O−アルキル)を含む、そのいくつかは部分的に新規ポリマーを形成し、そして残りはポリマー中に存在し、膜の架橋を補助する。
【0021】
新規ポリマーを得るための反応中に使用されるアミノプラスト化合物は、二つか三つ以上のアルコキシ基を含むことができ、そして、例えば、グリコールウリル−アルデヒド樹脂、メラミン−アルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン−アルデヒド樹脂、および尿素−アルデヒド樹脂が挙げられる。アルデヒドの例として、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどが挙げられる。いくつかの場合において、3個または4個のアルコキシ基が有用である。例えば、モノマー性のアルキル化グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂がある。一例として、以下の構造(3)を有するテトラ(アルコキシアルキル)グリコールウリルがある、
【0023】
ここで、各R
6は、(CH
2)
n─O─(CH
2)
m─CH
3であり、各R
7およびR
7’は、独立して、水素またはC
1−C
6アルキルであり、nは1〜4、そしてmは0〜3であり;(3)中のその数は化合物の命名のための原子の番号を示している。R
6のいくつかの例としては、CH
2OCH
3、CH
2OC
2H
5、およびCH
2OC
4H
9である。アミノプラストの例は、CYMELの商標でCytec Industriesから商業的に入手できるものや、RESIMENEの商標でMonsanto Chemical Co.から商業的に入手できるものなどである。他のアミン類およびアミド類の縮合生成物も使用でき、例えばトリアジン類、ジアジン類、ジアゾール類、グアニジン類、グアニミン類、およびこれらの化合物のアルキル−およびアリール置換誘導体、例えばアルキル−およびアリール置換メラミン類のアルデヒド縮合物などがある。このような化合物の一部の例は、N,N’−ジメチル尿素、ベンゾユリア、ジシアンジアミド、ホルムアグアナミン、アセトグアナミン、アンメリン、2−クロロ−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、6−メチル−2,4−ジアミノ,1,3,5−トライジン、3,5−ジアミノトリアゾール、トリアミノピリミジン、2−メルカプト−4,6−ジアミノ−ピリミジン、3,4,6−トリス(エチルアミノ)−1,3,5−トリアジン、トリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジン、N,N,N’,N’−テトラメトキシメチルユリアおよび類似物などである。他の可能なアミノプラストには、
図3、構造4−11に示す化合物などが挙げられる。追加的なアミノプラストのモノマーとしては、エーテル化されたアミノ樹脂、例えばメチル化もしくはブチル化メラミン樹脂(それぞれN−メトキシメチル−もしくはN−ブトキシメチル−メラミン)またはメチル化/ブチル化グリコールウリル類の類似物および誘導体が挙げられる。様々なメラミンおよび尿素樹脂が、Nicalacs(Sanwa Chemical Co.)、Plastopal(BASF AG)、またはMaprenal(Clariant GmbH)の商標で商業的に入手することができ、使用し得る。
【0024】
より具体的には、アミノプラストは、構造(3)を有するグリコールウリル類からなる群から選択し得る。グリコールウリル類の例は、テトラ(アルコキシメチル)グリコールウリルであり、例えば、テトラ(メトキシメチル)グリコールウリル、テトラ(エトキシメチル)グリコールウリル、テトラ(n−プロポキシメチル)グリコールウリル、テトラ(i−プロポキシメチル)グリコールウリル、テトラ(n−ブトキシメチル)グリコールウリル、テトラ(t−ブトキシメチル)グリコールウリル、置換されたテトラ(アルコキシメチル)グリコールウリル類、例えば7−メチルテトラ(メトキシメチル)グリコールウリル、7−エチルテトラ(メトキシメチル)グリコールウリル、7−(i−もしくはn−)プロピルテトラ(メトキシメチル)グリコールウリル、7−(i−もしくはsec−もしくはt−)ブチルテトラ(メトキシメチル)グリコールウリル、7,8−ジメチルテトラ(メトキシメチル)グリコールウリル、7,8−ジエチルテトラ(メトキシメチル)グリコールウリル、7,8−ジ(i−もしくはn−)プロピルテトラ(メトキシメチル)グリコールウリル、7,8−ジ(i−もしくはsec−もしくはt−)ブチルテトラ(メトキシメチル)グリコールウリル、7−メチル−8−(i−もしくはn−)プロピルテトラ(メトキシメチル)グリコールウリル、および類似物などが挙げられ得る。テトラ(メトキシメチル)グリコールウリルは、Cytec IndustriesからPOWDERLINKの商標で入手できる(例えばPOWDERLINK1174)。他の例としては、メチルプロピルテトラメトキシメチルグリコールウリル、およびメチルフェニルテトラメトキシメチルグリコールウリルなどが挙げられる。
図3は、具体的なアミノプラスト材料の例を挙げるものである。グリコールウリルのテトラメトキシメチルグリコールウリル、アミノプラストのより具体的な例である。
【0025】
新規ポリマーは、単位(A)、単位(B)、および付加的なモノマー性単位を含むことができる。付加的なモノマー性単位としては、他の単位と重合できればよい。モノマー単位の例としては、ナフチル、アントラシルおよびフェニルおよびその混合物を含むモノマーでよい。付加的な単位を形成するのに使用されるモノマーの具体例としては、フェノール、ナフトール、アントラセンメタノールおよびヒドロキシアントラセンである。
【0026】
(A)および(B)以外に、新規ポリマーは、フェノール性の構造(12)のようなコモノマー性単位(C)をさらに含む。構造12はフッ素原子若しくはヨウ素原子を含まないもしくはフリーのフェノール性化合物の任意の第二タイプの構造を示し、ここで、R
1’、R
2’、およびR
3’は、独立して、H、ヒドロキシル、(C
1−C
4)アルキル、ヒドロキシ(C
1−C
4)アルキル、OC
1−C
4アルキル、(C=O)(C
1−C
4)アルキル、C
1−C
4アルキルO(C
1−C
4)アルキル、C
1−C
4アルキル(C=O)(C
1−C
4)アルキル、およびC(O)O(C
1−C
4)アルキルからなる群から選択する。
【0028】
使用することができる構造(12)のフェノールの具体的な例を、
図4に示す。R
1’、R
2’、およびR
3’の具体的な例としては、独立して、H、CH
3、OH、C
2H
5、OCH
3、C(O)−CH
3、CH
2OCH
3、CH
2C(O)−CH
3である。
【0029】
新規ポリマーの幾つかの例を、
図5〜7にさらに示す。
【0030】
本発明の新規組成物のポリマーは、溶剤存在中のモノマーおよび酸触媒を反応させることで合成できる。典型的には、ポリマーは水への沈殿で再生でき、その後、乾燥させる。このようなポリマーを製造する場合、ヨードもしくはフルオロフェノール(Aのモノマー)に対するアミノプラスト(Bのモノマー)のモル比は、3:1〜1:2または2:1〜1:1のモル比を採用できる。フルオロもしくはヨード不含の置換基を持たない任意の第二のフェノール性化合物を重合化に使用することができる。この第二のフェノール性化合物(Cのモノマー)は、
フェノールを含有するフルオロもしくはヨードに対して0〜100モル%、または10〜80モル%、30〜60モル%の範囲で含むことができる。典型的には、低分子部分は分離される。反応、分離および精製の既知の技術を使用することができる。ポリマーの重量平均分子量は約1000〜約25000、又は約1500〜約15000の範囲とすることができる。
【0031】
新規ポリマーが193nmで吸収性を有しnおよびkの値の13.5nmの測定がいまだ洗練されていないため、ポリマーの屈折率、n(屈折率)およびk(吸収)は、193nmの露光波長で屈折率が約1.3から約2.0および吸収が約0.05から約1.0の範囲であってよい。ポリマー中または組成物中のヨードもしくはフルオロ含分は、固体ポリマーまたは組成物の元素分析により決定される。ポリマーのフルオロもしくはヨード含分は、ポリマーに対して質量%で1%〜65%または2%〜35%の範囲とすることができる。ポリマーのフルオロ含分は、ポリマーに対して質量%で1〜20%または5%〜15%の範囲とすることができる。ポリマーのヨード含分は、ポリマーに対して質量%で5%〜65%または10%〜35%の範囲とすることができる。EUV吸収は、ポリマー中の各原子の文献中の既知の原子吸収値に基づき、ポリマーの元素分析をベースとして、1.5/gより大きいか、1.5/gから20/g、または1.5/gから10/gの範囲と算出されえる。
【0032】
例えば、架橋を促進させるポリマー、膜のエッチング速度を増加させるポリマーなどの他のポリマーを組成物に加えることができる。もし組成物中に存在させるなら、これらの第二のポリマーはヨードもしくはフルオロ基が不含であり、全ポリマー組成物に対して10〜90%、または、15〜75%、または、20〜50%の範囲である。架橋に有効なポリマーは新規ポリマー中の基を架橋させることができる基を有するポリマーであり;そのようなポリマーの一つは二無水物と、少なくとも二つのヒドロキシ基を有する化合物または少なくとも二つのカルボン酸基または少なくとも一つのヒドロキシルおよび少なくとも一つのカルボン酸基を有する化合物との反応から形成されたポリエステルポリマーである。この様なポリマーは、引例として組み込まれる米国特許第7,638,262号、米国特許第7,264,913号、および2009年10月30日に出願の米国特許出願第12/609,222号に開示されている。新規組成物に添加剤として有用であり、新規組成物の膜のドライエッチング速度を増大させることができる他のポリマーとしては、引例として組み込まれる米国特許第7,691,556号および米国特許出願第2010/0009297号に開示されている。このようなポリマーの例としては、ジオール、グリコール、シアヌル酸化合と反応したグルコールウリル化合物である。これらの第二のポリマーはヨードもしくはフルオロ基が不含であり、アミノプラストを反応させて形成されたコポリマーであるえる。
図8は、新規ポリマーに加え組成部に加えることができるポリマーの例を示すものである。
【0033】
新規ポリマーを含有する本発明の新規の組成物にさらに架橋剤を含有することができる。典型的には、架橋剤は、求電子試薬として機能することができ、単独で、または酸の存在下でカルボカチオンを形成することができる化合物である。したがって、複数の求電子性部位を含有するアルコール、エーテル、エステル、オレフィン、メトキシメチルアミノ、メトキシメチルフェニルおよび他の分子などの基を含有する化合物は、ポリマーと架橋し得る。グリコールウリル、メラミンのポリマーなどのポリマー性架橋剤を使用してもよい。架橋剤であり得る化合物の例は、1,3アダマンタンジオール、1,3,5アダマンタントリオール、多官能性反応性ベンジル系化合物、構造(13)のテトラメトキシメチル−ビスフェノール(TMOM−BP)、アミノプラスト架橋剤、グリコールウリル、Cymels、Powderlinksなどである。
【0035】
ポリマーを含む新規な組成物はまた、酸発生剤および場合によって架橋剤も含んでよい。酸発生剤は、加熱すると強酸を生じさせ得る熱酸発生剤であってよい。本発明で使用される熱酸発生剤(TAG)は、本発明で存在するポリマーと反応し、ポリマーの架橋を伝播し得る酸を、加熱すると生じさせる任意の1種または複数であってよく、スルホン酸などの強酸が特に好ましい。好ましくは、熱酸発生剤は、90℃を超える温度で、より好ましくは120℃を超える温度で、さらにより好ましくは150℃を超える温度で活性化する。熱酸発生剤の例は、強非求核酸のトリアリールスルホニウム、ジアルキルアリールスルホニウムおよびジアリールアルキルスルホニウム塩、強非求核酸のアルキルアリールヨードニウム、ジアリールヨードニウム塩などの金属不含のスルホニウム塩およびヨードニウム塩;ならびに強非求核酸のアンモニウム、アルキルアンモニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアルキルアンモニウム、テトラアルキルアンモニウム塩である。また、共有熱酸発生剤も、有用な添加剤として考えられ、例えばアルキルまたはアリールスルホン酸の2−ニトロベンジルエステルおよび熱分解して遊離スルホン酸をもたらすスルホン酸の他のエステルである。例は、ジアリールヨードニウムペルフルオロアルキルスルホネート、ジアリールヨードニウムトリス(フルオロアルキルスルホニル)メチド、ジアリールヨードニウムビス(フルオロアルキルスルホニル)メチド、ジアリールヨードニウムビス(フルオロアルキルスルホニル)イミド、ジアリールヨードニウム第4級アンモニウムペルフルオロアルキルスルホネートである。不安定なエステルの例:トシル酸2−ニトロベンジル、トシル酸2,4−ジニトロベンジル、トシル酸2,6−ジニトロベンジル、トシル酸4−ニトロベンジル;2−トリフルオロメチル−6−ニトロベンジル4−クロロベンゼンスルホネート、2−トリフルオロメチル−6−ニトロベンジル4−ニトロベンゼンスルホネートなどのベンゼンスルホネート;フェニル、4−メトキシベンゼンスルホネートなどのフェノール系スルホン酸エステル;第4級アンモニウムトリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドおよび第4級アルキルアンモニウムビス(フルオロアルキルスルホニル)イミド、10−カンファースルホン酸のトリエチルアンモニウム塩などの有機酸のアルキルアンモニウム塩。様々な芳香族(アントラセン、ナフタレンまたはベンゼン誘導体)スルホン酸アミン塩をTAGとして用いることができ、米国特許第3,474,054号、同第4,200,729号、同第4,251,665号および同第5,187,019号に開示されたものが包含される。好ましくは、TAGは、170〜220℃の間の温度で非常に低い揮発性を有する。TAGの例は、NacureおよびCDXという名称でKing Industriesから販売されているものである。そのようなTAGは、Nacure 5225およびCDX−2168Eであり、これは、King Industries、Norwalk、Conn.06852、USAからプロピレングリコールメチルエーテル中25〜30%の活性で提供されるドデシルベンゼンスルホン酸アミン塩である。
【0036】
新規な組成物はさらに、任意で少なくとも1種の公知の光酸発生剤をさらに含有していてもよく、その例は、限定ではないが、オニウム塩、スルホネート化合物、ニトロベンジルエステル、トリアジンなどである。好ましい光酸発生剤は、オニウム塩およびヒドロキシイミドのスルホン酸エステル、特に、ジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、ジアルキルヨードニウム塩、トリアルキルスルホニウム塩およびこれらの混合物である。これらの光酸発生剤は、必ずしも光分解するとは限らないが、熱分解して酸を形成する。新規組成物は光酸発生剤を不含とすることができる。
【0037】
本発明の反射防止コーティング組成物は、組成物中の全固形分に対して新規ポリマー10質量%から約100質量%、好ましくは40質量%から約80質量%を含有してよい。組成物中で使用する場合、任意の架橋剤は、全固形分に対して約0.2質量%から約10質量%で存在してよい。熱酸発生剤は、反射防止コーティング組成物の全固形分に対して約0から約5質量%、好ましくは固形分に対して0.3から2質量%の範囲で組み込むことができる。
【0038】
一実施形態においては、新規組成物は、新規ポリマー、本明細書中に示した第二のポリマー、架橋剤、熱酸発生剤、任意に界面活性剤、および溶剤を含む。
【0039】
一実施形態においては、新規組成物は、新規ポリマー、本明細書中に示した第二のポリマー、光酸発生剤、熱酸発生剤、任意に界面活性剤、および溶剤を含む。
【0040】
一実施形態においては、新規組成物は、熱および/または光酸発生剤を含まず、そして新規ポリマーは自己架橋可能である。
【0041】
コーティング組成物のための溶剤の例としては、アルコール、エステル、グリム、エーテル、グリコールエーテル、グリコールエーテルエステル、ケトン、ラクトン、環式ケトン、およびこれらの混合物が挙げられる。このような溶剤の例として、限定されないが、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、ガンマバレロラクトン、3−メトキシプロピオン酸メチル、およびこれらの混合物が挙げられる。溶剤は、典型的には約40〜約99.9質量%の量で存在する。ある一定の場合において、ラクトン溶剤の添加は、積層系において用いられるとき、反射防止コーティング組成物の流動特性を促進するのに有用である。ラクトン溶剤は、存在する場合、溶剤系の約1〜約10%を占める。γ−バレロラクトンは、有用なラクトン溶剤の一つである。
【0042】
反射防止被膜を基板の頂部にコーティングし、またドライ・エッチングに掛けるので、この被膜は、十分に低い金属イオン・レベルを有し、半導体デバイスの特性に悪影響を与えないような十分な純度を有することが企図される。イオン交換カラムにポリマー溶液を通過させるプロセス、濾過プロセスおよび抽出プロセスなどの処理を使用して、金属イオンの濃度を低下させ、粒子を減らすことができる。
【0043】
新規な組成物の193nmにおける吸収パラメータ(k)は、偏光解析測定によると、露光波長で約0.05から約1.0、好ましくは約0.1から約0.8の範囲である。一実施形態では、組成物は、露光波長で約0.2から約0.5の範囲のk値を有する。反射防止コーティングの屈折率(n)もまた最適化され、約1.3から約2.0、好ましくは1.5から約1.8の範囲であり得る。ここに示されるnおよびkの値は、J.A.Woollam WVASE VU−32(商標)Ellipsometerなどの楕円偏光計を使用して算出することができる。kおよびnに関する最適な範囲の正確な値は、使用される露光波長および塗布の種類に左右される。前述のとおり、193mnの測定は、EUVパラメータの示唆するものとして使用する。
【0044】
反射防止コーティング組成物を、浸漬、スピン・コーティングまたは噴霧など、当業者によく知られている技術を使用して、基板上にコーティングする。EUVリソグラフィのための反射防止コーティングの被膜の厚さは、約5nmから約100nmの範囲であり、好ましくは5〜25nmである。コーティングをさらに、残留溶剤をすべて除去し、架橋を誘発するのに十分に長い時間、ホットプレート上でまたは対流式炉内で加熱して、反射防止コーティングを不溶化させて、反射防止コーティングとその上にコーティングされる層とが混合することを防ぐ。温度の好ましい範囲は、約120℃から約280℃である。
【0045】
フォトレジストの被膜を、新規反射防止下層コーティングの頂部にコーティングし、ベーク処理して、フォトレジスト溶剤を実質的に除去する。エッジビード・リムーバを、コーティング・ステップ後に施与して、当分野でよく知られているプロセスを使用して基板の縁部を清浄にすることができる。
【0046】
反射防止コーティングがその上に形成される基板は、半導体産業で典型的に使用される任意のものであってよい。適当な基板には、限定ではないが、低誘電率材料、シリコン、金属面でコーティングされたシリコン基板、銅がコーティングされたシリコン・ウェハ、銅、アルミニウム、ポリマー樹脂、二酸化シリコン、金属、ドーピングされた二酸化シリコン、窒化シリコン、タンタル、ポリシリコン、セラミックス、アルミニウム/銅混合物;ガリウムヒ素および他のそのような第III/V族化合物が包含される。基板は、上記の材料から作製された任意の数の層を含んでよい。
【0047】
フォトレジストは、半導体産業で使用される任意の種類であってよいが、但し、フォトレジスト中の光活性化合物および反射防止コーティングが、イメージング・プロセスで使用される露光波長で実質的に吸収することを条件とする。
【0048】
今日までに、微細化に著しい進歩をもたらしたいくつかの主な深紫外線(uv)露光技術が存在し、これらの放射線は248nm、193nm、157および13.5nmである。248nmのためのフォトレジストは典型的には、米国特許第4,491,628号および米国特許第5,350,660号に記載されているものなど、置換ポリヒドロキシスチレンおよびそのコポリマー/オニウム塩をベースとしている。他方で、193nmおよび157nmで露光するためのフォトレジストは、芳香族がこの波長では不透明であるので、非芳香族ポリマーを必要とする。米国特許第5,843,624号および米国特許第6,866,984号は、193nm露光に有用なフォトレジストを開示している。一般に、脂環式炭化水素を含有するポリマーは、100〜200nmで露光するためのフォトレジストに使用される。脂環式炭化水素は、多くの理由でポリマーに組み込まれるが、それというのも主に、これらはエッチング耐性を改善する比較的高い炭素と水素との比を有し、低波長でも透明性をもたらし、比較的高いガラス転移温度を有するためである。米国特許第5,843,624号は、無水マレイン酸と不飽和環式モノマーとのフリーラジカル重合により得られるフォトレジストのためのポリマーを開示している。米国特許第6,447,980号および米国特許第6,723,488号に記載されていて、参照により本明細書に組み込まれるものなどの、任意の知られている種類の193nmフォトレジストを使用することができる。157nmに感光性があり、懸垂フルオロアルコール基を有するフッ素化ポリマーをベースとするフォトレジストの2つの基本的なクラスは、その波長で実質的に透明であることが知られている。一方のクラスの157nmフルオロアルコール・フォトレジストは、フッ素化ノルボルネンなどの基を含有するポリマーに由来し、金属触媒またはラジカル重合を使用してテトラフルオロエチレンなどの他の透明なモノマーとホモ重合または共重合される(米国特許第6,790,587号および米国特許第6,849,377号)。一般に、これらの材料はより高い吸光度をもたらすが、それらの高い脂環式含分により、良好なプラズマ・エッチング耐性を有する。さらに最近では、ポリマー主鎖が、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエンなどの不斉ジエンの環化重合(米国特許第6,818,258号)またはフルオロジエンとオレフィンとの共重合(米国特許第6,916,590号)に由来する157nmフルオロアルコール・ポリマーの群が記載された。これらの材料は、157nmで許容可能な吸光度をもたらすが、フルオロ−ノルボルネン・ポリマーに比べてその脂環式含分が低いので、より低いプラズマ・エッチング耐性を有する。これら2つの群のポリマーは、第1の種類のポリマーの高いエッチング耐性と第2の種類のポリマーの157nmでの高い透明性とのバランスをもたらすために、ブレンドし得ることが多い。
【0049】
13.5nmの極紫外線(EUV)を吸収するフォトレジストが特に有用であり、当分野で知られている。このようなEUVフォトレジストは現在開発中であり、しかしあらゆる安定なEUVフォトレジストを使用することができる。新規なコーティングはまた、電子線リソグラフィで使用することもでき、露光は電子線を使用して行う。
【0050】
新規組成物の膜を形成するためのコーティング・プロセスの後に、フォトレジストをマスクもしくは電子線ともに像様露光する。露光は、典型的な露光装置を使用して行ってもよい。露光の波長源は、如何なるものも使用できるが、13.5nmである。次いで、露光されたフォトレジストを、水性現像液で現像して、処理されたフォトレジストを除去する。現像液は好ましくは、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を含むアルカリ水溶液である。現像液の例としては、0.26Nの水性水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)溶液である。現像は60秒とすることができる。現像液はさらに、界面活性剤(複数可)を含んでもよい。任意選択の加熱ステップを、現像前および露光後のプロセスに組み込むことができる。現像により、現像段階で除去されていない新規下層膜上にフォトレジストパターンが形成される。
【0051】
フォトレジストをコーティングおよびイメージングするプロセスは、当業者によく知られており、使用されるフォトレジストの特定の種類のために最適化される。次いで、パターニングされた基板を、適当なエッチング・チャンバ内でエッチング・ガスまたはガスの混合物でドライ・エッチングして、反射防止被膜または多数の層の反射防止コーティングの露光部分を除去することができるが、この際、残存しているフォトレジストがエッチング・マスクとして機能する。O
2、CF
4、CHF
3、Cl
2、HBr、SO
2、COなどを含むものなど、様々なエッチング・ガスが、有機反射防止コーティングをエッチングするために当分野では知られている。
【0052】
上記で参照された文献はそれぞれ、その全体が、あらゆる目的で、参照により本明細書に組み込まれる。下記の具体的な例では、本発明の組成物を生成および利用する方法の詳細な説明を提供する。しかしながら、これらの例は、本発明の範囲を限定または制限することを何ら意図したものではなく、本発明を実施するために専ら利用しなければならない条件、パラメータまたは値を提供していると解釈すべきではない。
【実施例】
【0053】
下記の例における炭素ハードマスク反射防止コーティングの屈折率(n)および吸収度(k)の値は、J.A.Woollam VASE32楕円偏光計で測定した。
【0054】
ポリマーの分子量を、ゲル浸透クロマトグラフで測定した。
【0055】
例1
30gのテトラメトキシメチルグルコールウリル、5.3gの4−フルオロフェノール,30mlのテトラヒドロフラン(THF)および40mlのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)を温度計、機械的攪拌機および冷水凝縮器を備えたフラスコ中に仕込んだ。触媒量のパラ−トルエンスルホン酸一水和物(0.35g)を添加後、反応物を80℃で約4時間保持した。その後、反応溶液を室温まで冷却し、そして濾過した。攪拌しながらポリマーが沈殿させつつ、濾液を蒸留水にゆっくり注いだ。ポリマーを濾過により集めた。乾燥後、ポリマーをTHF中に再溶解し、そして水中に沈殿させた。ポリマーを濾過し、水を通して洗浄し低圧オーブンで乾燥させた。重量平均分子量約8100g/molの13.2gのポリマー生成物を得た。元素分析によるとフッ素含有量はポリマー中2.0%であった。
【0056】
例2
30gのテトラメトキシメチルグルコールウリル、10.4gの4−ヨードフェノール、40mlのTHFおよび40mlのPGMEAを温度計、機械的攪拌機および冷水凝縮器を備えたフラスコ中に仕込んだ。触媒量のパラ−トルエンスルホン酸一水和物(0.35g)を添加後、反応物を80℃で約7時間保持した。その後、反応溶液を室温まで冷却し、そして濾過した。攪拌しながらポリマーが沈殿させつつ、濾液を蒸留水にゆっくり注いだ。ポリマーを濾過により集めた。乾燥後、ポリマーをTHF中に再溶解し、そして水中に沈殿させた。ポリマーを濾過し、水を通して洗浄し低圧オーブンで乾燥させた。重量平均分子量約2200g/molの18.0gのポリマー生成物を得た。元素分析によるとヨウ素含有量はポリマー中21.1%であった。
【0057】
例3
30gのテトラメトキシメチルグルコールウリル、10.4gの3−ヨードフェノール、40mlのTHFおよび40mlのPGMEAを温度計、機械的攪拌機および冷水凝縮器を備えたフラスコ中に仕込んだ。触媒量のパラ−トルエンスルホン酸一水和物(0.3g)を添加後、反応物を80℃で約7時間保持した。の後、反応溶液を室温まで冷却し、そして濾過した。攪拌しながらポリマーが沈殿させつつ、濾液を蒸留水にゆっくり注いだ。ポリマーを濾過により集めた。乾燥後、ポリマーをTHF中に再溶解し、そして水中に沈殿させた。ポリマーを濾過し、水を通して洗浄し低圧オーブンで乾燥させた。重量平均分子量約3500g/molの24.0gのポリマー生成物を得た。元素分析によるとヨウ素含有量はポリマー中21.7%であった。EUV吸収は、ポリマー中の各原子の文献中の既知の原子吸収値に基づき、ポリマーの元素分析をベースとして、7.7/gと算出された。
【0058】
例4
20gのテトラメトキシメチルグルコールウリル、6.9gの3−ヨードフェノール、2.9gの3,4,5−トリメトキシフェノール、30mlのTHFおよび30mlのPGMEAを温度計、機械的攪拌機および冷水凝縮器を備えたフラスコ中に仕込んだ。触媒量のパラ−トルエンスルホン酸一水和物(0.2g)を添加後、反応物を80℃で約5.5時間保持した。反応溶液を室温まで冷却し、そして濾過した。攪拌しながらポリマーが沈殿させつつ、濾液を蒸留水にゆっくり注いだ。ポリマーを濾過により集めた。乾燥後、ポリマーをTHF中に再溶解し、そして水中に沈殿させた。ポリマーを濾過し、水を通して洗浄し低圧オーブンで乾燥させた。重量平均分子量約2400g/molの18.0gのポリマー生成物を得た。
【0059】
例5
30gのテトラメトキシメチルグルコールウリル、8.2gの3,5−ジフルオロフェノール、40mlのTHFおよび40mlのPGMEAを温度計、機械的攪拌機および冷水凝縮器を備えたフラスコ中に仕込んだ。触媒量のパラ−トルエンスルホン酸一水和物(0.3g)を添加後、反応物を80℃で約8時間保持した。反応溶液を室温まで冷却し、そして濾過した。攪拌しながらポリマーが沈殿させつつ、濾液を蒸留水にゆっくり注いだ。ポリマーを濾過により集めた。乾燥後、ポリマーをTHF中に再溶解し、そして水中に沈殿させた。ポリマーを濾過し、水を通して洗浄し低圧オーブンで乾燥させた。重量平均分子量約6200g/molの18.0gのポリマー生成物を得た。元素分析によるとフッ素含有量はポリマー中7.1%であった。EUV吸収は、ポリマー中の各原子の文献中の既知の原子吸収値に基づき、ポリマーの元素分析をベースとして、1.57/gと算出された。
【0060】
例6
30gのテトラメトキシメチルグルコールウリル、7.6gの4−トリフルオロメチルフェノール、30mlのTHFおよび50mlのPGMEAを温度計、機械的攪拌機および冷水凝縮器を備えたフラスコ中に仕込んだ。触媒量のパラ−トルエンスルホン酸一水和物(0.3g)を添加後、反応物を80℃で約7時間保持した。反応溶液を室温まで冷却し、そして濾過した。攪拌しながらポリマーが沈殿させつつ、濾液を蒸留水にゆっくり注いだ。ポリマーを濾過により集めた。乾燥後、ポリマーをTHF中に再溶解し、そして水中に沈殿させた。ポリマーを濾過し、水を通して洗浄し低圧オーブンで乾燥させた。重量平均分子量約14500g/molの17.0gのポリマー生成物を得た。元素分析によるとフッ素含有量はポリマー中5.3%であった。
【0061】
例7
20gのテトラメトキシメチルグルコールウリル、6.9gの3−ヨードフェノール、2.0gの2,5−ジメチルフェノール、30mlのTHFおよび30mlのPGMEAを温度計、機械的攪拌機および冷水凝縮器を備えたフラスコ中に仕込んだ。触媒量のパラ−トルエンスルホン酸一水和物(0.2g)を添加後、反応物を80℃で約4.5時間保持した。反応溶液を室温まで冷却し、そして濾過した。攪拌しながらポリマーが沈殿させつつ、濾液を蒸留水にゆっくり注いだ。ポリマーを濾過により集めた。乾燥後、ポリマーをTHF中に再溶解し、そして水中に沈殿させた。ポリマーを濾過し、水を通して洗浄し低圧オーブンで乾燥させた。重量平均分子量約5100g/molの17.7gのポリマー生成物を得た。EUV吸収は、ポリマー中の各原子の文献中の既知の原子吸収値に基づき、ポリマーの元素分析をベースとして、7.0/gと算出された。
【0062】
例8
30gのテトラメトキシメチルグルコールウリル、10.8gの3,5−bis(トリフルオロメチル)フェノール、2.9gの2,5−ジメチルフェノール、30mlのTHFおよび50mlのPGMEAを温度計、機械的攪拌機および冷水凝縮器を備えたフラスコ中に仕込んだ。触媒量のパラ−トルエンスルホン酸一水和物(0.25g)を添加後、反応物を80℃で約4.5時間保持した。反応溶液を室温まで冷却し、そして濾過した。攪拌しながらポリマーが沈殿させつつ、濾液を蒸留水にゆっくり注いだ。ポリマーを濾過により集めた。乾燥後、ポリマーをTHF中に再溶解し、そして水中に沈殿させた。ポリマーを濾過し、水を通して洗浄し低圧オーブンで乾燥させた。重量平均分子量約10000g/molの21.0gのポリマー生成物を得た。元素分析によるとフッ素含有量はポリマー中12.5%であった。
【0063】
例9
30gのテトラメトキシメチルグルコールウリル、10.4gの3−ヨードフェノール、3.7gの4−アセチルレゾルシノール、40mlのTHFおよび40mlのPGMEAを温度計、機械的攪拌機および冷水凝縮器を備えたフラスコ中に仕込んだ。触媒量のパラ−トルエンスルホン酸一水和物(0.3g)を添加後、反応物を80℃で約6時間保持した。反応溶液を室温まで冷却し、そして濾過した。攪拌しながらポリマーが沈殿させつつ、濾液を蒸留水にゆっくり注いだ。ポリマーを濾過により集めた。乾燥後、ポリマーをTHF中に再溶解し、そして水中に沈殿させた。ポリマーを濾過し、水を通して洗浄し低圧オーブンで乾燥させた。重量平均分子量約3900g/molの26.0gのポリマー生成物を得た。
【0064】
例10
20gのテトラメトキシメチルグルコールウリル、6.0gの3−ヨードフェノール、4.9gの3,5−ジメチル4−ヨードフェノール、30mlのTHFおよび30mlのPGMEAを温度計、機械的攪拌機および冷水凝縮器を備えたフラスコ中に仕込んだ。触媒量のパラ−トルエンスルホン酸一水和物(0.2g)を添加後、反応物を80℃で約5時間保持した。反応溶液を室温まで冷却し、そして濾過した。攪拌しながらポリマーが沈殿させつつ、濾液を蒸留水にゆっくり注いだ。ポリマーを濾過により集めた。乾燥後、ポリマーをTHF中に再溶解し、そして水中に沈殿させた。ポリマーを濾過し、水を通して洗浄し低圧オーブンで乾燥させた。重量平均分子量約3800g/molの21.0gのポリマー生成物を得た。
【0065】
例11
10gのブタンテトラカルボン酸二無水物、7gのスチレングリコール、0.5gのベンジルトリブチル塩化アンモニウム、および35gのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)を凝縮器、熱コントローラおよび機械的攪拌機を備えたフラスコ中に仕込んだ。窒素雰囲気下、攪拌しながら、混合物を110℃に加熱した。1〜2時間後に透明な溶液が得られた。温度を110℃で3時間保持した。冷却後、60gのPGMEAおよび36gの酸化プロピレンを上記溶液と混合した。反応物を50℃で48時間保持した。反応溶液を室温まで冷却し高速ブレンダー中で大量の水にゆっくり注いだ。ポリマーを集め、水を通して洗浄した。最後に、ポリマーを低圧オーブンで乾燥させた。重量平均分子量(MW)約20000g/molの16gのポリマー生成物を得た。
【0066】
例12
110gのテトラメトキシメチルグルコールウリルおよび61gのトリス(2−ヒドロキシエチル)シアヌル酸を350gのジオキサン中に添加した。温度を92〜94℃に上昇させ、透明な溶液が得られた。0.7gのパラトルエンスルホン酸(PTSA)を添加し、反応物を6時間還流させた。室温まで冷却後、0.5gのトリエチルアミンを添加した。溶液をn−ブチルアセタートを5℃で沈殿させた。ポリマーを濾過し、減圧下乾燥させた。得られたポリマーは約2200g/molの重量平均分子量を有していた。
【0067】
例13
合成例1〜9のポリマーから得られた下層膜のための溶液および現像液に対する耐性の評価
PGMEA/PGME70/30中に合成例1からのポリマー溶液を作成した。溶液をケイ素ウェハ上にスピンコートし、200℃/60sベーク処理し膜を形成した。PGMEA/PGME70/30溶剤を、合成例1のポリマー溶液からの下層材料でコーティングしたケイ素ウェハ上に60sで施した。窒素を吹き込んで溶剤を除去した。有意なフィルムの損失は観察されなかった。同様の実験を現像剤としてAZ(登録商標)300MIF Developerを用いて行った。上記のEUV下層膜は、現像剤に対して良好な耐性を示した。
【0068】
上記の実験を、PGMEA/PGME70/30中で、合成例2〜9からのポリマーで製造されたポリマー溶液で繰り返した。上記のEUV下層膜は、キャスト溶剤および現像剤の両方に対して良好な耐性を示した。溶剤処理および現像液処理ののち、フィルムの損失は観察されなかった。
【0069】
例14
1.71gの合成例12からのポリマー、0.73gの合成例11からの生成物および0.49gの合成例2からの生成物を、287gのPGMEA/PGME70/30溶剤および8.9gガンマ−バレロラクトンに溶解し、1.0質量%溶液を作成した。混合物を0.2μMのサイズの孔のマイクロフィルタで濾過した。溶液を同じ溶剤により希薄し所望の膜厚とし、その後40秒間ケイ素ウェハ上にスピンコートした。その後、コーティングされたウェハをホットプレート上で1分間200℃で加熱した。
【0070】
例15
0.6gの合成例11からの生成物および1.4gの合成例5からの生成物を、192gのPGMEA/PGME70/30溶剤および5.9gガンマ−バレロラクトンに溶解し、1.0質量%溶液を作成した。混合物を0.2μMのサイズの孔のマイクロフィルタで濾過した。溶液を同じ溶剤により希薄し所望の膜厚とし、その後40秒間ケイ素ウェハ上にスピンコートした。その後、コーティングされたウェハをホットプレート上で1分間200℃で加熱した。
【0071】
例16
0.6gの合成例12からのポリマー、0.6gの合成例11からの生成物および0.8gの合成例3からの生成物を、192gのPGMEA/PGME70/30溶剤および5.9gガンマ−バレロラクトンに溶解し、1.0質量%溶液を作成した。混合物を0.2μMのサイズの孔のマイクロフィルタで濾過した。溶液を同じ溶剤により希薄し所望の膜厚とし、その後40秒間ケイ素ウェハ上にスピンコートした。その後、コーティングされたウェハをホットプレート上で1分間200℃で加熱した。
【0072】
例17
0.6gの合成例11からの生成物および1.4gの合成例8からの生成物を、192gのPGMEA/PGME70/30溶剤および5.9gガンマ−バレロラクトンに溶解し、1.0質量%溶液を作成した。混合物を0.2μMのサイズの孔のマイクロフィルタで濾過した。溶液を同じ溶剤により希薄し所望の膜厚とし、その後40秒間ケイ素ウェハ上にスピンコートした。その後、コーティングされたウェハをホットプレート上で1分間200℃で加熱した。
【0073】
例18
0.6gの 合成例11からの生成物および1.4gの合成例9からの生成物を、192gのPGMEA/PGME70/30溶剤および5.9gガンマ−バレロラクトンに溶解し、1.0質量%溶液を作成した。混合物を0.2μMのサイズの孔のマイクロフィルタで濾過した。溶液を同じ溶剤により希薄し所望の膜厚とし、その後40秒間ケイ素ウェハ上にスピンコートした。その後、コーティングされたウェハをホットプレート上で1分間200℃で加熱した。
【0074】
例19
1.71gの合成例12からのポリマー、0.73gの合成例11からの生成物および0.49gの合成例2からの生成物を、287gのPGMEA/PGME70/30溶剤および8.9gガンマ−バレロラクトンに溶解し、1.0質量%溶液を作成した。ポリマー溶液に、0.073gの10%のPGMEA/PGME70/30中のドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩、0.073gの10%のPGMEA/PGME70/30中のノナフルオロブタンスルホン酸トリエチルアミン塩の混合物を添加した。混合物を0.2μMのサイズの孔のマイクロフィルタで濾過した。溶液を同じ溶剤により希薄し所望の膜厚とし、その後40秒間ケイ素ウェハ上にスピンコートした。その後、コーティングされたウェハをホットプレート上で1分間200℃で加熱した。測定された光学パラメータは、193nmにおいて屈折率(n)は1.83であり、そして吸光(k)は0.29であった。
【0075】
例20
0.6gの合成例11からの生成物および1.4gの合成例5からの生成物を、192gのPGMEA/PGME70/30溶剤および5.9gガンマ−バレロラクトンに溶解し、1.0質量%溶液を作成した。ポリマー溶液に、0.06gの10%のPGMEA/PGME70/30中のドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩、0.06gの10%のPGMEA/PGME70/30中のノナフルオロブタンスルホン酸トリエチルアミン塩の混合物を添加した。混合物を0.2μMのサイズの孔のマイクロフィルタで濾過した。溶液を同じ溶剤により希薄し所望の膜厚とし、その後40秒間ケイ素ウェハ上にスピンコートした。その後、コーティングされたウェハをホットプレート上で1分間200℃で加熱した。測定された光学パラメータは、193nmにおいて屈折率(n)は1.76であり、そして吸光(k)は0.37であった。
【0076】
例21
0.6gの合成例12からのポリマー、0.6gの合成例11からの生成物および0.8gの合成例3からの生成物を、192gのPGMEA/PGME70/30溶剤および 5.9gガンマ−バレロラクトンに溶解し、1.0質量%溶液を作成した。ポリマー溶液に、0.06gの10%のPGMEA/PGME70/30中のドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩、0.06gの10%のPGMEA/PGME70/30中のノナフルオロブタンスルホン酸トリエチルアミン塩の混合物を添加した。混合物を0.2μMのサイズの孔のマイクロフィルタで濾過した。溶液を同じ溶剤により希薄し所望の膜厚とし、その後40秒間ケイ素ウェハ上にスピンコートした。その後、コーティングされたウェハをホットプレート上で1分間200℃で加熱した。
【0077】
例22
0.6gの合成例11からの生成物および1.4gの合成例7からの生成物を、192gのPGMEA/PGME70/30溶剤および5.9gガンマ−バレロラクトンに溶解し、1.0質量%溶液を作成した。ポリマー溶液に、0.06gの10%のPGMEA/PGME70/30中のドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩、0.06gの10%のPGMEA/PGME70/30中のノナフルオロブタンスルホン酸トリエチルアミン塩の混合物を添加した。混合物を0.2μMのサイズの孔のマイクロフィルタで濾過した。溶液を同じ溶剤により希薄し所望の膜厚とし、その後40秒間ケイ素ウェハ上にスピンコートした。その後、コーティングされたウェハをホットプレート上で1分間200℃で加熱した。測定された光学パラメータは、193nmにおいて屈折率(n)は1.72であり、そして吸光(k)は0.33であった。
【0078】
例23
0.6gの合成例11からの生成物および1.4gの合成例9からの生成物を、192gのPGMEA/PGME70/30溶剤および5.9gガンマ−バレロラクトンに溶解し、1.0質量%溶液を作成した。ポリマー溶液に、0.06gの10%のPGMEA/PGME70/30中のドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩、0.06gの10%のPGMEA/PGME70/30中のノナフルオロブタンスルホン酸トリエチルアミン塩の混合物を添加した。混合物を0.2μMのサイズの孔のマイクロフィルタで濾過した。溶液を同じ溶剤により希薄し所望の膜厚とし、その後40秒間ケイ素ウェハ上にスピンコートした。その後、コーティングされたウェハをホットプレート上で1分間200℃で加熱した。測定された光学パラメータは、193nmにおいて屈折率(n)は1.76であり、そして吸光(k)は0.30であった。
【0079】
例24
0.6gの合成例11からの生成物および1.4gの合成例5からの生成物を、192gのPGMEA/PGME70/30溶剤および5.9gガンマ−バレロラクトンに溶解し、1.0質量%溶液を作成した。ポリマー溶液に、0.2gの10%のPGMEA/PGME70/30中のトリエチルアミンを添加した。混合物を0.2μMのサイズの孔のマイクロフィルタで濾過した。溶液を同じ溶剤により希薄し所望の膜厚とし、その後40秒間ケイ素ウェハ上にスピンコートした。その後、コーティングされたウェハをホットプレート上で1分間200℃で加熱した。
【0080】
例25
0.6gの合成例11からの生成物および1.4gの合成例7からの生成物を、192gのPGMEA/PGME70/30溶剤および5.9gガンマ−バレロラクトンに溶解し、1.0質量%溶液を作成した。ポリマー溶液に、0.2gの10%のPGMEA/PGME70/30中のトリエチルアミンを添加した。混合物を0.2μMのサイズの孔のマイクロフィルタで濾過した。溶液を同じ溶剤により希薄し所望の膜厚とし、その後40秒間ケイ素ウェハ上にスピンコートした。その後、コーティングされたウェハをホットプレート上で1分間200℃で加熱した。
【0081】
例26
製剤例14〜25のポリマーから得られた下層膜のための溶液および現像液に対する耐性の評価
PGMEA/PGME70/30溶剤を、それぞれ、例14〜25からコーティングされベークされたケイ素ウェハ上に施した。60sの施工の後、窒素を吹き込んで溶剤を除去した。溶剤中で有意なフィルムの損失は観察されなかった。同様の実験を現像剤としてAZ(登録商標)300MIF Developerを用いて行った。上記のEUV下層膜は、現像剤に対して良好な耐性を示した。現像液中で有意なフィルムの損失は観察されなかった。
【0082】
溶剤および現像液に対して膜は不溶であり、良好な架橋を支援した。また、下層は熱酸発生剤があってもなくても良好な架橋を示した。例24および25においては塩基が下層製剤に加えられており、塩基の存在にも関わらず、十分な架橋を示した。これは基材からの塩基の汚染が存在した場合でさえも、下層が十分に機能的であることを示している。
【0083】
例27
例20の下層溶液を0.2μmのナイロンシリンジフィルタを使用し、濾過した。サンプルを8”ケイ素ウェハにコーティングし、適用後、200℃/60秒でベークした。EUV SEVR−139 フォトレジスト(SEMATECH、University of Albany、New Yorkから利用可能)を、下層のトップにコーティングした。0.3NA (開口数)を使用してSEMATECH Albany Exitechマイクロ露光EUVツール(eMET)において、それをベークし露光した。現像後、リソグラフィ性能を、SEM顕微鏡下、CD走査型電子顕微鏡(CDSEM)のトップダウン測定および断面写真測定の両方で評価した。30nmのハーフピッチパターンが、最少のフッティングおよびスカムのない良好なラインを有する良好なフォトレジストパターンプロフィールを示した。11.7mJ/cm
2においてEUVリソグラフィが30nm、1:1L/Sの良好な光感度を示した。また、パターンは、良好な崩壊縁、フォーカスの深さ、及びプロセスウインドウを示した。
【0084】
例28
例22の下層溶液を0.2μmのナイロンシリンジフィルタを使用し、濾過した。サンプルを8”ケイ素ウェハにコーティングし、適用後、200℃/60秒でベークした。EUV SEVR−139 フォトレジストを、下層のトップにコーティングした。0.3NA (開口数)を使用してSEMATECH Albany Excimerマイクロ露光EUVツール(eMET)において、それをベークし露光した。現像後、リソグラフィ性能を、SEM顕微鏡下、CDSEMのトップダウン測定および断面写真測定の両方で評価した。30nmのハーフピッチが、最少のフッティングおよびスカムのない良好なラインを有する良好なフォトレジストパターンプロフィールを示した。11.7mJ/cm
2においてEUVリソグラフィが30nm、1:1L/Sの良好な光感度を示した。また、パターンは、良好な崩壊縁、フォーカスの深さ、及びプロセスウインドウを示した。