特許第6110902号(P6110902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.の特許一覧

<>
  • 特許6110902-リトグラフ装置 図000002
  • 特許6110902-リトグラフ装置 図000003
  • 特許6110902-リトグラフ装置 図000004
  • 特許6110902-リトグラフ装置 図000005
  • 特許6110902-リトグラフ装置 図000006
  • 特許6110902-リトグラフ装置 図000007
  • 特許6110902-リトグラフ装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6110902
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】リトグラフ装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20170327BHJP
【FI】
   G03F7/20 521
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-142942(P2015-142942)
(22)【出願日】2015年7月17日
(62)【分割の表示】特願2014-152937(P2014-152937)の分割
【原出願日】2004年7月15日
(65)【公開番号】特開2015-212839(P2015-212839A)
(43)【公開日】2015年11月26日
【審査請求日】2015年7月21日
(31)【優先権主張番号】03254466.0
(32)【優先日】2003年7月16日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】ボブ シュトリーフケルク
(72)【発明者】
【氏名】アントニウス テオドルス アンナ マリア デルクセン
(72)【発明者】
【氏名】ジョエリ ロフ
(72)【発明者】
【氏名】クラウス サイモン
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー シュトラーイユェル
【審査官】 赤尾 隼人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−303115(JP,A)
【文献】 国際公開第99/049504(WO,A1)
【文献】 旧東ドイツ国経済特許第221563(DD,A1)
【文献】 特開平10−303114(JP,A)
【文献】 特開平10−340846(JP,A)
【文献】 特開2002−118050(JP,A)
【文献】 特開2001−143992(JP,A)
【文献】 特開2001−244178(JP,A)
【文献】 特開2003−059807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動テーブルと、
放射線ビームを基板の放射線感受目標部分に投影する投影装置であって、最終部材を備える投影装置と、
前記投影装置と前記基板及び/または前記可動テーブルとの間の貯留部に温度制御された液体を供給するよう構成されている液体供給装置と、
前記基板及び/または前記可動テーブルの温度と目標温度との差によって生じる、前記基板上に生成されるパターンにおけるゆがみに応じて、前記投影装置の光学特性を調整するよう構成されている投影装置補償器と、を備え
前記最終部材の下で該最終部材を囲んで配置され、前記貯留部における前記液体の液面が前記最終部材の底端部より高くなるよう前記最終部材より上方に伸長しているシール部材によって、前記貯留部が、少なくとも部分的に閉ざされ、
前記最終部材は、前記基板及び/または前記可動テーブルに直接面する前記投影装置の最終レンズであるリトグラフ装置。
【請求項2】
記シール部材は、前記貯留部に前記液体を閉じ込めるよう構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記シール部材は、前記投影装置の光軸の方向に移動可能である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記シール部材の底面の少なくとも一部は前記基板及び/または前記可動テーブルに面する平面を備える、請求項からのいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記基板及び/または前記可動テーブルの温度を調整するよう構成されている温度制御器をさらに備える、請求項1からのいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記温度制御器は、温度情報に基づいて前記温度制御された液体の温度を調整する、請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記投影装置補償器は、前記投影装置に配設された一つ以上の調整可能素子により前記投影装置の結像特性を調整するように前記投影装置の前記光学特性を調整するよう構成されている、請求項1からのいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記投影装置補償器は、較正データを処理するよう構成されており、前記較正データは、温度情報に応じて前記投影装置の光学特性に適用する調整を表す、請求項1からのいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記液体供給装置は、前記最終部材、前記基板、及び前記液体の温度を共通の目標温度に調整する温度制御器を備える、請求項1からのいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記基板及び/または前記可動テーブルの、及び/または前記投影装置の前記最終部材の、及び/または前記液体の温度情報を、前記放射線ビームによる前記基板の前記放射線感受目標部分への露光中に、測定するよう構成された温度センサをさらに備え、
前記投影装置補償器は、測定された温度情報に基づいて、前記放射線ビームによる前記基板の前記放射線感受目標部分への前記露光中に、前記投影装置の前記光学特性を動的に調整するよう構成されている、請求項1から9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記温度センサは、前記基板及び/または前記可動テーブルの複数のロケーションでの前記投影装置補償器で使用される温度情報を測定するよう配置されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記温度センサは、前記可動テーブル内にあり、又は前記基板に隣接する、請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
前記温度センサは、前記液体及び/または前記最終部材の複数のロケーションでの前記投影装置補償器で使用される温度情報を測定するよう配置されている、請求項10から12のいずれかに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リトグラフ装置およびデバイスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リトグラフ装置は、基板に(通常は、基板の目標部分に)、所望のパターンを付与する機械である。リトグラフ投影装置は、例えば、集積回路(IC)の製造で使用可能である。この例では、パターン付与装置(別の呼び方では、マスクまたはレチクル)が、ICの個々の層に形成される回路パターンを作るために使用される。このパターンを、基板(例えば、シリコンウェハ)の目標部分(例えば、一つまたは複数のダイ部分を含む)に転写することができる。パターン転写は、一般に、基板上に設けた放射線感受材料(レジスト)の層に画像投与することによる。一般に、単一基板は、順次パターン化される互いに隣接する網目状の目標部分を含む。既知のリトグラフ装置は、1回の操作でパターン全体を目標部分に露光することにより各目標部分が照射される、いわゆるステッパと、所定方向(走査方向)で放射線ビームによってパターンを走査する一方、前記方向と平行または逆平行に基板を走査することによって各目標部分が照射される、いわゆるスキャナーとを含む。基板上にパターンを押印(imprint)することによって、パターン付与装置から基板へパターンを転写することも可能である。
【0003】
リトグラフ投影装置において、投影装置の最終部材と基板との間のスペースを満たすように、比較的高い屈折率を有する液体(例えば、水)に基板を浸漬することが提案されている。その要点は、露光放射線が液体中で短波長を有することから、より画像構造の画像投与を可能にすることである。(液体の効果はまた、投影装置の有効NAを増すと共に、焦点深度も増すと考えられる。)固体微粒子(例えば、水晶)が浮遊する水を含むその他の浸漬液も提案されている。
【0004】
しかしながら、基板、または、基板と基板テーブルを液体浴中に沈めること(例えば、米国特許出願番号第4509852号参照。その全記載内容を本明細書の記載として援用する)は、液体の大部分を走査露光中に加速させなければならないことを意味する。これには、追加のモータ、または、より強力なモータを必要とし、また、液体中の乱流が、望ましからざる、予測できない影響をもたらすだろう。
【0005】
提案されている解決方法の一つに、液体供給装置において、液体閉込めシステムを用い、基板の局所的領域だけに、かつ投影装置の最終部材と基板との間に液体を供給するというものがある。(一般に、基板は投影装置の最終部材よりも表面領域が大きい。)これを構成するために提案された一方法が、WO 99/49504に開示されている(その全記載内容を本明細書の記載として援用する)。図2図3に示されるように、好ましくは最終部材に対する基板の移動方向に沿って、少なくとも一つのインレット(入口)INにより液体が基板に供給され、かつ、投影装置下を通過した後、液体は少なくとも一つのアウトレット(出口)OUTによって取り除かれる。すなわち、基板が最終部材の下でX方向に走査されると、最終部材の+X側で液体が供給され、−X側で取り出される。図2は、この構成を示しており、ここで液体がインレットINにより供給され、この最終部材の他側で低圧力源に連結されたアウトレットOUTによって取り去られる。図2では、最終部材に対して基板が動く方向に沿って液体が供給されているが、これに限定されるわけではない。最終部材の周囲に配置されるインレットおよびアウトレットの方向および数は任意であり、その一例を図3に示す。ここで、両側にアウトレットを伴なう4組のインレットが最終部材の周囲に規則正しく配設されている。
【0006】
既に提案されたその他の解決方法は、投影装置の最終部材と基板テーブル間のスペースの境界の少なくとも一部分に沿って伸長するシール部材を有する液体供給装置を提供することである。そのような解決法を図4に示す。Z方向(光軸の方向)の相対動作が多少あるかもしれないが、シール部材はXY面における投影装置に対してほぼ静止状態にある。シールはシール部材と基板表面間に形成される。好ましくは、シールはガスシールのような非接触シールである。斯かるガスシールを有するシステムが欧州特許出願番号第03252955.4において開示されている。その全記載内容を本明細書の記載として援用する。
【0007】
欧州特許申請第03257072.3号において、ツインステージすなわち2ステージの液浸リトグラフ装置の発案が開示されている。このような装置には基板を支持する2つのステージが配設されている。第一位置のステージでは浸漬液なしでレべリング計測が実行され、浸漬液のある第二位置のステージにて露光が実行される。あるいは、該装置は一つのみのステージを備える。
【0008】
結像放射線の経路に影響を及ぼす構成部材の温度変化を最小限に抑えることが重要である。レンズやミラー等の光学部品の熱膨張および収縮は、温度によって誘起される浸漬液の屈折率変化と、基板に達する画像のゆがみ(distorsions)を招く。構成部品の温度調整は、電気的および機械的両方の発散プロセスの、あるいは他の熱流束源(すなわち、熱供給源または熱吸収源)の範囲と近接を制限して、構成部材と高熱容量部材間の熱連結を良くすることで通常は可能である。しかし、光学部材に関して、こうした手段を用いるにもかかわらず、温度の変化および/または局所的ビーム強度の変化に起因する画像のゆがみが、依然として検出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、基板および浸漬液の温度勾配による画像のゆがみを減じることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一観点によれば、以下のリトグラフ投影装置が提供される。
放射線ビームを調節するように構成された照射装置と、
放射線ビームの断面にパターンを与えてパターン化された放射線ビームを形成することのできるパターン付与装置を支持するように構成された支持体と、
基板を保持するように構成された基板テーブルと、
パターン化された放射線ビームを基板の目標部分に投影するように構成された投影装置と、
前記投影装置の最終部材と基板との間のスペースを少なくとも部分的に液体で満たすための液体供給装置とを含むリトグラフ投影装置であり、
液体供給装置が、前記投影装置の最終部材、基板、および、液体の温度を共通の目標温度に調整するための温度制御器を含む前記リトグラフ投影装置。
【0011】
本発明の別の観点によれば、以下のリトグラフ投影装置が提供される。
放射線ビームを調節するように構成された照射装置と、
放射線ビームの断面にパターンを与えてパターン化された放射線ビームを形成することのできるパターン付与装置を支持するように構成された支持体と、
基板を保持するように構成された基板テーブルと、
パターン化された放射線ビームを基板の目標部分に投影するように構成された投影装置と、
前記投影装置の最終部材と前記基板との間のスペースを少なくとも部分的に液体で満たす液体供給装置と、
前記投影装置の最終部材、基板、および、液体のうちの少なくとも一つの温度と、目標温度との差によって生じる、基板上に形成される前記パターンにおけるゆがみに応じて前記投影装置の光学特性を調整するように構成された投影装置補償器とを含むリトグラフ投影装置。
【0012】
本発明の別の観点によれば、以下のデバイス製造方法が提供される。
放射線感受材料層によって少なくとも部分的に覆われた基板を用意する段階と、
放射線装置を用いて放射線投影ビームを供給する段階と、
パターン付与手段を用いて投影ビームの断面にパターンを付与する段階と、
放射線感受材料層の目標部分にパターン化された放射線投影ビームを投影する段階と、
前記投影装置の最終部材と、基板との間のスペースを少なくとも部分的に液体で満たす液体供給装置を用意する段階と、
前記投影装置の最終部材、基板、および、液体の温度を共通の目標温度に調整する段階とを含むデバイス製造方法。
【0013】
本明細書では、本発明装置の使用法に関して、特にICの製造に言及するが、斯かる装置が、その他の多くの用途を有することを明確に理解すべきである。例えば、集積光学装置、磁気ドメインメモリ用ガイダンスおよび検出パターン、液晶ディスプレイパネル、薄膜磁気ヘッド等の製造においても使用可能である。こうした代替的な用途における文脈では、本明細書中の用語「レチクル」、「ウェハ」または「ダイ」は、それぞれ、一般的な用語である「マスク」、「基板」または「目標部分」に置き換え得ることを、当業者は理解できるだろう。
【0014】
本明細書において、「放射線」および「ビーム」なる用語は、紫外線(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm、あるいは126nmの波長を有する)を含めた、あらゆる種類の電磁放射線を網羅するものとして使用されている。
【0015】
以下、添付の図面を見ながら、単なる例示としての本発明の実施例について説明する。ここで、同一符合は、同一部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施例に係わるリトグラフ投影装置を示す。
図2】従来技術に係わるリトグラフ投影装置で使用される液体供給装置を示す。
図3】従来技術に係わるリトグラフ投影装置で使用される液体供給装置を示す。
図4】別の従来技術に係わるリトグラフ投影装置で使用される液体供給装置を示す。
図5】本発明の一実施例に係わる液体供給装置およびシール部材を示す。
図6】本発明の一実施例に係わる流量調整装置および液体温度調整装置を示す。
図7】投影装置補償器、パターン化された放射線ビームのゆがみ検出器、温度センサ、および記憶装置を含む本発明の一実施例に係わるリトグラフ装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の一実施例に係わるリトグラフ装置を示している。
この装置は、
放射線ビームB(例えば、UV放射線あるいはDUV放射線)を調整するように構成された照明システム(照射装置)ILと、
パターン付与装置(例えばマスク)MAを支持するように構成され、かつ、特定のパラメータに基づいて正確にパターン付与装置の位置決めを行うように構成された第一位置決め装置PMに連結を行った支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
基板(例えばレジスト塗布ウェハ)を保持するように構成され、かつ、特定のパラメータに基づいて正確に基板の位置決めを行うように構成された第二位置決め装置PWに連結を行った基板テーブル(例えばウェハテーブル)WTと、
パターン付与装置MAにより投影ビームBに与えられたパターンを、基板Wの目標部分C(例えば、一つあるいはそれ以上のダイから成る)に投影するように構成された投影装置(例えば屈折投影レンズ)PSとを含む。
【0018】
照明システムには、放射線の誘導、成形、あるいは調整を行う、屈折、反射、磁気、電磁、静電、また他のタイプの光学部品、もしくはこれらの組み合わせといったような様々なタイプの光学部品が含まれる。
【0019】
支持構造はパターン付与装置を支持する(すなわちパターン付与装置の重量を支える)。支持構造は、パターン付与装置の位置、リトグラフ装置の設計、かつ、例えば、パターン付与装置が真空環境に保持されているか否かといったような他の条件に基づく方法でパターン付与装置を保持する。支持構造には、パターン付与装置を保持する目的に、機械式、真空吸引式、静電気式、または、その他のクランプ技術が使用され得る。支持構造は、例えば、その要求に応じて、固定されるか、または、可動式であるフレームまたはテーブルであろう。支持構造はパターン付与装置を例えば投影装置に対して所望位置に配置可能にする。本明細書で用いる用語「レチクル」または「マスク」は、より一般的な用語である「パターン付与装置」と同義であると考えてよい。
【0020】
本明細書で用いる用語「パターン付与装置」は、基板の目標部分にパターンを作り出すべく、投影ビームの断面にパターンを付与するために使用可能なデバイスに相当するものとして広義に解釈されるべきである。投影ビームに付与されるパターンは、例えばパターンが位相シフト構造(phase-shifting features)または所謂アシスト構造(assist features)を含む場合、基板の目標部分における所望のパターンとは必ずしも完全には一致しないことに留意すべきである。一般に、投影ビームに付与されるパターンは、集積回路等の、目標部分に作り出されるデバイスにおける特別な機能層に相当する。
【0021】
パターン付与装置は透過型または反射型である。パターン付与装置の例には、マスク、プログラム可能なミラーアレイ、および、プログラム可能なLCDパネルが含まれる。マスクは、リトグラフにおいて周知であり、これには、各種ハイブリッドマスク種(types)は勿論のこと、バイナリマスク、レベンソンマスク、減衰位相シフトマスク等のマスク種も含まれる。プログラム可能なミラーアレイの例では、微小ミラーのマトリックス配列を用い、入射する放射線ビームを異なる方向に反射させるために、ミラーの各々が個別に傾斜可能である。傾斜ミラーは、ミラー・マトリックスによって、反射される放射線ビームにパターンを与える。
【0022】
本明細書で用いる用語「投影装置」は、使用される露光放射線に適するか、または、浸漬液の使用または真空の使用等のその他の要因に適する、屈折光学系、反射光学系、反射屈折光学系、磁気光学系、電磁光学系、および静電光学系、または、これらの組み合わせを含めた各種投影装置を網羅するものとして、広義に解釈されるべきである。本明細書で用いる用語「投影レンズ」は、より一般的な用語である「投影装置」と同義であるとみなしてよい。
【0023】
図示の装置は透過型(例えば、透過マスクを使用する)である。または、装置は反射型(例えば、上記に相当する種類のプログラム可能なミラーアレイを使用するか、または、反射マスクを使用するもの)も可能である。
【0024】
リトグラフ装置は、2つ(デュアルステージ)、または、それ以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有する形式のものである。このような「多段」機械において、追加のテーブルを並行して使用可能である。あるいはまた、一つ以上のテーブルが露光に使用されている間に、別の一つ以上のテーブルで準備工程を実行可能である。
【0025】
図1において、照射装置ILは放射線源SOから放射線ビームを受け取る。この放射線源とリトグラフ装置は、例えば源がエキシマレーザである場合、別体品である。そのような場合、放射線源がリトグラフ装置の一部を構成するとはみなされず、放射線ビームは、ビーム供給装置BD(例えば、適切な誘導ミラー、および/または、ビーム拡張器を含む)により、放射線源SOから照射装置ILに進む。別の場合では、例えば放射線源が水銀ランプである場合、放射線源はリトグラフ装置に一体化された部分である。放射線源SOと照射装置ILは、必要に応じてビーム供給装置BDと共に、放射線装置と呼んでもよい。
【0026】
照射装置ILは、ビームの角強度分布を調整する調整装置ADを備える。一般的に、照射装置の瞳面における強度分布の少なくとも外側および/または内側放射範囲(一般に、それぞれ、外側σおよび内側σに相当する)が調整可能である。さらに、照射装置ILは、一般に積分器INおよびコンデンサCOといったような、他のさまざまな構成要素を含む。照射装置は、その断面に亘って所望の均一性と強度分布を有するように、投影ビームを調整するために使用できる。
【0027】
投影ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブルMT)に保持されたパターン付与装置(例えばマスクMA)に入射し、パターン付与装置によってパターン付与される。ビームBは、マスクMAを横断して基板Wの目標部分C上にビームPBの焦点を合わせる投影装置PSを通過する。第二位置決め手段PWおよび位置センサIF(例えば干渉計、リニアエンコーダ、または容量センサ)により、基板テーブルWTは、例えば放射線ビームBの経路における異なる目標部分Cに位置を合わせるために正確に動くことができる。同様に、第一位置決め装置PMおよび他の位置センサ(図1には明示しておらない)は、例えばマスク・ライブラリからマスクMAを機械的に検索した後に、または、走査運動の間に放射線ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めするために使用可能である。一般に、マスクテーブルMTの運動は、位置決装置PM、PWの一部を形成する、ロングストローク(大行程)モジュールおよびショートストローク(小行程)モジュール(微動位置決め)を用いて行われる。しかし、ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTは、ショートストローク・アクチュエータのみに連結されるか、または、固定される。マスクMAおよび基板Wは、マスクアライメント(マスク位置合わせ)マークM1、M2、および基板アライメント(基板位置合わせ)マークP1、P2を用いて位置合わせされる。
【0028】
図示のような基板アライメントマークが専用目標部分を占めるが、これらは目標部分間の余白に配置してよい。(これらは、罫書き線位置合わせマークとして知られている。)同様に、一つ以上のダイがマスクMAに配置される場合、マスクアライメントマークはダイ間に配置してよい。
【0029】
図示装置は、以下のモード(様式)中、少なくとも一つのモードで使用できる。
1.ステップモードにおいて、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTは基本的に静止状態に維持されており、投影ビームに与えられた全体パターンが1回の作動(すなわちシングル静的露光)で目標部分Cに投影される。次に基板テーブルWTがx方向および/あるいはy方向にシフトされ、異なる目標部分Cが露光可能となる。ステップモードにおいては、露光フィールドの最大サイズにより、シングル静的露光にて結像される目標部分Cのサイズが制限される。
2.スキャンモードにおいて、投影ビームに与えられたパターンが目標部分Cに投影されている間、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTは同時走査される(すなわちシングル動的露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影装置PSの拡大(縮小)および画像反転特性により判断される。スキャンモードにおいては、露光フィールドの最大サイズにより、シングル動的露光における目標部分の幅(非走査方向における)が制限される。一方、走査動作長が目標部分の高さ(走査方向における)を決定する。
3.他のモードにおいて、マスクテーブルMTは、プログラム可能パターニング手段を保持し、基本的に静止状態が維持される。そして、基板テーブルWTは、投影ビームに与えられたパターンが目標部分Cに投影されている間、移動あるいは走査される。このモードにおいては、一般にパルス放射線ソースが用いられ、プログラム可能なパターン付与装置は、基板テーブルWTの各運動後、もしくは走査中の連続的放射線パルスの間に、要求に応じて更新される。この稼動モードは、上述のようなタイプのプログラム可能なミラーアレイといった、プログラム可能パターニング手段を使用するマスクレスリトグラフに容易に適用可能である。
【0030】
前記使用モードを組み合わせたもの、および/または、変更を加えたもの、または、それとは全く異なる使用モードも使用できる。
【0031】
図5図6は、本発明の一実施例に係わる液体供給装置10、および温度制御器の機能21、22、23を示したものである。投影装置PL、基板W、および浸漬液は、基板に書き込まれる画像の質に影響を与える温度依存特性を有する。各種源からの熱流束は、解決策が何もとられない場合、一つ以上のこれら部材の温度のオフセット(ずれ)、そして、温度勾配さえ引き起こし得る。この可能性は、(使用材料および薄い寸法の両者による)比較的低い熱コンダクタンスと比較的低い基板の熱容量とによって悪化される。温度勾配は、問題の部材によって、書き込まれる画像をゆがませる熱膨張/収縮勾配となる。結像ビームが基板に対して移動するとき、例えば、基板それ自体で生じるように、温度プロファイル(輪郭)が変わると、これは特に困難な問題となる。浸漬液の場合、ホットスポットまたはコールドスポットの近くにある液体は、遠くにある液体よりも、それぞれ、温度が高く、または、低くなり、基板上の局所的なホットスポットまたはコールドスポットもまた液体の温度勾配をもたらす。屈折率は一般に温度依存性であるから、これは、結像放射線が液体を通過する経路に影響し、画像をゆがませる。投影装置の温度を一定にするだけでなく、基板Wと浸漬液をも一定にする温度制御器を使用することによって、こうした要因による画像のゆがみが減じられる。
【0032】
図示例において、液体供給装置10は、投影装置PLと基板W間にある画像投与領域貯留部12に液体を供給する。液体は、実質的に1よりも大きい屈折率を有するものを選択することが望ましい。つまり、投影ビームの波長は空気や真空中よりも、液体中で短いことから、小画像構造の解像を可能にすることを意味する。投影装置の解像度はとりわけ、投影ビームの波長およびシステムの開口数によって決定されることは周知である。液体が介在することで有効開口数も増すと考えられる。
【0033】
画像投与領域貯留部12は、投影装置PLの最終部材の下で、これを囲んで配置されたシール部材13によって少なくとも部分的に閉ざされている。シール部材13は投影装置の最終部材よりも少し上方に伸長し、液面は投影レンズPLの最終部材の低端部よりも高くなっている。シール部材13は、その上端部で、投影装置のステップまたはその最終部材にきっちり一致する内周を有し、例えば囲んでいる。その底面において、内周は例えば長方形(しかしながら、どのような形状でもよい)の画像範囲の形状にきっちり一致する。
【0034】
シール部材13と基板Wとの間において、シール部材13と基板W間のギャップに加圧下で供給されるガスによって形成されるガスシール等の非接触シール14によって、液体が貯留部に閉じ込められる。
【0035】
上で論じたように、リトグラフ装置は光学素子の物理的特性における熱的に誘起される変化に特に敏感である。こうした変化には熱膨張/収縮、または屈折率といったような特有の特性における変化を含む。一般的なリトグラフ装置と同様に複雑な装置においては、温度変化を生じさせる多数の重要な熱流束源が重要な部分に必然的にある。これらの熱流束源は、外部環境温度の変化から、または、流体の蒸発/結露から、可動部分を有するか、または、可動部分を有しない電気的に駆動される装置で生じる損失に由来する。重要な熱源は、基板Wによる結像放射線の吸収(オーバレイエラーとなる)を原因とする。また、この熱源は、基板からの伝達によって基板Wと浸漬液を保持する基板テーブルを熱する。このメカニズムによって、特に157nm等の短波長の放射線において、大きな温度上昇が生じる。装置内で生じる加熱を最小限に抑え、外部環境温度の過度の変化を回避するよう配慮されるが、特に光学系それ自身内で放熱が生じるような場合には、こうした影響を完全に解消するのは難しい。
【0036】
これらの温度変化は比較的均一であって基板Wに達する画像の変化を均一にする(均一転換あるいは拡大/収縮といったように)か、または、これらの温度変化は強い空間依存による寄与を含む。こうした後者の変化は非均一的な方法で画像を歪曲させることから、よりダメージを与えると考えられる。例えば、基板Wは結像放射線によって局所的に熱せられることから、特にそうしたような温度変化には弱い。液浸リトグラフ装置において、温度により液体の屈折率が変わることから、浸漬液は温度依存光学特性をも有する。
【0037】
これらの構成部材の熱管理は、標準的光学素子に用いられる方法とは異なる。基板Wの場合、いくつかの重要な要因がある。まず始めに、板状のジオメトリは2つの点に悩まされる。第一に、基板Wの各部分は、基板Wの残り部分との熱接触が相対的によくない。よって、熱がゆっくり伝播する。第二に、単位面積当たりの基板Wの熱容量はスラブが厚くなるに従って減じる。このような両要因は、結像放射線からの、または、その他の熱流束源からの少量のエネルギーで基板Wを所定の温度に局所的に熱するか、または、冷却する必要があることを意味する。さらに、これらの問題は、厳しい位置合わせ許容値と基板Wの必要とされる可動性が、基板Wに対する機械的な熱連結の配置を大幅に制限することによって悪化される。浸漬液の場合、基板Wと液体間において交換される熱は、伝導よりもむしろ温度に誘起される密度変化によって誘発される対流電流および同種のものによって、非均一的方法にて液体を熱するか、または、冷却する傾向がある。静止液体内において、このプロセスは時に液体内においてかなりの温度(および屈折率)勾配をゆっくりと生じる。液体と基板との間の接触部分は大きく、これら2つの間で熱が効率的に交換される。
【0038】
図5図6に示した実施形態において、浸漬液は投影装置PLの最終部材および基板Wと熱を交換する。加熱または冷却された液体を搬出するために、液体は画像投与領域貯留部12を通って流動せしめられる(矢印11)。層流の影響によって、液体と接触する、加熱または冷却された素子の近くの薄い層(約300μm)で対流が生じる傾向のあることが示されている。問題の加熱または冷却された素子の方向に(すなわち、図5に示す実施形態における基板W方向に)流れを誘導することによって、より効率的な熱交換がなされる。特に、基板Wの温度が懸念される場合、シール部材13の下に浸漬液アウトレットを(図示のように)配備し、基板Wの方向に誘導することも有効である。この配置は、比較的新鮮な浸漬液が基板Wの近くにくるようにして、画像投与領域貯留部12のその最低位の境界(シール部材13が基板Wと面している部分)にて画像投与領域貯留部12内に引き込まれる過度に加熱または冷却された液体の流入を最小限にする。
【0039】
流量を増すことは、接触する液体と素子間の熱交換を改善することにもなる。この事実を有効に使うため、温度制御器は液体流速調整装置21を備え、液体の流量は、共通の目標温度と、投影装置PLの最終部材、基板W、および液体の温度との差を最適化するように調整される。液体との熱交換により、投影装置の最終部材および基板の温度を、液体の温度に近づくようにする。これら構成要素上の流量を増すことはこの工程の効率を増すことになる。しかし、乱流あるいは摩擦加熱によってそれ自身が結像性能を低下させることなく、達し得る流量に制限がある。流量制御工程は、浸漬液の循環に使用されるポンプ装置のパワーを変えることによって、あるいは、(例えば、それの部分を形成する循環チャネルの断面をかえることで)液体供給装置10の流れインピーダンスを変えることによって実行される。
【0040】
温度制御器は液体温度調整装置22をも含み、液体供給装置10を流動する液体の温度は、共通の目標温度と、投影装置PLの最終部材、基板W、および液体の温度との差を最適化するように調整される。浸漬液の温度調整は、温度調整装置22が温度測定器25と共に沈められる温度調整貯留部24内にて実行される。温度調整装置22は冷却装置により、共通の目標温度に、あるいはそれ以下に液体を冷却するよう作用し、液体供給装置10の他のどこかで液体のヒーティングを補正する。あるいは、温度調整装置22は、例えば電気ヒータにより、共通の目標温度に、あるいはそれ以上に液体を熱するように作用する。温度調整装置22の作用は、浸漬液への第一入力、および温度調整水供給への第二入力を有する水−水熱交換器により達成される。この構成の長所は、温度調整水の供給がすでにこの構成から可能であり、スキャナーの他の部分に情報を提供する。例えば、レンズはこうした水が連続的に流動することですでに冷却されている。さらには、温度調整水は再循環されていることから、化学的に浄化が行われる必要がない。
【0041】
温度制御器は、共通の目標温度への効率のよい収束性を達成する、フィードバック制御器のタイプである、PID(比例−積分−微分)制御器23を備える。PID制御器23は、例えば、共通の目標温度を有する投影装置の最終部材、基板W、および液体のうちの一つのまたはそのいくつかの温度の効率のよい収束性を確保するように(すなわち、出来るだけ早く、かつ、行き過ぎのないように)構成される。
【0042】
PID制御器23は、投影装置の最終部材の(好ましくは複数のロケーションで計測された)温度プロファイルT1、基板および基板テーブルの(好ましくは複数のロケーションで計測された)温度プロファイルT2、液体の(好ましくは複数のロケーションで計測された)温度プロファイルT3、および共通の目標温度T4とを入力として受け取り、流量調整装置21および/または液体温度調整装置22の動作を制御する。PID制御器23の動作は、前記説明に限定されず、スキャナー装置全体に亘って冷却工程を調整するために使用可能である。
【0043】
共通の目標温度は所定の値に設定される。この所定値は投影装置が較正された温度によって決定可能である。
【0044】
投影装置の最終部材PL、基板W、および浸漬液といったような光学的に重要な構成部材における温度変化がいかにリトグラフ装置の結像特性にダメージを与えるかということを上記において詳述した。図7は、このようにして生じる放射線ビームのゆがみを投影装置補償器28を使用して補正するまた別の実施形態を示したものであり、これは、投影装置PLの最終部材、基板W、および液体のうちの少なくとも一つの温度と、(システムが較正された温度といった)目標温度との差によって生じる、基板W上に生成されるパターンにおけるゆがみに応じて、投影装置の光学特性を調整するように構成されている。基板W上に作られるパターンのゆがみは、例えば浸漬液および/または投影装置PLの最終部材の目標温度からの温度変動によって生じる、パターン化された放射線ビームのゆがみによって生じるか、または、(ゆがむかもしれない、または、ゆがみが与えられないかもしれない)パターン化された放射線ビームによる露光中の基板の温度に誘起されるゆがみによって生じる。基板W上に作られるパターンのゆがみは、この場合、ゆがんだ基板がその通常の形状を回復するときに生じる。
【0045】
投影装置補償器28は、これに配設された(作動可能なレンズまたは可動ミラー等の)一つ以上の調整可能素子により、投影装置PLの結像特性を調整することができる。これらの調整がパターン化放射線ビームの形状に与える影響は、予め較正される。これは、各調整可能素子をその動作範囲において作動させ、現れたパターン化放射線ビームの形状を分析することによって達成される。一般的に云うと、放射線ビームのゆがみは、(例えば、Zernikeシリーズによって表されるような)基本的なゆがみモードの展開として表される。較正表は、そのような展開の係数から成るマトリックス、および各調整可能素子の設定から成る。調整可能素子がゆがみの主タイプを十分カバーするよう選択される場合、それらの連携した使用により、浸漬液およびそれを囲む構成要素の温度変化から生じうる大部分の種類のゆがみの補正を可能にすべきである。
【0046】
投影装置補償器28はパターン化された放射線ビームゆがみを検出する装置30から入力を受け取る。これは、図示の実施形態の例において、投影装置PL内の光検出器36にリンクされているが、この目的に他の代替手段を用いることも可能である。ここで光検出器36は、基板から反射するメインのパターン化された放射線ビームからの迷光38を捕らえるように構成される。この迷光は分析されて、パターン化ビームゆがみ検出器30によってパターン化されたビームのゆがみが判断される。これは、例えば、制御条件下で得られた標準パターンと検出された放射線とを比較する比較器により達成される。標準パターンからの偏差範囲が分析され、パターン化されたビームのゆがみの特徴を示すことが可能である。この手法は、温度に誘起されるゆがみを直接計測する長所を有する。これは、リトグラフ装置の通常の作動中にそのまま適用することも可能であり、そのようにして投影装置補償器をリアルタイムに動的に作動させることが可能である。
【0047】
代替的な手法、または、別の手法では、パターン化された放射線ビームのゆがみを生じうる構成部材の温度プロファイルを計測して、較正計測あるいは計算から、どのような結果のゆがみとなるかを判断する。投影装置補償器28は前記のようにゆがみそれ自体を直接計測することなく、投影装置PLを補正する。図7は、温度センサーの構成部品32a、32b、および32cの構成を図示したものである。これらの構成部品32a、32b、および32cは層で示されており、例えば、その各々は、投影装置PLの最終部材、基板W(および/または基板テーブルWT)、および液体の少なくとも一つの、少なくとも部分の温度を判断するように配置された一つあるいは複数の温度計から成る。構成部品32a、32b、および32cの各々は、データ伝送ライン34a、34b、および34cを介して投影装置補償器28と通信可能である。投影装置PLの調整可能素子の各々に適用する調整量は、この場合、ストレージデバイス40に格納される第二較正表への基準を必要とする。この場合、較正データは、所定の素子温度または温度プロファイルと、結果もたらされたゆがみとの関係を記録し、前の計測から得られた情報を保存する。予測ゆがみが決定すると、パターン化された放射線ビームゆがみ検出器28から送られたゆがみ情報を有しておれば、投影装置補償器は作動可能である。
【0048】
本記載の工程はリアルタイムで実行され、画像投与領域貯留部12の周辺領域における予測されていない、および/または調整不可の温度変化に動的に適応する。ここで示されているように、投影装置補償器28およびパターン化された放射線ビームゆがみ検出装置30はフィードバックループを形成し、放射線ビームのゆがみが特定の所定制限内であるように構成される。浸漬液の温度調整のために用いられる制御器と類似のPID制御器が取り入れられ、安定性と効率のよい収束性を可能にする。
【0049】
前記の構成は全て、重要な部材の小さな温度変化に迅速に対応可能であるという長所を有する。このシステムは、高度な温度安定性および結像精度を達成するために、温度変化そのものを最小限にするシステムとの連携において有効に使用できる。
【0050】
本明細書では、特にICの製造におけるリトグラフ装置の使用法について言及したが、本明細書で記載されたリトグラフ装置は、集積光学装置、磁気ドメインメモリ用ガイダンスおよび検出パターン、フラットパネル・ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といったようなその他の用途においても使用可能であることを理解すべきである。こうした代替的な用途では、本明細書で使用する用語「ウェハ」または「ダイ」が、それぞれ、「基板」または「目標部分」といったより一般的な用語と同義とみなし得ることは、当業者の理解できることであろう。明細書で述べるような基板は、例えばトラック(一般に、レジスト層を基板に塗布し、露光されたレジストを現像するツール)、または計測ツールおよび/または検査ツールにおいて、露光前または後に処理が施される。適用が可能な場合、ここに行う開示内容をこうした基板処理ツールおよび他の基板処理ツールに用いることも可能である。さらに、たとえば多層ICを作り出すため、基板には幾度もの処理が施される。よって本文に使用する基板なる用語は、複数の処理層をすでに含んだ基板にも相当する。
【0051】
光リトグラフについての文脈で、本発明の実施例の使用法について説明したが、本発明は、例えば、インプリント(押印)リトグラフ等のその他の用途でも使用でき、かつ、文脈上明らかなように、本発明が光リトグラフにのみ限定されるものではないことは理解できるだろう。インプリント(押印)リトグラフにおいて、パターン付与装置のトポグラフィは基板に作り出されるパターンを明確にする。パターン付与装置のトポグラフィは、基板に与えられたレジスト層にプレスされ、該基板上にて、電磁放射線、熱、圧力、またはこれらの組み合わせを付与することでレジストが硬化される。パターン付与装置は、レジストが硬化した後、それにパターンを残してレジストから離れる。
【0052】
本明細書で使用する用語「放射線」および「ビーム」は、イオンビームあるいは電子ビームといったような粒子ビームのみならず、紫外線(UV)(例えば365nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長を有する)、および、極超紫外線(EUV)(例えば5〜20nmの波長を有する)を含む、あらゆるタイプの電磁放射線を網羅するものである。
【0053】
文脈上許容されるとおり、用語「レンズ」は、屈折、反射、磁気、電磁および静電光学部品を含む、あらゆるタイプの光学部品のいずれか、またはこれらの組み合わせに相当する。
【0054】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はその他の方法でも具体化できることは明らかである。例えば、本発明は、前記で開示した方法を記述する一つ以上の機械読取可能な命令シーケンスを含むコンピュータプログラムの形態、または、そのようなコンピュータプログラムを格納したデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気あるいは光ディスク)の形態をとり得る。
【0055】
本発明は、あらゆる液浸リトグラフ装置に適用可能であり、限定的ではないが、特に、前記種類のリトグラフ装置に適用可能である。
【0056】
前記説明は例示目的でなされたものであり、限定的な意図を有しない。よって、前記のとおり、特許請求の範囲を逸脱することなく、本発明に修正を加えてもよいことは当業者にとって明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7