特許第6111168号(P6111168)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6111168
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】パッケージ基板の分割方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20170327BHJP
【FI】
   H01L21/78 F
   H01L21/78 Q
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-173128(P2013-173128)
(22)【出願日】2013年8月23日
(65)【公開番号】特開2015-41731(P2015-41731A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2016年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100087099
【弁理士】
【氏名又は名称】川村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100063174
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 功
(74)【代理人】
【識別番号】100124338
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 健
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上原 健
【審査官】 宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−261525(JP,A)
【文献】 特開2011−222651(JP,A)
【文献】 特開2006−156777(JP,A)
【文献】 特開2010−147113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の方向及び該第一の方向に垂直な第二の方向に形成された分割予定ラインによって区画されて表面に複数のパッケージデバイスが形成されたデバイス部と該デバイス部を囲繞して形成された外周端材とを有し、該第一の方向には中間端材により連結された2以上の該デバイス部が並び且つ該第二の方向は1つの該デバイス部からなる矩形形状に形成されたパッケージ基板を該分割予定ラインに沿って分割するパッケージ基板の分割方法であって、
該パッケージ基板と同等の大きさの保護テープを該パッケージ基板の裏面に貼着する保護テープ貼着工程と、
該保護テープ貼着工程を実施した後に、該パッケージ基板の該第二の方向の該外周端材及び該中間端材と該デバイス部との境界の分割予定ラインに対応する位置に形成され切削ブレードの切れ刃を逃がす逃がし溝及び該保護テープを介して該デバイス部を吸引保持する吸引孔を備えた保持テーブルに、該保護テープ側を当接させて該パッケージ基板を吸引保持する保持工程と、
該保持工程を実施した後に、該第二の方向の該外周端材及び該中間端材と該デバイス部との境界の分割予定ラインに沿って該逃がし溝まで切削ブレードを切り込ませて該パッケージ基板及び該保護テープを切削し、各デバイス部に分離するとともに、該第二の方向の該外周端材及び該中間端材を裏面に貼着された保護テープとともに該保持テーブルから除去する第二の方向端材除去工程と、
該第二の方向端材除去工程を実施した後に、該切削ブレードを該保護テープの厚さ方向途中まで切り込ませて該デバイス部の複数の分割予定ラインに沿って切削を行い、該複数のパッケージデバイスに分割するデバイス部分割工程と、
該デバイス部分割工程を実施した後に、該デバイス部ごとに、該第一の方向の外周端材を該保護テープとともに把持手段により把持して該複数のパッケージデバイスの裏面側から該保護テープを剥離し、剥離された該複数のパッケージデバイスをバルク収容手段にバルク収容する保護テープ剥離工程と、から構成され、
該デバイス部分割工程において、該デバイス部の該第二の方向の分割予定ラインを切削する際に、該第一の方向の外周端材に切り残し部を残して該切削ブレードを切り込ませること、を特徴とするパッケージ基板の分割方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ基板を切削して分割するパッケージ基板の分割方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機やパソコン等の電気機器は、より軽量化、小型化が求められており、かかる要望に応えるために、半導体デバイスを小型化できるパッケージ技術として、デバイスサイズパッケージ(CSP)と呼ばれる技術が開発されている。そして、CSP技術の一つとして、QFN(Quad Flat Non-lead Package)と呼ばれるパッケージ技術が実用化されている。
【0003】
このパッケージ技術においては、複数のデバイスが格子状に配置されて樹脂によりモールドされ、デバイスが配置されたデバイス部が長辺側(第一の方向)の外周端材と短辺側(第二の方向)の外周端材とによって囲まれているパッケージ基板(矩形基板)を分割予定ラインに沿って切断することにより、パッケージングされたデバイスサイズパッケージに分割される。そして、矩形基板の分割に使用する装置として、矩形基板を直接保持して搬送し、切削装置において保持治具に矩形基板を直接吸引保持して切削加工を行い、分割後はデバイスパッケージをトレーに収容する装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、デバイスサイズの小型化の要請(3mm角以下への小型化の要請)にともない、従来のように、矩形基板を保持治具に直接固定して切削加工を行うと、個々のデバイスサイズが小さく吸引面積が小さいために、デバイスパッケージが飛散したり、加工時に動いてしまったりして、製品不良となるおそれがある。このような問題が生じるのを回避する方法としては、矩形基板の裏面側に保護テープを貼着し、切削ブレードを保護テープまで切り込ませて分割する方法があり、矩形基板の裏面に保護テープが貼着された状態で矩形基板が分割された後に、保護テープからデバイスを効率良くピックアップする装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−23936号公報
【特許文献2】特開2006−156777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、近年の矩形基板は、矩形基板1枚あたりのデバイス数を増やすために、短辺側の外周端材の幅が非常に狭くなりつつあり、上記特許文献2記載の方式のように、デバイスのピックアップ時に短辺側の外周端材を把持する方式を採用できないことがある。
【0007】
本発明は、上記問題にかんがみなされたもので、その目的は、矩形基板の短辺側の外周端材を把持できない場合においても、矩形基板の裏面に貼着された保護テープを剥離し、複数のデバイスを効率良くピックアップできるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第一の方向及び第一の方向に垂直な第二の方向に形成された分割予定ラインによって区画されて表面に複数のパッケージデバイスが形成されたデバイス部とデバイス部を囲繞して形成された外周端材とを有し、第一の方向には中間端材により連結された2以上のデバイス部が並び且つ第二の方向は1つのデバイス部からなる矩形形状に形成されたパッケージ基板を分割予定ラインに沿って分割するパッケージ基板の分割方法であって、パッケージ基板と同等の大きさの保護テープをパッケージ基板の裏面に貼着する保護テープ貼着工程と、保護テープ貼着工程を実施した後に、パッケージ基板の第二の方向の外周端材及び中間端材とデバイス部との境界の分割予定ラインに対応する位置に形成され切削ブレードの切れ刃を逃がす逃がし溝及び保護テープを介してデバイス部を吸引保持する吸引孔を備えた保持テーブルに、保護テープ側を当接させてパッケージ基板を吸引保持する保持工程と、保持工程を実施した後に、第二の方向の外周端材及び中間端材とデバイス部との境界の分割予定ラインに沿って逃がし溝まで切削ブレードを切り込ませてパッケージ基板及び保護テープを切削し、各デバイス部に分離するとともに、第二の方向の外周端材及び中間端材を裏面に貼着された保護テープとともに保持テーブルから除去する第二の方向端材除去工程と、第二の方向端材除去工程を実施した後に、切削ブレードを保護テープの厚さ方向途中まで切り込ませてデバイス部の複数の分割予定ラインに沿って切削を行い、複数のパッケージデバイスに分割するデバイス部分割工程と、デバイス部分割工程を実施した後に、デバイス部ごとに、第一の方向の外周端材を保護テープとともに把持手段により把持して複数のパッケージデバイスの裏面側から保護テープを剥離し、剥離された複数のパッケージデバイスをバルク収容手段にバルク収容する保護テープ剥離工程と、から構成され、デバイス部分割工程において、デバイス部の第二の方向の分割予定ラインを切削する際に、第一の方向の外周端材に切り残し部を残して切削ブレードを切り込ませること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、デバイス部分割工程において切り残し部を残すことにより、第一の方向の外周端材がデバイス部ごとに残るため、保護テープ剥離工程において、第一の方向の外周端材を把持することができる。したがって、第二の方向の外周端材を把持できない場合であっても、第一の方向の外周端材を把持して保護テープを剥離し、パッケージデバイスをバルク収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】パッケージ基板及び保持テーブルを示す分解斜視図。
図2】第二の方向端材除去工程を示す平面図。
図3】第二の方向端材除去工程を示す正面図。
図4】デバイス部分割工程において第二の方向の分割予定ラインを切削する状態を示す平面図。
図5】デバイス部分割工程において第二の方向の分割予定ラインを切削する状態を示す正面図。
図6】デバイス部分割工程において第一の方向の分割予定ラインを切削する状態を示す平面図。
図7】デバイス部分割工程において第一の方向の分割予定ラインを切削する状態を示す正面図。
図8】デバイス部分割工程終了後の各デバイスブロックを示す斜視図。
図9】保護テープ剥離工程を示す断面図。
図10】デバイス部分割工程終了後の各デバイスブロックの別の例を示す斜視図。
図11】デバイス部分割工程において第二の方向の分割予定ラインを切削する状態の別の例を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示すパッケージ基板1は、第一の方向に延びる辺を長辺とし、第一の方向に対して垂直な第二の方向に延びる辺を短辺とする矩形状に形成されている。パッケージ基板1は、第一の方向に、中間端材21,21により連結された2以上(図1の例では3つ)のデバイス部31、32、33が並び、第二の方向には、1つのデバイス部31,32,33みがそれぞれ並んでいる。
【0012】
3つのデバイス部31,32,33は、外周端材40によって囲繞されている。外周端材40は、第一の方向の外周端材41a,41bと、第二の方向の外周端材42a,42bとから構成されている。図示していないが、第一の方向の外周端材41a,41bの裏面には、パッケージ基板1を保持する保持テーブル7に対する位置決め用の孔が形成されているため、第一の方向の外周端材41a,41bは、その幅が、第二の方向の外周端材42a,42bよりも広く形成されている。
【0013】
各デバイス部31,32,33の表面には、第一の方向の分割予定ライン51及び第二の方向の分割予定ライン52によって区画された領域に複数のパッケージデバイス6が形成されている。第一の方向の分割予定ライン51は、デバイス部31,32,33の内部だけでなく、第一の方向の外周端材41aとデバイス部31,32,33との境界、及び、第一の方向の外周端材41bとデバイス部31,32,33との境界にも存在している。同様に、第二の方向の分割予定ライン52は、デバイス部31,32,33の内部だけでなく、第二の方向の外周端材42aとデバイス部31との境界,デバイス部31と中間端材21との境界、中間端材21とデバイス部32との境界、デバイス部32と中間端材22との境界、中間端材22とデバイス部33との境界、及び、デバイス部33と第二の方向の外周端材42bにも存在している。
【0014】
以下では、このように構成されるパッケージ基板1を、分割予定ライン51,52に沿って分割し、分割により形成された個々のパッケージデバイス6を所定の場所に収容する方法について説明する。
【0015】
(1)保護テープ貼着工程
図1に示すように、パッケージ基板1の裏面1bに保護テープTを貼着する。この保護テープTは、パッケージ基板1と同等の大きさを有しており、パッケージ基板1が分割された後も、各パッケージデバイス6がばらばらにならないように保持する役割を有している。保護テープTの貼着には、例えば特開2011−243886号公報に記載されたテープ貼着装置を使用することができる。
【0016】
(2)保持工程
保護テープ貼着工程を実施した後に、図1に示す保持テーブル7においてパッケージ基板1の保護テープT側を吸引保持する。この保持テーブル7の表面7aのうち、第二の方向の外周端材42aとデバイス部31との境界、デバイス部31と中間端材21との境界、中間端材21とデバイス部32との境界、デバイス部32と中間端材22との境界、中間端材22とデバイス部33との境界、及び、デバイス部33と第一の方向の外周端材42bとの境界の分割予定ライン52に対応する位置には、分割予定ライン52の切削に用いる切削ブレード8の切れ刃80を逃がす逃がし溝70が形成されている。また、保持テーブル7の表面7aのうち、各パッケージデバイス6に対応する位置には、図示しない吸引源に連通した吸引孔71が形成されている。
【0017】
パッケージ基板1に形成された各パッケージデバイス6が各吸引孔71に対面するようにパッケージ基板1を位置合わせし、パッケージ基板1の裏面1bに貼着された保護テープTを保持テーブル7の表面7aに当接させ、吸引孔71に吸引力を作用させると、保護テープ7を介してデバイス部31,32,33が吸引保持される。
【0018】
(3)第二の方向端材除去工程
保持工程を実施した後に、図2に示すように、第二の方向の外周端材42aとデバイス部31との境界、デバイス部31と中間端材21との境界、中間端材21とデバイス部32との境界、デバイス部32と中間端材22との境界、中間端材22とデバイス部33との境界、及び、デバイス部33と第一の方向の外周端材42bとの境界の分割予定ライン52に沿って、回転する切削ブレード8を、パッケージ基板1の表面1a側から切り込ませて切削を行う。具体的には、最初に、回転する切削ブレード8を、第二の方向の外周端材42aとデバイス部31との境界の第二の方向の分割予定ライン52の延長線上に位置付けるとともに、図3に示すように、切削ブレード8の切れ刃80の下端が逃がし溝70に達する高さに切削ブレード8を位置付け、その状態から、切削ブレード8とパッケージ基板1を保持した保持テーブル7とを第二の方向に相対移動させ、分割予定ライン52に切削ブレード8を切り込ませる。そして、さらに切削ブレード8とパッケージ基板1とを第一の方向に相対移動させ、切削ブレード8の切れ刃80が第一の方向の外周端材41bから抜けると、その分割予定ライン52の切削を終了する。かかる切削により、分割予定ライン52に切削溝520が形成される。切削中は、切削ブレード8とパッケージ基板1との接触部に、切削水が供給される。
【0019】
切削時は、図3に示すように、切削ブレード8の切れ刃80の先端が、保持テーブル7の逃がし溝70まで達するように切削ブレード8を切り込ませることで、パッケージ基板1及び保護テープTが切削される。このようにして、第二の方向の外周端材42aとデバイス部31との境界、デバイス部31と中間端材21との境界、中間端材21とデバイス部32との境界、デバイス部32と中間端材22との境界、中間端材22とデバイス部33との境界、及び、デバイス部33と第一の方向の外周端材42bとの境界の分割予定ライン52をすべて切削すると、これらの境界に切削溝520が形成され、図4に示すように、第一の方向の外周端材41a,41bが分断されて形成された外周端材43a,44a,45a及び各デバイス部31,32,33をそれぞれ含むデバイスブロック310,320,330と、第二の方向の外周端材42a,42bと、中間端材21,22とに分離される。そして、第二の方向の外周端材42a,42b及び中間端材21,22は、その裏面に貼着された保護テープTとともに、切削ブレード8の回転力と切削水の勢いとによって、保持テーブル7から飛ばされて除去される。一方、デバイス部31,32,33は、保持テーブル7の吸引孔71に作用する吸引力によって、保持テーブル7に保持されたままの状態となっている。このようにして第二の方向の外周端材42a,42b及び中間端材21,22を先に除去することにより、後に第一の方向の分割予定ライン51を切削するときに第二の方向の外周端材42a,42b及び中間端材21,22を切削せずに済むため、切削ブレード8の切れ刃80に目詰まりが生じにくく、切削品質を良好とすることができる。
【0020】
(4)デバイス部分割工程
第二の方向端材除去工程を実施した後に、第一の方向の分割予定ライン51及び第二の方向の分割予定ライン52に沿って切削を行い、複数のパッケージデバイス6に分割する。
【0021】
デバイス分割工程では、まず最初に、図4に示すように、各デバイス部31,32,33に形成された第二の方向の分割予定ライン52(図2参照)を切削する。この切削は、例えばいわゆるチョッパートラバースカットにより行う。すなわち、回転する切削ブレード8を第二の方向の分割予定ライン52の上方に位置させ、そこから切削ブレード8を降下させていき、切削ブレード8の切れ刃80を一方の第一の方向の外周端材43aの表面から切り込ませる。このとき、図5に示すように、切削ブレード8の切れ刃80を保護テープTの厚さ方向途中まで切り込ませる。次に、切削ブレード8の高さを維持したまま、パッケージ基板1を保持した保持テーブル7と切削ブレード8とを第二の方向に相対移動させ、分割予定ライン52に沿って切削を行う。そして、切削ブレード8の切れ刃80の先端が他方の第一の方向の外周端材43bの途中に位置した段階で、切削ブレード8を上昇させ、その分割予定ライン52の切削を終了する。このような切削を、デバイス部31,32,33に形成された第二の方向のすべての分割予定ライン52について行い、切削溝521を形成する。このように、デバイス部31,32,33の第二の方向の分割予定ライン52を切削する際には、第一の方向の外周端材43a,44a,45a,43b,44b,45bを第二の方向に完全切断せず、切り残し部430a,440a,450a,430b,440b,450bを残すことにより、デバイスブロック310,320,330としての形を維持する。
【0022】
次に、図6に示すように、第一の方向の分割予定ライン51を切削する。具体的には、回転する切削ブレード8を、第一の方向の分割予定ライン51の延長線上に位置付けるとともに、図7に示すように、切削ブレード8の切れ刃80の下端が保護テープTの厚さ方向途中に位置する高さに切削ブレード8を位置付け、その状態から、切削ブレード8とパッケージ基板1を保持した保持テーブル7とを第一の方向に相対移動させ、デバイス部33の分割予定ライン51に切削ブレード8を切り込ませる。そして、さらに切削ブレード8とパッケージ基板1とを第一の方向に相対移動させ、切削ブレード8の切れ刃80がデバイス部31から抜けると、その分割予定ライン51の切削を終了する。かかる切削により、分割予定ライン51に切削溝510が形成される。
【0023】
このような切削を、第一の方向のすべての分割予定ライン51について行うと、図8に示すように、すべての分割予定ライン51,52に沿って縦横に切削溝510,520が縦横に切削され、個々のパッケージデバイス6に分割される。各パッケージデバイス6は、図1に示した吸引孔71に作用する吸引力によって、保護テープTを介して保持されており、第二の方向の両端には第一の方向に延びる外周端材43a,44a,45a,43b,44b,45bが存在している。
【0024】
このように、デバイス部分割工程では、第二の方向の分割予定ライン52については、第一の方向の外周端材43a,44a,45a,43b,44b,45bを完全切断せず、切り残し部430a,440a,450a,430b,440b,450bを残存させたため、第一の方向の外周端材43a,44a,45a,43b,44b,45bは分割されていない。
【0025】
(5)保護テープ剥離工程
デバイス部分割工程を実施した後に、図8に示した3つのデバイスブロック310,320,330を、例えば図9に示すデバイス収容装置9にそれぞれ搬送する。このデバイス収容装置9は、剥離ステージ90と、落とし込みテーブル91と、保護テープT及び第一の方向の外周端材43a,44a,45a,43b,44b,45bを把持する把持手段92と、バルク収容手段93とを備えている。
【0026】
各デバイスブロック310,320,330は、保護テープTを下側にして剥離ステージ90に載置される。そして、例えば第一の方向の外周端材43aを保護テープTとともに把持手段92により把持し、把持手段92を斜め下方に引きながら複数のパッケージデバイス6の裏面側から保護テープTを剥離する。保護テープTから剥離された複数のパッケージデバイス6は、落とし込みテーブル91に移載され、その後、バルク収容手段93に落下して収容される。このような落とし込みをデバイス部31,32,33ごとに行うと、パッケージ基板1を構成していたすべてのパッケージデバイス6がバルク収容手段93に収容される。
【0027】
デバイス部分割工程では、第一の方向の外周端材43a,44a,45a,43b,44b,45bを完全切断せず、切り残し部430a,440a,450a,430b,440b,450bを残存させたため、保護テープ剥離工程では、第一の方向の外周端材43a,44a,45a,43b,44b,45bを把持することができる。したがって、第二の方向の外周端材42a,42bの幅が狭いために把持部92によって把持できない場合でも、デバイス収容装置9を用いて保護テープTを剥離することができる。
【0028】
なお、上記例では、デバイス部分割工程において、第一の方向の外周端材43a,44a,45aと第一の方向の外周端材43b,44b,45bの双方に切り残し部430a,440a,450a,430b,440b,450bを残したが、一方の第一の方向の外周端材については完全切断し、切り残し部を残さなくてもよい。例えば、図10に示すように、第一の方向の外周端材43b,44b,45bにのみ切り残し部430b,440b,450bを残し、第一の方向の外周端材43a,44a,45aには切り残し部を残さないように切削することもできる。この場合は、デバイス部分割工程において、図11に示すように、回転する切削ブレード8を、第二の方向の分割予定ライン52の第二の方向の外周端材43a,44a,45a側の延長線上でかつ、切削ブレード8の切れ刃80の下端が保護テープTの厚さ方向途中に位置する高さに位置付け、その状態から、切削ブレード8とパッケージ基板1を保持した保持テーブル7とを第二の方向に相対移動させ、分割予定ライン52に切削ブレード8を切り込ませる。そして、さらに切削ブレード8とパッケージ基板1とを第一の方向に相対移動させ、切削ブレード8の切れ刃80が第一の方向の外周端材43b,44b,45bに達すると、切削ブレード8を上昇させて分割予定ライン52の切削を終了する。
【0029】
図4及び図5に示したチョッパートラバースカットのように、パッケージ基板1の表面1aに対して垂直な方向に切削ブレード8を降下させる場合は、降下速度を速くすると切削ブレード8の切れ刃80に偏磨耗が生じやすく、切れ刃80が割れやすい。一方、切削ブレード8の降下速度を遅くすると、生産性が低下する。しかし、図11に示したように、第一の方向の外周端材43a,44a,45aには切り残し部を残さないように切削する場合は、分割予定ライン52に対する切り込み時に切削ブレード8を降下させていく必要がなく、最初からパッケージ基板1に対して切削ブレード8の切れ刃80が相対的に第二の方向に移動するため、切れ刃80に偏磨耗が生じにくく、生産性の低下も防ぐことができる。
【0030】
図10に示したように、第一の方向の外周端材43b,44b,45bにのみ切り残し部430b,440b,450bを残した場合は、保護テープ剥離工程では、図9に示したデバイス収容装置9において、切り残し部430b,440b,450bを有する第一の方向の外周端材43b,44b,45bを把持部92によって把持すれば、保護テープTを剥離することができる。
【符号の説明】
【0031】
1:パッケージ基板 1a:表面 1b:裏面
21,22:中間端材
31,32,33:デバイス部
310,320,330:デバイスブロック
40:外周端材
41a,41b:第一の方向の外周端材 42a,42b:第二の方向の外周端材
43a,44a,45a,43b,44b,45b:第一の方向の外周端材
430a,440a,450a,430b,440b,450b:切り残し部
51:第一の方向の分割予定ライン 510:切削溝
52:第二の方向の分割予定ライン 520:切削溝
6:パッケージデバイス
T:保護テープ
7:保持テーブル 7a:表面 70:逃がし溝 71:吸引孔
8:切削ブレード 80:切れ刃
9:デバイス収容装置
90:剥離ステージ 91:落とし込みテーブル 92:把持手段
93:バルク収容手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11