特許第6111492号(P6111492)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6111492瞳孔径測定支援装置及び瞳孔径測定支援システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6111492
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】瞳孔径測定支援装置及び瞳孔径測定支援システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/11 20060101AFI20170403BHJP
【FI】
   A61B3/10 A
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-229195(P2012-229195)
(22)【出願日】2012年10月16日
(65)【公開番号】特開2014-79374(P2014-79374A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(73)【特許権者】
【識別番号】512267852
【氏名又は名称】ヒトミル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】中尾 博之
(72)【発明者】
【氏名】矢野 光一
(72)【発明者】
【氏名】浦谷 英樹
(72)【発明者】
【氏名】宮永 一
(72)【発明者】
【氏名】太田 育宏
【審査官】 安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−321341(JP,A)
【文献】 特開2005−143684(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/046464(WO,A1)
【文献】 特開2004−329879(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/069045(WO,A1)
【文献】 登録実用新案第3137375(JP,U)
【文献】 特開2000−300520(JP,A)
【文献】 特開2002−238853(JP,A)
【文献】 特表2006−512126(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/058056(WO,A1)
【文献】 特開2001−178679(JP,A)
【文献】 米国特許第05784145(US,A)
【文献】 米国特許第06022109(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00−3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象者の両眼前方に配置される前方部と、測定対象者の側頭部を左右両側から挟むように配置される側方部とからなる平面視略コ字型の装置本体と、
前記装置本体の前方部において測定対象者の両眼に夫々対峙するように設けられた左右一対の撮影部と、を備えており、
前記撮影部は、
測定対象者の瞳孔に向けて可視光を照射する可視光照射部と、
測定対象者の瞳孔に向けて近赤外光を照射する近赤外光照射部と、
前記可視光照射部及び前記近赤外光照射部の近傍に設けられて測定対象者の瞳孔の画像を撮影するカメラ部と、
を有するとともに、前記可視光照射部と前記近赤外光照射部と前記カメラ部が測定対象者の両眼に対して上下及び左右に一体的に移動可能に構成され
測定対象者が装着した状態において、測定対象者の両眼と前記前方部との間に、指を指し入れて瞼を開くことが可能な隙間が形成され、
前記側方部が測定対象者の側頭部を左右両側から挟みつけるばね性を備える及び/又は前記前方部の裏面側の左右方向のほぼ中央に鼻当て部を設ける
ことを特徴とする瞳孔径測定支援装置。
【請求項2】
記可視光照射部及び前記近赤外光照射部は、光軸が前記カメラ部のレンズ光軸と平行になるように配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の瞳孔径測定支援装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の瞳孔径測定支援装置と、この瞳孔径測定支援装置の前記撮影部により撮影された画像を解析する画像解析装置とから構成されており、
前記画像解析装置は、制御部と記憶部と表示部を備えており、
前記制御部は、前記記憶部に記憶されたコンピュータ読み取り可能なプログラムを実行することによって、
前記撮影部により撮影された画像に含まれる黒い画素の塊を瞳孔と判断する手段と、
前記塊の外周に沿う第一楕円を算出する手段と、
前記第一楕円を縮小し、縮小された第一楕円内の黒以外の色の画素を黒に置換する手段と、
前記黒に置換された後の第一楕円に近い黒い画素の塊を検出し、検出された塊に沿う第二楕円を算出する手段と、
前記第二楕円の径を瞳孔径として算出する手段と、
前記算出した瞳孔径を前記記憶部に記憶するとともに前記表示部に表示する手段と、
を実現することを特徴とする瞳孔径測定支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な医療現場、とりわけ救急医療の現場で意識障害の有無の確認のために瞳孔径を正確に測定し記録することができる瞳孔径測定支援装置及び瞳孔径測定支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、意識障害の有無を確認する瞳孔反応計測は、病院内、救急車内、事故現場等で、ペンライト等を用いて瞳孔に光を照射し、照射状態における瞳孔の大きさを専用の定規を使用して目視で計測することにより行われていた。
しかし、このような方法により得られる計測データは、計測者(救急救命士等)の記憶という主観的データに基づくものであって定量的ではなく、再現性も証拠能力も低いものであった。
【0003】
一方、病院等の医療施設においては、眼科手術等のために瞳孔直径を計測する眼科用の計測機器、眼鏡やコンタクトレンズの選択のために左右の瞳孔間距離や瞳孔直径を計測する機器、ストレスや痴呆を検査する目的で瞳孔反応を計測する機器等が存在している。
しかしながら、これらの機器はいずれも医療施設内の暗部等の整った環境下で使用することを前提とするものである上に、計測時に顔を固定する必要がある、大型で持ち出しができない等の制限があり、医療施設外の救急現場において使用することはできないものであった。
【0004】
他方、下記特許文献1には、眼球を照らす可視光を生成する可視光発光素子よりなる可視光発光手段と、可視光の点灯/消灯制御や異なる位置に配置された複数の可視光発光素子より適切な可視光発光素子を選択制御する可視光発光制御手段と、可視光による眼球への照射光の光束径を瞳孔径より小さくし可視光の全光束を瞳孔内部に照射するための可視光集光手段と、眼球の画像を取得する眼球撮像手段と、自然光の少ない暗環境下においても眼球撮像を可能にする赤外線発光手段と、可視発光手段と可視光集光手段と眼球撮像手段と赤外線発光手段の各構成要素が頭部運動によってずれることを防止するために各構成要素を保持する眼鏡型フレームによって構成される保持手段と、眼球撮像手段により得られる眼球画像から瞳孔の大きさと瞳孔の位置若しくは瞳孔の中心位置を算出する撮像信号処理手段とから構成され、瞳孔対光反応を計測することを特徴とする瞳孔測定装置が開示されている。
【0005】
この装置は、赤外線発光手段が設けられているため、自然光の少ない暗環境下においても眼球撮像が可能となる。また、赤外線を利用した撮影の場合、撮像を白黒の2値化することで、瞳孔のみを黒い点として把握できるというメリットがある。
しかしながら、この装置では、可視光及び赤外光が眼部の表層で白い反射として画像に写り込むため、眼球撮像手段により得られる眼球画像から瞳孔の大きさを算出する際に、瞳孔全体を黒い点として認識することができない。そのため、測定結果に誤差が生じてしまうという問題がある。
また、可視光発光手段と可視光集光手段と眼球撮像手段と赤外線発光手段の各構成要素が、保持手段となる眼鏡型フレームに固定されて移動できない。そのため、測定対象者の瞳孔に正対できない場合があり、測定結果に誤差が生じてしまうという問題がある。
更に、測定対象者が意識混濁や外傷により瞼を開くことができない場合においては、瞳孔に光を照射するために瞼を強制的に開かせることが必要となるが、装置を装着している状態では瞼を開かせることが困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−300520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、病院等の医療施設内は勿論のこと、医療施設外の救急医療の現場においても、瞳孔径の測定を少ない誤差で正確に測定し且つ記録することが可能である瞳孔径測定支援装置及び瞳孔径測定支援システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、
測定対象者の両眼前方に配置される前方部と、測定対象者の側頭部を左右両側から挟むように配置される側方部とからなる平面視略コ字型の装置本体と、
前記装置本体の前方部において測定対象者の両眼に夫々対峙するように設けられた左右一対の撮影部と、を備えており、
前記撮影部は、
測定対象者の瞳孔に向けて可視光を照射する可視光照射部と、
測定対象者の瞳孔に向けて近赤外光を照射する近赤外光照射部と、
前記可視光照射部及び前記近赤外光照射部の近傍に設けられて測定対象者の瞳孔の画像を撮影するカメラ部と、
を有するとともに、前記可視光照射部と前記近赤外光照射部と前記カメラ部が測定対象者の両眼に対して上下及び左右に一体的に移動可能に構成され
測定対象者が装着した状態において、測定対象者の両眼と前記前方部との間に、指を指し入れて瞼を開くことが可能な隙間が形成され、
前記側方部が測定対象者の側頭部を左右両側から挟みつけるばね性を備える及び/又は前記前方部の裏面側の左右方向のほぼ中央に鼻当て部を設ける
ことを特徴とする瞳孔径測定支援装置に関する。
【0010】
請求項に係る発明は、
記可視光照射部及び前記近赤外光照射部は、光軸が前記カメラ部のレンズ光軸と平行になるように配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の瞳孔径測定支援装置に関する。
【0011】
請求項に係る発明は、
請求項1又は2に記載の瞳孔径測定支援装置と、この瞳孔径測定支援装置の前記撮影部により撮影された画像を解析する画像解析装置とから構成されており、
前記画像解析装置は、制御部と記憶部と表示部を備えており、
前記制御部は、前記記憶部に記憶されたコンピュータ読み取り可能なプログラムを実行することによって、
前記撮影部により撮影された画像に含まれる黒い画素の塊を瞳孔と判断する手段と、
前記塊の外周に沿う第一楕円を算出する手段と、
前記第一楕円を縮小し、縮小された第一楕円内の黒以外の色の画素を黒に置換する手段と、
前記黒に置換された後の第一楕円に近い黒い画素の塊を検出し、検出された塊に沿う第二楕円を算出する手段と、
前記第二楕円の径を瞳孔径として算出する手段と、
前記算出した瞳孔径を前記記憶部に記憶するとともに前記表示部に表示する手段と、
を実現することを特徴とする瞳孔径測定支援システムに関する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、測定対象者の両眼前方に配置される前方部と、測定対象者の側頭部を左右両側から挟むように配置される側方部とからなる平面視略コ字型の装置本体と、前記装置本体の前方部において測定対象者の両眼に夫々対峙するように設けられた左右一対の撮影部と、を備えているため、持ち運び可能な小型で軽量の装置とすることができ、病院等の医療施設内は勿論のこと、交通事故現場や救急車内等の医療施設外の救急現場においても好適に使用することが可能となる。
また、撮影部が、測定対象者の瞳孔に向けて可視光を照射する可視光照射部と、測定対象者の瞳孔に向けて近赤外光を照射する近赤外光照射部と、前記可視光照射部及び前記近赤外光照射部の近傍に設けられて測定対象者の瞳孔の画像を撮影するカメラ部と、を有していることから、光照射部の光軸とカメラ部のレンズ光軸が近傍に位置することとなる。そのため、眼部の表層での反射光の撮像への写り込みを小さくすることができ、瞳孔径の測定誤差を小さくすることが可能となる。
更に、撮影部を構成する可視光照射部と近赤外光照射部とカメラ部が一体的に上下及び左右に移動可能であるため、測定対象者の両眼の瞳孔に対して撮影部を正対させることができ、誤差が少ない正確な瞳孔径の測定が可能となる。
加えて、測定対象者が装着した状態において、測定対象者の両眼と前記前方部との間に、指を指し入れて瞼を開くことが可能な隙間が形成されることから、測定対象者が意識混濁や外傷等により瞼を開くことができない場合に、装置を装着している状態のままで、瞳孔に光を照射するために瞼を強制的に開かせることが可能となる。
【0014】
請求項に係る発明によれば、可視光照射部と近赤外光照射部とカメラ部が測定対象者の両眼に対して上下及び左右に一体的に移動可能に構成されており、可視光照射部及び近赤外光照射部は、光軸がカメラ部のレンズ光軸と平行になるように配置されていることから、照射部の光軸とカメラ部のレンズ光軸が近傍に且つ平行に配置されることとなる。そのため、眼部の表層での反射光(白い光)の撮像への写り込み(瞳孔内への写り込み)を極力小さくすることができ、瞳孔径の測定誤差を非常に小さくすることが可能となる。
【0015】
請求項に係る発明によれば、上記請求項1又は2に係る発明に加えて更に以下の効果を奏することができる。
画像解析装置が、制御部と記憶部と表示部を備えており、前記制御部は、前記記憶部に記憶されたコンピュータ読み取り可能なプログラムを実行することによって、前記撮影部により撮影された画像に含まれる黒い画素の塊を瞳孔と判断する手段と、前記塊の外周に沿う第一楕円を算出する手段と、前記第一楕円を縮小し、縮小された第一楕円内の黒以外の色の画素を黒に置換する手段と、前記黒に置換された後の第一楕円に近い黒い画素の塊を検出し、検出された塊に沿う第二楕円を算出する手段と、前記第二楕円の径を瞳孔径として算出する手段と、前記算出した瞳孔径を前記記憶部に記憶するとともに前記表示部に表示する手段とを実現することから、正確な瞳孔径を把握することが可能となる。
すなわち、眼部表層での白い反射光が瞳孔の画像に写り込んだ場合でも、瞳孔と判断された黒い画素の塊の外周に沿う楕円内の白い画素が黒に置換され、黒に置換された後の楕円に近い黒い画素の塊に沿う楕円の径が瞳孔径として算出されるため、眼部表層での反射光の影響による誤差を排除することができ、正確な瞳孔径を把握することが可能となる。

【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る瞳孔径測定支援装置を示す斜視図であって、(a)は正面側上方から見た斜視図、(b)は裏面側上方から見た斜視図である。
図2】本発明に係る瞳孔径測定支援装置の要部(撮影部付近)を示す拡大図である。
図3】本発明に係る瞳孔径測定支援装置を装着した状態を上から見た図である。
図4】本発明に係る瞳孔径測定支援システムの構成を示すブロック図である。
図5】本発明に係る瞳孔径測定支援システムの動作を示すフローチャートである。
図6】本発明に係る瞳孔径測定支援システムの動作中における表示部の表示の一例を示す図である。
図7図6の一部拡大図であり、システムの再生時の画面である。
図8】システムの設定時における表示部の表示の一例を示す図である。
図9】本発明に係る瞳孔径測定支援システムの制御部の処理動作を示すフローチャートである。
図10】制御部の処理動作を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る瞳孔径測定支援装置及び瞳孔径測定支援システムの好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係る瞳孔径測定支援装置を示す斜視図であって、(a)は正面側上方から見た斜視図、(b)は裏面側上方から見た斜視図である。図2は本発明に係る瞳孔径測定支援装置の要部(撮影部付近)を示す拡大図、図3は本発明に係る瞳孔径測定支援装置を装着した状態を上から見た図である。
【0018】
本発明に係る瞳孔径測定支援装置(1)は、平面視略コの字型(略眼鏡型)の装置本体(2)と、この装置本体(2)に設けられた撮影部(3)とを備えている。
装置本体(2)は、測定対象者の両眼前方に配置される前方部(21)と、測定対象者の側頭部を左右両側から挟むように配置される側方部(22)とから構成されている。左右の側方部(22)は、内側(図1(b)矢印方向)に向けて可動となっている。可動範囲は、若干内側に曲がる程度でもよいし、折り畳むことが可能となっていてもよい、
側方部(22)は左右方向(拡がる方向及び閉じる方向)にばね性を有しており、測定対象者の顔をばね性によって左右両側から挟みつけて固定することが可能である。そのため、耳に引っ掛けなくとも固定することができ、万人の顔に適合させることが可能となる。但し、側方部(22)を眼鏡のように耳に引っ掛ける形状としてもよい、
瞳孔径測定支援装置(1)は、全ての角に尖りが無く丸みを帯びた形状となっている。これは、装置の使用場所が眼部や頭部に近いため、例えば装置を落として測定対象者の眼や頭に当たっても怪我をしにくいように考慮したものである。
但し、装置本体(2)は少なくとも後述する撮影部(3)の構成を備えていればよく、装置本体(2)の形状は平面視略コの字型(略眼鏡型)には限定されない。
【0019】
撮影部(3)は、装置本体(2)の前方部(21)の裏面側に取り付けられている。
撮影部(3)は、装着時において、測定対象者の両眼に夫々対峙するように左右一対(合計2つ)配置されている、
【0020】
左右一対の撮影部(3)はそれぞれ、測定対象者の瞳孔に向けて可視光を照射する可視光照射部(4)と、測定対象者の瞳孔に向けて近赤外光を照射する近赤外光照射部(5)と、可視光照射部(4)及び近赤外光照射部(5)の近傍に設けられて測定対象者の瞳孔の画像を撮影するカメラ部(6)と、を有している(図2参照)。
可視光照射部(4)及び近赤外光照射部(5)は、カメラ部(6)を挟んだ左右の近傍位置に配置されている。具体的には、可視光照射部(4)及び近赤外光照射部(5)は、カメラ部(6)のレンズ光軸を中心とする同心円上であって、可能な限りレンズ光軸に近い位置に配置されている。これにより、可視光照射部(4)及び近赤外光照射部(5)からの照射光が、眼部の表層で白い反射としてカメラ部(6)の撮像に写り込むことが最小化できる。
【0021】
可視光照射部(4)、近赤外光照射部(5)、カメラ部(6)は、1枚のプレート(7)に取り付けられて、一体的に移動できるように構成されている。プレート(7)は、左右一対設けられている。
左右一対のプレート(7)は、装置本体(2)の前方部(21)の裏面側に形成された左右一対の凹部(23)にそれぞれ嵌め込まれている。凹部(23)の左右方向の長さは、プレート(7)の左右方向の長さに比べて長く設定されている。これにより、プレート(7)は、凹部(23)内において左右方向に移動することができる(図2左右方向矢印参照)。
プレート(7)の左右方向の移動操作は、前方部(21)に取り付けられたつまみ(8)を操作することにより行うことができる。具体的には、つまみ(8)を右方向に回転させると左右一対のプレート(7)は外方向(互いに離れる方向)に移動し、つまみ(8)を左方向に回転させると左右一対のプレート(7)は内方向(互いに近づく方向)に移動する。このような移動機構は、例えばねじ、ギア、ラック等を用いた公知の機構により実現することができる。
このように、プレート(7)を左右方向に移動することにより、測定対象者の両眼に対するプレート(7)の左右方向位置を変更することができる。ここで、プレート(7)に設けられた可視光照射部(4)、近赤外光照射部(5)、カメラ部(6)は一体的に左右方向に移動するため、測定対象者の両眼に対する可視光照射部(4)、近赤外光照射部(5)、カメラ部(6)の左右方向位置を、可視光照射部(4)、近赤外光照射部(5)、カメラ部(6)の位置関係を保ったままで変更することができる。
【0022】
前方部(21)の裏面側の左右方向のほぼ中央には、装着時において測定対象者の鼻の上部を左右から挟むことにより、装置本体(1)がずり落ちることを防ぐための鼻当て部(9)が設けられている。
鼻当て部(9)は、前方部(21)の裏面側に固定された上下方向に延びる棒(10)に取り付けられており、この棒(10)に沿って上下方向に移動することができる(図2上下方向矢印参照)。
このように、鼻当て部(9)を上下方向に移動させることにより、測定対象者の両眼に対するプレート(7)の上下方向位置を変更することができる。ここで、プレート(7)に設けられた可視光照射部(4)、近赤外光照射部(5)、カメラ部(6)は一体的に上下方向に移動するため、測定対象者の両眼に対する可視光照射部(4)、近赤外光照射部(5)、カメラ部(6)の上下方向位置を、可視光照射部(4)、近赤外光照射部(5)、カメラ部(6)の位置関係を保ったままで変更することができる。
【0023】
上記したように、撮影部(3)を構成する可視光照射部(4)と近赤外光照射部(5)とカメラ部(6)が、測定対象者の両眼に対して上下及び左右に一体的に移動可能に構成されていることから、測定対象者の両眼の瞳孔に対して撮影部(3)を正対させることができ、誤差が少ない正確な瞳孔径の測定が可能となる。
【0024】
可視光照射部(4)は、可視光を照射できる光源であれば特に限定されないが、例えば白色LEDが好適に使用できる。可視光照射部(4)は、測定対象者の瞳孔反応を誘引する目的で設けられる。
近赤外光照射部(5)は、近赤外光を照射できる光源であれば特に限定されないが、例えば赤外線LEDが好適に使用できる。近赤外光照射部(5)は、外部環境光に影響されずに瞳孔を確実に撮影する目的で設けられる。つまり、不可視光領域の近赤外光は、瞳孔反応を生じさせないため、外部環境光に関わらず、瞳孔反応と無関係に明るく撮影することができる。
カメラ部(6)は、測定対象者の瞳孔の画像を撮影して画像データを送信することができる装置、例えばCCDカメラ等から構成されている。
【0025】
本発明においては、可視光照射部(4)及び近赤外光照射部(5)をLEDから構成し、各LEDの光軸がカメラ部(6)のレンズ光軸と平行に且つレンズ光軸の近傍(できるだけ近い位置)となるように配置することが好ましい。LEDは照射光の拡散角度が小さいため、このように配置することで、眼部の表層での反射光(白い光)の撮像への写り込み(瞳孔内への写り込み)を極力小さくすることができ、瞳孔径の測定誤差を非常に小さくすることが可能となる。尚、可視光照射部(4)及び近赤外光照射部(5)からの照射光の拡散角度を小さくする構成は、必ずしもLEDを使用する構成には限定されず、例えばLED以外の光源からスリットを通して光を照射する構成などの他の構成を採用することもできる。
後述する白黒2値化された画像に基づく瞳孔反応前後の瞳孔径の算出においては、黒い塊を瞳孔と判断するため、瞳孔反応を誘因する可視光発光部を含めた発光部の瞳孔部への白い写り込みが誤差の原因となる。後述するプログラムの実行処理は、この誤差を解消するための方法であるが、この処理を実行するに際し、白い写り込みを最小化して且つ瞳孔内に集中させることが重要である(写り込みが瞳孔の外周に乗った場合に誤差が生じ易いため)。
LEDの光軸がカメラ部のレンズ光軸と平行に且つレンズ光軸のできるだけ近い位置となるように配置することで、白い写り込みを最小化し且つ瞳孔内に集中させることが可能となり、瞳孔径の測定誤差を小さくすることができる。
【0026】
瞳孔径測定支援装置(1)は、図3に示すように、装着状態において、測定対象者の両眼(E)と前方部(21)との間に指を入れることが可能な程度の隙間(S)が形成されるように構成されている。
この構成は、鼻当て部(9)を前方部(21)の後縁(24)から突出する高さとすることや、前方部(21)の後縁(24)に測定対象者の両眼(E)に対応する部分を前方に湾曲させた湾曲部(25)を形成することにより実現できる。
このように、装着状態において測定対象者の両眼(E)と前方部(21)との間に指を入れることが可能な程度の隙間(S)が形成されることにより、測定対象者が意識混濁や外傷等により瞼を開けない場合において、装置を装着している状態で、計測者(救急救命士等)が瞳孔に光を照射するために隙間(S)から指を入れて瞼を強制的に開くことが可能となる。隙間(S)は、例えば20mm以上(好適には20〜50mm程度)に設定することが好ましい。
【0027】
上記構成からなる瞳孔径測定支援装置(1)は、持ち運び可能な小型で軽量の装置とすることができるため、病院等の医療施設内は勿論のこと、交通事故現場や救急車内等の医療施設外の救急現場においても好適に使用することが可能となる。
【0028】
図4は本発明に係る瞳孔径測定支援システムの構成を示すブロック図である。
本発明に係る瞳孔径測定支援システムは、上記構成からなる瞳孔径測定支援装置(1)と、この瞳孔径測定支援装置(1)の撮影部(3)により撮影された画像を解析する画像解析装置(50)とから構成されている。
【0029】
瞳孔径測定支援装置(1)は、上述した通り、装置本体(2)と撮影部(3)を備えており、撮影部(3)は可視光照射部(4)と近赤外光照射部(5)とカメラ部(6)とを備えている。
可視光照射部(4)及び近赤外光照射部(5)は、点灯回路(11)及びリチウム電池等の電源(12)と接続されている。
瞳孔径測定支援装置(1)にはUSB接続による通信部(13)が設けられている。カメラ部(6)及び点灯回路(11)は、USBケーブルを介して通信部(13)と接続されている。通信部(13)はUSBケーブルを介して画像解析装置(50)と接続されている。
【0030】
画像解析装置(50)は、パソコン等のコンピュータからなり、中央演算処理装置(CPU)からなる制御部(51)と、RAMやROM等からなる記憶部(52)と、液晶ディスプレイ等からなる表示部(53)と、マウス、キーボード、タッチパネル等からなる入力部(54)を備えている。
記憶部(52)について、RAMはデータ作業領域として用いられ、ROMはWindows(登録商標)等のオペレーティングシステム(OS)及び後述する各手段を実行するためのプログラム(アプリケーションソフトウェア)を格納している。記憶部(52)は、HDD、CD、MD、DVD、USBメモリ等からなる外部メモリを含んでいてもよい。
【0031】
制御部(51)は、記憶部(52)に記憶されたコンピュータ読み取り可能なプログラムを実行することによって、撮影部(3)のカメラ部(6)により撮影された画像に含まれる黒い画素の塊を瞳孔と判断する手段と、前記塊の外周に沿う第一楕円を算出する手段と、前記第一楕円を僅かに縮小し、縮小された第一楕円内の黒以外の色の画素を黒に置換する手段と、前記黒に置換された後の第一楕円に近い黒い画素の塊を検出し、検出された塊に沿う第二楕円を算出する手段と、前記第二楕円の径を瞳孔径として算出する手段と、前記算出した瞳孔径を記憶部(52)に記憶するとともに表示部(53)に表示する手段と、を実現する。
【0032】
図5は本発明に係る瞳孔径測定支援システムの動作を示すフローチャートである。
図6は本発明に係る瞳孔径測定支援システムの動作中における表示部(53)の表示の一例を示す図であり、図7図6の一部拡大図、図8はシステムの設定時における表示部の表示の一例を示す図である。である。
【0033】
以下、本発明に係る瞳孔径測定支援システムの動作について説明する。
先ず、準備ステップとして、瞳孔径測定支援装置(1)を、例えば事故にあった人等の測定対象者に装着して瞼を開かせる。
第一ステップでは、測定対象者の両眼の瞳孔に対して近赤外光照射部(5)から近赤外光を照射し、この照射状態における瞳孔をカメラ部(6)で撮影する。撮影された画像は白黒の2値化された画像として画像解析装置(50)に伝送され、記憶部(52)に記録(記憶)されるとともに表示部(53)に表示される。近赤外光の照射は第五ステップまで続けられる。
第二ステップでは、一方の眼(例えば右眼)の瞳孔に対して可視光照射部(4)から可視光を照射し、両眼の瞳孔の動き(縮瞳)をカメラ部(6)で撮影する。撮影された画像は、画像解析装置(50)に伝送されて記憶部(52)に記録されるとともに表示部(53)に表示される。一方の眼(例えば右眼)の瞳孔に対して可視光を照射すると、一方の眼(例えば右眼)には瞳孔反応が生じ、可視光を照射していない他方の眼(例えば左眼)には対光反射が生じる。第二ステップ〜第五ステップでは、この瞳孔反応と対光反射の両方を撮影して記録する。
第三ステップでは、一方の眼(例えば右眼)の瞳孔に対する可視光の照射を停止し、縮瞳が収まる(元に戻る)のを待ち、両眼の瞳孔の動き(散瞳)をカメラ部(6)で撮影する。撮影された画像は、画像解析装置(50)に伝送されて記憶部(52)に記録されるとともに表示部(53)に表示される。
第四ステップでは、もう一方の眼(例えば左眼)の瞳孔に対して可視光照射部(4)から可視光を照射し、両眼の瞳孔の動き(縮瞳)をカメラ部(6)で撮影する。撮影された画像は、画像解析装置(50)に伝送されて記憶部(52)に記録されるとともに表示部(53)に表示される。
第五ステップでは、もう一方の眼(例えば左眼)の瞳孔に対する可視光の照射を停止し、縮瞳が収まる(元に戻る)のを待ち、両眼の瞳孔の動き(散瞳)をカメラ部(6)で撮影する。撮影された画像は、画像解析装置(50)に伝送されて記憶部(52)に記録されるとともに表示部(53)に表示される。
第六ステップでは、可視光及び近赤外光の照射を停止し、第一ステップ〜第五ステップで記録部(52)に記録されたデータをファイルにまとめて保存する。
【0034】
上記プログラムは、自動モードと手動モードとの切り換えが可能に構成されている。
自動モードでは、第一ステップ〜第六ステップは自動的に連続して実行される。この場合、第一ステップ〜第六ステップは、上記プログラムにより予め設定された一定時間(例えばそれぞれ2秒)で行われる。この一定時間は、後述する図8の設定画面において変更可能である。
手動モードでは、ステップ毎に操作者が後述する各種の操作ボタンを押すことにより、手動で(自動で連続させずに)各ステップを実行させることができる。
【0035】
第一ステップ〜第五ステップにおいて、カメラ部(6)で撮影された画像は画像解析装置(50)に伝送され、画像解析装置(50)の制御部(51)は、この撮影画像に基づいて記憶部(52)に記憶された上記プログラムを実行することにより瞳孔径を算出し、算出した瞳孔径を記憶部(52)に記録するとともに表示部(53)に表示する。
【0036】
図9は本発明に係る瞳孔径測定支援システムの制御部(51)の処理動作を示すフローチャートであり、図10は制御部(51)の処理動作を説明するための模式図である。
フローチャートに示す処理動作は、制御部(51)が上記プログラムを実行することによって実行され、上記第一ステップ〜第五ステップのそれぞれにおいて実行される。
【0037】
第1段階では、撮影部(3)のカメラ部(6)により撮影されて伝送されてきた画像(白黒の2値化画像)に含まれる黒い画素(ピクセル)の塊(A)を瞳孔と判断する(図10(a)参照)。尚、図10では、説明の理解を容易にするために画素を大きく描いており、そのために塊(A)の外周にやや大きい凸凹が見られるが、実際には画素は非常に小さいため塊(A)の外周はより滑らかな曲線となる。
第2段階では、瞳孔と判断された黒い画素の塊(A)の外周にほぼ沿う第一楕円(自由楕円)(B)を算出する(図10(b)参照)。尚、図10(b)では塊(A)の外周に凹凸があるため第一楕円(B)との間にやや大きい隙間が見られるが、上述したように、実際には塊(A)の外周はより滑らかな曲線となるため、第一楕円(B)と塊(A)の外周は後述する画素(C)の部分以外では殆ど一致する。
第3段階では、第一楕円(B)を僅かに縮小する(図10(c)参照)。
第4段階では、縮小された第一楕円(B)内にある黒以外の色(白色)の画素(C)を黒に置換する(黒く塗りつぶす)(図10(d)参照)。
第5段階では、黒に置換された縮小された第一楕円(B)に近い黒い画素の塊を検出し、検出された塊に沿う第二楕円(D)を算出する(図10(e)参照)。尚、第二楕円(D)は第一楕円(C)より大きくなるため、画面上は第一楕円(C)が拡大されたように見える。
第6段階では、第二楕円(D)を真の瞳孔と判断し、第二楕円(D)の径(長径及び短径)を測定し、瞳孔径として算出する。
第7段階では、第6段階で算出された瞳孔径を記憶部(52)に記録するとともに表示部(53)に表示する。
【0038】
上記第1段階〜第7段階の処理を実行することにより、眼部表層での白い反射光が瞳孔の画像に写り込んだ場合でも、瞳孔と判断された黒い画素の塊の外周に沿う楕円内の白い画素が黒に置換され、黒に置換された後の楕円に近い黒い画素の塊に沿う楕円の径が瞳孔径として算出されるため、眼部表層での反射光の影響による誤差を排除することができ、正確な瞳孔径を把握することが可能となる。
また、第一楕円を縮小して内部を黒く塗りつぶし、この黒く塗りつぶされた楕円に近い黒い画素の塊を検出し、検出された塊に沿う第二楕円を算出し、第二楕円の径を瞳孔径として算出することによっても、誤差を小さくして正確な瞳孔径を把握することが可能となる。即ち、第1段階において瞳孔と判断された黒い画素の塊の外周には凸凹があるため、この塊に沿うように算出された第一楕円の径をそのまま瞳孔径として算出すると誤差が生じやすい。しかし、第一楕円を縮小して内部を黒く塗りつぶし、この黒く塗りつぶされた楕円に近い黒い画素の塊を検出し、検出された塊に沿う第二楕円を算出し、第二楕円の径を瞳孔径として算出することにより、上記した外周の凸凹による誤差の要因を小さくすることができる。
【0039】
次に、図6図8を参照して本発明に係る瞳孔径測定支援システムの表示部(53)の表示内容および操作方法について説明する。
図6の画面において、上半分の左側に右眼の画像(R)、上半分の右側に左の画像(L)が表示されている。これらの画像は、2値化された白黒画像である。右眼の画像(R)及び左眼の画像(L)には上記第4段階で算出された瞳孔径(右眼10.0mm、左眼7.2mm)が表示され、右眼の画像(R)には上記第2段階で描かれる第一楕円(B)が表示されている。
(F)は開始・終了ボタンであり、このボタンを押す(入力部(54)のマウスでクリックする)と、上記第一ステップ〜第五ステップにおける記録(記憶)動作が実行され、もう一度押すと記録動作が停止される。記録が終了すると再生モードに移行し、ボタン(F)はPLAY(再生)・STOP(停止)ボタンとして機能する。
(G)はクリアボタンであり、このボタンを押すと、記録されたデータが破棄されてプレビュー状態(撮影しているが記録していない状態)に戻る。
(H)はLEDライトボタンであり、このボタンを押すと、手動で可視光照射部(4)のLEDのオン・オフを行うことができる。
(I)はSAVE(保存)ボタンであり、上記第六ステップにおいて、測定結果一式(画像、CSVテキスト)を記憶部(52)に保存する。
(J)はアプリケーションの各種設定を行うためのボタンである。
(K)はカメラ部(6)から受信した直後の画像を表示する部分である。
【0040】
図6の画面において、下半分中央にグラフが表示されている。
このグラフの機能について、図7を参照しながら説明する。尚、図7はシステム実行時の画面ではなく、システムの再生時の画面である。即ち、SAVE(I)を押すことにより記憶部(52)に保存されたデータをボタン(F)を押して再生した時の画面である。
グラフは上記第4段階で算出された瞳孔径の測定値を示しており、実線が左眼、破線が右眼の測定値である。尚、実際の画面では2つのグラフは色違いの線(赤線と青線等)で示される。グラフの横軸は時間、縦軸は瞳孔径である。
グラフ上側の帯(M)は右眼への可視光照射時間帯を示しており、グラフ下側の帯(N)は左眼への可視光照射時間帯を示している。
グラフ下側に表示される4つの数値のうち、左側の2つは右眼への可視光照射の開始時間及び終了時間を示し、右側の2つは左眼への可視光照射の開始時間及び終了時間を示している。
グラフ下方のバー(O)は、上記第六ステップのファイル保存を手動で行う場合において、ドラッグで左右に移動させることにより、記録開始位置及び記録終了位置を設定することができる。
グラフ中央のバー(P)は、記録された画像を再生する時に、ドラッグで左右に移動させることにより、再生開始位置を設定することができる。
【0041】
次に、図8に基づいて、表示部(53)の表示内容(グラフ)と上記第一ステップ〜第六ステップの対応関係について説明する。尚、図8は、図6のボタン(J)を押すことにより表示されるシステムの設定時の画面である。
図8に示すグラフは、横軸(時間軸)方向において5分割されている。
各分割部分の下方には数字1〜5が四角形の中に記載されている。以下、数字1が記載された時間帯を第1時間帯、数字2が記載された時間帯を第2時間帯、数字3が記載された時間帯を第3時間帯、数字4が記載された時間帯を第4時間帯、数字5が記載された時間帯を第5時間帯と称す。
第1時間帯は第一ステップに相当し、第2時間帯は第二ステップに相当し、第3時間帯は第三ステップに相当し、第4時間帯は第四ステップに相当し、第5時間帯は第五ステップに相当する。
図8の設定画面において、瞳孔反応の個人差に対応するために、各ステップの選択とステップ毎の動作時間を設定することができる。例えば、左右の可視光発光時間に差をつける、左右の可視光発光の間隔に長短をつける等の設定を行うことができる。これにより、高齢や病気のために瞳孔反応が鈍くなった人等の症例にも適応することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、病院等の医療施設尚は勿論のこと、充分な医療機器がない医療施設外の現場(例えば救急車内)においても瞳孔径を正確に測定し記録することができるため、非常に適用範囲が広く有用性が高い。
【符号の説明】
【0043】
1 瞳孔径測定支援装置
2 装置本体
21 前方部
22 側方部
23 凹部
24 前方部の後縁
25 湾曲部
3 撮影部
4 可視光照射部
5 近赤外光照射部
6 カメラ部
7 プレート
8 つまみ
9 鼻当て部
10 棒
11 点灯回路
12 電源
13 通信部
50 画像解析装置
51 制御部
52 記憶部
53 表示部
54 入力部
A 黒い画素の塊
B 第一楕円
C 黒以外の色の画素
D 第二楕円
E 測定対象者の眼
S 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10