(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
相手側端子との嵌合方向への相対移動によって前記相手側端子の一端に形成された板部に接続され、前記板部に接触する底部と、前記底部における前記板部との接触部を挟んで前記嵌合方向に直交する幅方向の両端部側に立設された第1側部及び第2側部と、を備えた接続部を有する端子と、
前記接続部に収容されており、前記板部及び前記接続部よりも剛性が低く、絶縁性の樹脂からなる絶縁弾性部材と、
を備え、
前記絶縁弾性部材は、前記板部を前記幅方向に挟む一対の腕部と、前記一対の腕部を連結し前記一対の腕部と一体に形成されている連結部と、を有し、
前記一対の腕部は、前記端子と前記相手側端子とが嵌合した状態において、その一方が前記板部における前記幅方向の一方の側部と前記第1側部とに接触しているとともに、その他方が前記板部における前記幅方向の他方の側部と前記第2側部とに接触しており、
前記一対の腕部及び前記連結部は、前記接続部に収容されている
コネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るコネクタ1及びワイヤハーネス10を示す斜視図である。
図2は、コネクタ1を示す分解斜視図である。
【0017】
このコネクタ1及びワイヤハーネス10は、例えば電気モータを走行用の駆動源として有する車両に搭載され、電気モータと、電気モータに三相交流電流を供給するインバータとの間を接続するために用いられる。この場合、このコネクタ1は、電気モータ又はインバータに予め固定されたコネクタに接続される。
【0018】
(ワイヤハーネス10の構成)
このワイヤハーネス10は、コネクタ1及び3本の電線6によって構成されている。コネクタ1は、後述する板状のオス端子に接続されるメス端子2と、メス端子2を収容し電線6を保持するハウジング8と、メス端子2及び電線6の一部を収容する金属製のシェル7とを備える。
【0019】
シェル7は、第1シェル部材71と、第2シェル部材72とからなる。第1シェル部材71及び第2シェル部材72は、例えばアルミニウム等の導電性の金属からなる。また、シェル7は、第1シェル部材71が3つのメス端子2を収容し、第2シェル部材72が第1シェル部材71の開口を覆っている。
【0020】
第1シェル部材71と第2シェル部材72とは、複数(本実施の形態では4本)のボルト72aによって固定されている。また、第1シェル部材71には、外方に突出するボルト保持部711が3箇所に形成され、各ボルト保持部711には、インバータ等の機器側にコネクタ1を固定するためのボルト711aが回転可能に保持されている。
【0021】
第2シェル部材72には、メス端子2の接続部20を収容する第2筒部720が形成されている。第2筒部720の外周面には、環状のシール部材73が保持されている。第2筒部720の先端面には、樹脂製のカバー部材74が係止されている。
【0022】
ハウジング8は、3本の電線6を挟んで互いに対向する第1ハウジング部材81と第2ハウジング部材82とからなる。第1ハウジング部材81及び第2ハウジング部材82は、例えばPBT(Polybutylene terephthalate:ポリブチレンテレフタレート)等の絶縁性の樹脂からなる。電線6は、第1ハウジング部材81と第2ハウジング部材82との間に挟持され、保持されている。
【0023】
第1ハウジング部材81には、3つのメス端子2の接続部20をそれぞれ収容する3つの収容部811を有する筒部810が形成されている。3つの収容部811は、直線状に並列して形成されている。また、各収容部811は、第2ハウジング部材82に対向する平面状の底面81aに直交する方向に沿って第2ハウジング部材82の反対側に延びる有底円筒状であり、その先端部には、後述するオス端子4と対向する底部811aが形成されている。この底部811aには、後述するオス端子4の板部40を挿通させるスリット状の開口810aがそれぞれ形成されている。
【0024】
第2ハウジング部材82には、第1ハウジング部材81の底面81aに対向する底面に直交して当接部820が立設されている。この当接部820は、その先端面820aが、メス端子2の接続部20の一端面(開口810aとは反対側の端面)に対向している。そして、当接部820は、先端面820aが接続部20に当接することで、メス端子2の一方向(後述するオス端子4との嵌合方向)への移動を規制している。また、当接部820は、その先端面820aが後述するスペーサー3に当接することで、スペーサ3のメス端子2の接続部20からの抜け出しを防止している。
【0025】
また、第2ハウジング部材82には、当接部820に連続して、3つのメス端子2の収容空間を3つに分ける2つの壁部821が形成されている。その3つに分けられた収容空間にはそれぞれ、電線6の一部と、メス端子2の後述する連結部21及び電線接続部22とが収容されている。壁部821は、当接部820の長手方向に対して直交する方向に延びるように形成されている。
【0026】
第1シェル部材71には、3本の電線6を挿通させる第1筒部710が形成されている。第1筒部710には、3本の電線6をそれぞれ挿通させる3つの挿通孔710aが形成されている。各挿通孔710aには、電線6の外周面と挿通孔710aの内周面との間を封止する環状のシール部材11が収容されている。各シール部材11は、第1筒部710に係止されたカバー部材12によって抜け止めされている。
【0027】
メス端子2の接続部20には、弾性部材としてのスペーサ3が収容されている。スペーサ3は、例えばPBT(Polybutylene terephthalate:ポリブチレンテレフタレート)等の絶縁性の樹脂からなる。スペーサ3の詳細については後述する。
【0028】
(コネクタ1及びワイヤハーネス10の組み立て手順)
次に、コネクタ1及びワイヤハーネス10の組み立て手順の一例について、
図2を参照して説明する。
【0029】
コネクタ1の組み立てでは、まず第1シェル部材71に第2ハウジング部材82を組み付ける。次に、導線60をほぐして可撓性を高めた可撓部6cが形成された電線6にメス端子2を接続する。そして、メス端子2の接続部20に後述するスペーサ3を挿入する。電線6が接続され、スペーサ3が接続部20に挿入された状態のメス端子2を第1ハウジング部材81の3つの収容部811に挿入する。なお、予め第1ハウジング部材81に環状のシール部材83を取り付けておく。
【0030】
電線6をメス端子2と反対側の先端から第1シェル部材71の挿通孔710aに通し、第1ハウジング部材81と第2ハウジング部材82とを嵌合させる。その後、第2シェル部材72をボルト72aによって第1シェル部材71に固定する。なお、予め第2シェル部材72の筒部720にシール部材73及びカバー部材74を取り付けておく。最後に、第1シェル部材71の挿通孔710aにシール部材11を収容し、カバー部材12でシール部材11を筒部710に係止することによりコネクタ1の組み立てを完了する。
【0031】
図3は、メス端子2を示す斜視図である。
図4は、バネ部材23を示す斜視図である。
【0032】
(メス端子2の構成)
図3に示すように、メス端子2は、一端にオス端子4が嵌合される接続部20を有し、他端に電線6の先端部が接続される電線接続部22を有し、接続部20と電線接続部22とが連結部21によって連結されている。メス端子2の材料としては、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、銅、銅合金等の導電性の金属を用いることができる。また、メス端子2の表面を錫等によってメッキしてもよい。
【0033】
接続部20は、内部にオス端子4が挿入される筒状であり、オス端子4との嵌合方向に沿って形成されている。接続部20は、四辺が底部201、第1側部202、第2側部203、及び上部204からなる断面矩形状に形成されている。底部201、第1側部202、第2側部203、及び上部204は、それぞれ平板状に形成され、底部201と上部204が対向し、底部201と第1側部202及び第2側部203との間、及び上部204と第1側部202及び第2側部203との間が一体に連結されている。
【0034】
また、接続部20には、後述するバネ部材23の4つの爪部231がそれぞれ係止される4つの開口20aが、上部204と第1側部202及び第2側部203との角部に形成されている。また、底部201には、接続部20の内側に長手方向に沿って延びる一対の凸部201aが形成されている。一対の凸部201aは、オス端子4との接触部として、底部201における上部204に対向する面に形成されている。第1側部202及び第2側部203は、底部201における一対の凸部201aを挟んでオス端子4との嵌合方向に直交する幅方向の両端部側に立設されている。
【0035】
電線接続部22は、長円状に扁平した管状であり、例えばかしめによって電線6の先端部に圧着される。メス端子2は、接続部20の中心軸線C
1と電線接続部22の中心軸線C
2とが互いに直交して交差するように形成されている。つまり、メス端子2は、接続部20がオス端子4との嵌合方向に沿って形成されると共に、電線接続部22がオス端子4との嵌合方向に対して交差する方向に延びるように形成されている。
【0036】
図4に示すように、バネ部材23は、オス端子4の板部40との接触部としての凸部201aに向かって緩やかに湾曲して形成された湾曲部230と、メス端子2の開口20aに係止される4つの爪部231と、湾曲部230と爪部231とを連結する連結部232とを一体に有する。湾曲部230はさらに、湾曲方向の中央部にあたる頂部230aと、頂部230aを挟んで互いに逆方向に傾斜する一対の傾斜部230bとを有する。バネ部材23の材料としては、例えば、ステンレス鋼、リン青銅、ベリリウム銅等の金属材料、又はゴム等の非金属材料を用いることができる。
【0037】
(オス端子4の構成)
図5は、オス端子4を示す斜視図である。
【0038】
オス端子4は、メス端子2の接続部20に挿入される板状の板部40を一端に有し、インバータ等の機器の内部配線に電気的に接続される機器接続部41を他端に有している。板部40及び機器接続部41は、一枚の板材から形成されている。板部40は、メス端子2の接続部20に挿入されたとき、接続部20の上部204に対向する上面40aと、底部201に対向する底面40bと、第1側部202に対向する側面40cと、第2側部203に対向する側面40dを有している。
【0039】
板部40が接続部20に挿入されると、メス端子2のバネ部材23の頂部230aが上面40aに接触して板部40が凸部201aに押し付けられ、凸部201aが底面40bに接触する。これにより、オス端子4は、メス端子2と電気的に接続される。
【0040】
機器接続部41は、側面40c,40dから外方へ突出した機器取付部410によって機器に嵌合され、機器接続孔41aをボルトが貫通して機器に固定される。
【0041】
(スペーサ3の構成)
図6は、スペーサ3を示し、(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は正面図、(d)は(a)のD−D断面図である。
【0042】
スペーサ3は、メス端子2とオス端子4との嵌合によりオス端子4の板部40とメス端子2の第1側部202及び第2側部203との間に介在して幅方向(オス端子4との嵌合方向に直交するメス端子2の底部201に沿った幅方向)に弾性変形し、この弾性変形した状態において板部40における幅方向の両側面40c,40dと第1側部202及び第2側部203とに接触する。
【0043】
図6に示すように、スペーサ3は、オス端子4とメス端子2との嵌合方向(以下、この方向を「スペーサ3の長手方向」という)に沿って互いに平行に延びる第1腕部31と第2腕部32、及び第1腕部31と第2腕部32とを連結する連結部30を一体に有している。連結部30は、スペーサ3の長手方向と交差する方向(本実施の形態では、直交する方向)に形成されている。スペーサ3をメス端子2に挿入するには、第1腕部31及び第2腕部32に平行な
図3の矢印C方向に沿って、第1腕部31の第1端部312及び第2腕部32の第2端部322(連結部30とは反対側の先端部)側から、スペーサ3をメス端子2の接続部20に挿入する。スペーサ3がメス端子2の接続部20に挿入されると、接続部20の上部204における内面204aがスペーサ3の上面3aに対向する。
【0044】
第1腕部31は、スペーサ3の長手方向の厚みが異なる第1厚肉部310と第1薄肉部311とからなる。同様に、第2腕部32は、スペーサ3の長手方向の厚みが異なる第2厚肉部320と第2薄肉部321とからなる。第1薄肉部311及び第2薄肉部321は、スペーサ3の長手方向における厚みが第1厚肉部310及び第2厚肉部320よりも薄く形成されている。第1薄肉部311と第2薄肉部321、及び第1厚肉部310と第2厚肉部320は、それぞれスペーサ3の長手方向に対向している。第1厚肉部310及び第2厚肉部320は、第1薄肉部311及び第2薄肉部321よりもスペーサ3の上面3a側に形成されている。これにより、第1薄肉部311と第2薄肉部321との間の距離は、スペーサ3の上面3a側における第1厚肉部310と第2厚肉部320との間の距離よりも長くなっている。
【0045】
連結部30には、第1厚肉部310と第2厚肉部320との間に、矢印C方向に対して傾斜した傾斜面33aを有するテーパ部33が形成されている。また、第1腕部31及び第2腕部32の上面3aには、連結部30側にオス端子4とメス端子2との嵌合方向に沿って延びる凹部3bが形成されている。
【0046】
第1腕部31における第2腕部32と反対側の第1外面31aは、上面3a側の第1厚肉部外面31a
1と、上面3aとの間に第1厚肉部外面31a
1を挟む第1薄肉部外面31a
2とからなる。第1薄肉部外面31a
2は、第1厚肉部外面31a
1よりも内側にオフセットして、第1厚肉部外面31a
1と平行に形成されている。本実施の形態では、第1厚肉部外面31a
1が第1厚肉部310の外側に、第1薄肉部外面31a
2が第1薄肉部311の外側に、それぞれ形成されている。
【0047】
同様に、第2腕部32における第1腕部31と反対側の第2外面32aは、上面3a側の第2厚肉部外面32a-
1と、上面3aとの間に第2厚肉部外面32a
1を挟む第2薄肉部外面32a
2とからなる。第2薄肉部外面32a
2は、第2厚肉部外面32a
1よりも内側にオフセットして、第2厚肉部外面32a
1と平行に形成されている。本実施の形態では、第2厚肉部外面32a
1が第2厚肉部320の外側に、第2薄肉部外面32a
2が第2薄肉部321の外側に、それぞれ形成されている。
【0048】
第1厚肉部310及び第2厚肉部320における上面3aと反対側の面には、矢印C方向に対して平行な第1下面310a,第2下面320aが形成されている。また、第1腕部31の第1薄肉部外面31a
2及び第2腕部32の第2薄肉部外面32a
2の反対側(内側)には、第1下面310a及び第2下面320aに直交する第1内面31b及び第2内面32bが形成されている。本実施の形態では、第1内面31bと第2内面32bとが、第1薄肉部311と第2薄肉部321との対向面に形成されている。第1内面31bと第2内面32bとの間に形成された空間は、次に説明するようにオス端子4を収容する収容空間となっている。
【0049】
図7は、オス端子4がメス端子2に嵌合した状態を示し、(a)は
図1のA−A断面図、(b)は(a)の拡大図である。
【0050】
図7に示すように、オス端子4がメス端子2に嵌合すると、第1腕部31と第2腕部32との間がオス端子4によって押し広げられるように弾性変形し、この弾性変形した状態においてメス端子2の第1側部202の内面202aとスペーサ3の第1腕部31の第1外面31aにおける第1厚肉部外面31a
1、及びメス端子2の第2側部203の内面203aとスペーサ3の第2腕部32の第2外面32aにおける第2厚肉部外面32a
1とが接触する。また、メス端子2の上部204の内面204aとスペーサ3の上面3aとが接触する。つまり、メス端子2の接続部20にスペーサ3が挿入されると、メス端子2の接続部20の内面202a,203a,204aと、スペーサ3の上面3a、第1外面31a、及び第2外面32aとが接触した状態となる。
【0051】
また、第1腕部31と第2腕部32との間にオス端子4の板部40が挿入されると、スペーサ3の第1腕部31の第1内面31b及び第2腕部32の第2内面32bと板部40の側面40c,40dとが接触し、第1厚肉部310の第1下面310a及び第2厚肉部320の第2下面320aと、板部40の上面40aにおける幅方向の両端部とが接触する。また、メス端子2の接続部20の凸部201aと板部40の底面40bとが接触する。
【0052】
図8は、メス端子2の接続部20を底部201側から見た図であり、(a)はオス端子4の板部40の挿入前の状態、(b)は板部40の挿入後の状態を示す図である。なお、説明のため接続部20は二点鎖線で示し、隙間5bは誇張して表現している。
【0053】
オス端子4の板部40がメス端子2の接続部20に挿入される前の状態においては、スペーサ3の第1腕部31の第1外面31a及び第2腕部32の第2外面32aと、接続部20の第1側部202の内面202a及び第2側部203の内面203aとの間に隙間5bがそれぞれ形成されている。オス端子4の板部40は、スペーサ3の第1腕部31の第1端部312及び第2腕部32の第2端部322を外方に押し広げるようにしてメス端子2の接続部20内に挿入される。
【0054】
従って、オス端子4の板部40がメス端子2の接続部20に嵌合されると、第1腕部31における第1厚肉部外面31a
1がメス端子2の第1側部202の内面202aに接触すると共に、スペーサ3の第2腕部32における第2厚肉部外面32a
1がメス端子2の第2側部203の内面203aに接触する。また、第1腕部31の第2薄肉部外面31a
2とメス端子2の第1側部202の内面202aとの間における隙間5b、及び第2腕部32の第2薄肉部外面32a
2とメス端子2の第2側部203の内面203aとの間における隙間5bが、板部40のオス端子4とメス端子2との嵌合前よりも狭くなる。
【0055】
図9は、
図1のB−B断面を示し、(a)は拡大図、(b)はオス端子4の板部40が嵌合された場合を示す図である。
【0056】
図9(a)に示すように、スペーサ3のテーパ部33の傾斜面33aは、メス端子2のバネ部材23の傾斜部230bに沿って形成されている。オス端子4をメス端子2に嵌合する前の状態では、テーパ部33の傾斜面33aとバネ部材23の傾斜部230bとの間に隙間が形成されている。
【0057】
図9(b)に示すように、オス端子4の板部40がメス端子2の接続部20に挿入されると、バネ部材23はオス端子4との摩擦力によって弾性的に変形し、オス端子4の挿入方向に沿ってテーパ部側に押し付けられる。このとき、スペーサ3のテーパ部33にバネ部材23の傾斜部230bが当接することにより、バネ部材23のさらなる変形が抑制され、バネ部材23の塑性変形が抑止される。
【0058】
図10は、コネクタ1の背面内部を示す斜視図である。なお、内部に関する説明のため、第1シェル部材71の底面を省略している。
【0059】
電線6は、導線60と、導線60の外周に設けられたシース61とを有している。導線60は、複数の導体素線を撚り合わせた複数の子撚線を、さらに撚り合わせて形成された撚線(親撚線)である。
【0060】
第1ハウジング部材81の電線部保持部及び第2ハウジング部材82の電線部保持部は、電線6のシース61の外周を保持している。また、電線部保持部に保持された部分よりも先端側では、シース61が除去されて導線60が露出している。
【0061】
電線6において、メス端子2の電線接続部22と電線部保持部との間には、導線60の撚りをほぐすことにより可撓性を高めた可撓部6cが形成されている。この可撓部6cは、撚り(子撚り及び親撚りのうち、少なくとも親撚りの一部)がほぐされることにより、その外径が膨らんでいる。これにより、メス端子2の接続部20は、オス端子4に沿って移動しやすくなっている。一方、コネクタ1内部で3本の導線60が剥き出しになっているため、各導線60の間で短絡しないように留意する必要がある。
【0062】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明した実施の形態によれば、以下のような作用及び効果が得られる。
【0063】
(1)オス端子4の板部40とメス端子2の接続部20との間にスペーサ3が介在することにより、オス端子4の板部40の幅方向の振れを抑制することができる。また、スペーサ3は弾性変形するため、オス端子4の板部40をメス端子2の接続部20に挿入する際、容易に挿入することが可能である。
【0064】
(2)オス端子4とメス端子2とが嵌合する前の状態において、スペーサ3と、メス端子2の接続部20の第1側部202及び第2側部203との間にそれぞれ隙間5bを有しているため、オス端子4の板部40はスペーサ3を押し広げながら挿入される。これにより、より容易に挿入することが可能であり、かつ、オス端子4とスペーサ3との間における密接性が向上する。
【0065】
(3)スペーサ3の第1腕部31と第2腕部32とが連結部30によって一体に連結されることにより、スペーサ3は1つの部材から形成され組み立て時の扱いが容易になる。
【0066】
(4)オス端子4の板部40をメス端子2の接続部20に挿入する際、板部40との摩擦によってメス端子2のバネ部材23を大きく変形させる力が作用することがあるが、本実施の形態では、スペーサ3にテーパ部33を形成することによって、バネ部材23の塑性変形を抑止することができる。
【0067】
(5)オス端子4の板部40及びメス端子2の接続部20との間に樹脂からなるスペーサ3が介在するので、オス端子4とメス端子2との摺動によって金属片が発生してコネクタ1内に飛散するおそれがない。これにより、導線60の撚りをほぐして外径を膨らませても、3本の導線60の間で短絡することがない。
【0068】
(6)スペーサ3は、第1腕部31及び第2腕部32がそれぞれ、第1厚肉部310と第1薄肉部311、及び第2厚肉部320と第2薄肉部321を有し、第1薄肉部311と第2薄肉部321との間にオス端子4の板部40が挿入される。これにより、メス端子2の接続部20の幅の拡大を抑制しながらスペーサ3によるオス端子4の支持剛性を確保することができる。つまり、オス端子4の板部40とメス端子2の接続部20における第1側部202及び第2側部203との間に第1薄肉部311及び第2薄肉部321を介在させることで接続部20の幅の拡大を抑制すると共に、第1薄肉部311及び第2薄肉部321による支持剛性を第1厚肉部310及び第2厚肉部320によって確保することができる。また、第1厚肉部310及び第2厚肉部320は、接続部20の第1側部202及び第2側部203とバネ部材23との間に配置されるので、第1厚肉部310及び第2厚肉部320を収容するために接続部20を大きくする必要もない。
【0069】
[第2の実施の形態]
図11は、本発明の第2の実施の形態に係るスペーサ3Aを示し、(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は正面図である。
【0070】
本実施の形態に係るスペーサ3Aは、第1腕部31A,第2腕部32Aの形状が第1の実施の形態に係る第1腕部31及び第2腕部32とは異なり、それ以外の構成は第1の実施の形態に係るスペーサ3と共通であるので、同一の機能を有する部材については共通する符号を付し、その重複した説明を省略する。
【0071】
スペーサ3Aの第1腕部31Aの第1内面31Ab及び第2腕部32Aの第2内面32Abには、第1端部312Aと第2端部322A側及び連結部30側にオス端子4の板部40に向かって突出した凸部13が形成されている。つまり、第1腕部31Aの第1内面31Abに2つの凸部13、及び第2腕部32Aの第2内面32Abに2つの凸部13が形成されている。これら4つの凸部13とオス端子4の板部40の側面40c,40dとが密接している。
【0072】
第2の実施の形態によっても、第1の実施の形態について述べた(1)〜(5)の作用及び効果と同様の作用及び効果に加え、以下の作用及び効果がある。
【0073】
スペーサ3Aの第1腕部31Aの第1内面31Ab及び第2腕部32Aの第2内面32Abに凸部13を設けることにより、オス端子4の板部40との密接性がより向上し、ガタツキ抑制を助成することが可能である。
【0074】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0075】
例えば、実施の形態において、3つのメス端子2を有する場合について説明したが、メス端子2の数に制限はない。
【0076】
また、電線6の導線60は撚線からなっているが、これに限らず、導線60が単線であってもよい。この場合、単線からなる導線を例えばコネクタ1内で湾曲させることにより、可撓部6cを形成することができる。
【0077】
また、メス端子2の接続部20は、電線6に対して直角に曲げられていなくともよい。つまり、電線6の延伸方向に沿って取り付けられていてもよい。
【0078】
また、オス端子4の形状は板状であれば、特に制限はない。
【0079】
また、スペーサ3は、オス端子4の板部40をその幅方向に挟むようにしてオス端子4に設けられていてもよい。
【0080】
また、スペーサ3は、第1スペーサ部と第2スペーサ部との二部材から構成されていてもよい。この場合、第1スペーサ部は、オス端子4の板部40の一方の側部に設けられ、第2スペーサ部は、メス端子2の接続部20の内部に設けられ、オス端子4とメス端子2とが嵌合した際、第1スペーサ部の反対側に配置されていればよい。
【0081】
また、メス端子2の接続部20は、筒状でなくともよく、底部201の幅方向における一端部及び他端部に第1側部202及び第2側部203が形成され、上部204を有しない形状(コ字状)であってもよい。この場合、第1側部202及び第2側部203は、底部201における幅方向の両端又はその近傍に形成されていればよい。