(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6112976
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】充填装置
(51)【国際特許分類】
B65B 39/00 20060101AFI20170403BHJP
G01G 19/387 20060101ALI20170403BHJP
B65B 3/28 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
B65B39/00 Z
G01G19/387 D
B65B3/28
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-117000(P2013-117000)
(22)【出願日】2013年6月3日
(65)【公開番号】特開2014-234214(P2014-234214A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2016年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】398012306
【氏名又は名称】日清フーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】新村 知大
(72)【発明者】
【氏名】浅井 信孝
(72)【発明者】
【氏名】埜村 将人
(72)【発明者】
【氏名】槙尾 智治
(72)【発明者】
【氏名】福原 充
【審査官】
高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭58−027730(JP,U)
【文献】
実開平02−103237(JP,U)
【文献】
実開昭58−032333(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3161689(JP,U)
【文献】
実開平04−064732(JP,U)
【文献】
実開昭60−065643(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 39/00
B65B 3/28
G01G 19/387
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量された非乾燥食品をシュートを介して容器に充填する充填装置であって、
前記シュートは、計量された前記非乾燥食品を集合させて排出する集合シュートを備え、
前記集合シュートは、前記非乾燥食品が投入される矩形状の投入口と、前記非乾燥食品が排出される矩形状の排出口とを有し、前記投入口から前記排出口に向かって短辺側の内壁面同士の距離、及び長辺側の内壁面同士の距離が狭まるように形成された内壁面を有し、
前記短辺側の内壁面に下方向に向かって延びる複数の溝が形成され、前記短辺側の内壁面の上端部またはその近傍に前記溝に沿ってエアーを噴出するエアー噴出部が設けられていることを特徴とする充填装置。
【請求項2】
前記シュートは、前記集合シュートにより集合された前記非乾燥食品を前記容器に充填する漏斗を備えることを特徴とする請求項1記載の充填装置。
【請求項3】
前記シュートの上部には、複数の計量ホッパーを有する組み合わせ秤が配置されており、
前記計量ホッパーは、投入された非乾燥食品の重量を計測する計測部と、開状態のときに前記計量ホッパー内の非乾燥食品を排出する、櫛歯が下方向に向かって延びる櫛形ゲートと
を備えることを特徴とする請求項1または2記載の充填装置。
【請求項4】
前記シュートの上部には、複数の計量ホッパーを有する組み合わせ秤が配置されており、
前記計量ホッパーは、投入された非乾燥食品の重量を計測する計測部と、開状態のときに前記計量ホッパー内の非乾燥食品を排出する、下方向に向かって延びる複数の溝が形成されたゲートと
を備えることを特徴とする請求項1または2記載の充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量された非乾燥食品を所定の容器に充填する充填装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の計量ホッパーにより物品を計量し、計量した物品が所定重量となるホッパーの組合せを選択して物品を排出し、排出した物品を集合シュートを介して集合させて包装装置へ供給する計量装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−286752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の計量装置において、ミートソースやマヨネーズソースを絡めたマカロニ等の粘性が高い非乾燥食品の計量を行う場合、計量ホッパー及び集合シュートの内壁面等の装置の内部に非乾燥食品が付着するため計量精度を向上させることが困難であった。
【0005】
本発明の目的は、非乾燥食品の装置内部への付着を防止する充填装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の充填装置は、計量された非乾燥食品をシュートを介して容器に充填する充填装置であって、
前記シュートは、計量された前記非乾燥食品を集合させて排出する集合シュートを備え、前記集合シュートは、前記非乾燥食品が投入される矩形状の投入口と、前記非乾燥食品が排出される矩形状の排出口とを有し、前記投入口から前記排出口に向かって短辺側の内壁面同士の距離、及び長辺側の内壁面同士の距離が狭まるように形成された内壁面を有し、前記短辺側の内壁面に下方向に向かって延びる複数の溝が形成され、前記短辺側の内壁面の上端部またはその
近傍に前記溝に沿ってエアーを噴出するエアー噴出部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
また本発明の充填装置は、前記シュートが
前記集合シュートにより集合された
前記非乾燥食品を前記容器に充填する漏斗を
備えることを特徴とする。
【0008】
また本発明の充填装置は、前記シュートの上部には、複数の計量ホッパーを有する組み合わせ秤が配置されており、前記計量ホッパーは、投入された非乾燥食品の重量を計測する計測部と、開状態のときに前記計量ホッパー内の非乾燥食品を排出する、櫛歯が下方向に向かって延びる櫛形ゲートとを備えることを特徴とする。
【0009】
また本発明の充填装置は、前記シュートの上部には、複数の計量ホッパーを有する組み合わせ秤が配置されており、前記計量ホッパーは、投入された非乾燥食品の重量を計測する計測部と、開状態のときに前記計量ホッパー内の非乾燥食品を排出する、下方向に向かって延びる複数の溝が形成されたゲートとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、非乾燥食品の装置内部への付着を防止する充填装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態に係る充填装置の概略構成を示す図である。
【
図2】実施の形態に係る組み合わせ秤の計量ホッパーの構成を示す図である。
【
図3】実施の形態に係る集合シュートの構成を示す図である。
【
図4】実施の形態に係るタイミングホッパーの構成を示す図である。
【
図5】実施の形態に係る漏斗の構成を示す図である。
【
図6】実施の形態に係る集合シュート、タイミングホッパー及び漏斗の内壁面に形成された溝の大きさを示す図である。
【
図7】実施の形態に係る組み合わせ秤の他の計量ホッパーの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る充填装置について説明する。
図1は実施の形態に係る充填装置の概略構成を示す図である。充填装置2は、組み合わせ秤4及び組み合わせ秤4の下部に配置されているシュート6を備えている。組み合わせ秤4は、複数の計量ホッパー8と、複数の計量ホッパー8の上部に配置され、複数の投入部9を有する供給部10を備えている。供給部10には、ベルトコンベア(図示せず)が複数設置され、作業員により、非乾燥食材であるミートソースやマヨネーズソース等のパスタソースを絡めたパスタ(以下、パスタという。)がベルトコンベア上に投入される。ベルトコンベアは、ベルトコンベア上に投入された非乾燥食材を制御部(図示せず)の指令によって複数の投入部9に少量ずつ供給する。各投入部9は計量ホッパー8の上に位置しており、各計量ホッパー8にパスタを供給する。
【0013】
この組み合わせ秤4においては、複数の計量ホッパー8のそれぞれによりパスタを計量し、計量したパスタの合計重量が所定重量となる計量ホッパー8の組合せを選択し、選択された計量ホッパー8からパスタを排出する。パスタの排出が行われた計量ホッパー8には、供給部10に内蔵されたベルトコンベアにより投入部9を介してパスタの供給が行われる。
【0014】
シュート6は、組み合わせ秤4の下部に配置され、各計量ホッパー8から排出されたパスタを集合させる集合シュート12、集合シュート12の下部に配置され、パスタを排出するタイミングの調整を行うタイミングホッパー14、タイミングホッパー14の下部に配置され、パスタを所定の容器に充填する漏斗16を備えている。
【0015】
図2は、実施の形態に係る組み合わせ秤4の計量ホッパー8の構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は上面図である。計量ホッパー8は、上下が開口した角筒状の本体部8aの下部に櫛歯が下方向に向かって延びる2つの櫛形ゲート8bが設けられた構造を有している。ここで櫛歯の間隔はパスタが櫛歯からぬけ落ちない間隔に設定されている。また計量ホッパー8の櫛形ゲート8bは制御部(図示せず)からの指令によって開閉し、櫛形ゲート8bが閉状態のときに、パスタの重量をロードセル等の計測部(図示せず)により計測する。また開状態となったときに計量ホッパー8内のパスタの排出を行う。
【0016】
図3は実施の形態に係る集合シュート12の構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は上面図である。集合シュート12は、
図3(b)に示すように、計量ホッパー8から排出されたパスタが投入される矩形状の開口である投入口12aを有し、短辺側の内壁面同士の距離、及び長辺側の内壁面同士の距離のそれぞれが、矩形状の開口である排出口12bに向かうにしたがって狭まる形状を有している。集合シュート12の短辺側の内壁面には、下方向に向かって延びる複数の溝18が形成されている。また集合シュート12の短辺側の上端部(またはその近傍)には、溝18に沿ってエアーを噴出する複数のエアー噴出部20が設けられている。
【0017】
図4は実施の形態に係るタイミングホッパー14の構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は上面図である。タイミングホッパー14は、上下が開口した角筒状の本体部22の下部に2つのゲート24が設けられた構造を有している。ここでゲート24は制御部からの指令によって開閉し、閉状態の間、集合シュート12から排出されたパスタを一時的に貯留し、開状態となったとき貯留しているパスタを排出する。
【0018】
タイミングホッパー14のゲート24の内壁面には、下方向に向かって延びる複数の溝26が形成されている。またタイミングホッパー14の本体部22のゲート24が取り付けられている辺の上部に沿って、溝26に沿ってエアーを噴出するエアー噴出部28が設けられている。
【0019】
図5は実施の形態に係る漏斗16の構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は上面図である。漏斗16は、タイミングホッパー14から排出されたパスタを投入する円形の開口である投入口16a、及びパスタを排出する円形の開口である排出口16bを有している。ここで排出口16bは、パスタが充填される容器に応じた大きさに形成されている。漏斗16の内壁面には、下方向に向かって延びる複数の溝30が形成されている。なお漏斗16の下方には、パスタが充填される容器を連続的に搬送するベルトコンベア等の容器搬送部(図示せず)が配置されている。
【0020】
図6は実施の形態に係る集合シュート12、タイミングホッパー14及び漏斗16の内壁面に形成された溝の大きさを示す図である。集合シュート12の溝18、タイミングホッパー14の溝26及び漏斗16の溝30の形状は、パスタが溝内に入り込まないようパスタの外径よりも小さいピッチ及び深さを有する。例えば
図6に示すようにパスタの外径が8mmの場合、溝18、26、30は、ピッチ及び深さが4mmに設定されている。
【0021】
この実施の形態に係る充填装置2によりパスタを容器に充填する場合には、作業員が組み合わせ秤4の投入口9から投入したパスタが各計量ホッパー8に供給されると、複数の計量ホッパー8のそれぞれによりパスタを計量し、計量したパスタが所定重量となる計量ホッパー8の組合せを選択し、選択された計量ホッパー8からパスタを排出する。このとき計量ホッパー8は櫛形ゲート8bを備えており、櫛形ゲート8bの櫛歯とパスタとの接触面積が小さいことから、櫛形ゲート8bの櫛歯にパスタ及びソースが付着するのを防止することができる。
【0022】
計量ホッパー8から排出されたパスタは、集合シュート12において集合され、タイミングホッパー14及び漏斗16を介して容器に充填される。この場合に、集合シュート12、タイミングホッパー14及び漏斗16の内壁面には、所定のピッチ及び深さを有する溝18、26、30が形成されており、集合シュート12、タイミングホッパー14及び漏斗16の内壁面とパスタとの接触面積が小さいことから、集合シュート12、タイミングホッパー14及び漏斗16の内壁面にパスタ及びソースが付着するのを防止することができる。
【0023】
更に集合シュート12のエアー噴出部20により溝18に沿ってエアーを噴出しているため、集合シュート12の内壁面に沿って落下するパスタに対してエアーを吹き付けて強制的に排出させることができる。またタイミングホッパー14のエアー噴出部28により溝26に沿ってエアーを噴出しているため、タイミングホッパー14の内壁面に沿って落下するパスタに対してエアーを吹き付けて強制的に排出させることができる。更にタイミングホッパー14のゲート24が開状態になったときに、エアー噴出部28から噴出されたエアーは、漏斗16内に流入するため、漏斗16内のパスタを強制的に排出させることができる。
【0024】
この実施の形態に係る充填装置2によれば、計量ホッパー8、集合シュート12、タイミングホッパー14及び漏斗16の内壁面等にパスタが付着するのを防止することができ、高い精度で非乾燥食品の計量及び容器への充填を行うことができる。
【0025】
なお、上述の実施の形態に係る充填装置2においては、櫛形ゲート8bを設けた計量ホッパー8を用いたが、これに限らず
図7に示すように、ゲートに下方向に向かって延びる複数の溝42を形成した計量ホッパー40を用いるようにしてもよい。この場合であっても計量ホッパー40の内壁面とパスタとの接触面積を小さくすることができるので、計量ホッパー40内にパスタが付着するのを防止することができる。
【0026】
なお、集合シュート12、タイミングホッパー14及び漏斗16においては、エアーを噴出してパスタを強制的に排出するので、エアーの効果を活かすために内壁面に溝を設けることが好ましい。これに対して計量ホッパー8においては、内部にエアーを吹き付けることができないので、パスタのソースが堆積しない櫛歯ゲート8bを用いることが好ましい。
【0027】
また、上述の実施の形態に係る充填装置2においては、集合シュート12の短辺側の内壁面に溝18を設け、集合シュート12の短辺側の上端部にエアー噴出部20を設けているが、集合シュート12の長辺側の内壁面にも、短辺側と同様に下方向に向かって延びる複数の溝を設けてもよい。さらに集合シュート12の長辺側の上端部(またはその近傍)に、集合シュート12の長辺側の溝に沿ってエアーを噴出する複数のエアー噴出部を設けてもよい。また、集合シュート12の長辺側の内壁面に複数の溝を設けない場合には、少なくとも内壁面にすべり性を向上させるための表面処理を行うことが好ましい。
【0028】
次に本発明の充填装置2を運転したときの計量充填精度について説明する。充填装置2は、容器へのパスタの充填を1時間に3000回行うものとした。また1つの容器に充填するパスタの目標量を14gとした。パスタは、マヨネーズソースを絡めたマカロニ、トマトソースを絡めたマカロニ及びカルボナーラソースを絡めたマカロニを用いた。各パスタにおける、充填装置2の運転開始からの経過時間毎の容器への充填量の標準偏差σ(g)を表1に示す。
【0030】
次に従来装置を運転した時の計量充填精度について説明する。従来装置は複数の計量ホッパーによりパスタを計量し、計量したパスタの合計重量が所定重量となるホッパーの組合せを選択してパスタを排出し、排出したパスタを集合シュートを介して集合させて包装装置へ供給する計量装置である。従来装置は、集合シュートの内壁面に本発明における溝が形成されておらず、また計量ホッパーに本発明における櫛歯ゲート8bが用いられていない。
【0031】
従来装置は、上述の充填装置2と同様に、包装装置へのパスタの供給を1時間に3000回行い、1回に供給するパスタの目標量を14gとした。従来装置の運転開始から1時間経過したときの包装装置への供給量の標準偏差σ(g)を表2に示す。
【0033】
本発明の充填装置2は、従来装置に比較して計量充填精度が極めて優れていることが分かった。
【符号の説明】
【0034】
2…充填装置、4…組み合わせ秤、6…シュート、8…計量ホッパー、8b…櫛形ゲート、12…集合シュート、14…タイミングホッパー、16…漏斗、18、26、30、42…溝、20、28…エアー噴出部。