(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6113552
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】研磨装置及び摩耗検知方法
(51)【国際特許分類】
B24B 37/10 20120101AFI20170403BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20170403BHJP
B24B 37/20 20120101ALI20170403BHJP
B24B 49/18 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
B24B37/10
H01L21/304 622M
B24B37/20
B24B49/18
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-72399(P2013-72399)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-195847(P2014-195847A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2015年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100114487
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 幸作
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100117411
【弁理士】
【氏名又は名称】串田 幸一
(72)【発明者】
【氏名】小菅 隆一
(72)【発明者】
【氏名】曽根 忠一
【審査官】
大山 健
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−207572(JP,A)
【文献】
特開2012−056029(JP,A)
【文献】
特開平11−138418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/00 −37/34
B24B 21/04
H01L 21/304
B24B 49/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨パッドの偏摩耗を検知する検知システムを有するCMP装置であって、
テーブル駆動軸に接続され、前記研磨パッドが配置されている回転可能な研磨テーブルと、
基板を保持し、前記研磨パッドに前記基板を押圧するための回転可能な研磨ヘッドと、
前記研磨パッドの研磨面をドレッシングするドレッシング面を有し、ドレッサ駆動軸に接続され、前記ドレッサ駆動軸によって回転するドレッシングヘッドと、揺動アクチュエータに接続され、前記ドレッシングヘッドを前記研磨テーブル上の位置と前記研磨テーブルの外側の位置との間を揺動させるドレッサ揺動軸と、を有するドレッシング装置と、
前記研磨テーブルの回転数、前記テーブル駆動軸によって前記研磨テーブルに加えられる回転トルク、前記ドレッシングヘッドの回転数、前記ドレッサ駆動軸によって前記ドレッシングヘッドに加えられる回転トルク、及び前記揺動アクチュエータによって前記ドレッサ揺動軸に加えられる揺動トルクのうち、少なくとも一つを検知するセンサ装置と、検知されたデータを前記センサ装置から取得し、第1の所定時間における前記検知されたデータの変化量を計算し、前記計算された変化量が所定値を超えたか否かを判定する制御部と、を有する前記研磨パッドの偏摩耗を検知する検知システムと、を有することを特徴とするCMP装置。
【請求項2】
前記変化量の計算は、
前記第1の所定時間における所定個の連続データを平均化して第1の平均化されたデータを計算し、
前記第1の所定時間における所定個の他の連続データを平均化して第2の平均化されたデータを計算し、
前記第1の平均化されたデータと前記第2の平均化されたデータと間の変化量を計算することを含むことを特徴とする請求項1記載のCMP装置。
【請求項3】
前記平均化は、2乗平均平方根法を使用して前記検知されたデータを平均化することであることを特徴とする請求項2記載のCMP装置。
【請求項4】
前記少なくとも一つを検知することは、前記ドレッシングヘッドの前記回転数と、前記ドレッサ駆動軸によって前記ドレッシングヘッドに加えられる回転トルクとを検知することであることを特徴とする請求項1記載のCMP装置。
【請求項5】
前記所定値を超えたか否かの判定は、
前記第1の平均化されたデータと前記第2の平均化されたデータと間の前記変化量を取得し、前記取得された変化量が前記所定値を超えたか否かを判定することであることを特徴とする請求項3記載のCMP装置。
【請求項6】
前記変化量が前記所定値を超えたと前記制御部が判定したときに、前記制御部は警報を発することさらに有することを特徴とする請求項1記載のCMP装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つを検知することは、前記ドレッシング装置がドレッシングを開始してから第2の所定時間経過後に前記検知を開始することを特徴とする請求項1記載のCMP装置。
【請求項8】
前記所定値を超えたか否かの判定は、前記第1の所定時間の間、前記変化量が前記所定値を超えた回数をカウントし、前記回数が、所定回数を超えたときに所定値を超えたと判定することであることを特徴とする請求項1記載のCMP装置。
【請求項9】
ドレッサ揺動シャフトに接続され且つドレッシング面を有するドレッシングヘッドと、研磨パッドを備えた研磨テーブルと、を有する研磨装置の前記研磨パッドの偏摩耗を検知する方法であって、
前記研磨テーブルと前記研磨パッドを回転させる工程と、
前記ドレッシングヘッドの前記ドレッシング面を回転させる工程と、
回転している前記ドレッシング面を回転している前記研磨パッドに押圧することで前記研磨パッドをドレッシングする工程と、
前記ドレッサ揺動シャフトで前記研磨パッド上の前記ドレッシングヘッドを揺動させる工程と、
前記研磨テーブルの回転数、前記研磨テーブルに加えられる回転トルク、前記ドレッシングヘッドの回転数、前記ドレッシングヘッドに加えられる回転トルク、及び前記ドレッサ揺動軸に加えられる揺動トルクのうち、少なくとも一つを検知する工程と、
前記検知されたデータから、第1の所定時間における前記データの変化量を計算する工程と、
前記計算された変化量が所定値を超えたか否かを判定する工程と、を有する、方法。
【請求項10】
請求項9に記載された方法において、
前記第1の所定時間における前記データの変化量を計算する工程は、前記検知されたデータの所定個の連続データを平均化して第1の平均化されたデータを計算する工程と、前記検知されたデータの所定個の他の連続データを平均化して第2の平均化されたデータを計算する工程と、前記第1の平均化されたデータと前記第2の平均化されたデータと間の変化量を計算する工程を含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載された方法において、
前記所定個の連続データを平均化する工程は、2乗平均平方根法を使用して前記検知されたデータを平均値化する工程である、方法。
【請求項12】
請求項9に記載された方法において、
前記少なくとも一つを検知する工程は、前記ドレッシングヘッドの回転数と、前記ドレ
ッサ駆動軸によって前記ドレッシングヘッドに加えられる回転トルクとを検知する工程である、方法。
【請求項13】
請求項10に記載された方法において、
前記所定値を超えたか否かを判定する工程は、前記第1の平均化されたデータと前記第2の平均化されたデータと間の前記変化量を取得し、前記取得された変化量が前記所定値を超えたか否かを判定する工程である、方法。
【請求項14】
請求項9に記載された方法において、
前記変化量が前記所定値を超えたと判定したときに警報を発する工程をさらに有する、方法。
【請求項15】
請求項9に記載された方法において、
前記少なくとも一つを検知する工程は、前記ドレッシング工程を開始してから第2の所定時間経過後に開始する、方法。
【請求項16】
請求項9に記載された方法において、
前記計算された変化量が所定値を超えたか否かを判定する工程は、
前記第1の所定時間の間、前記変化量が前記所定値を超えた回数を前記制御部がカウントし、前記回数が所定回数を超えたときに所定値を超えたと判定する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を研磨し平坦化するための研磨テーブルの研磨面の摩耗を検知する研磨装置及び摩耗検知方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスはますます微細化され、素子構造が複雑になりつつある。半導体デバイスの製造工程において、半導体ウェハの表面の平坦化は非常に重要な工程とされる。表面の平坦化に用いられる代表的な技術は、化学的機械的研磨(CMP,Chemical Mechanical Polishing)である。この化学的機械的研磨では、シリカ(SiO2)等の砥粒を含んだ研磨液を研磨パッドの研磨面上に供給しつつ半導体ウェハを研磨面に摺接させて半導体ウェハの表面を研磨する。研磨パッドに代えて、砥粒をバインダにより固定した固定砥粒が用いられることもある。
【0003】
この化学的機械的研磨はCMP装置を用いて行われる。CMP装置は、上面に研磨パッドを貼付した研磨テーブルと、ポリッシング対象物である半導体ウェハ等の基板(被研磨物)を保持するトップリングとを一般に備えている。研磨テーブル及びトップリングをその軸心を中心としてそれぞれ回転させながら、トップリングにより基板を所定の圧力で研磨パッドの研磨面(上面)に押圧し、研磨液を研磨面上に供給しつつ基板の表面を平坦且つ鏡面に研磨する。研磨液には、通常、アルカリ溶液にシリカ等の微粒子からなる砥粒を懸濁したものが用いられる。基板は、アルカリによる化学的研磨作用と、砥粒による機械的研磨作用との複合作用によって研磨される。
【0004】
基板の研磨を行うと、研磨パッドの研磨面には砥粒や研磨屑が付着し、また、研磨パッドの特性が変化して研磨性能が劣化してくる。このため、基板の研磨を繰り返すに従い、研磨速度が低下し、また、研磨むらが生じてしまう。そこで、劣化した研磨パッドの研磨面を再生するために、研磨テーブルに隣接してドレッシング装置が設けられている。
【0005】
このドレッシング装置は、一般に、回転可能なドレッサヘッドと、該ドレッサヘッドに固定されたドレッシング部材を備えている。ドレッシング装置は、ドレッサヘッドをその軸心を中心として回転させながら、回転する研磨テーブル上の研磨パッドの研磨面にドレッシング部材を押し付けることにより、研磨面に付着した砥液や切削屑を除去するとともに、研磨面の平坦化及び目立て(ドレッシング)を行なう。ドレッシング部材としては、一般に、研磨面に接触する面(ドレッシング面)にダイヤモンド粒子が電着されたもの等が使用される。
【0006】
ところで、上記研磨パッドは、特定数の基板を研磨処理することや、上記ドレッシングを行うことによりその研磨面が消耗するため、ある程度まで研磨パッドが摩耗したときに交換されることになる。研磨パッドが摩耗した状態で基板を研磨処理しても、基板が研磨されないため、研磨パッドの交換時期を適切に把握する必要がある。
【0007】
そこで、研磨パッドの摩耗即ち研磨パッドの適切な交換時期を検知するために、パッドコンディショニングアセンブリの電気モータの回転数又はトルクに基づいて研磨パッドの耐用年数を推定することが知られている(特許文献1参照)。
【0008】
また、ドレッシングを行う調整ディスクの回転トルク及び掃引トルク等を検出し、検出した値に基づいて研磨パッドの摩耗を検出することが知られている(特許文献2参照)。
しかしながら、CMP装置では、研磨パッドの全面の摩耗により耐用期間を経過する前
に偏摩耗が生じ、これにより研磨パッドの交換が必要となるときがある。たとえば、このCMP装置の研磨テーブルに研磨パッドを貼付する際に、研磨テーブルと研磨パッドとの間に空気(気泡)が混入すると、研磨パッドの空気が混入した部分が研磨テーブルに対してわずかに盛り上がることになる。なお、これに限らず、他の原因により研磨パッドの表面に多少の凹凸が生じる場合がある。このような状態で、基板の化学的機械的研磨や、研磨パッドのドレッシングを行うと、研磨パッドの盛り上がった部分が他の部分に比べて接触圧が強くなり摩耗する、即ち偏摩耗が発生する。研磨パッドに偏摩耗が発生した状態で基板に化学的機械的研磨を行うと、研磨した基板の平坦性や、研磨レートが低下する虞がある。
【0009】
なお、ドレッシング装置において、研磨パッドをドレッシングしている際にドレッシング装置のパッドドレッサー(ドレッサヘッド)と研磨パッドとの間に生じる摩擦力又は衝撃力を検知することが知られている(特許文献3参照)。
【0010】
また、研磨装置において、研磨パッドの高さから研磨パッドの減耗量を算出し、研磨パッドの減耗量と、研磨テーブルの回転モータのトルクまたは電流と、トップリングの回転モータのトルクまたは電流とに基づいて研磨パッドの研磨面の状態を診断することが知られている(特許文献4参照)。
【0011】
さらに、ドレッシング装置において、研磨面をドレッシングしている際に、研磨面を有する研磨テーブルの回転モータに流れる電流を検出することで、研磨面とドレッサ(ドレッサヘッド)との間に作用する摩擦負荷を検知することが知られている(特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特表2007−529111号公報
【特許文献2】特表2011−530809号公報
【特許文献3】特開2005−022028号公報
【特許文献4】特開2012−056029号公報
【特許文献5】特開2006−272549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、研磨パッドの偏摩耗の発生を検知することができる研磨装置及び摩耗検知方法を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る研磨装置は、研磨パッドを配置するための面を有する研磨テーブルと、前記研磨テーブルを回転させるように構成されたテーブル駆動軸と、基板を保持して、前記基板の表面を前記研磨パッドに押圧するように構成された基板保持装置と、前記研磨パッドに摺接されるドレッシング面を有するドレッシング部と、前記ドレッシング部を前記研磨テーブル上の位置と前記研磨テーブルの外側の位置との間を揺動させるように構成されたドレッサ揺動軸と、前記ドレッシング部を回転させるように構成されたドレッサ駆動軸と、前記テーブル駆動軸の回転数の値、前記テーブル駆動軸の回転トルクの値、前記ドレッサ駆動軸の回転数の値、前記ドレッサ駆動軸の回転トルクの値、及び前記ドレッサ揺動軸の揺動トルクの値のうち、少なくとも一つの値の検知を所定時間毎に行うセンサと、該検知された前記テーブル駆動軸の回転数の値、前記検知された前記テーブル駆動軸の回転トルクの値、前記検知された前記ドレッサ駆動軸の回転数の値、前記検知された前記ドレッサ駆動軸の回転トルクの値、又は前記検知された前
記ドレッサ揺動軸の揺動トルクの値に基づいて、前記テーブル駆動軸の回転数の値の変化量、前記テーブル駆動軸の回転トルクの値の変化量、前記ドレッサ駆動軸の回転数の値の変化量、前記ドレッサ駆動軸の回転トルクの値の変化量、又は前記ドレッサ揺動軸の揺動トルクの値の変化量を算出し、該変化量が所定の値を超えたか否かを判定するように構成された制御部と、を備える。
【0015】
本発明の別の形態に係る研磨装置において、前記制御部は、前記検知された所定時間毎の前記テーブル駆動軸の回転トルクの値のうち連続して検知された前記テーブル駆動軸の回転トルクの値、前記検知された所定時間毎の前記ドレッサ駆動軸の回転トルクの値のうち連続して検知された前記ドレッサ駆動軸の回転トルクの値、又は前記検知された所定時間毎の前記ドレッサ揺動軸の揺動トルクの値のうち連続して検知されたドレッサ揺動軸の揺動トルクの値に基づいて算出した値と、前記検知された所定時間毎の前記テーブル駆動軸の回転トルクの値のうち他の連続して検知された前記テーブル駆動軸の回転トルクの値、前記検知された所定時間毎の前記ドレッサ駆動軸の回転トルクの値のうち他の連続して検知された前記ドレッサ駆動軸の回転トルクの値、又は前記検知された所定時間毎の前記ドレッサ揺動軸の揺動トルクの値のうち他の連続して検知されたドレッサ揺動軸の揺動トルクの値に基づいて算出した値との差を、前記テーブル駆動軸の回転トルクの値の変化量、前記ドレッサ駆動軸の回転トルクの値の変化量、又は前記ドレッサ揺動軸の揺動トルクの値の変化量とする。
【0016】
本発明の別の形態に係る研磨装置において、 前記制御部は、前記検知した前記テーブル駆動軸の回転数の値の最大値と最小値の差を前記テーブル駆動軸の回転数の値の変化量とするか、又は前記ドレッサ駆動軸の回転数の値の最大値と最小値との差を、前記ドレッサ駆動軸の回転数の値の変化量とする。
【0017】
本発明の別の形態に係る研磨装置において、前記変化量が所定の値を超えたと前記制御部が判断したときに警報を通知する警報通知部を備える。
本発明の別の形態に係る研磨装置において、前記センサは、前記ドレッシング部によりドレッシングが開始されてから所定時間経過後に、前記テーブル駆動軸の回転数の値、前記テーブル駆動軸の回転トルクの値、前記ドレッサ駆動軸の回転数の値、前記ドレッサ駆動軸の回転トルクの値、及び前記ドレッサ揺動軸の揺動トルクの値のうち少なくとも一つの検知を開始する。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る摩耗検知方法は、研磨装置に用いられる研磨テーブルに配置される研磨パッドの摩耗を検知する摩耗検知方法であって、前記研磨テーブルを回転駆動させるテーブル駆動軸の回転数の値、該テーブル駆動軸の回転トルクの値、ドレッサを回転駆動させるドレッサ駆動軸の回転数の値、該ドレッサ駆動軸の回転トルクの値、又は前記ドレッサを揺動させるドレッサ揺動軸の揺動トルクの値を、所定時間毎に検知する工程と、該検知した前記テーブル駆動軸の回転数の値、前記検知した前記テーブル駆動軸の回転トルクの値、前記検知した前記ドレッサ駆動軸の回転数の値、前記検知した前記ドレッサ駆動軸の回転トルクの値、又は前記検知した前記ドレッサ揺動軸の揺動トルクの値に基づいて、前記テーブル駆動軸の回転数の値の変化量、前記テーブル駆動軸の回転トルクの値の変化量、前記ドレッサ駆動軸の回転数の値の変化量、前記ドレッサ駆動軸の回転トルクの値の変化量、又は前記ドレッサ揺動軸の揺動トルクの値の変化量を算出する工程と、該変化量が所定の値を超えたか否かを判定する工程と、を備える。
【0018】
本発明の別の形態に係る摩耗研磨装置において、前記変化量を算出する工程は、前記検知された所定時間毎の前記テーブル駆動軸の回転トルクの値のうち連続して検知された前記テーブル駆動軸の回転トルクの値、前記検知された所定時間毎の前記ドレッサ駆動軸の回転トルクの値のうち連続して検知された前記ドレッサ駆動軸の回転トルクの値、又は前記検知された所定時間毎の前記ドレッサ揺動軸の揺動トルクの値のうち連続して検知され
たドレッサ揺動軸の揺動トルクの値、に基づいて算出した値と、前記検知された所定時間毎の前記テーブル駆動軸の回転トルクの値のうち他の連続して検知された前記テーブル駆動軸の回転トルクの値、前記検知された所定時間毎の前記ドレッサ駆動軸の回転トルクの値のうち他の連続して検知された前記ドレッサ駆動軸の回転トルクの値、又は前記検知された所定時間毎の前記ドレッサ揺動軸の揺動トルクの値のうち他の連続して検知されたドレッサ揺動軸の揺動トルクの値、に基づいて算出した値との差を、前記テーブル駆動軸の回転トルクの値の変化量、前記ドレッサ駆動軸の回転トルクの値の変化量、又は前記ドレッサ揺動軸の揺動トルクの値の変化量として算出する。
【0019】
本発明の別の形態に係る摩耗研磨装置において、前記変化量を算出する工程は、前記検知した前記テーブル駆動軸の回転数の値の最大値と最小値の差を前記テーブル駆動軸の回転数の値の変化量として算出するか、又は前記ドレッサ駆動軸の回転数の値の最大値と最小値との差を、前記ドレッサ駆動軸の回転数の値の変化量とする前記検知した回転数の最大値と最小値との差を前記変化量として算出する。
【0020】
本発明の別の形態に係る摩耗研磨装置において、前記変化量が所定の値を超えたと判定したときに警報を通知する工程を備える。
本発明の別の形態に係る摩耗研磨装置において、前記検知する工程は、前記ドレッサがドレッシングを開始してから所定時間経過後に前記テーブル駆動軸の回転数の値、前記テーブル駆動軸の回転トルクの値、前記ドレッサ駆動軸の回転数の値、前記ドレッサ駆動軸の回転トルクの値、及び前記ドレッサ揺動軸の揺動トルクの値のうち、少なくとも一つの検知を開始する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る研磨装置の外形図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る研磨装置のブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る摩耗検知方法を説明するフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態に係るドレッサの回転数のデータの例を示すグラフである。
【
図5】本発明の一実施形態に係るドレッサの回転トルクのデータの例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る研磨装置1の外形図である。
研磨装置1は、研磨パッド10を配置する研磨テーブル11と、半導体ウェハなどの基板(被研磨物)を研磨パッド10に摺接させて研磨するトップリング装置20(基板保持装置)と、研磨パッド10を目立て(ドレッシング)するドレッシング装置30と、上記研磨テーブル11、トップリング装置20及びドレッシング装置30を駆動制御する制御部40とを備えている。
【0023】
研磨パッド10は研磨テーブル11の上面に貼付等の方法で取り付けられており、研磨パッド10の上面は研磨面を構成している。研磨テーブル11は、テーブル駆動軸12を介して図示しないモータに連結されており、このモータによって研磨テーブル11及び研磨パッド10は、図中矢印で示す周方向に回転されるように構成されている。また、研磨テーブル11のモータには研磨テーブル11の回転数の値を検知するためのテーブル回転数センサ13と(
図2参照)、研磨テーブル11の回転トルクの値を検知するためのテーブル回転トルクセンサ14(
図2参照)が設けられている。
【0024】
トップリング装置20は、基板を保持し研磨パッド10の上面にその基板を押圧するトップリングヘッド21と、トップリングヘッド21に連結されるトップリング駆動軸22
と、トップリング駆動軸22を揺動可能に保持するトップリング揺動アーム23とを備えている。トップリング揺動アーム23は、トップリング揺動軸24によって支持されている。トップリング揺動アーム23の内部には、トップリング駆動軸22に連結された図示しないモータが配置されている。このモータの回転はトップリング駆動軸22を介してトップリングヘッド21に伝達され、これによりトップリングヘッド21は、図中矢印で示す周方向にトップリング駆動軸22を中心として回転する。
【0025】
トップリングヘッド21の下面は、真空吸着等により基板を保持する基板保持面を構成している。トップリング駆動軸22は、図示しない上下動アクチュエータ(例えばエアシリンダ)に連結されている。従って、トップリングヘッド21は、上下動アクチュエータによりトップリング駆動軸22を介して上下動する。トップリング揺動軸24は、研磨パッド10の径方向外側に位置している。このトップリング揺動軸24は図示しないモータによって回転可能に構成されており、これによりトップリングヘッド21は研磨パッド10上の研磨位置と、研磨パッド10の外側の待機位置との間を移動可能となる。
【0026】
トップリング装置20に隣接して、研磨液及びドレッシング液を研磨パッド10の研磨面に供給する液体供給機構25が配置されている。液体供給機構25は、この供給ノズルから研磨液及びドレッシング液が研磨パッド10の研磨面に供給される。この液体供給機構25は、研磨液を研磨パッド10に供給する研磨液供給機構と、ドレッシング液(例えば純水)を研磨パッド10に供給するドレッシング液供給機構とを兼用している。なお、研磨液供給機構とドレッシング液供給機構とを別に設ける、即ち複数の供給ノズルを備えてもよい。
【0027】
基板の研磨は、次のようにして行なわれる。即ち、トップリングヘッド21の下面に基板が保持され、トップリングヘッド21及び研磨テーブル11が回転される。この状態で、研磨パッド10の研磨面には研磨液が供給され、そして、トップリングヘッド21により基板が研磨パッド10の研磨面に押圧される。基板の表面(下面)は、研磨液に含まれる砥粒による機械的研磨作用と研磨液の化学的研磨作用により研磨される。
【0028】
ドレッシング装置30は、研磨パッド10の研磨面に摺接されるドレッサ31と、このドレッサ31に連結されたドレッサ駆動軸32と、ドレッサ駆動軸32を揺動自在に保持するドレッサ揺動アーム33とを備えている。ドレッサ31の下面は、研磨パッド10の研磨面に摺接されるドレッシング面を構成している。このドレッシング面には、ダイヤモンド粒子などの砥粒が固定されている。ドレッサ揺動アーム33は、ドレッサ揺動軸34に支持されている。ドレッサ揺動アーム33の内部には、ドレッサ駆動軸32に連結された図示しないモータが配置されている。このモータの回転はドレッサ駆動軸32を介してドレッサ31に伝達され、これによりドレッサ31は、図中矢印で示す周方向にドレッサ駆動軸32を中心として回転する。また、このドレッシング駆動軸32に連結されたモータには、ドレッサ31の回転数の値を検知するドレッサ回転数センサ35(
図2参照)と、ドレッサ31の回転トルクの値を検知するドレッサ回転トルクセンサ36(
図2参照)が設けられている。
【0029】
ドレッサ揺動軸34は、研磨パッド10の径方向外側に位置している。このドレッサ揺動軸34は図示しないモータによって回転可能に構成されており、これによりドレッサ31は研磨パッド10上のドレッシング位置と、研磨パッド10の外側の待機位置との間を移動可能となる。また、このドレッサ揺動軸34のモータには、ドレッサ揺動軸34の揺動トルクの値を検知するドレッサ揺動トルクセンサ37(
図2参照)が設けられている。
【0030】
研磨パッド10のドレッシングは次のようにして行われる。即ち、基板の研磨中又は基板の研磨と研磨との合間に、回転している研磨パッド10に対して、回転しているドレッ
サ31を押圧する。ドレッサ31が固定された状態で所定時間のドレッシングが行われた後、ドレッサ揺動軸34を駆動させてドレッサ31を揺動させる。これにより、ドレッサ31は研磨パッド10の径方向に移動されて、研磨パッド10の全面をドレッシングすることができる。
【0031】
図2は、本発明の一実施形態に係る研磨装置1のブロック図である。制御部40は、たとえば種々のデータを処理するCPU(Central Processing Unit)と、種々のデータを記録するためのメモリを備えている。制御部40は、研磨テーブル11、トップリング装置20及びドレッシング装置30と通信可能に接続されており、命令信号を送信して、研磨テーブル11、トップリング装置20及びドレッシング装置30の駆動制御を行うことができる。たとえば、制御部40は、ドレッシング装置30に対して、ドレッサ駆動軸32の回転数、回転トルク、及びドレッサ揺動軸34の揺動トルクの各々の値を指示することで、ドレッシング装置を駆動する。また、たとえば、制御部40は研磨テーブル11に対して、モータの回転数及び回転トルクの各々の値を指示することで、研磨テーブル11を駆動する。
【0032】
テーブル回転数センサ13、テーブル回転トルクセンサ14、ドレッサ回転数センサ35、ドレッサ回転トルクセンサ36、及びドレッサ揺動トルクセンサ37は、制御部40と通信可能に接続されており、各センサで検知した回転数の値及びトルクの値のデータを制御部40に送信する。送信された回転数の値及びトルクの値のデータは、制御部40のメモリに格納される。警報通知部50は、たとえばディスプレイ等の表示装置やスピーカ等の発音装置から構成され、制御部40からの指令により、所定の警報をユーザに通知する。
【0033】
ここで、本研磨装置1では、研磨パッド10を研磨テーブル11に貼付する際に、研磨パッド10と研磨テーブル11との間に空気(気泡)が混入する場合がある。これにより、研磨パッド10が研磨テーブル11に対してわずかに盛り上がることになる。この状態で半導体ウェハ等の基板の化学的機械的研磨や、研磨パッド10のドレッシングを行うと、研磨パッド10の盛り上がった部分とドレッサ31との接触圧が他の部分に比べて高くなり、この盛り上がった部分に偏摩耗が発生する。
【0034】
研磨パッド10に偏摩耗が発生すると、その摩耗した部分は他の部分に比べて平滑化され、ドレッシング時のドレッサ31との接触面積が増加する。このため、偏摩耗が発生した研磨パッド10をドレッシングすると、偏摩耗部分におけるドレッサ31と研磨パッド10との摩擦抵抗が他の部分における摩擦抵抗に比べて高くなり、この摩擦抵抗の違いによりドレッサ31(ドレッサ駆動軸32)及び研磨パッド10(研磨テーブル11)の回転数の値又は回転トルクの値が変動する。
【0035】
また、ドレッサ31が研磨パッド10の偏摩耗部に接触すると、上記摩擦抵抗の違いによりドレッサ揺動軸34の揺動トルクの値にも影響を及ぼす。即ち、研磨パッド10に偏摩耗がない場合は、研磨パッド10の回転によって、略一定の摩擦力がドレッサ31に加えられるため、ドレッサ揺動軸34は略一定の揺動トルクでドレッサ31を所定位置に固定する。しかし、上記摩擦抵抗の違いにより、研磨パッド10の回転によりドレッサ31に加えられる摩擦力が変化するため、その揺動トルクの値が変動することになる。
【0036】
本実施形態では、ドレッサ31(ドレッサ駆動軸32)及びテーブル駆動軸12(研磨パッド10)の回転数の値又は回転トルクの値の変動、及びドレッサ揺動軸34の揺動トルクの値の変動のうち、少なくとも一つの値の変動を、
図2に示したテーブル回転数センサ13、テーブル回転トルクセンサ14、ドレッサ回転数センサ35、ドレッサ回転トルクセンサ36、及びドレッサ揺動トルクセンサ37が検知することで、研磨パッド10の
偏摩耗を検知する。特にドレッサ31の回転数及び回転トルクの値は、研磨パッド10と直に接触しているドレッサ31を回転させるモータの値であり、研磨パッド10の偏摩耗による値の変動が顕著に現れるので、ドレッサ31の回転数及び回転トルクの値を検知することで、より精度よく研磨パッド10の変動を検知することができる。
【0037】
図3は、本発明の一実施形態に係る摩耗検知方法を説明するフローチャートである。
まず、基板の研磨中又は基板の研磨の合間に、制御部40が、ドレッシング装置30のドレッサ駆動軸32、及びドレッサ揺動軸34に命令信号を送信し、研磨パッド10のドレッシングを開始する(S101)。
【0038】
続いて、テーブル回転数センサ13、テーブル回転トルクセンサ14、ドレッサ回転数センサ35、ドレッサ回転トルクセンサ36及びドレッサ揺動トルクセンサ37により、テーブル駆動軸12の回転数及び回転トルク、ドレッサ駆動軸32の回転数及び回転トルク、並びにドレッサ揺動軸34の揺動トルクの検知を開始する(S102)。このとき、各センサは、所定時間間隔にその回転数の値、回転トルクの値及び揺動トルクの値を検知するとともに、検知した値を制御部40へ送信する。ここで、本実施形態では、ドレッシング開始から所定時間(たとえば3秒)経過した後に、これらの検知を開始することが好ましい。ドレッシング開始から所定時間(たとえば3秒)経過した後であれば、各機構の回転数、回転トルク及び揺動トルクの値が安定するため、正確な偏摩耗検知を行うことができるからである。
【0039】
制御部40は、各センサから受信した回転数の値、回転トルクの値及び揺動トルクの値のデータをメモリに格納するとともに、これらの値に基づいて変化量を算出する(S102)。なお、この変化量の算出方法については後述する。
【0040】
制御部40は、算出した変化量を予め定められた閾値と比較し、変化量が閾値を超えたか否かを判定する(S103)。たとえば、研磨パッド10に偏摩耗が生じたときの上記変化量を実験により予め求め、それを閾値とすることができる。
【0041】
変化量が閾値を超えていないと判定したとき(S103,NO)、各センサから受信する回転数の値、回転トルクの値及び揺動トルクの値のデータに基づいて、引き続き変化量を算出する(S102)。
【0042】
制御部40は、変化量が閾値を超えたと判定したとき(S103,YES)、制御部40のメモリに1カウントを記録する(S104)。制御部40は、記録されたカウントのうち、所定時間以内(たとえば1時間以内)に記録されたカウントの累積値が予め定められた閾値、本実施形態では4を超えているか否かを判定する(S105)。即ち、この例では判定時より1時間超前に記録されたカウントは、カウントとして累積しない。これにより、1時間超前のカウントは実質的にクリアされ、偏摩耗の誤検知を防止することができる。
【0043】
所定時間以内(たとえば1時間以内)のカウント値が4を超えていないと判定したとき(S105,NO)、制御部40は、各センサから受信する回転数の値、回転トルクの値及び揺動トルクの値のデータに基づいて、引き続き変化量を算出する(S102)。
【0044】
所定時間以内(たとえば1時間以内)のカウント値が4を超えたと判定したとき(S105,YES)、研磨パッド10に偏摩耗が発生したと判断して、制御部40が警報通知部50へ指令を出し、警報通知部50はユーザへ偏摩耗が発生していることを通知する(S106)。
【0045】
図4は、
図3に示したステップS102において検知した、本発明の一実施形態に係るドレッサ31の回転数のデータの例を示すグラフである。このグラフの縦軸は回転数(rpm:Rotation Per Minute)を、横軸は回転数を検知してからの経過時間(秒)を示している。本グラフに示すように、ドレッサ回転数センサ35は、所定時間、たとえば0.1秒毎にドレッサ31の回転数を検知している。
【0046】
図4に示すように、時間T
1において検知した回転数は「a」であり、検知した回転数の最大値となっている。一方で、時間T
2において検知した回転数は「b」であり、検知した回転数の値の最小値となっている。本実施形態では、上記最大値と最小値の差を、これら検知した回転数の値に基づいて算出する変化量としている。即ち、上記最大値と最小値の差である「a−b」を変化量として、
図3に示したステップS103において予め定められた閾値と比較し、変化量が閾値を超えたか否かを判定する。
【0047】
検知した研磨テーブル11の回転数の値に基づいて算出する変化量としても、同様に検知した回転数の値の最大値と最小値の差を採用することができる。
図5は、
図3に示したステップS102において検知した、本発明の一実施形態に係るドレッサ31の回転トルクに関するデータを示すグラフである。このグラフの縦軸は回転トルクの2乗平均平方根の差の絶対値を、横軸は回転トルク値の検知開始からの経過時間を示している。本実施形態では、ドレッサ回転トルクセンサ36は、たとえば0.1秒間隔でドレッサ31の回転トルク(電流値,単位:アンペア)を検知している。
【0048】
本実施形態では、たとえば以下のようにして回転トルクの2乗平均平方根の差の絶対値を算出する。まず、連続して検知した5つの回転トルクの値の2乗平均平方根値を算出する。即ち、回転トルクの値の検知開始後0.1秒の時点から0.5秒の時点における5つの回転トルクの値の2乗平均平方根値aを算出する。続いて、回転トルクの値の検知開始後0.2秒の時点から0.6秒の時点における5つの回転トルクの値の2乗平均平方根値bを算出する。さらに、回転トルクの値の検知開始後0.3秒の時点から0.7秒の時点における5つの回転トルクの値の2乗平均平方根値cを算出する。以下同様に、5つの回転トルクの値の2乗平均平方根値を算出する。
【0049】
本実施形態では、上述した方法で連続して算出された上記2乗平均平方根値の差の絶対値を、検知した回転トルクに基づいて算出する変化量(
図5のグラフの縦軸の値)としている。即ち、2乗平均平方根値aと2乗平均平方根値bとの差の絶対値、2乗平均平方根値bと2乗平均平方根値cとの差の絶対値を上記変化量とする。このようにして算出された変化量は、
図3に示したステップS103において予め定められた閾値と比較され、変化量が閾値を超えたか否かが判定される。
図5のグラフにおいては、時間T
3における変化量が閾値を超えているため、
図3に示したステップS103において予め定められた閾値を超えたと判定される。
【0050】
ここで、変化量の算出に回転トルクの値の2乗平均平方根値を使用することにより、たとえば相加平均値を使用する場合に比べて、回転トルクの値の振れ幅を考慮した変化量を算出することができる。
【0051】
なお、検知したドレッサ揺動軸34の揺動トルクの値に基づいて算出する変化量及び検知した研磨テーブル11の回転トルクの値に基づいて算出する変化量としても、同様の算出方法で算出された2乗平均平方根値の差の絶対値を採用することができる。
【0052】
以上で説明したように、本発明の一実施形態によれば、研磨パッド10の偏摩耗の発生を検知することができ、研磨パッドの適切な交換時期を検知することができる。なお、以上で説明した実施形態では、テーブル駆動軸12の回転数の値及び回転トルクの値、ドレ
ッサ駆動軸32の回転数の値及び回転トルクの値、並びにドレッサ揺動軸34の揺動トルクの値を全て検知するものとして説明しているが、これらのうち少なくとも一つの値を検知することで、研磨パッド10の偏摩耗を検知することができる。また、上記の各値を複数検知する、たとえばドレッサ駆動軸32の回転数の値と回転トルクの値の両方を検知することで、一つの値を検知する場合に比べて誤検知を低減させることができる。
【0053】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、
図3のフローチャートのステップS106において、制御部40は、記録されたカウントのうち、1時間以内に記録されたカウントの累積値を閾値との比較対象としているが、1時間に限らず、適宜変更することができる。また、この閾値を4としているが、この値も適宜変更することができる。
【0054】
図4及び
図5において、回転数の値及び回転トルクの値を0.1秒毎に検知したものを説明したが、検知間隔はこれに限らず、適宜変更が可能である。