特許第6113606号(P6113606)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6113606集配電部材の保持構造、電動機、及び電動機の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6113606
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】集配電部材の保持構造、電動機、及び電動機の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/34 20060101AFI20170403BHJP
   H02K 3/52 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   H02K3/34 B
   H02K3/52 E
【請求項の数】17
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-175265(P2013-175265)
(22)【出願日】2013年8月27日
(65)【公開番号】特開2015-46959(P2015-46959A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2015年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100099597
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 賢二
(74)【代理人】
【識別番号】100119208
【弁理士】
【氏名又は名称】岩永 勇二
(74)【代理人】
【識別番号】100124235
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100124246
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 和光
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100145171
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】江上 健一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 秀徳
(72)【発明者】
【氏名】矢▲崎▼ 学
(72)【発明者】
【氏名】小野 浩一
【審査官】 三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−267569(JP,A)
【文献】 特開2009−261094(JP,A)
【文献】 特開2002−034212(JP,A)
【文献】 特開2003−324887(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/141135(WO,A1)
【文献】 特開2005−229677(JP,A)
【文献】 特開2009−261082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/18
H02K 3/34
H02K 3/50
H02K 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に配置された複数のコアと、前記複数のコアにそれぞれ巻き回された巻線と、前記コアと前記巻線との間を絶縁するインシュレータとを備えたステータに、前記巻線に電流を集配電する環状の複数の集配電部材を保持する集配電部材の保持構造であって、
前記インシュレータには、前記複数の集配電部材の一部をそれぞれ収容可能な複数の凹部が形成された保持部が形成されており、
前記複数の集配電部材のそれぞれは、金属導体をU字状に屈曲して形成されたU字部と、前記保持部の前記凹部に収容されて前記保持部に保持される被保持部と、前記U字部の両端と前記被保持部との間に径方向に延在して設けられた一対の延在部とを一体に有し、
前記U字部に前記巻線の端部が挿通された状態で、前記U字部を加締めることによって前記集配電部材と前記巻線とが電気的に接続されており、
前記一対の延在部は、前記U字部が前記巻線の端部に電気的に接続された状態で、互いに接触しない、
集配電部材の保持構造。
【請求項2】
前記複数の凹部は、前記ステータの軸方向に沿って並んで形成され、前記ステータの径方向に開口している、
請求項1に記載の集配電部材の保持構造。
【請求項3】
前記U字部は、円弧状の円弧部と、前記円弧部を挟んで対向し、前記軸方向に延びる一対の軸部とからなり、
前記延在部は、前記一対の軸部の前記円弧部とは反対側の端部と前記被保持部との間に設けられている、
請求項2に記載の集配電部材の保持構造。
【請求項4】
前記複数の集配電部材は、前記軸方向の位置に応じて前記一対の軸部の長さが異なる、
請求項3に記載の集配電部材の保持構造。
【請求項5】
前記複数の集配電部材は、前記凹部に圧入して挿入された、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の集配電部材の保持構造。
【請求項6】
前記保持部には、前記集配電部材を係止して前記集配電部材の前記凹部からの抜け出しを防止する係止部が設けられた、
請求項1乃至5の何れか1項に記載の集配電部材の保持構造。
【請求項7】
前記U字部には錫メッキが施され、
前記集配電部材と前記巻線とが、前記巻線の端部が挿通された状態の前記U字部を熱加締めすることによって電気的に接続された、
請求項1乃至6の何れか1項に記載の集配電部材の保持構造。
【請求項8】
前記一対の軸部には、その対向部に、前記被保持部及び前記延在部における前記金属導体の外周面よりも曲率の大きい円弧状の突起がそれぞれ形成されており、
前記熱加締めによって前記突起が溶融して前記一対の軸部と前記巻線とが接続された、
請求項7に記載の集配電部材の保持構造。
【請求項9】
前記ステータには、複数の前記保持部が前記ステータの周方向に沿って間隔をあけて配置され、
前記集配電部材は、前記一対の延在部が前記ステータの周方向に隣り合う一対の前記保持部の間から前記被保持部の前記凹部への挿入方向に突出して配置されている、
請求項乃至8の何れか1項に記載の集配電部材の保持構造。
【請求項10】
前記ステータの周方向に隣り合う一対の前記保持部間の間隔が、前記一対の延在部の周方向の幅に対応した間隔である、
請求項9に記載の集配電部材の保持構造。
【請求項11】
前記複数の集配電部材は、同一の形状である、
請求項1乃至の何れか1項に記載の集配電部材の保持構造。
【請求項12】
前記複数の巻線のうち少なくとも一部の巻線は、前記ステータの軸方向における前記複数の集配電部材の位置に応じて屈曲された、
請求項11に記載の集配電部材の保持構造。
【請求項13】
前記複数の凹部は、前記ステータの径方向に沿って並んで形成され、前記ステータの軸方向に開口している、
請求項1に記載の集配電部材の保持構造。
【請求項14】
環状に配置された複数のコア、前記コアに巻き回されたU相、V相、及びW相の巻線、及び前記コアと前記巻線との間を絶縁するインシュレータを備えたステータと、
前記U相の巻線に電流を集配電する環状の第1の集配電部材と、
前記V相の巻線に電流を集配電する環状の第2の集配電部材と、
前記W相の巻線に電流を集配電する環状の第3の集配電部材と
を備え、
前記インシュレータには、前記第1乃至第3の集配電部材のそれぞれの一部を収容可能な複数の凹部が形成された保持部が形成されており、
前記第1乃至第3の集配電部材のそれぞれは、金属導体をU字状に屈曲して形成されたU字部と、前記保持部の前記凹部に収容されて前記保持部に保持される被保持部と、前記U字部の両端と前記被保持部との間に径方向に延在して設けられた一対の延在部とを一体に有し、
前記U字部に前記巻線の端部が挿通された状態で、前記U字部を加締めることによって前記集配電部材と前記巻線とが電気的に接続されており、
前記一対の延在部は、前記U字部が前記巻線の端部に電気的に接続された状態で、互いに接触しない、
電動機。
【請求項15】
請求項14に記載の電動機の製造方法であって、
前記保持部に前記第1乃至第3の集配電部材を保持する保持工程と、
前記U相、V相、及びW相の巻線と前記第1乃至第3の集配電部材とを接続する接続工程とを有する、
電動機の製造方法。
【請求項16】
前記U相、V相、及びW相の巻線のうち少なくとも一部の巻線を前記第1乃至第3の集配電部材における前記ステータの軸方向の位置に応じて屈曲し、前記第1乃至第3の集配電部材との接続部位の位置を合わせる位置合わせ工程をさらに有する、
請求項15に記載の電動機の製造方法。
【請求項17】
前記電動機は、前記第1乃至第3の集配電部材が線状導体を環状に形成してなり、前記線状導体の両端部が一つの端子に接続され、
前記保持工程は、前記第1乃至第3の集配電部材のそれぞれの一部を前記凹部に収容した後に前記線状導体の両端部を前記端子に接続する工程である、
請求項15又は16に記載の電動機の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻線に電流を集配電する集配電部材の保持構造、電動機、及び電動機の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、環状に配置された複数のコアにそれぞれ巻き回された複数相の巻線と、コアと巻線との間に介在してコアと巻線とを絶縁する絶縁部材からなるインシュレータと、複数のコアと同軸に配置され、複数相の巻線に電流を集配電する環状の集配電部材とを有する電動機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の電動機における集配電リングは、同軸上に配置された複数の集配電部材としてのバスリングと、複数のバスリングを相互に固定する複数の固定部材とを有している。複数の固定部材は、複数のバスリングのうち何れかのバスリングに接続された接続端子を挟んで周方向に間隔をあけて配置され、モールド加工によって形成されている。
【0004】
複数の固定部材は、径方向外方側の表面から径方向外方に向かって突出する突出部を備え、この突出部が絶縁ボビンの外周壁部に設けられた穴部に装着可能とされている。この絶縁ボビンは、鉄心(コア)に装着される絶縁性樹脂材からなり、鉄心と巻線とを絶縁するインシュレータとして機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−261082号公報
【特許文献2】特開2007−174869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の電動機では、固定部材を成形するための金型が必要となり、また製造工程においては、この金型に複数のバスリングをセットしてキャビティに樹脂を注入するモールド加工工程が必要となっていた。このため、固定部材の成形のために電動機の製造コストが嵩んでいた。
【0007】
そこで、本発明は、製造コストを低減することが可能な集配電部材の保持構造、電動機、及び電動機の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、環状に配置された複数のコアと、前記複数のコアにそれぞれ巻き回された巻線と、前記コアと前記巻線との間を絶縁するインシュレータとを備えたステータに、前記巻線に電流を集配電する環状の複数の集配電部材を保持する集配電部材の保持構造であって、前記インシュレータには、前記複数の集配電部材の一部をそれぞれ収容可能な複数の凹部が形成された保持部が形成されており、前記複数の集配電部材のそれぞれは、金属導体をU字状に屈曲して形成されたU字部と、前記保持部の前記凹部に収容されて前記保持部に保持される被保持部と、前記U字部の両端と前記被保持部との間に径方向に延在して設けられた一対の延在部とを一体に有し、前記U字部に前記巻線の端部が挿通された状態で、前記U字部を加締めることによって前記集配電部材と前記巻線とが電気的に接続されており、前記一対の延在部は、前記U字部が前記巻線の端部に電気的に接続された状態で、互いに接触しない、集配電部材の保持構造を提供する。
【0009】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、環状に配置された複数のコア、前記コアに巻き回されたU相、V相、及びW相の巻線、及び前記コアと前記巻線との間を絶縁するインシュレータを備えたステータと、前記U相の巻線に電流を集配電する環状の第1の集配電部材と、前記V相の巻線に電流を集配電する環状の第2の集配電部材と、前記W相の巻線に電流を集配電する環状の第3の集配電部材とを備え、前記インシュレータには、前記第1乃至第3の集配電部材のそれぞれの一部を収容可能な複数の凹部が形成された保持部が形成されており、前記第1乃至第3の集配電部材のそれぞれは、金属導体をU字状に屈曲して形成されたU字部と、前記保持部の前記凹部に収容されて前記保持部に保持される被保持部と、前記U字部の両端と前記被保持部との間に径方向に延在して設けられた一対の延在部とを一体に有し、前記U字部に前記巻線の端部が挿通された状態で、前記U字部を加締めることによって前記集配電部材と前記巻線とが電気的に接続されており、前記一対の延在部は、前記U字部が前記巻線の端部に電気的に接続された状態で、互いに接触しない、電動機を提供する。
【0010】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、上記電動機の製造方法であって、前記保持部に前記第1乃至第3の集配電部材を保持する保持工程と、前記U相、V相、及びW相の巻線と前記第1乃至第3の集配電部材とを接続する接続工程とを有する、電動機の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、集配電部材を直接的にインシュレータに保持することができ、製造コストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る集配電リングを備えた電動機の概略の構成例を説明するために示す模式図である。
図2】ロータ及び第4のバスリングを省略してステータ及び第1乃至第3のバスリングを示す斜視図である。
図3】ステータ及び第1乃至第3のバスリングをその中心軸方向から見た平面図である。
図4】第1乃至第3のバスリングをステータから分離して示す分解斜視図である。
図5】インシュレータを示し、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図、(d)は(a)のA−A線断面図、(e)は斜視図である。
図6】(a)は第1のバスリングの部分拡大図、(b)は第2のバスリングの部分拡大図、図6(c)は第3のバスリングの部分拡大図である。
図7】(a)は、集配電リング4の一部を軸方向から見た平面図である。(b)は(a)に示した部分に対応するステータの一部を軸方向から見た平面図である。
図8】電動機の製造方法における配置工程を示す説明図である。
図9】電動機の製造方法における第1の接続工程を説明するための説明図である。
図10】(a)及び(b)は、第1の接続工程を行う前の第3のバスリングのU字部とW相の巻線の一方の端部とを示し、図10(c)及び(d)は、第1の接続工程を行った後の第3のバスリングのU字部とW相の巻線の一方の端部とを示す断面図である。
図11】第2の実施の形態に係るインシュレータの保持部を拡大して示す断面図である。
図12】第3の実施の形態に係るコア組立体を示す側面図である。
図13】第3の実施の形態における第1乃至第3のバスリングと、U相,V相,及びW相の巻線の一方の端部との接続構造を示す断面図であり、(a)は第1のバスリングとU相の巻線の一方の端部との接続構造を、(b)は第2のバスリングとV相の巻線の一方の端部との接続構造を、(c)は第3のバスリングとW相の巻線の一方の端部との接続構造をそれぞれ示す。
図14】(a)は、第4の形態に係るインシュレータの一部を拡大して示す断面図である。(b)は、インシュレータにコア及び第1乃至第3のバスリングを組み付けた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施の形態]
(電動機の全体構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る集配電リング4を備えた電動機1の概略の構成例を説明するために示す模式図である。
【0014】
この電動機1は、回転子であるロータ2と、固定子であるステータ3と、ステータ3に保持された第1乃至第4のバスリング41〜44からなる集配電リング4とを備えている。
【0015】
ロータ2は、図略の軸受によってステータ3と同軸上で回転可能に支持されたシャフト21と、シャフト21の外周面に固定された複数の磁極を有する円筒状の磁石22とを有している。
【0016】
ステータ3は、環状に配置された複数のコア31と、コア31の外周囲に巻き回された巻線32と、後述するインシュレータ33(図2に示す)とを備えている。本実施の形態では、24個のコア31がステータ3の周方向に沿って配置されている。これら24個のコア31は、その位置によってU相のコア31U、V相のコア31V、及びW相のコア31Wに分類され、図1に示すロータ2の回転方向Rに沿って、U相のコア31Uの隣にV相のコア31Vが、V相のコア31Vの隣にW相のコア31Wが、W相のコア31Wの隣にU相のコア31Uが、それぞれ配置されている。
【0017】
U相のコア31Uに巻き回された巻線32はU相の巻線32Uであり、V相のコア31Vに巻き回された巻線32はV相の巻線32Vであり、W相のコア31Wに巻き回された巻線32はW相の巻線32Wである。U相の巻線32Uは、第1のバスリング41によって集配電(集電及び配電)される。V相の巻線32Vは、第2のバスリング42によって集配電される。また、W相の巻線32Wは、第3のバスリング43によって集配電される。
【0018】
U相の巻線32Uの両端部のうち、一方の端部321Uは第1のバスリング41に電気的に接続され、他方の端部322Uは第4のバスリング44に電気的に接続されている。V相の巻線32Vの両端部のうち、一方の端部321Vは第2のバスリング42に電気的に接続され、他方の端部322Vは第4のバスリング44に電気的に接続されている。また、W相の巻線32Wの両端部のうち、一方の端部321Wは第3のバスリング43に電気的に接続され、他方の端部322Wは第4のバスリング44に電気的に接続されている。
【0019】
第1のバスリング41は本発明の第1の集配電部材の一態様であり、第2のバスリング42は本発明の第2の集配電部材の一態様である。また、第3のバスリング43は本発明の第3の集配電部材の一態様である。第4のバスリング44は、中性相のバスリングとして機能する。
【0020】
第1乃至第3のバスリング41〜43には、それぞれ給電端子410,420,430が接続され、この給電端子410,420,430を介して図略のインバータから120°ずつ位相がずれた正弦波状の駆動電流が供給される。この駆動電流によってステータ3に回転磁界が形成され、磁石22がこの回転磁界による吸引力及び反発力により回転力を受けてシャフト21をその回転軸線Oを中心として回転させる。第1乃至第3のバスリング41〜43は、後述する保持構造によってステータ3に固定されている。
【0021】
図2は、ロータ2及び第4のバスリング44を省略してステータ3及び第1乃至第3のバスリング41〜43を示す斜視図である。図3は、ステータ3及び第1乃至第3のバスリング41〜43をその中心軸方向から見た平面図である。図4は、第1乃至第3のバスリング41〜43をステータ3から分離して示す分解斜視図である。
【0022】
ステータ3は、複数の電磁鋼板310を積層してなるコア31にインシュレータ33を装着し、コア31の外周にインシュレータ33を介在させて巻線32を巻き回した複数のコア組立体30からなる。本実施の形態では、ステータ3が24個のコア組立体30を環状に配置したリング状である。
【0023】
インシュレータ33は、第1乃至第3のバスリング41〜43を保持する保持部331を有している。第1乃至第3のバスリング41〜43は、ステータ3の軸方向に沿って同心状に並列し、保持部331に保持されている。保持部331の構成の詳細については後述する。
【0024】
保持部331は、巻線32(U相の巻線32U,V相の巻線32V,及びW相の巻線32W)よりもステータ3の外周側に設けられ、巻線32の一方の端部321U,321V,321Wが径方向外側に延出されて第1乃至第3のバスリング41〜43に接続されている。巻線32の他方の端部322U,322V,322Wは、径方向内側に延出されて第4のバスリング44(図1に示す)に接続される。
【0025】
第1乃至第3のバスリング41〜43は、銅等の良導電性の金属からなる線状の中心導体(金属導体)400を樹脂からなる絶縁体401で被覆した絶縁電線を屈曲して形成されている。第1乃至第3のバスリング41〜43の両端部では、絶縁体401から中心導体400が露出し、この露出した中心導体400に給電端子410,420,430がそれぞれ圧着により接続されている。すなわち、第1乃至第3のバスリング41〜43のそれぞれは、線状導体としての中心導体400を環状に形成してなり、中心導体400の両端部が一つの端子(給電端子410,420,430)に接続されている。なお、本実施の形態では、中心導体400が単線からなるが、中心導体400は、複数の素線を撚り合わせた撚線であってもよい。
【0026】
(インシュレータの構成)
図5は、インシュレータ33を示し、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図、(d)は(a)のA−A線断面図、(e)は斜視図である。
【0027】
インシュレータ33は、樹脂等の絶縁体からなり、保持部331と、コア31と巻線32との間に介在する絶縁部332と、絶縁部332をステータ3の径方向に挟んで対向する外壁部333及び内壁部334と、外壁部333からステータ3の外周側に向かって突出し、ステータ3の軸方向に対して直交する上面335aを有する外鍔部335と、内壁部334からステータ3の内周側に向かって突出し、ステータ3の軸方向に対して直交する上面336aを有する内鍔部336とを一体に有している。
【0028】
保持部331は、ステータ3の軸方向に沿って外鍔部335の上面335aに立設され、径方向内側の内面331dが外壁部333に対向している。ステータ3の周方向における幅は、外鍔部335の周方向の幅よりも狭く形成されている。この保持部331は、インシュレータ33を形成するための金型により、絶縁部332、外壁部333、内壁部334、外鍔部335、及び内鍔部336と同時に形成される。
【0029】
外壁部333には、巻線32の一方の端部(端部321U,321V,321W)を挿通させる切り欠き333aが形成されている。切り欠き333aは、外壁部333の軸方向の端部から外鍔部335の上面335aに向かって形成されている。また、切り欠き333aは、保持部331の内面331dに対向しない部位に形成されている。
【0030】
内壁部334には、その軸方向の端部から内鍔部336の上面336aに向かって、巻線32の他方の端部(端部322U,322V,322W)を挿通させる切り欠き334aが形成されている。
【0031】
保持部331には、第1のバスリング41の一部を収容可能な第1の凹部331aと、第2のバスリング42の一部を収容可能な第2の凹部331bと、第3のバスリング43の一部を収容可能な第3の凹部331cとが、ステータ3の軸方向に沿って並んで形成されている。第1乃至第3の凹部331a,331b,331cは、ステータ3の周方向に沿って延びるように形成され、ステータ3の径方向に開口している。
【0032】
本実施の形態では、第1乃至第3の凹部331a,331b,331cがステータ3の径方向内側に向かって窪むように形成され、ステータ3の径方向外側に向かって開口している。また、第1乃至第3の凹部331a,331b,331cの底面は、第1乃至第3のバスリング41〜43の外周面の曲率に適合する円弧状に形成されている。
【0033】
また、保持部331には、その周方向の両端部に、第1乃至第3の凹部331a,331b,331cの底面から連続して外壁部333側に向かって延びる一対のガイド部331e,331fが形成されている。一対のガイド部331e,331fは、第1乃至第3の凹部331a,331b,331cの底面から連続する外表面がなだらかに湾曲し、外壁部333に近づくほど周方向の間隔が広くなっている。
【0034】
第1のバスリング41は、第1の凹部331aに一部が保持されて保持部331に保持される。第2のバスリング42は、第2の凹部331bに一部が保持されて保持部331に保持される。また、第3のバスリング43は、第3の凹部331cに一部が保持されて保持部331に保持される。
【0035】
第1乃至第3のバスリング41〜43は、第1乃至第3の凹部331a,331b,331cに圧入して挿入されている。ここで、圧入とは、第1乃至第3のバスリング41〜43を第1乃至第3の凹部331a,331b,331cの底面に向かって押し込むことをいう。より具体的には、第1乃至第3の凹部331a,331b,331cに押し込まれた第1乃至第3のバスリング41〜43が、容易には(例えば第1乃至第3のバスリング41〜43の自重によっては)、第1乃至第3の凹部331a,331b,331cから抜け出さない程度の力で押し込むことをいう。
【0036】
(第1乃至第3のバスリング41〜43の構成)
図6(a)は第1のバスリング41の部分拡大図、図6(b)は第2のバスリング42の部分拡大図、図6(c)は第3のバスリング43の部分拡大図である。
【0037】
第1のバスリング41は、中心導体400をU字状に屈曲して形成されたU字部411と、保持部331に保持される被保持部412と、U字部411の両端と被保持部412との間に径方向に延在して設けられた一対の延在部413とを一体に有している。第1のバスリング41における一対の延在部413のうち、一方の延在部413と他方の延在部413とは周方向に離間しており、一方の延在部413と他方の延在部413との間の隙間からU字部411にU相の巻線32Uの一方の端部321Uを挿通させることが可能となっている。
【0038】
同様に、第2のバスリング42は、中心導体400をU字状に屈曲して形成されたU字部421と、保持部331に保持される被保持部422と、U字部421の両端と被保持部422との間に径方向に延在して設けられた一対の延在部423とを一体に有している。第2のバスリング42における一対の延在部423のうち、一方の延在部423と他方の延在部423とは周方向に離間しており、一方の延在部423と他方の延在部423との間の隙間からU字部421にV相の巻線32Vの一方の端部321Vを挿通させることが可能となっている。
【0039】
また同様に、第3のバスリング43は、中心導体400をU字状に屈曲して形成されたU字部431と、保持部331に保持される被保持部432と、U字部431の両端と被保持部432との間に径方向に延在して設けられた一対の延在部433とを一体に有している。第3のバスリング43における一対の延在部433のうち、一方の延在部433と他方の延在部433とは周方向に離間しており、一方の延在部433と他方の延在部433との間の隙間からU字部431にW相の巻線32Wの一方の端部321Wを挿通させることが可能となっている。
【0040】
第1のバスリング41において、被保持部412と延在部413とは折り曲げ部413aで折り曲げられている。本実施の形態では、折り曲げ部413aにおける折り曲げ角(被保持部412と延在部413とがなす角)が鈍角であり、一対の延在部413は、径方向内側ほど(U字部411に近づくほど)互いの間隔が狭くなっている。すなわち、一対の延在部413は、第1のバスリング41の径方向に対して傾斜しながら、径方向内方に向かって延在している。一方の延在部413における折り曲げ部413aと他方の延在部413における折り曲げ部413aとは、周方向に離間している。第2のバスリング42の折り曲げ部423a、及び第3のバスリング43の折り曲げ部433aについても同様である。
【0041】
第1のバスリング41のU字部411は、円弧状の円弧部411aと、円弧部411aを挟んで周方向に対向し、軸方向に延びる一対の軸部411b,411cとからなる。同様に、第2のバスリング42のU字部421は、円弧状の円弧部421aと、円弧部421aを挟んで周方向に対向し、軸方向に延びる一対の軸部421b,421cとからなる。また同様に、第3のバスリング43のU字部431は、円弧状の円弧部431aと、円弧部431aを挟んで周方向に対向し、軸方向に延びる一対の軸部431b,431cとからなる。
【0042】
第1のバスリング41の一対の軸部411b,411cには、その対向部に被保持部412及び延在部413における中心導体400の外周面よりも曲率の大きい円弧状の突起411d,411eがそれぞれ形成されている。一対の軸部411b,411cにおける突起411d,411eとは反対側の面は、第1のバスリング41の周方向に対して直交するように形成された平坦な側面411f,411gとして形成されている。
【0043】
また、図6(b),(c)に示すように、第2のバスリング42の一対の軸部421b,421c及び第3のバスリング43の一対の軸部431b,431cにも、第1のバスリング41の一対の軸部421b,421cと同様に、円弧状の突起421d,421e,431d,431e、ならびに平坦な側面421f,421g,431f,431gが形成されている。
【0044】
図4に示すように、第1乃至第3のバスリング41〜43には、それぞれ8つのU字部411,421,431が周方向に等間隔に形成されている。第1のバスリング41のU字部411における軸部411b,411cの長さは、第2のバスリング42のU字部421における軸部421b,421cの長さよりも短く、第3のバスリング43のU字部431における軸部431b,431cの長さは、第2のバスリング42のU字部421における軸部421b,421cの長さよりも長く形成されている。これにより、第1乃至第3のバスリング41〜43の軸方向における位置の違いを吸収し、巻線32の一方の端部(端部321U,321V,321W)が円弧部411a,421a,431aの近傍でU字部411,421,431を挿通するように構成されている。
【0045】
第1のバスリング41とU相の巻線32Uとは、U字部411にU相の巻線32Uの一方の端部321Uが挿通された状態で、このU字部411において電気的に接続されている。同様に、第2のバスリング42とV相の巻線32Vとは、U字部421にV相の巻線32Vの一方の端部321Vが挿通された状態で、このU字部421において電気的に接続されている。また同様に、第3のバスリング43とW相の巻線32Wとは、U字部431にW相の巻線32Wの一方の端部321Uが挿通された状態で、このU字部431において電気的に接続されている。
【0046】
図2及び図3に示すように、ステータ3には、複数の保持部331が周方向に沿って間隔をあけて配置され、第1乃至第3のバスリング41〜43は、一対の延在部413,423,433がステータ3の周方向に隣り合う一対の保持部331の間から被保持部412,422,432の第1乃至第3の凹部331a,331b,331cへの挿入方向に突出して配置されている。
【0047】
本実施の形態では、第1乃至第3のバスリング41〜43の被保持部412,422,432がステータ3の径方向内側に向かって第1乃至第3の凹部331a,331b,331cに挿入されるので、一対の延在部413,423,433は、隣接する一対のインシュレータ33の保持部331間の隙間から外壁部333に向かって突出して配置されている。これにより、U字部411,421,431が外壁部333に形成された切り欠き333aに対向する位置に位置決めされる。
【0048】
また、ステータ3の周方向に隣り合う一対の保持部331間の間隔は、第1のバスリング41の一対の延在部413の周方向の幅、第2のバスリング42の一対の延在部423の周方向の幅、及び第3のバスリング43の一対の延在部431の周方向の幅に対応した間隔である。ここで、「対応した間隔」とは、隣り合う一対の保持部331の間に一対の延在部413,423,433を配置可能であり、かつ一対の延在部413,423,433と保持部331のガイド部331e,331fとの当接により、U字部411,421,431を切り欠き333aに対向する位置に位置決めすることが可能となる寸法関係を有していることをいう。
【0049】
図7(a)は、集配電リング4の一部を軸方向から見た平面図である。本実施の形態では、第1のバスリング41の一対の延在部413の周方向の幅W、第2のバスリング42の一対の延在部423の周方向の幅W、及び第3のバスリング43の一対の延在部433の周方向の幅Wが同じ幅である。なお、図7(a)では、延在部413,423,433の中央部における周方向の幅を幅W,W,Wとして示している。
【0050】
図7(b)は、図7(a)に示した部分に対応するステータ3の一部を軸方向から見た平面図である。ステータ3の周方向に隣り合う一対の保持部331間の間隔(一対の保持部331のうち、一方の保持部331におけるガイド部331eと他方の保持部331におけるガイド部331fとの間隔)Dは、幅W,W,Wよりも僅かに大きく、一対の保持部331間の間隔Dは、例えば幅W,W,Wの1.01以上1.1倍以下である。これにより、保持部331における一対のガイド部331e,331fの外表面と一対の延在部413,423,433との間に、僅かな隙間が形成される。なお、図7(b)では、図7(a)に示す延在部413,423,433の中央部に対向する部分の保持部331間の間隔を間隔Dとして示している。
【0051】
(電動機1の製造方法)
次に、電動機1の製造方法について説明する。なお、以下に述べる製造方法は、電動機1の製造方法の具体的な一例として示すものであり、この手順によらなくとも電動機1を製造することが可能である。
【0052】
電動機1の製造方法は、コア31にインシュレータ33を装着してインシュレータ33の絶縁部332に巻線32を巻き回した複数のコア組立体30を製造するコア組立体製造工程と、複数のコア組立体30を環状に配置してステータ3を形成する配置工程と、インシュレータ33の保持部331に第1乃至第3のバスリング41〜43を保持する保持工程と、U相,V相,及びW相の巻線32U,32V,32Wの一方の端部321U,321V,321Wと第1乃至第3のバスリング41〜43とを接続する第1の接続工程と、第4のバスリング44をインシュレータ33の内鍔部336上に配置してU相,V相,及びW相の巻線32U,32V,32Wの他方の端部322U,322V,322Wに接続する第2の接続工程とを有する。
【0053】
図8は、配置工程を示す説明図である。配置工程では、24個のコア組立体30を環状に配置してステータ3を形成する。前述のように、ステータ3の周方向における保持部331の幅は、外鍔部335の周方向の幅よりも狭いので、隣り合う一対の保持部331の間には隙間が形成される。
【0054】
保持工程では、第1乃至第3のバスリング41〜43の一方の端部のみに給電端子410,420,430を圧着した状態で、第1乃至第3のバスリング41〜43の被保持部412,422,432を各保持部331の第1乃至第3の凹部331a,331b,331cに順次挿入し、第1乃至第3のバスリング41〜43をステータ3に保持する。その後、給電端子410,420,430を第1乃至第3のバスリング41〜43の他方の端部にも圧着することにより、第1乃至第3のバスリング41〜43が環状となり、径方向外方に広がって第1乃至第3の凹部331a,331b,331cから被保持部412,422,432が抜け出すことが抑止され、第1乃至第3のバスリング41〜43の保持状態が確実となる。
【0055】
なお、保持工程において、第1乃至第3のバスリング41〜43の被保持部412,422,432を各保持部331の第1乃至第3の凹部331a,331b,331cに挿入する前に第1乃至第3のバスリング41〜43の一方の端部に給電端子410,420,430を圧着せず、被保持部412,422,432を各保持部331の第1乃至第3の凹部331a,331b,331cに挿入した後に、第1乃至第3のバスリング41〜43の一方の端部及び他方の端部における中心導体400に給電端子410,420,430を圧着してもよい。
【0056】
つまり、第1乃至第3のバスリング41〜43の両端部に給電端子410,420,430が接続されるのが、被保持部412,422,432を各保持部331の第1乃至第3の凹部331a,331b,331cに挿入した後であればよい。すなわち、保持工程は、第1乃至第3のバスリング41〜43のそれぞれの一部を第1乃至第3の凹部331a,331b,331cに収容した後に中心導体400の両端部を給電端子410,420,430に接続する工程である。
【0057】
図9は、第1の接続工程を説明するための説明図である。この図9では、例として第3のバスリング43のU字部431にW相の巻線32Wの一方の端部321Wを接続する際の状態を示しているが、第1及び第2のバスリング41,42のU字部411,421とU相及びV相の巻線32U,32Vの一方の端部321U,321Vとの接続も、同様に行うことができる。
【0058】
図10(a)及び(b)は、第1の接続工程を行う前の第3のバスリング43のU字部431とW相の巻線32Wの一方の端部321Wとを示し、図10(c)及び(d)は、第1の接続工程を行った後の第3のバスリング43のU字部431とW相の巻線32Wの一方の端部321Wとを示す。(a)及び(c)はW相の巻線32Wの一方の端部321Wに沿ってU字部431を切断した断面図であり、(b)及び(d)はW相の巻線32Wの一方の端部321Wに直交する方向に沿ってU字部431を切断した断面図である。
【0059】
第1乃至第3のバスリング41〜43とU相,V相,及びW相の巻線32U,32V,32Wとは、各巻線の一方の端部321U,321V,321Wが挿通された状態のU字部411,421,431を加締めることによって電気的に接続される。
【0060】
より具体的に、本実施の形態では、この接続を熱加締め(ヒュージング)によって行う。すなわち、各巻線の一方の端部321U,321V,321Wが挿通された状態のU字部411,421,431を加熱しながら加締めることによって第1乃至第3のバスリング41〜43とU相,V相,及びW相の巻線32U,32V,32Wとを電気的に接続する。U字部411,421,431には予め錫メッキが施され、加熱によってメッキされた錫が溶融することにより、電気的な接続がより確実となる。
【0061】
この熱加締めは、図9に示すように、正電極51を側面431f(図10に示す)に接触させると共に、負電極52を側面431g(図10に示す)に接触させ、一対の軸部431b,431cを正電極51及び負電極52によってW相の巻線32Wの一方の端部321Wに押し付けながら、正電極51と負電極52との間に直流電圧を印加する。すると、この正電極51から、U字部431の軸部431b、巻線32Wの一方の端部321W、U字部431の軸部431cを介して負電極52に直流電流が流れ、そのジュール熱によって先ずメッキされた錫が溶融し、続いてU字部431の円弧状の突起431d,431eが溶融する。これにより、第3のバスリング43のU字部431とW相の巻線32Wの一方の端部321Wとが電気的に接続される。
【0062】
なお、この熱加締めによって、図10に示すように一対の軸部431b,431c間の距離が狭くなるが、この軸部431b,431c間の距離の変化は、第3のバスリング43の径方向に対する一対の延在部433の傾きが変化することによって吸収される。つまり、第1の接続工程では、巻線32Wの一方の端部321Wが第3のバスリング43のU字部431に挿通された状態でU字部431の周方向の両側から加締められ、この端部321WをU字部431の一対の軸部431b,431c間に挟んだ状態とし、電気的に接続する。この接続後において、一対の延在部433同士、及び折り曲げ部433a同士は互いに接触せず、加締めによって第3のバスリング43が縮径してしまうことが抑制されている。
【0063】
なお、第1及び第2のバスリング41,42においても、一対の延在部413,423は、第3のバスリング43と同様に、U字部411,421が巻線32U,32Vの一方の端部321U,321Vに接続された状態で、互いに接触しない。
【0064】
(第1の実施の形態の作用及び効果)
以上説明した実施の形態によれば、以下のような作用及び効果が得られる。
【0065】
(1)第1乃至第3のバスリング41〜43がインシュレータ33に形成された保持部331に保持されるので、例えばモールド成形された樹脂によって第1乃至第3のバスリング41〜43を一体化する必要がなく、集配電リング4ひいては電動機1の製造コストを低減することが可能となる。
【0066】
(2)保持部331の第1乃至第3の凹部331a,331b,331cは、ステータ3の軸方向に沿って形成され、ステータ3の径方向に開口しているので、例えば給電端子410,420,430を圧着する前の状態で第1乃至第3のバスリング41〜43を拡径し、ステータ3の周方向の複数箇所に形成された保持部331の第1乃至第3の凹部331a,331b,331cに順次第1乃至第3のバスリング41〜43の被保持部412,422,432を挿入することができ、組み付けが容易となる。
【0067】
(3)第1乃至第3のバスリング41〜43の被保持部412,422,432は、第1乃至第3の凹部331a,331b,331cに圧入して挿入されるので、一旦挿入した被保持部412,422,432が容易に第1乃至第3の凹部331a,331b,331cから抜け出すことがなく、組み付けがさらに容易となる。
【0068】
(4)第1乃至第3のバスリング41〜43は、それぞれ一本の絶縁電線を屈曲してU字部411,421,431、被保持部412,422,432、及び延在部413,423,433が形成され、U相,V相,及びW相の巻線32U,32V,32Wの一方の端部321U,321V,321WがU字部411,421,431に挿通された状態で電気的に接続されるので、例えば接続端子によって第1乃至第3のバスリング41〜43とU相,V相,及びW相の巻線32U,32V,32Wとを接続する必要がなく、製造効率を高めて集配電リング4ひいては電動機1の製造コストを低減することが可能となる。
【0069】
(5)第1乃至第3のバスリング41〜43とU相,V相,及びW相の巻線32U,32V,32Wとは、U字部411,421,431の熱加締めによって接続されるので、強固に接続することが可能となる。
【0070】
(6)一対の延在部413,423,433は、ステータ3の周方向に隣り合う保持部331の間から径方向内方に向かって突出して配置されるので、被保持部412,422,423と延在部413,423,433とを例えば同一平面上に配置することができ、第1乃至第3のバスリング41〜43の軸方向の寸法の増大を抑制することができる。また、U字部411,421,431の加締めによって第1乃至第3のバスリング41〜43が縮径しても、その縮径によって被保持部412,422,423が第1乃至第3の凹部331a,331b,331cの奥側に入り込むので、より確実に第1乃至第3のバスリング41〜43が保持部311に保持されることとなる。
【0071】
(7)ステータ3の周方向に隣り合う保持部331間の間隔は、第1乃至第3のバスリング41,42,43の一対の延在部413,423,433の周方向の幅に対応した幅であるので、U字部411,421,431を切り欠き333aに対向する位置、すなわちU相,V相,及びW相の巻線32U,32V,32Wの一方の端部321U,321V,321Wを挿通させる位置に位置決めすることが可能となり、組み付け性が向上する。
【0072】
(8)一対の延在部413,413,433は、U字部411,421,431が巻線32U,32V,32Wの一方の端部321U,321V,321Wに接続された状態において互いに接触しないので、第1乃至第3のバスリング41〜43とU相,V相,及びW相の巻線32U,32V,32Wとの接続時において、一対の延在部413,413,433同士の接触によってU字部411,421,431の加締めが妨げられることなく、確実に接続を行えると共に、U字部411,421,431の加締めによって第1乃至第3のバスリング41〜43が縮径してしまうことを抑制することができる。
【0073】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0074】
図11は、第2の実施の形態に係るインシュレータ33の保持部331Aを拡大して示す断面図である。本実施の形態に係るインシュレータ33は、その保持部331Aの形状が第1の実施の形態に係る保持部331の形状と異なる他は、第1の実施の形態と同様であるので、第1の実施の形態について説明した構成要素と共通する構成要素については、第1の実施の形態で用いた符号と同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
【0075】
本実施の形態では、保持部331Aに第1乃至第3のバスリング41〜43を係止して、第1乃至第3のバスリング41〜43の第1乃至第3の凹部331a,331b,331cからの抜け出しを防止する係止部331h,331j,331lが設けられている。
【0076】
この抜け止め構造について、図11を参照してより具体的に説明する。第1のバスリング41の被保持部412(図11に二点鎖線で示す)を保持する第1の凹部331aは、上壁部331gと中壁部331iとの間に設けられ、上壁部331gにおける先端部から中壁部331iに向かって突出するように、係止部331hが形成されている。
【0077】
また、第2のバスリング42の被保持部422(図11に二点鎖線で示す)を保持する第2の凹部331bは、中壁部331iと下壁部331kとの間に設けられ、中壁部331iにおける先端部から下壁部331kに向かって突出するように、係止部331jが形成されている。
【0078】
またさらに、第3のバスリング43の被保持部432(図11に二点鎖線で示す)を保持する第3の凹部331cは、下壁部331kと外鍔部335との間に設けられ、下壁部331kにおける先端部から外鍔部335に向かって突出するように、係止部331lが形成されている。
【0079】
係止部331hと中壁部331iとの間隔Wは、第1のバスリング41の被保持部412の直径よりも小さい。同様に、係止部331jと下壁部331kとの間隔W、及び係止部331lと外鍔部335との間隔Wは、第2及び第3のバスリング42,43の被保持部422,423の直径よりも小さい。このため、第1乃至第3のバスリング41〜43を保持部331Aの第1乃至第3の凹部331a,331b,331cに挿入する際は、上壁部331g,中壁部331i,及び下壁部331kを弾性変形させながら圧入する。
【0080】
本実施の形態によれば、係止部331h,331j,331lによって、第1乃至第3の凹部331a,331b,331cからの第1乃至第3のバスリング41〜43の抜け出しが、より確実に抑制される。
【0081】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0082】
第1の実施の形態では、第1のバスリング41におけるU字部411の軸部411b,411cの長さ、第2のバスリング42におけるU字部421の軸部421b,421cの長さ、及び第3のバスリング43におけるU字部431の軸部431b,431cの長さがそれぞれ異なっていたが、本実施の形態では、第1乃至第3のバスリング41〜43が同一の形状である。また、本実施の形態では、コア組立体30の形状が、第1の実施の形態とは異なっている。
【0083】
図12は、第3の実施の形態に係るコア組立体30を示す側面図である。第1の実施の形態では、巻線32の一方の端部(U相,V相,及びW相の巻線32U,32V,32Wの一方の端部321U,321V,321W)がステータ3の径方向に平行に、インシュレータ33の外壁部33の切り欠き333aから突出していたが、本実施の形態では、図12に示すように、巻線32の一方の端部321がステータ3の径方向に対して傾斜して、その先端部ほど外鍔部335から離間するように突出している。また、外壁部33の切り欠き333aにおける切り欠き長さが第1の実施の形態よりも長くなっている。
【0084】
図12に示すコア組立体30は、ステータ3内における配置位置によって、巻線32がU相,V相,及びW相の巻線32U,32V,32Wの何れかとなり、巻線32の一方の端部321がU相,V相,及びW相の巻線32U,32V,32Wの一方の端部321U,321V,321Wの何れかとなる。巻線32の他方の端部322は、第4のバスリング44に接続される。
【0085】
図13は、本実施の形態における第1乃至第3のバスリング41〜43と、U相,V相,及びW相の巻線32U,32V,32Wの一方の端部321U,321V,321Wとの接続構造を示す断面図であり、(a)は第1のバスリング41とU相の巻線32Uの一方の端部321Uとの接続構造を、(b)は第2のバスリング42とV相の巻線32Vの一方の端部321Vとの接続構造を、(c)は第3のバスリング43とW相の巻線32Wの一方の端部321Wとの接続構造をそれぞれ示す。
【0086】
図13に示すように、本実施の形態では、第1のバスリング41におけるU字部411の軸部411b,411cの長さ、第2のバスリング42におけるU字部421の軸部421b,421cの長さ、及び第3のバスリング43におけるU字部431の軸部431b,431cの長さが共通であり、これら各軸部の長さが第1の実施の形態に係る第1のバスリング41のU字部411の軸部411b,411cの長さと同じである。すなわち、本実施の形態に係る第1乃至第3のバスリング41〜43の形状は、第1の実施の形態に係る第1のバスリング41の形状と同一である。
【0087】
図13(a)に示すように、U相の巻線32Uの一方の端部321Uは、図12に示すコア組立体30の状態から屈曲されることなく、第1のバスリング41のU字部411に接続される。この接続は、例えば第1の実施の形態において図9及び図10を参照して説明した熱加締めによって行うことができる。
【0088】
図13(b)に示すように、第2のバスリング42とV相の巻線32Vの一方の端部321Vとの接続は、第2のバスリング42と巻線32Vとの接触によって巻線32Vを下方(外鍔部335側)に屈曲し、巻線32Vの一方の端部321Vを第2のバスリング42のU字部421に挿通させた状態で行われる。この巻線32Vの屈曲は、第2のバスリング42の下方への移動に伴って行ってもよく、第2のバスリング42の組み付けに先立って予め行っておいてもよい。
【0089】
図13(c)に示すように、第3のバスリング43とW相の巻線32Wの一方の端部321Wとの接続は、第3のバスリング43と巻線32Wとの接触によって巻線32Wを下方(外鍔部335側)に屈曲し、巻線32Wの一方の端部321Wを第3のバスリング43のU字部431に挿通させた状態で行われる。この巻線32Wの屈曲は、第3のバスリング43の下方への移動に伴って行ってもよく、第3のバスリング43の組み付けに先立って予め行っておいてもよい。また、W相の巻線32Wは、V相の巻線32Vよりも大きく下方に屈曲される。
【0090】
すなわち、本実施の形態では、第1の実施の形態において説明した電動機1の製造方法の各工程に加え、U相、V相、及びW相の巻線32U,32V,32Wのうち、少なくとも一部の巻線をステータ3の軸方向における第1乃至第3のバスリング41〜43の位置に応じて屈曲し、第1乃至第3のバスリング41〜43との接続部位の位置を合わせる位置合わせ工程をさらに有している。
【0091】
本実施の形態によれば、第1乃至第3のバスリング41〜43が同一の形状であるので、集配電リング4及び電動機1における部品の種類の数を削減することができ、また誤組み付けによる不良品の発生も抑制することができる。
【0092】
なお、本実施の形態では、巻線32の一方の端部321を予め上方(外鍔部335から離間する方向)に突出させ、ステータ3の軸方向における第1乃至第3のバスリング41〜43の位置に応じて外壁部333から突出した巻線32を下方に屈曲させる場合について説明したが、これとは逆に、巻線32の一方の端部321を予め下方に突出させ、第1乃至第3のバスリング41〜43の位置に応じて上方に屈曲させてもよい。すなわち、U相,V相,及びW相の巻線32U,32V,32Wのうち少なくとも一部の巻線をステータ3の軸方向における第1乃至第3のバスリング41〜43の位置に応じて屈曲させれば、第1乃至第3のバスリング41〜43を同一の形状として本実施の形態の効果を得ることができる。
【0093】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0094】
第1乃至第3の実施の形態では、保持部331,331Aの第1乃至第3の凹部331a,331b,331cがステータ3の軸方向に並び、第1乃至第3のバスリング41〜43がステータ3の軸方向に並列して配置されていたが、本実施の形態では、保持部331Bにおいて第1乃至第3のバスリング41〜43を保持する第1乃至第3の凹部331a,331b,331cがステータ3の径方向に沿って並んで形成されている。
【0095】
図14(a)は、本実施の形態に係るインシュレータ33Bの一部を拡大して示す断面図である。図14(b)は、インシュレータ33Bにコア31及び第1乃至第3のバスリング41〜43を組み付けた状態を示す断面図である。図14(a)及び(b)において、第1の実施の形態について説明した構成要素と共通する構成要素については、第1の実施の形態で用いた符号と同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
【0096】
図14(a)に示すように、保持部331Bは外鍔部335の上面335a側に設けられている。保持部331Bには、第1の凹部331aが最も外周側に形成され、第3の凹部331cが最も内周側に形成されている。第2の凹部331bは、第1の凹部331aと第3の凹部331cとの間に形成されている。
【0097】
図14(b)に示すように、第1のバスリング41は、その一部が第1の凹部331aに収容され、第2のバスリング42は、その一部が第2の凹部331bに収容される。また、第3のバスリング43は、その一部が第3の凹部331cに収容される。第1のバスリング41は、第2のバスリング42よりも大径であり、第3のバスリング43は、第2のバスリング42よりも小径である。
【0098】
図14(b)に示すように、第1のバスリング41は、絶縁体401が除去されて中心導体400が露出した部分に接続端子6が接続され、この接続端子6を介してU相の巻線32Uの一方の端部321Uに電気的に接続される。なお、図示は省略しているが、第2のバスリング42及び第3のバスリング43も同様に、接続端子6を介して巻線32に電気的に接続される。
【0099】
接続端子6は、中心導体400に加締めによって接続される第1の接続部60と、第1の接続部60からステータ3の軸方向に延在する第1の延在部61と、第1の延在部61の端部からステータ3の径方向に延在して外壁部333側に向かって延在する第2の延在部62と、巻線32の一方の端部(図14(b)ではU相の巻線32Uの一方の端部321U)に加締めによって接続される第2の接続部63とを有している。
【0100】
本実施の形態によれば、第1乃至第3のバスリング41〜43の収容スペースの軸方向寸法を小さくすることが可能となる。
【0101】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0102】
[1]環状に配置された複数のコア(31)と、前記複数のコア(31)にそれぞれ巻き回された巻線(32)と、前記コア(31)と前記巻線(32)との間を絶縁するインシュレータ(33)とを備えたステータ(3)に、前記巻線(32)に電流を集配電する環状の複数の集配電部材(41〜43)を保持する集配電部材(41〜43)の保持構造であって、前記インシュレータ(33)には、前記複数の集配電部材(41〜43)の一部をそれぞれ収容可能な複数の凹部(331a,331b,331c)が形成された保持部(331)が形成されており、前記複数の集配電部材(41〜43)は、前記凹部(331a,331b,331c)に一部が収容されて前記保持部(331)に保持された、集配電部材(41〜43)の保持構造。
【0103】
[2]前記複数の凹部(331a,331b,331c)は、前記ステータ(3)の軸方向に沿って並んで形成され、前記ステータ(3)の径方向に開口している、前記[1]に記載の集配電部材(41〜43)の保持構造。
【0104】
[3]前記複数の集配電部材(41〜43)は、前記凹部(331a,331b,331c)に圧入して挿入された、前記[1]又は[2]に記載の集配電部材(41〜43)の保持構造。
【0105】
[4]前記保持部には、前記集配電部材(41〜43)を係止して前記集配電部材の前記凹部からの抜け出しを防止する係止部が設けられた、前記[1]乃至[3]の何れか1つに記載の集配電部材(41〜43)の保持構造。
【0106】
[5]前記集配電部材(41〜43)は、金属導体をU字状に屈曲して形成されたU字部(411,421,431)と、前記保持部(331)に保持される被保持部(412,422,432)と、前記U字部(411,421,431)の両端と前記被保持部(412,422,432)との間に径方向に延在して設けられた一対の延在部(413,423,433)とを一体に有し、前記U字部(411,421,431)に前記巻線(32)の端部が挿通された状態で、前記集配電部材(41〜43)と前記巻線(32)とが電気的に接続された、[1]乃至[4]の何れか1つに記載の集配電部材(41〜43)の保持構造。
【0107】
[6]前記集配電部材(41〜43)と前記巻線(32)とが、前記巻線(32)の端部(321U,321V,321W)が挿通された状態の前記U字部(411,421,431)を加締めることによって電気的に接続された、前記[5]に記載の集配電部材(41〜43)の保持構造。
【0108】
[7]前記U字部(411,421,431)には錫メッキが施され、前記集配電部材(41〜43)と前記巻線(32)とが、前記巻線(32)の端部(321U,321V,321W)が挿通された状態の前記U字部(411,421,431)を熱加締めすることによって電気的に接続された、前記[5]に記載の集配電部材(41〜43)の保持構造。
【0109】
[8]前記一対の延在部(413,423,433)は、前記U字部(411,421,431)が前記巻線の端部(321U,321V,321W)に電気的に接続された状態で、互いに接触しない、[6]又は[7]に記載の集配電部材の保持構造。
【0110】
[9]前記ステータ(3)には、複数の前記保持部(331)が前記ステータ(3)の周方向に沿って間隔をあけて配置され、前記集配電部材(41〜43)は、前記一対の延在部(413,423,433)が前記ステータ(3)の周方向に隣り合う一対の前記保持部(331)の間から前記被保持部(412,422,432)の前記凹部(331a,331b,331c)への挿入方向に突出して配置されている、前記[5]乃至[8]の何れか1つに記載の集配電部材(41〜43)の保持構造。
【0111】
[10]前記ステータ(3)の周方向に隣り合う一対の前記保持部(331)間の間隔(D)が、前記一対の延在部の周方向の幅(W,W,W)に対応した間隔である、前記[9]に記載の集配電部材(41〜43)の保持構造。
【0112】
[11]前記複数の集配電部材(41〜43)は、同一の形状である、前記[1]乃至[10]の何れか1項に記載の集配電部材(41〜43)の保持構造。
【0113】
[12]前記複数の巻線(32)のうち少なくとも一部の巻線(32)は、前記ステータ(3)の軸方向における前記複数の集配電部材(41〜43)の位置に応じて屈曲された、前記[11]に記載の集配電部材(41〜43)の保持構造。
【0114】
[13]前記複数の凹部(331a,331b,331c)は、前記ステータ(3)の径方向に沿って並んで形成され、前記ステータ(3)の軸方向に開口している、前記[1]に記載の集配電部材(41〜43)の保持構造。
【0115】
[14]環状に配置された複数のコア(31)、前記コア(31)に巻き回されたU相、V相、及びW相の巻線(32U,32V,32W)、及び前記コア(31)と前記巻線(32U,32V,32W)との間を絶縁するインシュレータ(33)を備えたステータ(3)と、前記U相の巻線(32U)に電流を集配電する環状の第1の集配電部材(41)と、前記V相の巻線(32V)に電流を集配電する環状の第2の集配電部材(42)と、前記W相の巻線(32W)に電流を集配電する環状の第3の集配電部材(43)とを備え、前記インシュレータ(33)には、前記第1乃至第3の集配電部材(41〜43)のそれぞれの一部を収容可能な複数の凹部(331a,331b,331c)が形成された保持部(331)が形成されており、前記第1乃至第3の集配電部材(41〜43)は、前記凹部(331a,331b,331c)に一部が収容されて前記保持部(331)に保持された、電動機(1)。
【0116】
[15]前記[14]に記載の電動機(1)の製造方法であって、前記保持部(331)に前記第1乃至第3の集配電部材(41〜43)を保持する保持工程と、前記U相、V相、及びW相の巻線(32U,32V,32W)と前記第1乃至第3の集配電部材(41〜43)とを接続する接続工程とを有する、電動機(1)の製造方法。
【0117】
[16]前記U相、V相、及びW相の巻線(32U,32V,32W)のうち少なくとも一部の巻線(32)を前記第1乃至第3の集配電部材(41〜43)における前記ステータ(3)の軸方向の位置に応じて屈曲し、前記第1乃至第3の集配電部材(41〜43)との接続部位の位置を合わせる位置合わせ工程をさらに有する、前記[14]に記載の電動機(1)の製造方法。
【0118】
[17]前記電動機(1)は、前記第1乃至第3の集配電部材(41〜43)が線状導体(400)を環状に形成してなり、前記線状導体(400)の両端部が一つの端子(410,420,430)に接続され、前記保持工程は、前記第1乃至第3の集配電部材(41〜43)のそれぞれの一部を前記凹部(331a,331b,331c)に収容した後に前記線状導体(400)の両端部を前記端子(410,420,430)に接続する工程である、[15]又は[16]に記載の電動機(1)の製造方法。
【0119】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0120】
1…電動機、2…ロータ、3…ステータ、4…集配電リング、6…接続端子、21…シャフト、22…磁石、30…コア組立体、31…コア、31U…U相のコア、31V…V相のコア、31W…W相のコア、32…巻線、32U…U相の巻線、32V…V相の巻線、32W…W相の巻線、33…インシュレータ、41…第1のバスリング(第1の集配電部材)、42…第2のバスリング(第2の集配電部材)、43…第3のバスリング(第3の集配電部材)、44…第4のバスリング、51…正電極、52…負電極、60…第1の接続部、61…第1の延在部、62…第2の延在部、63…第2の接続部、310…電磁鋼板、321U,321V,321W…一方の端部、322U,322V,322W…他方の端部、331,331A…保持部、331a…第1の凹部、331b…第2の凹部、331c…第3の凹部、331d…内面、331e,331f…ガイド部、331g…上壁部、331i…中壁部、331k…下壁部、331h,331j,331l…係止部、332…絶縁部、333…外壁部、333a…切り欠き、334…内壁部、335…外鍔部、335a…上面、336…内鍔部、336a…上面、400…中心導体、401…絶縁体、410,420,430…給電端子、411,421,431…U字部、411a,421a,431a…円弧部、411b,411c,421b,421c,431b,431c…軸部、411d,411e,421d,421e,431d,431e…突起、411f,411g,421f,421g,431f,431g…側面、412,422,432…被保持部、413,423,433…延在部、413a,423a,433a…折り曲げ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14