(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記少なくとも1つの処理ユニットがモニタモードに設定されているときに、前記基板搬送機構に対し、当該モニタモードと関連付けられた処理条件を用いて処理すべきモニタ基板を、当該モニタモードに設定された処理ユニットに製品基板よりも優先的に搬入させることを特徴とする、請求項2記載の基板処理装置。
前記制御装置は、前記少なくとも1つの処理ユニットがモニタモードに設定されているときに、当該モニタモードに設定された処理ユニットにおいて当該モニタモードと関連付けられた処理条件を用いてモニタウエハが処理された後は、当該モニタモードに設定された処理ユニットに製品基板の搬入を禁止する、請求項2記載の基板処理装置。
前記モニタモード設定手段は、前記制御装置に指令を送ることができる上位の制御装置、または前記制御装置に指令を入力することができるユーザインターフェイスである、請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の基板処理装置。
基板に対し、複数種類の処理を複数種類の処理条件にて実行することができる複数の処理ユニットと、前記複数の処理ユニットに基板を搬送する基板搬送機構と、を備えた基板処理装置の運用方法において、
前記基板搬送機構に、前記複数の処理ユニットの各々に対して設定された運用モードに基づいて基板を搬送させ、かつ、前記複数の処理ユニットの少なくとも1つの運用モードがモニタモードに設定されているときに、前記基板搬送機構が対して、当該モニタモードと関連付けられた処理条件と異なる処理条件に関連付けられた処理を行うべき製品基板を、当該モニタモードに設定された前記少なくとも1つの処理ユニットのいずれかに搬入することを許可することを特徴とする、運用方法。
前記少なくとも1つの処理ユニットがモニタモードに設定されているときに、前記基板搬送機構に、当該モニタモードと関連付けられた処理条件を用いて処理すべきモニタ基板を、当該モニタモードに設定された処理ユニットに製品基板よりも優先的に搬入させることを特徴とする、請求項8記載の運用方法。
前記少なくとも1つの処理ユニットがモニタモードに設定されているときに、当該モニタモードに設定された処理ユニットにおいて当該モニタモードと関連付けられた処理条件を用いてモニタウエハが処理された後は、当該モニタモードに設定された処理ユニットに製品基板の搬入を禁止する、請求項8記載の運用方法。
基板に対し、複数種類の処理を複数種類の処理条件にて実行することができる複数の処理ユニットと、前記複数の処理ユニットに基板を搬送する基板搬送機構と、前記基板搬送機構を制御する制御装置と、前記基板搬送機構を制御するコンピュータからなる制御装置と、を備えた基板処理装置において、前記コンピュータにより実行可能なプログラムを記憶する記憶媒体であって、
前記プログラムが前記コンピュータにより実行されると、前記制御装置が、前記基板処理装置に請求項7から11のうちのいずれか一項に記載の運用方法を実行させる記憶媒体。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す図である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0014】
図1に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
【0015】
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚のウエハWを水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
【0016】
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14とを備える。基板搬送装置13は、ウエハWを保持する基板保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、基板保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウエハWの搬送を行う。
【0017】
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数の処理ユニット16とを備える。複数の処理ユニット16は、搬送部15の両側に並べて設けられる。
【0018】
搬送部15は、内部に基板搬送装置17を備える。基板搬送装置17は、ウエハWを保持する基板保持機構を備える。また、基板搬送装置17は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、基板保持機構を用いて受渡部14と処理ユニット16との間でウエハWの搬送を行う。
【0019】
処理ユニット16は、基板搬送装置17によって搬送されるウエハWに対して所定の基板処理を行う。
【0020】
また、基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部18と記憶部19とを備える。記憶部19には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
【0021】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置4の記憶部19にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0022】
上記のように構成された基板処理システム1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCからウエハWを取り出し、取り出したウエハWを受渡部14に載置する。受渡部14に載置されたウエハWは、処理ステーション3の基板搬送装置17によって受渡部14から取り出されて、処理ユニット16へ搬入される。
【0023】
処理ユニット16へ搬入されたウエハWは、処理ユニット16によって処理された後、基板搬送装置17によって処理ユニット16から搬出されて、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済のウエハWは、基板搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
【0024】
次に、処理ユニット16の概略構成について
図2を参照して説明する。
図2は、処理ユニット16の概略構成を示す図である。
【0025】
図2に示すように、処理ユニット16は、チャンバ20と、基板保持機構30と、処理流体供給部40と、回収カップ50とを備える。
【0026】
チャンバ20は、基板保持機構30と処理流体供給部40と回収カップ50とを収容する。チャンバ20の天井部には、FFU(Fan Filter Unit)21が設けられる。FFU21は、チャンバ20内にダウンフローを形成する。
【0027】
基板保持機構30は、保持部31と、支柱部32と、駆動部33とを備える。保持部31は、ウエハWを水平に保持する。支柱部32は、鉛直方向に延在する部材であり、基端部が駆動部33によって回転可能に支持され、先端部において保持部31を水平に支持する。駆動部33は、支柱部32を鉛直軸まわりに回転させる。かかる基板保持機構30は、駆動部33を用いて支柱部32を回転させることによって支柱部32に支持された保持部31を回転させ、これにより、保持部31に保持されたウエハWを回転させる。
【0028】
処理流体供給部40は、ウエハWに対して処理流体を供給する。処理流体供給部40は、処理流体供給源70に接続される。
【0029】
回収カップ50は、保持部31を取り囲むように配置され、保持部31の回転によってウエハWから飛散する処理液を捕集する。回収カップ50の底部には、排液口51が形成されており、回収カップ50によって捕集された処理液は、かかる排液口51から処理ユニット16の外部へ排出される。また、回収カップ50の底部には、FFU21から供給される気体を処理ユニット16の外部へ排出する排気口52が形成される。
【0030】
本実施形態では、1つの処理ユニット16に対してそれぞれ処理流体供給部40及び処理流体供給源70の組が複数組設けられている。各組は、ウエハWに対して異なる薬液、例えば低濃度のDHF(希フッ酸)、超低濃度のDHF、SC−1、SC−2を供給することができる。
【0031】
上記の制御装置4は、
基板搬送装置13及び基板搬送装置17により行なわれるキャリアC及び処理ユニット16間の搬送を制御する。
【0032】
制御装置4に対して、各処理ユニット16の運用モードを設定することができる。運用モードの設定は、半導体装置製造工場に設けられた複数の基板処理システムの制御装置(これにはこの基板処理システム1の制御装置4が該当する)を制御する図示しない上位の制御装置(ホストコンピュータ)から有線又は無線の通信回線を介して行うことができる。これに代えて、運用モードの設定を、基板処理システム1に付設された図示しないユーザインターフェイス(ディスプレイ、キーボード、タッチパネル等)を介して行うこともできる。設定された各処理ユニット16の運用モードは、制御装置4の記憶部19に記憶される。
【0033】
処理ユニット16の運用モードには、ノーマルモード、モニタモード及びメンテナンスモードがある。
【0034】
ノーマルモードは、指定された処理レシピに従い製品ウエハPWに所定の処理を施すための運用モードである。
【0035】
モニタモードは、指定された処理レシピに従いモニタウエハMW(製品ウエハWではない試験用のウエハ)に所定の処理を施すための運用モードである。モニタウエハMWとは、製品ウエハPWに適用される前の新規処理レシピの試験的な実行、あるいは、任意の処理レシピの当該処理ユニット16への適合性確認(例えば、他の処理
ユニット16または他の基板処理システム1において実績のある処理レシピを当該処理
ユニット16が適正に実行できるか否かの確認)などを行うためのウエハである。
【0036】
メンテナンスモードは、定期的ないし予定されたメンテナンスを行うため、或いはトラブル対応のため、当該処理ユニット16が休止されるとともに新たなウエハの搬入が禁止される運用モードである。なお、ある処理ユニット16がメンテナンスモードに設定されてからメンテナンスモードが解除されるまでの間は、その処理ユニット16が存在しないものとしてウエハの搬送スケジュールの決定が行われる。以下の説明においては、説明の簡略化のため、メンテナンスモードに設定されている処理ユニット16は無いものとする。
【0037】
本件出願人による従来技術においては、モニタモードに設定された処理ユニット16ではモニタウエハMWの搬入(注:ウエハは処理ユニット16に搬入された後にその処理ユニット16で処理されるが、記載の簡略化のため、「搬入」についてのみ記すこともある。)のみが許可され、製品ウエハPWの搬入が禁止されていた。すなわち、当該処理ユニット16にはモニタウエハMWの搬入のみが許可され、製品ウエハPWの搬入が禁止されていた。すなわち、ひとたび1つ以上の処理ユニット16に対してモニタモードが設定されると、製品ウエハPWの処理はモニタモードに設定されていない残余の処理ユニット16だけで行うことになる。この運用ルールの下では、場合によっては、製品ウエハPWに対する基板処理システム1のスループットが大幅に低下することになる。
【0038】
そこで、本実施形態では、モニタモードの設定は、モニタウエハMWに施される処理を特徴付ける処理条件、具体的には例えば処理に使用される処理液(特に主要な薬液)と関連付けてモニタモードを設定する。例えば、処理ユニット16に搬入されたモニタウエハMWに対してDHF薬液洗浄、DIWリンス、IPA(イソプロピルアルコール)置換、窒素ガス雰囲気でのスピン乾燥が順次施されるものとする。この場合、DIWリンス、IPA(イソプロピルアルコール)置換及び窒素ガス雰囲気でのスピン乾燥は、薬液洗浄の後に行われる一般的な処理であるため(但し部分的な変更はありうるが)、モニタウエハMWに対する処理を特徴付ける処理液はDHFである。従って、このような処理が予定されているモニタウエハMWが基板処理システム1に搬入される場合には、「モニタモード(DHF)」という形式で、モニタモードを設定する。
【0039】
なお、本実施形態では、濃度の異なる同種の薬液は異なる薬液として扱うものとし、また、同一組成であっても温度が異なる薬液は異なる薬液として扱うものとする。濃度の異なるDHFが利用可能であるなら、「モニタモード(超低濃度DHF)」あるいは「モニタモード(低濃度DHF)」のようにモニタモードを設定することができる。また、温度が異なるDHFが利用可能であるなら、「モニタモード(60℃DHF)」、「モニタモード(80℃DHF)」のようにモニタモードを設定することができる。さらに、温度と濃度を複合的に考慮して「モニタモード(60℃低濃度DHF)」のようにモニタモードを設定することができる。
【0040】
そして本実施形態では、モニタモードに設定された処理ユニット16に対する製品ウエハPWの搬入を一律に禁止するのではなく、製品ウエハPWに施される処理を特徴付けるものとして当該処理に関連付けられた処理液が、モニタモードの設定時に当該モニタモードと関連付けられた処理液と一致しない場合には、当該処理ユニット16への製品ウエハPWの搬入を許容することとした。なお、「製品ウエハPWに施される処理を特徴付けるものとして当該処理に関連付けられた処理液」は、上記のモニタウエハMWに施される処理を特徴付けるものとして当該処理に関連付けられた処理液と同様の考えに基づいて決定することができる。
【0041】
この点も含め、複数の処理ユニット16のうちの少なくとも1つがモニタモードに設定されているときに、制御装置4は、以下の運用ルールに従いウエハ(製品ウエハPW、モニタウエハMW)の搬送スケジュールを決定する。
(1)当該モニタモードと関連付けられた処理液と異なる処理条件に関連付けられた処理を行うべき製品ウエハPWを、当該モニタモードに設定された処理ユニット16のいずれかに搬入することが許可される。
(2)当該モニタモードと関連付けられた処理液と同じ処理液に関連付けられた処理を行うべき製品ウエハPWを、当該モニタモードに設定された処理ユニット16のいずれかに搬入することが禁止される。
(3)当該モニタモードと関連付けられた処理液を用いて処理すべきモニタウエハMWを、当該モニタモードに設定された処理ユニット16のいずれかに搬入する。
(4)当該モニタモードと関連付けられた処理液を用いて処理すべきモニタウエハMWを、当該モニタモードに設定された処理ユニット16に製品ウエハPWよりも優先的に搬入する。
上記(1)は本実施形態において必ず守られる運用ルールである。上記(2)(3)は本実施形態において任意採択的な運用ルールであり、この運用ルールに従うことが好ましいが、必ずしも従う必要はない。上記(4)も任意採択的な運用ルールであり、この運用ルールに従うことが好ましいが、必ずしも従う必要はない。任意採的な運用ルールである(2)〜(4)の採択優先度は(2)>(3)>(4)である。
【0042】
制御装置は、上記に基づいて決定された搬送スケジュールに基づき、この基板処理システムにおける基板搬送機構を構成する基板搬送装置13、17を動作させ、モニタウエハMW及び製品ウエハPWを処理ユニット16に搬入する。
【0043】
以下に、上記運用ルールに基づいて実行されるウエハ搬送の具体例について説明する。
【0044】
説明の便宜上、各処理ユニット16にID番号を付与する。具体的には、
図3に示すように、図中下段の左から順に16−1,16−2,16−3,16−4,16−5,16−6、図中上段の左から順に16−7,16−8,16−9,16−10,16−11,16−12というID番号を付与する。
【0045】
まず、全ての処理ユニット16がノーマルモードに設定されている場合について簡単に説明する。この場合、キャリア載置部11に製品ウエハPWを収容するキャリアCから取り出された製品ウエハPWは、空いている処理ユニット16に順次搬送される。例えば、最初の12枚の製品ウエハPWは、処理ユニット16−1,16−2,16−3,16−4,16−5,16−6,16−7,16−8,16−9,16−10,16−11,16−12に搬送される。処理ユニット16においてトラブルが生じないかぎり、処理ユニット16における処理が完了して処理ユニット16が空いてゆくため、13枚目以降の製品ウエハPWも空いた処理ユニット16に搬入される。
【0046】
次に、少なくとも1つの処理ユニット16がモニタモードに設定され、残りの処理ユニット16がノーマルモードに設定されている場合について説明する。ここでは、処理ユニット16−1,16−2,16−3が「モニタモード(薬液A)」に設定され(図中処理ユニット16の枠内にMと記す)、残りの処理ユニット16−4,16−5,16−6,16−7,16−8,16−9,16−10,16−11,16−12がノーマルモード(図中処理ユニット16の枠内にNと記す)に設定されているものとする。一例として、薬液AはHF:DIWが1:1000のDHFである。
【0047】
[場合1]
上記のように運用モードの設定がなされた後に、キャリア載置部11に、薬液Aと関連付けられた処理を施すことが予定されている製品ウエハPWを収容するキャリアCが搬入されたものとする。この場合、本実施形態に係る前述した運用ルールによれば、「モニタモード(薬液A)」に設定された処理ユニット16−1,16−2,16−3には、薬液Aと関連付けられた処理を施すことが予定されている製品ウエハPWの搬入が禁止される。
【0048】
従って、
図3に示すように、薬液Aと関連付けられた処理を施すことが予定されている製品ウエハPWは、処理ユニット16−4,16−5,16−6,16−7,16−8,16−9,16−10,16−11,16−12のうちの空いている処理ユニットに搬入され、搬入された処理ユニット内で薬液Aと関連付けられた処理が施される。
【0049】
[場合2]
上記のように運用モードの設定がなされた後に、キャリア載置部11に、薬液Aとは異なる薬液Bと関連付けられた処理を施すことが予定されている製品ウエハPWを収容するキャリアCが搬入されたものとする。この場合、本実施形態に係る前述した運用ルールによれば、「モニタモード(薬液A)」に設定された処理ユニット16−1,16−2,16−3には、薬液Bに関連付けられた処理を施すことが予定されている製品ウエハPWの搬入が許容される。
【0050】
従って、
図4に示すように、薬液Bと関連付けられた処理が予定されている製品ウエハPWは、処理ユニット16−1,16−2,16−3,16−4,16−5,16−6,16−7,16−8,16−9,16−10,16−11,16−12のうちの空いている処理ユニットに搬入され、搬入された処理ユニット内で薬液Bを用いた液処理を施されることになる。
【0051】
[場合3]
上記のように運用モードの設定がなされた後に、キャリア載置部11に、薬液Aとは異なる薬液Bと関連付けられた処理を施すことが予定されている製品ウエハPWを収容するキャリアC1が搬入され、かつ、薬液Aと関連付けられた処理を施すことが予定されているモニタウエハMWを収容する別のキャリアC2が搬入されたものとする。
【0052】
この場合、本実施形態に係る前述した搬入基準によれば、「モニタモード(薬液A)」に設定された処理ユニット16−1,16−2,16−3には、薬液Bと関連付けられた処理が予定されている製品ウエハPWの搬入が許容される。また、ノーマルモードに設定されている処理ユニット16−4,16−5,16−6,16−7,16−8,16−9,16−10,16−11,16−12にも薬液Bと関連付けられた処理が予定されている製品ウエハPWの搬入が許容される。
【0053】
また、薬液Aに関連付けられた処理を施すことが予定されているモニタウエハMWは、「モニタモード(薬液A)」に設定された処理ユニット16−1,16−2,16−3に対して搬入が許容される。
【0054】
なお、上述のように、「モニタモード(薬液A)」に設定された処理ユニット16−1,16−2,16−3には薬液Bと関連付けられた処理が予定されている製品ウエハPWの搬入が許容されるのであるが、「モニタモード(薬液A)」に設定された処理ユニット16−1,16−2,16−3では、上記の運用ルール(4)に従い、薬液Aと関連付けられた処理を施すことが予定されているモニタウエハMWの搬入が優先される。従って、薬液Aに関連付けられた処理を施すことが予定されている未搬入(未処理)のモニタウエハMWが存在する限り、「モニタモード(薬液A)」に設定された処理ユニット16には、薬液Bと関連付けられた処理が予定されている製品ウエハPWの搬入は行われない。
【0055】
従って、薬液Bと関連付けられた処理が予定されている製品ウエハPWは、
図5に示すように、処理ユニット16−4,16−5,16−6,16−7,16−8,16−9,16−10,16−11,16−12のうちの空いている処理ユニットに順次搬入され、搬入された処理ユニット内で薬液Bと関連付けられた処理を施されることになる。また、薬液Aと関連付けられた処理を施すことが予定されているモニタウエハMWは、処理ユニット16−1,16−2,16−3のうちの空いている処理ユニットに順次搬入され、搬入された処理ユニット内で薬液Aと関連付けられた処理を施されることになる。
【0056】
但し、上記の場合3において、例えば「モニタモード(薬液A)」に設定された処理ユニット16−1,16−2,16−3のうちの処理ユニット16−1,16−2にキャリア載置部11に搬入されたモニタウエハMWの最後の二枚が搬入された場合、すなわち、要するにもはや新たなモニタウエハMWの搬入が予定されていない処理ユニット(この場合、処理ユニット16−3)が生じた場合には、当該処理ユニット(処理ユニット16−3)に薬液Bと関連付けられた処理が予定されている製品ウエハPWの搬入を行うことができる。
【0057】
[場合4]
上記のように運用モードの設定がなされた後に、キャリア載置部11に、薬液Aとは異なる薬液Bと関連付けられた処理を施すことが予定されている製品ウエハPWを収容するキャリアC1が搬入され、かつ、薬液Aと関連付けられた処理を施すことが予定されているモニタウエハMWを収容する別のキャリアC2が搬入されたものとする。すなわち、上記の場合3と同じ状況になったものとする。なお、この場合4においては、上記の場合1〜3に対して運用ルールの一部が変更されている。
【0058】
この場合、場合3と同様に、本実施形態に係る前述した搬入基準によれば、「モニタモード(薬液A)」に設定された処理ユニット16−1,16−2,16−3には、薬液Bと関連付けられた処理が予定されている製品ウエハPWの搬入が許容される。また、ノーマルモードに設定されている処理ユニット16−4,16−5,16−6,16−7,16−8,16−9,16−10,16−11,16−12にも薬液Bと関連付けられた処理が予定されている製品ウエハPWの搬入が許容される。
【0059】
また、場合3と同様に、薬液Aに関連付けられた処理を施すことが予定されているモニタウエハMWは、「モニタモード(薬液A)」に設定された処理ユニット16−1,16−2,16−3に対して搬入が許容される。
【0060】
なお、上述のように、「モニタモード(薬液A)」に設定された処理ユニット16−1,16−2,16−3には薬液Bと関連付けられた処理が予定されている製品ウエハPWの搬入が許容されるのであるが、既にモニタウエハMWが「モニタモード(薬液A)」に設定された処理ユニット16−1,16−2,16−3で処理されていた場合、製品ウエハPWは「モニタモード(薬液A)」に設定された処理ユニット16−1,16−2,16−3への搬送を除外されてこれらの処理ユニットへの搬入は行われない。すなわち、場合3と同様に
図5に示す搬送状態となる。
【0061】
従って、薬液Bと関連付けられた処理が予定されている製品ウエハPWは、処理ユニット16−4,16−5,16−6,16−7,16−8,16−9,16−10,16−11,16−12のうちの空いている処理ユニットに搬入され、搬入された処理ユニット内で薬液Bと関連付けられた処理を施されることになる。
【0062】
但し、上記の場合3において、例えば「モニタモード(薬液A)」に設定された処理ユニット16−1,16−2,16−3のうちの処理ユニット16−1,16−2にキャリア載置部11に搬入されたモニタウエハMWの最後の二枚が搬入された場合、すなわち、要するにもはや新たなモニタウエハMWの搬入が予定されていない処理ユニット(この場合、処理ユニット16−3)が生じた場合には、当該処理ユニット(処理ユニット16−3)に薬液Bと関連付けられた処理が予定されている製品ウエハPWの搬入を行うことができる。
【0063】
各処理ユニット16におけるノーマルモード及びモニタモード間の移行タイミングの一例について説明する。ある処理ユニット16についてのノーマルモードからモニタモードへの移行の指示が制御装置4に入力された場合、当該処理ユニット16において処理中のウエハが無いのであれば、ノーマルモードからモニタモードへの移行が直ちに行われる。当該処理ユニット16において処理中のウエハが有るのならば、その処理中のウエハが当該処理ユニット16から搬出された後にノーマルモードからモニタモードへの移行が行われる。
【0064】
ある処理ユニット16についてのモニタモードからノーマルモードへの移行の指示(モニタモード解除の指示)が制御装置4に入力された場合、現在処理対象となっているロットの全ての製品ウエハの処理が終了し、元のキャリアCに戻された後に、モニタモードからノーマルモードへの移行が行われる。
【0065】
上記は一例であり、ノーマルモード及びモニタモード間の移行タイミングは上記のものに限定さるものではない。ノーマルモード及びモニタモード間の移行がどのようなタイミングでなされるにせよ、基板処理システム1の円滑な運用のために、複数の処理ユニット16に対してモニタモードを設定するならそのモニタモードの設定はこれら複数の処理ユニット16に対して同時になされるのが好ましい。また搬送スケジュールの設定自由度を高めるためには、モニタモードを設定すべき各処理ユニット16に対して、予定している枚数のモニタウエハMWを処理するために必要な最小限のモニタモード設定時間を確保することが好ましい。
【0066】
モニタモードに設定された処理ユニット16に対してモニタウエハMWの搬入のみを許容しあらゆる製品ウエハPWの搬入を禁止する従来技術において、上記のように余裕を持たせたタイミングでモニタモードへの移行及び解除を行うと以下のような問題が生じうる。例えば、処理ユニット16が必要以上に早いタイミングでモニタモードに移行してしまうと(例えばキャリア載置部11にモニタウエハMWを収容したキャリアCが搬入される前に、1つまたは複数の処理ユニット16がモニタモードに移行してしまうと)、モニタモードに移行した処理ユニット16が空になっていたとしても、その処理ユニット16には製品ウエハPWが搬入されなくなる。また、処理すべき複数のモニタウエハMWのうちの最後のモニタウエハMWがある一つの処理ユニット16で処理されている場合に、モニタモードになっている他の一つまたは複数の処理ユニット16が空であったとしても、当該空の処理ユニット16には製品ウエハPWが搬入されなくなる。これらのことは、単位時間内の製品ウエハPWの処理枚数の低減、すなわちスループットの低減につながる。
【0067】
これに対して、本実施形態においては、モニタモードに移行した処理ユニット16に対する製品ウエハPWの搬入を一律に禁止するのではなく、(a)モニタモードを使用する薬液と関連付けて設定し、(b)モニタモードに設定された処理ユニット16については、モニタモードの設定にあたって関連付けられた薬液(処理液)と異なる薬液に関連付けられた処理が施されることになっている製品ウエハPWについては当該処理ユニット16への搬入を許容するようになっている。当該処理ユニット16への搬入が許容されないのは、モニタモードの設定にあたって関連付けられた薬液と同じ薬液に関連付けられた処理が施されることになっている製品ウエハPWだけである。このため、製品ウエハPWを処理する余裕がある処理ユニット16が無駄に休止状態になることが防止されるため、基板処理システム1のスループットの低下を最小限に抑制することができる。
【0068】
なお、上記の実施形態においては、モニタモードの設定にあたって関連付けられる薬液は、モニタモードが設定される全ての処理ユニット16において同一(上記の例では全て薬液A)であったが、これに限定されるものではない。例えば処理ユニット16−1に対して「モニタモード(薬液A)」を設定し、処理ユニット16−2に対して「モニタモード(薬液B)」を設定してもよい。
【0069】
また、上記の実施形態においては、モニタモードの設定にあたって関連付けられる薬液は一種類であったが、二種類以上の薬液を関連付けてもよい(例えば「モニタモード(薬液A/薬液B)」)。「モニタモード(薬液A/薬液B)」に設定された処理ユニット16に対しては、薬液A及び薬液Bの両方と関連付けられた処理が施されることになっている製品ウエハPWの搬入を禁止してもよいし、これに代えて、薬液A及び薬液Bのうちの少なくともいずれか一方と関連付けられた処理が施されることになっている製品ウエハPWの搬入を禁止してもよい。
【0070】
また、上記の実施形態においては、モニタウエハMWに施される処理を特徴付ける処理条件として処理に使用される処理液の種類を用いたが、これには限定されない。このような処理条件として、− 処理に用いる処理流体が液体または気体を含む場合おける当該液体または気体の種類、温度、圧力及び濃度、 − 処理に用いる処理流体が液体及び気体の混合流体である場合におけるこれら液体及び気体の混合比、及び − 処理が洗浄処理である場合における当該洗浄処理に用いる物理的洗浄部材(例えばブラシ等)を選択することもできる。
【0071】
上記実施形態では、基板は半導体ウエハであったが、これに限定されるものではなく、半導体製造の分野において用いられ得る任意の種類の基板、例えば、ガラス基板、セラミック基板等であってもよい。