特許第6113872号(P6113872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6113872リングライト照明器およびリングライト照明器用のビームシェーパー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6113872
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】リングライト照明器およびリングライト照明器用のビームシェーパー
(51)【国際特許分類】
   G02B 19/00 20060101AFI20170403BHJP
   G02B 21/06 20060101ALI20170403BHJP
   F21K 9/00 20160101ALI20170403BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20170403BHJP
【FI】
   G02B19/00
   G02B21/06
   F21K9/00
   F21S2/00
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-5081(P2016-5081)
(22)【出願日】2016年1月14日
(62)【分割の表示】特願2013-506800(P2013-506800)の分割
【原出願日】2011年4月28日
(65)【公開番号】特開2016-105190(P2016-105190A)
(43)【公開日】2016年6月9日
【審査請求日】2016年1月14日
(31)【優先権主張番号】61/328,869
(32)【優先日】2010年4月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー−テンカー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒル アンディ
【審査官】 堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−033852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 19/00−21/00
G02B 21/06−21/36
F21K 9/00−9/90
F21S 2/00−19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に配列された複数の光源と、
複数のビームシェーパーであって、前記各ビームシェーパーが前記環状に配列された複数の光源のそれぞれに割り当てられた複数のビームシェーパーと、
を含み、
前記各ビームシェーパーは、
受信用のキャビティと屈折レンズ部分とを含み、多角形断面を有し、前記割り当てられた光源からの光を収集するための集光器であって、前記集光器の前記キャビティが前記割り当てられた光源を取り囲むように構成されている、集光器と、
前記集光器の出力に光学的に接続され、前記割り当てられた光源からの光を均一化するように構成された均一化手段と、
前記均一化手段の出力を照明エリアに結像するための結像レンズと、
を含み、
前記均一化手段は、前記集光器の前記多角形断面に適合する多角形断面を有する、
リングライト照明器。
【請求項2】
前記均一化手段は棒状体である、請求項1に記載のリングライト照明器。
【請求項3】
前記棒状体および前記集光器はともに一体ピースユニットを形成する、請求項2に記載のリングライト照明器。
【請求項4】
前記棒状体、前記集光器、および前記結像レンズはともに一体ピースユニットを形成する、請求項2に記載のリングライト照明器。
【請求項5】
前記棒状体の均一化機能は前記棒状体内における光の全反射に基づく、請求項2に記載のリングライト照明器。
【請求項6】
前記結像レンズは非球面射出表面を有する、請求項1に記載のリングライト照明器。
【請求項7】
前記各光源は少なくとも1つの発光ダイオード(LED)を備える、請求項1に記載のリングライト照明器。
【請求項8】
前記リングライト照明器の外側表面上に設けられた冷却フィンを更に備える、請求項1に記載のリングライト照明器。
【請求項9】
受信用のキャビティと屈折レンズ部分とを含み、六角形断面を有し、光源からの光を収集するための集光器であって、前記集光器の前記キャビティが前記光源を取り囲むように構成されている、集光器と、
前記光源からの光を均一化するように構成された均一化棒状体と、
前記集光器の反対側にある前記均一化棒状体の端部を照明エリアに結像するためのレンズと、
を含み、
前記集光器、前記均一化棒状体、及び、前記結像のためのレンズは、一体ピースとして製造されており、
前記均一化棒状体は、前記集光器の前記六角形断面に適合する六角形断面を有する、
ビームシェーパー。
【請求項10】
前記ビームシェーパーはプラスチック材料から成形された、請求項9に記載のビームシェーパー。
【請求項11】
前記ビームシェーパーはガラスから作られた、請求項9に記載のビームシェーパー。
【請求項12】
前記結像のためのレンズは、前記均一化棒状体を照明エリア上に結像するために非球面射出表面を有する、請求項9に記載のビームシェーパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2010年4月28日に出願された米国仮特許出願第61/328,869号の優先権を主張するものであり、米国仮特許出願第61/328,869号は、引用することにより本願に援用される。
【0002】
本発明はリングライト照明器に関する。
【0003】
本発明はビームシェーパーにも関する。
【背景技術】
【0004】
多数の光学検査または結像作業においては、検査または結像されるエリアの照明が明確に画定されることが要求される。係る多数の照明目的のために、例えば、顕微鏡検査においては、リングライトが用いられる。係る照明目的においては、リングライトが暗視野照明を提供するための一般的な手段となっている。係る用途においては、照明されるエリアを目的エリアに限定すること、および光の分布が目的エリア内で均一となることが、望ましい。可能な光源は、例えば、アーク灯、LED(light emitting diode:発光ダイオード)、レーザダイオード、ハロゲン電球である。アーク灯は、一般にLEDよりも高い光強度を提供するが、その一方で、LEDよりも強度変動がより強く、寿命もより短いものとなっている。したがって、LEDがより好適な光源の選択である。典型的なLEDからの光はLEDの周囲の半球体へと放出されるため、1つまたは複数のLEDから放出された光を可能な限り大量に目的エリア(すなわち照明されるエリア)へ誘導するための光学エレメントが要求される。
【0005】
欧州特許出願第1919001(A1)号は、LEDが光源として用いられる製品検査用スポットライト装置に関する。光の分布を一定エリアにわたって均一化するために、LEDからの光はロッドレンズを通される。LEDからの光は、集光レンズによりロッドレンズに導入される。ロッドレンズと集光レンズの適切な位置合わせを確保するために、および、光学系を組み立てる際に取り扱われる個々のパーツの個数を削減するためにも、ロッドレンズおよび集光レンズは光ユニットの区域として提供される。すなわち、ロッドレンズは光伝達区域を構成し、集光レンズは集光区域を構成する。集光区域においては、光源からの光を伝達区域へと誘導するために、屈折と反射とが組み合わされる。
【0006】
欧州特許出願第2177816(A2)号においては、光源(特にLED)のアレイが開示される。なお、この光源アレイの光は棒状体(ロッド)として形づくられた光集積器に誘導される。この光集積器は、集積器内の光の反射に基づいて、光を均一化および拘束する。光集積器は、反射する内側表面を有する中空管または光学的に透明な物質から作られた中実の棒状体であり得る。なお、光集積器内における光の反射は全反射によるものである。光集積器の断面は、円形、多角形、または不定形であり得る。さらなる光学エレメントが、光集積器の下流側に提供されてもよい。光源からの光を制御および誘導するために、光学エレメントが各光源に対応してもよい。光集積器は、光集積器から出る光の発散に影響を及ぼすために、テーパ形状を取り得る。
【0007】
欧州特許出願第1150154(A1)号においては、好適にはLEDである複数の光源が環状の坦持体(キャリヤー)に配列された、特に顕微鏡用の照明システムが開示される。LEDは、個別的にまたは集合的に制御され、小さい放出角を呈する。
【0008】
独国特許出願第2852203号においては、顕微鏡用の照明装置が開示される。なお、この装置においては、光源からの光は、光ファイバに沿って案内され、光ファイバの各端部において光ファイバから出る。また、各端部は環状に配列される。光ファイバに基づくさらなるリング照明システムが、例えば、独国特許出願第4016264号において開示される。
【0009】
光ファイバに基づくリング照明システムの問題点は、光ファイバから出る光の発散が大きくなることである。同様に、LEDの環状配列も、むしろ不均一な照明野を作る傾向を有し、係るLEDがたとえ現状技術の集光レンズと組み合わせて用いられたとしても、いくつかの用途に対して要求される照明野の均一度は達成され得ない。
【0010】
リングライトは本質的に多くの場合散乱光が観察対象となる「暗視野」照明であるために、最大光強度がリングライトに対する極めて重要な設計パラメータである。アーク灯(通常の顕微鏡観察の高輝度照明における標準)と比較してLEDの主な短所は、LEDが典型的に照度調整器であることである。多くの場合、LEDに基づくシステムは、観察対象において適切な光強度を提供せず、画像において可能な光を最大化するためには、設計において極度の注意が払われなければならない。光を最大化することは、良好に露光された画像を形成するにあたり利用可能な光エネルギーを増加させるために集積時間を任意に長くすることが不可能である機械視野/検査において、特に重要である。機械視野システムにおける集積時間の増加は、画像の周波数を減少させ、検査時間(結像時間)の全体を短縮させる。検査機の価値は一定時間内に結像され得る結像野の個数に依存するため、結像対象における光を最大化することは極めて重要な機能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0123052号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0252281号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0174658号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、明確に画定され且つ均一な照明野を照明エリアにおいて形成する能力を有するリングライト照明器を提供することである。加えて、リング照明器からの光は、効果的に収集され、照明エリアに誘導されるべきである。
【0013】
この目的は、複数の光源を有するリングライト照明器により達成される。なお、このリングライト照明器においては、ビームシェーパーが各光源に対応し、このビームシェーパーは、
光源からの光を収集するための集光器と、
光源からの光に対する均一化手段と、
均一化手段の出力を照明エリアに結像するための結像手段と、
を備える。
【0014】
本発明のさらなる目的は、取り付けが容易であり且つその諸部品の位置合わせが不必要であるビームシェーパーを提供することである。加えて、光源からの光は効果的に収集されるべきであり、結果として生じる結像レンズの切り取り損失(truncation losses)は最少となるべきである。
【0015】
この目的は、
光源からの光を収集するための集光器と、
光源からの光を均一化するための均一化棒状体と、
集光器の反対側にある均一化棒状体の端部を照明エリアに結像するためのレンズと、
を備える一体ピースとして製造されたビームシェーパーにより達成される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係るリングライト照明器は、複数の環状に配列された光源を備える。好適な実施形態において、各光源は、発光ダイオード(LED)またはLEDアレイである。本発明によれば、ビームシェーパーが各光源に対応する。このビームシェーパーは光源から光を受容し、照明野が照明エリアにおいて形成されるよう、光を照明エリアに誘導する。なお、この照明野は明確に画定された形状を有し、この照明野全域にわたる照明は、検査作業または照明作業に対して十分な程度に均一である。
【0017】
ビームシェーパーは、集光器、均一化手段、および結像手段を備える。
【0018】
集光器の目的は、光源から光を受容し、その光を均一化手段に誘導することである。集光器は、光源により放出された光が可能な限りの量において集光器により収集されて均一化手段上に誘導され、それにより十分な強度の照明野が照明エリアにおいてやがて達成されるよう、設計されることが好ましい。
【0019】
均一化手段の目的は、照明野の光の強度がやがて十分に高い程度に均一化されるよう光ビーム全域にわたる光強度の不均一性を低減することである。
【0020】
結像手段の目的は、均一化手段の出力を照明エリアに結像することである。照明野の寸法は、結像手段の結像特性に部分的に依存する。
【0021】
1つの好適な実施形態において、均一化手段は、円形断面、楕円形断面、長方形断面、正方形断面、六角形断面、八角形断面、またはその他の断面の棒状体(ロッド)である。なお、本明細書において、断面はビームシェーパーの光軸に対して垂直である。この棒状体は第1端部および第2端部を有する。なお、光は第1端部を通して集光器から受容され、第2端部は光軸に沿って第1端部の反対側にあり、第2端部により棒状体から光が出る。棒状体の第2端部は、結像手段により、照明エリアに結像される。このようにして形成される照明野の形状は、棒状体の断面により決定される。棒状体の均一化機能は、光軸に平行な棒状体の側部からの光の反射、典型的には複数の反射によるものである。棒状体は、少なくとも照明に使用される光の波長に対して透明である物質から作られた中実片であり、反射は全反射であることが好ましい。代替的には、棒状体の側部は、反射コーティングが施されてもよく、または棒状体は、反射性の内側壁部を有する中空管であってもよい。本発明の特長は、本発明においてはTIRレンズの集光効率と、ビームシェーパーの結像レンズの最少の切り取り損失とが組み合わされる点にある。
【0022】
棒状体および集光器は、統合ユニットを形成し、特に、一体ピースとして製造されると、有利である。これにより、リングライト照明器の組み立てまたは維持において取り扱われる必要がある個々のパーツの個数が削減され、また、組み立てまたは維持の間に、集光器と棒状体とを適切に位置合わせする必要もなくなる。集光器、棒状体、および結像手段が統合ユニットを形成し一体ピースとして製造されると、さらに有利である。
【0023】
いくつかの実施形態において、結像手段はレンズである。
【0024】
代替的な実施形態において、均一化手段は集光器上に設けられたテクスチャである。
【0025】
光源の動作により熱が生成されるため、リングライト照明器用の冷却機構が提供されると有利である。いくつかの実施形態においては、この冷却機構は、リングライト照明器の環境との熱交換のための外側表面が増加するよう、リングライト照明器の外側表面上に設けられた冷却フィンを備える。
【0026】
本発明に係るリングライト照明器に用いられ得るが他の目的のためにも用いられ得る、本発明に係るビームシェーパーは、光学系の組み立ての間にビームシェーパーの複数のパーツを適切に位置合わせする必要がないよう、一体ピースとして製造される。取り扱われる必要があるパーツの個数も、このようにすれば削減される。ビームシェーパーは、ビームシェーパーが使用される光波長に対して透明である物質から作られる。いくつかの実施形態において、係る物質は、例えば、プラスチック材料またはガラスである。
【0027】
ビームシェーパーを成形するための1つの可能な物質はアクリル樹脂であり、他の可能な物質はポリカーボネートであり得る。アクリル樹脂はポリカーボネートよりも透過性には優れるが、高温に対する耐性には劣る。アクリル樹脂の使用は、照明源が過度の熱をあまり生成しない用途に対しては、問題ないであろう。アクリル樹脂における透過損失は、1mmあたりおよそ0.25%である。これは、すなわち、全長67mmのビームシェーパーの場合15%の損失が生じることを意味する。
【0028】
本発明に係るビームシェーパーは、ビームシェーパーとともに用いられる光源からの光を収集するよう構成された集光器を備える。ビームシェーパーは、ビームシェーパーの光軸に沿う方向に向けられた均一化棒状体も備える。集光器は、集光器が収集した光を、棒状体の第1端部を通して棒状体に誘導するよう配列される。棒状体は、棒状体の側部からの光の反射、典型的には複数の反射により、棒状体を通過する光の均一化をもたらす。この反射は全反射である。ビームシェーパーは、第1端部の反対側にある棒状体の第2端部を照明エリアに結像するレンズをさらに備える。
【0029】
いくつかの実施形態において、ビームシェーパーの光軸に垂直である棒状体の断面は、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、六角形、八角形、または他の任意の形状であり得る。
【0030】
本発明は、顕微鏡を用いて検査されるエリアの、特に暗視野型の、明確に画定された照明を確保する顕微鏡において具体化され得る。顕微鏡は、上述の本発明に係る少なくとも1つのリングライト照明器を備える。少なくとも1つのリングライト照明器において用いられるビームシェーパーは、上述の本発明に係る一体ピース型であり得るが、代替的には、2つ以上のピースとして提供される、集光器、均一化手段、および結像手段を備えてもよい。
【0031】
本発明の動作の性質およびモードは、本発明の以下の詳細な記述において、以下の添付の図面と併せることにより、より詳しくこれ以後説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1a】光ファイバの端部が環状に配置された、先行技術に係るリングライト照明器を示す図である。
図1b】光源が環状に配置された、先行技術に係るリングライト照明器を示す図である。
図2図1bに示す先行技術に係るリングライト照明器を用いて達成され得る強度分布を示す図である。
図3】TIRレンズおよび光線、並びにTIRレンズにより表面上に形成された強度分布を示す図である。
図4】非球形集光レンズおよび光線、並びに非球形集光レンズにより表面上に形成された強度分布を示す図である。
図5】複合レンズおよび光線、並びに複合レンズにより表面上に形成された強度分布を示す図である。
図6】本発明に係るビームシェーパーおよび光線を示す図である。
図7図6に示すビームシェーパーにより表面上に形成された強度分布を示す図である。
図8】本発明に係るリングライト照明器を用いて達成され得る強度分布を示す図である。
図9】本発明に係るビームシェーパーの斜視図である。
図10a】集光器および均一化棒状体の斜視図である。
図10b図10aに示す集光器および均一化棒状体の他の斜視図である。
図11】均一化棒状体を有する集光器のキャビティに導入された光源を示す図である。
図12】集光器におけるキャビティの上面図である。
図13】本発明に係るリング照明器を構成するためにリング状に配列された複数のビームシェーパーの可能な実装の1つの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
同一の参照番号は、様々な図面を通じて、同一の要素を参照する。さらに、それぞれの図面の説明に必要な参照番号のみが図面において示される。本明細書に示す実施形態は、本発明がいかにして実施され得るかの実施例を表すのみである。このことにより、本発明が限定されるとみなしてはならない。
【0034】
図1aは先行技術に係るリングライト照明器10の構成を示す。アーク灯12が光源として用いられ、アーク灯12からの光は、好適な光学エレメント13により、複数の光ファイバ11に連結される(1つの係る光学エレメントのみが図示される)。光ファイバ11の端部14は、端部14が、アーク灯12からの光を、坦持体17(キャリヤー)により囲まれる照明エリア15に向かって放出するよう、リングライト照明器10のリング形状の坦持体17において環状に配列される。円錐16により示されるように、かなりの発散を有する光が端部14から放出される。これは、すなわち、多くの精密な用途に対しては、発散が大きすぎることを意味する。
【0035】
図1bは先行技術に係るリング照明器20の他の構成を示す。環状坦持体27において、複数の光源22が環状に配列される。光源22は照明エリア15に向かって光を放出する。光源はLEDである。なお、LEDには、典型的に、LEDから放出された光を予め定められた方向の周りに集中させるための形成光学素子(図示せず)が提供される。円錐26により示されるように、形成光学素子の存在にも関わらず、単一の光源からの光は、多くの精密な用途に対しては大きすぎる発散を呈する。本発明に係るリングライト照明器は、図示の先行技術に係るリングライト照明器と同一の全般的構成を有する。しかし、先行技術に係る形成光学素子は、以下に説明する構成の本発明に係るビームシェーパーと置き換えられる。
【0036】
図2は、形成光学素子としてTIRレンズ(図3参照)を有する8つの光源を備える、図1bの状況で説明されるリング照明器20を用いて達成される強度分布1を示す。照明パターンはむしろ拡散的である。示された画像の中央領域は、円錐26のうちの1つにより照明される領域よりも、わずかに明るいのみである。このことは、強度のかなりの量が、照明エリア15の中央部に向かってよりも、むしろ、画像において示されたエリアの中央から外れた領域に誘導されていることを意味する。図1aの状況で説明されるリング照明器10を用いて達成される強度分布も同様である。
【0037】
図3はTIR(total internal reflection:全反射)レンズ23を示す。ここではLEDである光源22からの光線100により示される光は、TIRレンズ23により捕捉され、スポット110に誘導される。光の誘導は、2つの原理により達成される。すなわち、TIRレンズ23の中央部を占める屈折レンズ部分24は屈折により光線100をスポット110に誘導する。屈折レンズ部分24にはヒットしないがTIRレンズ23により捕捉される光線100は、TIRレンズ23の側部表面25からの全反射によりスポット110に誘導される。TIRレンズ23の光軸19に垂直な表面上のスポット110の強度分布2も、図3に示される。TIRレンズ23により形成される強度分布2は略ガウス分布であり、したがって、最大強度はスポット110の中央部に存在するが、強度が次第に減少していく広い領域が中央部の周囲に存在する。すなわち、スポット110には明確に画定された縁部が存在しない。本明細書で説明するTIRレンズ23は、図1bの状況で説明した先行技術に係るリング照明器20に対する形成光学素子として用いられ得る。スポット110の強度分布2が明確に画定された縁部を有さないことは、光源22およびTIRレンズ23の8つの係る組み合わせにより形成される強度分布1が図2から明らかなようにむしろ拡散する理由である。
【0038】
図4は、非球形集光レンズ33および光線100を示す。この構成における光源として、LEDのエミッタ32が概略的に示される。非球形集光レンズ33は、光源からの光を捕捉し、捕捉した光をスポット110に誘導する。集光レンズ33の光軸19に垂直な表面上のスポット110の強度分布3も図4に示される。なお、この強度分布3はLED光エミッタ32の画像である。この場合におけるように直接的にLED光エミッタ32を結像することは、高い非均一性リスクをスポット110の照明に導入する。したがって、光源としてLEDおよび形成光学素子として非球形集光レンズ33を有する図1bに示すタイプのリングライト照明器20により照明エリアにおいて形成される強度分布の均一性は、精密の用途に対して十分であることが保証されない。さらに、一般に、図4に示す非球形集光レンズ33の集光効率は、図3に示すTIRレンズ23の集光効率よりも低い。
【0039】
図5は、光線100により示される光を光源42から収集するための半球レンズ41と、光をスポット110上に誘導するリレーレンズ43と、を備える複合レンズ40を示す。複合レンズ40の光軸19に垂直な表面上のスポット110の強度分布4も図5に示される。なお、この強度分布4は、光源42に面する半球レンズ41の平坦背部表面の画像である。係る設定は、図3で説明したTIRレンズ23よりも低い集光効率を有し、封入LEDとは互換性がない。この点は、図1bに示すリングライト照明器20等の光学系を組み立てる際に不利である。
【0040】
図6は、集光器60、均一化棒状体70、円錐区域52、およびレンズ80を備えるビームシェーパー50を示す。光源(図示せず)は集光器60内に挿入され、光線100により示される光を放出する。集光器60は光源からの光を収集し、その光を、均一化棒状体70の第1端部71を通して、均一化棒状体70に誘導する。均一化棒状体70において、光は、均一化棒状体の側部表面73からの反射、典型的には複数の反射により均一化される。ビームシェーパー50は、ビームシェーパー50がその波長とともに使用されることが意図される光の波長に対して透明である、例えばプラスチック材料またはガラス等の、物質から一体ピースとして製造され、側部表面73からの反射は全反射である。光は、均一化棒状体70の第2端部72を通って均一化棒状体70から出て円錐区域52に入る。光は、円錐区域52からレンズ80に到達し、このレンズ80は光をスポット110上に誘導する。スポット110の強度分布は、均一化棒状体70の第2端部72の画像である。円錐区域52の目的は、均一化棒状体70の第2端部72とレンズ80との間の距離を一定に保つことである。ビームシェーパー50が一体ピースとして製造されるため、個々の構成品、すなわち集光器60、均一化棒状体70、およびレンズ80の位置合わせは、光学系を組み立てるときに不必要となる。このことにより、ビームシェーパー50の取り扱い、および例えば図1bに示すリングライト照明器20等の光学系の組み立てが、先行技術とは異なり、簡略化される。一方、TIRレンズよりもむしろ先ほど検討したビームシェーパー50が、本発明に係るリングライト照明器の実施形態において、形成光学素子として用いられる。ビームシェーパー50は、勿論、他の照明作業に対しても用いられ、リングライト照明に限定されない。
【0041】
図7は、図6に示すビームシェーパー50の光軸19に垂直な表面上の、ビームシェーパー50により形成されるスポット110の強度分布5を示す。スポット110の形状は、均一化棒状体70の断面により、より正確には第2端部72の断面により、決定される。示された実施形態においては、この断面は八角形状を有する。前述のように、異なる形状の断面も可能である。スポット110が明確に画定された縁部を示すこと、および均一化棒状体70の効果によりスポット110全域にわたる照明強度が、高度に精密な用途に対してさえも十分に均一であることに、注意すべきである。
【0042】
図8は、この図8に関連する実施形態において、図6の状況で説明したタイプの8つのビームシェーパー50を形成光学素子として備える、本発明に係るリング照明器を用いて達成され得る強度分布6を示す。図8は、図2と対比されるべきである。ビームシェーパー50により形成された光ビームの縁部が明確に画定され、それにより、図7に示すスポット110の縁部が明確に画定されるために、図8において、照明エリア15は、その周囲よりも顕著に明るい。
【0043】
図9は、すでに図6に示した本発明に係るビームシェーパー50の斜視図を示す。図9において、レンズ80を出る光線100が図示される。係るビームシェーパー50の構成については、図6の状況においてすでに説明した。集光器60は、光源(図示せず)が導入されるキャビティ61を示す。集光器60の全般的な構成は、図3に示すTIRレンズ23の全般的な構成に相当する。結像用のレンズ80の直径82が、リング照明器20において配列されるビームシェーパー50の個数を支配する。レンズ80は、均一化棒状体70の第2端部72を通って均一化棒状体70を出る光をスポット110上に結像する射出表面84を有する。結像用のレンズ80の射出表面84は非球面であることが推奨される。
【0044】
図10aおよび図10bは、図6および図9に示す本発明に係るビームシェーパー50のために用いられる、もしくは、いくつかのピースで構成され得る本発明に係るリングライト照明器用の形成光学素子において用いられる、集光器60の斜視図である。集光器60に取り付けられた均一化棒状体70の1部分のみが図示される。ここで棒状体70は六角形断面を有し、集光器60の形状は、棒状体70の断面に適合され、また、棒状体70の第1端部71に近接する部分において六角断面を示す。図10bは、典型的にはLEDである光源(図示せず)が挿入される、集光器60のキャビティ61を明らかに示す。
【0045】
図11は、集光器60の断面図と、均一化棒状体70の1部分とを示す。LED62は集光器60のキャビティ61内に導入される。図3のTIRレンズ23と同様に、集光器60は、光軸66周りの中央領域に放出された光を収集する屈折レンズ部分64を示す。この領域の断面は、屈折レンズ部分64の形状および寸法により決定される。LEDにより中央領域の外側領域に放出された光は、集光器60の側部表面65からの全反射により、均一化棒状体70に誘導される。
【0046】
図12は、図11に示すLED62等の光源が挿入される、集光器60におけるキャビティ61の上面図である。キャビティ61および屈折レンズ部分64は六角形断面を有する。
【0047】
図13は、本発明に係るリング照明器20を形成するためにリング状に配列された複数のビームシェーパー50の可能な実装の1つの実施形態を示す。リング照明器20において配列された複数のビームシェーパー50は、照明エリア15に対して均一な照明を提供する。レンズ80の直径82(図9参照)は、リング照明器20において配列されるビームシェーパー50の個数を支配する。図13に示す実施形態において、レンズ80の直径82は30mmであり、それにより、およそ24個のビームシェーパー50がリング照明器20において配列されることとなる。
【0048】
本発明について、特定の実施形態を参照して説明してきた。しかし、様々な改変例および修正例が、後に挙げる請求項の範囲から逸脱することなく可能であることは、当業者には明白であろう。
【符号の説明】
【0049】
1,2,3,4,5,6 強度分布、10,20 リングライト照明器、11 光ファイバ、12 アーク灯、13 光学エレメント、14 光ファイバの端部、15 照明エリア、16,26 光の円錐、17,27 坦持体、19,66 光軸、22,42 光源、23 TIRレンズ、24,64 屈折レンズ部分、25,65 側部表面、32 LEDエミッタ、33 非球形集光レンズ、40 複合レンズ、41 半球レンズ、43 リレーレンズ、50 ビームシェーパー、52 円錐区域、60 集光器、61 キャビティ、62 LED、70 均一化棒状体、71 均一化棒状体の第1端部、72 均一化棒状体の第2端部、73 均一化棒状体の側部表面、80 レンズ、82 レンズの直径、84 射出表面、100 光線、110 スポット。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図11
図12
図13