(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記確認装置は、前記複数回発生する接触音の発生タイミングにおける前記受取装置の位置の平均に基づいて前記基板の受渡位置を確認することを特徴とする請求項2記載の基板搬送装置。
前記確認ステップでは、前記複数回発生する接触時の振動の発生タイミングにおける前記受取装置の位置の平均に基づいて前記基板の受渡位置を確認することを特徴とする請求項18記載の基板受渡位置確認方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、
図10に示すように、MAC94内においてウエハWが傾いて収容されていることがあり、この場合、ウエハWの周縁の位置の高さ(図中白抜き矢印で示す)と、ウエハWの受渡位置であるウエハWの中央付近の位置の高さ(図中黒矢印で示す)とが異なる。すなわち、マッピングアーム90が確認したウエハWの位置と、ウエハWの受渡位置とが異なる場合がある。
【0009】
また、マッピングアーム90自体の位置調整が正確に行われていない場合があり、マッピングアーム90が確認したウエハWの位置の高さと、ウエハWの実際の位置の高さとが異なる場合がある。
【0010】
その結果、搬送アーム95が各ウエハWを円滑に取り出せないだけでなく、MAC94内において搬送アーム95が各ウエハWと干渉するおそれがある。
【0011】
本発明の目的は、基板の受渡位置を正確に確認することができる基板搬送装置、基板受渡位置確認方法及び基板処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1記載の基板搬送装置は、基板へ向けて移動して前記基板を受け取る受取装置と、前記受取装置の移動量、
及び前記受取装置
と前記基板の接触音に基づいて前記基板の受渡位置を確認する確認装置とを備え
、前記受取装置は、前記基板の受渡位置を確認する際に、前記基板の受け渡し時よりも速く前記基板へ向けて移動することを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の基板搬送装置は、請求項1記載の基板搬送装置において、前記受取装置は前記基板を受け取る際に複数箇所で前記基板と接触して接触音を複数回発生させることを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の基板搬送装置は、請求項2記載の基板搬送装置において、前記確認装置は、前記複数回発生する接触音の発生タイミングにおける前記受取装置の位置の平均に基づいて前記基板の受渡位置を確認することを特徴とする。
【0016】
請求項
4記載の基板搬送装置は、請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の基板搬送装置において、前記受取装置は搬送アームであり、前記搬送アームは集音マイクを有することを特徴とする。
【0017】
請求項
5記載の基板搬送装置は、請求項
4記載の基板搬送装置において、前記搬送アームは前記基板を吸着する吸着手段を有し、前記基板の受渡位置を確認する際に前記吸着手段は前記基板を吸着しないことを特徴とする。
【0018】
請求項
6記載の基板搬送装置は、請求項
5記載の基板搬送装置において、前記吸着手段は前記受取装置に内蔵される吸引路を有し、前記集音マイクは前記吸引路内に配置されることを特徴とする。
【0019】
請求項
7記載の基板搬送装置は、請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の基板搬送装置において、前記基板は直径が450mmの半導体ウエハであることを特徴とする。
【0020】
上記目的を達成するために、請求項
8記載の基板搬送装置は、基板へ向けて移動して前記基板を受け取る受取装置と、前記受取装置の移動量、
及び前記受取装置
と前記基板の接触時の振動に基づいて前記基板の受渡位置を確認する確認装置とを備え
、前記受取装置は、前記基板の受渡位置を確認する際に、前記基板の受け渡し時よりも速く前記基板へ向けて移動することを特徴とする。
【0021】
請求項
9記載の基板搬送装置は、請求項
8記載の基板搬送装置において、前記受取装置は前記基板を受け取る際に複数箇所で前記基板と接触して接触時の振動を複数回発生させることを特徴とする。
【0022】
請求項
10記載の基板搬送装置は、請求項
9記載の基板搬送装置において、前記確認装置は、前記複数回発生する接触時の振動の発生タイミングにおける前記受取装置の位置の平均に基づいて前記基板の受渡位置を確認することを特徴とする。
【0024】
請求項
11記載の基板搬送装置は、請求項
8乃至
10のいずれか1項に記載の基板搬送装置において、前記受取装置は搬送アームであり、前記搬送アームは振動検知センサを有することを特徴とする。
【0025】
請求項
12記載の基板搬送装置は、請求項
11記載の基板搬送装置において、前記搬送アームは前記基板を吸着する吸着手段を有し、前記基板の受渡位置を確認する際に前記吸着手段は前記基板を吸着しないことを特徴とする。
【0026】
請求項
13記載の基板搬送装置は、請求項
8乃至
12のいずれか1項に記載の基板搬送装置において、前記基板は直径が450mmの半導体ウエハであることを特徴とする。
【0027】
上記目的を達成するために、請求項
14記載の基板受渡位置確認方法は、基板の受渡位置を確認する基板受渡位置確認方法であって、所定の位置に位置する前記基板を受け取る受取装置が前記基板へ向けて移動する移動ステップと、前記受取装置の移動量、
及び前記受取装置
と前記基板の接触音に基づいて前記基板の受渡位置を確認する確認ステップとを有
し、前記受取装置は、前記確認ステップにおいて、前記基板の受け渡し時よりも速く前記基板へ向けて移動することを特徴とする。
【0028】
請求項
15記載の基板受渡位置確認方法は、請求項
14記載の基板受渡位置確認方法において、前記移動ステップでは、前記受取装置が前記基板を受け取る際に複数箇所で前記基板と接触して接触音が複数回発生することを特徴とする。
【0029】
請求項
16記載の基板受渡位置確認方法は、請求項
15記載の基板受渡位置確認方法において、前記確認ステップでは、前記複数回発生する接触音の発生タイミングにおける前記受取装置の位置の平均に基づいて前記基板の受渡位置を確認することを特徴とする。
【0030】
上記目的を達成するために、請求項
17記載の基板受渡位置確認方法は、基板の受渡位置を確認する基板受渡位置確認方法であって、所定の位置に位置する前記基板を受け取る受取装置が前記基板へ向けて移動する移動ステップと、前記受取装置の移動量、
及び前記受取装置
と前記基板の接触時の振動に基づいて前記基板の受渡位置を確認する確認ステップとを有
し、前記受取装置は、前記確認ステップにおいて、前記基板の受け渡し時よりも速く前記基板へ向けて移動することを特徴とする。
【0031】
請求項
18記載の基板受渡位置確認方法は、請求項
17記載の基板受渡位置確認方法において、前記移動ステップでは、前記受取装置が前記基板を受け取る際に複数箇所で前記基板と接触して接触時の振動が複数回発生することを特徴とする。
【0032】
請求項
19記載の基板受渡位置確認方法は、請求項
18記載の基板受渡位置確認方法において、前記確認ステップでは、前記複数回発生する接触時の振動の発生タイミングにおける前記受取装置の位置の平均に基づいて前記基板の受渡位置を確認することを特徴とする。
【0033】
上記目的を達成するために、請求項
20記載の基板処理システムは、基板に所定の処理を施す基板処理システムにおいて、前記基板へ向けて移動して前記基板を受け取る受取装置と、前記受取装置の移動量、
及び前記受取装置
と前記基板の接触音に基づいて前記基板の受渡位置を確認する確認装置とを備え
、前記受取装置は、前記基板の受渡位置を確認する際、前記基板の受け渡し時よりも速く前記基板へ向けて移動することを特徴とする。
【0034】
上記目的を達成するために、請求項
21記載の基板処理システムは、基板に所定の処理を施す基板処理システムにおいて、前記基板へ向けて移動して前記基板を受け取る受取装置と、前記受取装置の移動量、
及び前記受取装置
と前記基板の接触時の振動に基づいて前記基板の受渡位置を確認する確認装置とを備え
、前記受取装置は、前記基板の受渡位置を確認する際、前記基板の受け渡し時よりも速く前記基板へ向けて移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、基板へ向けて移動する受取装置の移動量、並びに受取装置及び基板の接触音に基づいて基板の受渡位置が確認される。受取装置及び基板が接触するのは、受取装置が基板の受渡位置に到達したときであるため、接触音が発生するまでに移動した受取装置の移動量から基板の受渡位置を正確に確認することができる。
【0036】
また、本発明によれば、基板へ向けて移動する受取装置の移動量、並びに受取装置及び基板の接触時の振動に基づいて基板の受渡位置が確認される。受取装置及び基板が接触するのは、受取装置が基板の受渡位置に到達したときであるため、接触時の振動が発生するまでに移動した受取装置の移動量から基板の受渡位置を正確に確認することができる。
【0037】
さらに、本発明によれば、基板の受渡位置の確認と基板の受け渡しは同じ受取装置が行うため、基板の受渡位置の確認時及び基板の受け渡し時における基板と受取装置の相対的な位置関係は変わらない。したがって、受取装置の位置調整が正確に行われていなくても、受取装置及び基板の接触音や接触時の振動に基づいて確認された基板の受渡位置に基づいて当該受取装置によって基板を正確に受け渡しすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0040】
図1は、本実施の形態に係る基板処理システムの構成を概略的に示す平面図である。
【0041】
図1において、基板処理システム10は、例えば、直径が450mmの複数のウエハW(図中破線で示す)を収容する容器、例えば、MAC11から各ウエハWを搬出するローダーモジュール12(基板搬送装置)と、各ウエハWに所定の処理、例えば、ドライエッチング処理を施す複数のプロセスモジュール13と、各プロセスモジュール13への各ウエハWの搬出入を行うトランスファモジュール14(基板搬送装置)と、ローダーモジュール12及びトランスファモジュール14の間で各ウエハWの受け渡しを行う2つのロードロックモジュール15とを備える。
【0042】
ローダーモジュール12は内部が大気開放された略直方体状の搬送室からなり、MAC11を装着可能なロードポート16を有し、該ロードポート16に装着されたMAC11への各ウエハWの搬出入を行う搬送アーム17(図中破線で示す)(受取装置)を搬送室の内部に有する。
【0043】
トランスファモジュール14の周りには複数のプロセスモジュール13が放射状に配置されて接続され、該トランスファモジュール14は内部が減圧された搬送室を有し、搬送室の内部に配置された搬送アーム18(図中破線で示す)(受取装置)によって各プロセスモジュール13及び各ロードロックモジュール15の間の各ウエハWの搬送を行う。
【0044】
ロードロックモジュール15は内部を大気圧環境及び減圧環境に切替可能な待機室からなり、ローダーモジュール12の搬送アーム17及びトランスファモジュール14の搬送アーム18がロードロックモジュール15を介して各ウエハWの受け渡しを行う。
【0045】
各プロセスモジュール13は内部が減圧された処理室を有し、ウエハWを枚葉で収容して処理室内で発生させたプラズマによって当該ウエハWへ所定の処理を施す。
【0046】
ローダーモジュール12は、各ロードロックモジュール15が接続された面とは反対側の面に配置された3つのロードポート16を有し、各ロードポート16は装着されたMAC11から蓋を取り除いてMAC11の内部とローダーモジュール12の内部とを連通させる。
【0047】
また、基板処理システム10は制御部25(確認装置)を備え、該制御部25は、例えば、所望のレシピを実現するプログラムに従って基板処理システム10の各構成要素の動作を制御して各ウエハWに所望のレシピに対応する処理を施す。なお、
図1では、制御部25はローダーモジュール12へ接続されているが、制御部25は基板処理システム10におけるいずれかの構成要素に接続されてもよく、また、いずれかの構成要素が制御部25を有していてもよく、さらに、制御部25は、基板処理システム10とは異なる場所に設置された外部サーバとして構成されてもよい。
【0048】
図2は、
図1のローダーモジュールにおける搬送アームとMACの位置関係を示す断面図である。
図2では、ローダーモジュール12の搬送室が省略され、MAC11から蓋が取り除かれてMAC11の内部とローダーモジュール12の内部とが連通した状態を示す。
【0049】
図2において、搬送アーム17は、伸縮自在のアーム部19と、アーム部19の先端に設けられた、例えば、炭化珪素(SiC)やセラミックスからなる、二股板状のエンドエフェクタ20(受取装置)とからなり、旋回及び上下動自在であって、ローダーモジュール12の長手方向に関して移動自在な基部21へ設けられる。
【0050】
搬送アーム17において、エンドエフェクタ20は、MAC11内へ水平に収容される各ウエハWと略平行となるように配置され、且つ各ウエハWの間の隙間に進入可能な厚さに形成される。
【0051】
MAC11内からウエハWを取り出す際、エンドエフェクタ20は、搬送アーム17がMAC11と対向した後、アーム部19及び基部21の協働動作によってMAC11内の各ウエハWの間の隙間に進入し、所定量だけ上昇してウエハWを載置し、その後、MAC11内からウエハWと共に退出する。
【0052】
図3は、
図2におけるエンドエフェクタの構成を概略的に示す図であり、
図3(A)は平面図であり、
図3(B)は側面図である。
【0053】
図3(A)及び
図3(B)において、エンドエフェクタ20は上面に、例えば、3つの突起状のパッド22を有する。各パッド22は、例えば、プラスチックやセラミックからなり、エンドエフェクタ20が載置するウエハW(図中において一点鎖線で示す)の同心円の円周上に配置される。なお、パッド22の数は3つに限られず、ウエハWを安定して支持できれば、4つ以上であってもよい。
【0054】
エンドエフェクタ20がウエハWを載置する際、各パッド22がウエハWの裏面を直接支持するが、各パッド22が配置される円周はウエハWの外縁よりも比較的中心寄りの円周であるため、ウエハWは各パッド22によって比較的中心寄りを支持される。
【0055】
各パッド22の上端には開口22aが形成され、該開口22aはエンドエフェクタ20内に設けられた吸引ライン23(図中において破線で示す)(吸着手段、吸引路)と連通する。吸引ライン23はアーム部19や基部21を介して排気ポンプ(図示しない)に接続され、該排気ポンプが作動する際、開口22aを介してウエハWを吸着する。これにより、エンドエフェクタ20がウエハWを載置した後、ウエハWをMAC11内から搬出する際等においてウエハWがエンドエフェクタ20に対して相対的に移動するのを防止する。また、エンドエフェクタ20の吸引ライン23内には集音マイク24が配置される。
【0056】
MAC11内からウエハWを取り出す際、各ウエハWの間の隙間に進入したエンドエフェクタ20が上昇して該エンドエフェクタ20上方のウエハWを持ち上げることによって当該ウエハWを受け取るため、事前にエンドエフェクタ20が上昇する際における各パッド22とウエハWの裏面の接触位置であるウエハWの受渡位置を確認し、該受渡位置に基づいてエンドエフェクタ20の移動を制御する必要がある。
【0057】
本実施の形態では、これに対応して、MAC11内からウエハWを取り出す前にエンドエフェクタ20及び各ウエハWを利用して各ウエハWの受渡位置を確認する。
【0058】
図4は、本実施の形態に係る基板受渡位置確認方法としてのウエハの受渡位置確認方法を示す工程図である。本方法は、MAC11内から各ウエハWを搬送アーム17によって取り出す前に、制御部25が各構成要素、主に、搬送アーム17の動作を制御することによって実行される。
【0059】
まず、エンドエフェクタ20をMAC11内において上下に隣接する2つのウエハWの間に進入させて、上方に位置する取り出し対象としてのウエハW(以下、「対象ウエハW」という。)の直下に位置させる(
図4(A))。
【0060】
次いで、対象ウエハWへ向けてエンドエフェクタ20を上昇させる。パッド22が対象ウエハWの裏面と接触すると接触音が発生するが、吸引ライン23内の集音マイク24は当該接触音を集音する(
図4(B))。このとき、対象ウエハWが傾いていると、各パッド22は対象ウエハWの裏面と同時に接触せずに、異なるタイミングで接触するが、制御部25は、最初の接触音が発生した後も、エンドエフェクタ20に上昇を続けさせる。
【0061】
次いで、制御部25は、集音マイク24がパッド22の数と同じ回数だけ接触音を集音した後、エンドエフェクタ20の上昇を停止する。対象ウエハWが傾いていると、全てのパッド22が対象ウエハWの裏面と接触するまでに、パッド22の数と同じ回数だけ接触音が発生するため、パッド22の数と同じ回数だけ接触音を集音してからエンドエフェクタ20の上昇を停止させた際には全てのパッド22が対象ウエハWの裏面と接触する(
図4(C))。
【0062】
次いで、制御部25は、エンドエフェクタ20の上昇量及び各接触音の発生タイミングに基づいてウエハWの受渡位置を確認する。例えば、最初に集音された接触音の発生タイミングにおけるエンドエフェクタ20の高さ、及び最後に集音された接触音の発生タイミングにおけるエンドエフェクタ20の高さの中間をウエハWの受渡位置として確認し、若しくは、各接触音の発生タイミング(
図3のエンドエフェクタ20では3回の接触音の発生タイミング)におけるエンドエフェクタ20の高さの平均を受渡位置として確認する。
【0063】
次いで、制御部25は内蔵するメモリ等に確認したウエハWの受渡位置を格納し、本方法を終了する。
【0064】
図4のウエハの受渡位置確認方法によれば、対象ウエハWへ向けて上昇するエンドエフェクタ20の上昇量、並びにエンドエフェクタ20及び対象ウエハWの接触音に基づいてウエハWの受渡位置が確認される。エンドエフェクタ20及び対象ウエハWが接触するのは、エンドエフェクタ20がウエハWの受渡位置に到達したときであるため、接触音が発生するまでに上昇したエンドエフェクタ20の上昇量からウエハWの受渡位置を正確に確認することができる。
【0065】
これにより、搬送アーム17によってウエハWの受渡位置を確認した後、安全のために再度のウエハWの受渡位置の目視確認を行う必要を無くすことができ、また、確認されたウエハWの受渡位置に基づいてエンドエフェクタ20を各ウエハWに正確に接触させることができるため、エンドエフェクタ20の不必要な移動を無くすことができる。さらに、エンドエフェクタ20及び各ウエハWの接触位置を正確に知ることができるため、各ウエハWのへの接触直前までのエンドエフェクタ20の移動速度を高め、接触時には各ウエハWが浮き上がらない程度までエンドエフェクタ20の移動速度を低下させることにより、スループットを向上することができる。
【0066】
また、エンドエフェクタ20及び対象ウエハWの接触音を集音するため、制御部25は接触音の解析を行うことができ、例えば、接触音の周波数分布が通常と異なる場合にはエンドエフェクタ20やアーム部19に発生した亀裂や欠けを検知することができる。
【0067】
さらに、ウエハWの受渡位置の確認と後のウエハWの受け渡しは同じ搬送アーム17が行うため、ウエハWの受渡位置の確認時及びウエハWの受け渡し時におけるウエハWとエンドエフェクタ20の相対的な位置関係は変わらない。したがって、搬送アーム17の各構成要素、例えば、エンドエフェクタ20の位置調整が正確に行われていなくても、確認されたウエハWの受渡位置に基づいて搬送アーム17によってウエハWを正確に受け渡しすることができる。
【0068】
上述した
図4のウエハの受渡位置確認方法では、対象ウエハWが傾いていると、エンドエフェクタ20及び対象ウエハWの接触音が複数回発生するので、接触音の検知漏れを防止することができる。
【0069】
また、上述した
図4のウエハの受渡位置確認方法では、複数回発生する接触音の発生タイミングにおけるエンドエフェクタ20の高さの平均に基づいてウエハWの受渡位置が確認されるので、例え、接触音の誤検知があったとしても、該誤検知の影響を緩和することができ、もって、ウエハWの受渡位置をより正確に確認することができる。
【0070】
また、上述した搬送アーム17では、集音マイク24がエンドエフェクタ20に内蔵される吸引ライン23内に配置される。エンドエフェクタ20及び対象ウエハWの接触音は、各パッド22の開口22aを介して吸引ライン23内へ導入され、さらに、吸引ライン23内で反射を繰り返して増幅されるので、接触音を確実に検知することができる。
【0071】
上述した
図4のウエハの受渡位置確認方法において、ウエハWの受渡位置を確認する際にエンドエフェクタ20をウエハWの受け渡し時よりも速くウエハWへ向けて上昇させるのが好ましい。これにより、エンドエフェクタ20及び対象ウエハWの接触音を大きくすることができ、もって、ウエハWの受渡位置をさらに正確に確認することができる。
【0072】
さらに、上述した
図4のウエハの受渡位置確認方法において、ウエハWの受渡位置を確認する際に吸引ライン23はウエハWを吸着しないのが好ましい。これにより、エンドエフェクタ20及び対象ウエハWの接触間際にウエハWが吸着されて変形するのを防止することができ、接触音をウエハWの受渡位置で正確に発生させることができる。
【0073】
なお、集音マイク24は吸引ライン23内に配置されていなくてもよく、例えば、エンドエフェクタ20の表面、特に上面に設けられてもよく、若しくは、MAC11内に設けられてもよい。
【0074】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る基板搬送装置及び基板受渡位置確認方法について説明する。
【0075】
本実施の形態は、その構成や作用が上述した第1の実施の形態と基本的に同じであり、集音マイクを備えず、代わりに振動検知センサを備える点で上述した第1の実施の形態と異なる。したがって、重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。
【0076】
図5は、本実施の形態に係る基板搬送装置としてのローダーモジュールにおける搬送アームのエンドエフェクタの構成を概略的に示す側面図である。
【0077】
図5において、エンドエフェクタ26は、集音マイク24の代わりに下面に配置された振動検知センサ27を有し、該振動検知センサ27は、エンドエフェクタ26を上昇させる際に発生する各パッド22及びウエハWの接触時の振動を検知する。
【0078】
本実施の形態に係る基板受渡位置確認方法としてのウエハの受渡位置確認方法では、
図4のウエハの受渡位置確認方法と同様に、まず、エンドエフェクタ26をMAC11内において上下に隣接する2つのウエハWの間に進入させて、上方に位置する対象ウエハWの直下に位置させ、対象ウエハWへ向けてエンドエフェクタ26を上昇させる。パッド22が対象ウエハWの裏面と接触するとエンドエフェクタ26に振動が発生するが、振動検知センサ27は当該振動を検知する。ウエハWが傾いている場合、該振動はパッド22の数と同じ回数だけ発生する。
【0079】
次いで、制御部25は、振動検知センサ27がパッド22の数と同じ回数だけ振動を検知した後、エンドエフェクタ26の上昇を停止し、エンドエフェクタ26の上昇量及び各振動の発生タイミングに基づいてウエハWの受渡位置を確認する。例えば、最初に検知された振動の発生タイミングにおけるエンドエフェクタ26の高さ、及び最後に検知された振動の発生タイミングにおけるエンドエフェクタ26の高さの中間をウエハWの受渡位置として確認し、若しくは、各振動の発生タイミングにおけるエンドエフェクタ26の高さの平均を受渡位置として確認する。
【0080】
次いで、制御部25は内蔵するメモリ等に確認したウエハWの受渡位置を格納し、本方法を終了する。
【0081】
本実施の形態に係る基板受渡位置確認方法によれば、対象ウエハWへ向けて上昇するエンドエフェクタ26の上昇量、並びにエンドエフェクタ26及びウエハWの接触時の振動に基づいてウエハWの受渡位置が確認される。エンドエフェクタ26及びウエハWが接触するのは、エンドエフェクタ26がウエハWの受渡位置に到達したときであるため、接触時の振動が発生するまでに上昇したエンドエフェクタ26の上昇量からウエハWの受渡位置を正確に確認することができる。
【0082】
これにより、第1の実施の形態と同様に、再度のウエハWの受渡位置の目視確認を行う必要を無くすことができ、エンドエフェクタ26の不必要な移動を無くすことができ、さらに、スループットを向上することができる。
【0083】
また、ローダーモジュール12内は、通常、ダウンフローが発生しているため、気流音が発生し、ウエハWとエンドエフェクタ26の接触音が検知しにくい場合があるが、本実施の形態に係る基板受渡位置確認方法では、エンドエフェクタ26及び対象ウエハWの接触時の振動を検知するため、気流音が大きくてもウエハWの受渡位置を確認することができる。さらに、制御部25は振動の解析を行うことができ、エンドエフェクタ26やアーム部19に発生した亀裂や欠けを検知することができる。
【0084】
さらに、本実施の形態に係る基板受渡位置確認方法でも、対象ウエハWが傾いていると、エンドエフェクタ26及びウエハWの接触時の振動が複数回発生するので、接触時の振動の検知漏れを防止することができ、さらに、複数回発生する接触時の振動の発生タイミングにおけるエンドエフェクタ26の高さの平均に基づいてウエハWの受渡位置が確認されるので、誤検知の影響を緩和することができ、もって、ウエハWの受渡位置をより正確に確認することができる。
【0085】
また、第1の実施の形態と同様に、ウエハWの受渡位置を確認する際にエンドエフェクタ26を、ウエハWの受け渡し時よりも速く基板へ向けて上昇させてもよく、また、ウエハWの受渡位置を確認する際に吸引ライン23はウエハWを吸着しなくてもよい。
【0086】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る基板受渡位置確認方法について説明する。
【0087】
図6は、本実施の形態に係る基板受渡位置確認方法を実行する際の
図1における搬送アーム及びプロセスモジュールの位置関係を説明するための図である。
【0088】
図6において、プロセスモジュール13は、処理室28内の下方に配置されたウエハWの載置台としてのサセプタ29と、処理室28内においてサセプタ29に対向するように配置されたシャワーヘッド30とを備える。
【0089】
処理室28内は減圧され、サセプタ29には高周波電源33が接続され、シャワーヘッド30には処理ガス供給装置(図示しない)が接続される。ウエハWに所定の処理、例えば、プラズマ処理を施す際、シャワーヘッド30は処理室28内へ処理ガスを導入し、サセプタ29は処理室28内へ高周波電圧を印加する。これにより、処理室28内においてプラズマが発生する。
【0090】
サセプタ29は円柱状を呈し、上面に突出自在な複数、例えば、3つのリフトピン31(受取装置)を有する。各リフトピン31は通常、サセプタ29に埋設されるが、
図7に示すように、サセプタ29が載置するウエハW(図中において一点鎖線で示す)の同心円の円周上に配置される。なお、リフトピン31の数は3つに限られず、ウエハWを安定して支持できれば、4つ以上であってもよい。また、サセプタ29は側面に配置された振動検知センサ32を有する。
【0091】
プロセスモジュール13では、搬送アーム18が処理室28内に進入し、各リフトピン31と協働して処理室28内へのウエハWの搬出入を行う。
【0092】
例えば、処理室28内へウエハWを搬入する場合、ウエハWを載置した搬送アーム18が当該ウエハWをサセプタ29と対向させると、各リフトピン31がサセプタ29から突出してウエハWの裏面と接触することによってウエハWを搬送アーム18から多少持ち上げる。その後、搬送アーム18は処理室28内から退出し、各リフトピン31は下降してウエハWをサセプタ29の上面に載置させる。
【0093】
また、処理室28内からウエハWを搬出する場合、各リフトピン31がサセプタ29から突出してウエハWを上昇させ、処理室28内に進入した搬送アーム18が上昇したウエハWの直下へ位置する。その後、各リフトピン31が下降してウエハWを搬送アーム18に受け渡し、搬送アーム18は処理室28から退出する。
【0094】
サセプタ29においてリフトピン31が配置される円周はウエハWの外縁よりも比較的中心寄りの円周であるため、ウエハWは各リフトピン31によって比較的中心寄りを支持される。
【0095】
プロセスモジュール13では、処理室28内へのウエハWの搬出入の際、上述したように、搬送アーム18に対して各リフトピン31が昇降してウエハWの受け渡しを行うため、各リフトピン31と搬送アーム18が載置するウエハWの裏面の接触位置であるウエハWの受渡位置を確認し、該受渡位置に基づいて各リフトピン31の昇降量を制御する必要がある。
【0096】
本実施の形態では、これに対応して、処理室28内へのウエハWの搬出入を行う前に各リフトピン31及びウエハWを利用して各プロセスモジュール13におけるウエハWの受渡位置を確認する。
【0097】
図8は、本実施の形態に係る基板受渡位置確認方法としてのウエハの受渡位置確認方法を示す工程図である。本方法は、処理室28内へのウエハWの搬出入を行う前に、制御部25が各リフトピン31及び搬送アーム18の動作を制御することによって実行される。なお、説明のために、搬送アーム18は省略される。
【0098】
まず、ウエハWを載置する搬送アーム18を処理室28内へ進入させて、サセプタ29の直上に位置させる(
図8(A))。
【0099】
次いで、対象ウエハWへ向けて各リフトピン31を突出させる。リフトピン31が対象ウエハWの裏面と接触すると振動が発生するが、サセプタ29の振動検知センサ32は当該振動を検知する(
図8(B))。このとき、対象ウエハWが傾いていると、各リフトピン31は対象ウエハWの裏面と同時に接触せずに、異なるタイミングで接触するが、制御部25は、最初の振動が発生した後も、各リフトピン31を突出させ続ける。
【0100】
次いで、制御部25は、振動検知センサ32がリフトピン31の数と同じ回数だけ振動を検知した後、リフトピン31の突出を停止する。対象ウエハWが傾いていると、全てのリフトピン31が対象ウエハWの裏面と接触するまでに、リフトピン31の数と同じ回数だけ振動が発生するため、リフトピン31の数と同じ回数だけ振動を検知してからリフトピン31の突出を停止させた際には全てのリフトピン31が対象ウエハWの裏面と接触する(
図8(C))。
【0101】
次いで、制御部25は、リフトピン31の突出量及び各振動の発生タイミングに基づいてウエハWの受渡位置を確認する。例えば、最初に検知された振動の発生タイミングにおけるリフトピン31の突出量、及び最後に検知された振動の発生タイミングにおけるリフトピン31の突出量の中間をウエハWの受渡位置として確認し、若しくは、各振動の発生タイミング(
図6、
図7のリフトピン31では3回の振動の発生タイミング)におけるリフトピン31の突出量の平均を受渡位置として確認する。
【0102】
次いで、制御部25は内蔵するメモリ等に確認したウエハWの受渡位置を格納し、本方法を終了する。
【0103】
図8のウエハの受渡位置確認方法によれば、対象ウエハWへ向けて突出するリフトピン31の突出量、並びにリフトピン31及び対象ウエハWの接触時の振動に基づいてウエハWの受渡位置が確認される。リフトピン31及び対象ウエハWが接触するのは、リフトピン31がウエハWの受渡位置に到達したときであるため、振動が発生するまでのリフトピン31の突出量からウエハWの受渡位置を正確に確認することができる。
【0104】
これにより、確認されたウエハWの受渡位置に基づいてリフトピン31を各ウエハWに正確に接触させることができるため、リフトピン31の不必要な突出を無くすことができる。さらに、リフトピン31及び各ウエハWの接触位置を正確に知ることができるため、各ウエハWのへの接触直前までのリフトピン31の突出速度を高め、接触時には各ウエハWが浮き上がらない程度までリフトピン31の突出速度を低下させることにより、スループットを向上することができる。
【0105】
また、リフトピン31及び対象ウエハWの接触時の振動を検知するため、接触音が伝達されにくい処理室28内においても、ウエハWの受渡位置を確認することができる。また、制御部25は振動の解析を行うことができるため、リフトピン31に発生した亀裂や欠けを検知することができる。
【0106】
さらに、ウエハWの受渡位置の確認と後のウエハWの受け渡しは同じリフトピン31が行うため、ウエハWの受渡位置の確認時及びウエハWの受け渡し時におけるウエハWとリフトピン31の相対的な位置関係は変わらない。したがって、リフトピン31の位置調整が正確に行われていなくても、確認されたウエハWの受渡位置に基づいてリフトピン31によってウエハWを正確に受け渡しすることができる。
【0107】
上述した
図8のウエハの受渡位置確認方法では、対象ウエハWが傾いていると、リフトピン31及び対象ウエハWの接触時の振動が複数回発生するので、振動の検知漏れを防止することができる。
【0108】
また、上述した
図8のウエハの受渡位置確認方法では、複数回発生する振動の発生タイミングにおけるリフトピン31の突出量の平均に基づいてウエハWの受渡位置が確認されるので、例え、振動の誤検知があったとしても、該誤検知の影響を緩和することができ、もって、ウエハWの受渡位置をより正確に確認することができる。
【0109】
上述した
図8のウエハの受渡位置確認方法において、ウエハWの受渡位置を確認する際にリフトピン31をウエハWの受け渡し時よりも速くウエハWへ向けて突出させるのが好ましい。これにより、リフトピン31及び対象ウエハWの接触時の振動を大きくすることができ、もって、ウエハWの受渡位置をさらに正確に確認することができる。
【0110】
なお、振動検知センサ32は処理室28内のサセプタ29に配置されていなくてもよく、例えば、搬送アーム18に配置されていてもよい。
【0111】
上述した
図8のウエハの受渡位置確認方法では、処理室28内が減圧されているため、リフトピン31及び対象ウエハWの接触時の振動に基づいてウエハWの受渡位置を確認したが、処理室28内が減圧されておらず、例えば、大気圧に維持される場合、リフトピン31及び対象ウエハWの接触音に基づいてウエハWの受渡位置を確認してもよい。この場合、振動検知センサ32の代わりに集音マイクを処理室28内に配置すればよい。
【0112】
以上、本発明について、上記各実施の形態を用いて説明したが、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではない。
【0113】
例えば、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、MAC11内におけるウエハWの受渡位置を確認したが、本発明はFOUP(Front Opening Unified Pod)内やFOSB(Front Opening Shipping Box)内におけるウエハWの受渡位置の確認に適用してもよい。
【0114】
また、本発明の目的は、上述した各実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、コンピュータ、例えば、制御部25に供給し、制御部25のCPUが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される。
【0115】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した各実施の形態の機能を実現することになり、プログラムコード及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0116】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、RAM、NV−RAM、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD(DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW)等の光ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、他のROM等の上記プログラムコードを記憶できるものであればよい。或いは、上記プログラムコードは、インターネット、商用ネットワーク、若しくはローカルエリアネットワーク等に接続される不図示の他のコンピュータやデータベース等からダウンロードすることにより制御部25に供給されてもよい。
【0117】
また、制御部25が読み出したプログラムコードを実行することにより、上記各実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、CPU上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0118】
更に、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、制御部25に挿入された機能拡張ボードや制御部25に接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0119】
上記プログラムコードの形態は、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラムコード、OSに供給されるスクリプトデータ等の形態から成ってもよい。