特許第6114145号(P6114145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6114145
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】ウニ含有水中油型乳化ソース
(51)【国際特許分類】
   A23L 23/00 20160101AFI20170403BHJP
【FI】
   A23L23/00
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-172513(P2013-172513)
(22)【出願日】2013年8月22日
(65)【公開番号】特開2015-39346(P2015-39346A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2016年4月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001421
【氏名又は名称】キユーピー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松本 有加
(72)【発明者】
【氏名】中村 友美
【審査官】 松原 寛子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−224339(JP,A)
【文献】 特開2004−215539(JP,A)
【文献】 特開2005−27548(JP,A)
【文献】 特開2012−039954(JP,A)
【文献】 特開2005−027548(JP,A)
【文献】 特開2007−135458(JP,A)
【文献】 特開2006−141207(JP,A)
【文献】 特開2013−000095(JP,A)
【文献】 特開2012−039950(JP,A)
【文献】 特開2011−004688(JP,A)
【文献】 特開2003−018972(JP,A)
【文献】 特開2008−125402(JP,A)
【文献】 特開平07−051031(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02695527(EP,A1)
【文献】 特開平11−164669(JP,A)
【文献】 特開2000−236852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 23/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウニ、卵黄、及び食用油脂を含有し、pHが5以上7.5以下であるウニ含有水中油型乳化ソースにおいて、
コハク酸塩を配合し、
ソース全量に対して食用油脂を25%以上75%以下配合し、
卵黄固形分1部に対する食用油脂の割合が1.25部以上300部以下であり、
25℃における粘度が1Pa・s以上100Pa・s以下である、
ウニ含有水中油型乳化ソース。
【請求項2】
請求項1に記載のウニ含有水中油型乳化ソースにおいて、
水分活性が0.6以上0.9以下である、
ウニ含有水中油型乳化ソース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウニの風味とコクが引き立つ、ウニ含有水中油型乳化ソースに関する。
【背景技術】
【0002】
ウニは、生ウニとして食されるほか、塩ウニ、練りウニ等のウニ加工品として食される。ウニ加工品とは、生のウニに食塩を添加した塩ウニに、アルコールその他の調味料を添加したものである。
近年では、例えばパスタソース等、ウニを含有するソースも市販されており、ウニの食シーンが広がっている。
【0003】
ソースを乳化すると、口当たりが滑らかな好ましいものとなる一方、乳化が強いと風味がぼやけ、コクも感じにくくなる。
ウニの風味とコクを引き立たせるには、ソースの分離が起こらない程度の乳化状態とすればよいが、この場合、ソースの乳化状態を安定に維持することが難しく、ソースが分離しやすくなるという問題がある。
【0004】
具材の風味とコクが引き立つ乳化ソースとして、例えば、
特許文献1には、魚介類の具材を含み、乳酸と卵黄を含有する乳化状パスタソースが記載されており、魚介類として、ウニが例示されている。
また、乳酸を含有することによって、魚介類特有のコクが弱くなってぼやけた味になることを防止できることが示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の乳化ソースは、特にタラコを含有するソースに顕著な効果を示すものであり、ウニを含有する乳化状ソースにおいては、風味とコクの改善に大きな効果は得られなかった。
よって、ウニの風味とコクが引き立つ乳化ソースには、別の方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−39954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ウニの風味とコクが引き立つ、ウニ含有水中油型乳化ソースを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた。
その結果、コハク酸塩を含有し、食用油脂と卵黄を特定量配合するならば、意外にも、ウニの風味とコクが引き立つウニ含有水中油型乳化ソースが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)ウニ、卵黄、及び食用油脂を配合し、pHが5以上7.5以下であるウニ含有水中油型乳化ソースにおいて、
コハク酸塩を配合し、
ソース全量に対して食用油脂を25%以上75%以下配合し、
卵黄固形分1部に対する食用油脂の割合が1.25部以上300部以下であり、
25℃における粘度が1Pa・s以上100Pa・s以下である、
ウニ含有水中油型乳化ソース、
(2)(1)のウニ含有水中油型乳化ソースにおいて、
水分活性が0.6以上0.9以下である、
ウニ含有水中油型乳化ソース、
である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ウニの風味とコクが引き立つ、ウニ含有水中油型乳化ソースを提供することができる。
したがって、ウニ含有ソースの更なる需要拡大が期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
【0012】
<本発明の特徴>
本発明は、ウニ、卵黄、及び食用油脂を配合し、pHが5以上7.5以下であるウニ含有水中油型乳化ソースにおいて、
コハク酸塩を配合し、
ソース全量に対して食用油脂を25%以上75%以下配合し、
卵黄固形分1部に対する食用油脂の割合が1.25部以上300部以下であり、
25℃における粘度が1Pa・s以上100Pa・s以下であることにより、
ウニの風味とコクが引き立つことに特徴を有する。
【0013】
<ウニ含有水中油型乳化ソース>
本発明のウニ含有水中油型乳化ソースは、
ウニを含有し、食用油脂が油滴として水相中に略均一に分散して水中油型の乳化状態が維持されたソースをいう。
このようなウニ含有水中油型乳化ソースとしては、例えば、調理用の合わせ調味料、パスタソース等が挙げられる。
【0014】
<ウニ含有水中油型乳化ソースのpH>
本発明のウニ含有水中油型乳化ソースは、パスタ等の食品と共に喫食しても、違和感なくウニの風味とコクが引き立つ観点から、pHが5以上7.5以下である。
【0015】
<ウニ>
本発明のウニ含有水中油型乳化ソースおいて、ウニとしては、生ウニの他、生ウニに塩を添加した塩ウニ、及び塩ウニに調味料を添加したウニ加工品を使用することができる。
ウニ加工品としては、練りウニ、粒ウニ、混合ウニ等が挙げられる。
【0016】
<ウニの含有量>
本発明のウニ含有水中油型乳化ソースにおいて、ウニの含有量は一般的な程度であればよく、具体的には生換算で1%以上30%以下がよく、さらに5%以上20%以下がよい。
ウニ加工品を使用する場合は、ウニ加工品中のウニの部分をウニ含有量とする。
【0017】
<コハク酸塩>
本発明のウニ含有水中油型乳化ソースに用いられるコハク酸塩は、天然又は合成のもののうち、食用に適するものであればいずれのものでもよい。
コハク酸塩としては、コハク酸ナトリウム塩等が挙げられる。
【0018】
<コハク酸塩の配合量>
コハク酸塩の配合量は、本発明のウニ含有水中油型乳化ソース全量に対して、コハク酸換算で0.01%以上5%以下がよく、さらに0.05%以上3%以下がよい。
コハク酸塩の配合量が前記範囲であることにより、ウニの風味が引き立つ本発明の効果が得られやすくなる。
なお、上記配合量は、無水物の配合量である。
【0019】
<食用油脂>
本発明のウニ含有水中油型乳化ソースにおいて、食用油脂とは、トリアシルグリセロールまたはジアシルグリセロールを主成分とする脂質であり、食用に適するものであればいずれのものでもよい。
このような食用油脂としては、例えば、乳脂、牛脂、卵黄油、パーム油、菜種油、大豆油、コーン油、紅花油、綿実油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油等の動植物油、硬化油、酵素処理卵黄油等のように化学的あるいは酵素処理を施して得られる油脂等が挙げられる。
これらの食用油脂は、一種で使用しても二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0020】
<食用油脂の配合量>
食用油脂の配合量は、本発明のウニ含有水中油型乳化ソース全量に対して、25%以上75%以下であり、25%以上70%以下がよく、さらに25%以上50%以下がよい。
食用油脂の配合量が前記範囲より多いと、ソースの乳化状態を維持できない、又は、油っぽくウニの風味が感じられないソースとなる。
食用油脂の配合量が前記範囲より少ないと、ウニのコクが弱いソースとなる。
また、ウニの風味とコクをより引き立たせる観点から、ソース中のウニの生換算1部に対する食用油脂の配合量は1部以上4.5部以下がよく、さらに1.3部以上4部以下がよい。
【0021】
<卵黄>
本発明のウニ含有水中油型乳化ソースにおいて、卵黄とは、鶏等鳥類の卵を割卵し卵白を分離したものであり、生卵黄の他、殺菌卵黄、加塩卵黄、加塩冷凍卵黄、加糖卵黄、加糖冷凍卵黄、また、これらを酵素処理したもの、脱糖処理したもの等が挙げられる。
これらの卵黄は、一種で使用しても二種以上を組み合わせて使用してもよい。
卵黄は、ソースにコクを付与し、ソースの乳化を維持する乳化剤としての機能を有するものであればよく、効果に影響を及ぼさない程度に卵白やその他の卵由来の成分を含んでいても差し支えない。
卵黄に卵白やその他の卵由来の成分を含むものを使用する場合、卵黄部分が本発明の卵黄に相当する。
本発明のウニ含有水中油型乳化ソースにおいては、後述するウニの風味とコクが引き立つ乳化状態を維持する観点から、酵素処理卵黄を用いるのがよい。
【0022】
<食用油脂と卵黄の配合比率>
本発明のウニ含有水中油型乳化ソースにおいて、卵黄固形分1部に対する食用油脂の割合が1.25部以上300部以下であり、さらに1.5部以上250部以下がよく、特に2.5部以上200部以下がよい。
卵黄固形分1部に対する食用油脂の割合が前記範囲より多いと、ソースの乳化が弱く、ソースの乳化状態を維持できずに分離状態となる。また、ウニのコクも弱いものとなる。
卵黄固形分1部に対する食用油脂の割合が前記範囲より少ないと、ソースの乳化が強く、ウニの風味がぼやけたものとなり、コクも弱くなる。また、卵黄の風味が強いソースとなってしまう。
【0023】
<ウニ含有水中油型乳化ソースの粘度>
本発明のウニ含有水中油型乳化ソースにおいて、ウニの風味とコクが引き立つ乳化状態を維持するためには、
25℃においてBH型粘度計で測定した時の粘度が、1Pa・s以上100Pa・s以下であり、さらに5Pa・s以上70Pa・s以下がよい。
粘度の値が前記範囲より大きいと、ソースの乳化が強く、ウニの風味がぼやけたものとなり、コクも弱くなる。
粘度の値が前記範囲より小さいと、ソースの乳化が弱く、ソースの乳化状態が維持できず分離状態となる。
なお、粘度の測定にはBH型粘度計を用い、品温25℃、回転数10rpm、ローターNo.6の条件で、2回転後の示度により粘度の値を算出した。
【0024】
<ウニ含有水中油型乳化ソースの水分活性>
本発明のウニ含有水中油型乳化ソースは、
水分活性が0.6以上0.9以下であるとよく、さらに0.65以上0.86以下がよく、特に0.7以上0.84以下がよい。
水分活性が前記範囲であることにより、本発明のウニ含有水中油型乳化ソースの製造工程中に加熱を必要とせず、ウニの風味が引き立つソースが得られやすい。
水分活性を前記範囲に調整するには、ウニ含有水中油型乳化ソースの食味を考慮し、常法により、糖アルコール、砂糖等の糖類、食塩等の塩分等によって行えばよい。
【0025】
<アルコール>
本発明のウニ含有水中油型乳化ソースは、ウニの風味が引き立つ観点から、アルコール、つまりエタノールを配合するのがよい。
アルコールを配合すると、ウニの風味がより引き立つソースとなる。
【0026】
<アルコールの配合量>
アルコールの配合量としては、本発明のウニ含有水中油型乳化ソース全量に対して、0.01%以上4%以下がよく、さらに0.02%以上3%以下がよい。
アルコールの配合量が前記範囲であることにより、ウニの風味とコクが引き立ち、ソースの乳化状態も維持されやすい。
【0027】
<澱粉>
本発明のウニ含有水中油型乳化ソースは、ウニの風味とコクが引き立つ乳化状態を維持する観点から、澱粉を配合するのがよい。
澱粉としては、生澱粉の他、α化澱粉、酸化澱粉、架橋澱粉等の加工澱粉、湿熱処理澱粉等が挙げられる。
本発明のウニ含有水中油型乳化ソースの製造においては、前述したように製造工程中に加熱を必要としない場合もあることから、α化澱粉がよく、さらにオクテニルコハク酸澱粉がよい。
【0028】
<澱粉の配合量>
澱粉の配合量としては、本発明のウニ含有水中油型乳化ソース全量に対して、0.01%以上10%以下がよく、さらに0.05%以上8%以下がよい。
澱粉の配合量が前記範囲であることにより、ウニの風味とコクが引き立つ乳化状態が維持されやすい。
【0029】
本発明のウニ含有水中油型乳化ソースには、本発明の必須原料であるウニ、コハク酸塩、食用油脂及び卵黄以外の原料を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択し、配合することができる。
具体的には、例えば、醤油、砂糖、食塩、食酢、核酸系旨味調味料、柑橘果汁、ケチャップ等の各種調味料、牛乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、乳清蛋白等の乳類、各種スパイスオイル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン等の乳化剤、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、グアガム、アラビアガム、サイリュームシードガム、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、うるち米澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、ワキシコーンスターチ、もち米澱粉などの澱粉等の増粘剤、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等の有機酸又はその塩、アスコルビン酸、ビタミンE等の酸化防止剤、各種ペプチド、香辛料、香料、色素などが挙げられる。
【0030】
<ウニ含有水中油型乳化ソースの製造方法>
本発明のウニ含有水中油型乳化ソースの製造方法は、
配合原料を均一に撹拌混合し乳化を行う工程と、加熱処理を行う工程を含む。
本発明のウニ含有水中油型乳化ソースの製造における混合操作は、ミキサーやニーダー等の撹拌機を用いて行うことができる。
【0031】
以下、本発明について、実施例、比較例及び試験例に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
【実施例】
【0032】
[実施例1]
表1の配合割合で、ウニ含有水中油型乳化ソースを調製した。
具体的には、ミキサーに原料を全て投入して25℃で撹拌後、80℃に達温させ、ウニ含有水中油型乳化ソースを得た。
得られたソースのpHは5以上7.5以下であり、粘度は5Pa・s以上70Pa・s以下であった。また、水分活性値は0.6以上0.9以下であった。
【0033】
[実施例2]
表1の配合割合で、実施例1と同様にウニ含有水中油型乳化ソースを調製した。
得られたソースのpHは5以上7.5以下であり、粘度は5Pa・s以上70Pa・s以下であった。また、水分活性値は0.6以上0.9以下であった。
【0034】
[実施例3]
表1の配合割合で、実施例1と同様にウニ含有水中油型乳化ソースを調製した。
得られたソースのpHは5以上7.5以下であり、粘度は1Pa・s以上100Pa・s以下であった。また、水分活性値は0.6以上0.9以下であった。
【0035】
[比較例1]
表1の配合割合で、実施例1と同様にウニ含有水中油型乳化ソースを調製した。
得られたソースのpHは5以上7.5以下であり、粘度は1Pa・s以上100Pa・s以下であった。また、水分活性値は0.6以上0.9以下であった。
【0036】
[比較例2]
表1の配合割合で、実施例1と同様にウニ含有水中油型乳化ソースを調製した。
得られたソースのpHは5以上7.5以下であり、粘度は1Pa・s以上100Pa・s以下あった。また、水分活性値は0.6以上0.9以下であった。
【0037】
[試験例1]ウニの風味とコクの官能評価
実施例1〜3及び比較例1、2のウニ含有水中油型乳化ソースのウニの風味とコクについて、官能評価を行った。
具体的には、茹でたパスタに常温のウニ含有水中油型乳化ソースをかけ、均一に絡めてから喫食して評価を行った。
なお、ソースが加温して用いるものである場合は、加温して用いる。
【0038】
<ウニの風味とコクの評価基準>
A:ウニの風味とコクが良く引き立っている。
B:ウニの風味とコクが引き立っている。
C:ウニの風味とコクがやや弱い。
D:ウニの風味とコクが弱い。
【0039】
【表1】
【0040】
表1より、食用油脂の配合量が25%以上75%以下であるウニ含有水中油型乳化ソース(実施例1〜3)は、ウニの風味とコクが引き立つ、好ましいものであった。
また、食用油脂の配合量が25%以上50%以下であるウニ含有水中油型乳化ソース(実施例1、2)は、よりウニの風味とコクが引き立つ、大変好ましいものであった。
【0041】
一方、食用油脂の配合量が25%未満であるウニ含有水中油型乳化ソース(比較例1)は、ウニの風味とコクが弱く、好ましいものではなかった。
また、食用油脂の配合量が75%を超えるウニ含有水中油型乳化ソース(比較例2)は、ソースの乳化が維持できず、分離状態となった。
【0042】
[実施例4]
アルコールを配合しない以外は実施例1と同様にして、ウニ含有水中油型乳化ソースを調製した。
得られたソースのpHは5以上7.5以下であり、粘度は1Pa・s以上100Pa・s以下であった。また、水分活性値は0.6以上0.9以下であった。
【0043】
[実施例5]
澱粉を配合しない以外は実施例1と同様にして、ウニ含有水中油型乳化ソースを調製した。
得られたソースのpHは5以上7.5以下であり、粘度は1Pa・s以上100Pa・s以下であった。また、水分活性値は0.6以上0.9以下であった。
【0044】
[試験例2]アルコール及び澱粉の影響
実施例1、4、5のウニ含有水中油型乳化ソースのウニの風味とコクについて、試験例1と同様にして官能評価を行った。
【0045】
実施例1と実施例4を比較した場合、アルコールを配合する実施例1のソースは、アルコールを配合しない実施例4のソースに比べて、ウニの風味とコクがより引き立つ好ましいものであった。
実施例1と実施例5を比較した場合、澱粉を配合する実施例1のソースは、澱粉を配合しない実施例5のソースに比べて、ウニの風味とコクがより引き立つ好ましい乳化状態が維持されていた。
【0046】
[比較例3]
コハク酸塩を配合しない以外は実施例1と同様にして、ウニ含有水中油型乳化ソースを調製した。
得られたソースのpHは5以上7.5以下であり、粘度は5Pa・s以上70Pa・s以下であった。また、水分活性値は0.6以上0.9以下であった。
【0047】
[比較例4]
コハク酸塩の代わりに乳酸塩を配合する以外は実施例1と同様にして、ウニ含有水中油型乳化ソースを調製した。
得られたソースのpHは5以上7.5以下であり、粘度は5Pa・s以上70Pa・s以下であった。また、水分活性値は0.6以上0.9以下であった。
【0048】
[試験例3]有機酸塩の影響
実施例1及び比較例3、4のウニ含有水中油型乳化ソースのウニの風味とコクについて、試験例1と同様にして官能評価を行った。
評価基準は、試験例1と同様である。
【0049】
【表2】
【0050】
表2より、コハク酸塩を配合しないウニ含有水中油型乳化ソース(比較例3)はウニの風味とコクが弱く、あまり好ましいものではなかった。
コハク酸塩以の代わりに乳酸塩を配合するウニ含有水中油型乳化ソース(比較例4)は、味のまろやかさが欠けたものとなり、ウニの風味とコクが弱く、好ましいものではなかった。
【0051】
[実施例6]
食用油脂を50%、卵黄を固形分換算で3.6%配合するウニ含有水中油型乳化ソースを、実施例1と同様にして調製した。
得られたソースのpHは5以上7.5以下であり、粘度は5Pa・s以上70Pa・s以下であった。また、水分活性値は0.6以上0.9以下であった。
【0052】
[実施例7]
食用油脂を25%、卵黄を固形分換算で0.1%配合するウニ含有水中油型乳化ソースを、実施例1と同様にして調製した。
得られたソースのpHは5以上7.5以下であり、粘度は5Pa・s以上70Pa・s以下であった。また、水分活性値は0.6以上0.9以下であった。
【0053】
[実施例8]
食用油脂を25%、卵黄を固形分換算で15%配合するウニ含有水中油型乳化ソースを、実施例1と同様にして調製した。
得られたソースのpHは5以上7.5以下であり、粘度は1Pa・s以上100Pa・s以下であった。また、水分活性値は0.6以上0.9以下であった。
【0054】
[比較例5]
食用油脂を70%、卵黄を固形分換算で0.2%配合するウニ含有水中油型乳化ソースを、実施例1と同様にして調製した。
得られたソースのpHは5以上7.5以下であり、粘度は1Pa・s以上100Pa・s以下であった。また、水分活性値は0.6以上0.9以下であった。
【0055】
[比較例6]
食用油脂を25%配合し、卵黄を配合しないウニ含有水中油型乳化ソースを、実施例1と同様にして調製した。
得られたソースのpHは5以上7.5以下であり、粘度は1Pa・s以上100Pa・s以下であった。また、水分活性値は0.6以上0.9以下であった。
【0056】
[比較例7]
食用油脂を25%、卵黄を固形分換算で25%配合するウニ含有水中油型乳化ソースを、実施例1と同様にして調製した。
得られたソースのpHは5以上7.5以下であり、粘度は1Pa・s以上100Pa・s以下であり、水分活性値は0.6以上0.9以下であった。
【0057】
[試験例4]卵黄に対する食用油脂の割合と、ウニの風味とコクの関係
実施例1、2、6〜8及び比較例5〜7のウニ含有水中油型乳化ソースのウニの風味とコクについて、試験例1と同様にして官能評価を行った。
評価基準は、試験例1と同様である。
【0058】
【表3】
【0059】
表3より、
卵黄固形分1部に対する食用油脂の割合が1.25部以上300部以下のウニ含有水中油型乳化ソース(実施例1、2、6〜8)は、ウニの風味とコクが引き立つ乳化状態を維持する好ましいものであった。
また、卵黄固形分1部に対する食用油脂の割合が、2.5部以上200部以下のウニ含有水中油型乳化ソース(実施例1、2、6)は、ウニの風味とコクが引き立つより好ましい乳化状態が維持されていた。
一方、卵黄固形分1部に対する食用油脂の割合が1.25部以上300部以下を満たさないウニ含有水中油型乳化ソース(比較例5、6、7)は、好ましい乳化状態を維持できず、ウニの風味とコクが弱くなり、好ましいものではなかった。