【実施例】
【0065】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0066】
[被処理水]
以下の実験1〜3で用いた被処理水は以下の通りである。
被処理水A:工場Aの排水の生物処理水に、炭酸水素ナトリウムを0.08重量%になるよう加え、アルカリ度を約500mg/L as CaCO
3相当に調整したもの(pH9.0)。
被処理水B:工場Bの排水の生物処理水に、炭酸水素ナトリウムを0.08重量%になるよう加え、アルカリ度を約500mg/L as CaCO
3相当に調整したもの(pH8.6)。
被処理水C:工場Cの排水の生物処理水に、炭酸水素ナトリウムを0.08重量%になるよう加え、アルカリ度を約500mg/L as CaCO
3相当に調整したもの(pH9.0)。
被処理水D:工場Dの排水の生物処理水に、炭酸水素ナトリウムを0.08重量%になるよう加え、アルカリ度を約500mg/L as CaCO
3相当に調整したもの(pH9.2)。
被処理水E:工場Eの排水の生物処理水に、炭酸水素ナトリウムを0.08重量%になるよう加え、アルカリ度を約500 mg/L
as CaCO
3相当にしたもの(pH8.5)。
【0067】
[凝集薬剤]
凝集薬剤としては以下のものを用いた。
【0068】
<第一アミノ基を有する高分子化合物>
ポリエチレンイミン:分子量2,000,000、25,000、10,000、2,000、1,800、600、又は400の分岐型ポリエチレンイミン
ポリビニルアミン:ポリビニルアミン(分子量5,000,000)
【0069】
<第二及び第三アミノ基を有する高分子化合物>
ジシアンジアミド・ホルマリン縮合物:下記式(A)で示されるジシアンジアミド・ホルマリン縮合物(分子量10,000)
【0070】
【化5】
【0071】
<ノニオン性高分子化合物>
PEG:分子量400,000、20,000、10,000、6,000又は4,000のポリエチレングリコール(分子量400,000)
PVP:ポリビニルピロリドン(分子量40,000)
PVA:ポリビニルアルコール(分子量20,000)
PEO:ポリ(2−エチル−オキサゾリン)(分子量50,000)
POE/POP/POE:ポリオキシエチレン(POE)−ポリオキシプロピレン(POP)−ポリオキシエチレン(POE)トリブロック共重合体(プルロニック型ノニオン性界面活性剤、POE/POPモル比:30/7、分子量9,000)
ブリッジ700:ポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル(分子量5,000)
PAA:ポリアクリルアミド(分子量40,000)
ツイン85:ポリオキシエチレンソルビタントリオレアート(分子量2,000)
<第四級アンモニウム塩基を含むカチオン性高分子化合物>
ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(分子量300,000)
<鉄系無機凝集剤>
塩化第二鉄(FeCl
3、3.8重量%水溶液)
上記凝集薬剤は、いずれも水溶液として添加した。
【0072】
[凝集処理水の水質判断指標]
凝集処理水の水質判断の指標としては、SFF値、MFF値、MF値を用いた(大井康裕、分離技術45巻4号(2015)、216−223)。
SFF値は高分子有機物の汚染指標を、MFF値は微粒子の汚染指標を示す。MF値は、−67kPaの減圧下で測定試料300mLが有効膜面積3.0cm
2、孔径0.45μmのニトロセルロース膜(以下MF膜)を透過するのに要した時間を示したものである。SFF値、MFF値、MF値が低いほど、良好な凝集処理水が得られていることを示す。
【0073】
SFF値、MFF値、MF値の測定方法を簡潔に以下に示す。
【0074】
MF膜を吸引濾過装置にセットし、−67kPaの減圧下で溶解性高分子物質および微粒子フリーの基準水150mLの透過時間T0を測定した後に、測定試料(150mL)の1回目通水時間T1、2回目通水時間T2を測定する。
SFF値、MFF値、MF値は以下の式で算出される。
SFF値=T1/T0
MFF値= T2/T1
MF値=T1+T2
【0075】
[実験1]
<実施例1−1>
被処理水A500mLをビーカーに入れ、150rpmで撹拌している最中に、分子量300,000のポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)を2mg/Lになるよう添加し2分間撹拌した。その後、分子量25,000の分岐型ポリエチレンイミンを3.5mg/Lになるよう添加し、さらに分子量400,000のポリエチレングリコール(PEG)を1.8mg/Lになるよう添加し、2分間撹拌した。その後、塩化第二鉄を成分として20mg/Lになるよう添加し6分間撹拌した後、凝集反応時のpHを測定した。さらに、50rpmで6分間撹拌することで凝集処理を行った。凝集処理により生じたフロックの平均の大きさは目視で計測した。凝集処理後の水は、孔径7μmの濾紙で濾過し、固液分離を行った。
この濾過水に対して、SFF値、MFF値、MF値を測定した。
【0076】
<実施例1−2>
分子量400,000のPEGの代わりに分子量20,000のPEGを使用した。その他は実施例1−1と同様である。
【0077】
<実施例1−3>
分子量400,000のPEGの代わりに分子量10,000のPEGを使用した。その他は実施例1−1と同様である。
【0078】
<実施例1−4>
分子量400,000のPEGの代わりに分子量6,000のPEGを使用した。その他は実施例1−1と同様である。
【0079】
<実施例1−5>
分子量400,000のPEGの代わりに分子量4,000のPEGを使用した。その他は実施例1−1と同様である。
【0080】
<実施例1−6>
分子量400,000のPEGの代わりに分子量40,000のポリビニルピロリドン(PVP)を使用した。その他は実施例1−1と同様である。
【0081】
<実施例1−7>
分子量400,000のPEGの代わりに分子量20,000のポリビニルアルコール(PVA)を使用した。その他は実施例1−1と同様である。
【0082】
<実施例1−8>
分子量400,000のPEGの代わりに分子量50,000のポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)(PEO)を使用した。その他は実施例1−1と同様である。
【0083】
<実施例1−9>
分子量400,000のPEGの代わりに分子量9,000のPOE/POP/POE系トリブロック共重合体を使用した。その他は実施例1−1と同様である。
【0084】
<実施例1−10>
分子量400,000のPEGの代わりに分子量5,000のポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル(ブリッジ700)を使用した。その他は実施例1−1と同様である。
【0085】
<実施例1−11>
分子量25,000の分岐型ポリエチレンイミンの代わりに分子量5,000,000のポリビニルアミンを使用した。その他は実施例1−1と同様である。
【0086】
<比較例1−1>
被処理水A500mLをビーカーに入れ、150rpmで撹拌している最中に、塩化第二鉄を成分として150mg/Lになるよう添加し6分間撹拌した後、凝集反応時のpHを測定した。さらに、50rpmで6分間撹拌することで凝集処理を行った。凝集処理により生じたフロックの平均の大きさは目視で計測した。凝集処理後の水は、孔径7μmの濾紙で濾過し、固液分離を行った。この濾過水に対して、SFF値、MFF値、MF値を測定した。
【0087】
<比較例1−2>
分子量400,000のPEGの代わりに同量の純水を添加した。その他は実施例1−1と同様である。
【0088】
<比較例1−3>
分子量400,000のPEGの代わりに分子量40,000のポリアクリルアミド(PAA)を使用した。その他は実施例1−1と同様である。
【0089】
<参考例1−1>
分子量400,000のPEGの代わりに分子量2,000のポリオキシエチレンソルビタントリオレアート(ツイン85)を使用した。その他は実施例1−1と同様である。
【0090】
<結果>
実施例1−1〜1〜11、比較例1−1〜1−3および参考例1−1の結果を表1に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
<考察>
塩化第二鉄150mg/Lのみで凝集を行ったところ、SFF値は非常に高い値を示し、計測時にMF膜の閉塞が生じたことからMFF値、MF値は測定不能であった(比較例1−1)。また、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)とポリエチレンイミンを用いて凝集を行ったものに対し(比較例1−2)、さらにノニオン性高分子化合物を添加したもの(実施例1−1〜I−11)は、SFF値、MFF値、および、MF値が減少していることが示された。鉄系無機凝集剤のみで被処理水Aを処理する場合、150mg/Lよりさらに大量の塩化第二鉄が必要になることが想定されるが、アミン・ノニオン凝集剤と第四級アンモニウム塩基を含むカチオン性高分子化合物を併用することで、無機凝集剤量を大幅に削減できることが示された。
【0093】
PEGの分子量に注目すると、分子量20,000(実施例1−2)が最も効果が高く、分子量400,000(実施例1−1)ではSFF値に若干の上昇が見られる。これは添加したPEGが高分子量であるため、残存したPEG自体がMF膜に吸着し閉塞させたことが考えられる。従って、非常に高分子量のノニオン性高分子化合物を使用すると、後段で膜処理を行う場合、膜を汚染する可能性があることが分かる。また、PEGの分子量が小さくなるにつれ、SFF値、MFF値、MF値が増加しており、分子量4,000(実施例1−5)では、PEG添加の効果が小さくなっていることが分かる。このことから、添加するノニオン性の高分子化合物の分子量は少なくとも4,000以上とすることが好ましいことが示された。
【0094】
効果を示したノニオン性高分子化合物はPEG、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチルオキサゾリン(実施例1−1〜1−8)のほか、POE/POP/POE系トリブロック共重合体やブリッジ700(実施例1−9、1−10)といったノニオン性界面活性剤にも効果が見られた。一方、ポリアクリルアミド(比較例1−3)ではノニオン性高分子化合物を添加していない場合(比較例1−2)と同様のSFF値、MFF値、および、MF値を示しており、効果が見られなかった。また、ノニオン性界面活性剤であるツイン85(参考例1−1)にも十分な効果が見られなかったが、これは分子量が4,000未満であり、被処理水中の有機物と結合する作用が弱くなったためだと考えられる。
【0095】
第一アミノ基を有する高分子化合物として、ポリビニルアミン(実施例1−11)を用いた場合でも、ポリエチレンイミン(実施例1−2)と同様の効果を有していた。ただし、フロック径はポリエチレンイミンを用いたほうが大きかった。これは、用いたポリエチレンイミンが分岐型であるため、かさ高いフロックが形成されたものと考えられる。従って、後段に沈殿処理や加圧浮上処理を行う場合は、分岐型の第一アミノ基を有する高分子化合物を使用した方が、フロックの固液分離が容易となるため望ましいと考えられる。
【0096】
[実験2]
<実施例2−1>
被処理水B500mLをビーカーに入れ、150rpmで撹拌している最中に、分子量300,000のポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)を1.5mg/Lになるよう添加し2分間撹拌した。その後、分子量25,000の分岐型ポリエチレンイミンを5mg/Lになるよう添加し、さらに分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG)を2.5mg/Lになるよう添加し、2分間撹拌した。その後、塩化第二鉄を成分として20mg/Lになるよう添加し6分間撹拌した後、凝集反応時のpHを測定した。さらに、50rpmで6分間撹拌することで凝集処理を行った。凝集処理により生じたフロックの平均の大きさは目視で計測した。凝集処理後の水は、孔径7μmの濾紙で濾過し、固液分離を行った。この濾過水に対して、SFF値、MFF値、MF値を測定した。
【0097】
<実施例2−2>
ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)を添加しなかった。その他は実施例2−1と同様である。
【0098】
<比較例2−1>
ポリエチレンイミンを添加しなかった。その他は実施例2−1と同様である。
【0099】
<比較例2−2>
PEGを添加しなかった。その他は実施例2−1と同様である。
【0100】
<結果>
実施例2−1〜2−2および比較例2−1〜2−2の結果を表2に示す。
【0101】
【表2】
【0102】
<考察>
アミン・ノニオン凝集剤を用いることで、SFF値、MFF値、MF値が減少していた(実施例2−1、実施例2−2)。アミン・ノニオン凝集剤のみでも十分にSFF値、MFF値、MF値を減少させることが可能であるが、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)を用いることで、SFF値、MFF値、MF値をさらに減少させることが可能であることが示された。
【0103】
[実験3]
<実施例3−1>
被処理水C500mLをビーカーに入れ、150rpmで撹拌している最中に、分子量300,000のポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)を1.8mg/Lになるよう添加し2分間撹拌した。その後、分子量25,000の分岐型ポリエチレンイミンを2mg/Lになるよう添加し、さらに分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG)を1mg/Lになるよう添加し、2分間撹拌した。その後、塩化第二鉄を成分として20mg/Lになるよう添加し6分間撹拌した後、凝集反応時のpHを測定した。さらに、50rpmで6分間撹拌することで凝集処理を行った。凝集処理により生じたフロックの平均の大きさは目視で計測した。凝集処理後の水は、孔径7μmの濾紙で濾過し、固液分離を行った。この濾過水に対して、SFF値、MFF値、MF値を測定した。
【0104】
<実施例3−2>
分子量25,000の分岐型ポリエチレンイミンの代わりに分子量2,000の分岐型ポリエチレンイミンを使用した。その他は実施例3−1と同様である。
【0105】
<実施例3−3>
分子量25,000の分岐型ポリエチレンイミンの代わりに分子量2,000,000の分岐型ポリエチレンイミンを使用した。その他は実施例3−1と同様である。
【0106】
<実施例3−4>
被処理水B500mLをビーカーに入れ、150rpmで撹拌している最中に、分子量300,000のポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、分子量25,000の分岐型ポリエチレンイミン、分子量20,000のPEGをそれぞれ1.8mg/L、2mg/L、1mg/Lになるよう同時に添加し2分間撹拌した。その後、塩化第二鉄を成分として20mg/Lになるよう添加し6分間撹拌した後、凝集反応時のpHを測定した。さらに、50rpmで6分間撹拌することで凝集処理を行った。凝集処理により生じたフロックの平均の大きさは目視で計測した。凝集処理後の水は、孔径7μmの濾紙で濾過し、固液分離を行った。この濾過水に対して、SFF値、MFF値、MF値を測定した。
【0107】
<比較例3−1>
分子量25,000の分岐型ポリエチレンイミン、および、分子量20,000のPEGの代わりに、それぞれ同量の純水を添加した。その他は実施例3−1と同様である。
【0108】
<結果>
実施例3−1〜3−4および比較例3−1の結果を表3に示す。
【0109】
【表3】
【0110】
<考察>
ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)と塩化第二鉄のみを用いて凝集処理を行ったものに対し(比較例3−1)、アミン・ノニオン凝集剤をさらに用いることで、SFF値、MFF値、MF値が減少していた(実施例3−1〜3−3)。ただし、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)とアミン・ノニオン凝集剤を同時に添加すると(実施例3−4)、SFF値の低下が見られず、アミン・ノニオン凝集剤の効果が半減していた。このことから、第四級アンモニウム塩基を含むカチオン性高分子は、アミン・ノニオン凝集剤と同時に添加しないことが望ましいことが示された。
【0111】
ポリエチレンイミンの分子量に注目すると(実施例3−1〜3−3)、SFF値、MFF値、MF値は殆ど変化しておらず、フロック径のみが変化していることが示された。このことから、後段に沈殿処理や加圧浮上処理を行う場合は、分岐型ポリエチレンイミンの中でも分子量25,000前後のものが、フロック径が最も大きくなるため、最も望ましいことが示された。
【0112】
[実験4]
<実施例4−1>
被処理水D500mLをビーカーに入れ、150rpmで撹拌している最中に、分子量300,000のポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)を2.5mg/Lになるよう添加し2分間撹拌した。その後、分子量10,000の分岐型ポリエチレンイミンを5mg/Lになるよう添加し、さらに分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG)を5mg/Lになるよう添加し、2分間撹拌した。その後、塩化第二鉄を成分として20mg/Lになるよう添加し6分間撹拌した後、凝集反応時のpHを測定した。さらに、50rpmで6分間撹拌することで凝集処理を行った。凝集処理により生じたフロックの平均の大きさは目視で計測した。凝集処理後の水は、孔径7μmの濾紙で濾過し、固液分離を行った。この濾過水に対して、SFF値、MFF値、MF値を測定した。
【0113】
<実施例4−2>
分子量10,000の分岐型ポリエチレンイミンの代わりに分子量1,800の分岐型ポリエチレンイミンを使用した。その他は実施例4−1と同様である。
【0114】
<実施例4−3>
分子量10,000の分岐型ポリエチレンイミンの代わりに分子量600の分岐型ポリエチレンイミンを使用した。その他は実施例4−1と同様である。
【0115】
<実施例4−4>
分子量10,000の分岐型ポリエチレンイミンの代わりに分子量300の分岐型ポリエチレンイミンを使用した。その他は実施例4−1と同様である。
【0116】
<比較例4−1>
分子量10,000の分岐型ポリエチレンイミンの代わりに同量の純水を添加した。その他は実施例4−1と同様である。
【0117】
<比較例4−2>
分子量10,000の分岐型ポリエチレンイミン、および分子量20,000のPEGの代わりに、それぞれ同量の純水を添加した。その他は実施例4−1と同様である。
【0118】
<結果>
実施例4−1〜4−4および比較例4−1〜4−2の結果を表4に示す。
【0119】
【表4】
【0120】
<考察>
分子量2,000未満の分岐型ポリエチレンイミンでも、分子量10,000の分岐型ポリエチレンイミンと同等の凝集性能を示す(実施例4−1〜4−4−4)。
ポリエチレンイミンを添加せずポリエチレングリコール(PEG)のみを添加すると、ポリエチレンイミンとPEGの両方を添加していない場合よりも凝集性能が悪くなる(比較例4−1〜4−2)。つまり、PEGは第一アミノ基を有する高分子化合物が存在していないとまったく凝集効果を発揮せず、むしろ凝集処理水質を悪化させる方向に働く。
【0121】
[実験5]
<実施例5−1>
被処理水E500mLをビーカーに入れ、150rpmで撹拌している最中に、分子量300,000のポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)を1.5mg/Lになるよう添加し2分間撹拌した。その後、分子量10,000のジシアンジアミド・ホルマリン縮合物(DCD-HCHO)を2.5mg/Lになるよう添加し、さらに分子量40,000のポリビニルピロリドン(PVP)を2.5mg/Lになるよう添加し、2分間撹拌した。その後、塩化第二鉄を成分として20mg/Lになるよう添加し6分間撹拌した後、凝集反応時のpHを測定した。さらに、50
rpmで6分間撹拌することで凝集処理を行った。凝集処理により生じたフロックの平均の大きさは目視で計測した。凝集処理後の水は、孔径7μmの濾紙で濾過し、固液分離を行った。この濾過水に対して、SFF値、MFF値、MF値を測定した。
【0122】
<比較例5−1>
PVPの代わりに同量の純水を添加した。その他は実施例5−1と同様である。
【0123】
<比較例5−2>
DCD−HCHOの代わりに同量の純水を添加した。その他は実施例5−1と同様である。
【0124】
<比較例5−3>
DCD−HCHOとPVPの代わりに同量の純水を添加した。その他は実施例5−1と同様である。
【0125】
<比較例5−4>
実施例5−1において、凝集処理を行わず、被処理水Eを孔径7μmの濾紙で濾過し、固液分離を行った。この濾過水に対して、SFF値、MFF値、MF値を測定した。
【0126】
<結果>
実施例5−1および比較例5−1〜5−4の結果を表5に示す。
【0127】
【表5】
【0128】
<考察>
第二及び第三アミノ基を有するジシアンジアミド・ホルマリン縮合物でも、第一アミノ基を有するポリエチレンイミンと同等の凝集性能を示す(実施例5−1)。
ジシアンジアミド・ホルマリン縮合物を添加せずポリビニルピロリドン(PVP)のみを添加すると、ポリエチレンイミンとPVPの両方を添加していない場合よりもMFF値が悪くなる(比較例5−2〜5−3)。つまり、PVPは第二及び第三アミノ基を有する高分子化合物が存在していないとまったく凝集効果を発揮しない。