特許第6116323号(P6116323)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6116323排ガス混合器及び定容量サンプリング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6116323
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】排ガス混合器及び定容量サンプリング装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/22 20060101AFI20170410BHJP
【FI】
   G01N1/22 M
   G01N1/22 G
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-74767(P2013-74767)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-199210(P2014-199210A)
(43)【公開日】2014年10月23日
【審査請求日】2016年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000155023
【氏名又は名称】株式会社堀場製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100113468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】大槻 聡
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 樹
(72)【発明者】
【氏名】吉村 紗矢香
(72)【発明者】
【氏名】辻 佳子
【審査官】 田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−341950(JP,A)
【文献】 特開2011−106999(JP,A)
【文献】 特開昭57−117360(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01176293(EP,A1)
【文献】 特許第5269794(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0120096(US,A1)
【文献】 特表2012−522229(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0036836(US,A1)
【文献】 米国特許第03953184(US,A)
【文献】 米国特許第05302301(US,A)
【文献】 特公平01−022024(JP,B2)
【文献】 米国特許第05502984(US,A)
【文献】 特開2006−055620(JP,A)
【文献】 特表2013−532551(JP,A)
【文献】 特開昭59−222244(JP,A)
【文献】 特開平10−111222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00−1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスを含む混合対象ガスを混合する排ガス混合器であって、
内部に所定の軸線方向に延びる中空部を有する混合器本体と、
前記中空部に前記軸線方向に沿って設けられた直管状の内管部と、
前記混合器本体に設けられ、前記混合器本体及び前記内管部の間の空間に前記混合対象ガスを導入するガス導入部と、
前記内管部に設けられ、前記空間を旋回した混合対象ガスを導出するガス導出部とを備え、
前記内管部の中心軸線と前記中空部の中心軸線とが互いに異なる位置に設けられて
いる排ガス混合器。
【請求項2】
前記ガス導入部が、前記混合器本体の側周壁に設けられており、
前記内管部の中心軸線が、前記中空部の中心軸方向から見て、前記混合器本体と前記ガス導入部との接続部の内側端部における前記混合器本体の接線に沿った方向において、前記内側端部よりも、前記接続部の外側端部とは反対側にずれて設けられている請求項1記載の排ガス混合器。
【請求項3】
前記ガス導入部が、前記混合器本体の内側周面の接線に沿うように設けられており、前記混合対象ガスを前記内側周面に沿って前記空間に導入する請求項1又は2記載の排ガス混合器。
【請求項4】
前記ガス導入部に、前記ガス導入部から導入される排ガスを前記混合器本体の内側周面に向かうように案内する案内板が設けられている請求項1乃至3の何れかに記載の排ガス混合器。
【請求項5】
前記ガス導入部から前方を見たときに前記案内板によって前記内管部が隠れるように前記案内板が設けられている請求項4記載の排ガス混合器。
【請求項6】
一定流量に制御された混合ガスをサンプリングする定容量サンプリング部を備え、
前記定容量サンプリング部が、
排ガスが流れるメイン流路と、
前記メイン流路に接続され、希釈用ガスが流れる希釈用ガス流路と、
前記メイン流路に設けられ、前記排ガス及び前記希釈用ガスを混合する排ガス混合器と、
前記メイン流路における前記排ガス混合器の下流側に設けられ、前記排ガス混合器により混合された混合ガスを一定流量に制御する一定流量制御機器と、
前記メイン流路における前記排ガス混合器及び前記一定流量制御機器の間に接続されて、前記一定流量に制御された混合ガスをサンプリングするサンプリング流路とを備え、
前記排ガス混合器が、
内部に所定の軸線方向に延びる中空部を有する混合器本体と、
前記中空部に前記軸線方向に沿って設けられた直管状の内管部と、
前記混合器本体に設けられ、前記混合器本体及び前記内管部の間の空間に前記排ガス及び前記希釈用ガスを導入するガス導入部と、
前記内管部に設けられ、前記空間を旋回した混合ガスを導出するガス導出部とを備え、
前記内管部の中心軸線と前記中空部の中心軸線とが互いに異なる位置に設けられていることを特徴とする定容量サンプリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガスを希釈用ガスにより希釈してなる希釈排ガスなどの排ガスを含む混合対象ガスを混合する排ガス混合器及び当該排ガス混合器を用いた定容量サンプリング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、採取した排ガスを大気等の希釈用ガスで希釈し、当該希釈された排ガス中に含まれる成分の濃度を測定する希釈サンプリング方式として、定容量希釈サンプリング装置(CVS)が広く用いられている。
【0003】
このCVSでは、特許文献1に示すように、臨界流量ベンチュリ及び吸引ポンプからなる流量制御部の上流側に、排ガス及び希釈用ガスを均一に攪拌・混合するための排ガス混合器が設けられている。
【0004】
そして、従来の排ガス混合器は、サイクロン方式のものであり、内部に所定の軸線方向に延びる中空部を有する混合器本体と、混合器本体の側壁に接続されて、前記中空部に排ガス及び希釈用ガスを導入するガス導入管と、前記混合器本体に挿入されて、前記中空部の中心軸線と同軸上に中心軸線が設けられた混合ガス導出管とを備えている。
【0005】
しかしながら、上記構成の排ガス混合器では、混合ガス導出管の中心軸線と中空部の中心軸線とが同軸上に設けられているので、混合器本体及び混合ガス導出管の間の空間が旋回方向に沿って等断面積となり、排ガス導入管から導入されたガスの旋回流速が速くなり過ぎてしまい、騒音又は振動の原因となってしまう。なお、一般的に騒音は、流速の6乗〜8乗に比例すると言われている。また、ガスの旋回流速が速くなることで、排ガス混合器において共振が発生して、騒音又は振動がより一層大きくなってしまうという問題がある。
【0006】
なお、排ガス混合器に流入する混合ガスの流速を小さくすることが考えられるが、CVSに用いられる排ガス混合器では、臨界流量ベンチュリにより一定流量となるように流量制御されているので、ガス導入部からの混合ガスの流速を小さくすることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−341950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、排ガス混合器において排ガスを含む混合対象ガスが流れることにより生じる振動又は騒音を低減することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明に係る排ガス混合器は、排ガスを含む混合対象ガスを混合する排ガス混合器であって、内部に所定の軸線方向に延びる中空部を有する混合器本体と、前記中空部に前記軸線方向に沿って設けられた内管部と、前記混合器本体に設けられ、前記混合器本体及び前記内管部の間の空間に前記混合対象ガスを導入するガス導入部と、前記内管部に設けられ、前記空間を旋回した混合対象ガスを導出するガス導出部とを備え、前記内管部の中心軸線と前記中空部の中心軸線とが互いに異なる位置に設けられていることを特徴とする。
【0010】
このようなものであれば、内管部の中心軸線と中空部の中心軸線とが互いに異なる位置に設けられているので、混合器本体及び内管部の間の空間に拡大部分と狭小部分とが形成され、ガス導入部から導入された混合対象ガスが前記空間を旋回する途中で、速い流速と遅い流速とを繰り返すことになる。これにより、混合対象ガスが旋回する途中の旋回速度成分を乱すことができ、混合対象ガスの旋回流速を全体として遅くすることができ、騒音又は振動を低減することができる。また、混合対象ガスの旋回流速を全体として遅くすることにより、排ガス混合器において共振を生じ難くすることができ、これによっても騒音又は振動を低減することができる。
【0011】
前記ガス導入部が、前記混合器本体の側周壁に設けられており、前記内管部の中心軸線が、前記中空部の中心軸方向から見て、前記混合器本体と前記ガス導入部との接続部の内側端部における前記混合器本体の接線に沿った方向において、前記内側端部よりも、前記接続部の外側端部とは反対側にずれて設けられていることが望ましい。
これならば、ガス導入部から導入された排ガスを導入直後に旋回させ易くしつつ、旋回する途中の旋回速度成分を乱すことができる。
なお、内管部の中心軸線が、前記内側端部における前記混合器本体の接線に沿った方向において、前記内側端部よりも前記外側端部側にずれている場合には、ガス導入部から導入された排ガスが内管部の外側周面に当たって旋回し難くなり、混合対象ガスの混合の均一性が低下してしまう。
【0012】
前記ガス導入部が、前記混合器本体の内側周面の接線に沿うように設けられており、前記混合対象ガスを前記内側周面に沿って前記空間に導入することが望ましい。
これならば、ガス導入部から導入された混合対象ガスが、導入直後から混合器本体の内側周面に沿って流れることになり、混合対象ガスをより一層旋回させ易くすることができる。
【0013】
前記ガス導入部に、前記ガス導入部から導入される排ガスを前記混合器本体の内側周面に向かうように案内する案内板が設けられていることが望ましい。
これならば、ガス導入部から導入された混合対象ガスが案内板に当たって混合器本体の内側周面に向かうので、混合対象ガスを旋回させ易くすることができる。
【0014】
ガス導入部から導入された混合対象ガスが内管部の外側周面に当たると、旋回方向に流れるだけでなく、当該旋回方向とは異なる方向に流れる混合対象ガスが発生する。そうすると、旋回成分を打ち消してしまい、混合対象ガスの混合の均一性を損なう要因となる。
このため、前記ガス導入部から前方を見たときに前記案内板によって前記内管部が隠れるように前記案内板が設けられていることが望ましい。
これならば、ガス導入部から導入された混合対象ガスが、内管部の外側周面に直接当たらないので、確実且つ容易に旋回させることができる。
【発明の効果】
【0015】
このように構成した本発明によれば、内管部の中心軸線と中空部の中心軸線とが互いに異なる位置に設けられているので、排ガス混合器において排ガスを含む混合対象ガスが流れることにより生じる振動又は騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態の排ガスサンプリング装置の構成を示す図。
図2】同実施形態の排ガス混合器の構成を示す斜視図。
図3】同実施形態の排ガス混合器の構成を示す側面図。
図4】同実施形態の排ガス混合器の構成を示す横断面図。
図5】同実施形態の排ガス混合器の構成を示すA−A線断面図。
図6】内管部の中心軸線が設けられる領域を示す模式図。
図7】変形実施形態の排ガス混合器の構成を示す横断面図。
図8】変形実施形態の排ガス混合器のA−A線断面図。
図9】変形実施形態の吸音構造を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る排ガス混合器を用いた排ガスサンプリング装置について、図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態の排ガスサンプリング装置100は、例えばエンジン等から排出される排ガス中に含まれる成分分析を行うためのガス分析システムに用いられるものであり、排ガスを大気(希釈用空気)等の希釈用ガスで数倍(例えば10倍〜20倍)に希釈し、濃度計測を行う希釈サンプリング方式のものである。
【0019】
具体的にこの排ガスサンプリング装置100は、定容量サンプリング部を備えており、図1に示すように、排ガスを導入するための排ガス導入ポートPT1に一端が接続されたメイン流路MLと、希釈用ガスを導入するための希釈用ガス導入ポートPT2に一端が接続され、他端が前記メイン流路MLに接続された希釈用ガス流路DLとを備えている。
【0020】
メイン流路MLは、一端に排ガス導入ポートPT1が設けられた排ガスを導入する排ガス導入配管2と、当該排ガス導入配管2に接続された混合部3と、当該混合部3の下流に接続された希釈排ガス(混合ガス)を均一に攪拌・混合するための排ガス混合器4と、当該排ガス混合器4に接続され、後述するように一定流量に制御された混合ガスをサンプリングするためのサンプリング配管5と、当該サンプリング配管5に接続された一定流量制御機器6とにより構成されている。また、希釈用ガス流路DLは、一端に希釈用ガス導入ポートPT2が設けられた希釈用ガス導入配管7により構成されている。なお、希釈用ガス導入ポートPT2には、大気中の夾雑物を除去するためのフィルタ(不図示)が設けられている。
【0021】
ここで、混合部3は、前記希釈用ガス流路DLを構成する希釈用ガス導入配管7と前記排ガス導入配管2とが接続されるものであり、例えばミキシングティーと呼ばれるものである。また、混合ガスを定容量サンプリングするためのサンプリング配管5には、ガス採取バッグ、PM捕集フィルタ又は排ガス分析装置等の分析機器200に、希釈排ガスを採取して導入するためのサンプリング流路SLが接続されている。
【0022】
一定流量制御機器6は、前記排ガス導入配管2から導入される排ガスと希釈用ガス導入配管7から導入される希釈用ガスとの総流量が一定となるように流量制御するものであり、前記サンプリング配管5の下流に接続された臨界流量ベンチュリ(CFV)からなるメインベンチュリ61と、このメインベンチュリ61の下流に接続された例えばブロワ等の吸引ポンプ62により構成される。この吸引ポンプ62によりメインベンチュリ61の上流側及び下流側の差圧が所定値以上にすることで前記総流量が一定となる。なお、吸引ポンプ62により吸引された希釈排ガスは外部に放出される。
【0023】
しかして、本実施形態の排ガス混合器4は、図2図5に示すように、内部に所定の軸線方向Lに延びる中空部411を有する混合器本体41と、中空部411に軸線方向Lに沿って設けられた内管部42と、混合器本体41に設けられ、前記混合器本体41及び前記内管部42の間の空間Sに混合対象ガスである排ガス及び希釈用ガスを導入して旋回させるガス導入部43と、内管部42に設けられ、前記空間Sを旋回した混合対象ガスを導出するガス導出部44とを備えている。なお、本実施形態の混合対象ガスは、前記混合部3により生成された希釈排ガス(希釈用ガスにより希釈された排ガス)である。
【0024】
混合器本体41は、特に図3及び図4に示すように、内部に軸線方向Lに延びる概略円柱状の中空部411を有している。本実施形態の混合器本体41は、前記中空部411を有する円筒形状をなすものであり、軸線方向Lの両端部は閉塞されている。
【0025】
内管部42は、特に図3及び図5に示すように、前記混合器本体41の軸線方向Lに沿った一端壁41aに貫通して設けられており、その先端部が、前記混合器本体41の中空部411内に位置するように設けられている。この内管部42は、円管状をなすものであり、少なくとも中空部411内においては、直管状をなすものである。
【0026】
ガス導入部43は、特に図4に示すように、混合器本体41の側周壁41bにおいて一端壁41a側に設けられている。また、ガス導入部43は、混合器本体41の内側周面41sの接線に沿うように設けられており、混合対象ガスを内側周面41sに沿って旋回空間Sに導入するものである。具体的には、混合器本体41の側周壁41bにおいて、前記軸線方向Lに直交する方向に延びたガス導入管43Hにより形成されている。このようにガス導入部43は、ガス導入口43x及びガス導入管43Hを有する。これにより、ガス導入管43Hをガス導出部44を向くように傾斜して設けた場合に比べて、旋回空間Sに導入された混合対象ガスがガス導出部44に到達するまでの時間及び経路を長くすることができ、混合対象ガスのより一層混合させることができる。なお、ガス導入管は、前記混合部3に接続されている。このガス導入部43のガス導入口43xは、前記軸線方向Lから偏心した位置に開口している。
【0027】
ガス導出部44は、特に図3及び図5に示すように、前記内管部42の挿入側先端部に形成されており、具体的には、内管部42の先端開口部により形成されている。つまり、ガス導出部44は、混合器本体41の軸線方向Lに沿った他端壁41c側を向いて開口している。また、ガス導出部44は、前記ガス導入部43よりも他端壁41c側に位置している。このガス導出部44に流入した混合対象ガスは、内管部42の内部を通って、当該内管部42に接続されたサンプリング配管5に流れる。なお、内管部42の内部には、例えば内管部42内部の流路を4分割するように流路方向に沿って整流板421が設けられており、内管部42からサンプリング配管5に流れる希釈排ガスの旋回流を解消するように構成している。
【0028】
そして、本実施形態の排ガス混合器4は、特に図4及び図5に示すように、内管部42の中心軸線42Lと中空部411の中心軸線411Lとが互いに異なる位置に設けられている。つまり、内管部42の中心軸線42Lが、中空部411の中心軸線411Lに対して偏心している。具体的には、内管部42の中心軸線42Lと中空部411の中心軸線411Lとが互いに異なる位置に設けられるとともに、それら軸線42L、411Lが互いに平行となるように設けられている。
【0029】
詳細には、図6に示すように、内管部42の中心軸線42Lが、中空部411の中心軸方向から見て、混合器本体41とガス導入部43との接続部の内側端部X1における混合器本体41の接線Z1に沿った方向において、前記内側端部X1よりも、前記接続部の外側端部X2とは反対側にずれて設けられている。つまり、図6の斜線部分に内管部42Lの中心軸線42Lが含まれるようにずれて設けられている。なお、内側端部X1は、ガス導入部43により導入されるガス導入方向において後方側端部であり、外側端部X1は、前記ガス導入方向において前方側端部である。また、別の言い方をすれば、内管部42の中心軸線42Lが、前記内側端部X1と中空部411の中心(中心軸線411L)とを結ぶ仮想直線Z2に対して、前記外側端部X1とは反対側にずれて設けられている。
【0030】
本実施形態では、図4及び図6に示すように、混合器本体41の下側部分の右側に排ガス導入部43が設けられているので、内管部42の中心軸線42Lは、中空部411の中心軸線411Lに対して、上側にずれて偏心して設けられている。本実施形態では、内管部42の中心軸線42Lは、中空部411の中心軸線411Lに対して、ガス導入部43から遠ざかる方向にずれて設けられている。
【0031】
この排ガス混合器4においては、内管部42の中心軸線42Lと中空部411の中心軸線411Lとが互いに異なる位置に設けられているので、図4に示すように、混合器本体41及び内管部42の間の空間Sに拡大部分S1と狭小部分S2とが形成される。なお、拡大部分S1は、混合器本体41の内側周面41sと内管部42の外側周面42sとの距離が大きい部分であり、狭小部分S2は、混合器本体41の内側周面41sと内管部42の外側周面42sとの距離が小さい部分である。そして、この空間Sにおける広い部分S1に臨むように前記ガス導入部43のガス導入口43xが設けられている。つまり、ガス導入部43によるガス導入直後の領域において、混合器本体41の内側周面41sと内管部42の外側周面42sとの距離が、混合器本体41及び内管部42を同心円状に配置した場合に比べて長くなっている。そして、ガス導入部43から空間S内に導入された混合対象ガスは、空間Sの広い部分S1を通り、狭い部分S2に向かって流れる旋回流となる。そして、そして狭い部分S2を通った混合対象ガスは、再び広い部分S1に向かって流れる。これを繰り返しながら、混合対象ガスは、内管部42の先端部に向かって旋回しながら流れていき、内管部42の先端部のガス導出部44から内管部42の内部を通って排ガス混合器4の外部に導出される。
【0032】
このように構成した本実施形態に係る排ガスサンプリング装置100によれば、内管部42の中心軸線42Lと中空部411の中心軸線411Lとが互いに異なる位置に設けられているので、混合器本体41及び内管部42の間の空間Sに拡大部分S1と狭小部分S2とが形成され(図4参照)、ガス導入部43から導入された混合対象ガスが前記空間Sを旋回する途中で、速い流速と遅い流速とを繰り返すことになる。これにより、混合対象ガスが旋回する途中の旋回速度成分を乱すことができ、混合対象ガスの旋回流速を全体として遅くすることができ、騒音又は振動を低減することができる。また、混合対象ガスの旋回流速を全体として遅くすることにより、排ガス混合器4において共振を生じ難くすることができ、これによっても騒音又は振動を低減することができる。
【0033】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、中空部411の中心軸線411Lに対する内管部42の中心軸線42Lのずれ方向は、前記実施形態に限られず、周方向において如何なる方向にずれていても良い。また、中空部411の中心軸線411Lと内管部42の中心軸線42Lとが互いに平行となるように構成されているが、内管部42の中心軸線42Lが、中空部411の中心軸線411Lに対して傾斜して設けられたものでも良い。
【0034】
前記実施形態では、内管部42の中心軸線42Lが、接線Z1に沿った方向において、内側端部X1よりも外側端部X2とは反対側にずれた場合を示しているが、前記接線Z1に沿った方向において、内側端部X1よりも外側端部X2側にずれていても良い。なお、この場合には、ガス導入部43から導入された混合対象ガスが旋回し難くなるものの、旋回速度が遅くなるという効果を奏することができる。
【0035】
また、前記実施形態では、ガス導入部43によるガス導入直後の領域において、混合器本体41の内側周面41sと内管部42の外側周面42sとの距離が、ガス導入管43Hの配管径よりも大きく構成されていても良い。これならば、ガス導入部43から導入された排ガスを導入直後に旋回させ易くしつつ、旋回する途中の旋回速度成分を乱すことができる。
【0036】
また、前記実施形態の排ガス混合器4の構成に加えて、図7及び図8に示すように、ガス導入部43の前方に、ガス導入部43から導入された排ガスを混合器本体41の内側周面41sに向かうように案内する案内板45を設けても良い。この案内板45は、ガス導入部43により導入される混合対象ガスの流れ方向に対して、混合器本体41の内側周面41s側に傾斜して設けられている。これにより、ガス導入部43から導入された混合対象ガスが案内板45に当たって混合器本体41の内側周面41sに向かうので、混合対象ガスを旋回させ易くすることができる。
【0037】
さらに、案内板45を設ける場合には、図8に示すように、ガス導入部43から前方を見たときに案内板45によって内管部42が隠れるようにしても良い。これにより、ガス導入部43から導入された混合対象ガスが、内管部42の外側周面42sに直接当たらないため、旋回方向とは異なる方向に流れる混合対象ガスの発生を抑制することができる。したがって、ガス導入部43から導入された混合対象ガスの確実且つ容易に旋回させることができる。
【0038】
その上、図8に示すように、案内板45の下流側端部451が、例えば三角状の複数の突起が設けることによって平面視においてギザギザ形状等の凹凸形状を有するものとしても良い。これにより、案内板45を通過する混合対象ガスが渦となり、様々な成分が発生して、それらが打ち消し合うことで、混合対象ガスの旋回流速が遅くなり、騒音を低減することができる。
【0039】
加えて、排ガスサンプリング装置としての騒音低減性能を向上させるためには、図9に示すように、希釈用ガス導入ポートPT2の開口に対向するとともに、当該排ガス導入ポートPT2の開口の全体を覆うように吸音部材8を設けることが考えられる。ここで、吸音部材8は、希釈用ガス導入ポートPT2への大気が導入されるように、希釈用ガス導入ポートPT2の開口から上方に離間して設けられている。なお、吸音部材8は、希釈用ガス流路DLを構成する希釈用ガス導入配管7及び混合部3が収容された筐体10に、固定部材9により固定されている。
【0040】
さらに加えて、前記実施形態の排ガスサンプリング装置は排ガスを全量希釈するものであったが、部分希釈するものであっても良い。つまり、前記排ガス導入ポートPT1が排ガスの一部を採取してメイン流路MLに導入するものであっても良い。
【0041】
さらにその上、前記実施形態の一定流量制御機器6は臨界流量ベンチュリを用いたものであったが、臨界流量ベンチュリの他に、臨界流量オリフィス(CFO)を用いたものであっても良い。また、臨界流量ベンチュリを用いない定容量ポンプ方式のものであっても良い。
【0042】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0043】
100 ・・・排ガスサンプリング装置(定容量サンプリング装置)
4 ・・・排ガス混合器
41 ・・・混合器本体
41s ・・・混合器本体の内側周面
L ・・・所定の軸線方向
411 ・・・中空部
411L・・・中空部の中心軸線
42 ・・・内管部
42L ・・・内管部の中心軸線
S ・・・混合器本体及び内管部の間の空間
43 ・・・ガス導入部
44 ・・・ガス導出部
45 ・・・案内板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9