(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1の実施形態]
本実施形態では、本発明の画像形成装置について説明する。
【0017】
以下に、記録媒体上に画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置を用いて、本発明を説明する。なお、本発明は、以後に説明する画像形成装置以外でも、プリンタ、スキャナ、被写機、プロッタ、ファクシミリ及びファックス等において、吐出器(吐出ヘッド、インクヘッド、記録ヘッド、インクジェットなど)から液滴(インクなど)を吐出して、記録媒体の表面に画像を形成(又は、印刷、印写、印字など)するものであれば、いずれのものにも適用することができる。
【0018】
(画像形成装置の構成)
本発明の実施形態に係る画像形成装置100を、
図1〜
図5を用いて説明する。
【0019】
なお、本実施形態では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の4色の吐出ヘッド(記録ヘッド、インクヘッド)を有する画像形成装置を説明するが、本発明を適用できる画像形成装置はこれらの吐出ヘッドを有するものに限定されない。すなわち、本発明を用いることができる画像形成装置は、グリーン(G)、レッド(R)及びその他の色に対応する吐出ヘッドを更に有するもの、又は、ブラック(K)のみの吐出ヘッドを有するものなどを含む。ここで、以後の説明において、添え字K、C、M及びYを付与された記号は、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの夫々に対応するものとする。
【0020】
また、本実施形態では、記録媒体として、ロール状に巻かれた連続紙(以下、「ロール紙Md」という。)を用いるが、本発明に係る画像形成装置が画像を形成することができる記録媒体は、ロール紙に限定されものではなく、画像を形成できる記録媒体であればよい。本発明に係る画像形成装置を用いて画像を形成することができる記録媒体としては、ロール紙に限定されるものではなく、例えばカット紙であってもよい。そして、紙の場合その種類としては例えば、普通紙、上質紙、再生紙、薄紙、厚紙、コート紙等を用いることができる。また、OHPシート、合成樹脂フィルム、金属薄膜及びその他表面にインク等で画像を形成することができるものも記録媒体として用いることができる。ここで、ロール紙とは、切断可能なミシン目が所定間隔で形成された連続紙(連帳紙、連続帳票)である。また、ロール紙におけるページ(頁)とは、例えば所定間隔のミシン目で挟まれる領域とする。
【0021】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る画像形成装置100は、ロール紙Md(記録媒体Md)を搬入(搬送)する搬入手段10と、搬入されたロール紙Mdを前処理する前処理手段20と、更に場合によっては、前処理されたロール紙Mdを乾燥させる乾燥手段31とを有する。また、画像形成装置100は、ロール紙Mdの表面に画像を形成する画像形成手段40を有する。さらに、画像が形成されたロール紙Mdを後処理する後処理手段50を有する。その後、画像形成、後処理されたロール紙Mdを乾燥する乾燥手段32を有している。
【0022】
そして、画像形成後、処理されたロール紙Mdを搬出する搬出手段60とを有する。更に、画像形成装置100は、画像形成装置100の動作を制御する制御手段70(不図示)を有する。
【0023】
本実施形態に係る画像形成装置100は、搬入手段10によってロール紙Mdを搬入し、前処理手段20及び乾燥手段31によってロール紙Mdの表面を前処理及び乾燥する。また、画像形成装置100は、画像形成手段40によって、前処理及び乾燥したロール紙Mdの表面に画像を形成する。更に、画像形成装置100は、後処理手段50によって、画像が形成されたロール紙Mdを後処理し、さらに乾燥手段32によって乾燥することができる。その後、画像形成装置100は、搬出手段60によって、ロール紙Mdを巻き取る(排出する、搬出する)。
【0024】
以下に、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の各構成を具体的に説明する。
【0025】
(搬入手段の構成)
搬入手段10は、記録媒体を前処理手段20等に搬入(搬送)する手段である。搬入手段10は、本実施形態では、給紙部11及び複数の搬送ローラ12等で構成される。搬入手段10は、搬送ローラ12等を用いて、給紙部11の給紙ロールに保持されたロール紙Mdを搬入(移動)し、プラテン(ローラ)上を搬送されて、後述する前処理手段20等に搬送する。
【0026】
なお、ここでは、記録媒体としてロール紙を用いた場合を例に説明しているが、記録媒体としてロール紙以外のものを用いている場合には、係る記録媒体に応じた搬入手段を選択することができる。
【0027】
(前処理手段の構成)
前処理手段20は、画像が形成される前の記録媒体を前処理(処理)する手段である。
【0028】
前処理手段20は、本実施形態では、搬入手段10によって搬入されたロール紙Mdの表面を、前処理液で前処理する。
【0029】
ここで、前処理とは、ロール紙Md(記録媒体)表面に前処理液(後述)を均一に塗布する処理である。
【0030】
これにより、画像形成装置100は、前処理手段20を用いて、記録媒体に画像を形成する場合において、記録媒体に画像を形成する前に、インクを凝集させる機能を有する前処理液を記録媒体表面に塗布することができる。このため、画像形成装置100により画像形成した際は、形成される画像の滲み、濃度、色調、光沢及び裏写りなどの品質問題、並びに、耐水性、耐候性及びその他画像堅牢性に関する問題が発生することを低減することができる。すなわち、画像形成装置100は、前処理手段20を用いて、記録媒体に画像を形成する前にインクを凝集させる機能を有する前処理液を塗布することによって、その後形成される画像の品質を向上することができる。
【0031】
なお、インクジェット方式の専用紙(記録媒体)に画像を形成する場合についても、画像形成装置100は前処理手段20を用いて、インクを凝集させる機能を有する前処理液を塗布してもよい。
【0032】
本発明の実施形態に係る画像形成装置100の前処理手段20は、記録媒体表面に前処理液を均一に塗布できるものであれば特に限定されるものではなく、各種塗布方法を用いることができる。前処理方法として、例えばブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本乃至5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法などを用いることができる。
【0033】
また、本実施形態に係る前処理手段20は前処理液として、例えば水溶性脂肪族系有機酸を含有した処理液を用いることができる。係る前処理液は、水分散性着色剤を凝集させる性質を有する。ここで、凝集するとは、水分散性着色剤粒子同士が吸着集合することである。
【0034】
更に、本実施形態に係る前処理手段20は、前処理液に水溶性脂肪族系有機酸等のイオン性物質を加えることができる。これにより、前処理液は、水分散性着色剤の表面(電荷)にイオンを吸着させ、表面電荷を中和するため、分子間力による凝集作用を増強し、水分散性着色剤を更に凝集させることができる。
【0035】
ロールコート法を用いた前処理手段20の一例を、
図2を用いて説明する。
【0036】
図2に示すように、前処理手段20は、本実施形態では、搬入手段10(
図1)によって前処理手段20内に搬入(搬送)されたロール紙Mdの表面に、貯留している前処理液20Lを塗布する。
【0037】
具体的には、前処理手段20は、先ず、攪拌(供給)ローラ21及び薄膜化(移送)ローラ22によって、前処理液20Lを塗布ローラ23の表面に薄膜状に転写(転移)する。
【0038】
次に、前処理手段20は、塗布ローラ23を回転するプラテンローラ24に押し付け、塗布ローラ23を回転する。このとき、前処理手段20は、塗布ローラ23とプラテンローラ24との間隙にロール紙Mdを搬送することで、ロール紙Mdの表面に前処理液20Lを塗布することができる。
【0039】
また、前処理手段20は、圧力調整装置25を用いて、前処理液を塗布するときのニップ圧(塗布ローラ23とプラテンローラ24とが接触する位置に作用する圧力)を制御する。これにより、前処理手段20は、圧力調整装置25を用いてニップ圧を変えることで、前処理液20Lの塗布量を制御(変化)することができる。
【0040】
更に、前処理手段20は、塗布ローラ23及びプラテンローラ24の回転速度を制御する。このように塗布ローラ23等の回転速度を変えることで、前処理手段20は前処理液20Lの塗布量(膜厚など)を制御(変化)することができる。なお、前処理手段20は、例えば塗布ローラ23及びプラテンローラ24を駆動する図示しない動力源(駆動モーターなど)の動作を制御することによって、塗布ローラ23等の回転速度を制御してもよい。
【0041】
以上により、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の前処理手段20によれば、噴射ヘッドを用いて前処理液を記録媒体に塗布する場合と比較して、塗布ローラ23等を用いて、ロール紙Md(記録媒体)の表面に均一に前処理液20Lを塗布することができる。すなわち、本実施形態に係る前処理手段20は、比較的粘度の高い前処理液20Lの場合でも、前処理液20Lをロール紙Md上に均一に薄く塗布することができる。
【0042】
このように、本実施形態に係る前処理手段20によれば、前処理液20Lをロール紙Md上に均一に薄く塗布することができるので、その後に形成される画像の滲み等を低減することができ、画像品質を向上させることができる。
【0043】
また、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の前処理手段20によれば、塗布ローラ23や、圧力調整装置25等により塗布する前処理液の塗布量を制御することができるので、その後の画像形成に適した塗布量で、ロール紙Md(記録媒体)の表面に前処理液20Lを塗布することができる。
【0044】
(乾燥手段の構成)
乾燥手段30は、記録媒体を加熱等により乾燥する手段である。乾燥手段30は、本実施形態では、前処理手段20によって前処理されたロール紙Mdを乾燥させる前処理用乾燥部(前処理用乾燥手段)31と、画像形成後、後処理手段50によって後処理されたロール紙Mdを乾燥させる後処理用乾燥部(後処理用乾燥手段)32とを設けることができる。
【0045】
前処理用乾燥部31は、例えば
図1に示すようにヒートローラ31hを用いることができる。具体的には、前処理用乾燥部31は、ヒートローラ31hを例えば40〜100℃に加熱し、前処理液を塗布されたロール紙Mdの表面をヒートローラ31hに接触等させることができる。これにより、前処理用乾燥部31では、前処理液を塗布されたロール紙Mdの表面をヒートローラ31hからの接触伝熱により加熱し、前処理液の水分を蒸発させ、ロール紙Md(表面に塗布された前処理液)を乾燥させることができる。
【0046】
なお、後述するように、乾燥手段のヒートローラの本数は
図1の構成に限定されるものではなく、必要に応じて選択することができる。
【0047】
また、前処理用乾燥部31は、乾燥手段をヒートローラに限定されない。すなわち、前処理用乾燥部31は、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、温風乾燥及びその他乾燥方法を用いることができる。また、前処理用乾燥部31は、複数の乾燥方法を組み合わせた乾燥方法を用いてもよい。
【0048】
後処理用乾燥部32の構成は、前処理用乾燥部31の構成と同様の構成とすることができるため、説明を省略する。
【0049】
(画像形成手段の構成)
画像形成手段40は、記録媒体に画像を形成する手段である。画像形成手段40は、本実施形態では、乾燥手段30によって乾燥されたロール紙Md上に液滴(以下、「インク」という。)を吐出することによって、ロール紙Mdの表面に画像を形成する。
【0050】
画像形成手段40のヘッド部分の外形形状の一例を、
図3を用いて説明する。ここで、
図3(a)は、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の画像形成手段40の全体の構成の一例を示す概略平面図である。
図3(b)は、画像形成手段40の要部(ブラック(K)の吐出ヘッド40K)の一例を示す概略平面図である。
【0051】
図3(a)に示すように、画像形成手段40は、本実施形態では、フルライン型のヘッドである。すなわち、画像形成手段40は、記録媒体の搬送方向Xmの上流側からブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)に対応する4つの吐出ヘッド40K、40C、40M及び40Yを配置している。
【0052】
ここで、ブラック(K)の吐出ヘッド40Kは、本実施形態では、ロール紙Mdの搬送方向Xmと直行する方向に4つのヘッドユニット40K−1、40K−2、40K−3及び40K−4を千鳥状に配置している。これにより、画像形成手段40は、ロール紙Md(記録媒体)の画像形成領域(印刷領域)の幅方向(搬送方向と直行する方向)の全域に画像を形成することができる。なお、他の吐出ヘッド40C、40M及び40Yの構成は、ブラック(K)の吐出ヘッド40Kの構成と同様のため、説明を省略する。
【0053】
画像形成手段40のブラック(K)の吐出ヘッド40Kのヘッドユニット40K−1の拡大平面図を
図3(b)に示す。
【0054】
図3(b)に示すように、ヘッドユニット40K−1は、本実施形態では、ノズル面(ノズル板43(後述する
図4(a))の外形表面)に、複数の吐出口(ノズル、印字ノズル)40Nを備える。ここで、複数の吐出口40Nは、ヘッドユニット40K−1の長手方向に1列に配置され、ノズル列を構成している。なお、ヘッドユニット40K−1は、複数のノズル列を備えてもよい。
【0055】
画像形成手段40の吐出ヘッドの断面形状の一例を、
図4を用いて説明する。ここで、
図4(a)は、画像形成手段40の流路(液室40F長手方向の断面)の一例を示す概略断面図である。
図4(b)は、画像形成手段40の吐出口40Nの配置(液室40F短手方向(吐出口の並び方向)の断面(
図4(a)のSC1))を示す断面図である。
【0056】
図4(a)に示すように、本発明の実施形態に係る画像形成手段40の吐出ヘッド(40K等)は、本実施形態では、吐出するインクの通路を形成する流路板41と、流路板41の下面(吐出ヘッドの内部方向)に接合された振動板42と、流路板41の上面(吐出ヘッドの外側方向)に接合されたノズル板43と、振動板42の周縁部を保持する(接合された)フレーム部材44とを備える。また、吐出ヘッドは、振動板42を変形させるための圧力発生手段(アクチュエータ手段)45を有する。
【0057】
本実施形態に係る吐出ヘッド(40K等)は、流路板41と、振動板42と、ノズル板43とを積層することによって、吐出口(ノズル)40Nに連通する流路であるノズル連通路40R及び液室40Fを形成することができる。また、吐出ヘッドは、フレーム部材44を更に積層することによって、液室40Fにインクを供給するためのインク流入口40S及びインクを供給する共通液室40Cなどを形成することができる。
【0058】
更に、本実施形態に係る吐出ヘッドは、圧力発生手段44を用いて、振動板42を変形(撓み変形)する。これにより、吐出ヘッドは、液室40Fの容積(体積)を変化させ、液室40F内のインクに作用する圧力を変化させることができる。この結果、吐出ヘッドは、吐出口40Nから、インクを吐出することができる。
【0059】
流路板41は、結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を用いることができる。これにより、流路板41は、水酸化カリウム水溶液(KOH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることで、ノズル連通路40R及び液室40Fとなる凹部及び穴部を形成されることができる。なお、流路板41に用いることができる材料は、単結晶シリコン基板に限られるものではない。すなわち、流路板41は、ステンレス基板、感光性樹脂及びその他材料を用いることができる。
【0060】
振動板42は、ニッケルの金属プレートを用いることができる。これにより、振動板42は、ニッケル電鋳(例えばエレクトロフォーミング法、電鋳法)で加工されることができる。なお、振動板42は、ニッケルの金属プレート以外の金属板又は金属と樹脂板との接合部材などを用いてもよい。
【0061】
ノズル板43は、単結晶シリコン基板を用いることができる。これにより、ノズル板43は、流路板41と同様に、異方性エッチングで加工されることができる。なお、ノズル板43は、金属部材からなる外形表面に、所要の層を介して、撥水層を形成されてもよい。
【0062】
また、ノズル板43は、本実施形態では、液滴(インク滴)を吐出する複数のノズル40Nを有する。具体的には、ノズル板43は、各液室40Fに対応して、直径10〜30μmのノズル40Nが夫々形成されている。
【0063】
フレーム部材44は、熱硬化性樹脂(例えばエポキシ系樹脂)又はポリフェニレンサルファイト(PPS)などを用いることができる。これにより、フレーム部材44は、射出成形で加工されることができる。
【0064】
また、フレーム部材44には、本実施形態では、圧力発生手段45を収納する収容部(貫通部)、共通液室40Cとなる凹部、共通液室40Cに吐出ヘッド外部からインクを供給するためのインク供給口40INが形成されている。
【0065】
圧力発生手段45は、電気機械変換素子を用いることができる。圧力発生手段45は、本実施形態では、電気機械変換素子である圧電素子45Pを備えており、圧電素子45Pを接合固定するベース基板45Bと、圧電素子45Pの間に配置された支柱部等を設けることができる。また、圧力発生手段45の圧電素子45Pには、図示しない駆動回路(駆動IC)に接続するためのFPCケーブル45C等が接続されている。
【0066】
圧電素子45Pは、
図4(a)に示すように、圧電材料45Pp(例えばPZT)と内部電極45Peとを交互に積層した積層型圧電素子を用いることができる。ここで、内部電極45Peは、圧電材料45Ppの交互に異なる端面に引き出された各内部電極には個別電極45Pei及び共通電極45Pecを接続している。
【0067】
また、圧電素子45Pは、本実施形態では、圧電材料45Ppの圧電方向として、d33方向を用いる。これにより、圧力発生手段45は、圧電素子45Pの圧電効果(d33方向の変位)を用いて、液室40F内のインクを加圧又は減圧することができる。なお、圧力発生手段45は、圧電素子45Pのd31方向の変位を用いて、液室40F内のインクを加圧又は減圧してもよい。また、圧力発生手段45は、1つの吐出口40Nに対して1列の圧電素子を配置してもよい。
【0068】
支柱部は、圧電素子部材(圧電素子45P)を分割することで、圧電素子45Pと同時に形成してもよい。すなわち、吐出ヘッドは、圧電素子に電圧を印加しないことによって、圧電素子部材を支柱部として用いることができる。
【0069】
以下に、吐出ヘッドがノズル40Nからインクを吐出する動作(引き−押し打ち動作)を具体的に説明する。
【0070】
吐出ヘッドは、本実施形態では、先ず、圧電素子45P(圧力発生手段45)に印加している電圧を基準電位から下げ、圧電素子45Pをその積層方向に縮小させる。また、吐出ヘッドは、圧電素子45Pの縮小によって、振動板42を撓み変形させる。このとき、吐出ヘッドは、振動板42の撓み変形によって、液室40Fの容積(体積)を拡大(膨張)させる。これにより、吐出ヘッドは、共通液室40Cから液室40F内にインクを流入することができる。
【0071】
次に、吐出ヘッドは、圧電素子45Pに印加している電圧を上げ、圧電素子45Pを積層方向に伸長させる。また、吐出ヘッドは、圧電素子45Pの伸長によって、振動板42をノズル40N方向に変形させる。このとき、吐出ヘッドは、振動板42の変形によって、液室40Fの容積(体積)を縮小(収縮)させる。これにより、吐出ヘッドは、液室40F内のインクに圧力を付加することができる。また、吐出ヘッドは、インクを加圧することによって、吐出口40Nからインクを吐出(噴射)することができる。
【0072】
その後、吐出ヘッドは、圧電素子45Pに印加している電圧を基準電位に戻し、振動板42を初期位置に戻す(復元する)。このとき、吐出ヘッドは、液室40Fの膨張によって液室40F内を減圧し、共通液室40C内から液室40F内にインクを充填(補充)する。次いで、吐出ヘッドは、ノズル40Nのメニスカス面の振動が減衰(安定)した後、次のインクの吐出のための動作に移行し、上記の動作を繰り返す。
【0073】
なお、本発明を用いることができる吐出ヘッドの駆動方法は、上記の例(引き−押し打ち)に限定されるものではない。すなわち、吐出ヘッドの駆動方法は、圧電素子45Pに印加する電圧(駆動波形)を制御することによって、引き打ち又は押し打ち等を行うことができる。
【0074】
以上により、本発明の実施形態に係る画像形成装置100は、画像形成手段40(4つの吐出ヘッド40K、40C、40M及び40Y)を用いて、1回の記録媒体(ロール紙Md)の搬送動作で、画像形成領域の全域に、白黒又はフルカラーの画像を形成することができる。
【0075】
なお、本発明を用いることができる圧力発生手段45は、上記の例(圧電素子45P)に限定されるものではない。すなわち、圧力発生手段45は、発熱抵抗体を用いて液室40F内のインクを加熱して気泡を発生させる方法(いわゆるサーマル型)のもの(例えば特開昭61−59911号公報参照)を用いてもよい。また、圧力発生手段45は、液室40Fの壁面に振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させた静電力によって振動板を変形させる方法(いわゆる静電型)のもの(例えば特開平6−71882号公報参照)を用いてもよい。
【0076】
(後処理手段の構成)
後処理手段50は、画像が形成された後の記録媒体を後処理(処理)する手段である。
【0077】
後処理手段50は、本実施形態では、画像形成手段40によって画像を形成されたロール紙Mdの表面に対して、後処理液を吐出することにより後処理を行う。
【0078】
ここで、後処理とは、ロール紙Md(記録媒体)上の少なくとも一部(例えば斑点形状や縞形状等の形状で形成される)に後処理液を吐出(堆積)する処理である。
【0079】
図5に後処理を終えた後の記録媒体表面の断面図を模式的に示す。
図5に示すように、ロール紙Mdの表面には、前処理液20Lが全面に塗布され、画像を形成するインク40Inkが所定の位置に更に吐出(塗布)されている。そして、後処理手段50により、画像が形成されたロール紙Md上に、後処理液50Lを吐出することにより、後処理液が塗布(堆積)される。
【0080】
これにより、本実施形態に係る画像形成装置100は、後処理手段50を用いて、画像を形成された記録媒体(ロール紙Md)上に後処理液を堆積(吐出)することができる。
【0081】
このように、画像形成処理後に記録媒体に対して後処理液を吐出、堆積することにより、画像が形成された記録媒体(ロール紙Md)の表面が他の物体(例えば他の記録媒体)と擦れることにより記録媒体上の画像が剥離(剥奪)することを防止することができる。
【0082】
すなわち、本実施形態に係る画像形成装置100は、後処理手段50を設けて後処理を行うことにより、記録媒体上に形成された画像の耐擦過性(耐擦性)を向上することができる。
【0083】
後処理手段50の後処理方法は、特に制限はなく、後処理液の種類に応じて任意に選択することができる。例えば、後処理手段50の後処理方法は、前述の前処理手段20の前処理液の塗布方法、又は、前述の画像形成手段40のインクを吐出する方法、すなわち吐出ヘッドを用いた方法を用いることができる。特に、後処理手段50の後処理方法は、装置構成の小型化及び後処理液の保存安定性の観点から、画像形成手段40のインクを吐出する方法と同様の方法を用いることがより好ましい。ここで、後処理液を吐出させる場合には、画像形成手段40のインクを吐出する方法で使用されている水溶性有機溶剤(湿潤剤)を適当量含有することが好ましい。
【0084】
後処理手段50は、後処理液として、ロール紙Md(記録媒体)上に透明な保護層を形成し得る成分を含有する処理液を用いることができる。透明な保護層を形成し得る成分を含有する処理液とは、例えば、水分散性樹脂(樹脂)、水溶性有機溶剤(湿潤剤)、浸透剤、界面活性剤、水及び/又は必要に応じてその他の成分を含有してなる処理液である。また、後処理液は、紫外線照射によって高分子化する成分を含む樹脂組成物及び/又は熱可塑性樹脂であることが好ましい。更に、後処理液は、光沢性・定着性向上のために、熱可塑性樹脂エマルジョン(水分散性樹脂ともいう)であることが好ましい。
【0085】
これにより、後処理手段50は、吐出(塗布)する方法に応じて、画像が形成されたロール紙Mdの表面の光沢性を増加させること、及び/又は、ロール紙Mdの表面を樹脂層で保護することができる。
【0086】
ここで、水分散性樹脂(樹脂)としては、例えばアクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、フッ素樹脂などが好適に用いることができる。これらの水分散性樹脂は、画像形成手段40のインクを吐出する方法に用いられる水分散性樹脂と同様のものを適宜選択して用いることができる。また、水分散性樹脂の保護層における含有量は、固形分で1質量%〜50質量%であることが好ましい。更に、画像形成手段40のインクを吐出する方法を用いる場合には、水分散性樹脂の保護層における含有量は、1質量%〜30質量%とすることが好ましい。
【0087】
樹脂含有量が50質量%を超える場合には、後処理液の粘度が高くなる場合がある。また、樹脂含有量が1質量%未満である場合には、後処理液の水分蒸発のために必要なエネルギーが増加する場合がある。
【0088】
後処理液の水分散性樹脂の平均粒径(D50)は、後処理液の粘度と関係する。組成が同じ場合では、例えば粒径が小さくなるほど後処理液の粘度が大きくなる。従って、後処理時に過剰な高粘度となることを防止するために、水分散性樹脂の平均粒子径(D50)を50nm以上にすることが好ましい。
【0089】
また、後処理液の水分散性樹脂の平均粒子径は、数十μmの場合では、後処理液を吐出する吐出ヘッドのノズル径より大きくなるため、好ましくない。また、後処理液の水分散性樹脂の平均粒子径が、ノズル径より小さくても、粒子径の大きな粒子が後処理液中に存在すると吐出性を悪化させる場合がある。
【0090】
従って、後処理液(水分散性樹脂)の平均粒子径(D50)は、200nm以下がより好ましく、150nm以下が更に好ましい。
【0091】
水溶性有機溶剤(湿潤剤)を用いた場合、後処理液中に含まれる水溶性有機溶剤の含有量は、特に限定されない。水溶性有機溶剤の含有量は例えば10〜80質量%とすることが好ましく、15〜60質量%とすることがより好ましい。
【0092】
なお、水溶性有機溶剤の含有量が80質量%より大きい場合には、後処理後の記録媒体が乾燥しにくくなる場合がある。また、水溶性有機溶剤の含有量が10質量%より小さい場合には、前処理液との混合で後処理液の組成が変わる場合がある。
【0093】
浸透剤及び界面活性剤は、特に制限はない。浸透剤及び界面活性剤は、前処理手段20に用いる前処理液、又は、画像形成手段40に用いるインクに含有する浸透剤又は界面活性剤を、適宜選択してもよい。
【0094】
なお、後処理液は、その他の成分を更に含んでもよい。後処理液は、例えば、樹脂、ワックス、pH調整剤、湿潤剤、浸透剤、界面活性剤、抗菌剤、表面改質剤、消泡剤などを更に含んでもよい。
【0095】
ここで、樹脂としては、例えばウレタン樹脂を用いることができる。ワックスとしては、例えばポリエチレンワックスを用いることができる。pH調整剤としては、例えば2−アミノ−2−エチル−1、3−プロパンジオールを用いることができる。湿潤剤としては、例えば1、3−ブタジエンを用いることができる。湿潤剤としては、例えばグリセリンを用いることができる。浸透剤としては、例えば2−エチル−1、3−ヘキサンジオールを用いることができる。界面活性剤としては、例えばパーフルオロアルキルポリエチレンオキシド付加反応物を用いることができる。抗菌剤としては、例えば有効成分として1、2−ベンゾチアゾル−3−オンを含むものを用いることができる。表面改質剤としては、例えばポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとポリエーテルの混合物(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)を用いることができる。消泡剤としては、例えば2、4、7、9−テトラメチル−4、7−デカンジオールを用いることができる。
【0096】
(搬出手段の構成)
搬出手段60は、画像が形成等された記録媒体を搬出(排出)する手段である。
図1に示すように、搬出手段60は、本実施形態では、保管部61及び複数の搬送ローラ62等で構成される。搬出手段60は、搬送ローラ62等を用いて、保管部61の保管ロールに画像が形成されたロール紙Mdを巻き付けて、保管することができる。
【0097】
この場合も、ロール紙を用いた例により説明したが、記録媒体の種類に応じて適切な搬出手段を用いることができる。
【0098】
(制御手段の構成)
制御手段70は、画像形成装置100の動作を制御する手段である。制御手段70は、本実施形態では、画像形成装置100の各構成に動作を指示し、その動作を制御する。
図6〜
図9を用いて、本実施形態に係る制御手段70を説明する。
【0099】
なお、本実施形態に係る画像形成装置100(制御手段70)は、印刷システムとして、プロダクションプリンティングを用いることができる。ここで、プロダクションプリンティングとは、ジョブ管理や印刷データの管理などを効率的に行うことによって、短時間に大量の印刷(画像形成、印字)することができる製造システムである。具体的には、本実施形態に係る画像形成装置100は、ビットマップデータなどの印刷動作を制御するRIP処理と、RIP処理により制御されたビットマップデータなどに基づく印刷処理とを別の装置(手段)で実施する。
【0100】
また、本実施形態に係る画像形成装置100(制御手段70)は、印刷データの作成から印刷物の分配までの管理を行うワークフローのシステムを構築する。すなわち、本実施形態に係る画像形成装置100は、RIP(Raster Image Processor)処理を行う装置と、印刷処理を行う装置とを分離することで、印刷の高速化を可能とする。
【0101】
図6(a)に示すように、本実施形態に係る画像形成装置100の制御手段70は、RIP処理などを行う上位装置(DFE、Digital Front End)71と、印刷処理などを行うプリンタ装置72とを含む。ここで、上位装置71とプリンタ装置72とは、複数のデータ線70LDと制御線70LCとで接続されている。
【0102】
以下に、本実施形態に係る制御手段70の上位装置71及びプリンタ装置72を具体的に説明する。
【0103】
(上位装置71)
本発明の実施形態に係る画像形成装置100の制御手段70の上位装置71は、ホスト装置(不図示)から出力される印刷ジョブデータ(ジョブデータ、印刷データ)に基づいて、RIP処理を行う装置である。すなわち、本実施形態に係る上位装置71は、印刷ジョブデータに基づいて、各色に対応するビットマップデータ(以下、「印刷画像データ」という。)を夫々作成する。
【0104】
また、本実施形態に係る上位装置71は、印刷ジョブデータ及びホスト装置の情報などに基づいて、印刷動作を制御するためのデータ(以下、「制御情報データ」という。)を作成する。ここで、制御情報データとは、印刷条件(印刷形態、印刷種別、給排紙情報、印刷面順、印刷用紙サイズ、印刷画像データのデータサイズ、解像度、紙種情報、階調、色情報及び印刷を行うページ数の情報など)に関するデータを含む。
【0105】
上位装置71で作成された各色の印刷画像データは、複数のデータ線70LDを夫々介してプリンタ装置の図示されないプリンタエンジン部に供給される。
【0106】
また、上位装置71は、プリンタコントローラ72Cに対して、印刷条件を設定する制御情報データを制御線70LCを介して送信する。
【0107】
この制御情報データがプリントコントローラ72Cに受信されると、受信した制御情報データに含まれる各種の印刷条件が、例えば後述する印刷制御部72Ccのレジスタなどに書き込まれ印刷条件が設定される。そして、プリンタエンジン部を制御して印刷ジョブに従った印刷を実行する。
【0108】
図6(b)に示すように、上位装置71は、本実施形態では、CPU(Central Processing Unit)71a、ROM(Read Only Memory)71b、RAM(Random Access Memory)71c、HDD(ハードディスクドライブ)71dを備える。また、上位装置71は、外部I/F71e、制御情報用I/F71f及び画像データ用I/F71gを備える。更に、上位装置71は、これらを接続するバス71hを備える。上位装置71は、バス71hを介して、CPU71a等を互いに送受信可能とする構成である。
【0109】
CPU71aは、ROM71b及び/又はHDD71dに格納(記憶)されている制御プログラム等を用いて、上位装置71全体の動作を制御する。
【0110】
ROM71b、RAM71c及びHDD71dは、データ等を記憶する装置である。ROM71b及びHDD71dは、上記の様にCPU71aを制御するための制御プログラムを予め格納されている。RAM71cは、CPU71aのワークメモリとして用いられる。
【0111】
外部I/F71eは、画像形成装置100外部(ホスト装置等)との通信(送受信)を制御する。外部I/F71eは、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)に対応した通信を制御することができる。
【0112】
制御情報用I/F71fは、制御情報データの通信(送受信)を制御する。制御情報用I/F71fは、特に限定されるものではないが、例えばPCI Express(Peripheral Component Interconnect Bus Express)を用いることができる。
【0113】
画像データ用I/F71gは、印刷画像データの通信(送受信)を制御するものである。画像データ用I/F71gは、高速な転送速度が要求されるため、例えばPCI Expressを用いることができる。画像データ用I/F71gは本実施形態では複数のチャンネルを有しており、後述する様に上位装置71において作成された各色の印刷画像データは、印刷画像データの各色に対応した複数のチャネルからそれぞれ出力される。
【0114】
本実施形態に係る上位装置71は、ホスト装置から送信された印刷ジョブデータを外部I/F71eで受信し、CPU71aを介して、HDD71dに格納する。また、上位装置71は、CPU71aを用いてHDD71dから読み出した印刷ジョブデータに基づきRIP処理を行い、各色(イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びブラック(K))のビットマップデータを生成し、生成した各色のビットマップデータをRAM71cに夫々格納する。上位装置71(CPU71a)は、RIP処理として、例えばPDL(Page Description Language)をレンダリングして各色のビットマップデータを生成し、RAM71cに書き出すことができる。
【0115】
次に、上位装置71は、RAM71cに書き出されている各色のビットマップデータを圧縮符号化し、HDD71dに一旦格納する。
【0116】
その後、上位装置71(CPU71a)は、プリンタ装置72で印刷動作が開始される際に、HDD71dから圧縮符号化された各色のビットマップデータを読み出し、圧縮符号を復号し、復号された各色のビットマップデータをRAM71cに夫々書き込む。次いで、上位装置71は、RAM71cから各色のビットマップデータを読み出し、各色の印刷画像データとして、画像データ用I/F71gの各チャネル(
図7のデータ線70LD(70LD−Y、70LD−C、70LD−M及び70LD−K))を介して、プリンタ装置72(後述するプリンタエンジン72E)に出力する。
【0117】
また、本実施形態に係る上位装置71は、印刷動作の進行などに応じて、CPU71aを用いて、プリンタ装置72(後述するプリンタコントローラ72C)との間で、制御情報用I/F71f(制御線70LC)を介して、制御情報データの送受信を行う。
【0118】
更に、本実施形態に係る上位装置71は、プリンタ装置72において後処理が開始される際に、CPU71aを用いて、HDD71dから圧縮符号化された後処理に関する画像データを読み出し、上記のビットマップデータと同様に、データ線70LD−P(
図7)を介して、プリンタ装置72(プリンタエンジン72E)に出力する構成とすることもできる。
(プリンタ装置72)
本発明の実施形態に係る画像形成装置100の制御手段70のプリンタ装置72は、上位装置71から入力された印刷画像データ及び制御情報データに基づいて、記録媒体に画像を形成する動作を制御する装置である。
【0119】
図7に示すように、プリンタ装置72は、本実施形態では、プリンタコントローラ72Cとプリンタエンジン72Eとを有する。
【0120】
プリンタコントローラ72Cは、後述するプリンタエンジン72Eの動作を制御するものである。プリンタコントローラ72Cは、制御線70LCを介して、上位装置71との間で制御情報データ等の送受信を行う。また、プリンタコントローラ72Cは、制御線72LCを介して、プリンタエンジン72Eと制御情報データ等の送受信を行う。これにより、プリンタコントローラ72Cは、制御情報データを受信すると、受信した制御情報データに含まれる各種の印刷条件等を印刷制御部のレジスタなどに書き込み、印刷条件を記憶することができる。また、プリンタコントローラ72Cは、制御情報データに基づいてプリンタエンジン72Eを制御し、印刷ジョブデータ(制御情報データ)に従った印刷を実行することができる。
【0121】
図7に示すように、プリンタコントローラ72Cは、本実施形態では、CPU72Cp及び印刷制御部72Ccを有する。また、プリンタコントローラ72Cは、CPU72Cpと印刷制御部72Ccとを互いに通信可能にバス72Cbで接続している。ここで、バス72Cbは、通信I/F(不図示)を介して、制御線70LCに接続されている。
【0122】
CPU72Cpは、ROM(不図示)に格納されている制御プログラムを用いて、プリンタ装置72全体の動作を制御する。印刷制御部72Ccは、上位装置71から送信された制御情報データに基づいて、プリンタエンジン72Eとの間でコマンドやステータス情報の送受信を行う。これにより、印刷制御部72Ccは、プリンタエンジン72Eの動作を制御することができる。
【0123】
プリンタエンジン72Eは、上位装置71から入力された印刷画像データ及びプリンタコントローラ72Cから入力された制御情報データに基づいて、記録媒体に画像を形成する動作を制御する装置である。また、本実施形態ではプリンタエンジン72Eは、上位装置71から入力された印刷画像データ及びプリンタコントローラ72Cから入力された制御情報データに基づいて、記録媒体を後処理する動作を制御する装置でもある。
【0124】
プリンタエンジン72Eは、複数のデータ線70LD(
図7の70LD−C、70LD−M、70LD−Y、70LD−K及び70LD−P)が接続されている。プリンタエンジン72Eは、複数のデータ線70LD−C等を介して、上位装置71から印刷画像データを受信する。そして、プリンタエンジン72Eは、プリンタコントローラ72Cの制御に従い、受信した印刷画像データに基づいて、各色の印刷動作及び後処理液の後処理を実施することができる。
【0125】
図7に示すように、プリンタエンジン72Eは、本実施形態では、複数のデータ管理部72EC、72EM、72EY、72EK及び72EPを有する。また、プリンタエンジン72Eは、データ管理部72EC等が印刷画像データ等を出力する画像出力部72Eiと、記録媒体の搬送を制御する搬送制御部72Ecとを有する。更に、プリンタエンジン72Eは、本実施形態では、データ管理部72EPが後処理に関する画像データを出力する後処理液出力部72Epと、後処理後の乾燥手段32(
図1)の動作を制御する後処理後乾燥制御部72Epbとを有する。
【0126】
なお、プリンタエンジン72Eは、前処理液塗布制御部、前処理後乾燥(手段)制御部及び巻取前乾燥制御部等を更に含んでもよい。
【0127】
データ管理部72ECの構成を、
図8を用いて説明する。なお、その他のデータ管理部72EM、72EY、72EK及び72EPの構成は、データ管理部72ECの構成と同様のため、説明を省略する。
【0128】
図8に示すように、データ管理部72ECは、ロジック回路72EClとメモリ部72ECmとを含む。データ管理部72EC(ロジック回路72ECl)は、データ線70LD−Cを介して、上位装置71に接続されている。また、データ管理部72EC(ロジック回路72ECl)は、制御線72LCを介して、プリンタコントローラ72C(印刷制御部72Cc)に接続されている。
【0129】
ロジック回路72EClは、本実施形態では、プリンタコントローラ72C(印刷制御部72Cc)から出力された制御信号に基づいて、上位装置71から出力された印刷画像データをメモリ72ECmに格納(記憶)する。また、ロジック回路72EClは、プリンタコントローラ72C(印刷制御部72Cc)から出力された制御信号に基づいて、メモリ72ECmからシアン(C)に対応する印刷画像データIc(
図7)を読み出し、画像出力部72Eiに出力する。なお、ロジック回路72ECp(データ管理部72EP)の場合は、後処理に関するデータIp(
図7)を、後処理液出力部72Epに出力する。
【0130】
ここで、メモリ部72ECmは、少なくとも3ページ分の印刷画像データを格納可能な容量とすることができる。3ページ分の印刷画像データとは、例えば上位装置71から転送中のページの印刷画像データと、現在出力中のページの印刷画像データと、次のページの印刷画像データとに対応する。
【0131】
なお、データ管理部72ECは、論理回路などの組み合わせにより構成されるハードウェアのロジック回路を用いても良い。これにより、データ管理部72ECは、より高速な処理を実現することができる。また、データ管理部72ECは、ロジック回路72EClを用いて、例えばビット列による制御信号に対する論理判定を行い、実行する処理を決定してもよい。
【0132】
データ管理部(72EC等)からそれぞれ出力された各色及び後処理液の印刷画像データは、画像出力部72Eiと後処理液出力部72Epに供給される。画像出力部72Eiは、各色の印刷画像データによる印刷を実行する。また、本実施形態においては、後処理液出力部72Epは後処理液の印刷画像データによる印刷を行う。
【0133】
画像出力部72Eiの構成を、
図9を用いて説明する。なお、後処理液出力部72Epの構成は、画像出力部72Eiの構成と基本的に同様のため、説明を省略する。
【0134】
図9に示すように、画像出力部72Eiは、出力制御部72Eicと各色の吐出ヘッド40C、40M、40Y、40Kとを含む。
【0135】
出力制御部72Eicは、各色に対応する印刷画像データを各色に対応する吐出ヘッド40C、40M、40Y及び40K(
図3)に出力する。すなわち、出力制御部72Eicは、印刷画像データに基づいて、吐出ヘッド40C等の動作を制御することができる。
【0136】
具体的には、出力制御部72Eicは、複数の吐出ヘッド40C等を個別に制御することができる。また、出力制御部72Eicは、入力された印刷画像データ(例えば
図9のIc)を用いて、複数の吐出ヘッド40C等を同時に制御してもよい。更に、出力制御部72Eicは、図示しない制御装置から入力される制御信号に基づいて、吐出ヘッド40C等を制御してもよい。出力制御部72Eicは、例えばユーザーの操作入力に基づいて、吐出ヘッド40C等を制御してもよい。
【0137】
本実施形態に係るプリンタ装置72では、上位装置71からの印刷画像データの転送と、当該印刷画像データによる印刷を制御する制御情報データの上位装置71とプリンタ装置72との間の送受信とは、異なる経路を介して行われる。
【0138】
また、上位装置71から出力される各色の印刷画像データは、異なるデータ線70LD−C等を介して転送されると共に、これらのデータ線70LD−C等を介して転送された各色の印刷画像データが互いに独立して制御され、共通の構成を持つデータ管理部72EC等に供給される。さらに画像出力部において、各データ管理部72EC等の出力と各色のヘッド40C等との接続経路をユーザー操作等により設定可能に構成されている。
【0139】
このため、本実施形態に係るプリンタ装置72は、各色の印刷画像データを互いに独立して制御することができる。また、プリンタ装置72は、印刷画像データの色数(C、M、Y及びK、又は、K色のみなど)又は吐出ヘッド数に応じて、プリンタエンジン72Eの構成を容易に変更することが可能である。すなわち、本実施形態に係る画像形成装置100(プリンタ装置72)は、必要なデータ管理部72EC等及び吐出ヘッド40C等だけを搭載することにより、装置の小型化及び低コスト化について有利な効果を有する。
【0140】
本実施形態に係る画像形成装置100(プリンタ装置72)は、例えば、色C、M、Y及びKの4色でフルカラー印刷を行う場合には、プリンタエンジン72Eにデータ管理部72EC等を全て設けることができる。これにより、画像形成装置100(プリンタ装置72)は、出力制御部72Eicを用いて、データ管理部72EC等の各出力を夫々吐出ヘッド40C等に接続することができる。
【0141】
また、画像形成装置100(プリンタ装置72)は、例えば色Kの1色で印刷を行う場合には、装置コスト優先として、1つのデータ管理部72EK及び吐出ヘッド40Kのみを設けることができる。これにより、画像形成装置100(プリンタ装置72)は、出力制御部72Eicを用いて、データ管理部72EKの出力を吐出ヘッド40Kに接続することができる。
【0142】
更に、画像形成装置100(プリンタ装置72)は、例えは色Kの1色で印刷を行う場合には、印刷速度優先として、1のデータ管理部72EKと4つの吐出ヘッドとを設けることができる。これにより、画像形成装置100(プリンタ装置72)は、出力制御部72Eicを用いて、データ管理部72EKの出力を4つの吐出ヘッドにそれぞれ接続することができる。この場合、画像形成装置100(プリンタ装置72)は、同一色(K)を複数回、重ねて印刷することになるため、例えば1つの吐出ヘッドで画像を形成する場合と比較して、4倍の高速印刷(画像形成)を実現することができる。
(前処理液の塗布量の制御、後処理手段の吐出量の制御、乾燥手段の乾燥強度の制御)
本発明の実施形態において、前処理手段20は、記録媒体に形成される画像の解像度に基づいて、前処理液の塗布量を制御する。また、後処理手段50は、記録媒体に形成される画像の解像度に基づいて、後処理液の吐出量を制御する。そして、記録媒体上に形成された画像と後処理液を乾燥させる乾燥手段、すなわち後段の乾燥手段32は、記録媒体に形成される画像の解像度に基づいて、乾燥強度を制御する。
【0143】
まず、前処理手段について説明する。既述の様に、記録媒体に形成される画像の解像度によって、インクのドット径が変化し、乾燥し易さが変化する。例えば低解像度の画像を記録する場合には、高解像度の場合に比べて記録媒体に形成されるインクのドット径が大きくなり、各ドットは、その表面積に対してインクの体積の割合が大きいため乾燥しにくくなる。また、記録速度も高解像度の場合より速いためインクが乾燥しにくく、浸透しにくいため、ビーディングが発生し易くなる。
【0144】
このため、記録媒体に形成される画像の解像度によって、必要となる前処理液の塗布量が変化することから、これに応じて適切な量の前処理液を記録媒体の表面に塗布することによってビーディングの発生を抑制し、画像品質を向上させることができる。
【0145】
具体的には例えば、記録媒体表面に形成する画像の解像度が低くなるに従い、前処理手段は前記前処理液の塗布量を増加させることが好ましい。また、記録媒体表面に形成する画像の解像度が高くなるに従い、前処理手段は前処理液の塗布量を減少させることが好ましい。
【0146】
この場合、記録媒体に形成される画像の解像度に基づいて、前処理液の塗布量を制御していることから、前処理液を乾燥させる(前処理用)乾燥手段31を設ける場合、該乾燥手段の乾燥強度も同様に制御することが好ましい。
【0147】
具体的には例えば、記録媒体表面に形成する画像の解像度が低くなるに従い、(前処理用)乾燥手段31は乾燥強度を強めることが好ましい。また、記録媒体表面に形成する画像の解像度が高くなるに従い、乾燥手段は乾燥強度を弱めることが好ましい。
【0148】
また、前処理液の塗布量の増加に従い、乾燥手段31の乾燥強度を強めることが好ましい。
【0149】
これにより、前処理液の乾燥手段においても記録媒体の乾燥不足又は乾燥過多による用紙の収縮の発生をより抑制することができる。そして、画像形成(印字)及び後処理液の塗布をより安定して行うことが可能になる。
【0150】
特に記録媒体に形成される画像が高解像度の場合、形成するドットの数が増加するため画像形成に時間を要し、記録媒体の搬送速度を遅くする必要がある。そして、
図1に示すように(前処理用)乾燥手段31と画像形成手段40とは、同じライン上に配置されており、記録媒体の搬送速度が遅くなる場合、記録媒体が(前処理用)乾燥手段31を通り抜けるのに要する時間が長くなる。このため、この観点からも、記録媒体に形成する画像の解像度に応じて乾燥強度を制御することによって、乾燥過多による用紙の収縮の発生を抑制することができる。
【0151】
次に後処理手段について説明する。既述の様に、画像形成処理後に記録媒体に対して後処理液を吐出、堆積することにより、画像が形成された記録媒体(ロール紙Md)の表面が他の物体(例えば他の記録媒体)と擦れることにより記録媒体上の画像が剥離(剥奪)することを防止し、光沢性を向上することができる。
【0152】
すなわち、本実施形態に係る画像形成装置100は、後処理手段50を設けた場合、記録媒体上に形成された画像の耐擦過性(耐擦性)、光沢性を向上することができる。
【0153】
しかしながら、画像が形成された記録媒体上に、画像の解像度等によらず、後処理液を均一に一定量塗布していたのでは、後処理液の塗布(吐出)に多くの時間を要することになる。
【0154】
特に記録媒体に形成される画像が高解像度の場合、形成するドットのサイズが小さくなるため、記録媒体と画像を構成するインクとの密着性が向上しており、後処理液の吐出量が少なくても、十分な画像の耐擦過性(耐擦性)を得ることができる。
【0155】
このため、上述のように、記録媒体に形成される画像の解像度に基づいて、記録媒体に対して後処理液を吐出することによって、後処理に要する時間を短縮することができる。
【0156】
また、この場合、本発明の実施形態に係る画像形成装置100は、後処理に要する後処理液の液量を低減することができるため好ましい。更に、この場合、本発明の実施形態に係る画像形成装置100は、後処理に要するコストを低減することができる点でも好ましい。
【0157】
さらに、後処理手段50は、ロール紙Md(記録媒体)の画像が形成された領域の全体に渡って塗布しても、(少なくとも)画像が形成された領域の特定の部分のみに塗布しても良いが、画像が形成された領域の特定の部分のみに後処理液を堆積(吐出)することが好ましい。
【0158】
このため、後処理液を塗布する方法として、既述のように吐出ヘッド(記録ヘッド)を用いて塗布した場合、特に任意の箇所に所望量の後処理液を塗布することが可能であるため好ましい。
【0159】
具体的に塗布する範囲としては、例えば、(1)画像印写可能範囲全面に塗布、(2)画像領域全面に塗布、(3)画像形成部にのみ塗布、(4)画像形成部より少し広い範囲に塗布などの塗布方法を用いることができる。いずれの場合でも決定された塗布量(塗布率)に基づき、塗布する範囲について後処理液を塗布することにより、少なくとも画像が形成された領域について、所定の割合で後処理液を塗布することができ、形成された画像について保護することができる。
【0160】
後処理液の塗布範囲の選択方法は画像データに応じて決定することができる。例えばベタ画像の場合には、上記例(1)画像印写可能領域範囲全面に塗布を選択し、余白が多い画像データの場合には、(3)画像形成部にのみ塗布を選択することが好ましい。塗布する範囲の選択方法については、例えば、印字Duty(印字率)に基づいて選択したり、吐出するインク量に基づいて選択したりすることができる。予め上記データをデータベース化し、入力された情報、すなわち画像データから、印字Duty(印字率)やインク量を算出してデータベースと照らし合わせ、後処理液の塗布範囲を決定する構成とすることができる。
【0161】
そして、後処理手段50は、記録媒体表面に形成する画像の解像度に基づいて、吐出する後処理液の量(吐出量、塗布量)を制御する際、記録媒体表面に形成する画像の解像度に基づいて、上記吐出範囲の選択、制御も行うことが好ましい。
【0162】
また、後述する様に、用いる記録媒体の種類に基づいて吐出する後処理液の量を制御することが好ましいが、後処理液の塗布範囲についても、記録媒体の種類に応じて選択、制御することがさらに好ましい。
【0163】
このように、画像が形成された領域の特定の部分に後処理液を吐出することによって、記録媒体の全面に後処理液を塗布(吐出)する場合と比較して、さらに後処理に要する時間を短縮することができる。また、この場合、本発明の実施形態に係る画像形成装置100は、後処理に要する後処理液の液量を低減することができるため好ましい。更に、この場合、本発明の実施形態に係る画像形成装置100は、後処理に要するコストを低減することができる点でも好ましい。
【0164】
なお、後処理手段50は、後処理液の乾燥付着量を0.5g/m
2〜10g/m
2とすることが好ましい。後処理手段50は、後処理液の乾燥付着量を2g/m
2〜8g/m
2とすることがより好ましい。これは、後処理液の乾燥付着量が0.5g/m
2未満であると、画像品質(画像濃度、彩度、光沢度及び定着性)が低下する場合があるためである。また、後処理液の乾燥付着量が10g/m
2を超えると、保護層(後処理液)の乾燥性が低下する(乾燥に時間がかかる)場合があるためである。更に、後処理液の乾燥付着量が10g/m
2を超えると、後処理による画像品質の向上効果が飽和し、経済的に不利となる場合があるためである。
【0165】
次に、(後処理用)乾燥手段32について説明する。上記の様に、記録媒体に形成される画像の解像度に応じて前処理液の塗布量と、後処理液の吐出量を変化させる場合、乾燥工程後において、前処理液と後処理液の塗布量(吐出量)が多い場合は乾燥不十分となり、塗布量が少ない場合は乾燥過多となり用紙が収縮することとなる。
【0166】
このため、上記の様に記録媒体に形成する画像の解像度に応じて、乾燥手段の乾燥強度も制御することにより、記録用紙を適切に乾燥させることが可能になる。
【0167】
また、記録媒体に形成される画像が高解像度の場合、形成するドットの数が増加するため画像形成に時間を要し、記録媒体の搬送速度を遅くする必要がある。そして、
図1に示すように(後処理用)乾燥手段32と画像形成手段40とは、同じライン上に配置されており、記録媒体の搬送速度が遅くなる場合、記録媒体が(後処理用)乾燥手段32を通り抜けるのに要する時間が長くなる。このため、この観点からも、記録媒体に形成する画像の解像度に応じて乾燥手段32の乾燥強度を制御することによって、乾燥過多による用紙の収縮の発生を抑制することができる。
【0168】
前処理液の塗布量、後処理液の吐出量、乾燥手段の乾燥強度を制御する際のパラメータとなる記録媒体の解像度は、例えば、既述の上位装置71(
図7)から印刷制御部72Ccに送信された画像の解像度を用いることができる。
【0169】
前処理液の塗布量、後処理液の吐出量は、例えば、画像の解像度ごとに予め定めておいた前処理液の塗布量、後処理液の吐出量をメモリに記憶させておき、印刷時にそのデータを呼び出して決定する方法や、ユーザーが所定のUI(ユーザーインターフェース)を通じて塗布量を決定する方法等が挙げられる。
【0170】
記録媒体に塗布する際に前処理液の塗布量を制御する方法としては、例えば
図2に示したロールコート法を用いた前処理手段であれば、前処理液塗布時のニップ圧や、塗布ローラ、プラテンローラの回転速度を前記画像の解像度に応じて変える(制御する)ことで調節できる。
【0171】
記録媒体に塗布する際に後処理液の吐出量を制御する方法としては、例えば既述の吐出ヘッド(記録ヘッド)を用いて塗布した場合、その吐出量、吐出範囲を制御することにより行うことができる。
【0172】
また、前処理手段と同様に、例えば
図2に示したロールコート法を用いた後処理手段であれば、前処理液塗布時のニップ圧や、塗布ローラ、プラテンローラの回転速度を前記画像の解像度に応じて変える(制御する)ことで調節できる。
【0173】
ただし、上記のように後処理液を吐出(塗布)できる範囲を選択できることから、上記のように、吐出ヘッド(記録ヘッド)を用いて後処理液を記録媒体に対して吐出することが好ましい。
【0174】
乾燥手段の乾燥強度についても、前処理液の塗布量、後処理液の吐出量の決定方法と同様に、画像の解像度ごとに予め定めておいた乾燥手段の乾燥強度をメモリに記憶させておき、印刷時にそのデータを呼び出して決定する方法や、ユーザーが所定のUI(ユーザーインターフェース)を通じて乾燥強度を決定する方法等が挙げられる。
【0175】
乾燥手段の乾燥強度の具体的な制御方法については限定されるものではなく、乾燥手段に応じて選択することができる。
【0176】
ヒートローラを用いた乾燥手段の場合を例に以下に説明する。乾燥強度を制御するにあたり、
図10に示すようにヒートローラ311〜316を多段に設けることが好ましい。係る構成において乾燥強度を弱くする場合は、ヒートローラ温度を低くする。例えば40〜80℃程度とする。さらにヒートローラを例えば311と312のみ加熱し、その他のヒートローラ313〜316は加熱なしとするなどして、使用本数を減らすことで乾燥強度を弱くすることが可能である。
【0177】
乾燥強度を強くする場合は、ヒートローラ温度を高くする。例えば60〜100℃程度とする。さらにヒートローラを例えば311、312、315、316あるいは、搭載しているヒートローラをすべて使用するなどして、使用本数を増やす事で、より乾燥強度を強くする事が可能である。
【0178】
なお、ここではヒートローラ温度及びヒートローラ使用本数を制御する例で説明したが、いずれか一方のみにより制御することもできる。
【0179】
以上のようにヒートローラ温度及び/又はヒートローラ使用本数の組合せにより乾燥強度を制御する事が可能である。
【0180】
このように前処理液の塗布量、後処理液の吐出量、乾燥強度の制御を行う際、記録媒体表面に形成する画像の解像度が低くなるに従い、後処理手段は後処理液の吐出量を増加させ、かつ、(後処理用)乾燥手段は乾燥強度を強めることが好ましい。
【0181】
また、記録媒体表面に形成する画像の解像度が高くなるに従い、後処理手段は後処理液の吐出量を減少させ、かつ、乾燥手段は乾燥強度を弱めることが好ましい。
【0182】
このように制御することにより、上記したように、記録媒体に形成する画像の解像度に応じた後処理液を記録媒体表面に吐出することができるため、後処理に要する時間を短縮することができ、好ましい。また、後処理に要する後処理液の液量を低減することができ、コストを低減することができるため好ましい。
【0183】
さらに、乾燥手段についても併せて制御するため、記録媒体の乾燥不足又は乾燥過多による用紙の収縮の発生をさらに抑制することが可能になる。
【0184】
後処理手段及び乾燥手段はさらに、記録媒体の種類に基づいて制御を行うことが好ましい。
【0185】
ここで記録媒体の種類に基づいて制御を行うとは、記録媒体の浸透性や、厚さ等の特性に応じて後処理液の塗布量、乾燥強度を制御するものである。このため、記録媒体の種類とは、上質紙、再生紙、厚紙等の分類だけではなく、具体的なメーカー、商品名により分類される種類であっても良い。
【0186】
例えば記録媒体として厚紙を用いた場合、記録媒体の吸収量(吸液量)が増加するため、耐擦過性(耐擦性)を十分高めるために後処理手段は後処理液の塗布量を増やすことが好ましい。この場合、後処理液の塗布量が増加すると、厚紙の場合乾燥しにくくなることから乾燥手段は乾燥強度を強めることが好ましい。
【0187】
また、浸透性の高い記録媒体を用いた場合、記録媒体に吸収され易いため後処理液の塗布量を増やすことが好ましく、増加した後処理液の塗布量に応じて乾燥手段は乾燥強度を増加させることが好ましい。
【0188】
このように、形成される画像の解像度に加えて、記録媒体の種類に基づいて後処理手段及び乾燥手段を制御することによって、記録媒体表面により適切な量の後処理液を供給し、印刷工程の前に最適な乾燥状態とすることができる。このため、十分な耐擦過性(耐擦性)、光沢性を確保しつつも、後処理に要する時間を短縮することができ、また、後処理に要する後処理液の液量を低減することができ、コストを低減することができる。
【0189】
さらに、記録媒体の乾燥不足又は乾燥過多による用紙の収縮の発生をより抑制することが可能になる。
【0190】
なお、この場合、前処理手段についても同様に記録媒体の種類に基づいて制御を行ってもよい。これにより更にビーディングの発生を抑制し、画像品質を向上させることができる。また、前処理手段についても記録媒体の種類に基づいて制御を行う場合であって、更に、前処理液を乾燥する乾燥手段31を有する場合、該乾燥手段についても同様に記録媒体の種類に応じて制御を行うことが好ましい。
【0191】
後処理手段50及び乾燥手段32の記録媒体の種類に基づく制御の方法としては、まず、形成される画像の解像度および記録媒体の種類の組み合わせ毎に最適な後処理液の塗布量と乾燥強度をデータベース化してこれをメモリ等に記憶させておき、入力された画像の解像度、記録媒体の種類からデータベースを参照するように構成できる。そして、データベース内のデータに基づき後処理液の吐出量、乾燥強度を制御することができる。
【0192】
この際、記録媒体の種類については、ユーザーが画像形成装置に入力するように構成することができる。具体的には、例えば所定のUI(ユーザーインターフェース)により、記録媒体の種類(厚紙、上質紙等の紙の種類及び/又は紙の商品名等)を入力できるように構成することができる。そしてこの場合、例えば入力された情報に基づき上位装置71(
図7)が制御情報をプリンタ装置に対して送信し、後処理液塗布制御部、後処理後乾燥制御部を制御するように構成することができる。また、プリンタ装置に外部入力装置を装着し、そこから外部入力によって記録媒体情報を送信しても良い。なお、前処理手段20及び/又は(前処理用)乾燥手段31について記録媒体の種類に基づく制御を行う場合も同様にして行うことができる。この際、必要に応じて、前処理液塗布制御部、前処理後乾燥制御部を設けてこれらについても制御するように構成することができる。
【0193】
乾燥手段32の具体的な制御内容としては、後処理液の塗布量の増加に従い、乾燥手段の乾燥強度を強めるように制御することが好ましい。
【0194】
また、後処理液の塗布量の減少に従い、乾燥手段の乾燥強度を弱めるように制御することが好ましい。
【0195】
前記のように、後処理手段50、乾燥手段32は形成される画像の解像度に基づいて後処理液の塗布量、乾燥強度をそれぞれ制御しているが、その際、上記のように制御を行うことがより好ましい。これは、上記の様に制御することにより、後処理液を塗布した記録媒体をより適切に乾燥でき、記録媒体の乾燥不足又は乾燥過多による用紙の収縮の発生を抑制し、画像形成(印字)及び場合によっては後処理液の塗布をより安定して行うことが可能になり好ましいためである。
[第2の実施形態]
本実施形態では、画像形成装置の画像形成方法について説明する。
【0196】
本実施形態の画像形成装置の画像形成方法としては以下の様になる。
【0197】
記録媒体表面に前処理液を塗布する前処理ステップと、前記前処理液を塗布された前記記録媒体上に画像を形成する画像形成ステップと、前記画像を形成された前記記録媒体上に後処理液を吐出する後処理ステップと、前記記録媒体上に形成された前記画像と前記後処理液を乾燥させる乾燥処理ステップとを含み、前記前処理ステップは、前記記録媒体に形成される前記画像の解像度に基づいて、前記前処理液の塗布量を制御し、前記後処理ステップは、前記記録媒体に形成される前記画像の解像度に基づいて、前記後処理液の吐出量を制御し、前記乾燥処理ステップは、前記記録媒体に形成される画像の解像度に基づいて、乾燥強度を制御する、ことを特徴とする画像形成装置の画像形成方法。
本実施形態の画像形成装置の画像形成方法によれば、記録媒体に形成する画像の解像度に応じた前処理液及び後処理液を記録紙表面に供給することができ、さらに、前処理液塗布量、後処理液吐出量に応じた、適切な乾燥強度となるように制御することができる。
【0198】
このため、滲みやビーディングの発生を抑制し、画像品質を向上させることができる。さらに、記録媒体の乾燥不足又は乾燥過多による用紙の収縮の発生を抑制することが可能になる。
【0199】
また、上記画像形成方法において、前記後処理ステップは、さらに、前記記録媒体の種類に基づいて前記後処理液の吐出量を制御し、前記乾燥処理ステップは、さらに、前記記録媒体の種類に基づいて前記乾燥強度を制御することが好ましい。
【0200】
このように制御し、画像形成を行うことによって、後処理液の吐出量をより適切な量とすることができ、乾燥強度に関してもそれに応じたものとすることができる。
【0201】
また、前記前処理ステップについても、前記記録媒体の種類に基づいて前記前処理液の塗布量を制御することが好ましい。
【0202】
このように制御し、画像形成を行うことによって、前処理液の塗布量及び後処理の吐出量をより適切な量とすることができ、乾燥強度に関してもそれに応じた物とすることができる。このため、より、ビーディングの発生を抑制し、画像品質をさらに向上させることができる。さらに、記録媒体の乾燥不足又は乾燥過多による用紙の収縮の発生を抑制することが可能になる。
【0203】
本実施形態における画像形成装置としては、第1の実施形態で説明した画像形成装置100を用いることができる。
【0204】
画像形成装置の構成としては、
図1〜
図4に示すとおりであり、第1の実施形態で説明したものと同様のため、説明を省略する。
【0205】
本実施形態に係る画像形成装置100の制御手段70の構成等を
図6〜
図9に示す。
図6〜
図9に示すように、本実施例に係る画像形成装置100の制御手段70の構成等は、第1の実施形態と説明したものと同様のため、説明を省略する。
【0206】
本実施形態に係る画像形成装置が、画像を形成する動作を、
図11を用いて説明する。
【0207】
図11に示すように、本実施形態に係る画像形成装置は、ステップS1101において、画像形成装置の外部から入力される印刷ジョブデータに基づいて、画像の形成を開始する。開始後、画像形成装置100はステップS1102に進む。
【0208】
次に、ステップS1102において、記録媒体の種類等の設定を行う。
【0209】
ここで、制御手段70は、記録媒体の種類等として、画像形成装置100の外部から入力される記録媒体情報(記録媒体の物性(紙材料物性、紙厚、坪量など))を更に記憶してもよい。また、制御手段70は、記録媒体の種類等として、予め上位装置71のHDD71d等に記憶されている記憶媒体の種目と対応付けて、記録媒体の種類等を記憶してもよい。これにより、制御手段70は、後の動作において、対応付けた記憶媒体の種目を用いて、記録媒体の種類等を読み出すことができる。画像形成装置は、ユーザー等によって、記録媒体の種目等を、上位装置71のHDD71d等に予め記憶することができる。
【0210】
その後、画像形成装置はステップS1103に進む。なお、記録媒体の種類を制御のパラメータとして使用しない場合には、本ステップを行わずに、次のステップS1103を行うこともできる。
【0211】
ステップS1103において、画像形成装置は、制御手段70の上位装置71を用いて、印刷画像データ及び制御情報データ等を生成する。
【0212】
具体的には、制御手段70の上位装置71は、HDD71d等に記憶されている形成する画像の解像度や、場合によっては記録媒体の種類等に基づいて、印刷画像データ及び制御情報データ等を生成する。
【0213】
その後、画像形成装置はステップS1104に進む。
【0214】
ステップS1104において、画像形成装置は、制御手段70を用いて、前処理液の塗布量(液量)及び後処理液の吐出量(液量)、乾燥強度を算出する。
【0215】
具体的には、制御手段70は、記録媒体に形成する画像の解像度や、場合によっては記録媒体の種類等に基づいて、前処理手段20の前処理液の塗布量及び後処理液の吐出量、乾燥手段の乾燥強度を算出する。乾燥手段については、後処理用の乾燥手段32の乾燥強度について少なくとも算出、制御していればよいが、前処理用の乾燥手段31を設ける場合には、該前処理用乾燥手段についても算出することがより好ましい。
【0216】
ここで、制御手段70は、例えば形成する画像の解像度が高い場合に、後処理液の吐出量を減少することができる。また、制御手段70は、形成する画像の解像度が低い場合に、後処理液の吐出量を増加することができる。
【0217】
更に、制御手段70は、例えば形成する画像の解像度が高い場合に、乾燥手段32の乾燥強度を弱めることができる。また、制御手段70は、形成する画像の解像度が低い場合に、乾燥手段32の乾燥強度を強めることができる。
【0218】
また、この際、制御手段70は、例えば形成する画像の解像度が高い場合に、前処理液の塗布量を減少することが好ましく。さらに、制御手段70は、形成する画像の解像度が低い場合に、前処理液の塗布量を増加することが好ましい。
【0219】
更に、制御手段70は、例えば形成する画像の解像度が高い場合に、前処理用の乾燥手段31の乾燥強度を弱めることが好ましく。また、制御手段70は、形成する画像の解像度が低い場合に、乾燥手段31の乾燥強度を強めることが好ましい。
【0220】
すなわち、制御手段70は、形成する画像の解像度に基づいて前処理液の塗布量及び後処理液の吐出量を算出し、形成する画像の解像度に基づいて乾燥手段の乾燥強度を算出することができる。これにより、画像形成装置は、記録媒体に形成する画像の解像度に応じた前処理液を記録紙表面に供給することができ、さらに、前処理液塗布後及び後処理液塗布後に記録用紙を乾燥する際、適切な乾燥強度となるように制御することができる。また、このように制御することにより、ビーディングの発生を抑制し、画像品質を向上させることができる。さらに、記録媒体の乾燥不足又は乾燥過多による用紙の収縮の発生を抑制することができる。
【0221】
制御手段70が、前処理液の塗布量を増加する場合とは、例えば、前処理液が記録媒体に付着する付着量を1.5g/m
2以上とする場合とすることができる。一方、制御手段70が前処理液の塗布量を減少する場合とは、上記付着量を1.5g/m
2未満とする場合とすることができる。また、制御手段70は、前処理液の塗布量を減少する場合には、塗布又は吐出しない場合も含むことができる。更に、制御手段70は、前処理液20Lの塗布量を記録媒体の物性等に応じて、適宜変更してもよい。
【0222】
また、後処理液の吐出量を増加する場合とは、後処理液が記録媒体に付着する付着量を1.2g/m
2以上とする場合とすることができる。一方、制御手段70は、後処理液の吐出量を減少する場合とは、上記付着量を1.2g/m
2未満とする場合とすることができる。
【0223】
また、制御手段70は、後処理液の吐出量を減少する場合には、塗布又は吐出しない場合も含むことができる。更に、制御手段70は、後処理液50Lの吐出量を、記録媒体の物性等に応じて、適宜変更してもよい。
【0224】
前処理液の塗布量、後処理液の吐出量及び乾燥強度、場合によってはさらに前処理用の乾燥強度を算出後、画像形成装置はステップS1105に進む。
【0225】
ステップS1105において、画像形成装置は、搬入手段10(
図1)を用いて、記録媒体を前処理手段20等に搬入(搬送)する。なお、画像形成装置は、ステップS1101の画像形成の開始直後に、ステップS1105を実施してもよい。
【0226】
搬入開始後、画像形成装置はステップS1106に進む。
【0227】
ステップS1106において、画像形成装置は、前処理ステップとして、前処理手段20(
図2)を用いて、記録媒体を前処理する。
【0228】
具体的には、前処理手段20は、ステップS1104で算出した前処理液の塗布量に基づいて、例えば
図2に示した前処理手段の場合、圧力調整装置25(
図2)を用いてニップ圧を制御し、前処理液20Lの塗布量(膜厚など)を制御(変化)する。なお、前処理手段20は、既述の様に塗布ローラ23(
図2)の回転速度を変更することによって、前処理液20Lの塗布量を制御してもよい。
【0229】
これにより、画像形成装置は、前処理手段20の前処理液20Lの塗布量を制御することによって、その後形成される画像(インク)の滲みを抑制することができる。
【0230】
その後、画像形成装置は、記録媒体を乾燥手段30(
図1の前処理用乾燥手段31、
図10)に搬送し、ステップS1107に進む。
【0231】
ステップS1107において、画像形成装置は、前処理用乾燥手段31(ヒートローラ31h)を用いて、記録媒体を乾燥する。ここで、前処理用乾燥手段31は、記録媒体に形成される画像の解像度、さらに場合によっては記録媒体の種類等に基づいて、乾燥強度(乾燥方法)を制御することが好ましい。
【0232】
具体的な制御手段については既述のように限定されるものではないが、例えば
図10に示すように、ヒートローラを多段に設けた装置においては、ヒートローラ温度及び/又はヒートローラ使用本数の組合せにより乾燥強度を制御する事が可能である。
【0233】
なお、前処理用乾燥手段31を設けない場合には、本工程を行わずに次のステップに進むこともできる。
【0234】
その後、画像形成装置は、記録媒体を画像形成手段40(
図1及び
図3)に搬送し、ステップS1108に進む。
【0235】
ステップS1108において、画像形成装置は、画像形成ステップとして、画像形成手段40を用いて、記録媒体の表面に画像を形成する。ここで、画像形成手段40は、記録媒体の種類等及び形成する画像の解像度に基づいて、画像を形成する方法を制御してもよい。
【0236】
その後、画像形成装置は、記録媒体を後処理手段50(
図1)に搬送し、ステップS1109に進む。
【0237】
ステップS1109において、画像形成装置は、後処理ステップとして、後処理手段50を用いて、記録媒体を後処理する。
【0238】
具体的には、後処理手段50は、ステップS1104で算出した後処理液の吐出量に基づいて、また、場合によっては記録媒体の画像が形成された領域の特定の部分に後処理液を堆積(吐出)することができる。ここで、後処理手段50は、制御手段70の後処理液出力部72Epによって、後処理に関する画像データに基づいて、記録媒体に吐出する吐出量を制御することができる。
【0239】
その後、画像形成装置は、記録媒体を乾燥手段30(
図1の後処理用乾燥手段32)に搬送し、ステップS1110に進む。
【0240】
ステップS1110において、画像形成装置は、後処理用乾燥手段32(ヒートローラ32h)を用いて、記録媒体を乾燥する。ここで、後処理用乾燥手段32は、S1104で算出した乾燥強度に基づいてその乾燥強度を制御し、乾燥する。
【0241】
乾燥後、画像形成装置は、ステップS1111に進む。
【0242】
ステップS1111において、画像形成装置は、搬出手段60(
図1)を用いて、記録媒体を搬出(排出)する。
【0243】
その後、画像形成装置は、図中のENDに進み、画像を形成する動作を終了する。
【0244】
本実施形態の画像形成装置の画像形成方法は、記録媒体に形成する画像の解像度に応じた前処理液および後処理液を記録紙表面に供給することができ、さらに、前処理液塗布量、後処理吐出量に応じて、適切な乾燥強度となるように制御することができる。
【0245】
このため、ビーディングの発生を抑制し、画像品質を向上させることができる。さらに、記録媒体の乾燥不足又は乾燥過多による用紙の収縮の発生を抑制し、画像形成(印字)及び場合によっては後処理液の塗布を安定して行うことが可能になり好ましい。