(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
自動車の後部の後部開口を塞ぐとともに、上下方向に回動可能に設けられたバックドアパネルと、前記後部開口を形成するボディパネルとで囲まれ、前記後部開口に沿って形成された狭隘な空間のうち、上部の上部狭隘空間において、
前記グロメット本体の両端部に設けた前記取付け部の一方を前記ボディパネルに、他方を前記バックドアパネルに取り付けて、
前記グロメット本体を、前記ボディパネルに沿って寝位状態で配置するとともに、
前記所定間隔を、前記ボディパネルの凹状又は凸状の凹凸部を跨ぐように設定し、
前記リブを、前記グロメット本体の前記軸方向に直交する方向における、前記ボディパネル側に突出するように備えた
請求項4に記載のグロメット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、パネルなどの他の部材との干渉による、グロメット本体や他の部材の傷付きを防止することができるグロメットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、筒状のグロメット本体と、該グロメット本体の両端に配置され、他の部材に対して取り付けられる取付け部とで構成されるとともに、前記グロメット本体を通って前記取付け部同士を連通し、ワイヤーハーネスの挿通を許容する挿通路を内部に備えたグロメットであって、前記グロメット本体において、該グロメット本体の軸方向に対して交差する方向に、径外側向きに突出するリブを備
え、前記リブにおける、他の部品と当接する当接面を、円弧面で構成したことを特徴とする。
【0009】
上述するリブは、グロメット本体における断面方向の全周にわたって形成したリブ、あるいは、断面の一部に形成したリブ、さらには、断面方向において間隙を隔てて複数配置したリブとすることができる。
また、他の部材は、自動車のボディを構成するボディパネルやバックドアパネルなどのドアを構成するパネルなどのことである。
【0010】
さらにまた、上述の軸方向に交差するとは、例えば、直線状の軸方向に対して直交する方向や湾曲する軸方向に対する法線方向など、リブがグロメット本体における径方向に突出できる軸方向に対する方向とすることができる。
【0011】
なお、軸方向とは、筒状のグロメット本体における中心軸の方向であって、グロメット本体が直線状の場合は、グロメット本体の長手方向と一致し、グロメット本体が湾曲する場合は、湾曲する方向と一致する方向のことである。したがって、例えば、グロメット本体が円弧状に湾曲する場合は、円弧状に湾曲したグロメット本体の中心軸に沿った方向となる。換言すれば、軸方向は、グロメット本体に直交する複数の直交断面におけるグロメット本体の中心を連続的に結んだ方向と一致する方向である。
【0012】
この発明により、グロメットは、グロメット本体と他の部材との干渉による、グロメット本体や他の部材の傷付きを防止することができる。
詳述すると、例えば、他の部材を、自動車のボディパネルと、該ボディパネルに対して回動するバックドアパネルとし、グロメット本体の両端に設けた取付け部の一方をボディパネルに取り付けて、他方をバックドアパネルに取り付けた場合、グロメットは、グロメット本体にリブを備えたことで、バックドアパネルが回動してグロメットが変形しても、グロメット本体をボディパネルやバックドアパネルから離間した位置に保持することができる。
【0013】
リブによってボディパネルやバックドアパネルから離間した位置にグロメット本体を保持できるグロメットは、ボディパネルやバックドアパネルとグロメット本体との干渉を防ぐことができ、グロメット本体への傷付きを防止することができるため、ワイヤーハーネスを確実に保護することができる。
【0014】
さらに、ボディパネルやバックドアパネルとグロメットとは、グロメット本体に備えたリブで当接するため、グロメット本体全体がボディパネルやバックドアパネルと当接して干渉する場合と比べて、ボディパネルやバックドアパネルと干渉する範囲を減少させることができる。
したがって、グロメット本体、あるいはボディパネルやバックドアパネルの擦過による傷付きを防止することができる。
【0015】
またこの発明により、他の部材とリブとが鋭角に当たることがなく、リブとの当接による他の部材の傷付きを防止することができる。
【0016】
詳述すると、例えば、当接面を円弧面で構成していないリブは、本発明のように当接面を円弧面で構成したリブよりも、鋭角に他の部材と当接するため、リブが当接する他の部材は、傷付き易くなるおそれがある。
しかしながら、本発明におけるリブの当接面を円弧面で構成したことで、他の部材の傷付きを防止することができる。
【0017】
また、この発明の態様により、前記リブを、前記軸方向において所定間隔を隔てて配置することができる。
上述するリブは、グロメット本体に対して、所定間隔を隔てた2つのリブのみならず、複数配置したリブを含む概念である。
また、上述する所定間隔は、均等な間隔でもよいし、不均等な間隔でもよい。
【0018】
この発明により、グロメット本体と他の部材とが干渉して、グロメット本体や他の部材が傷付くことを確実に防止することができる。
詳述すると、例えば、溶接によるバリを含む凹凸部が、他の部材にある場合であっても、グロメットは、凹凸部を跨ぐように、リブを所定間隔を隔てて配置することによって、所定間隔を隔てて配置したリブ近傍のグロメット本体を他の部材における凹凸部から確実に離間することができる。
【0019】
このようなリブを備えたグロメットは、他の部材とグロメット本体との干渉を確実に防ぐことができる。
したがって、グロメット本体や他の部材が傷付くことを確実に防止することができる。
【0020】
また、この発明の態様により、前記グロメット本体の少なくとも一端側に、前記軸方向に交差する方向に曲げることができる可曲性部を備え、前記グロメット本体における前記リブ同士の間を、不可曲性部とすることができる。
【0021】
上述する可曲性部は、直線状、曲線状、屈曲状、折曲状、あるいは蛇腹状の筒状部を含み、厚みを薄くしたり、素材を変更したりすることで、不可曲性部よりも積極的に曲がることができるという概念を含む。
【0022】
不可曲性部は、直線状、曲線状、屈曲状、あるいは折曲状の筒状部を含み、リブを形成したり、厚みを厚くしたり、素材を変更したりすることで、意図しない曲げを抑制でき、自重などによって撓んだり、負荷を意図的に作用させて変形することを含む概念である。
【0023】
この発明により、グロメットは、他の部材からグロメット本体を離間した位置で意図せず曲がることなく保持し、グロメット本体と他の部材との干渉をより確実に防止することができる。
詳述すると、例えば、溶接によるバリを含む凹凸部がある他の部材に対し、凹凸部を跨ぐように、所定間隔を隔ててリブを配置した場合であっても、グロメット本体が、リブ同士の間で意図せず曲がってしまうことで、グロメット本体と凹凸部とが干渉するおそれがある。
【0024】
しかしながら、リブ同士の間を不可曲性部で構成したことによって、グロメットは、凹凸部を跨ぐリブ同士の間でグロメット本体が意図せず曲がることなく、グロメット本体と他の部材との干渉をより確実に防ぐことができ、グロメット本体や他の部材が傷付くことをより確実に防止することができる。
【0025】
また、例えば、他の部材を、自動車のボディパネルと、該ボディパネルに対して回動するバックドアパネルとし、グロメット本体の両端に設けた取付け部の一方をボディパネルに取り付けて、他方をバックドアパネルに取り付けた場合、グロメット本体の少なくとも一端側に可曲性部を備えたことにより、他の部材に取り付けたグロメットの取付け部とグロメット本体とを、バックドアの回動に応じて曲げることができるため、バックドアを開閉する際に、グロメットに意図しない負荷が作用することはなく、グロメットの破損を防ぐことができる。
【0026】
また、この発明の態様により、前記不可曲性部を、直線状の直状不可曲性部で構成することができる。
この発明により、狭い空間でもグロメットを使用することができる。さらに、グロメットを形成するために必要な材料を減らすことができる。
【0027】
詳述すると、例えば、他の部材を、自動車のボディパネルと、該ボディパネルに対して回動するバックドアパネルとし、グロメット本体の両端に設けた取付け部の一方をボディパネルに取り付けて、他方をバックドアパネルに取り付けた場合、ボディパネルとバックドアパネルとの間に挟まれた狭い空間において、不可曲性部を直線状に形成したことで、曲線状の不可曲性部では配置できない空間でも、グロメットを配置することができる。
【0028】
また、グロメットは、ワイヤーハーネスを挿通するために、ボディパネル及びバックドアパネルに構成した挿通孔同士を橋渡しするため、本発明のような直線状の不可曲性部で構成するグロメットは、曲線状の不可曲性部で構成するグロメットよりも、橋渡し経路を短くすることができ、グロメットを形成するために必要な材料を減らすことができる。
【0029】
また、この発明の態様により、自動車の後部の後部開口を塞ぐとともに、上下方向に回動可能に設けられたバックドアパネルと、前記後部開口を形成するボディパネルとで囲まれ、前記後部開口に沿って形成された狭隘な空間のうち、上部の上部狭隘空間において、前記グロメット本体の両端部に設けた前記取付け部の一方を前記ボディパネルに、他方を前記バックドアパネルに取り付けて、前記グロメット本体を、前記ボディパネルに沿って寝位状態で配置するとともに、前記所定間隔を、前記ボディパネルの凹状又は凸状の凹凸部を跨ぐように設定し、前記リブを、前記グロメット本体の前記軸方向に直交する方向における、前記ボディパネル側に突出するように備えることができる。
【0030】
またこの発明は、筒状のグロメット本体と、該グロメット本体の両端に配置され、他の部材に対して取り付けられる取付け部とで構成されるとともに、前記グロメット本体を通って前記取付け部同士を連通し、ワイヤーハーネスの挿通を許容する挿通路を内部に備えたグロメットであって、前記グロメット本体において、該グロメット本体の軸方向に対して交差する方向に、径外側向きに突出するリブを備え、前記リブを、前記軸方向において所定間隔を隔てて配置し、前記グロメット本体の少なくとも一端側に、前記軸方向に交差する方向に曲げることができる可曲性部を備え、前記グロメット本体における前記リブ同士の間を、直線状の直状不可曲性部で構成し、自動車の後部の後部開口を塞ぐとともに、上下方向に回動可能に設けられたバックドアパネルと、前記後部開口を形成するボディパネルとで囲まれ、前記後部開口に沿って形成された狭隘な空間のうち、上部の上部狭隘空間において、前記グロメット本体の両端部に設けた前記取付け部の一方を前記ボディパネルに、他方を前記バックドアパネルに取り付けて、前記グロメット本体を、前記ボディパネルに沿って寝位状態で配置するとともに、前記所定間隔を、前記ボディパネルの凹状又は凸状の凹凸部を跨ぐように設定し、前記リブを、前記グロメット本体の前記軸方向に直交する方向における、前記ボディパネル側に突出するように備えたことを特徴とする。
【0031】
これらの発明により、上部狭隘空間において、グロメット本体は、ボディパネルの凹凸部と干渉することを確実に防止することができる。
詳述すると、自動車の後部において、ボディパネルとバックドアパネルとで囲まれた狭隘な空間のうち、上部の上部狭隘空間におけるボディパネルの上面に寝位状態で配置されたグロメット本体は、凹凸部に向かって自重が作用するため、グロメット本体とボディパネルの凹凸部とが干渉する場合、例えば、自重が作用しない状態で干渉する場合と比べて、接触圧力が増大し、グロメット本体が大きく傷付くおそれがある。
【0032】
しかしながら、グロメットは、凹凸部を跨ぐように所定間隔を隔てるとともに、グロメット本体の軸方向に直交する方向に、ボディパネル側に突出するようにリブを配置したことで、ボディパネルから離間した位置にグロメット本体を保持することができる。
【0033】
このように、ボディパネル側に突出する態様のリブによって、ボディパネルから離間した位置に保持されたグロメット本体は、ボディパネルと干渉することがなく、グロメット本体とボディパネルの傷付きを防止することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明により、ボディパネルなどの他の部材との干渉による、グロメット本体や他の部材の傷付きを防止することができるグロメットを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図1はグロメット10の斜視図を示し、
図2はグロメット10の側面図を示し、
図3はグロメット10の使用状態をあらわす断面図を示し、
図4はグロメット10の使用前の状態をあらわす斜視図を示し、
図5はグロメット10の使用状態をあらわす斜視図を示している。
【0037】
なお、
図3から
図5は、ボディパネル20のインナーパネル、バックドアパネル30のアウターパネル、及びトリムなどを図示せず、理解を容易にするために、ボディパネル20及びバックドアパネル30を簡略化している。さらに、
図4及び
図5は、ボディパネル20に対して、バックドアパネル30が回動し、開放した状態を示している。
【0038】
本実施形態におけるグロメット10は、後部に開口(図示省略、以下において後部開口という)を有する自動車において、後部開口を形成するボディパネル20と、後部開口を塞ぐバックドアのバックドアパネル30とで囲まれた上部狭隘空間32(
図3参照)に配置される。
【0039】
そして、グロメット10は、ボディパネル20とバックドアパネル30とを橋渡しするように取り付けられ、電線挿通路10aに挿通したワイヤーハーネス(図示省略)を保護するものである。
なお、グロメット10は、上部狭隘空間32の下方を形成するボディパネル20に沿って寝位状態で配置される。
【0040】
グロメット10は、
図1及び
図2に示すように、筒状のグロメット本体11と、該グロメット本体11の一端に配置したボディ取付け部12と、他端に配置したバックドア取付け部13とで構成している。そして、グロメット10の内部には、ワイヤーハーネスの挿通を許容する電線挿通路10aを有している。
【0041】
グロメット本体11は、該グロメット本体11の軸方向Xに対して直交する径外側向きに突出する当接リブ11aのうち、ボディ取付け部12側に配置された第1当接リブ11a1と、バックドア取付け部13側に配置された第2当接リブ11a2と、軸方向Xに沿うように、グロメット本体11の断面方向において、約90度の間隔で径外側向きに突出する補強リブ11bと、グロメット本体11の両端に配置した蛇腹状の蛇腹筒部11cとを備えている。
【0042】
なお、本実施形態において、軸方向Xとは、直線状のグロメット本体10における長手方向と一致する方向である。
【0043】
さらに、ボディ取付け部12側の蛇腹筒部11cから第1当接リブ11a1までの第1グロメット筒部11eと、第1当接リブ11a1と第2当接リブ11a2との間の第2グロメット筒部11fと、第2当接リブ11a2からバックドア取付け部13側の蛇腹筒部11cまでの第3グロメット筒部11gとを直線状に形成し、蛇腹筒部11cと、第1グロメット筒部11eと、第2グロメット筒部11fと、第3グロメット筒部11gとを連続する筒状に形成したグロメット本体11は、軸方向Xに交差する方向に曲げることができる可曲性、つまり、負荷を意図的に作用させて、変形して曲がることができる変形性を有する同じ材質のもので一体形成をしているため、蛇腹状の蛇腹筒部11cは、グロメット本体11を形成する他の部位よりも積極的に屈曲する構成をしている。
換言すると、グロメット本体11を形成する他の部位は、蛇腹筒部11cより変形性が低い。
【0044】
第1当接リブ11a1及び第2当接リブ11a2は、ボディパネル20側に突出するとともに、ボディパネル20と当接する第1当接面11d1及び第2当接面11d2を円弧面で構成している。そして、第1当接リブ11a1及び第2当接リブ11a2は、軸方向Xに所定間隔を隔てて配置されている。軸方向Xに所定間隔を隔てて配置された第1当接リブ11a1及び第2当接リブ11a2は、グロメット本体11の断面方向において、4分の3程度の範囲で備えられている。
【0045】
なお、所定間隔とは、ボディパネル20をスポット溶接する際に発生するスポットバリ22(
図4B部及び
図5参照)を跨ぐことができる間隔である。第1当接リブ11a1の円弧状の外縁は、第2当接リブ11a2の円弧状の外縁よりも大きな直径の円弧で形成している。
【0046】
ボディ取付け部12は、ワイヤーハーネスを挿通するために、ボディパネル20に形成したボディ挿通孔21(
図4参照)に、取り付け可能な形状に形成している。さらに、ボディ取付け部12には、グロメット本体11とボディ取付け部12との間に、ワイヤーハーネスの配索経路を約90度曲げるように、折り曲げた筒状の方向規制筒部12aを備えている。
なお、方向規制筒部12aの折り曲げ角度は、ワイヤーハーネスの配索経路に応じて適宜設定してよい。
【0047】
バックドア取付け部13は、ボディ取付け部12と同様に、ワイヤーハーネスを挿通するために、バックドアパネル30に形成したバックドア挿通孔31(
図4参照)に、取り付け可能な形状に形成している。
【0048】
次に、グロメット10の使用方法について説明する。
まず、電線挿通路10aに挿通されたワイヤーハーネスは、ボディ取付け部12側の端を、ボディパネル20に形成したボディ挿通孔21に挿通されるとともに、バックドア取付け部13側の端を、バックドアパネル30に形成したバックドア挿通孔31に挿通される。
そして、
図4及び
図5に示すように、グロメット10のボディ取付け部12をボディ挿通孔21に取り付けるとともに、バックドア取付け部13をバックドア挿通孔31に取り付ける。
【0049】
このようにしてボディパネル20及びバックドアパネル30に取り付けたグロメット10は、ボディパネル20とバックドアパネル30とで囲まれた上部狭隘空間32において、グロメット本体11を、ボディパネル20の上面に沿って寝位状態で配置される。
【0050】
続いて、グロメット10の作用効果について説明する。
本実施形態におけるグロメット10は、グロメット本体11において、該グロメット本体11の軸方向Xに対して直交する径外側向きに突出する当接リブ11aを備えたことによって、グロメット本体11とバックドアパネル20との干渉による、グロメット本体11やボディパネル20の傷付きを防止することができる。
【0051】
詳述すると、グロメット10は、グロメット本体11に当接リブ11aを備えたことで、ボディパネル20に対してバックドアパネル30が回動して、グロメット10が変形しても、グロメット本体11をボディパネル20から離間した位置に保持することができる。
【0052】
当接リブ11aによってボディパネル20から離間した位置にグロメット本体11を保持できるグロメット10は、ボディパネル20とグロメット本体11との干渉を防ぐことができ、グロメット本体11の傷付きを防止することができるため、ワイヤーハーネスを確実に保護することができる。
【0053】
さらに、ボディパネル20とグロメット10とは、グロメット本体11に備えた当接リブ11aで当接するため、グロメット本体11全体がボディパネル20と当接して干渉する場合と比べて、ボディパネル20と干渉する範囲を減少させることができる。
したがって、グロメット本体11及びボディパネル20の擦過による傷付きを防止することができる。
【0054】
また、グロメット10は、グロメット本体11に備えた第1当接リブ11a1及び第2当接リブ11a2において、ボディパネル20と当接する第1当接面11d1及び第2当接面11d2を、円弧面で構成したことによって、第1当接リブ11a1と第2当接リブ11a2とで構成する当接リブ11aが、ボディパネル20へ鋭角に当たることがないため、ボディパネル20の傷付きを防止することができる。
【0055】
詳述すると、例えば、当接面を円弧面で構成していない当接リブは、本実施形態のように第1当接面11d1及び第2当接面11d2を円弧面で構成した当接リブ11aよりも、鋭角にボディパネル20と当接するため、当接リブ11aが当接するボディパネル20は、傷付き易くなるおそれがある。
しかしながら、本実施形態における当接リブ11aの第1当接面11d1及び第2当接面11d2を円弧面で構成したことで、ボディパネル20の傷付きを防止することができる。
【0056】
また、グロメット10は、グロメット本体11に備えた当接リブ11aを構成する第1当接リブ11a1と第2当接リブ11a2を、グロメット本体11の軸方向Xにおいて、ボディパネル20のスポットバリ22を跨ぐように、所定間隔を隔てて配置したことによって、グロメット本体11とスポットバリ22とが干渉して傷付くことを確実に防止することができる。
【0057】
詳述すると、例えば、スポット溶接によるスポットバリ22が、ボディパネル20に形成された場合であっても、グロメット10は、スポットバリ22を跨ぐように第1当接リブ11a1及び第2当接リブ11a2を、所定間隔を隔てて配置することによって、所定間隔を隔てて配置した当接リブ11a近傍のグロメット本体11をボディパネル20におけるスポットバリ22から確実に離間することができる。
【0058】
このような第1当接リブ11a1及び第2当接リブ11a2とで構成する当接リブ11aを備えたグロメット10は、ボディパネル20とグロメット本体11との干渉を確実に防ぐことができる。
したがって、グロメット本体11やボディパネル20が傷付くことを確実に防止することができる。
【0059】
また、グロメット10は、グロメット本体11の両端に蛇腹筒部11cを備えたことによって、ボディパネル20に対してバックドアパネル30が回動しても、グロメット10に意図しない負荷が作用することがないため、グロメット10の破損を防ぐことができる。
【0060】
詳述すると、例えば、グロメット本体11の両端に蛇腹筒部11cを備えない場合、ボディパネル20に対してバックドアパネル30が回動する際に、ボディ取付け部12に対してバックドア取付け部13が、バックドアパネル30の回動に応じて捩じれながら移動することによって、ボディ取付け部12、バックドア取付け部13、及びグロメット本体11、特に各部の境界部分には、バックドア取付け部13の捩じれ移動に伴う負荷が作用するため、グロメット10は、折れ曲がったり、破損したりするおそれがある。
【0061】
しかしながら、本実施形態におけるグロメット本体11の両端に、他の部位よりも積極的に屈曲する蛇腹状の蛇腹筒部11cを備えたことによって、ボディパネル20に対してバックドアパネル30が回動し、ボディ取付け部12に対してバックドア取付け部13が、バックドアパネル30の回動に応じて捩じれながら移動しても、蛇腹筒部11cが他の部位よりも積極的に屈曲し、バックドア取付け部13の捩じれ移動に伴って生じる負荷を低減させることができるため、グロメット10が折れ曲がるなどの意図しない変形をしたり、破損したりすることを防ぐことができる。
【0062】
また、グロメット10は、第2グロメット筒部11fを含む、直線状のグロメット本体11で構成することによって、上部狭隘空間32でもグロメット10を使用することができるとともに、グロメット10を形成するために必要な材料を減らすことができる。
【0063】
詳述すると、ボディパネル20とバックドアパネル30との間に挟まれた狭い空間において、例えば、曲線状に形成したグロメット本体で構成するグロメットでは配置できない空間であっても、グロメット本体11を直線状に形成したことで、グロメット10を配置することができる。
【0064】
また、グロメット10は、ボディパネル20及びバックドアパネル30に形成したボディ挿通孔21とバックドア挿通孔31とを橋渡しするため、本実施形態のように直線状のグロメット本体11で構成するグロメット10は、例えば、曲線状のグロメット本体で構成するグロメットよりも、橋渡し経路を短くすることができ、グロメット10を形成するために必要な材料を減らすことができる。
【0065】
また、グロメット10は、スポットバリ22を跨ぐように所定間隔を隔てるとともに、グロメット本体11の軸方向Xに直交し、ボディパネル20側に突出するように当接リブ11aを配置したことで、ボディパネル20のスポットバリ22と干渉することを確実に防ぐことができる。
【0066】
詳述すると、自動車の後部において、ボディパネル20とバックドアパネル30とで囲まれた上部狭隘空間32におけるボディパネル20の上面に寝位状態で配置されたグロメット本体11は、スポットバリ22に向かって自重が作用するため、グロメット本体11とボディパネル20のスポットバリ22とが干渉する場合、例えば、自重が作用しない状態で干渉する場合と比べて、接触圧力が増大し、グロメット本体11が大きく傷付くおそれがある。
【0067】
しかしながら、グロメット10は、スポットバリ22を跨ぐように所定間隔を隔てるとともに、グロメット本体11の軸方向Xに直交し、ボディパネル20側に突出するように当接リブ11aを配置したことで、ボディパネル20から離間した位置にグロメット本体11を保持することができる。
【0068】
このように、グロメット本体11に対してボディパネル20側に突出する態様の当接リブ11aによって、ボディパネル20から離間した位置に保持されたグロメット本体11は、ボディパネル20と干渉することがなく、グロメット本体11とボディパネル20の傷付きを防止することができる。
【0069】
また、グロメット10は、グロメット本体11に軸方向Xに沿って形成した補強リブ11bを備えたことによって、蛇腹筒部11cを除くグロメット本体11を形成する他の部位の意図しない曲げを抑制することができる。
【0070】
詳述すると、グロメット本体11は、軸方向Xに交差する方向に曲げることができる可曲性、つまり、負荷を意図的に作用させて、変形して曲がることができる変形性を有する同じ材質のもので一体形成しているため、蛇腹状に形成した蛇腹筒部11cは、グロメット本体11を形成する他の部位よりも積極的に屈曲することができる、いわゆる可曲性部であり、グロメット本体11を形成する他の部位は、グロメット本体11に軸方向Xに沿って形成した補強リブ11bを備えたことによって、意図しない曲げを抑制する、いわゆる不可曲性部である。
【0071】
このように構成するグロメット本体11は、ボディパネル20に対してバックドアパネル30の回動する際に、バックドアパネル30に取り付けられたバックドア取付け部13の捩じれ移動に伴う負荷が、蛇腹筒部11cを除くグロメット本体11を形成する他の部位に伝わることを、他の部位より積極的に屈曲する可曲性部である蛇腹筒部11cで抑制することができる。さらに、たとえ捩じれ移動に伴う負荷が他の部位に伝わったとしても、補強リブ11bで補強した他の部位は、容易に曲がることなく、他の部位の意図しない曲げをより抑制することができる。
【0072】
また、グロメット10は、グロメット本体11に備えた当接リブ11aのうち、第1当接リブ11a1の円弧状の外縁を、第2当接リブ11a2の円弧状の外縁よりも大きな直径の円弧で形成したことによって、バックドア取付け部13側の蛇腹筒部11cに大きな負荷がかかり、グロメット本体11が変形することを抑制することができる。
【0073】
詳述すると、グロメット本体11は、ボディパネル20に載置した際、第1当接リブ11a1及び第2当接リブ11a2の大きさの違いによって、ボディパネル20に対して傾斜した状態で配置される。
【0074】
このように傾斜した状態で配置されたグロメット本体11の両側の蛇腹筒部11c,11cは、グロメット本体11とスポットバリ22との干渉を回避しつつも、バックドア取付け部13側の蛇腹筒部11cをボディパネル20側へ若干大きく湾曲させることができる。この場合、蛇腹筒部11cを、バックドア取付け部13から挿通されるワイヤーハーネスから退避する方向に膨らむように配置することができる。
【0075】
このため、例えば、比較的線径が太いワイヤーハーネスを用いる場合であっても、蛇腹筒部11cが若干大きく湾曲されることで、ワイヤーハーネスの剛性によって生じる押圧力を緩和することができ、その結果、グロメット10の変形を抑制することができる。
【0076】
さらにまた、グロメット10は、ボディ取付け部12に方向規制筒部12aを備えたことによって、ボディ取付け部12からグロメット本体11にかけて、グロメット10が大きく湾曲することを抑制することができる。
【0077】
詳述すると、グロメット10の内部に挿通するワイヤーハーネスの剛性によって蛇腹筒部11cが大きく湾曲することを抑制することができ、バックドアパネル30との干渉を防止することができる。つまり、バックドアパネル30との干渉によるグロメット10及びバックドアパネル30の傷付きを防止することができる。
【0078】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の挿通路は、電線挿通路10aに対応し、
以下同様に、
リブは、当接リブ11a、第1当接リブ11a1、及び第2当接リブ11a2に対応し、
可曲性部は、蛇腹筒部11cに対応し、
当接面は、第1当接面11d1及び第2当接面11d2に対応し、
不可曲性部及び直状不可曲性部は、第2グロメット筒部11fに対応し、
取付け部は、ボディ取付け部12及びバックドア取付け部13に対応し、
他の部材は、ボディパネル20及びバックドアパネル30に対応し、
凹凸部は、スポットバリ22に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0079】
例えば、本実施形態におけるグロメット10は、ボディ取付け部12に方向規制筒部12aを備えたが、ボディ取付け部12のみならず、バックドア取付け部13にも適宜に備えてもよい。
詳述すると、本実施形態では、グロメット本体11に備えた当接リブ11aがバックドア取付け部13に近い位置に配置されているため、グロメット10は、バックドア取付け部13に方向規制筒部を備えなくても当接リブ11aによって、グロメット本体11とボディパネル20とが干渉することはなかった。
【0080】
しかし、例えば、当接リブ11aがバックドア取付け部13から離れた位置に配置されると、内部に挿通されたワイヤーハーネスの剛性によって、バックドア取付け部13側の蛇腹筒部11cが大きく湾曲し、グロメット本体11が、ボディパネル20と干渉するおそれがある。
【0081】
上述のような場合は、バックドア取付け部13にも方向規制筒部12aを備えることが望ましく、バックドア取付け部13に方向規制筒部12aを備えることで、蛇腹筒部11cが大きく湾曲することはなく、グロメット本体11とボディパネル20との擦過を防ぎ、グロメット本体11及びボディパネル20の傷付きを防止することができる。
【0082】
また、グロメット10は、グロメット本体11における断面方向において、当接リブ11aの設定範囲を4分の3程度としたが、当接リブの設定範囲は、適宜に設定してもよい。
詳述すると、少なくともボディパネル20などと干渉するおそれがある箇所に当接リブを備えれば、該当接リブは、グロメット本体11における断面方向の全周にわたって形成した当接リブ、あるいは、断面の一部に形成した当接リブ、さらには、断面方向において間隙を隔てて複数配置した当接リブとすることができる。
【0083】
また、グロメット10は、軸方向Xに直交する径外側向きに突出する当接リブ11aを備えたが、例えば、軸方向Xに対して交差する方向など、当接リブがグロメット本体11における径方向に突出できる軸方向Xに対する方向とすることができる。
【0084】
また、グロメット10は、第1当接リブ11a1を第2当接リブ11a2よりも一回り大きく形成したが、第2当接リブ11a2を第1当接リブ11a1より大きく形成しても、第1当接リブ11a1及び第2当接リブ11a2を同じ大きさに形成してもよい。
【0085】
また、グロメット10は、グロメット本体11に対して、所定間隔を隔てた第1当接リブ11a1と第2当接リブ11a2とで構成する2つの当接リブ11aのみならず、複数の当接リブを配置してもよいし、当接リブ同士の間隔を、均等な間隔でも、不均等な間隔でもよい。つまり、干渉するおそれがあるバリなどのエッジに応じて適宜に設定してもよい。
【0086】
また、グロメット10は、第2グロメット筒部11fを直線状としたが、グロメット10を配置する上部狭隘空間32に応じて直線状のみならず、曲線状、屈曲状、あるいは折曲状に構成してもよい。つまり、上部狭隘空間32を形成するボディパネル20やバックドアパネル30の形状によって、グロメット本体11を適宜の形状に形成してもよい。
【0087】
また、グロメット10は、軸方向Xに交差する方向に曲げることができる可曲性、つまり、負荷を意図的に作用させて、変形して曲がることができる変形性を有する材質のもので直線状にグロメット本体11を一体形成し、補強リブ11bを備えて意図しない曲げを抑制したが、積極的に屈曲する蛇腹筒部11cを除く第1グロメット筒部11eと、第2グロメット筒部11fと、第3グロメット筒部11gとのうち、少なくとも第2グロメット筒部を、軸方向Xに交差する方向に意図しない曲げが生じない不可曲性を有する材質のもので形成してもよい。
【0088】
このような材質のものでグロメット本体を形成したグロメットは、補強リブを備える必要がなくなり、グロメットの重量及び材料コストを低減することができ、さらには、グロメット本体を、グロメット本体の外周面に対する補強リブの高さ分周辺部品とより離間させることができ、例えば、ボディパネル20とグロメット本体との干渉を防ぐことはもちろん、ボディパネル22のスポットバリ22とグロメット本体との干渉をより確実に防ぐことができる。
【0089】
なお、不可曲性とは、軸方向Xに交差する方向に意図しない曲げを防止するが、自重などによって撓んだり、負荷を意図的に作用させて所望の形状に変形させたりすることができる概念を含む。