(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板処理用のチャンバの上面に設けられた窓からチャンバ内部の所定の撮像対象を撮像し、該所定の撮像対象の画像から基板の位置を検出可能な基板位置検出装置であって、
前記窓よりも上方に設けられ、前記窓から前記所定の撮像対象を撮像可能な撮像手段と、
前記窓よりも上方に設けられ、上方に向けて光を照射可能な照明手段と、
該照明手段よりも上方に設けられ、該照明手段からの前記光を前記窓に向けて反射可能な反射面を有する照明反射板と、
該照明反射板の前記反射面上に設けられ、前記所定の撮像対象を含む所定領域上に影を形成するための反射制限部と、を有し、
該反射制限部の領域は、前記照明手段からの前記光の反射を防止する前記基板のエッジ位置を含む所定領域を設定し、前記撮像手段の視野中心と前記所定領域の両端とを結んで前記撮像手段の視野の拡大角を反映させた前記基板上における視野領域を取得し、該視野領域について前記視野の拡大角を反映させて前記反射面上に反射させた領域を基準として設定された基板位置検出装置。
前記反射制限部は、前記撮像手段で撮像する画像の視野を基準として、前記影が前記所定領域上に形成されるように位置が設定された請求項1又は2に記載の基板位置検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
【0014】
〔実施形態1〕
図1は、本発明の実施形態1に係る基板位置検出装置を含む基板処理装置の一例を示した図である。
図1において、実施形態1に係る基板位置検出装置170は、照明120と、照明反射板130と、カメラ140と、筐体150と、処理部160とを有する。また、基板処理装置180は、基板位置検出装置170に加えて、主要な構成要素として、チャンバ1と、サセプタ2と、窓110と、回転軸22とを有する。その他、基板処理装置180は、基板の処理に必要なチャンバ1内の種々の構成要素及びチャンバ1に取り付けられた種々の構成要素を、必要に応じて含んでよい。また、
図1において、位置検出対象であるウェーハWが示されている。
【0015】
チャンバ1は、ウェーハW等の基板に処理を行うための処理容器である。本実施形態に係る基板位置検出装置170が適用され得るチャンバ1は、窓110が光を反射する状態となり得る総ての基板処理用のチャンバを適用することができ、チャンバ1内の基板処理内容は問わない。よって、基板処理装置170は、種々の基板処理を行う装置として構成することができる。しかしながら、実施形態1においては、説明の容易のため、チャンバ1を、成膜処理を行う成膜チャンバとして構成した例を挙げて説明する。
【0016】
チャンバ1は、ウェーハWを処理する密閉容器として構成される。
図1に示すように、チャンバ1は、天板11と容器本体12とから構成され、全体として密閉容器を構成してもよい。なお、本実施形態に係るマーク検出装置160においては、天板11の一部に、カメラ140でチャンバ1の内部を撮像可能なように穴16が設けられている。穴16は、チャンバ1の内部に通じる開口であり、穴16を塞ぐように窓110を配置することにより、チャンバ1が密閉状態となる。
【0017】
図2は、本発明の実施形態1に係る基板位置検出装置を含む基板処理装置の一例のチャンバの上面を示した図である。
図2に示すように、チャンバ1の上面は天板11により構成され、天板11の一部に穴16が形成されている。そして、穴16を覆うように、穴16よりも1回り大きい窓110が設けられ、O−リング115によりシールされて穴16が塞がれている。
【0018】
図1に戻る。チャンバ1を用いて成膜処理を行う場合、チャンバ1内を高温にし、成膜用の反応ガスをチャンバ1内に供給するのが一般的である。本実施形態に係る基板処理装置180においては、ウェーハWの表面上に原子層を形成する原子堆積法(Atomic Layer Deposition)又は分子層を形成する分子堆積法(Molecular Layer Deposition)を用いた成膜処理を行う例を挙げて説明する。
【0019】
チャンバ1は、チャンバマーク18を備えてもよい。チャンバマーク18は、チャンバ1の基準位置を示すためのマークであり、チャンバマーク18を基準にウェーハWの位置が検出される。なお、チャンバマーク18の詳細については後述する。
【0020】
サセプタ2は、基板を載置するための基板載置台であり、チャンバ1内に設けられる。サセプタ2の表面には、ほぼウェーハWと同一サイズを有し、窪み形状を有する凹部24が基板載置領域として形成され、ウェーハWが所定位置に載置されるように構成される。また、サセプタ2は、円形の円盤状に形成され、円周方向に沿って、複数のウェーハWが載置可能に構成される。サセプタ2は、回転軸22に接続され、回転可能に構成される。
【0021】
このように、サセプタ2は回転可能であるため、サセプタ2上に載置されたウェーハWの位置は固定しておらず、成膜処理を行うに際し、ウェーハWの位置を検出する必要がある。上述のように、ウェーハWはサセプタ2上の凹部24に載置されるため、サセプタ2の表面上には、有色サセプタマーク25が設けられ、有色サセプタマーク25を検出することにより、ウェーハWの位置を検出する。なお、サセプタマーク25の詳細については後述する。
【0022】
また、サセプタ2が円形のため、サセプタ2を収容するチャンバ1も、これに対応して円筒形に構成される。
【0023】
窓110は、穴16上に設けられ、穴16による開口を塞ぐとともに、上方に設置されたカメラ140から上面視可能な撮像視野を確保する。窓110は、光を透過する種々の材料で構成されてよいが、例えば、石英ガラスからなる石英窓110として構成されてもよい。
【0024】
図3は、本発明の実施形態1に係る基板位置検出装置を含む基板処理装置の窓とチャンバの穴との関係を示した拡大図である。
図3に示すように、チャンバ1の上面をなす天板11に形成された穴16上に窓110が配置されている。窓110と天板11との間には、O−リング115が設けられるとともに、窓係止具116が窓110を上面及び側面から押さえるようにねじ留めされ、窓110が穴16を密閉的に塞ぐように固定している。このように、チャンバ1の上面に設けられた穴16を密閉的に塞ぐように窓110が設けられ、チャンバ1のシール性を保つとともに、窓110からチャンバ1の内部を観察可能に構成される。
【0025】
なお、このように、窓110がチャンバ1の上面の一部を実質的に構成する構造を有するため、成膜プロセスが進行すると、窓110の内面にも成膜がなされてしまう。図中、破線Fは成膜された膜を模式的に示している。しかしながら、基本的には成膜用の原料ガスはサセプタ2上にあるウェーハWに供給され、ウェーハW上に成膜が行われるため、窓110の内面に成膜される膜は、ウェーハW上に成膜される膜の1/10以下程度の厚さである。これは、ALD法又はMLD法を利用した基板処理装置においては、ウェーハWへの成膜が原子層又は分子層レベルで行われるため、成膜ターゲットでない窓110に成膜される膜も、そんなに厚く形成されることはないためである。この点、ウェーハWの表面のみならず、窓110の内面にも比較的厚く成膜されるCVD反応とは異なる点である。このように、窓110に成膜される膜は、クリーニングガスにより定期的に洗浄をすれば、有色サセプタマーク25の検出には影響は無いレベルである。
【0026】
しかしながら、TiNのような、反射性の膜が窓110の内面に形成されると、クリーニングガスによる定期洗浄の間の有色サセプタマーク25の視認性が低下する場合がある。本実施形態においては、このような反射性の膜を成膜した場合においても、有色サセプタマーク25の検出が確実に行える基板位置検出装置及び基板処理装置を提供する。
【0027】
図1に戻る。照明120は、光を照射する光源であり、照明120よりも上方にある照明反射板130に向かって上方に光を照射し、照明反射板130で反射した反射光で窓110に光を入射させる。照明120は、光を適切な輝度で照射できれば、種々の光源が用いられてよいが、例えば、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)を用いてもよい。なお、照明120は、カメラ140の撮像視野を遮蔽しないように、筐体150の壁面付近に設けられ、斜め上方に向かって光を照射する。
【0028】
照明反射板130は、照明120から入射した光を反射し、反射光で窓110を照射し、チャンバ1の内部を明るくするための光反射手段である。照明反射板130は、下方から入射した光を反射するので、下面に反射面131を有する。本実施形態に係るマーク検出装置160の照明反射板130は、反射面131に、光を反射する部分だけでなく、カメラ140の撮像視野内の所定領域に影を形成する反射制限部を有するが、この点については後述する。
【0029】
照明反射板130は、カメラ140の撮像視野を遮蔽しないように、開口部134を有する。但し、
図1においては、照明反射板130がカメラ140よりも下方に設けられているので、開口部134が必要であるが、例えば、照明反射板130をカメラ140よりも上方に設けてもよい。この場合には、開口部134は不要であり、照明反射板130を1枚の板状に形成することができる。
【0030】
カメラ140は、窓110を介してチャンバ1の内部を撮像する撮像手段である。カメラ140も、用途に応じて種々の構成のカメラ140を用いることができるが、例えば、CCD(Charge Coupled Device)を用いてもよい。
【0031】
筐体150は、窓110、照明120、照明反射板130及びカメラ140を収容するためのケーシングである。筐体150で全体を覆うことにより、カメラ140の周囲を暗くし、撮像に適した状態とすることができる。
【0032】
処理部160は、カメラ140で撮像した画像に基づいて、基板の位置を検出するための演算処理を行う手段である。よって、処理部160は、演算処理が可能に構成され、例えば、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)を備え、プログラムによって動作するマイクロコンピュータや、特定の用途にために設計、製造されるASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路として構成されてもよい。
【0033】
処理部160は、必要に応じて、サセプタマーク選択判定処理部161を含んでもよい。サセプタマーク選択判定処理部161は、複数種類のサセプタマークが存在する場合に、成膜状態に応じて、適切なサセプタマークを選択するための判定処理を行う。かかる判定処理も、演算処理によるので、サセプタマーク選択判定処理部161は、処理部160内に設けられる。但し、サセプタマーク選択判定処理部161は、必ずしも処理部160内に設けられる必要は無く、用途に応じて外部に独立して設けてもよい。
【0034】
処理部160には、必要に応じて、サセプタマーク選択スイッチ162が設けられてもよい。上述のサセプタマークの選択は、ユーザが判断してもよく、ユーザが所望のサセプタマークを基板位置検出に利用することができるように、サセプタマーク選択スイッチ162を設けてもよい。なお、サセプタマーク選択判定処理部161とサセプタマーク選択スイッチ162は、いずれか1つを備えていれば十分であるが、両者を備えていてもよい。通常は、サセプタマーク選択判定処理部161の判定に従い、サセプタマーク選択スイッチ162の操作があった場合にサセプタマーク選択スイッチ162による選択操作を優先させるようにすれば、両者を併存させることができる。
【0035】
なお、
図1に示されている基板処理装置のその他の種々の構成要素については後述する。
【0036】
図4は、実施形態1に係る基板位置検出装置170の一例の照明反射板130の反射面131の構成を示した図である。
図4(A)は、実施形態1に係る基板位置検出装置170の一例を下方から示した斜視図である。
【0037】
図4(A)示すように、照明反射板130は、下方から光が照射されるため、下面を反射面131として備えるが、反射面131は、反射部132と、反射制限部133と、開口部134とを有する。反射部132は、照明光を反射するための領域であり、反射光を窓110に照射し、撮像対象を照らす部分である。一方、反射制限部133は、照明光が照射されても、これを反射せず、対応する箇所に影を形成するための領域である。
【0038】
ALD法又はMLD法を用いた基板処理装置180で成膜を行った場合、基本的にはサセプタ2上に配置された基板上にのみ成膜が行われるが、基板を支持しているサセプタ2上にも成膜は行われ、有色の膜で成膜が行われた場合に、上述の有色サセプタマーク25が膜に覆われて見え難くなってゆく。例えば、TiNの成膜が行われた場合には、サセプタ上に形成された有色サセプタマーク25が、成膜により周囲との濃度差が無くなり、コントラストが低下する。
【0039】
図5は、そのような成膜の進行状態に応じたサセプタマークの撮像画像を示した図である。
図5(A)は、未成膜状態の有色サセプタマーク25の撮像画像を示した図である。未成膜状態においては、有色サセプタマーク25が明確に視認できる状態である。
【0040】
図5(B)は、3μm前後の膜厚のTiN膜が成膜された状態の撮像画像を示した図である。
図5(B)に示すように、成膜が開始されると、サセプタ2は黒く変色する。これにより、有色サセプタマーク25も周囲の色と同化し、濃淡差が無くなり、視認が困難となる。
【0041】
図5(C)は、8μm前後の膜厚のTiN膜が成膜された状態の撮像画像を示した図である。
図5(C)においては、画像全体が白くなっており、やはり有色サセプタマーク25の認識は困難となっている。成膜が進行すると、チャンバ1の内部の壁面にも微量の成膜が行われてしまい、窓110の内面にも微量の成膜がなされてしまう。そして、光を透過しない反射性を有するTiN膜が窓110の内面に成膜されると、窓110が光を透過しなくなり、光を反射する鏡のようになってしまう。そうすると、窓110の全域が白く撮像され、コントラストが低下し、やはり有色サセプタマーク25の視認が困難となってしまう。
【0042】
図4(A)に戻る。
図5(C)に示した状態を回避すべく、実施形態1に係る基板位置検出装置170においては、有色サセプタマーク25のような、撮像対象が存在する領域に光が照射されないように、反射制限部133を設けている。つまり、反射面131の一部をマスクで覆い、その部分では反射が起こらないような構成としている。これにより、有色サセプタマーク25のような撮像対象が存在する領域では、影が形成され、カメラ140に光が反射せず、本来の輝度で撮像を行うことができるため、適切なコントラストで画像を取得することができる。
【0043】
図4(B)は、反射面131の一部拡大図である。反射制限部133が形成されている箇所は、有色サセプタマーク25が存在する領域を含んでいる。なお、このような反射現象は、窓110の表面のみならず、ウェーハWの表面でも発生する。ウェーハWの位置を検出する場合には、ウェーハWのエッジを検出するが、ウェーハWの表面で光を反射すると、やはり画面全体が白くなり、エッジが検出できなくなってしまう。そのようなウェーハWのエッジ検出は、ウェーハWがサセプタ2上に無く、搬送アームの先端にあるピックにウェーハWが支持されている場合に行われるが、ウェーハWの表面の反射により、エッジの検出が困難となる場合がある。そこで、本実施形態においては、この現象も考慮し、ウェーハWのエッジ部分にも光を当てないようにし、ウェーハWとピックの境界部分にも影を形成するように反射制限部133を設けている。つまり、開口部134が形成された円形の反射部132と、対向する反射部との間に反射制限部133が形成されているが、この領域は、有色サセプタマーク25の他、ピックでウェーハが支持された場合のピックとウェーハWの境界部分も含むように形成されている。これにより、撮像対象である複数の検出部分を高コントラストで撮像し、検出することが可能となる。
【0044】
なお、反射面131の反射部132は、照明光を反射できる材料であれば、種々の材料から構成されてよいが、例えば、白色のテフロン(登録商標)の薄板を、照明反射板130の裏面に接着して構成してもよい。また、反射制限部133も、照明光を反射せずに吸収する材料であれ、種々の材料から構成されてよいが、例えば、つや消し黒塗装がされた金属板で構成されてもよい。これらは、領域毎に別々に接着されてもよいし、最初に反射部132を構成する薄板を照明反射板130の反射面131全体に貼り付け、その上にマスクをするように反射制限部133の板を貼り付けてもよい。反射面131は、撮像対象を含む領域に反射制限部133が設けられ、それ以外の箇所に光を確保するために反射部132が設けられていれば、種々の構成とすることができる。
【0045】
図6は、実施形態1に係る基板処理装置の一例のチャンバ内での各マークの配置関係を示した図である。
図6(A)は、チャンバ1内における各マークの配置を示した全体図である。
【0046】
図6(A)に示されるように、チャンバ1内に収容されたサセプタ2上には、円周方向に沿って複数の基板が載置可能になっており、
図6(A)の例では、5つの基板が配置可能となっている。なお、基板は、基板載置領域24内に配置される。各基板載置領域24に対応して、2つの有色サセプタマーク25及び切り欠きサセプタマーク26が形成されている。基板載置領域24と有色サセプタマーク25及び切り欠きサセプタマーク26との配置関係は予め分かっているので、有色サセプタマーク25及び切り欠きサセプタマーク26を検出することにより、基板の位置を検出することができる。また、チャンバ1の底部14の表面上には、チャンバマーク18が設けられている。チャンバマーク18は、チャンバ18の基板の搬出口15の1箇所にのみ2つ設けられ、基板を搬出入した際の基板位置を検出できるように構成されている。また、チャンバマーク18と、その付近の有色サセプタマーク25及び切り欠きサセプタマーク26とが、カメラ140の視野範囲141となっている。なお、切り欠きサセプタマーク26についての詳細は後述する。
【0047】
図6(B)は、窓110を介したカメラ140の視野範囲141の拡大図である。
図6(B)に示すように、チャンバ1に設けられたチャンバマーク18と、サセプタ2に設けられた有色サセプタマーク25及び切り欠きサセプタマーク26と、基板載置領域24が、近接した位置に配置されている。また、このように、基板位置検出用の総てのマーク18、25、26が近接した位置に配置することにより、基板位置の検出を1つのカメラ140で行うことができる。また、基板載置領域24も近接して配置することにより、基板の搬出入の際、搬送アームのピックで基板を保持した場合においても、基板とピックとの境界が検出できる配置構成となっている。
【0048】
なお、有色サセプタマークは、視認容易な任意の色により構成してよいが、例えば、黒色としてもよい。
【0049】
図7は、実施形態1に係る基板位置検出装置によるマークの撮像画像を、従来の基板位置検出装置による撮像画像との比較において示した図である。
【0050】
図7(A)は、従来の基板位置検出装置によるマークの撮像画像を示した図である。
図7(A)の下の拡大図に示すように、チャンバマーク18及び有色サセプタマーク25は、周囲の色と同化し、コントラストが低く、視認が困難な状態である。
【0051】
図7(B)は、実施形態1に係る基板位置検出装置によるマークの撮像画像を示した図である。
図7(B)の下の拡大図に示すように、チャンバマーク18及び有色サセプタマーク25が、
図7(A)よりも明瞭なコントラストで示されている。このように、本実施形態に係る基板位置検出装置によれば、高いコントラストで検出マークの画像を取得することができ、基板位置の検出を確実に行うことができる。
【0052】
なお、
図7(A)では、総てがほぼ同じ輝度となっているが、
図7(B)では、白い部分と黒い部分が示されている。この、黒い部分が、反射制限部133で形成された影の部分であり、これにより、有色サセプタマーク25の視認性が
図7(A)よりも改善されていることが示されている。
【0053】
図8は、実施形態1に係る基板位置検出装置によるウェーハのエッジの撮像画像を、従来の基板位置検出装置による撮像画像との比較において示した図である。
【0054】
図8(A)は、従来の基板位置検出装置によるウェーハWのエッジの撮像画像を示した図である。
図8(A)において、搬送アーム10のピックとウェーハWとの境界Weは、一応は示されているが、ウェーハWと搬送アーム10とのコントラストはあまり明確でなく、演算処理による画像認識では、検出が困難となる。
【0055】
図8(B)は、実施形態1に係る基板位置検出装置によるウェーハWのエッジの撮像画像を示した図である。
図8(B)において、ウェーハWのエッジWeの部分は、影が形成されて黒くなっている。そして、搬送アーム10のピックは白くなっており、高コントラストの画像となっている。これにより、演算処理による画像認識においても、容易にウェーハWのエッジWeを検出することができ、基板位置を容易に検出できる。
【0056】
このように、実施形態1に係る基板位置検出装置によれば、撮像対象を含む領域に照明光を照射せずに影を形成することにより、高コントラストの画像で撮像対象を認識することができる。
【0057】
図9は、本発明の実施形態1に係る基板位置検出装置におけるウェーハによる反射防止のための反射制御部の配置位置の設定方法を説明するための図である。
図9においては、ウェーハWへの照明光の映り込み(反射)を防止するための反射制御部133の設定方法が示されている。
図9において、ウェーハWのエッジを含む所定領域を、照明の映り込みを防止する所定領域Sh1をまず設定する。この領域Sh1を、カメラ140の視野中心と視野の拡大角を考慮して結び、更にこれと対照に視野の拡大角を考慮して照明反射板130の反射面131に向かって視線を延長すれば、反射面131上でマスクすべき範囲が求まる。この範囲に照明反射制限部133を設けるようにすれば、ウェーハWのエッジを含む領域Sh1に照明を照射されず、影を形成することができる。なお、照明反射板130の反射面131上において、ウェーハW上に設定された照明が映らない領域Sh1よりも広い領域となっていることが分かる。このように、照明反射板130の反射面131上における反射制限部133の設定は、カメラ140の視野領域を基準として行うようにする。これにより、適切な領域に反射制御部133を設定し、画像認識を用いて基板位置を検出することができる。
【0058】
図10は、本発明の実施形態1に係る基板位置検出装置における反射制御部の窓による反射防止のための配置位置の設定方法を説明するための図である。
図10において、窓110上において、照明の映り込みを防止する領域Sh2をまず設定する。そして、この領域Sh2を、カメラ140の撮像中心と視野の拡大角を考慮して結ぶ。次いで、結んだ視線と対照に、やはり視野の拡大角を考慮して、照明反射板130の反射面131に向かって視線を延長してゆけば、反射面131上に対応する領域が求められ、これを反射制限部133として設定する。このように、窓110への照明の映り込みを防止する場合も、カメラ140の撮像視野を基準として、反射制御部133の領域を設定する。これにより、カメラ140で撮像する画像に適合するように影を形成することができる。
【0059】
図11は、本発明の実施形態1に係る基板位置検出装置及び基板処理装置の一例の各構成要素の配置を示した図である。
図11において、照明反射板130の反射面131と照明120との間の距離L1、カメラ140のレンズ先端と照明120との間の距離L2、カメラ140のレンズ先端と窓110との間の距離L3、カメラ140のレンズ先端と窓110との間の距離L4、及びカメラ140のレンズ先端とサセプタ2の表面との間の距離L5が設定されている。例えば、このような各構成要素間の距離を考慮して、
図10に示したような反射制限部133の設定を行うことができる。
【0060】
このように、実施形態1に係る基板位置検出装置によれば、照明反射板130の反射面131に適切に反射制限部133を設けることにより、TiN等の光を透過しない膜の成膜プロセスを行う場合であっても、窓110及びウェーハW表面での照明光の反射を防止し、確実に撮像対象を撮像し、基板位置を検出することができる。
【0061】
今までは、基板位置検出装置について説明したが、次いで、サセプタマークの改善により、基板位置の検出を容易にする基板処理装置及び基板処理装置について説明する。
【0062】
図12は、比較のため、従来の基板処理装置及び基板処理装置の有色サセプタマークのコントラスト変化の一例を示した図である。
【0063】
図12(A)は、従来の基板処理装置における成膜前の有色サセプタマークの撮像画像の一例を示した図である。
図12(A)に示すように、TiN膜の成膜前は、黒色の有色サセプタマーク25が、高いコントラストで視認できる状態である。
【0064】
図12(B)は、従来の基板処理装置における成膜後の有色サセプタマークの撮像画像の一例を示した図である。
図12(B)に示すように、成膜後は、撮像画像全体が黒くなり、低コントラストのため、有色サセプタマーク25の認識が困難な状態となる。
【0065】
そこで、実施形態1に係る基板処理装置においては、有色サセプタマーク25の他、切り欠きサセプタマーク26を設けている。
【0066】
図6(B)に戻ると、切り欠きサセプタマーク26の上面図が示されているが、切り欠きサセプタマーク26は、サセプタ2の一部を切り欠いて形成される。穴が空いていれば、切り欠きサセプタマーク26の役割は果たせるので、サセプタ2の任意の箇所に切り欠きサセプタマーク26を設けてよいが、加工の容易さ等を考慮すると、例えば、サセプタ2のエッジ部に設けられることが好ましい。つまり、サセプタ2のエッジ部を切り欠いて、ウェーハのノッチのように形成することが好ましい。切り欠きサセプタマーク26は、種々の形状に構成できるが、例えば、略円筒形状に切り欠いて構成してもよい。
図6(A)、(B)においては、円筒形状の切り欠きサセプタマーク26が設けられた例が示されている。
【0067】
図13は、本発明の実施形態1に係る基板処理装置の切り欠きサセプタマーク26のコントラスト変化の一例を示した図である。
【0068】
図13(A)は、本発明の実施形態1に係る基板処理装置の切り欠きサセプタマークの成膜前の撮像画像の一例を示した図である。
図13(A)に示すように、成膜前においては、切り欠きサセプタマーク26よりも、有色サセプタマーク25の方が、高いコントラストを示している。
【0069】
図13(B)は、本発明の実施形態1に係る基板処理装置の切り欠きサセプタマークの成膜前の撮像画像の一例を示した図である。
図13(B)に示すように、成膜後においては、有色サセプタマーク25は周囲の黒色と同化して低コントラストとなっているが、切り欠きサセプタマーク26は、周囲の黒色から浮かび上がるよう白色となり、高いコントラストで認識が可能である。このように、TiN膜が成膜された状態では、切り欠きサセプタマーク26が高コントラストを示し、画像認識に非常に有効である。
【0070】
以上の通り、実施形態1に係る基板処理装置においては、有色サセプタマーク25とは別に、サセプタ2の一部、典型的にはサセプタ2のエッジ部を切り欠いた切り欠きサセプタマーク26を設置し、成膜時にも安定してマークを検出できるようにした。有色サセプタマーク25は、サセプタ2の表面上にマークを設置するため、サセプタ全面の色が同一色になると、コントラストが低下し、検知が安定しなくなる。本実施形態に係る基板処理装置のように、サセプタエッジに設置した切り欠きサセプタマーク26は、成膜がされないサセプタ下部とのコントラストが付き、確実な検知が可能となる。
【0071】
しかしながら、
図13(A)に示したように、切り欠きサセプタマーク26は、未成膜で色が付かない状態ではコントラストが低い。よって、有色サセプタマーク25と切り欠きサセプタマーク26を併用し、未成膜状態又は濃度が低い薄い色の膜の成膜プロセスの場合には、有色サセプタマーク25を検出対象とし、濃度が濃い膜の成膜プロセスの場合には切り欠きサセプタマーク26を検出対象とすることが好ましい。この場合、
図1において説明したように、処理部160内又は処理部160外にサセプタマーク選択判定部161及び/又はサセプタマーク選択スイッチ162を設け、サセプタマーク25、26を自動又は手動で切り替えてサセプタ2の位置を検出することが好ましい。
【0072】
なお、切り欠きサセプタマーク26は、必要に応じて設けるようにしてよく、有色サセプタマーク25のみで確実に基板位置が検出できる場合には、必ずしも設ける必要は無い。
【0073】
〔実施形態2〕
図14は、本発明の実施形態2に係る基板処理装置の一例を示した図である。
図14(A)は、実施形態2に係る基板処理装置の一例のサセプタ2の斜視図である。
図14(A)において、サセプタ2のエッジ部には、切り欠きサセプタマーク27が形成されている。実施形態2に係る基板処理装置においては、切り欠きサセプタマーク27の形状を、単純な円筒形状ではなく、サセプタ2の上面から下面にかけて径が大きくなるテーパー形状としている。
【0074】
図14(B)は、テーパー形状の切り欠きサセプタマーク27と円筒形状の切り欠きサセプタマーク26との相違点を説明するための図である。
図14(B)に示すような単純な円柱状の切り欠きサセプタマーク26の場合、カメラ140の視野角が付いている場合、切り欠きサセプタマーク26の上面の曲線形状が、円柱の中の側壁と一緒に撮像されてしまい、境界が認識し難くなり、画像認識において切り欠きサセプタマーク26の曲線形状を正確に認識できないおそれがある。一般に、円形のサセプタマークにおいては、円の中心を測定してサセプタマークの座標を測定するため、そのような不正確な認識は、不都合を生ずる場合がある。
【0075】
よって、本実施形態に係る基板処理装置においては、
図14(A)に示すように、切り欠きサセプタマーク27をカメラ140の視野角よりも大きい角度を有するテーパー形状とし、そのような誤認識を確実に防止できる構成としている。
【0076】
図14(C)は、本発明の実施形態2に係る基板処理装置の一例の切り欠きサセプタマーク27の撮像画像の一例を示した図である。
図14(C)に示すように、切り欠きサセプタマーク27の円形のエッジが正確に認識でき、容易にサセプタ2の位置を検出することができる。
【0077】
なお、実施形態2に係る基板処理装置においては、切り欠きサセプタマーク27以外の構成要素については、基板位置検出装置170も含めて、実施形態1に係る基板処理装置と同様の構成要素を備えてよいので、その説明を省略する。
【0078】
実施形態2に係る基板処理装置によれば、切り欠きサセプタマーク27の認識を確実に行うことができ、正確な基板位置の検出を行うことができる。
【0079】
〔実施形態3〕
次に、実施形態1に係る基板検出装置を、TiN膜を成膜するALD装置又はMLD装置として構成した例について、実施形態3として説明する。
【0080】
図1に戻る。
図1は、本発明の実施形態1に係る基板位置検出装置170を適用した実施形態3に係る成膜装置の一例を示した断面図である。本発明の実施形態3に係る成膜装置200は、
図1に示すように平面形状が概ね円形である扁平なチャンバ1と、このチャンバ1内に設けられ、当該チャンバ1の中心に回転中心を有するサセプタ2と、を備えている。チャンバ1は天板11が容器本体12から分離できるように構成されている。天板11は、内部の減圧状態により封止部材例えばOリング13を介して容器本体12側に押し付けられ、これによりチャンバ1が気密に密閉される。一方、天板11を容器本体12から分離する必要があるときは、図示しない駆動機構により上方に持ち上げられる。
【0081】
また、天板11には、例えば開口をなす穴16が設けられている。天板11の上面には、窓110が、穴16に対して向かい合うように気密に設けられている。また、窓110上には、基板位置検出装置170が着脱可能に取り付けられている。基板位置検出装置170の構成は上述のとおりである。基板位置検出装置170を用いて、本発明の実施形態による上述の基板位置検出方法を実施することにより、成膜装置200内のサセプタ2に載置されるウェーハWの位置を検出することができる。なお、サセプタ2には、有色サセプタマーク25が設けられ、必要に応じて切り欠きサセプタマーク26、27が設けられる。
【0082】
サセプタ2は、中心部にて円筒形状のコア部21に固定され、このコア部21は、鉛直方向に伸びる回転軸22の上端に固定されている。回転軸22は容器本体12の底面部14を貫通し、その下端が当該回転軸22を鉛直軸回りにこの例では時計方向に回転させる駆動部23に取り付けられている。回転軸22及び駆動部23は、上面が開口した筒状のケース体20内に収納されている。このケース体20はその上面に設けられたフランジ部分20aを介してチャンバ1の底面部14の下面に気密に取り付けられており、これにより、ケース体20の内部雰囲気が外部雰囲気から隔離されている。また、チャンバ1の底面部14の表面には、サセプタマーク18が設けられる。
【0083】
図15は、実施形態3に係る成膜装置の斜視図である。
図16は、実施形態3に係る成膜装置の真空容器内の構成を示す概略平面図である。
【0084】
回転テーブル2の表面部には、
図15及び
図16に示すように回転方向(周方向)に沿って複数(図示の例では5枚)の基板であるウェーハWを載置するための円形状の凹部24が設けられている。なお
図5には便宜上1個の凹部24だけにウェーハWを示す。この凹部24は、ウェーハWの直径よりも僅かに例えば4mm大きい内径と、ウェーハWの厚さにほぼ等しい深さとを有している。したがって、ウェーハWが凹部24に収容されると、ウェーハWの表面と回転テーブル2の表面(ウェーハWが載置されない領域)とが同じ高さになる。凹部24の底面には、ウェーハWの裏面を支えてウェーハWを昇降させるための例えば3本の昇降ピンが貫通する貫通孔(いずれも図示せず)が形成されている。
【0085】
図15及び
図16は、チャンバ1内の構造を説明する図であり、説明の便宜上、天板11の図示を省略している。
図15及び
図16に示すように、回転テーブル2の上方には、各々例えば石英からなる反応ガスノズル31、反応ガスノズル32、及び分離ガスノズル41,42がチャンバ1の周方向(回転テーブル2の回転方向(
図16の矢印A))に互いに間隔をおいて配置されている。図示の例では、後述の搬送口15から時計回り(回転テーブル2の回転方向)に、分離ガスノズル41、反応ガスノズル31、分離ガスノズル42、及び反応ガスノズル32がこの順番で配列されている。これらのノズル31、32、41、42は、各ノズル31、32、41、42の基端部であるガス導入ポート31a、32a、41a、42a(
図16)を容器本体12の外周壁に固定することにより、チャンバ1の外周壁からチャンバ1内に導入され、容器本体12の半径方向に沿って回転テーブル2に対して水平に伸びるように取り付けられている。
【0086】
本実施形態においては、反応ガスノズル31は、不図示の配管及び流量制御器などを介して、塩化チタン(TiCl
4)ガスの供給源(図示せず)に接続されている。反応ガスノズル32は、不図示の配管及び流量制御器などを介して、アンモニア(NH
3)の供給源(図示せず)に接続されている。分離ガスノズル41、42は、いずれも不図示の配管及び流量制御バルブなどを介して、分離ガスの供給源(図示せず)に接続されている。分離ガスとしては、ヘリウム(He)やアルゴン(Ar)などの希ガスや窒素(N
2)ガスなどの不活性ガスを用いることができる。本実施形態では、N
2ガスを用いることとする。
【0087】
反応ガスノズル31、32には、回転テーブル2に向かって開口する複数のガス吐出孔33が、反応ガスノズル31、32の長さ方向に沿って、例えば10mmの間隔で配列されている。反応ガスノズル31の下方領域は、TiCl
4ガスをウェーハWに吸着させるための第1の処理領域P1となる。反応ガスノズル32の下方領域は、第1の処理領域P1においてウェーハWに吸着されたTiCl
4ガスを窒化させる第2の処理領域P2となる。
【0088】
ウェーハWが回転し、TiCl
4ガスが供給されている第1の処理領域P1、NH
3ガスが供給されている第2の処理領域P2を順次通過することにより、ウェーハWの表面上へのTiCL
4ガスの吸着、NH
3ガスによる窒化が順次発生し、TiNの分子層がウェーハWの表面上に成膜されてゆく。それとともに、窓110の内側表面にも、TiNの分子層が成膜されてゆくことになる。
【0089】
しかしながら、窓110にTiN膜が成膜されてきても、基板位置検出装置170が、基板位置を正確に検出できる構成及び機能を有している点は、実施形態1において説明した通りである。
【0090】
図15及び
図16を参照すると、チャンバ1内には2つの凸状部4が設けられている。凸状部4は、分離ガスノズル41、42とともに分離領域Dを構成するため、後述のとおり、回転テーブル2に向かって突出するように天板11の裏面に取り付けられている。また、凸状部4は、頂部が円弧状に切断された扇型の平面形状を有し、本実施形態においては、内円弧が突出部5(後述)に連結し、外円弧が、チャンバ1の容器本体12の内周面に沿うように配置されている。
【0091】
図17は、反応ガスノズル31から反応ガスノズル32まで回転テーブル2の同心円に沿ったチャンバ1の断面を示している。図示のとおり、天板11の裏面に凸状部4が取り付けられているため、チャンバ1内には、凸状部4の下面である平坦な低い天井面44(第1の天井面)と、この天井面44の周方向両側に位置する、天井面44よりも高い天井面45(第2の天井面)とが存在する。天井面44は、頂部が円弧状に切断された扇型の平面形状を有している。また、図示のとおり、凸状部4には周方向中央において、半径方向に伸びるように形成された溝部43が形成され、分離ガスノズル42が溝部43内に収容されている。もう一つの凸状部4にも同様に溝部43が形成され、ここに分離ガスノズル41が収容されている。また、高い天井面45の下方の空間に反応ガスノズル31、32がそれぞれ設けられている。これらの反応ガスノズル31、32は、天井面45から離間してウェーハWの近傍に設けられている。なお、説明の便宜上、
図17に示すように、反応ガスノズル31が設けられる、高い天井面45の下方の空間を参照符号481で表し、反応ガスノズル32が設けられる、高い天井面45の下方の空間を参照符号482で表す。
【0092】
また、凸状部4の溝部43に収容される分離ガスノズル41、42には、回転テーブル2に向かって開口する複数のガス吐出孔41h(
図17参照)が、分離ガスノズル41、42の長さ方向に沿って、例えば10mmの間隔で配列されている。
【0093】
天井面44は、狭隘な空間である分離空間Hを回転テーブル2に対して形成している。分離ガスノズル42の吐出孔42hからN
2ガスが供給されると、このN
2ガスは、分離空間Hを通して空間481及び空間482へ向かって流れる。このとき、分離空間Hの容積は空間481及び482の容積よりも小さいため、N
2ガスにより分離空間Hの圧力を空間481及び482の圧力に比べて高くすることができる。すなわち、空間481及び482の間に圧力の高い分離空間Hが形成される。また、分離空間Hから空間481及び482へ流れ出るN
2ガスが、第1の領域P1からのTiCl
4ガスと、第2の領域P2からのNH
3ガスとに対するカウンターフローとして働く。したがって、第1の領域P1からのTiCl
4ガスと、第2の領域P2からのNH
3ガスとが分離空間Hにより分離される。よって、チャンバ1内においてTiCl
4ガスとNH
3ガスとが混合し、反応することが抑制される。
【0094】
なお、回転テーブル2の上面に対する天井面44の高さh1は、成膜時のチャンバ1内の圧力、回転テーブル2の回転速度、供給する分離ガス(N
2ガス)の供給量などを考慮し、分離空間Hの圧力を空間481及び482の圧力に比べて高くするのに適した高さに設定することが好ましい。
【0095】
一方、天板11の下面には、回転テーブル2を固定するコア部21の外周を囲む突出部5(
図15及び
図16)が設けられている。この突出部5は、本実施形態においては、凸状部4における回転中心側の部位と連続しており、その下面が天井面44と同じ高さに形成されている。
【0096】
先に参照した
図1は、
図16のI−I'線に沿った断面図であり、天井面45が設けられている領域を示している。一方、
図18は、天井面44が設けられている領域を示す断面図である。
図18に示すように、扇型の凸状部4の周縁部(チャンバ1の外縁側の部位)には、回転テーブル2の外端面に対向するようにL字型に屈曲する屈曲部46が形成されている。この屈曲部46は、凸状部4と同様に、分離領域Dの両側から反応ガスが侵入することを抑制して、両反応ガスの混合を抑制する。扇型の凸状部4は天板11に設けられ、天板11が容器本体12から取り外せるようになっていることから、屈曲部46の外周面と容器本体12との間には僅かに隙間がある。屈曲部46の内周面と回転テーブル2の外端面との隙間、及び屈曲部46の外周面と容器本体12との隙間は、例えば回転テーブル2の上面に対する天井面44の高さと同様の寸法に設定されている。
【0097】
容器本体12の内周壁は、分離領域Dにおいては
図17に示すように屈曲部46の外周面と接近して垂直面に形成されているが、分離領域D以外の部位においては、
図1に示すように例えば回転テーブル2の外端面と対向する部位から底部14に亘って外方側に窪んでいる。以下、説明の便宜上、概ね矩形の断面形状を有する窪んだ部分を排気領域と記す。具体的には、第1の処理領域P1に連通する排気領域を第1の排気領域E1と記し、第2の処理領域P2に連通する領域を第2の排気領域E2と記す。これらの第1の排気領域E1及び第2の排気領域E2の底部には、
図1から
図16に示すように、それぞれ、第1の排気口610及び第2の排気口620が形成されている。第1の排気口610及び第2の排気口620は、
図1に示すように各々排気管630を介して真空排気手段である例えば真空ポンプ640に接続されている。なお
図1中、参照符号650は圧力制御器である。
【0098】
回転テーブル2とチャンバ1の底部14との間の空間には、
図1及び
図17に示すように加熱手段であるヒータユニット7が設けられ、回転テーブル2を介して回転テーブル2上のウェーハWが、プロセスレシピで決められた温度(例えば400℃)に加熱される。回転テーブル2の周縁付近の下方側には、回転テーブル2の上方空間から排気領域E1、E2に至るまでの雰囲気とヒータユニット7が置かれている雰囲気とを区画して回転テーブル2の下方領域へのガスの侵入を抑えるために、リング状のカバー部材71が設けられている(
図18)。このカバー部材71は、回転テーブル2の外縁部及び外縁部よりも外周側を下方側から臨むように設けられた内側部材71aと、この内側部材71aとチャンバ1の内壁面との間に設けられた外側部材71bと、を備えている。外側部材71bは、分離領域Dにおいて凸状部4の外縁部に形成された屈曲部46の下方にて、屈曲部46と近接して設けられ、内側部材71aは、回転テーブル2の外縁部下方(及び外縁部よりも僅かに外側の部分の下方)において、ヒータユニット7を全周に亘って取り囲んでいる。
【0099】
ヒータユニット7が配置されている空間よりも回転中心寄りの部位における底部14は、回転テーブル2の下面の中心部付近におけるコア部21に接近するように上方側に突出して突出部12aをなしている。この突出部12aとコア部21との間は狭い空間になっており、また底部14を貫通する回転軸22の貫通穴の内周面と回転軸22との隙間が狭くなっていて、これら狭い空間はケース体20に連通している。そしてケース体20にはパージガスであるN
2ガスを狭い空間内に供給してパージするためのパージガス供給管72が設けられている。またチャンバ1の底部14には、ヒータユニット7の下方において周方向に所定の角度間隔で、ヒータユニット7の配置空間をパージするための複数のパージガス供給管73が設けられている(
図18には一つのパージガス供給管73を示す)。また、ヒータユニット7と回転テーブル2との間には、ヒータユニット7が設けられた領域へのガスの侵入を抑えるために、外側部材71bの内周壁(内側部材71aの上面)から突出部12aの上端部との間を周方向に亘って覆う蓋部材7aが設けられている。蓋部材7aは例えば石英で作製することができる。
【0100】
また、チャンバ1の天板11の中心部には分離ガス供給管51が接続されていて、天板11とコア部21との間の空間52に分離ガスであるN
2ガスを供給するように構成されている。この空間52に供給された分離ガスは、突出部5と回転テーブル2との狭い隙間50を介して回転テーブル2のウェーハ載置領域側の表面に沿って周縁に向けて吐出される。空間50は分離ガスにより空間481及び空間482よりも高い圧力に維持され得る。したがって、空間50により、第1の処理領域P1に供給されるTiCl
4ガスと第2の処理領域P2に供給されるNH
3ガスとが、中心領域Cを通って混合することが抑制される。すなわち、空間50(又は中心領域C)は分離空間H(又は分離領域D)と同様に機能することができる。
【0101】
さらに、チャンバ1の側壁には、
図15、
図16に示すように、外部の搬送アーム10と回転テーブル2との間で基板であるウェーハWの受け渡しを行うための搬送口15が形成されている。この搬送口15は図示しないゲートバルブにより開閉される。また回転テーブル2におけるウェーハ載置領域である凹部24はこの搬送口15に臨む位置にて搬送アーム10との間でウェーハWの受け渡しが行われることから、回転テーブル2の下方側において受け渡し位置に対応する部位に、凹部24を貫通してウェーハWを裏面から持ち上げるための受け渡し用の昇降ピン及びその昇降機構(いずれも図示せず)が設けられている。
【0102】
また、本実施形態による成膜装置には、
図1に示すように、装置全体の動作のコントロールを行うためのコンピュータからなる制御部100が設けられており、この制御部100のメモリ内には、後述する成膜方法を制御部100の制御の下に成膜装置に実施させるプログラムが格納されている。このプログラムは後述の成膜方法を実行するようにステップ群が組まれており、ハードディスク、コンパクトディスク、光磁気ディスク、メモリカード、フレキシブルディスクなどの媒体102に記憶され、所定の読み取り装置により記憶部101へ読み込まれ、制御部100内にインストールされる。
【0103】
なお、制御部100は、上述の処理部160、サセプタマーク選択判定部161等も制御してもよい。
【0104】
このように、実施形態1において説明した基板位置検出装置、基板処理装置は、実施形態3で示したようなALD法又はMLD法を用いてTiN等の反射性を有する有色膜の成膜を行う成膜装置に適用することができる。そして、TiN等の反射性を有する有色膜の成膜においても、撮像対象を高コントラストで撮像し、撮像した画像に基づいて、基板位置を正確かつ確実に検出することができる。
【0105】
また、実施形態3においては、実施形態1に係る基板位置検出装置170、基板処理装置を成膜装置に適用した例を挙げて説明したが、実施形態2に係る基板処理装置を成膜装置に適用してもよいことは言うまでもない。
【0106】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。