特許第6118213号(P6118213)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6118213
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】化合物
(51)【国際特許分類】
   C09B 11/26 20060101AFI20170410BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20170410BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20170410BHJP
   C08L 101/08 20060101ALI20170410BHJP
   C08K 5/46 20060101ALI20170410BHJP
   C08K 5/353 20060101ALI20170410BHJP
   C08K 5/3445 20060101ALI20170410BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20170410BHJP
   C09B 69/06 20060101ALI20170410BHJP
   C07D 277/42 20060101ALN20170410BHJP
【FI】
   C09B11/26 BCSP
   C09B67/20 F
   C09D7/12
   C08L101/08
   C08K5/46
   C08K5/353
   C08K5/3445
   G02B5/20 101
   C09B69/06
   !C07D277/42
【請求項の数】12
【全頁数】77
(21)【出願番号】特願2013-172989(P2013-172989)
(22)【出願日】2013年8月23日
(65)【公開番号】特開2015-28121(P2015-28121A)
(43)【公開日】2015年2月12日
【審査請求日】2016年7月27日
(31)【優先権主張番号】特願2012-184874(P2012-184874)
(32)【優先日】2012年8月24日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-132399(P2013-132399)
(32)【優先日】2013年6月25日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075409
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久一
(74)【代理人】
【識別番号】100129757
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久彦
(74)【代理人】
【識別番号】100115082
【弁理士】
【氏名又は名称】菅河 忠志
(74)【代理人】
【識別番号】100125243
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩彰
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 徹
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE−CHEM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100075409
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久一
(74)【代理人】
【識別番号】100129757
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久彦
(74)【代理人】
【識別番号】100115082
【弁理士】
【氏名又は名称】菅河 忠志
(74)【代理人】
【識別番号】100125243
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩彰
(72)【発明者】
【氏名】藤田 拓麻
【審査官】 三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/053201(WO,A1)
【文献】 特開2012−167153(JP,A)
【文献】 特開平08−179465(JP,A)
【文献】 特開2011−227408(JP,A)
【文献】 特開2011−070172(JP,A)
【文献】 米国特許第03423427(US,A)
【文献】 特開昭53−105531(JP,A)
【文献】 特開2011−186043(JP,A)
【文献】 特開平05−150401(JP,A)
【文献】 Dyes and Pigments,2002年,Vol.57(2),p.131-147
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 11/26
C07D 277/42
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(A−I)で表される化合物。

[式(A−I)中、mは1または4の自然数を表す。Xは、硫黄原子を示す。[Y]m-は、1価または4価のアニオンを表す。R41〜R46は、それぞれ独立して、水素原子、アミノ基でまたはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルキル基炭素原子間に酸素原子が挿入されている基、又は置換されていてもよいアリール基を表す。R41とR42とが結合してそれらが結合する窒素原子とともにピロリジン環、モルホリン環、ピペリジン環、またはピペラジン環を形成してもよく、R43とR44とが結合してそれらが結合する窒素原子とともにピロリジン環、モルホリン環、ピペリジン環、またはピペラジン環を形成してもよく、R45とR46とが結合してそれらが結合する窒素原子とともにピロリジン環、モルホリン環、ピペリジン環、またはピペラジン環を形成してもよい。R47〜R54は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数2〜8のアルキル基炭素原子間に酸素原子が挿入されている基を表す。R55、置換されていてもよいアリール基を表す。
なお、1分子中に複数の

が含まれる場合、それらは同じ構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。]
【請求項2】
式(A−I)中、Xは、硫黄原子を示し、[Y]m-は、1価または4価のアニオンを表し、R41〜R46は、それぞれ独立して、水素原子、アミノ基でまたはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルキル基炭素原子間に酸素原子が挿入されている基、又は置換されていてもよいアリール基を表し、R47〜R54は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜8のアルキル基を表し、55、置換されていてもよいアリール基を表す、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
式(A−I)における[Y]m-が含ホウ素アニオンである請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
式(A−I)における[Y]m-が含アルミニウムアニオンである請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
式(A−I)における[Y]m-が含フッ素アニオンである請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
式(A−I)における[Y]m-が、タングステン、モリブデン、ケイ素、およびリンからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素と、酸素とを必須元素として含有するアニオンである請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
式(A−I)における[Y]m-が、タングステンを必須元素として含有するヘテロポリ酸もしくはイソポリ酸のアニオンである請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
式(A−I)における[Y]m-が、リンタングステン酸のアニオン、ケイタングステン酸のアニオン、又はタングステン系イソポリ酸のアニオンである請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれかに記載の化合物を含む着色硬化性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項9記載の着色硬化性樹脂組成物から形成される塗膜。
【請求項11】
請求項9記載の着色硬化性樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
【請求項12】
請求項11記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色素として有用な化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等や固体撮像素子等に含まれているカラーフィルタの着色剤として、染料が用いられている。染料としては、たとえば特許文献1に、式(A−III−1)で表される化合物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2012/053201
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から知られる上記の化合物は、耐熱性が十分に満足できるものではなく、そのため、該化合物を含む着色硬化性樹脂組成物も、耐熱性の点で十分満足できるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の発明を含む。
[1] 式(A−I)で表される化合物。
[式(A−I)中、mは任意の自然数を表す。Xは、酸素原子、窒素原子または硫黄原子を示す。[Y]m−は、任意のm価のアニオンを表す。R41〜R46は、それぞれ独立して、水素原子、アミノ基でまたはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルキル基を有し、該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されている基、又は置換されていてもよいアリール基を表す。R41とR42とが結合してそれらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよく、R43とR44とが結合してそれらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよく、R45とR46とが結合してそれらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよい。R47〜R54は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数2〜8のアルキル基を有し、該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されている基を表すが、R48とR52が互いに結合して、−O−、−NH−、−S−、または−SO−を形成していてもよい。R55は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基を表す。
なお、1分子中に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。]
【0006】
[2]式(A−I)中、Xは、酸素原子、窒素原子または硫黄原子を示し、[Y]m−は、任意のm価のアニオンを表し、R41〜R46は、それぞれ独立して、水素原子、アミノ基でまたはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルキル基を有し、該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されている基、又は置換されていてもよいアリール基を表し、R47〜R54は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜8のアルキル基を表すが、R48とR52が互いに結合して、−O−、−NH−、−S−、または−SO−を形成していてもよく、R55は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基を表す、[1]記載の化合物。
[3] 式(A−I)における[Y]m−が含ホウ素アニオンである[1]又は[2]に記載の化合物。
【0007】
[4] 式(A−I)における[Y]m−が含アルミニウムアニオンである[1]又は[2]に記載の化合物。
[5] 式(A−I)における[Y]m−が含フッ素アニオンである[1]又は[2]に記載の化合物。
[6] 式(A−I)における[Y]m−が、タングステン、モリブデン、ケイ素及びリンからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素と、酸素とを必須元素として含有するアニオンである[1]又は[2]に記載の化合物。
[7] 式(A−I)における[Y]m−が、タングステンを必須元素として含有するヘテロポリ酸もしくはイソポリ酸のアニオンである[6]に記載の化合物。
[8] 式(A−I)における[Y]m−が、リンタングステン酸のアニオン、ケイタングステン酸のアニオン、又はタングステン系イソポリ酸のアニオンである[7]に記載の化合物。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の化合物を含む着色硬化性樹脂組成物。
[10] [9]記載の着色硬化性樹脂組成物を用いて形成される塗膜。
[11] [9]記載の着色硬化性樹脂組成物を用いて形成されるカラーフィルタ。
[12] [11]記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明の化合物を含む着色硬化性樹脂組成物を用いると、耐熱性に優れたカラーフィルタを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の化合物は、式(A−I)で表される化合物(以下、化合物(A−I)ということがある。)である。本発明の化合物には、その互変異性体やそれらの塩も含まれる。
[式(A−I)中、mは任意の自然数を表す。Xは、酸素原子、窒素原子または硫黄原子を示す。[Y]m−は、任意のm価のアニオンを表す。R41〜R46は、それぞれ独立して、水素原子、アミノ基でまたはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルキル基を有し、該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されている基、または置換されていてもよいアリール基を表す。R41とR42とが結合してそれらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよく、R43とR44とが結合してそれらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよく、R45とR46とが結合してそれらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよい。R47〜R54は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数2〜8のアルキル基を有し、該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されている基を表すが、R48とR52が互いに結合して、−O−、−NH−、−S−、または−SO−を形成していてもよい。R55は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、あるいは置換されていてもよいアリール基を表す。
なお、1分子中に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。]
【0010】
式(A−I)においてXは、酸素原子、窒素原子または硫黄原子を示す。合成の容易さの観点から、好ましくは硫黄原子である。
【0011】
41〜R46で表される炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。下記式中、*は窒素原子との結合手を表す。なかでも、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。
【0012】
【0013】
41〜R46で表されるアミノ基で、またはハロゲン原子で置換された炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。下記式中、*は窒素原子との結合手を表す。
【0014】
【0015】
41〜R46で表される炭素数2〜20のアルキル基を有し、該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されている基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。下記式中、*は窒素原子との結合手を表す。なかでも、炭素数2〜10のアルキル基を有し、該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されている基が好ましく、炭素数2〜6のアルキル基を有し、該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されている基がより好ましい。
【0016】
【0017】
41〜R46で表される置換されていてもよいアリール基において、置換基としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素等のハロゲン原子;クロロメチル基、トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ヒドロキシ基;スルファモイル基;メチルスルホニル基等の炭素数1〜6のアルキルスルホニル基等が挙げられる。
置換されてもよいアリール基の具体例としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。下記式中、*は窒素原子との結合手を表す。
【0018】
【0019】
【0020】
41とR42とが結合してそれらが結合する窒素原子とともに形成する環としては、ピロリジン環、モルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環等が挙げられる。
43とR44とが結合してそれらが結合する窒素原子とともに形成する環としては、ピロリジン環、モルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環等が挙げられる。
45とR46とが結合してそれらが結合する窒素原子とともに形成する環としては、ピロリジン環、モルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環等が挙げられる。
【0021】
41〜R46は、合成の容易さの点から、それぞれ独立して、炭素数1〜20アルキル基又は置換されていてもよいアリール基であることが好ましく、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルキル基又は下記式で表されるアリール基であることがより好ましい。下記式中、*は窒素原子との結合手を表す。
【0022】
【0023】
【0024】
47〜R54で表される炭素数1〜8のアルキル基、および炭素数2〜8のアルキル基を有し、該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されている基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。下記式中、*は炭素原子との結合手を表す。
【0025】
【0026】
47〜R54は、合成の容易さの点から、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、フッ素原子又は塩素原子であることがより好ましい。
【0027】
55で表される炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。下記式中、*は炭素原子との結合手を表す。
【0028】
【0029】
55で表される置換されていてもよいアリール基において、置換基としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素等のハロゲン原子;クロロメチル基、トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ヒドロキシ基;スルファモイル基;メチルスルホニル基等の炭素数1〜6のアルキルスルホニル基等が挙げられる。
置換されてもよいアリール基の具体例としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。下記式中、*は炭素原子との結合手を表す。
【0030】
【0031】
【0032】
55は、合成の容易さの点から、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基または置換されていてもよいアリール基であり、より好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基又は下記式で表されるアリール基であり、さらに好ましくは下記式で表されるアリール基である。下記式中、*は炭素原子との結合手を表す。
【0033】
【0034】
【0035】
式(A−I)のカチオン部分としては、下記表1に示す、式(A−I−1)で示されるカチオン1〜カチオン12等が挙げられる。
【0036】
【表1】
【0037】
中でも、式(A−I)のカチオン部分としては、カチオン1〜カチオン6、カチオン11、またはカチオン12が好ましく、カチオン1、カチオン2、またはカチオン12が特に好ましい。
【0038】
また、R48とR52が互いに結合して、−O−、−NH−、−S−、または−SO−を形成した場合の式(A−I)のカチオン部分の具体例としては、下記のものをあげることができる。
【0039】
[Y]m−としては種々の公知のアニオンが挙げられるが、耐熱性の点から、好ましいアニオンは、含ホウ素アニオン、含アルミニウムアニオン、含フッ素アニオン、および、タングステン、モリブデン、ケイ素及びリンからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素と酸素とを必須元素として含有するアニオンが挙げられる。
【0040】
含ホウ素アニオン及び含アルミニウムアニオンとしては、例えば、下記式(4)で表されるアニオンが挙げられる。
[式(4)中、W、Wは、それぞれ独立に、1価のプロトン供与性置換基を2つ有する化合物から2個のプロトンを放出してなる基を表す。Mは、ホウ素又はアルミニウムを表す。]
1価のプロトン供与性置換基を2つ有する化合物から2個のプロトンを放出してなる基における、1価のプロトン供与性置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基等が挙げられる。1価のプロトン供与性置換基を2つ有する化合物としては、置換基を有していてもよいカテコール、置換基を有していてもよい2,3−ジヒドロキシナフタレン、置換基を有していてもよい2,2’−ビフェノール、置換基を有していてもよい3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、置換基を有していてもよい2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、置換基を有していてもよい1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、置換基を有していてもよいビナフトール、置換基を有していてもよいサリチル酸、置換基を有していてもよいベンジル酸又は置換基を有していてもよいマンデル酸であることが好ましい。
【0041】
前記の置換基を有していてもよいサリチル酸としては、例えば、サリチル酸、3−メチルサリチル酸、3−tert−ブチルサリチル酸、3−アミノサリチル酸、3−クロロサリチル酸、4−ブロモサリチル酸、3−メトキシサリチル酸、3−ニトロサリチル酸、4−トリフルオロメチルサリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、3,5−ジブロモサリチル酸、3,5−ジクロロサリチル酸、3,5,6−トリクロロサリチル酸、3−ヒドロキシサリチル酸(2,3−ジヒドロキシ安息香酸)、4−ヒドロキシサリチル酸(2,4−ジヒドロキシ安息香酸)、5−ヒドロキシサリチル酸(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、6−ヒドロキシサリチル酸(2,6−ジヒドロキシ安息香酸)等が挙げられる。
【0042】
前記の置換基を有していてもよいベンジル酸としては、例えば、
【0043】
前記の置換基を有していてもよいマンデル酸としては、例えば、
等が挙げられる。
【0044】
式(4)で表されるアニオンとしては、例えば、アニオン(BC−1)〜アニオン(BC−28)等が挙げられる。
【0045】
【表2】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
中でも、式(4)で表されるアニオンとしては、アニオン(BC−1)、アニオン(BC−2)、アニオン(BC−3)、アニオン(BC−25)、アニオン(BC−26)、アニオン(BC−27)が好ましく、アニオン(BC−1)、アニオン(BC−25)がより好ましく、アニオン(BC−1)がより好ましい。これらのアニオンであると、本発明の化合物(A−I)は有機溶剤への溶解性に優れる傾向がある。
【0051】
含フッ素アニオンとしては、例えば、下記式(6)、(7)、(8)、(9)で表される基が挙げられる。
[式(6)中、W及びWはそれぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜4のフッ化アルキル基を表すか、又は、WとWとが結合して炭素数1〜4のフッ化アルカンジイル基を形成する。]
[式(7)中、W〜Wはそれぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜4のフッ化アルキル基を表す。]
[式(8)中、Yは炭素数1〜4のフッ化アルカンジイル基を表す。]
[式(9)中、Yは炭素数1〜4のフッ化アルキル基を表す。]
【0052】
上記式(6)及び(7)においてW〜Wでそれぞれ表される炭素数1〜4のフッ化アルキル基としては、パーフルオロアルキル基が好ましく、例えば−CF、−CFCF、−CFCFCF、−CF(CF、−CFCFCFCF、−CFCF(CF、−C(CF等が挙げられる。
【0053】
上記式(6)においてWとWとが結合して形成される炭素数2〜4のフッ化アルカンジイル基としては、パーフルオロアルカンジイル基が好ましく、例えば−CFCF−、−CFCFCF−、−CFCFCFCF−等が挙げられる。
【0054】
上記式(8)においてYで表される炭素数1〜4のフッ化アルカンジイル基としては、パーフルオロアルカンジイル基が好ましい。パーフルオロアルカンジイル基としては、例えば、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−C(CF−、−CFCFCFCF−等が挙げられる。
【0055】
上記式(9)においてYで表される炭素数1〜4のフッ化アルキル基としては、パーフルオロアルキル基が好ましい。パーフルオロアルキル基としては、例えば、−CF、−CFCF、−CFCFCF、−CF(CF、−CFCFCFCF、−CFCF(CF、−C(CF等が挙げられる。
【0056】
上記式(6)で表されるアニオン(以下「アニオン(6)」という場合がある)としては、例えば下記のアニオン(6−1)〜(6−6)が挙げられる。
【0057】
上記式(7)で表されるアニオン(以下「アニオン(7)」という場合がある)としては、例えば下記のアニオン(7−1)が挙げられる。
【0058】
上記式(8)で表されるアニオン(以下「アニオン(8)」という場合がある)としては、例えば下記のアニオン(8−1)〜(8−4)が挙げられる。
【0059】
上記式(9)で表されるアニオン(以下「アニオン(9)」という場合がある)としては、例えば下記のアニオン(9−1)〜(9−4)が挙げられる。
【0060】
アニオン(6)、アニオン(7)、アニオン(8)及びアニオン(9)からなる群から選ばれる少なくとも1つのアニオン(以下「アニオン(6)〜(9)」ということがある)を含有することにより、本発明の化合物(A−I)の有機溶媒への溶解性を向上させることができる。中でも、アニオン(6)が好ましく、アニオン(6−1)がより好ましい。
【0061】
[Y]m−として表される、タングステン、モリブデン、ケイ素、リンからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素と、酸素とを必須元素として含有するアニオンとしては、タングステンを必須元素として含有するヘテロポリ酸又はイソポリ酸のアニオン、特に、リンタングステン酸、ケイタングステン酸及びタングステン系イソポリ酸のアニオンが好ましい。
【0062】
この様なタングステンを必須元素として含有するヘテロポリ酸又はイソポリ酸のアニオンとしては、例えば、ケギン型リンタングステン酸イオンα−[PW1240]3−、ドーソン型リンタングステン酸イオンα−[P1862]6−、β−[P1862]6−、ケギン型ケイタングステン酸イオンα−[SiW1240]4−、β−[SiW1240]4−、γ−[SiW1240]4−、さらにその他の例として[P1761]10−、[P1556]12−、[H1248]12−、[NaP30110]14−、α−[SiW34]10−、γ−[SiW1036]8−、α−[SiW1139]8−、β−[SiW1139]8−、[W19]2−、[W1032]4−、WO2−等が挙げられる。
【0063】
また、ケイ素およびリンからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素と、酸素とからなるアニオンも好ましい。
【0064】
この様なケイ素およびリンからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素と、酸素とからなるアニオンとしては、SiO2−、PO3−が挙げられる。
【0065】
特に合成と後処理の容易さから、ケギン型リンタングステン酸イオン、ドーソン型リンタングステン酸イオン、ケギン型ケイタングステン酸イオン等のヘテロポリ酸アニオン、[W1032]4−等のイソポリ酸アニオンが好ましい。
【0066】
化合物(A−I)としては、前記カチオン1〜11のうち任意の1つのカチオンと、アニオン(BC−1)〜(BC−28)、アニオン(6−1)〜(6−6)、アニオン(7−1)、アニオン(8−1)〜(8−4)、およびアニオン(9−1)〜(9−4)のうち任意の1つのアニオンとの組み合わせ、前記カチオン1〜11のうち任意の3つのカチオンとアニオンα−[PW1240]3−との組み合わせ、前記カチオン1〜11のうち任意の6つのカチオンとアニオンα−[P1862]6−との組み合わせ、前記カチオン1〜11のうち任意の4つのカチオンとアニオンα−[SiW1240]4−、又は[W1032]4−との組み合わせ等が挙げられる。
【0067】
化合物(A−I)は、式(A−II)で表される化合物(以下、「化合物(A−II)]ということがある」と、アニオン[Y]m−のアルカリ金属塩とを、溶媒中で混合することで製造することができる。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム及びカリウムが挙げられる。
【0068】
溶媒としては、N,N−ジメチルホルミムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、水及びクロロホルムが挙げられる。
中でも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、イソプロパノール及び水が好ましい。これらの溶媒であると、化合物(A−II)及びアニオン[Y]m−のアルカリ金属塩の溶解度が高い傾向にある。
溶媒が水である場合、酢酸や塩酸等の酸を反応系内へ加えてもよい。
化合物(A−II)及びアニオン[Y]m−のアルカリ金属塩との混合は、両者を上記の溶媒に溶解させて行ってもよいし、溶解させずに行ってもよい。両者が溶解する溶媒を用いて、かつ溶解させて行うことにより、高い収率で本発明の化合物(A−I)を得ることができる。
【0069】
化合物(A−II)及びアニオン[Y]m−のアルカリ金属塩との混合温度は、好ましくは0℃〜150℃、より好ましくは10℃〜120℃、さらに好ましくは20℃〜100℃である。混合時間は、好ましくは1時間〜72時間、より好ましくは2時間〜24時間、さらに好ましくは3時間〜12時間である。
【0070】
水と相溶する溶媒を用いた場合は、該溶液とを混合し、必要に応じて、さらに1〜3時間攪拌して、その後、析出物を濾過により取得することにより、本発明の化合物(A−I)を得ることができる。必要に応じて、得られた化合物(A−I)をイオン交換水で洗浄してもよい。
水と相溶しない溶媒を用いた場合は、反応混合物とイオン交換水とを混合し、必要に応じて、さらに1〜3時間攪拌して、その後、有機層を分液により取得することにより、本発明の化合物(A−I)を含む溶液を得ることができる。必要に応じて、該溶液をイオン交換水で洗浄してもよい。本発明の化合物(A−I)を含む溶液から溶媒を除去することにより、本発明の化合物(A−I)を得ることができる。
【0071】
さらに、本発明の化合物(A−I)をアセトニトリル、酢酸エチル、トルエン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、クロロホルム等の溶媒に溶解させて、再結晶により精製してもよい。
【0072】
化合物(A−II)は、例えば、式(B−I)で表される化合物と、式(C−I)で表される化合物とを、反応させることにより製造することができる。かかる反応は、有機溶媒の存在下で行ってもよいし、無溶媒で行ってもよい。

【0073】
[式(B−I)及び式(C−I)中、R41〜R55は、それぞれ前記と同じ意味を表す。]
【0074】
化合物(A−II)は、式(B−II)で表される化合物と、式(C−II)で表される化合物とを、反応させることによっても製造することができる。かかる反応は、有機溶媒の存在下で行ってもよいし、無溶媒で行ってもよい。
【0075】
[式(B−II)及び式(C−II)中、R41〜R55は、それぞれ上記と同じ意味を表す。]
【0076】
式(C−I)で表される化合物の使用量は、式(B−I)で表される化合物1モルに対して、好ましくは0.5モル以上8モル以下であり、より好ましくは1モル以上3モル以下である。
式(C−II)で表される化合物の使用量は、式(B−II)で表される化合物1モルに対して、好ましくは0.5モル以上8モル以下であり、より好ましくは1モル以上3モル以下である。
【0077】
反応温度は、30℃〜180℃が好ましく、80℃〜130℃がより好ましい。反応時間は、1時間〜12時間が好ましく、3時間〜8時間がより好ましい。
【0078】
いずれの反応も、収率の点から、有機溶媒中でおこなうことが好ましい。有機溶媒としては、トルエン、キシレン等の炭化水素溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール溶媒;ニトロベンゼン等のニトロ化炭化水素溶媒;メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;1−メチル−2−ピロリドン等のアミド溶媒;等が挙げられる。有機溶媒の使用量は、式(B−I)又は(B−II)で表される化合物1質量部に対して、好ましくは1質量部以上20質量部以下であり、より好ましくは2質量部以上10質量部以下である。
【0079】
上記反応は、収率の点から、縮合剤の存在下に実施することが好ましい。縮合剤としては、リン酸、ポリリン酸、オキシ塩化リン、硫酸、塩化チオニル等が挙げられる。
【0080】
縮合剤の使用量は、式(B−I)又は(B−II)で表される化合物1質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上20質量部以下であり、より好ましくは0.2質量部以上5質量部以下である。
【0081】
反応混合物から目的化合物である化合物(A−II)を取得する方法は特に限定されず、公知の種々の手法が採用できる。例えば、反応混合物をアルコール(例えば、メタノール等)と混合し、析出した結晶を濾取する方法を挙げることができる。反応混合物はアルコールに添加することが好ましい。反応混合物を添加するときの温度は、好ましくは−100℃以上50℃以下、より好ましくは−80℃以上0℃以下である。また、混合後、同温度で0.5〜2時間程度攪拌することが好ましい。濾取した結晶は、水などで洗浄し、次いで乾燥することが好ましい。また必要に応じて、再結晶などの公知の手法によってさらに精製してもよい。
【0082】
化合物(B−I)および(B−II)の製造方法としては、公知の種々の手法、例えば、西ドイツ国特許出願P3928243.0号に記載されている手法が挙げられる。
【0083】
化合物(C−I)および(C−II)の製造方法としては、公知の種々の手法、例えば、特許文献1に記載されている手法が挙げられる。
【0084】
式(4)で表されるアニオンのアルカリ金属塩は、市販のものを用いてもよいし、例えば、特許第4097704号や特許第4341251号及びJournal of The Electrochemical Society,第148巻第1期、2001年.に記載される方法により製造できる。
【0085】
化合物(6)、(7)、(8)、(9)で表されるアニオンのアルカリ金属塩は、市販のものを用いてもよいし、例えば、WO2008/075672や特開2010−280586に記載される方法により製造できる。
【0086】
タングステン、ケイ素、およびリンからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素と、酸素とを必須元素として含有するアニオンのアルカリ金属塩は、公知慣用の方法で製造ことができるが、市販品をそのまま用いてもよい。この様な化合物としては、例えば、対応するヘテロポリ酸塩、イソポリ酸塩、或いは珪酸塩、燐酸塩等が挙げられる。これら各種塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム等の一価金属塩であることが、水溶性に優れるため、合成と後処理が容易となるので好ましい。
【0087】
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、着色剤(以下「着色剤(A)」という場合がある)として本発明の化合物を有効成分とする染料を含み、さらに樹脂(B)を含むことが好ましい。本発明の着色硬化性樹脂組成物は、さらに重合性化合物(C)、重合開始剤(D)及び溶剤(E)を含むことがより好ましい。
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、さらにレベリング剤(F)を含むことが好ましい。
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、さらに重合開始助剤(D1)を含むことが好ましい。
本明細書において、各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で又は複数種を組合せて使用することができる。
【0088】
<着色剤(A)>
着色剤(A)は、本発明の化合物を有効成分とする染料を単独で用いてもよいが、調色のため、即ち分光特性を調整するために、さらに他の染料(A1)、顔料(P)、又はこれらの混合物を含んでいてもよい。
【0089】
染料(A1)としては、油溶性染料、酸性染料、塩基性染料、直接染料、媒染染料、酸性染料のアミン塩や酸性染料のスルホンアミド誘導体などの染料が挙げられ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)で染料に分類されている化合物や、染色ノート(色染社)に記載されている公知の染料が挙げられる。また、化学構造によれば、アゾ染料、シアニン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、フタロシアニン染料、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、スクワリリウム染料、アクリジン染料、スチリル染料、クマリン染料、キノリン染料及びニトロ染料等が挙げられる。これらのうち、有機溶剤可溶性染料が好ましく用いられる。
【0090】
具体的には、C.I.ソルベントイエロー4(以下、C.I.ソルベントイエローの記載を省略し、番号のみの記載とする。)、14、15、23、24、38、62、63、68、82、94、98、99、162;
C.I.ソルベントレッド45、49、125、130、218;
C.I.ソルベントオレンジ2、7、11、15、26、56;
C.I.ソルベントブルー4、5、37、67、70、90;
C.I.ソルベントグリーン1、4、5、7、34、35等のC.I.ソルベント染料、
C.I.アシッドイエロー1、3、7、9、11、17、23、25、29、34、36、38、40、42、54、65、72、73、76、79、98、99、111、112、113、114、116、119、123、128、134、135、138、139、140、144、150、155、157、160、161、163、168、169、172、177、178、179、184、190、193、196、197、199、202、203、204、205、207、212、214、220、221、228、230、232、235、238、240、242、243、251;
C.I.アシッドレッド1、4、8、14、17、18、26、27、29、31、34、35、37、42、44、50、51、52、57、66、73、87、88、91、92、94、97、103、111、114、129、133、134、138、143、145、150、151、158、176、182、183、195、198、206、211、215、216、217、227、228、249、252、257、258、260、261、266、268、270、274、277、280、281、289、308、312、315、316、339、341、345、346、349、382、383、388、394、401、412、417、418、422、426;
C.I.アシッドオレンジ6、7、8、10、12、26、50、51、52、56、62、63、64、74、75、94、95、107、108、169、173;
C.I.アシッドバイオレット6B、7、9、17、19、30、102;
C.I.アシッドブルー1、7、9、15、18、22、29、42、59、60、62、70、72、74、82、83、86、87、90、92、93、100、102、103、104、113、117、120、126、130、131、142、147、151、154、158、161、166、167、168、170、171、184、187、192、199、210、229、234、236、242、243、256、259、267、285、296、315、335;
C.I.アシッドグリーン1、3、5、9、16、50、58、63、65、80、104、105、106、109等のC.I.アシッド染料、
【0091】
C.I.ダイレクトイエロー2、33、34、35、38、39、43、47、50、54、58、68、69、70、71、86、93、94、95、98、102、108、109、129、136、138、141;
C.I.ダイレクトレッド79、82、83、84、91、92、96、97、98、99、105、106、107、172、173、176、177、179、181、182、184、204、207、211、213、218、220、221、222、232、233、234、241、243、246、250;
C.I.ダイレクトオレンジ26、34、39、41、46、50、52、56、57、61、64、65、68、70、96、97、106、107;
C.I.ダイレクトバイオレット47、52、54、59、60、65、66、79、80、81、82、84、89、90、93、95、96、103、104;
C.I.ダイレクトブルー1、2、6、8、15、22、25、41、57、71、76、78、80、81、84、85、86、90、93、94、95、97、98、99、100、101、106、107、108、109、113、114、115、117、119、120、137、149、150、153、155、156、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、170、171、172、173、188、189、190、192、193、194、195、196、198、199、200、201、202、203、207、209、210、212、213、214、222、225、226、228、229、236、237、238、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、256、257、259、260、268、274、275、293;
C.I.ダイレクトグリーン25、27、31、32、34、37、63、65、66、67、68、69、72、77、79、82等のC.I.ダイレクト染料、
C.I.ディスパースイエロー54,76等のC.I.ディスパース染料、
C.I.ベーシックレッド1、10;
C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、19、24、25、26、28、29、40、41、54、58、59、64、65、66、67、68;
C.I.ベーシックグリーン1;等のC.I.ベーシック染料、
C.I.リアクティブイエロー2,76,116;
C.I.リアクティブオレンジ16;
C.I.リアクティブレッド36;等のC.I.リアクティブ染料、
C.I.モーダントイエロー5、8、10、16、20、26、30、31、33、42、43、45、56、61、62、65;
C.I.モーダントレッド1、2、4、9、12、14、17、18、19、22、23、24、25、26、27、30、32、33、36、37、38、39、41、43、45、46、48、53、56、63、71、74、85、86、88、90、94、95;
C.I.モーダントオレンジ3、4、5、8、12、13、14、20、21、23、24、28、29、32、34、35、36、37、42、43、47、48;
C.I.モーダントバイオレット1、2、4、5、7、14、22、24、30、31、32、37、40、41、44、45、47、48、53、58;
C.I.モーダントブルー1、2、3、7、9、12、13、15、16、19、20、21、22、26、30、31、39、40、41、43、44、49、53、61、74、77、83、84;
C.I.モーダントグリーン1、3、4、5、10、15、26、29、33、34、35、41、43、53等のC.I.モーダント染料、
C.I.バットグリーン1等のC.I.バット染料、
等が挙げられる。
中でも、青色染料、バイオレット色染料及び赤色染料が好ましい。
これらの染料は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0092】
また、化学構造による分類では、キサンテン染料が好ましい。キサンテン染料としては、公知の物質を用いることができる。例えば、式(1)で表される化合物が好ましい。
[式(1)中、R1及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の1価の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、該飽和炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−、−CO−又は−NR11−で置き換わっていてもよい。
1及びRは互いに結合して、それらが結合する窒素原子と一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよく、R及びRは互いに結合して、それらが結合する窒素原子と一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよい。
5は、−OH、−SO3H、−SO3-+、−CO2H、−CO2-+、−CO28、−SO38又は−SO2NR910を表す。
6及びR7は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
mは、0〜4の整数を表す。mが2以上の整数である場合、複数のR5は同一であっても異なってもよい。
8は、炭素数1〜20の1価の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
+は、+N(R114、Na+又はK+を表す。
9及びR10は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の1価の飽和炭化水素基を表し、R9及びR10は、互いに結合して窒素原子と一緒に3〜10員含窒素複素環を形成していてもよい。
11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の1価の飽和炭化水素基又は炭素数7〜10のアラルキル基を表す。]
【0093】
8、R9、R10及びR11を表す炭素数1〜20の1価の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基及びイコシル基等の炭素数1〜20の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基及び2−エチルヘキシル基等の炭素数3〜20の分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基及びトリシクロデシル基等の炭素数3〜20の脂環式飽和炭化水素基が挙げられる。
【0094】
−CO28としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基及びイコシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0095】
−SO38としては、例えば、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基、プロポキシスルホニル基、tert−ブトキシスルホニル基、ヘキシルオキシスルホニル基及びイコシルオキシスルホニル基等が挙げられる。
【0096】
−SO2NR910としては、例えば、スルファモイル基;
N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N−プロピルスルファモイル基、N−イソプロピルスルファモイル基、N−ブチルスルファモイル基、N−イソブチルスルファモイル基、N−sec−ブチルスルファモイル基、N−tert−ブチルスルファモイル基、N−ペンチルスルファモイル基、N−(1−エチルプロピル)スルファモイル基、N−(1,1−ジメチルプロピル)スルファモイル基、N−(1,2−ジメチルプロピル)スルファモイル基、N−(2,2−ジメチルプロピル)スルファモイル基、N−(1−メチルブチル)スルファモイル基、N−(2−メチルブチル)スルファモイル基、N−(3−メチルブチル)スルファモイル基、N−シクロペンチルスルファモイル基、N−ヘキシルスルファモイル基、N−(1,3−ジメチルブチル)スルファモイル基、N−(3,3−ジメチルブチル)スルファモイル基、N−ヘプチルスルファモイル基、N−(1−メチルヘキシル)スルファモイル基、N−(1,4−ジメチルペンチル)スルファモイル基、N−オクチルスルファモイル基、N−(2−エチルヘキシル)スルファモイル基、N−(1,5−ジメチル)ヘキシルスルファモイル基、N−(1,1,2,2−テトラメチルブチル)スルファモイル基等のN−1置換スルファモイル基;N,N−ジメチルスルファモイル基、N,N−エチルメチルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基、N,N−プロピルメチルスルファモイル基、N,N−イソプロピルメチルスルファモイル基、N,N−tert−ブチルメチルスルファモイル基、N,N−ブチルエチルスルファモイル基、N,N−ビス(1−メチルプロピル)スルファモイル基、N,N−ヘプチルメチルスルファモイル基等のN,N−2置換スルファモイル基等が挙げられる。
【0097】
9及びR10は、互いに結合して窒素原子と一緒に3〜10員含窒素複素環を形成していてもよい。該複素環としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0098】
及びRを表す炭素数1〜10の1価の飽和炭化水素基としては、上記のうち炭素数1〜10のものが挙げられる。R及びRを表す炭素数1〜10の1価の飽和炭化水素基に含まれる水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、該飽和炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−、−CO−又は−NR11−で置き換わっていてもよい。
【0099】
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
ハロゲン原子で置換された飽和炭化水素基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基及びクロロブチル基等が挙げられる。
【0100】
6及びR7を表す炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基及びネオペンチル基等が挙げられる。
【0101】
11を表す炭素数7〜10のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基及びフェニルブチル基等が挙げられる。
【0102】
+は、+N(R114、Na+又はK+であり、好ましくは+N(R114である。
前記+N(R114としては、4つのR11のうち、少なくとも2つが炭素数5〜20の1価の飽和炭化水素基であることが好ましい。また、4つのR11の合計炭素数は20〜80が好ましく、20〜60がより好ましい。
【0103】
1及びRを表すフェニル基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、−R8、−OH、−OR8、−SO3H、−SO3-+、−CO2H、−CO28、−SR8、−SO28、−SO38及び−SO2NR910が挙げられる。これらの置換基の中でも、−R8が好ましく、炭素数1〜10の1価の飽和炭化水素基がより好ましい
。この場合の−SO3-+としては、−SO3-+N(R114が好ましい。
【0104】
−OR8としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基及びイコシルオキシ基等が挙げられる。
−SR8としては、例えば、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、ブチルスルファニル基、ヘキシルスルファニル基、デシルスルファニル基及びイコシルスルファニル基等が挙げられる。
−SO28としては、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、デシルスルホニル基及びイコシルスルホニル基等が挙げられる。
【0105】
及びRとしては、無置換の炭素数1〜10の1価の飽和炭化水素基が好ましく、炭素数1〜4の1価の飽和炭化水素基がより好ましく、メチル基及びエチル基がさらに好ましい。
【0106】
1及びRは互いに結合して、それらが結合する窒素原子と一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよく、R及びRは互いに結合して、それらが結合する窒素原子と一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよい。該窒素原子を含む環としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0107】
としては、−SO3H、−SO3-+及び−SO2NR910が好ましい。
及びRとしては、水素原子、メチル基及びエチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
mは、0〜2の整数が好ましく、0又は1であることがより好ましい。
【0108】
化合物(1)としては、式(2)で表される化合物が好ましい。
[式(2)中、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
p及びqは、それぞれ独立に、0〜5の整数を表す。pが2以上である場合、複数のR23は同一でも異なってもよく、qが2以上である場合、複数のR24は同一でも異なってもよい。]
【0109】
21、R22、R23及びR24を表す炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
21及びR22は、それぞれ独立に、メチル基及びエチル基であることが好ましい。R23及びR24は、メチル基が好ましい。
m及びnは、0〜2の整数が好ましく、0又は1であることがより好ましい。
【0110】
化合物(1)としては、式(3)で表される化合物が好ましい。
[式(3)中、R31及びR32は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
33及びR34は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
31、R32、R33及びR34を表す炭素数1〜4のアルキル基としては、前記と同じものが挙げられる。R31及びR32は、それぞれ独立に、メチル基又はエチル基であることが好ましい。R33及びR34は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0111】
化合物(1)としては、例えば、それぞれ式(1−1)〜式(1−7)で表される化合物が挙げられる。中でも、有機溶媒への溶解性に優れる点で、式(1−1)で表される化合物が好ましい。
【0112】
【0113】
化合物(1)の製造方法としては、式(1a)
で表される化合物と、式(1b)で表される化合物及び式(1c)で表される化合物
[式(1b)及び式(1c)中、R〜Rは、それぞれ上記と同じ意味を表す。]
とを、有機溶媒の存在下又は無溶媒で反応させる方法が挙げられる。収率の点から、無溶媒で反応させることが好ましい。反応温度は、30℃〜180℃が好ましく、80℃〜130℃がより好ましい。反応時間は、1時間〜12時間が好ましく、3時間〜8時間がより好ましい。
【0114】
前記有機溶媒としては、トルエン、キシレン等の炭化水素溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール溶媒;ニトロベンゼン等のニトロ化炭化水素溶媒;メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;1−メチル−2−ピロリドン等のアミド溶媒;等が挙げられる。
【0115】
式(1b)で表される化合物及び式(1c)で表される化合物の使用量は、式(1a)で表される化合物1モルに対して、それぞれ好ましくは1モル以上8モル以下であり、より好ましくは1モル以上5モル以下である。それぞれ段階的に反応させてもよいし、同時に反応させてもよい。
化合物(1)の製造が容易であるという点で、式(1b)で表される化合物と式(1c)で表される化合物とは同じ化合物であることが好ましい。
【0116】
反応混合物から目的化合物である化合物(1)を取得する方法は特に限定されず、公知の種々の手法が採用できる。例えば、反応混合物を酸(例えば、酢酸等)と共に混合し、析出した結晶を濾取することができる。前記酸は、予め酸の水溶液を調製してから、反応混合物を前記水溶液に添加することが好ましい。反応混合物を添加するときの温度は、好ましくは10℃以上50℃以下である。また、この後、同温度で0.5〜2時間程度攪拌することが好ましい。濾取した結晶は、水などで洗浄し、次いで乾燥することが好ましい。また必要に応じて、再結晶などの公知の手法によってさらに精製してもよい。
【0117】
顔料(P)としては、特に限定されず公知の顔料を使用することができ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されている顔料が挙げられる。
顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、194、214などの黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73などのオレンジ色の顔料;
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、209、215、216、224、242、254、255、264、265などの赤色顔料;
C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60などの青色顔料;C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38などのバイオレット色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、36、58などの緑色顔料;
C.I.ピグメントブラウン23、25などのブラウン色顔料;
C.I.ピグメントブラック1、7などの黒色顔料等が挙げられる。
【0118】
顔料(P)は、好ましくは、フタロシアニン顔料およびジオキサジン顔料であり、より好ましくは、、C.I.ピグメントブルー15:6及びピグメントバイオレット23からなる群から選ばれる少なくとも一種である。前記の顔料を含むことで、透過スペクトルの最適化が容易であり、カラーフィルタの耐光性及び耐薬品性が良好になる。
【0119】
顔料は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基又は塩基性基が導入された顔料誘導体等を用いた表面処理、高分子化合物等による顔料表面へのグラフト処理、硫酸微粒化法等による微粒化処理、又は不純物を除去するための有機溶剤や水等による洗浄処理、イオン性不純物のイオン交換法等による除去処理等が施されていてもよい。顔料の粒径は、それぞれ均一であることが好ましい。
顔料は、顔料分散剤を含有させて分散処理を行うことで、顔料分散剤が溶液の中で均一に分散した状態の顔料分散液とすることができる。顔料は、それぞれ単独で分散処理してもよいし、複数種を混合して分散処理してもよい。
【0120】
前記顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、ポリエステル系、ポリアミン系、アクリル系等の顔料分散剤等が挙げられる。これらの顔料分散剤は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。顔料分散剤としては、商品名でKP(信越化学工業(株)製)、フローレン(共栄社化学(株)製)、ソルスパース(ゼネカ(株)製)、EFKA(BASF社製)、アジスパー(味の素ファインテクノ(株)製)、Disperbyk(ビックケミー社製)等が挙げられる。
顔料分散剤を用いる場合、その使用量は、顔料100質量部に対して、好ましくは100質量部以下であり、より好ましくは5質量部以上50質量部以下である。顔料分散剤の使用量が前記の範囲にあると、均一な分散状態の顔料分散液が得られる傾向がある。
【0121】
化合物(A−I)の含有率は、着色剤(A)の総量に対して、好ましくは1質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上100質量%以下である。
染料(A1)を含む場合、その含有率は、着色剤(A)の総量に対して、好ましくは0.5質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは40質量%以上90質量%以下である。顔料(P)を含む場合、その含有率は、着色剤(A)の総量に対して、好ましくは35質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上70質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以上50質量%以下である。
着色剤(A)の含有率は、固形分の総量に対して、好ましくは5質量%以上70質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上60質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以上50質量%以下ある。着色剤(A)の含有率が前記の範囲内であると、所望とする分光や色濃度を得ることができる。
【0122】
本明細書において「固形分の総量」とは、本発明の着色硬化性樹脂組成物から溶剤(E)を除いた成分の合計量をいう。固形分の総量及びこれに対する各成分の含有量は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定することができる。
【0123】
<樹脂(B)>
樹脂(B)は、アルカリ可溶性樹脂(B)であることが好ましい。アルカリ可溶性樹脂(B)(以下「樹脂(B)」という場合がある)は、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも一種の単量体(a)に由来する構造単位を含む共重合体である。
このような樹脂(B)としては、以下の樹脂[K1]〜[K6]等が挙げられる。
樹脂[K1]不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも一種の単量体(a)(以下「(a)」という場合がある)と、炭素数2〜4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b)(以下「(b)」という場合がある)との共重合体;
樹脂[K2](a)と(b)と、(a)と共重合可能な単量体(c)(ただし、(a)及び(b)とは異なる。)(以下「(c)」という場合がある)との共重合体;
樹脂[K3](a)と(c)との共重合体;
樹脂[K4](a)と(c)との共重合体に(b)を反応させた樹脂;
樹脂[K5](b)と(c)との共重合体に(a)を反応させた樹脂;
樹脂[K6](b)と(c)との共重合体に(a)を反応させ、さらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂。
【0124】
(a)としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3−ビニルフタル酸、4−ビニルフタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、1、4−シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸類;
メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物類;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物等の不飽和ジカルボン酸類無水物;
こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル類;
α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和アクリレート類等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性の点や得られる樹脂のアルカリ水溶液への溶解性の点から、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等が好ましい。
【0125】
(b)は、例えば、炭素数2〜4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環からなる群から選ばれる少なくとも1種)とエチレン性不飽和結合とを有する重合性化合物をいう。
(b)は、炭素数2〜4の環状エーテルと(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体が好ましい。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も、同様の意味を有する。
【0126】
(b)としては、例えば、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b1)(以下「(b1)」という場合がある)、オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b2)(以下「(b2)」という場合がある)、テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b3)(以下「(b3)」という場合がある)等が挙げられる。
【0127】
(b1)としては、例えば、直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1−1)(以下「(b1−1)」という場合がある)、脂環式不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1−2)(以下「(b1−2)」という場合がある)が挙げられる。
【0128】
(b1−1)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,5−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,6−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,4−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,5−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,6−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、3,4,5−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4,6−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン等が挙げられる。
【0129】
(b1−2)としては、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(例えば、セロキサイド2000;(株)ダイセル製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーA400;(株)ダイセル製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーM100;(株)ダイセル製)、式(II)で表される化合物及び式(III)で表される化合物等が挙げられる。
【0130】
【0131】
[式(II)及び式(III)中、R及びRは、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。
及びXは、単結合、−R−、*−R−O−、*−R−S−又は*−R−NH−を表す。
は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
*は、Oとの結合手を表す。]
【0132】
炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
水素原子がヒドロキシで置換されたアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
及びRとしては、好ましくは水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基が挙げられ、より好ましくは水素原子、メチル基が挙げられる。
【0133】
炭素数1〜6のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基等が挙げられる。
及びXとしては、好ましくは単結合、メチレン基、エチレン基、*−CH−O−及び*−CHCH−O−が挙げられ、より好ましくは単結合、*−CHCH−O−が挙げられる(*はOとの結合手を表す)。
【0134】
式(II)で表される化合物としては、式(II−1)〜式(II−15)のいずれかで表される化合物等が挙げられる。中でも、式(II−1)、式(II−3)、式(II−5)、式(II−7)、式(II−9)又は式(II−11)〜式(II−15)で表される化合物が好ましく、式(II−1)、式(II−7)、式(II−9)又は式(II−15)で表される化合物がより好ましい。
【0135】
【0136】
【0137】
式(III)で表される化合物としては、式(III−1)〜式(III−15)のいずれかで表される化合物等が挙げられる。中でも、式(III−1)、式(III−3)、式(III−5)、式(III−7)、式(III−9)又は式(III−11)〜式(III−15)で表される化合物が好ましく、式(III−1)、式(III−7)、式(III−9)又は式(III−15)で表される化合物がより好ましい。
【0138】
【0139】
【0140】
式(II)で表される化合物及び式(III)で表される化合物は、それぞれ単独で用いても、式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物とを併用してもよい。これらを併用する場合、式(II)で表される化合物及び式(III)で表される化合物の含有比率はモル基準で、好ましくは5:95〜95:5、より好ましくは10:90〜90:10、さらに好ましくは20:80〜80:20である。
【0141】
(b2)としては、オキセタニル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。(b2)としては、3−メチル−3−メタクリルロイルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロイルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロイルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−アクリロイルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロイルオキシエチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3−エチル−3−アクリロイルオキシエチルオキセタン等が挙げられる。
【0142】
(b3)としては、テトラヒドロフリル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。(b3)としては、具体的には、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、ビスコートV#150、大阪有機化学工業(株)製)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
【0143】
(b)としては、得られるカラーフィルタの耐熱性、耐薬品性等の信頼性をより高くすることができる点で、(b1)であることが好ましい。さらに、着色硬化性樹脂組成物の保存安定性が優れるという点で、(b1−2)がより好ましい。
【0144】
(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート」といわれている。また、「トリシクロデシル(メタ)アクリレート」という場合がある。)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン−8−イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート」といわれている。)、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロパルギル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−tert−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(tert−ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のビシクロ不飽和化合物類;
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体類;
スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性及び耐熱性の点から、スチレン、ビニルトルエン、ベンジル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンが好ましい。
【0145】
樹脂[K1]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K1]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2〜60モル%
(b)に由来する構造単位;40〜98モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;10〜50モル%
(b)に由来する構造単位;50〜90モル%
であることがより好ましい。
樹脂[K1]の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、着色硬化性樹脂組成物の保存安定性、着色パターンを形成する際の現像性、及び得られるカラーフィルタの耐溶剤性に優れる傾向がある。
【0146】
樹脂[K1]は、例えば、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法及び当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
【0147】
具体的には、(a)及び(b)の所定量、重合開始剤及び溶剤等を反応容器中に入れて、例えば、窒素により酸素を置換することにより、脱酸素雰囲気にし、攪拌しながら、加熱及び保温する方法が挙げられる。なお、ここで用いられる重合開始剤及び溶剤等は、特に限定されず、当該分野で通常使用されているものを使用することができる。重合開始剤としては、例えば、アゾ化合物(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等)や有機過酸化物(ベンゾイルペルオキシド等)が挙げられ、溶剤としては、各モノマーを溶解するものであればよく、本発明の着色硬化性樹脂組成物の溶剤(E)として後述する溶剤等が挙げられる。
【0148】
なお、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。特に、この重合の際に溶剤として、本発明の着色硬化性樹脂組成物に含まれる溶剤を使用することにより、反応後の溶液をそのまま本発明の着色硬化性樹脂組成物の調製に使用することができるため、本発明の着色硬化性樹脂組成物の製造工程を簡略化することができる。
【0149】
樹脂[K2]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K2]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2〜45モル%
(b)に由来する構造単位;2〜95モル%
(c)に由来する構造単位;1〜65モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;5〜40モル%
(b)に由来する構造単位;5〜80モル%
(c)に由来する構造単位;5〜60モル%
であることがより好ましい。
樹脂[K2]の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、着色硬化性樹脂組成物の保存安定性、着色パターンを形成する際の現像性、並びに、得られるカラーフィルタの耐溶剤性、耐熱性及び機械強度に優れる傾向がある。
【0150】
樹脂[K2]は、例えば、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0151】
樹脂[K3]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K3]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2〜60モル%
(c)に由来する構造単位;40〜98モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;10〜50モル%
(c)に由来する構造単位;50〜90モル%
であることがより好ましい。
樹脂[K3]は、例えば、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0152】
樹脂[K4]は、(a)と(c)との共重合体を得て、(b)が有する炭素数2〜4の環状エーテルを(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物に付加させることにより製造することができる。
まず(a)と(c)との共重合体を、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造する。この場合、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K3]で挙げたもの同じ比率であることが好ましい。
【0153】
次に、前記共重合体中の(a)に由来するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物の一部に、(b)が有する炭素数2〜4の環状エーテルを反応させる。
(a)と(c)との共重合体の製造に引き続き、フラスコ内雰囲気を窒素から空気に置換し、(b)、カルボン酸又はカルボン酸無水物と環状エーテルとの反応触媒(例えばトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等)及び重合禁止剤(例えばハイドロキノン等)等をフラスコ内に入れて、例えば、60〜130℃で、1〜10時間反応することにより、樹脂[K4]を製造することができる。
(b)の使用量は、(a)100モルに対して、5〜80モルが好ましく、より好ましくは10〜75モルである。この範囲にすることにより、着色硬化性樹脂組成物の保存安定性、パターンを形成する際の現像性、並びに、得られるパターンの耐溶剤性、耐熱性、機械強度及び感度のバランスが良好になる傾向がある。環状エーテルの反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、樹脂[K4]に用いる(b)としては(b1)が好ましく、さらに(b1−1)が好ましい。
前記反応触媒の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計量100質量部に対して0.001〜5質量部が好ましい。前記重合禁止剤の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計量100質量部に対して0.001〜5質量部が好ましい。
仕込方法、反応温度及び時間等の反応条件は、製造設備や重合による発熱量等を考慮して適宜調整することができる。なお、重合条件と同様に、製造設備や重合による発熱量等を考慮し、仕込方法や反応温度を適宜調整することができる。
【0154】
樹脂[K5]は、第一段階として、上述した樹脂[K1]の製造方法と同様にして、(b)と(c)との共重合体を得る。上記と同様に、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
(b)及び(c)に由来する構造単位の比率は、前記の共重合体を構成する全構造単位の合計モル数に対して、それぞれ、
(b)に由来する構造単位;5〜95モル%
(c)に由来する構造単位;5〜95モル%
であることが好ましく、
(b)に由来する構造単位;10〜90モル%
(c)に由来する構造単位;10〜90モル%
であることがより好ましい。
【0155】
さらに、樹脂[K4]の製造方法と同様の条件で、(b)と(c)との共重合体が有する(b)に由来する環状エーテルに、(a)が有するカルボン酸又はカルボン酸無水物を反応させることにより、樹脂[K5]を得ることができる。
前記の共重合体に反応させる(a)の使用量は、(b)100モルに対して、5〜80モルが好ましい。環状エーテルの反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、樹脂[K5]に用いる(b)としては(b1)が好ましく、さらに(b1−1)が好ましい。
【0156】
樹脂[K6]は、樹脂[K5]に、さらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂である。環状エーテルとカルボン酸又はカルボン酸無水物との反応により発生するヒドロキシ基に、カルボン酸無水物を反応させる。
カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物等が挙げられる。カルボン酸無水物の使用量は、(a)の使用量1モルに対して、0.5〜1モルが好ましい。
【0157】
樹脂(B)としては、具体的に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K1];グリシジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/N−シクロヘキシルマレイミド共重合体、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/ビニルトルエン共重合体、3−メチル−3−(メタ)アクリルロイルオキシメチルオキセタン/(メタ)アクリル酸/スチレン共重合体等の樹脂[K2];ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、等の樹脂[K3];ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂等の樹脂[K4];トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂等の樹脂[K5];トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらにテトラヒドロフタル酸無水物を反応させた樹脂等の樹脂[K6]等が挙げられる。
【0158】
樹脂(B)は、好ましくは、樹脂[K1]、樹脂[K2]及び樹脂[K3]からなる群から選ばれる一種であり、より好ましくは、樹脂[K2]及び樹脂[K3]からなる群から選ばれる一種である。これらの樹脂であると着色硬化性樹脂組成物は現像性に優れる。着色パターンと基板との密着性の観点で、樹脂[K2]がさらに好ましい。
【0159】
樹脂(B)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜100,000であり、より好ましくは5,000〜50,000であり、さらに好ましくは5,000〜30,000である。分子量が前記の範囲にあると、塗膜硬度が向上し、残膜率も高く、未露光部の現像液に対する溶解性が良好で、着色パターンの解像度が向上する傾向がある。
樹脂(B)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1〜6であり、より好ましくは1.2〜4である。
【0160】
樹脂(B)の酸価は、好ましくは50〜170mg−KOH/gであり、より好ましくは60〜150mg−KOH/g、さらに好ましくは70〜135mg−KOH/gである。ここで酸価は樹脂(B)1gを中和するに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0161】
樹脂(B)の含有量は、固形分の総量に対して、好ましくは7〜65質量%であり、より好ましくは13〜60質量%であり、さらに好ましくは17〜55質量%である。樹脂(B)の含有量が、前記の範囲にあると、着色パターンが形成でき、また着色パターンの解像度及び残膜率が向上する傾向がある。
【0162】
<重合性化合物(C)>
重合性化合物(C)は、重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル及び/又は酸によって重合しうる化合物であり、例えば、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。
【0163】
エチレン性不飽和結合を1つ有する重合性化合物としては、例えば、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン等、並びに、上述の(a)、(b)及び(c)が挙げられる。
【0164】
エチレン性不飽和結合を2つ有する重合性化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0165】
中でも、重合性化合物(C)は、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する重合性化合物であることが好ましい。このような重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられ、中でも、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0166】
重合性化合物(C)の重量平均分子量は、好ましくは150以上2,900以下、より好ましくは250〜1,500以下である。
【0167】
重合性化合物(C)の含有量は、固形分の総量に対して、7〜65質量%であることが好ましく、より好ましくは13〜60質量%であり、さらに好ましくは17〜55質量%である。
また、樹脂(B)と重合性化合物(C)との含有量比〔樹脂(B):重合性化合物(C)〕は質量基準で、好ましくは20:80〜80:20であり、より好ましくは35:65〜80:20である。
重合性化合物(C)の含有量が、前記の範囲内にあると、着色パターン形成時の残膜率及びカラーフィルタの耐薬品性が向上する傾向がある。
【0168】
<重合開始剤(D)>
重合開始剤(D)は、光や熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始しうる化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。
重合開始剤(D)としては、O−アシルオキシム化合物、アルキルフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物、及びアシルホスフィンオキサイド化合物等が挙げられる。
【0169】
前記O−アシルオキシム化合物は、式(d1)で表される部分構造を有する化合物である。以下、*は結合手を表す。
前記O−アシルオキシム化合物としては、例えば、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)−3−シクロペンチルプロパン−1−オン−2−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−{2−メチル−4−(3,3−ジメチル−2,4−ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−シクロペンチルプロパン−1−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−シクロペンチルプロパン−1−オン−2−イミン等が挙げられる。イルガキュアOXE01、OXE02(以上、BASF社製)、N−1919(ADEKA社製)等の市販品を用いてもよい。中でも、O−アシルオキシム化合物は、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン及びN−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)−3−シクロペンチルプロパン−1−オン−2−イミンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミンがより好ましい。
【0170】
前記アルキルフェノン化合物は、例えば、式(d2)で表される部分構造又は式(d3)で表される部分構造を有する化合物である。これらの部分構造中、ベンゼン環は置換基を有していてもよい。
【0171】
式(d2)で表される部分構造を有する化合物としては、例えば、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジルブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]ブタン−1−オン等が挙げられる。イルガキュア369、907、379(以上、BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
式(d3)で表される部分構造を有する化合物としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−イソプロペニルフェニル)プロパン−1−オンのオリゴマー、α,α−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
感度の点で、アルキルフェノン化合物としては、式(d2)で表される部分構造を有する化合物が好ましい。
【0172】
前記ビイミダゾール化合物は、例えば、式(d5)で表される化合物である。
[式(d5)中、R13〜R18は、置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基を表す。]
【0173】
炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、エチルフェニル基及びナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等挙げられ、好ましくは塩素原子である。炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等挙げられ、好ましくはメトキシ基である。
【0174】
ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平6−75372号公報、特開平6−75373号公報等参照。)、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48−38403号公報、特開昭62−174204号公報等参照。)、4,4’,5,5’−位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているイミダゾール化合物(例えば、特開平7−10913号公報等参照)等が挙げられる。中でも、下記式で表される化合物及びこれらの混合物が好ましい。
【0175】
前記トリアジン化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0176】
前記アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0177】
さらに重合開始剤(D)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10−フェナンスレンキノン、2−エチルアントラキノン、カンファーキノン等のキノン化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。
これらは、後述の重合開始助剤(D1)(特にアミン類)と組み合わせて用いることが好ましい。
【0178】
重合開始剤(D)は、好ましくは、アルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、O−アシルオキシム化合物及びビイミダゾール化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む重合開始剤であり、より好ましくは、O−アシルオキシム化合物を含む重合開始剤である。
【0179】
重合開始剤(D)の含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1〜40質量部であり、より好ましくは1〜30質量部である。
【0180】
<重合開始助剤(D1)>
重合開始助剤(D1)は、重合開始剤によって重合が開始された重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。重合開始助剤(D1)を含む場合、通常、重合開始剤(D)と組み合わせて用いられる。
重合開始助剤(D1)としては、アミン化合物、アルコキシアントラセン化合物、チオキサントン化合物及びカルボン酸化合物等が挙げられる。
【0181】
前記アミン化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられ、中でも4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。EAB−F(保土谷化学工業(株)製)等の市販品を用いてもよい。
【0182】
前記アルコキシアントラセン化合物としては、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジブトキシアントラセン等が挙げられる。
【0183】
前記チオキサントン化合物としては、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0184】
前記カルボン酸化合物としては、フェニルスルファニル酢酸、メチルフェニルスルファニル酢酸、エチルフェニルスルファニル酢酸、メチルエチルフェニルスルファニル酢酸、ジメチルフェニルスルファニル酢酸、メトキシフェニルスルファニル酢酸、ジメトキシフェニルスルファニル酢酸、クロロフェニルスルファニル酢酸、ジクロロフェニルスルファニル酢酸、N−フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N−ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸等が挙げられる。
【0185】
これらの重合開始助剤(D1)を用いる場合、その含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部である。重合開始助剤(D1)の量がこの範囲内にあると、さらに高感度で着色パターンを形成することができ、カラーフィルタの生産性が向上する傾向にある。
【0186】
<溶剤(E)>
溶剤(E)は、特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。例えば、エステル溶剤(分子内に−COO−を含み、−O−を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に−O−を含み、−COO−を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に−COO−と−O−とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に−CO−を含み、−COO−を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、−O−、−CO−及び−COO−を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0187】
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテート、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
【0188】
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール、メチルアニソール等が挙げられる。
【0189】
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0190】
ケトン溶剤としては、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン等が挙げられる。
【0191】
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等が挙げられる。
アミド溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0192】
これらの溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−1−ブタノール、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−1−ブタノール、3−エトキシプロピオン酸エチル、N−メチルピロリドンがより好ましい。
【0193】
溶剤(E)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物の総量に対して、好ましくは70〜95質量%であり、より好ましくは75〜92質量%である。言い換えると、着色硬化性樹脂組成物の固形分は、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは8〜25質量%である。溶剤(E)の含有量が前記の範囲にあると、塗布時の平坦性が良好になり、またカラーフィルタを形成した際に色濃度が不足しないために表示特性が良好となる傾向がある。
【0194】
<レベリング剤(F)>
レベリング剤(F)としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、側鎖に重合性基を有していてもよい。
シリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH8400(商品名:東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF4446、TSF4452及びTSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
【0195】
前記のフッ素系界面活性剤としては、分子内にフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、フロラード(登録商標)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同F554、同R30、同RS−718−K(DIC(株)製)、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)及びE5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)等が挙げられる。
【0196】
前記のフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477及び同F443(DIC(株)製)等が挙げられる。
【0197】
レベリング剤(F)を含有する場合、その含有量は、着色硬化性樹脂組成物の総量に対して、好ましくは0.001質量%以上0.2質量%以下であり、より好ましくは0.002質量%以上0.1質量%以下、さらに好ましくは0.005質量%以上0.07質量%以下である。レベリング剤(F)の含有量が前記の範囲内にあると、カラーフィルタの平坦性を良好にすることができる。
【0198】
<その他の成分>
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、光安定剤、連鎖移動剤等、当該技術分野で公知の添加剤を含んでもよい。
【0199】
<着色硬化性樹脂組成物の製造方法>
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、例えば、着色剤(A)、樹脂(B)、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)、並びに溶剤(E)、必要に応じて用いられる、レベリング剤(F)、重合開始助剤(D1)及びその他の成分を混合することにより調製できる。
顔料(P)を含む場合の顔料は、予め溶剤(E)の一部又は全部と混合し、顔料の平均粒子径が0.2μm以下程度となるまで、ビーズミルなどを用いて分散させることが好ましい。この際、必要に応じて前記顔料分散剤、樹脂(B)の一部又は全部を配合してもよい。このようにして得られた顔料分散液に、残りの成分を、所定の濃度となるように混合することにより、目的の着色硬化性樹脂組成物を調製できる。
化合物(1)は、予め溶剤(E)の一部又は全部に溶解させて溶液を調製することが好ましい。該溶液を、孔径0.01〜1μm程度のフィルタでろ過することが好ましい。
混合後の着色硬化性樹脂組成物を、孔径0.01〜10μm程度のフィルタでろ過することが好ましい。
【0200】
<カラーフィルタの製造方法>
本発明の着色硬化性樹脂組成物から着色パターンを製造する方法としては、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。中でも、フォトリソグラフ法が好ましい。フォトリソグラフ法は、前記着色硬化性樹脂組成物を基板に塗布し、乾燥させて着色組成物層を形成し、フォトマスクを介して該着色組成物層を露光して、現像する方法である。フォトリソグラフ法において、露光の際にフォトマスクを用いないこと、及び/又は現像しないことにより、上記着色組成物層の硬化物である着色塗膜を形成することができる。このように形成した着色パターンや着色塗膜が本発明のカラーフィルタである。
作製するカラーフィルタの膜厚は、特に限定されず、目的や用途等に応じて適宜調整することができ、例えば、0.1〜30μm、好ましくは0.1〜20μm、さらに好ましくは0.5〜6μmである。
【0201】
基板としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板、シリコン、前記基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜などを形成したものが用いられる。これらの基板上には、別のカラーフィルタ層、樹脂層、トランジスタ、回路等が形成されていてもよい。
【0202】
フォトリソグラフ法による各色画素の形成は、公知又は慣用の装置や条件で行うことができる。例えば、下記のようにして作製することができる。
まず、着色硬化性樹脂組成物を基板上に塗布し、加熱乾燥(プリベーク)及び/又は減圧乾燥することにより溶剤等の揮発成分を除去して乾燥させ、平滑な着色組成物層を得る。
塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、スリット アンド スピンコート法等が挙げられる。
加熱乾燥を行う場合の温度は、30〜120℃が好ましく、50〜110℃がより好ましい。また加熱時間としては、10秒間〜60分間であることが好ましく、30秒間〜30分間であることがより好ましい。
減圧乾燥を行う場合は、50〜150Paの圧力下、20〜25℃の温度範囲で行うことが好ましい。
着色組成物層の膜厚は、特に限定されず、目的とするカラーフィルタの膜厚に応じて適宜選択すればよい。
【0203】
次に、着色組成物層は、目的の着色パターンを形成するためのフォトマスクを介して露光される。該フォトマスク上のパターンは特に限定されず、目的とする用途に応じたパターンが用いられる。
露光に用いられる光源としては、250〜450nmの波長の光を発生する光源が好ましい。例えば、350nm未満の光を、この波長域をカットするフィルタを用いてカットしたり、436nm付近、408nm付近、365nm付近の光を、これらの波長域を取り出すバンドパスフィルタを用いて選択的に取り出したりしてもよい。具体的には、光源としては、水銀灯、発光ダイオード、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。
露光面全体に均一に平行光線を照射したり、フォトマスクと着色組成物層が形成された基板との正確な位置合わせを行うことができるため、マスクアライナ及びステッパ等の露光装置を使用することが好ましい。
【0204】
露光後の着色組成物層を現像液に接触させて現像することにより、基板上に着色パターンが形成される。現像により、着色組成物層の未露光部が現像液に溶解して除去される。現像液としては、例えば、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等のアルカリ性化合物の水溶液が好ましい。これらのアルカリ性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.03〜5質量%である。さらに、現像液は、界面活性剤を含んでいてもよい。
現像方法は、パドル法、ディッピング法及びスプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基板を任意の角度に傾けてもよい。
現像後は、水洗することが好ましい。
【0205】
さらに、得られた着色パターンに、ポストベークを行うことが好ましい。ポストベーク温度は、150〜250℃が好ましく、160〜235℃がより好ましい。ポストベーク時間は、1〜120分間が好ましく、10〜60分間がより好ましい。
【0206】
本発明の化合物は、吸光度が高いことから、これを用いた着色硬化性樹脂組成物により、特に高明度なカラーフィルタを製造できる。該カラーフィルタは、表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL装置、電子ペーパー等)及び固体撮像素子に用いられるカラーフィルタとして有用である。
【実施例】
【0207】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特に断らないかぎり質量基準である。
以下において、化合物の構造は質量分析(LC;Agilent製1200型、MASS;Agilent製LC/MSD型)で確認した。
【0208】
実施例1
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、チオシアン酸カリウム36.3部およびアセトン160.0部を投入した後、室温下で30分攪拌した。次いで、安息香酸クロリド(東京化成(株)社製)50.0部を10分かけて滴下した。滴下終了後、さらに室温下で2時間攪拌した。次いで、反応混合物を氷冷した後、N−エチル−o−トルイジン(東京化成(株)社製)45.7部を滴下した。滴下終了後、さらに室温下で30分攪拌した。次いで、反応混合物を氷冷した後、30%水酸化ナトリウム水溶液34.2部を滴下した。滴下終了後、さらに室温下で30分攪拌した。次いで、室温下クロロ酢酸35.3部を滴下した。滴下終了後、加熱還流下で7時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温まで放冷した後、反応溶液を水道水120.0部の中に注いだ後、トルエン200部を加えて30分攪拌した。ついで攪拌を停止し、30分静置したところ、有機層と水層に分離した。水層を分液操作で廃棄した後、有機層を一規定塩酸200部で洗浄し、次いで水道水200部で洗浄し、最後に飽和食塩水200部で洗浄した。有機層へ適当量のボウショウを加えて30分攪拌した後、ろ過して乾燥された有機層を得た。得られた有機層をエバポレーターで溶媒留去して、淡黄色液体を得た。得られた淡黄色液体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した淡黄色液体を減圧下60℃で乾燥し、式(B−I−1)で表される化合物を52.0部得た。収率50%
【0209】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(B−I−1)で表される化合物9.3部、4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(東京化成(株)社製)10.0部およびトルエン20.0部を投入した後、次いで、オキシ塩化リン14.8部を加えて95〜100℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、イソプロパノール170.0部で希釈した。次いで、希釈した反応溶液を飽和食塩水300.0部の中に注いだ後、トルエン100部を加えて30分攪拌した。ついで攪拌を停止し、30分静置したところ、有機層と水層に分離した。水層を分液操作で廃棄した後、有機層を飽和食塩水300部で洗浄した。有機層へ適当量のボウショウを加えて30分攪拌した後、ろ過して乾燥された有機層を得た。得られた有機層をエバポレーターで溶媒留去して、青紫色固体を得た。さらに青紫色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−II−1)で表される化合物を19.8部得た。収率100%
【0210】
式(A−II−1)で表される化合物の同定
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z= 601.3[M−Cl]+
Exact Mass: 636.3
【0211】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(A−II−1)で表される化合物10.0部、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(東京化成(株)社製)4.5部、およびN,N−ジメチルホルムアミド100.0部を投入した後、50〜60℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、水道水2000.0部へ1時間攪拌しながら滴下すると、暗青色懸濁液が得られた。得られた懸濁液をろ過すると、青緑色固体を得られた。さらに青緑色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−I−1)で表される化合物を11.3部得た。収率82%
【0212】
式(A−I−1)で表される化合物0.35gをクロロホルムに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmをイオン交換水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=628nmで吸光度2.9(任意単位)を示した。
【0213】
合成例1
還流冷却器、滴下ロート及び撹拌機を備えたフラスコ内に窒素を適量流して窒素雰囲気とし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部を入れ、撹拌しながら85℃まで加熱した。次いで、該フラスコ内に、メタクリル酸19部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルアクリレート及び3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルアクリレートの混合物(含有比はモル比で50:50)(商品名「E−DCPA」、株式会社ダイセル製)171部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40部に溶解した溶液を滴下ポンプを用いて約5時間かけて滴下した。一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)26部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート120部に溶解した溶液を別の滴下ポンプを用いて約5時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の滴下が終了した後、約3時間同温度に保持し、その後室温まで冷却して、固形分43.5%の共重合体(樹脂(B−1)の溶液を得た。得られた樹脂(B−1の重量平均分子量は8000、分子量分布は1.98、固形分換算の酸価は53mg−KOH/gであった。
【0214】
樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定は、GPC法により以下の条件で行った。
装置 ;HLC−8120GPC(東ソー(株)製)
カラム ;TSK−GELG2000HXL
カラム温度 ;40℃
溶媒 ;THF
流速 ;1.0mL/min
被検液固形分濃度;0.001〜0.01質量%
注入量 ;50μL
検出器 ;RI
校正用標準物質 ;TSK STANDARD POLYSTYRENE
F−40、F−4、F−288、A−2500、A−500
(東ソー(株)製)
上記で得られたポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量の比(Mw/Mn)を分子量分布とした。
【0215】
合成例2
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計、ガス導入管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート250.4部を取り、窒素置換しながら攪拌し120℃ に昇温した。次にメタクリル酸37.4部、ベンジルメタアクリレート61.3部 、グリシジルメタアクリレート18.5部、およびトリシクロデカン骨格を有するモノメタアクリレート(日立化成(株)製FA−513M)19.2部からなるモノマー混合物にt−ブチルヒドロパーオキサイド(日本油脂(株)製パーブチルO)6.13部を添加した。このものを滴下ロートから2時間かけてフラスコに滴下し、更に120℃で2時間攪拌し続けエージングを行った。次に、フラスコ内を空気置換に替え、アクリル酸10.6部にトリスジメチルアミノメチルフェノール(DMP−30)0.9部およびハイドロキノン0 .145部を、上記エージングした中に投入し、120℃ で6時間反応を続けて、固形分38.4質量%、酸価122mg−KOH/gの共重合体(樹脂(B−2)の溶液を得た。得られた樹脂(B−2)の重量平均分子量Mwは、10700、分子量分布は2.18であった。重量平均分子量及び分子量分布は、樹脂(B−1)と同様の方法により測定した。
【0216】
合成例3
水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)2.00部にメタノール50部を加え、溶解させた。さらに、2,6−ジヒドロキシ安息香酸(東京化成工業(株)製)15.41部とホウ酸(和光純薬工業(株)製)3.09部を加え、65℃で8.5時間撹拌した。該混合液を室温まで冷却した後、析出物を吸引濾過で取得し、イオン交換水237部で洗浄し、式(BC−1−Na)で表される化合物を10.90部得た。
【0217】
【0218】
実施例2
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(A−II−1)で表される化合物10.0部、式(BC−1−Na)で表される化合物5.3部、およびN,N−ジメチルホルムアミド100.0部を投入した後、50〜60℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、水道水2000.0部へ一時間攪拌しながら滴下すると、暗青色懸濁液が得られた。得られた懸濁液をろ過すると、青緑色固体を得られた。さらに青緑色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−I−3)で表される化合物を12.0部得た。収率83%
【0219】
式(A−I−3)で表される化合物0.35gをクロロホルムに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmをイオン交換水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=628nmで吸光度2.6(任意単位)を示した。
【0220】
実施例3
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(A−II−1)で表される化合物10.0部、タングストケイ酸水和物(SIGMA-ALDRICH社製)14.1部、およびN,N−ジメチルホルムアミド100.0部を投入した後、50〜60℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、水道水2000.0部へ一時間攪拌しながら滴下すると、暗青色懸濁液が得られた。得られた懸濁液をろ過すると、青緑色固体を得られた。さらに青緑色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−I−4)で表される化合物を17.3部得た。収率83%
【0221】
式(A−I−4)で表される化合物0.35gをクロロホルムに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmをイオン交換水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=638nmで吸光度1.5(任意単位)を示した。
【0222】
実施例4
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、チオシアン酸カリウム32.2部およびアセトン160.0部を投入した後、室温下で30分攪拌した。次いで、2−フルオロ安息香酸クロリド(東京化成(株)社製)50.0部を10分かけて滴下した。滴下終了後、さらに室温下で2時間攪拌した。次いで、反応混合物を氷冷した後、N−エチル−o−トルイジン(東京化成(株)社製)40.5部を滴下した。滴下終了後、さらに室温下で30分攪拌した。次いで、反応混合物を氷冷した後、30%水酸化ナトリウム水溶液34.2部を滴下した。滴下終了後、さらに室温下で30分攪拌した。次いで、室温下クロロ酢酸31.3部を滴下した。滴下終了後、加熱還流下で7時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温まで放冷した後、反応溶液を水道水120.0部の中に注いだ後、トルエン200部を加えて30分攪拌した。ついで攪拌を停止し、30分静置したところ、有機層と水層に分離した。水層を分液操作で廃棄した後、有機層を一規定塩酸200部で洗浄し、次いで水道水200部で洗浄し、最後に飽和食塩水200部で洗浄した。有機層へ適当量のボウショウを加えて30分攪拌した後、ろ過して乾燥された有機層を得た。得られた有機層をエバポレーターで溶媒留去して、淡黄色液体を得た。得られた淡黄色液体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した淡黄色液体を減圧下60℃で乾燥し、式(B−I−7)で表される化合物を49.9部得た。収率51%
【0223】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(B−I−7)で表される化合物9.9部、4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(東京化成(株)社製)10.0部およびトルエン20.0部を投入した後、次いで、オキシ塩化リン14.8部を加えて95〜100℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、イソプロパノール170.0部で希釈した。次いで、希釈した反応溶液を飽和食塩水300.0部の中に注いだ後、トルエン100部を加えて30分攪拌した。ついで攪拌を停止し、30分静置したところ、有機層と水層に分離した。水層を分液操作で廃棄した後、有機層を飽和食塩水300部で洗浄した。有機層へ適当量のボウショウを加えて30分攪拌した後、ろ過して乾燥された有機層を得た。得られた有機層をエバポレーターで溶媒留去して、青紫色固体を得た。得られた青紫色固体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した青紫色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−II−7)で表される化合物を17.2部得た。収率85%
【0224】
式(A−II−7)で表される化合物の同定
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z= 619.3[M−Cl]+
Exact Mass: 654.3
【0225】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(A−II−7)で表される化合物10.0部、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(東京化成(株)社製)5.7部、およびN,N−ジメチルホルムアミド30.0部を投入した後、40℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、水道水500.0部へ一時間攪拌しながら滴下すると、暗青色懸濁液が得られた。得られた懸濁液をろ過すると、青緑色固体を得られた。さらに青緑色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−I−7)で表される化合物を11.9部得た。収率86%
【0226】
式(A−I−7)で表される化合物0.35gをクロロホルムに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmをイオン交換水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=630nmで吸光度3.1(任意単位)を示した。
【0227】
実施例5
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、チオシアン酸カリウム23.3部およびアセトン160.0部を投入した後、室温下で30分攪拌した。次いで、2−ブロモ安息香酸クロリド(東京化成(株)社製)50.0部を10分かけて滴下した。滴下終了後、さらに室温下で2時間攪拌した。次いで、反応混合物を氷冷した後、N−エチル−o−トルイジン(東京化成(株)社製)29.3部を滴下した。滴下終了後、さらに室温下で30分攪拌した。次いで、反応混合物を氷冷した後、30%水酸化ナトリウム水溶液34.2部を滴下した。滴下終了後、さらに室温下で30分攪拌した。次いで、室温下クロロ酢酸22.6部を滴下した。滴下終了後、加熱還流下で7時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温まで放冷した後、反応溶液を水道水120.0部の中に注いだ後、トルエン200部を加えて30分攪拌した。ついで攪拌を停止し、30分静置したところ、有機層と水層に分離した。水層を分液操作で廃棄した後、有機層を一規定塩酸200部で洗浄し、次いで水道水200部で洗浄し、最後に飽和食塩水200部で洗浄した。有機層へ適当量のボウショウを加えて30分攪拌した後、ろ過して乾燥された有機層を得た。得られた有機層をエバポレーターで溶媒留去して、淡黄色液体を得た。得られた淡黄色液体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した淡黄色液体を減圧下60℃で乾燥し、式(B−I−8)で表される化合物を41.6部得た。収率45%
【0228】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(B−I−8)で表される化合物12.9部、4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(東京化成(株)社製)10.0部およびトルエン20.0部を投入した後、次いで、オキシ塩化リン14.8部を加えて95〜100℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、イソプロパノール170.0部で希釈した。次いで、希釈した反応溶液を飽和食塩水300.0部の中に注いだ後、トルエン100部を加えて30分攪拌した。ついで攪拌を停止し、30分静置したところ、有機層と水層に分離した。水層を分液操作で廃棄した後、有機層を飽和食塩水300部で洗浄した。有機層へ適当量のボウショウを加えて30分攪拌した後、ろ過して乾燥された有機層を得た。得られた有機層をエバポレーターで溶媒留去して、青紫色固体を得た。得られた青紫色固体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した青紫色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−II−8)で表される化合物を17.6部得た。収率80%
【0229】
式(A−II−8)で表される化合物の同定
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z= 679.3[M−Cl]+
Exact Mass: 714.2
【0230】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(A−II−8)で表される化合物10.0部、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(東京化成(株)社製)5.2部、およびN,N−ジメチルホルムアミド30.0部を投入した後、40℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、水道水500.0部へ一時間攪拌しながら滴下すると、暗青色懸濁液が得られた。得られた懸濁液をろ過すると、青緑色固体を得られた。さらに青緑色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−I−8)で表される化合物を12.9部得た。収率96%
【0231】
式(A−I−8)で表される化合物0.35gをクロロホルムに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmをイオン交換水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=632nmで吸光度2.6(任意単位)を示した。
【0232】
実施例6
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、チオシアン酸カリウム33.0部およびアセトン160.0部を投入した後、室温下で30分攪拌した。次いで、2−メチル安息香酸クロリド(東京化成(株)社製)50.0部を10分かけて滴下した。滴下終了後、さらに室温下で2時間攪拌した。次いで、反応混合物を氷冷した後、N−エチル−o−トルイジン(東京化成(株)社製)41.6部を滴下した。滴下終了後、さらに室温下で30分攪拌した。次いで、反応混合物を氷冷した後、30%水酸化ナトリウム水溶液34.2部を滴下した。滴下終了後、さらに室温下で30分攪拌した。次いで、室温下クロロ酢酸32.1部を滴下した。滴下終了後、加熱還流下で7時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温まで放冷した後、反応溶液を水道水120.0部の中に注いだ後、トルエン200部を加えて30分攪拌した。ついで攪拌を停止し、30分静置したところ、有機層と水層に分離した。水層を分液操作で廃棄した後、有機層を一規定塩酸200部で洗浄し、次いで水道水200部で洗浄し、最後に飽和食塩水200部で洗浄した。有機層へ適当量のボウショウを加えて30分攪拌した後、ろ過して乾燥された有機層を得た。得られた有機層をエバポレーターで溶媒留去して、淡黄色液体を得た。得られた淡黄色液体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した淡黄色液体を減圧下60℃で乾燥し、式(B−I−9)で表される化合物を40.5部得た。収率41%
【0233】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(B−I−9)で表される化合物9.7部、4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(東京化成(株)社製)10.0部およびトルエン20.0部を投入した後、次いで、オキシ塩化リン14.8部を加えて95〜100℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、イソプロパノール170.0部で希釈した。次いで、希釈した反応溶液を飽和食塩水300.0部の中に注いだ後、トルエン100部を加えて30分攪拌した。ついで攪拌を停止し、30分静置したところ、有機層と水層に分離した。水層を分液操作で廃棄した後、有機層を飽和食塩水300部で洗浄した。有機層へ適当量のボウショウを加えて30分攪拌した後、ろ過して乾燥された有機層を得た。得られた有機層をエバポレーターで溶媒留去して、青紫色固体を得た。得られた青紫色固体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した青紫色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−II−9)で表される化合物を15.1部得た。収率75%
【0234】
式(A−II−9)で表される化合物の同定
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z= 615.4[M−Cl]+
Exact Mass: 650.3
【0235】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(A−II−9)で表される化合物10.0部、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(東京化成(株)社製)5.7部、およびN,N−ジメチルホルムアミド30.0部を投入した後、40℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、水道水500.0部へ一時間攪拌しながら滴下すると、暗青色懸濁液が得られた。得られた懸濁液をろ過すると、青緑色固体を得られた。さらに青緑色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−I−9)で表される化合物を13.2部得た。収率96%
【0236】
式(A−I−9)で表される化合物0.35gをクロロホルムに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmをイオン交換水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=627nmで吸光度2.7(任意単位)を示した。
【0237】
実施例7
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、チオシアン酸カリウム24.5部およびアセトン160.0部を投入した後、室温下で30分攪拌した。次いで、2−トリフルオロメチル安息香酸クロリド(東京化成(株)社製)50.0部を10分かけて滴下した。滴下終了後、さらに室温下で2時間攪拌した。次いで、反応混合物を氷冷した後、N−エチル−o−トルイジン(東京化成(株)社製)30.8部を滴下した。滴下終了後、さらに室温下で30分攪拌した。次いで、反応混合物を氷冷した後、30%水酸化ナトリウム水溶液34.2部を滴下した。滴下終了後、さらに室温下で30分攪拌した。次いで、室温下クロロ酢酸23.8部を滴下した。滴下終了後、加熱還流下で7時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温まで放冷した後、反応溶液を水道水120.0部の中に注いだ後、トルエン200部を加えて30分攪拌した。ついで攪拌を停止し、30分静置したところ、有機層と水層に分離した。水層を分液操作で廃棄した後、有機層を一規定塩酸200部で洗浄し、次いで水道水200部で洗浄し、最後に飽和食塩水200部で洗浄した。有機層へ適当量のボウショウを加えて30分攪拌した後、ろ過して乾燥された有機層を得た。得られた有機層をエバポレーターで溶媒留去して、淡黄色液体を得た。得られた淡黄色液体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した淡黄色液体を減圧下60℃で乾燥し、式(B−I−10)で表される化合物を31.1部得た。収率36%
【0238】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(B−I−10)で表される化合物11.4部、4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(東京化成(株)社製)10.0部およびトルエン20.0部を投入した後、次いで、オキシ塩化リン14.8部を加えて95〜100℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、イソプロパノール170.0部で希釈した。次いで、希釈した反応溶液を飽和食塩水300.0部の中に注いだ後、トルエン100部を加えて30分攪拌した。ついで攪拌を停止し、30分静置したところ、有機層と水層に分離した。水層を分液操作で廃棄した後、有機層を飽和食塩水300部で洗浄した。有機層へ適当量のボウショウを加えて30分攪拌した後、ろ過して乾燥された有機層を得た。得られた有機層をエバポレーターで溶媒留去して、青紫色固体を得た。得られた青紫色固体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した青紫色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−II−10)で表される化合物を15.2部得た。収率70%
【0239】
式(A−II−10)で表される化合物の同定
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z= 669.3[M−Cl]+
Exact Mass: 704.3
【0240】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(A−II−10)で表される化合物10.0部、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(東京化成(株)社製)4.1部、およびN,N−ジメチルホルムアミド30.0部を投入した後、40℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、水道水500.0部へ一時間攪拌しながら滴下すると、暗青色懸濁液が得られた。得られた懸濁液をろ過すると、青緑色固体を得られた。さらに青緑色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−I−10)で表される化合物を11.4部得た。収率85%
【0241】
式(A−I−10)で表される化合物0.35gをクロロホルムに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmをイオン交換水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=631nmで吸光度1.9(任意単位)を示した。
【0242】
実施例8
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、チオシアン酸カリウム33.0部およびアセトン160.0部を投入した後、室温下で30分攪拌した。次いで、2−メチル安息香酸クロリド(東京化成(株)社製)50.0部を10分かけて滴下した。滴下終了後、さらに室温下で2時間攪拌した。次いで、反応混合物を氷冷した後、ジブチルアミン(東京化成(株)社製)39.7部を滴下した。滴下終了後、さらに室温下で30分攪拌した。次いで、反応混合物を氷冷した後、30%水酸化ナトリウム水溶液34.2部を滴下した。滴下終了後、さらに室温下で30分攪拌した。次いで、室温下クロロ酢酸32.1部を滴下した。滴下終了後、加熱還流下で7時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温まで放冷した後、反応溶液を水道水120.0部の中に注いだ後、トルエン200部を加えて30分攪拌した。ついで攪拌を停止し、30分静置したところ、有機層と水層に分離した。水層を分液操作で廃棄した後、有機層を一規定塩酸200部で洗浄し、次いで水道水200部で洗浄し、最後に飽和食塩水200部で洗浄した。有機層へ適当量のボウショウを加えて30分攪拌した後、ろ過して乾燥された有機層を得た。得られた有機層をエバポレーターで溶媒留去して、淡黄色液体を得た。得られた淡黄色液体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した淡黄色液体を減圧下60℃で乾燥し、式(B−I−11)で表される化合物を70.0部得た。収率72%
【0243】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(B−I−11)で表される化合物9.6部、4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(東京化成(株)社製)10.0部およびトルエン20.0部を投入した後、次いで、オキシ塩化リン14.8部を加えて95〜100℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、イソプロパノール170.0部で希釈した。次いで、希釈した反応溶液を飽和食塩水300.0部の中に注いだ後、トルエン100部を加えて30分攪拌した。ついで攪拌を停止し、30分静置したところ、有機層と水層に分離した。水層を分液操作で廃棄した後、有機層を飽和食塩水300部で洗浄した。有機層へ適当量のボウショウを加えて30分攪拌した後、ろ過して乾燥された有機層を得た。得られた有機層をエバポレーターで溶媒留去して、青紫色固体を得た。得られた青紫色固体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した青紫色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−II−11)で表される化合物を19.7部得た。収率98%
【0244】
式(A−II−11)で表される化合物の同定
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z= 609.4[M−Cl]+
Exact Mass: 644.4
【0245】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(A−II−11)で表される化合物10.0部、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(東京化成(株)社製)4.4部、およびN,N−ジメチルホルムアミド30.0部を投入した後、40℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、水道水500.0部へ一時間攪拌しながら滴下すると、暗青色懸濁液が得られた。得られた懸濁液をろ過すると、青緑色固体を得られた。さらに青緑色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−I−11)で表される化合物を11.7部得た。収率85%
【0246】
式(A−I−11)で表される化合物0.35gをクロロホルムに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmをイオン交換水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=613nmで吸光度3.0(任意単位)を示した。
【0247】
実施例9
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、チオシアン酸カリウム29.2部およびアセトン160.0部を投入した後、室温下で30分攪拌した。次いで、2−クロロ安息香酸クロリド(東京化成(株)社製)50.0部を10分かけて滴下した。滴下終了後、さらに室温下で2時間攪拌した。次いで、反応混合物を氷冷した後、ビス(2−エトキシエチル)アミン(東京化成(株)社製)43.8部を滴下した。滴下終了後、さらに室温下で30分攪拌した。次いで、反応混合物を氷冷した後、30%水酸化ナトリウム水溶液34.2部を滴下した。滴下終了後、さらに室温下で30分攪拌した。次いで、室温下クロロ酢酸28.4部を滴下した。滴下終了後、加熱還流下で7時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温まで放冷した後、反応溶液を水道水120.0部の中に注いだ後、トルエン200部を加えて30分攪拌した。ついで攪拌を停止し、30分静置したところ、有機層と水層に分離した。水層を分液操作で廃棄した後、有機層を一規定塩酸200部で洗浄し、次いで水道水200部で洗浄し、最後に飽和食塩水200部で洗浄した。有機層へ適当量のボウショウを加えて30分攪拌した後、ろ過して乾燥された有機層を得た。得られた有機層をエバポレーターで溶媒留去して、淡黄色液体を得た。得られた淡黄色液体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した淡黄色液体を減圧下60℃で乾燥し、式(B−I−12)で表される化合物を45.0部得た。収率44%
【0248】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(B−I−12)で表される化合物10.6部、4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(東京化成(株)社製)10.0部およびトルエン20.0部を投入した後、次いで、オキシ塩化リン14.8部を加えて95〜100℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、イソプロパノール170.0部で希釈した。次いで、希釈した反応溶液を飽和食塩水300.0部の中に注いだ後、トルエン100部を加えて30分攪拌した。ついで攪拌を停止し、30分静置したところ、有機層と水層に分離した。水層を分液操作で廃棄した後、有機層を飽和食塩水300部で洗浄した。有機層へ適当量のボウショウを加えて30分攪拌した後、ろ過して乾燥された有機層を得た。得られた有機層をエバポレーターで溶媒留去して、青紫色固体を得た。得られた青紫色固体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した青紫色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−II−12)で表される化合物を21.3部得た。収率99%
【0249】
式(A−II−12)で表される化合物の同定
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z= 661.3[M−Cl]+
Exact Mass: 696.3
【0250】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(A−II−12)で表される化合物10.0部、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(東京化成(株)社製)4.1部、およびN,N−ジメチルホルムアミド30.0部を投入した後、40℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、水道水500.0部へ一時間攪拌しながら滴下すると、暗青色懸濁液が得られた。得られた懸濁液をろ過すると、青緑色固体を得られた。さらに青緑色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−I−12)で表される化合物を11.4部得た。収率85%
【0251】
式(A−I−12)で表される化合物0.35gをクロロホルムに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmをイオン交換水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=625nmで吸光度2.5(任意単位)を示した。
【0252】
実施例10
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、2−ブロモ−4’−(メチルスルホニル)アセトフェノン(東京化成(株)社製)5.0部および50%イソプロパノール水溶液50.0部を投入した後、室温下で30分攪拌した。次いで、チオシアン酸カリウム2.6部を10分かけて添加した。添加終了後、さらに室温下で3時間攪拌した。次いで、水道水50.0部を滴下した。滴下終了後、さらに室温下で30分攪拌した。析出した黄色固体をろ別した後、得られた黄色固体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した黄色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(B−II−13)で表される化合物を1.0部得た。収率22%
【0253】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(B−II−13)で表される化合物5.0部およびエタノール50.0部を投入した後、室温下で30分攪拌した。次いで、ピペリジン(東京化成(株)社製)2.5部および氷酢酸1.2部をそれぞれ10分かけて滴下した。滴下終了後、さらに加熱還流下で2時間攪拌した。反応用液を室温まで放冷した後、水道水70.0部を滴下した。滴下終了後、さらに室温下で30分攪拌した。析出した黄色固体をろ別した後、得られた黄色固体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した黄色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(B−I−13)で表される化合物を3.8部得た。収率61%
【0254】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(B−I−13)で表される化合物10.2部、4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(東京化成(株)社製)10.0部およびトルエン20.0部を投入した後、次いで、オキシ塩化リン14.8部を加えて95〜100℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、イソプロパノール170.0部で希釈した。次いで、希釈した反応溶液を飽和食塩水300.0部の中に注いだ後、トルエン100部を加えて30分攪拌した。ついで攪拌を停止し、30分静置したところ、有機層と水層に分離した。水層を分液操作で廃棄した後、有機層を飽和食塩水300部で洗浄した。有機層へ適当量のボウショウを加えて30分攪拌した後、ろ過して乾燥された有機層を得た。得られた有機層をエバポレーターで溶媒留去して、青紫色固体を得た。得られた青紫色固体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した青紫色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−II−13)で表される化合物を6.8部得た。収率33%
【0255】
式(A−II−13)で表される化合物の同定
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z= 629.3[M−Cl]+
Exact Mass: 664.3
【0256】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(A−II−13)で表される化合物10.0部、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(東京化成(株)社製)4.7部、およびN,N−ジメチルホルムアミド30.0部を投入した後、40℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、水道水500.0部へ一時間攪拌しながら滴下すると、暗青色懸濁液が得られた。得られた懸濁液をろ過すると、青緑色固体を得られた。さらに青緑色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−I−13)で表される化合物を11.4部得た。収率80%
【0257】
式(A−I−13)で表される化合物0.35gをクロロホルムに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmをイオン交換水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=636nmで吸光度2.5(任意単位)を示した。
【0258】
実施例11
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、4−クロロフェナシルブロミド(東京化成(株)社製)5.0部および50%イソプロパノール水溶液50.0部を投入した後、室温下で30分攪拌した。次いで、チオシアン酸カリウム3.1部を10分かけて添加した。添加終了後、さらに室温下で3時間攪拌した。次いで、水道水50.0部を滴下した。滴下終了後、さらに室温下で30分攪拌した。析出した黄色固体をろ別した後、得られた黄色固体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した黄色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(B−II−14)で表される化合物を4.0部得た。収率89%
【0259】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(B−II−14)で表される化合物5.0部およびエタノール50.0部を投入した後、室温下で30分攪拌した。次いで、ピペリジン(東京化成(株)社製)3.0部および氷酢酸1.4部をそれぞれ10分かけて滴下した。滴下終了後、さらに加熱還流下で2時間攪拌した。反応用液を室温まで放冷した後、水道水70.0部を滴下した。滴下終了後、さらに室温下で30分攪拌した。析出した黄色固体をろ別した後、得られた黄色固体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した黄色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(B−I−14)で表される化合物を3.7部得た。収率57%
【0260】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(B−I−14)で表される化合物8.8部、4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(東京化成(株)社製)10.0部およびトルエン20.0部を投入した後、次いで、オキシ塩化リン14.8部を加えて95〜100℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、イソプロパノール170.0部で希釈した。次いで、希釈した反応溶液を飽和食塩水300.0部の中に注いだ後、トルエン100部を加えて30分攪拌した。ついで攪拌を停止し、30分静置したところ、有機層と水層に分離した。水層を分液操作で廃棄した後、有機層を飽和食塩水300部で洗浄した。有機層へ適当量のボウショウを加えて30分攪拌した後、ろ過して乾燥された有機層を得た。得られた有機層をエバポレーターで溶媒留去して、青紫色固体を得た。得られた青紫色固体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した青紫色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−II−14)で表される化合物を5.3部得た。収率26%
【0261】
式(A−II−14)で表される化合物の同定
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z= 585.3[M−Cl]+
Exact Mass: 620.3
【0262】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(A−II−14)で表される化合物10.0部、カリウム トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(セントラル硝子(株)社製)8.0部、およびN,N−ジメチルホルムアミド30.0部を投入した後、40℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、水道水500.0部へ一時間攪拌しながら滴下すると、暗青色懸濁液が得られた。得られた懸濁液をろ過すると、青緑色固体を得られた。さらに青緑色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−I−14)で表される化合物を13.6部得た。収率85%
【0263】
式(A−I−14)で表される化合物0.35gをクロロホルムに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmをイオン交換水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=623nmで吸光度2.7(任意単位)を示した。
【0264】
実施例12
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、チオシアン酸カリウム33.0部およびアセトン160.0部を投入した後、室温下で30分攪拌した。次いで、安息香酸クロリド(東京化成(株)社製)50.0部を10分かけて滴下した。滴下終了後、さらに室温下で2時間攪拌した。次いで、反応混合物を氷冷した後、N−イソプロピルアニリン(東京化成(株)社製)41.6部を滴下した。滴下終了後、さらに室温下で30分攪拌した。次いで、反応混合物を氷冷した後、30%水酸化ナトリウム水溶液34.2部を滴下した。滴下終了後、さらに室温下で30分攪拌した。次いで、室温下クロロ酢酸32.1部を滴下した。滴下終了後、加熱還流下で7時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温まで放冷した後、反応溶液を水道水120.0部の中に注いだ後、トルエン200部を加えて30分攪拌した。ついで攪拌を停止し、30分静置したところ、有機層と水層に分離した。水層を分液操作で廃棄した後、有機層を一規定塩酸200部で洗浄し、次いで水道水200部で洗浄し、最後に飽和食塩水200部で洗浄した。有機層へ適当量のボウショウを加えて30分攪拌した後、ろ過して乾燥された有機層を得た。得られた有機層をエバポレーターで溶媒留去して、淡黄色液体を得た。得られた淡黄色液体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した淡黄色液体を減圧下60℃で乾燥し、式(B−I−15)で表される化合物を44.8部得た。収率47%
【0265】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(B−I−15)で表される化合物9.3部、4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(東京化成(株)社製)10.0部およびトルエン20.0部を投入した後、次いで、オキシ塩化リン14.8部を加えて95〜100℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、イソプロパノール170.0部で希釈した。次いで、希釈した反応溶液を飽和食塩水300.0部の中に注いだ後、トルエン100部を加えて30分攪拌した。ついで攪拌を停止し、30分静置したところ、有機層と水層に分離した。水層を分液操作で廃棄した後、有機層を飽和食塩水300部で洗浄した。有機層へ適当量のボウショウを加えて30分攪拌した後、ろ過して乾燥された有機層を得た。得られた有機層をエバポレーターで溶媒留去して、青紫色固体を得た。得られた青紫色固体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した青紫色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−II−15)で表される化合物を20.5部得た。収率100%
【0266】
式(A−II−15)で表される化合物の同定
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z= 601.3[M−Cl]+
Exact Mass: 636.3
【0267】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(A−II−15)で表される化合物10.0部、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(東京化成(株)社製)5.9部、およびN,N−ジメチルホルムアミド30.0部を投入した後、40℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、水道水500.0部へ一時間攪拌しながら滴下すると、暗青色懸濁液が得られた。得られた懸濁液をろ過すると、青緑色固体を得られた。さらに青緑色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−I−15)で表される化合物を11.7部得た。収率85%
【0268】
式(A−I−15)で表される化合物0.35gをクロロホルムに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmをイオン交換水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=626nmで吸光度2.8(任意単位)を示した。
【0269】
実施例13
4,4’−ジクロロベンゾフェノン(東京化成(株)社製)(10g、90mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(100ml)溶液を氷浴で冷却し、水素化ナトリウム(60%、4.3g、90mmol)を加え、しばらく攪拌後、化合物2(6.5g、30mmol)を少しずつ添加した。室温で5時間攪拌後、水を加え、ジクロロメタン抽出を行い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して式(BP2)で表される化合物(3.1g、収率24%)を得た。
【0270】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(B−I−7)で表される化合物7.6部、式(BP2)で表される化合物10.0部およびトルエン20.0部を投入した後、次いで、オキシ塩化リン11.4部を加えて95〜100℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、イソプロパノール170.0部で希釈した。次いで、希釈した反応溶液を飽和食塩水300.0部の中に注いだ後、トルエン100部を加えて30分攪拌した。ついで攪拌を停止し、30分静置したところ、有機層と水層に分離した。水層を分液操作で廃棄した後、有機層を飽和食塩水300部で洗浄した。有機層へ適当量のボウショウを加えて30分攪拌した後、ろ過して乾燥された有機層を得た。得られた有機層をエバポレーターで溶媒留去して、青紫色固体を得た。得られた青紫色固体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した青紫色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−II−16)で表される化合物を17.8部得た。収率100%
【0271】
式(A−II−16)で表される化合物の同定
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z= 715.3[M−Cl]+
Exact Mass: 750.3
【0272】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(A−II−16)で表される化合物10.0部、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(東京化成(株)社製)5.0部、およびN,N−ジメチルホルムアミド30.0部を投入した後、40℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、水道水500.0部へ一時間攪拌しながら滴下すると、暗青色懸濁液が得られた。得られた懸濁液をろ過すると、青緑色固体を得られた。さらに青緑色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−I−16)で表される化合物を11.9部得た。収率90%
【0273】
式(A−I−16)で表される化合物0.35gをクロロホルムに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmをイオン交換水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=622nmで吸光度2.9(任意単位)を示した。
【0274】
実施例14
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、チオシアン酸カリウム28.9部およびアセトン160.0部を投入した後、室温下で30分攪拌した。次いで、2、6−ジフルオロ安息香酸クロリド(東京化成(株)社製)50.0部を10分かけて滴下した。滴下終了後、さらに室温下で2時間攪拌した。次いで、反応混合物を氷冷した後、N−エチル−o−トルイジン(東京化成(株)社製)36.4部を滴下した。滴下終了後、さらに室温下で30分攪拌した。次いで、反応混合物を氷冷した後、30%水酸化ナトリウム水溶液34.2部を滴下した。滴下終了後、さらに室温下で30分攪拌した。次いで、室温下クロロ酢酸28.1部を滴下した。滴下終了後、加熱還流下で7時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温まで放冷した後、反応溶液を水道水120.0部の中に注いだ後、トルエン200部を加えて30分攪拌した。ついで攪拌を停止し、30分静置したところ、有機層と水層に分離した。水層を分液操作で廃棄した後、有機層を一規定塩酸200部で洗浄し、次いで水道水200部で洗浄し、最後に飽和食塩水200部で洗浄した。有機層へ適当量のボウショウを加えて30分攪拌した後、ろ過して乾燥された有機層を得た。得られた有機層をエバポレーターで溶媒留去して、淡黄色液体を得た。得られた淡黄色液体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した淡黄色液体を減圧下60℃で乾燥し、式(B−I−17)で表される化合物を25.2部得た。収率27%
【0275】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(B−I−17)で表される化合物8.1部、式(BP2)で表される化合物10.0部およびトルエン20.0部を投入した後、次いで、オキシ塩化リン11.4部を加えて95〜100℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、イソプロパノール170.0部で希釈した。次いで、希釈した反応溶液を飽和食塩水300.0部の中に注いだ後、トルエン100部を加えて30分攪拌した。ついで攪拌を停止し、30分静置したところ、有機層と水層に分離した。水層を分液操作で廃棄した後、有機層を飽和食塩水300部で洗浄した。有機層へ適当量のボウショウを加えて30分攪拌した後、ろ過して乾燥された有機層を得た。得られた有機層をエバポレーターで溶媒留去して、青紫色固体を得た。得られた青紫色固体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した青紫色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−II−17)で表される化合物を18.3部得た。収率100%
【0276】
式(A−II−17)で表される化合物の同定
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z= 733.3[M−Cl]+
Exact Mass: 768.3
【0277】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(A−II−17)で表される化合物10.0部、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(東京化成(株)社製)4.9部、およびN,N−ジメチルホルムアミド30.0部を投入した後、40℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、水道水500.0部へ一時間攪拌しながら滴下すると、暗青色懸濁液が得られた。得られた懸濁液をろ過すると、青緑色固体を得られた。さらに青緑色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−I−17)で表される化合物を11.5部得た。収率87%
【0278】
式(A−I−17)で表される化合物0.35gをクロロホルムに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmをイオン交換水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=626nmで吸光度2.6(任意単位)を示した。
【0279】
実施例15
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(A−II−7)で表される化合物10.0部、カリウム ビス(フルオロスルホニル)イミド(三菱マテリアル電子化成(株)社製)4.3部、およびN,N−ジメチルホルムアミド30.0部を投入した後、40℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、水道水500.0部へ一時間攪拌しながら滴下すると、暗青色懸濁液が得られた。得られた懸濁液をろ過すると、青緑色固体を得られた。さらに青緑色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−I−18)で表される化合物を10.8部得た。収率89%
【0280】
式(A−I−18)で表される化合物0.35gをクロロホルムに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmをイオン交換水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=631nmで吸光度2.8(任意単位)を示した。
【0281】
実施例16
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(A−II−7)で表される化合物10.0部、シクロ−ヘキサフルオロプロパン-1,3-ビス(スルホニル)イミド カリウム塩(三菱マテリアル電子化成(株)社製)6.6部、およびN,N−ジメチルホルムアミド30.0部を投入した後、40℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、水道水500.0部へ一時間攪拌しながら滴下すると、暗青色懸濁液が得られた。得られた懸濁液をろ過すると、青緑色固体を得られた。さらに青緑色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−I−19)で表される化合物を13.0部得た。収率93%
【0282】
式(A−I−19)で表される化合物0.35gをクロロホルムに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmをイオン交換水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=631nmで吸光度2.6(任意単位)を示した。
【0283】
実施例17
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(A−II−7)で表される化合物10.0部、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドカリウム塩(三菱マテリアル電子化成(株)社製)12.3部、およびN,N−ジメチルホルムアミド30.0部を投入した後、40℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、水道水500.0部へ一時間攪拌しながら滴下すると、暗青色懸濁液が得られた。得られた懸濁液をろ過すると、青緑色固体を得られた。さらに青緑色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−I−20)で表される化合物を15.4部得た。収率84%
【0284】
式(A−I−20)で表される化合物0.35gをクロロホルムに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmをイオン交換水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=630nmで吸光度2.1(任意単位)を示した。
【0285】
実施例18
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(A−II−7)で表される化合物10.0部、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3ジスルホン酸二カリウム塩(三菱マテリアル電子化成(株)社製)3.9部、およびN,N−ジメチルホルムアミド30.0部を投入した後、40℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、水道水500.0部へ一時間攪拌しながら滴下すると、暗青色懸濁液が得られた。得られた懸濁液をろ過すると、青緑色固体を得られた。さらに青緑色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−I−21)で表される化合物を10.7部得た。収率91%
【0286】
式(A−I−21)で表される化合物0.35gをクロロホルムに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmをイオン交換水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=638nmで吸光度3.0(任意単位)を示した。
【0287】
〔着色硬化性樹脂組成物の調製〕
実施例19
着色剤(A):式(A−I−1)で表される染料 26部;
アルカリ可溶性樹脂(B):樹脂(B−1)(固形分換算)53部;
重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 16部;
重合開始剤(D):N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン(イルガキュア(登録商標)OXE−01;BASF社製;O−アシルオキシム化合物) 4部;
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 120部;
溶剤(E):4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン 480部;
並びに
レベリング剤(F):ポリエーテル変性シリコーンオイル
(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製) 0.15部
を混合して着色硬化性樹脂組成物を得た。
【0288】
比較例1
着色剤(A):式(A−III−1)で表される染料 26部;
アルカリ可溶性樹脂(B):樹脂(B−1)(固形分換算)53部;
重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 16部;
重合開始剤(D):N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン(イルガキュア(登録商標)OXE−01;BASF社製;O−アシルオキシム化合物) 4部;
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 120部;
溶剤(E):4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン 480部;
並びに
レベリング剤(F):ポリエーテル変性シリコーンオイル
(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製) 0.15部
を混合して着色硬化性樹脂組成物を得た。
【0289】
〔カラーフィルタの作製〕
2インチ角のガラス基板(#1737;コーニング社製)上に、該着色硬化性樹脂組成物をスピンコート法で塗布した後、100℃で3分間プリベークして着色組成物層を形成した。冷却後、露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、150mJ/cmの露光量(365nm基準)で露光した。尚、フォトマスクは使用しなかった。露光後の着色組成物層をオーブン中、180℃で20分間ポストベークを行うことにより、カラーフィルタ(膜厚2.8μm)を作製した。
【0290】
〔耐熱性評価〕
着色感光性樹脂組成物の塗布膜を230℃で20分加熱し、塗布膜の加熱前後の色差(ΔEab*)を測色機(OSP−SP−200;OLYMPUS社製)を用いて測定した。実施例1で得られた塗布膜について以上の耐熱性評価を実施した結果、色差(ΔEab*)は4.1であった。
【0291】
比較例1で得られた塗布膜について以上の耐熱性評価を実施した結果、色差(ΔEab*)は12.1であった。 なお、色差(ΔEab*)は、その値が小さいほど高い耐熱性を有する材料であることを示す。
【0292】
実施例20
実施例19の着色剤(A−I−1)を着色剤(A−I−3)に変更する以外は、実施例19と同様にして着色組成物の塗布膜を作成し、耐熱性評価を実施した結果、着色組成物の塗布膜の色差(ΔEab*)は3.0であった。
【0293】
実施例21
実施例19の着色剤(A−I−1)を着色剤(A−I−4)に変更する以外は、実施例19と同様にして着色組成物の塗布膜を作成し、耐熱性評価を実施した結果、着色組成物の塗布膜の色差(ΔEab*)は6.0であった。
【0294】
実施例22
実施例19の着色剤(A−I−1)を着色剤(A−I−7)に変更する以外は、実施例19と同様にして着色組成物の塗布膜を作成し、耐熱性評価を実施した結果、着色組成物の塗布膜の色差(ΔEab*)は2.7であった。
【0295】
実施例23
実施例19の着色剤(A−I−1)を着色剤(A−I−8)に変更する以外は、実施例19と同様にして着色組成物の塗布膜を作成し、耐熱性評価を実施した結果、着色組成物の塗布膜の色差(ΔEab*)は3.8であった。
【0296】
実施例24
実施例19の着色剤(A−I−1)を着色剤(A−I−9)に変更する以外は、実施例19と同様にして着色組成物の塗布膜を作成し、耐熱性評価を実施した結果、着色組成物の塗布膜の色差(ΔEab*)は2.8であった。
【0297】
実施例25
実施例19の着色剤(A−I−1)を着色剤(A−I−10)に変更する以外は、実施例19と同様にして着色組成物の塗布膜を作成し、耐熱性評価を実施した結果、着色組成物の塗布膜の色差(ΔEab*)は6.8であった。
【0298】
実施例26
実施例19の着色剤(A−I−1)を着色剤(A−I−11)に変更する以外は、実施例19と同様にして着色組成物の塗布膜を作成し、耐熱性評価を実施した結果、着色組成物の塗布膜の色差(ΔEab*)は3.9であった。
【0299】
実施例27
実施例19の着色剤(A−I−1)を着色剤(A−I−12)に変更する以外は、実施例19と同様にして着色組成物の塗布膜を作成し、耐熱性評価を実施した結果、着色組成物の塗布膜の色差(ΔEab*)は4.1であった。
【0300】
実施例28
実施例19の着色剤(A−I−1)を着色剤(A−I−13)に変更する以外は、実施例19と同様にして着色組成物の塗布膜を作成し、耐熱性評価を実施した結果、着色組成物の塗布膜の色差(ΔEab*)は3.2であった。
【0301】
実施例29
実施例19の着色剤(A−I−1)を着色剤(A−I−14)に変更する以外は、実施例19と同様にして着色組成物の塗布膜を作成し、耐熱性評価を実施した結果、着色組成物の塗布膜の色差(ΔEab*)は5.7であった。
【0302】
実施例30
実施例19の着色剤(A−I−1)を着色剤(A−I−15)に変更する以外は、実施例19と同様にして着色組成物の塗布膜を作成し、耐熱性評価を実施した結果、着色組成物の塗布膜の色差(ΔEab*)は3.4であった。
【0303】
実施例31
実施例19の着色剤(A−I−1)を着色剤(A−I−16)に変更する以外は、実施例19と同様にして着色組成物の塗布膜を作成し、耐熱性評価を実施した結果、着色組成物の塗布膜の色差(ΔEab*)は1.9であった。
【0304】
実施例32
実施例19の着色剤(A−I−1)を着色剤(A−I−17)に変更する以外は、実施例19と同様にして着色組成物の塗布膜を作成し、耐熱性評価を実施した結果、着色組成物の塗布膜の色差(ΔEab*)は2.2であった。
【0305】
実施例33
実施例19の着色剤(A−I−1)を着色剤(A−I−18)に変更する以外は、実施例19と同様にして着色組成物の塗布膜を作成し、耐熱性評価を実施した結果、着色組成物の塗布膜の色差(ΔEab*)は2.9であった。
【0306】
実施例34
実施例19の着色剤(A−I−1)を着色剤(A−I−19)に変更する以外は、実施例19と同様にして着色組成物の塗布膜を作成し、耐熱性評価を実施した結果、着色組成物の塗布膜の色差(ΔEab*)は3.5であった。
【0307】
実施例35
実施例19の着色剤(A−I−1)を着色剤(A−I−20)に変更する以外は、実施例19と同様にして着色組成物の塗布膜を作成し、耐熱性評価を実施した結果、着色組成物の塗布膜の色差(ΔEab*)は3.8であった。
【0308】
実施例36
実施例19の着色剤(A−I−1)を着色剤(A−I−21)に変更する以外は、実施例19と同様にして着色組成物の塗布膜を作成し、耐熱性評価を実施した結果、着色組成物の塗布膜の色差(ΔEab*)は4.9であった。
【産業上の利用可能性】
【0309】
本発明の化合物を含む着色硬化性樹脂組成物を用いると、耐熱性に優れたカラーフィルタを提供することができる。該カラーフィルタは、表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL装置、電子ペーパー等)及び固体撮像素子に用いられるカラーフィルタとして有用である。