(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記位置ずれ量は、ズーム方向の誤差、回転方向の誤差、水平傾き方向の誤差、及び垂直傾き方向の誤差を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のマルチプロジェクタシステム。
前記位置ずれ量に応じて前記プロジェクタの各々の位置をステッピングモータにより調整するか、前記位置ずれ量に応じて前記サブ画面を補正することにより、前記サブ画面の位置合わせを行うことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のマルチプロジェクタシステム。
プロジェクタが複数並べて配置されたマルチプロジェクタと、撮像装置と、信号処理装置とを備えるマルチプロジェクタシステムにてプロジェクタの位置合わせ調整を行うマルチプロジェクタの調整方法であって、
前記マルチプロジェクタにより、位置ごとにレベルが連続的に変化する形状の位置調整用パターンをスクリーン上に投影するステップと、
前記マルチプロジェクタにより、前記スクリーン上に投影された全画面を撮像するステップと、
前記信号処理装置により、前記全画面の撮像画像のうちの、前記プロジェクタの各々が前記スクリーン上に投影する画像であるサブ画面の撮像画像ごとに、前記位置調整用パターンによって特定される位置を抽出し、該抽出した位置を近似した近似多項式によりサブ画面ごとの位置ずれ量を算出するステップと、
を含むことを特徴とするマルチプロジェクタの調整方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プロジェクタの数が増大すると、各プロジェクタにより投影される各画面の位置を合わせる作業に非常に多くの時間を要することとなる。例えば100台(10×10台)のプロジェクタからなるマルチプロジェクタ画面を想定すると、1台当たりの調整に10分要するとすると、全部で17時間程度かかる作業となる。また、特許文献1に記載のコンバージェンス補正は1台のプロジェクタに対してRGB間の色ずれを補正するものであるため、マルチプロジェクタの位置合わせにそのまま適用することはできない。
【0006】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、多数のプロジェクタを組み合わせたマルチプロジェクタの位置合わせ調整を短時間で効率的に行うことが可能なマルチプロジェクタシステム及びマルチプロジェクタの調整方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係るマルチプロジェクタシステムは、位置ごとにレベルが連続的に変化する形状の位置調整用パターンをスクリーン上に投影するプロジェクタが複数並べて配置されたマルチプロジェクタと、前記マルチプロジェクタにより前記スクリーン上に投影された全画面を撮像する撮像装置と、前記全画面の撮像画像のうちの、前記プロジェクタの各々が前記スクリーン上に投影する画面であるサブ画面の撮像画像ごとに、前記位置調整用パターンによって特定される位置を抽出し、該抽出した位置を近似した近似多項式により、前記サブ画面ごとの位置ずれ量を算出する信号処理装置と、を備えることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明に係るマルチプロジェクタシステムにおいて、前記位置調整用パターンは、前記サブ画面の中心位置を含む位置で前記レベルがピーク値となるように形成され、前記信号処理装置は、前記位置調整用パターンによって特定される前記サブ画面の中心位置を抽出することを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明に係るマルチプロジェクタシステムにおいて、前記位置調整用パターンは、前記サブ画面の中心位置、及び該中心位置から等間隔に位置する複数の基準位置で前記レベルがピーク値となるように形成され、前記信号処理装置は、前記中心位置の近似多項式に基づいて前記基準位置の近似多項式を求め、該基準位置の近似多項式と前記基準位置の測定値との差から前記位置ずれ量を算出することを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明に係るマルチプロジェクタシステムにおいて、前記基準位置は、前記中心位置を囲むように、前記中心位置から等間隔に4箇所設定されていることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明に係るマルチプロジェクタシステムにおいて、前記位置ずれ量は、ズーム方向の誤差、回転方向の誤差、水平傾き方向の誤差、及び垂直傾き方向の誤差を含むことを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明に係るマルチプロジェクタシステムにおいて、前記撮像装置は、前記全画面の撮像を複数回の撮影で行い、前記信号処理装置は、各撮影で求めた位置ずれ量に重みを付けて最終的な位置ずれ量を算出することを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明に係るマルチプロジェクタシステムにおいて、前記位置ずれ量に応じて前記プロジェクタの各々の位置をステッピングモータにより調整するか、前記位置ずれ量に応じて前記サブ画面を補正することにより、前記サブ画面の位置合わせを行うことを特徴とする。
【0014】
また、上記課題を解決するため、本発明に係るマルチプロジェクタの調整方法は、プロジェクタが複数並べて配置されたマルチプロジェクタと、撮像装置と、信号処理装置とを備えるマルチプロジェクタシステムにてプロジェクタの位置合わせ調整を行うマルチプロジェクタの調整方法であって、前記マルチプロジェクタにより、位置ごとにレベルが連続的に変化する形状の位置調整用パターンをスクリーン上に投影するステップと、前記マルチプロジェクタにより、前記スクリーン上に投影された全画面を撮像するステップと、前記信号処理装置により、前記全画面の撮像画像のうちの、前記プロジェクタの各々が前記スクリーン上に投影する画像であるサブ画面の撮像画像ごとに、前記位置調整用パターンによって特定される位置を抽出し、該抽出した位置を近似した近似多項式によりサブ画面ごとの位置ずれ量を算出するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、多数のプロジェクタを組み合わせたマルチプロジェクタの位置合わせ調整を短時間で効率的に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るマルチプロジェクタシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るマルチプロジェクタシステムにおけるプロジェクタの構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るマルチプロジェクタシステムにおけるプロジェクタにより投影されるサブ画面の水平・垂直方向の位置の補正例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るマルチプロジェクタシステムにおけるプロジェクタにより投影される各サブ画面の画面サイズの補正例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るマルチプロジェクタシステムにおけるプロジェクタにより投影される各サブ画面の回転方向の位置の補正例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るマルチプロジェクタシステムにおけるプロジェクタにより投影される各サブ画面の台形ひずみの水平方向の位置の補正例を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るマルチプロジェクタシステムにおけるプロジェクタにより投影される各サブ画面の台形ひずみの垂直方向の位置の補正例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るマルチプロジェクタシステムで用いる位置調整用パターンを表示するサブ画面を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るマルチプロジェクタシステムで用いる位置調整用パターンを表示する全画面を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るマルチプロジェクタシステムのサブ画面のズームの方向を示す図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係るマルチプロジェクタシステムのサブ画面の回転の方向を示す図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係るマルチプロジェクタシステムのサブ画面の水平傾きの方向を示す図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係るマルチプロジェクタシステムのサブ画面の垂直傾きの方向を示す図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係るマルチプロジェクタシステムにおいて、複数回に分けて全画面を撮像する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るマルチプロジェクタシステムの構成を示すブロック図である。
図1に示す例では、マルチプロジェクタシステム1は、マルチプロジェクタ10と、スクリーン20と、撮像装置(静止画カメラ)30と、信号処理装置40とを備える。マルチプロジェクタ10は、複数個(N個)の架台12(12−1,12−2,・・・,12−N)と、各架台12に取り付けられたプロジェクタ11(11−1,11−2,・・・,11−N)と、映像信号を発生する信号発生装置13とを備える。なお、
図1にはスクリーン20の背面にマルチプロジェクタ10を配置した背面投射型のマルチプロジェクタシステム1を図示しているが、撮像装置30側にマルチプロジェクタ10を配置して前面投射型としてもよい。
【0019】
撮像装置30は、マルチプロジェクタ10によりスクリーン20上に投影された全画面を撮影し、撮像画像を取得する。
【0020】
図2は、プロジェクタ11の構成を示す図である。
図2に示すように、プロジェクタ11は、光源111と、表示素子(液晶パネル)112と、信号処理部113と、投射レンズ114とを有する。信号処理部113は、信号発生装置13から映像信号を受信し、信号処理を施して表示素子112に印加する電圧を画素単位で制御する。光源111から放射された光は、表示素子112を通り、投射レンズ114を介してスクリーン20に投射される。
【0021】
なお、プロジェクタ11は画素構造をもったプロジェクタであればよく、液晶プロジェクタに限定されるものではない。
【0022】
プロジェクタ11を複数並べて配置すると、各プロジェクタ11(特に投射レンズ114)のばらつき、設置工程での位置調整のばらつきなどにより、初期状態では、スクリーン20上に投影される各サブ画面はお互いに画像の位置が合っていない状態になっている。このお互いの画面のずれは最大で10画素程度、補正後の誤差の目標は0.5画素と想定して、以下説明を行う。なお、本明細書において、サブ画面とは各プロジェクタ11がスクリーン20上に投影する画面(画像)のことをいう。
【0023】
小型の液晶プロジェクタ11同士の位置調整で誤差0.5画素以下を目標にするのであれば、調整項目としては各サブ画面の水平・垂直方向の位置補正、各サブ画面のズーム方向の位置(画面サイズ)の補正、各サブ画面の回転方向の位置の補正、各サブ画面の台形歪みの補正により実現できる。各項目の補正は、コンピューターなどで計算した補正データに相当する回転回数をステッピングモータへ送ることで行うことができる。以下に、各項目のステッピングモータによる補正の具体例を示す。
【0024】
図3は、各プロジェクタ11により投影される各サブ画面の水平・垂直方向の位置の補正例を示す図である。
図3はプロジェクタ11を正面から見た図であり、表示素子112に2個のステッピングモータ50を取り付けることにより、各サブ画面の水平・垂直方向の位置を補正することができる。
【0025】
図4は、各プロジェクタ11により投影される各サブ画面のズーム方向の位置(画面サイズ)の補正例を示す図である。
図4はプロジェクタ11を上面から見た図であり、投射レンズ114にステッピングモータ50を取り付けることにより、各サブ画面の画面サイズを補正することができる。
【0026】
図5は、各プロジェクタ11により投影される各サブ画面の回転方向の位置の補正例を示す図である。
図5はプロジェクタ11を正面から見た図であり、プロジェクタ11の架台12にステッピングモータ50を取り付けることにより、各サブ画面の回転方向の位置を補正することができる。
【0027】
図6,7は、各プロジェクタ11により投影される各サブ画面の台形歪みの補正例を示す図である。台形ひずみに関しては、プロジェクタ11の取り付けが水平方向に傾いた場合と垂直方向に傾いた場合の2通りが考えられる。
図6はプロジェクタ11を上面から見た図であり、プロジェクタ11の架台12にステッピングモータ50を取り付けることで、台形ひずみの水平方向の位置の補正を行うことができる。
図7はプロジェクタ11を側面から見た図であり、プロジェクタ11の架台12にステッピングモータ50を取り付けることで、台形ひずみの垂直方向の位置の補正を行うことができる。
【0028】
以下に、本発明での各補正項目(各サブ画面の水平・垂直位置ずれなど)に対応する補正量の検出方法を説明する。信号発生装置13は位置調整用信号を生成し、各プロジェクタ11は位置調整用信号に基づく映像信号をスクリーン20上に投影し、スクリーン20上に映し出された全画面を撮像装置30により撮像する。
【0029】
位置調整用パターンとして、位置ごとにレベル(階調)が連続的に変化する形状の繰り返しパターンを用いる。位置調整用パターンは、サブ画面の中心位置及び該中心位置から等間隔に位置する複数の基準位置でレベルがピーク値となるように形成されているのが好適である。本実施形態では、位置調整用パターンとして、特許文献1で使用するパターンと同様に、山形形状の繰り返しパターン(以降、「山形パターン」と称する)を用いる。
【0030】
信号処理装置40は、全画面の撮像画像のうちのサブ画面の撮像画像ごとに、中央の山形形状の中心位置を抽出し、該中心位置を近似した近似多項式により、サブ画面ごとの位置ずれ量(誤差量)を算出する。
【0031】
画像信号が8ビット(信号レベルは0〜255、0:黒レベル、255:白レベル)としたときの映像信号V(i,j)(i,jは画素の位置)の例を(1)式に示す。このパターンは白色なのでRGBともに同じ値である。本発明は色ずれを対象とするのではないため、以降においてはモノクロ信号として説明を行う。なお、カラー画像ではRGBともに同じ信号を用いればよい。
【0033】
本実施形態では、サブ画面の画素数が640×360(i=0〜639、j=0〜359)、I
0=J
0=120、n=0〜4とし、X
0〜X
4,Y
0〜Y
4の値は以下の値とする。(X
0,Y
0)は中心位置であり、(X
1,Y
1),(X
2,Y
2),(X
3,Y
3),(X
4,Y
4)は中心位置から等間隔に位置する基準位置である。山形形状は、中心位置及び基準位置でレベルがピーク値(255)となる。
X
0=639/2
X
1=X
2=639/2−640/3
X
3=X
4=639/2+640/3
Y
0=359/2
Y
1=Y
3=359/2−360/3
Y
2=Y
4=359/2+360/3
【0034】
図8は、(1)式に示した山形パターンを表示する各サブ画面を示す図である。各サブ画面においては中心位置とその周囲の基準位置の計5箇所に山形形状が存在し、他は黒(レベルが0)である。
図9は、(1)式に示した山形パターンを表示する全画面(全てのサブ画面)を示す図である。
【0035】
以下、説明を簡単にするため、小型の液晶プロジェクタ11を縦横に10×10個配置し、撮像装置30の撮像素子の画素数を3840×2160画素として以降の説明を行う。この条件のとき各サブ画面は撮影後の画像では384×216画素を占め、1つの山形形状はおおよそ36×36画素の大きさとなる。山形パターンは1ビットのデータではなく8ビットの階調を有するデータであるため、この程度の大きさで撮影できるのであればカメラ画素で0.1画素以下の精度で山形形状の中心位置を求めることができる。中心位置は、撮影画像を山形波形にフィッティングさせるなどの既知の手法により導出できる。
【0036】
全画面におけるn行m列番目のサブ画面の位置を(n,m)で表し、サブ画面の撮像画像において中央の山形形状の中心位置を(2)式で表すこととする。P
x(n,m)は水平方向の座標であり、P
y(n,m)は垂直方向の座標である。撮像装置30により撮影した山形パターンのデータ(測定値)は、信号処理部40に出力され、後述するように、信号処理部40における位置ずれ量の演算式に代入される。
【0038】
理想的には(2)式の数値は完全な格子状になるが、撮像装置30と画面の位置関係のずれ(撮像装置30が完全な正面ではなく斜めになっているなど)や撮像装置30のレンズの収差などのため、各サブ画面間に位置ずれが無くても(2)式の組は格子状の配置にはならないと考えられる。そこで(3)式、(4)式のようにn,m(n=0〜9,m=0〜9)の近似多項式を考える。
【0041】
ここで、P
px(n,m),P
py(n,m)は(2)式の値に近くなるように多項式近似したものであり、P
cx(k,l),P
cy(k,l)は各多項式の係数である。なお、k+l≦4とは、(k,l)の組が(0,0),・・・(0,4),・・(4,0)までの15項があるということを意味する。係数P
cxは、(5)式でQ
xを定義し、この値Q
xを最小にするように(6)式を作り、これから変形されて生じる連立方程式から導出できる。
【0044】
(6)式から導出される係数P
cx(k,l)を(7)式に示す。これは行列で表記したもので、左辺は上記のようにk+l≦4となる1×15の行列、右辺1項目は15×15の行列の逆行列、2項目は1×15の行列である。
【0046】
係数P
cy(k,l)についても同様に導出され、導出結果を(8)式に示す。
【0048】
こうして求めた係数P
cx(k,l),P
cy(k,l)による多項式近似(3)(4)式を各サブ画面間の位置ずれがない座標と想定する。これは個々のサブ画面の位置ずれは、10×10台で平均することによりキャンセルされる(正確には問題ないレベルまでに減少する)ということを意味する。このように考えると、(9)式で定義する△
x(n,m)は、サブ画面(n,m)における水平方向の位置ずれ量と考えることができる。
【0050】
同様に(10)式の△
y(n,m)は、サブ画面(n,m)における垂直方向の位置ずれ量と考えることができる。
【0052】
次に
図8に示した山形パターンで基準位置は、(1)式で示した位置関係、つまり640×360画素のサブ画面において中心位置から640/3,360/3画素ずれた位置関係であるから、左上、右上、右下、左下について、それぞれ(11)式で表される。
【0054】
信号処理装置40は、以下に示すように、中心位置の近似多項式に基づいて基準位置の近似多項式を求め、基準位置の近似多項式と基準位置の測定値との差から位置ずれ量を算出することで、詳細な位置ずれ量を算出することができる。
【0055】
当初n,mは整数という表記であったが(3)(4)式についても実数表現も許すことにする。これを用い、係数δ(0,0),δ(0,1),δ(1,0),δ(1,1)を用いて(11)式で与えられる山形形状の中心位置の測定値と(3)(7)式で与えられる基準値で計算される量D
x(n,m)を(12)式で定義する。
【0057】
同様に、(11)式で与えられる山形形状の中心位置の測定値と(4)(8)式で与えられる基準値で計算される量D
y(n,m)を(13)式で定義する。
【0059】
図10は、サブ画面のズームの方向を示す図である。ズーム方向の誤差は、(14)式の条件でのD
x,D
yの和と考えることができる。よって、ズーム方向の誤差E
Zは(15)式で表される。
【0062】
図11は、サブ画面の回転の方向を示す図である。回転方向の誤差は、(16)式の条件でのD
x,D
yの和と考えることができる。よって、回転方向の誤差E
Rは(17)式で表される。
【0065】
図12は、サブ画面の水平傾きの方向を示す図である。水平傾き方向の誤差は、(18)式の条件でのD
x,D
yの和と考えることができる。よって、水平傾き方向の誤差E
Hは(19)式で表される。
【0068】
図13は、サブ画面の垂直傾きの方向を示す図である。垂直傾き方向の誤差は、(20)式の条件でのD
x,D
yの和と考えることができる。よって、垂直傾き方向の誤差E
Vは(21)式で表される。
【0071】
全てのサブ画面について(9)(10)(15)(17)(19)(21)式を求めることができる。これをもとに
図3〜
図7のステッピングモータ50を制御して位置ずれを補正することができる。なお、(14)(16)(18)(20)式において、1と−1とを入れ替えてもよく、その場合には、
図10から
図13の矢印の向きは逆向きとなる。また、
図3〜
図7に示したステッピングモータ50でプロジェクタの位置を動かすのではなく、各サブ画面用の画像を拡大/縮小処理、回転処理、上下左右方向への移動処理などの画像処理を施すようにしても同じ効果を得ることができる。この画像処理自体は一般的な幾何学補正であるので、説明は省略する。なお、基準位置は任意の位置に設定でき、また4箇所よりも多く設定してもよいが、中心位置を囲むように、中心位置から等間隔に4箇所設定することで、ズーム方向の誤差、回転方向の誤差、水平傾き方向の誤差、及び垂直傾き方向の誤差を補正することができる。
【0072】
上述の実施形態では、撮像装置30による1回の撮影で全画面をカバーする例について説明したが、撮像装置30での複数回の撮影で全画像をカバーするようにしてもよい。このときの位置ずれ量の補正方法を以下に説明する。
【0073】
図14は、全画像の撮影を1回で行うことができず複数回で全画面をカバーする例を示す図である。図中のA11,A12,A13,・・・,A68はそれぞれサブ画面を示しており、B11,B12,B21は各撮影がカバーする撮影領域を示す。全てのサブ画面は、B11,B12,B21領域のいずれか一つ又は複数に含まれる。撮像装置30は、マルチプロジェクタ10によりスクリーン20上に投影された全画面を複数回に分けて撮像する。
【0074】
信号処理装置40は、各撮影につき、上述したようにサブ画面ごとに位置ずれ量を算出する。信号処理装置40は、各サブ画面で一つの撮影領域だけに含まれるものはその領域での位置ずれ量を算出し、複数の撮影領域に含まれるものは複数の位置ずれ量に重みをつけて最終的な位置ずれ量を算出する。
【0075】
この重みの例を(22)式に示す。ここで、D
nm(B
lk)は、撮影領域B
lkで計算したサブ画面A
nmでの位置ずれ量であり、D
nmは最終的なサブ画面A
nmの位置ずれ量であり、L
nm(B
lk)はサブ画面A
nmの中心と撮影領域B
lkとの距離である。
【0077】
上述したように、本発明では、マルチプロジェクタ10により、位置ごとにレベルが連続的に変化する形状の位置調整用パターンをスクリーン20上に投影し、撮像装置30によりスクリーン20上に投影された全画面を撮像し、信号処理装置40によりサブ画面の撮像画像ごとに位置調整用パターンによって特定される位置を抽出し、該抽出した位置を近似した近似多項式により、サブ画面ごとの位置ずれ量を算出する。このため、本発明によれば、多数のプロジェクタを組み合わせたマルチプロジェクタの位置合わせ調整を短時間で効率的に行うことができるようになる。
【0078】
上述の実施形態は、代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、上述の実施形態では位置調整用パターンとして山形パターンを用いたが、位置調整用パターンは位置ごとにレベルが連続的に変化する形状であればよく、例えば正規分布形状の繰り返しパターンであってもよい。