特許第6118739号(P6118739)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6118739基板液処理装置及び基板液処理方法並びに基板液処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6118739
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】基板液処理装置及び基板液処理方法並びに基板液処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20170410BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   H01L21/306 J
   H01L21/304 648G
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-17524(P2014-17524)
(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公開番号】特開2015-144221(P2015-144221A)
(43)【公開日】2015年8月6日
【審査請求日】2015年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】原 大海
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀明
(72)【発明者】
【氏名】河津 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】永井 高志
【審査官】 鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−232593(JP,A)
【文献】 特開平07−230981(JP,A)
【文献】 特開2011−119610(JP,A)
【文献】 特表2007−517413(JP,A)
【文献】 特開2001−023952(JP,A)
【文献】 特開2010−086982(JP,A)
【文献】 特開平07−086231(JP,A)
【文献】 特開平04−188728(JP,A)
【文献】 特開2005−079212(JP,A)
【文献】 特開平04−115530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304−21/3063
H01L 21/308
H01L 21/465−21/467
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定濃度の薬剤の水溶液を処理液として用いて基板を液処理する基板液処理装置において、
前記処理液を貯留する処理液貯留部と、
前記処理液貯留部に前記処理液とは異なる濃度の前記薬剤の水溶液を供給する水溶液供給部と、
前記処理液貯留部から前記処理液を排出する処理液排出部と、
前記水溶液供給部と処理液排出部を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記水溶液供給部によって前記処理液貯留部に所定量の前記水溶液を単位時間当たりに供給するとともに、前記処理液貯留部に供給される前記水溶液に含有される前記薬剤の量と同一量の薬剤を含有する前記処理液を前記処理液排出部によって前記処理液貯留部から単位時間当たりに排出して、前記処理液貯留部に貯留されている前記処理液に含有される薬剤の量を一定に保持するように制御することを特徴とする基板液処理装置。
【請求項2】
前記水溶液として前記処理液よりも濃度及び温度が低いものを用い、前記処理液貯留部への前記水溶液の供給後に加熱する加熱手段を有することを特徴とする請求項1に記載の基板液処理装置。
【請求項3】
前記処理液貯留部に水を供給する水供給部を設け、
前記制御部は、加熱によって前記処理液貯留部から蒸発する水の量と前記処理液貯留部から排出させる前記処理液に含有される水の量とを加算した水の量から前記処理液貯留部に供給される前記水溶液に含有される水の量を減算した水の量と同一量の水を前記水供給部から前記処理液貯留部に供給するように制御することを特徴とする請求項2に記載の基板液処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記処理液貯留部で貯留する前記処理液に前記基板を浸漬させて前記基板を前記処理液で処理するとともに、前記基板の処理中に前記水溶液供給部による前記水溶液の供給と前記処理液排出部による前記処理液の排出とを同時に行うように制御することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の基板液処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記処理液貯留部に前記基板を浸漬させた後の前記処理液貯留部の水位を記憶するとともに、その水位を維持するように前記処理液排出部による前記処理液貯留部からの前記処理液の排出量を制御することを特徴とする請求項4に記載の基板液処理装置。
【請求項6】
所定濃度の薬剤の水溶液を処理液として用いて基板を液処理する基板液処理方法において、
前記処理液を処理液貯留部に貯留しておき、前記処理液とは異なる濃度の前記薬剤の水溶液を前記処理液貯留部に供給するとともに、前記処理液貯留部から前記処理液を排出して、前記処理液貯留部に貯留される前記処理液を更新し、
その際に、前記処理液貯留部に所定量の前記水溶液を単位時間当たりに供給するとともに、前記処理液貯留部に供給される前記水溶液に含有される前記薬剤の量と同一量の薬剤を含有する前記処理液を前記処理液貯留部から単位時間当たりに排出して、前記処理液貯留部に貯留されている前記処理液に含有される薬剤の量を一定に保持することを特徴とする基板液処理方法。
【請求項7】
前記水溶液として前記処理液よりも濃度及び温度が低いものを用い、前記処理液貯留部への前記水溶液の供給後に加熱することを特徴とする請求項6に記載の基板液処理方法。
【請求項8】
加熱によって前記処理液貯留部から蒸発する水の量と前記処理液貯留部から排出させる前記処理液に含有される水の量とを加算した水の量から前記処理液貯留部に供給される前記水溶液に含有される水の量を減算した水の量と同一量の水を前記処理液貯留部に供給することを特徴とする請求項7に記載の基板液処理方法。
【請求項9】
前記処理液貯留部で貯留する前記処理液に前記基板を浸漬させて前記基板を前記処理液で処理するとともに、前記基板の処理中に前記水溶液の供給と前記処理液の排出とを同時に行うことを特徴とする請求項6〜請求項8のいずれかに記載の基板液処理方法。
【請求項10】
前記処理液貯留部に前記基板を浸漬させた後の前記処理液貯留部の水位を記憶するとともに、その水位を維持するように前記処理液貯留部から前記処理液を排出することを特徴とする請求項9に記載の基板液処理方法。
【請求項11】
基板を液処理するための処理液として所定濃度の薬剤の水溶液を貯留する処理液貯留部と、前記処理液貯留部に前記処理液とは異なる濃度の前記薬剤の水溶液を供給する水溶液供給部と、前記処理液貯留部から前記処理液を排出する処理液排出部とを有する基板液処理装置を制御するための基板液処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、
前記水溶液供給部によって前記処理液貯留部に所定量の前記水溶液を単位時間当たりに供給させ、前記処理液貯留部に供給される前記水溶液に含有される前記薬剤の量と同一量の薬剤を含有する前記処理液を前記処理液排出部によって前記処理液貯留部から単位時間当たりに排出させて、前記処理液貯留部に貯留されている前記処理液に含有される薬剤の量を一定に保持させることを特徴とする基板液処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定濃度の薬剤の水溶液を処理液として用いて基板を液処理する基板液処理装置及び基板液処理方法並びに基板液処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体部品やフラットパネルディスプレイなどを製造する際には、基板液処理装置を用いて半導体ウエハや液晶基板などの基板に対してエッチング液や洗浄液等の処理液を用いてエッチングや洗浄等の処理を施す。
【0003】
基板液処理装置では、所定濃度の薬剤の水溶液を処理液として用い、その処理液を貯留した処理槽に基板を浸漬させることによって、或いは、その処理液を貯留した貯留槽から基板の表面に向けて吐出させることによって、基板を処理液で処理する。
【0004】
従来の基板液処理装置では、処理液で基板を繰返し処理すると、基板の処理によって処理液に含有される不純物等の濃度が増加してしまい、基板を良好に処理することができなくなる。たとえば、基板をリン酸水溶液(エッチング液)で処理する場合には、処理液の能力(エッチングレート)が処理液中のシリコン濃度に依存するために処理液中のシリコン濃度を一定範囲内に保持する必要があるが、基板の処理を繰り返すことでエッチング液中のシリコン濃度が増加し、処理液の能力が低下して基板を良好にエッチング処理することができなくなる(たとえば、特許文献1参照。)。
【0005】
そのため、従来の基板液処理装置では、定期的に貯留した処理液を全て廃棄するとともに全ての処理液を新たに補充するといった処理液の交換を行っている。特に、基板をエッチング処理する場合には、処理液に含有されるシリコン濃度を一定範囲内に保持する必要があるために、処理液の全量を交換した後に、ダミーの基板を処理液に浸漬させて処理液に含有されるシリコン濃度を調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−74060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記従来の基板液処理装置では、処理液の全量を交換し、ダミー基板を処理液に浸漬させて処理液に含有されるシリコン濃度を調整するために、処理液の交換に要する時間が長くなり、基板液処理装置のスループットの低下を招くおそれがあった。
【0008】
この処理液の交換に要する時間を短縮するために、処理液の一部(所定量)を廃棄し、それと同量の処理液を新たに補充するといった処理液を更新する方法も考えられる。
【0009】
しかしながら、エッチング液として用いられるリン酸水溶液などのように濃度を調整する場合などにおいては、所定濃度の薬剤の水溶液を所定温度に加熱することで水溶液の濃度とは異なる濃度の処理液を生成する。そのため、廃棄される処理液と同量の水溶液を補充すると、処理液の濃度が変化してしまい、基板を良好に処理することができない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明では、所定濃度の薬剤の水溶液を処理液として用いて基板を液処理する基板液処理装置において、前記処理液を貯留する処理液貯留部と、前記処理液貯留部に前記処理液とは異なる濃度の前記薬剤の水溶液を供給する水溶液供給部と、前記処理液貯留部から前記処理液を排出する処理液排出部と、前記水溶液供給部と処理液排出部を制御する制御部とを有し、前記制御部は、前記水溶液供給部によって前記処理液貯留部に所定量の前記水溶液を単位時間当たりに供給するとともに、前記処理液貯留部に供給される前記水溶液に含有される前記薬剤の量と同一量の薬剤を含有する前記処理液を前記処理液排出部によって前記処理液貯留部から単位時間当たりに排出して、前記処理液貯留部に貯留されている前記処理液に含有される薬剤の量を一定に保持するように制御することにした。
【0011】
また、前記水溶液として前記処理液よりも濃度及び温度が低いものを用い、前記処理液貯留部への前記水溶液の供給後に加熱する加熱手段を有することにした。
【0012】
また、前記処理液貯留部に水を供給する水供給部を設け、前記制御部は、加熱によって前記処理液貯留部から蒸発する水の量と前記処理液貯留部から排出させる前記処理液に含有される水の量とを加算した水の量から前記処理液貯留部に供給される前記水溶液に含有される水の量を減算した水の量と同一量の水を前記水供給部から前記処理液貯留部に供給するように制御することにした。
【0013】
また、前記制御部は、前記処理液貯留部で貯留する前記処理液に前記基板を浸漬させて前記基板を前記処理液で処理するとともに、前記基板の処理中に前記水溶液供給部による前記水溶液の供給と前記処理液排出部による前記処理液の排出とを同時に行うように制御することにした。
【0014】
また、前記制御部は、前記処理液貯留部に前記基板を浸漬させた後の前記処理液貯留部の水位を記憶するとともに、その水位を維持するように前記処理液排出部による前記処理液貯留部からの前記処理液の排出量を制御することにした。
【0015】
また、本発明では、所定濃度の薬剤の水溶液を処理液として用いて基板を液処理する基板液処理方法において、前記処理液を処理液貯留部に貯留しておき、前記処理液とは異なる濃度の前記薬剤の水溶液を前記処理液貯留部に供給するとともに、前記処理液貯留部から前記処理液を排出して、前記処理液貯留部に貯留される前記処理液を更新し、その際に、前記処理液貯留部に所定量の前記水溶液を単位時間当たりに供給するとともに、前記処理液貯留部に供給される前記水溶液に含有される前記薬剤の量と同一量の薬剤を含有する前記処理液を前記処理液貯留部から単位時間当たりに排出して、前記処理液貯留部に貯留されている前記処理液に含有される薬剤の量を一定に保持することにした。
【0016】
また、前記水溶液として前記処理液よりも濃度及び温度が低いものを用い、前記処理液貯留部への前記水溶液の供給後に加熱することにした。
【0017】
また、加熱によって前記処理液貯留部から蒸発する水の量と前記処理液貯留部から排出させる前記処理液に含有される水の量とを加算した水の量から前記処理液貯留部に供給される前記水溶液に含有される水の量を減算した水の量と同一量の水を前記処理液貯留部に供給することにした。
【0018】
また、前記処理液貯留部で貯留する前記処理液に前記基板を浸漬させて前記基板を前記処理液で処理するとともに、前記基板の処理中に前記水溶液の供給と前記処理液の排出とを同時に行うことにした。
【0019】
また、前記処理液貯留部に前記基板を浸漬させた後の前記処理液貯留部の水位を記憶するとともに、その水位を維持するように前記処理液貯留部から前記処理液を排出することにした。
【0020】
また、本発明では、基板を液処理するための処理液として所定濃度の薬剤の水溶液を貯留する処理液貯留部と、前記処理液貯留部に前記処理液とは異なる濃度の前記薬剤の水溶液を供給する水溶液供給部と、前記処理液貯留部から前記処理液を排出する処理液排出部とを有する基板液処理装置を制御するための基板液処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、前記水溶液供給部によって前記処理液貯留部に所定量の前記水溶液を単位時間当たりに供給させ、前記処理液貯留部に供給される前記水溶液に含有される前記薬剤の量と同一量の薬剤を含有する前記処理液を前記処理液排出部によって前記処理液貯留部から単位時間当たりに排出させて、前記処理液貯留部に貯留されている前記処理液に含有される薬剤の量を一定に保持させることにした。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、処理液の濃度を変化させることなく処理液を迅速に更新することができるので、基板液処理装置のスループットを低減させることなく、基板の液処理を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】基板液処理装置を示す平面説明図。
図2】エッチング処理装置を示す説明図。
図3】基板液処理プログラムを示すフローチャート。
図4】同タイムチャート。
図5】他のエッチング処理装置を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係る基板液処理装置及び基板液処理方法並びに基板液処理プログラムの具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1に示すように、基板液処理装置1は、キャリア搬入出部2、ロット形成部3、ロット載置部4、ロット搬送部5、ロット処理部6、制御部7を有する。
【0025】
キャリア搬入出部2は、複数枚(たとえば、25枚)の基板8を水平姿勢で上下に並べて収容したキャリア9の搬入及び搬出を行う。
【0026】
このキャリア搬入出部2には、複数個のキャリア9を載置するキャリアステージ10と、キャリア9の搬送を行うキャリア搬送機構11と、キャリア9を一時的に保管するキャリアストック12,13と、キャリア9を載置するキャリア載置台14とが設けられている。ここで、キャリアストック12は、製品となる基板8をロット処理部6で処理する前に一時的に保管する。また、キャリアストック13は、製品となる基板8をロット処理部6で処理した後に一時的に保管する。
【0027】
そして、キャリア搬入出部2は、外部からキャリアステージ10に搬入されたキャリア9をキャリア搬送機構11を用いてキャリアストック12やキャリア載置台14に搬送する。また、キャリア搬入出部2は、キャリア載置台14に載置されたキャリア9をキャリア搬送機構11を用いてキャリアストック13やキャリアステージ10に搬送する。キャリアステージ10に搬送されたキャリア9は、外部へ搬出される。
【0028】
ロット形成部3は、1又は複数のキャリア9に収容された基板8を組合せて同時に処理される複数枚(たとえば、50枚)の基板8からなるロットを形成する。
【0029】
このロット形成部3には、複数枚の基板8を搬送する基板搬送機構15が設けられている。なお、基板搬送機構15は、基板8の搬送途中で基板8の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢及び垂直姿勢から水平姿勢に変更させることができる。
【0030】
そして、ロット形成部3は、キャリア載置台14に載置されたキャリア9から基板搬送機構15を用いて基板8をロット載置部4に搬送し、ロット載置部4でロットを形成する。また、ロット形成部3は、ロット載置部4に載置されたロットを基板搬送機構15でキャリア載置台14に載置されたキャリア9へ搬送する。なお、基板搬送機構15は、複数枚の基板8を支持するための基板支持部として、処理前(ロット搬送部5で搬送される前)の基板8を支持する処理前基板支持部と、処理後(ロット搬送部5で搬送された後)の基板8を支持する処理後基板支持部の2種類を有している。これにより、処理前の基板8等に付着したパーティクル等が処理後の基板8等に転着するのを防止する。
【0031】
ロット載置部4は、ロット搬送部5によってロット形成部3とロット処理部6との間で搬送されるロットを一時的に載置(待機)する。
【0032】
このロット載置部4には、処理前(ロット搬送部5で搬送される前)のロットを載置する搬入側ロット載置台17と、処理後(ロット搬送部5で搬送された後)のロットを載置する搬出側ロット載置台18とが設けられている。搬入側ロット載置台17及び搬出側ロット載置台18には、1ロット分の複数枚の基板8が垂直姿勢で前後に並べて載置される。
【0033】
そして、ロット載置部4では、ロット形成部3で形成したロットが搬入側ロット載置台17に載置され、そのロットがロット搬送部5を介してロット処理部6に搬入される。また、ロット載置部4では、ロット処理部6からロット搬送部5を介して搬出されたロットが搬出側ロット載置台18に載置され、そのロットがロット形成部3に搬送される。
【0034】
ロット搬送部5は、ロット載置部4とロット処理部6との間やロット処理部6の内部間でロットの搬送を行う。
【0035】
このロット搬送部5には、ロットの搬送を行うロット搬送機構19が設けられている。ロット搬送機構19は、ロット載置部4とロット処理部6に沿わせて配置したレール20と、複数枚の基板8を保持しながらレール20に沿って移動する移動体21とで構成する。移動体21には、垂直姿勢で前後に並んだ複数枚の基板8を保持する基板保持体22が進退自在に設けられている。
【0036】
そして、ロット搬送部5は、搬入側ロット載置台17に載置されたロットをロット搬送機構19の基板保持体22で受取り、そのロットをロット処理部6に受渡す。また、ロット搬送部5は、ロット処理部6で処理されたロットをロット搬送機構19の基板保持体22で受取り、そのロットを搬出側ロット載置台18に受渡す。さらに、ロット搬送部5は、ロット搬送機構19を用いてロット処理部6の内部においてロットの搬送を行う。
【0037】
ロット処理部6は、垂直姿勢で前後に並んだ複数枚の基板8を1ロットとしてエッチングや洗浄や乾燥などの処理を行う。
【0038】
このロット処理部6には、基板8の乾燥処理を行う乾燥処理装置23と、基板保持体22の洗浄処理を行う基板保持体洗浄処理装置24と、基板8の洗浄処理を行う洗浄処理装置25と、基板8のエッチング処理を行う2台のエッチング処理装置26とが並べて設けられている。
【0039】
乾燥処理装置23は、処理槽27に基板昇降機構28を昇降自在に設けている。処理槽27には、基板8の乾燥を行うIPA(イソプロピルアルコール)等の乾燥用の処理ガスが供給される。基板昇降機構28には、1ロット分の複数枚の基板8が垂直姿勢で前後に並べて保持される。乾燥処理装置23は、ロット搬送機構19の基板保持体22からロットを基板昇降機構28で受取り、基板昇降機構28でそのロットを昇降させることでロットを処理槽27の乾燥用の処理ガスを供給させて基板8の乾燥処理を行う。また、乾燥処理装置23は、基板昇降機構28からロット搬送機構19の基板保持体22にロットを受渡す。
【0040】
基板保持体洗浄処理装置24は、処理槽29に洗浄用の処理液及び乾燥ガスを供給できるようになっており、ロット搬送機構19の基板保持体22に洗浄用の処理液を供給した後、乾燥ガスを供給することで基板保持体22の洗浄処理を行う。
【0041】
洗浄処理装置25は、洗浄用の処理槽30とリンス用の処理槽31とを有し、各処理槽30,31に基板昇降機構32,33を昇降自在に設けている。洗浄用の処理槽30には、基板8の洗浄を行うSC−1等の洗浄用の処理液が貯留される。リンス用の処理槽31には、基板8のリンスを行う純水等のリンス用の処理液が貯留される。
【0042】
エッチング処理装置26は、エッチング用の処理槽34とリンス用の処理槽35とを有し、各処理槽34,35に基板昇降機構36,37を昇降自在に設けている。エッチング用の処理槽34には、基板8のエッチングを行うリン酸水溶液等のエッチング用の処理液が貯留される。リンス用の処理槽35には、基板8のリンスを行う純水等のリンス用の処理液が貯留される。
【0043】
これら洗浄処理装置25とエッチング処理装置26は、同様の構成となっている。エッチング処理装置26について説明すると、基板昇降機構36,37には、1ロット分の複数枚の基板8が垂直姿勢で前後に並べて保持される。エッチング処理装置26は、ロット搬送機構19の基板保持体22からロットを基板昇降機構36で受取り、基板昇降機構36でそのロットを昇降させることでロットを処理槽34のエッチング用の処理液に浸漬させて基板8のエッチング処理を行う。その後、エッチング処理装置26は、基板昇降機構36からロット搬送機構19の基板保持体22にロットを受渡す。また、エッチング処理装置26は、ロット搬送機構19の基板保持体22からロットを基板昇降機構37で受取り、基板昇降機構37でそのロットを昇降させることでロットを処理槽35のリンス用の処理液に浸漬させて基板8のリンス処理を行う。その後、エッチング処理装置26は、基板昇降機構37からロット搬送機構19の基板保持体22にロットを受渡す。
【0044】
このエッチング処理装置26では、所定濃度の薬剤(リン酸)の水溶液(88.3重量%のリン酸水溶液)を処理液(エッチング液)として用いて基板8を液処理(エッチング処理)する。
【0045】
エッチング処理装置26は、図2に示すように、所定濃度のリン酸水溶液(88.3重量%のリン酸水溶液)からなる処理液を貯留するとともに基板8を処理するための処理液貯留部38と、処理液貯留部38に処理液とは異なる濃度の薬剤(リン酸)の水溶液(85重量%のリン酸水溶液)を供給するための水溶液供給部39と、処理液貯留部38に水(純水)を供給するための水供給部40と、処理液貯留部38に貯留された処理液を循環させるための処理液循環部41と、処理液貯留部38から処理液を排出する処理液排出部42とを有する。
【0046】
処理液貯留部38は、上部を開放させた処理槽34の上部周囲に上部を開放させた外槽43を形成し、処理槽34と外槽43に処理液を貯留する。処理槽34では、基板8を基板昇降機構36によって浸漬させることで基板8を液処理する処理液を貯留する。外槽43では、処理槽34からオーバーフローした処理液や、水溶液供給部39から供給される水溶液や、水供給部40から供給される水を貯留するとともに、処理液循環部41によって処理槽34に処理液を供給する。外槽43には、処理液の水位を検出する水位センサー44が設けられている。水位センサー44は、制御部7に接続されている。
水溶液供給部39は、所定濃度(85重量%)及び所定温度(25℃)のリン酸水溶液を供給するための水溶液供給源45を処理液貯留部38の外槽43に流量調整器46を介して接続する。流量調整器46は、制御部7に接続されており、制御部7で開閉制御及び流量制御される。
【0047】
水供給部40は、所定温度(25℃)の純水を供給するための水供給源47を処理液貯留部38の外槽43に流量調整器48を介して接続する。流量調整器48は、制御部7に接続されており、制御部7で開閉制御及び流量制御される。
【0048】
処理液循環部41は、処理液貯留部38の外槽43の底部と処理槽34の底部との間に循環流路49を形成する。循環流路49には、ポンプ50、ヒーター(加熱手段)51、フィルター52、リン酸水溶液の濃度を検出する濃度センサー53が順に設けられている。これらのポンプ50、ヒーター51、フィルター52、濃度センサー53は、制御部7に接続されている。そして、処理液循環部41は、ポンプ50を駆動させることで外槽43から処理槽34に処理液を循環させる。その際に、ヒーター51で処理液を所定温度(165℃)に加熱する。
【0049】
処理液排出部42は、処理液貯留部38の処理槽34の底部に外部ドレイン54を開閉弁55を介して接続する。開閉弁55は、制御部7に接続されており、制御部7で開閉制御される。
【0050】
エッチング処理装置26は、水溶液供給部39によって所定濃度(85重量%)及び所定温度(25℃)のリン酸水溶液を処理液貯留部38に供給し、処理液循環部41によって所定濃度(88.3重量%)及び所定温度(165℃)になるように加熱して処理液を生成し、処理液を処理液貯留部38に貯留する。また、エッチング処理装置26は、加熱によって蒸発する水の量に相応する量の純水を水供給部40によって処理液貯留部38に供給する。これにより、エッチング処理装置26は、処理液貯留部38の処理槽34に所定濃度(88.3重量%)及び所定温度(165℃)の処理液を貯留し、その処理液に基板昇降機構36によって基板8を浸漬させることで、基板8をエッチング処理する。
【0051】
また、エッチング処理装置26は、処理液排出部42によって処理液貯留部38の処理液の一部(又は全部)を排出するとともに、水溶液供給部39によって新規に水溶液を供給して、処理液貯留部38に貯留する処理液を適宜更新(交換)する。
【0052】
制御部7は、基板液処理装置1の各部(キャリア搬入出部2、ロット形成部3、ロット載置部4、ロット搬送部5、ロット処理部6など)の動作を制御する。
【0053】
この制御部7は、たとえばコンピュータであり、コンピュータで読み取り可能な記録媒体56を備える。記録媒体56には、基板液処理装置1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部7は、記録媒体56に記録されたプログラムを読み出して実行することによって基板液処理装置1の動作を制御する。なお、プログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体56に記録されていたものであって、他の記録媒体から制御部7の記録媒体56にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記録媒体56としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0054】
基板液処理装置1は、以上に説明したように構成しており、制御部7で各部(キャリア搬入出部2、ロット形成部3、ロット載置部4、ロット搬送部5、ロット処理部6など)の動作を制御することで、基板8を処理する。
【0055】
この基板液処理装置1で基板8をエッチング処理する場合、記録媒体56に記録された基板液処理プログラムに従って制御部7でエッチング処理装置26などを以下に説明するように制御する(図3及び図4参照。)。
【0056】
まず、基板液処理装置1は、基板8をエッチング処理するための準備を行う(準備工程)。
【0057】
この準備工程において、制御部7は、処理液貯留部38に貯留された処理液を処理液循環部41によって循環させながら加熱させる。これにより、所定濃度(88.3重量%)及び所定温度(165℃)の処理液が生成される。処理液は、処理液貯留部38の処理槽34に貯留されるとともに、処理槽34から外槽43へとオーバーフローし、処理液循環部41によって所定温度(165℃)を保持するように加熱される。このように処理液(リン酸水溶液)を水の沸点以上の温度に加熱すると、処理液に含有される水分が蒸発して、処理液に含有されるリン酸の濃度が増加する。そこで、制御部7は、加熱によって蒸発する水の量に相応する量の純水を水供給部40によって処理液貯留部38に供給させる。これにより、処理液貯留部38の処理槽34に貯留される処理液を所定濃度(88.3重量%)及び所定温度(165℃)に保持する。たとえば、加熱による水蒸発量が100ml/minの場合、同量の純水を水供給部40から処理液貯留部38に供給する。なお、処理液の加熱は、その後の工程(搬入工程、処理工程、搬出工程)においても継続して行う。
【0058】
次に、基板液処理装置1は、エッチング処理する基板8を搬入する(搬入工程)。
【0059】
この搬入工程において、制御部7は、基板昇降機構36を処理槽34の内部から上昇させる。その後、同時に処理する1ロット分の基板8をロット搬送機構19から基板昇降機構36へと搬送させる。その後、基板8を保持した基板昇降機構36を処理槽34の内部へと降下させる。これにより、処理槽34に貯留された処理液に基板8が浸漬される。なお、処理液貯留部38に貯留された処理液の水位は、基板昇降機構36の上昇に伴って一旦降下した後に、基板8を保持した基板昇降機構36の降下に伴って上昇する。
【0060】
基板8が処理液に浸漬されることで基板8のエッチング処理が開始される(処理工程)。基板8が処理液でエッチング処理されると、処理液に含有されるシリコンの濃度が増加する。処理液の能力(エッチングレート)が処理液中のシリコン濃度に依存するために処理液中のシリコン濃度を一定濃度範囲内に保持する必要がある。そこで、基板液処理装置1では、以下に説明するように、基板8の処理中に処理液の一部を排出するとともに新たな処理液を供給することで処理液の更新を行っている。
【0061】
エッチング処理開始時に、制御部7は、処理液貯留部38に貯留された処理液の液面高さ(水位)を水位センサー44で検出し記憶する(水位記憶)。その後、制御部7は、水溶液供給部39によって所定濃度(85重量%)及び所定温度(25℃)のリン酸水溶液を新たに処理液貯留部38に供給させるとともに、処理液排出部42によって処理液貯留部38から所定量の処理液を排出させる(処理液更新)。なお、処理液の更新は、エッチング処理の開始から所定時間経過した時に開始してもよく、処理液中のシリコン濃度が所定値以上となった時に開始してもよい。
【0062】
ここで、基板液処理装置1では、水溶液供給部39から500ml/minの処理液を新たに供給する。新たに供給される水溶液は、85重量%のリン酸水溶液となっている。そのため、水溶液の濃度とは異なる濃度の処理液を同量排出した場合、処理液貯留部38に貯留される処理液の濃度が変化してしまう。上記基板液処理装置1では、排出される処理液の濃度(88.3重量%)よりも供給される水溶液の濃度(85重量%)のほうが低いため、排出量と供給量とを同じにすると、処理液の濃度が低下する。
【0063】
そこで、制御部7は、水溶液供給部39によって処理液貯留部38に所定量のリン酸水溶液を供給させるとともに、処理液貯留部38に供給されるリン酸水溶液に含有される薬剤(リン酸)の量と同一量の薬剤を含有する処理液を処理液排出部42によって処理液貯留部38から排出させる。たとえば、水溶液供給部39から処理液貯留部38に500ml/minの85重量%リン酸水溶液を新たに供給する場合、供給されるリン酸水溶液500ml/min中に384.6ml/minのリン酸が含有されている。これと同一量のリン酸を含有する88.3重量%の処理液として436.6ml/minの処理液を処理液貯留部38から排出する。これにより、処理液貯留部38に貯留されている処理液に含有される薬剤の量を常に一定に保持することができる。
【0064】
また、基板液処理装置1では、処理液貯留部38に供給される水溶液の温度(25℃)が処理液貯留部38に貯留される処理液の温度(165℃)よりも低く、処理液循環部41によって処理液を水の沸点以上の温度に加熱している。そのため、上記基板液処理装置1では、処理液貯留部38から一定量の水分が蒸発する。加熱による水蒸発量が100ml/minの場合、処理液の更新時に同量の純水を水供給部40から処理液貯留部38に供給すると、排出される処理液の濃度(88.3重量%)よりも供給される水溶液の濃度(85重量%)のほうが低いために、処理液の濃度が低下する。
【0065】
そこで、制御部7は、加熱によって処理液貯留部38から蒸発する水の量と処理液貯留部38から排出させる処理液に含有される水の量とを加算した水の量から処理液貯留部38に供給されるリン酸水溶液に含有される水の量を減算した水の量と同一量の純水を水供給部40から処理液貯留部38に供給させる。たとえば、上述したように、水溶液供給部39から処理液貯留部38に500ml/minの85重量%リン酸水溶液を新たに供給し、供給されるリン酸水溶液と同一量のリン酸を含有する436.6ml/minの88.3重量%の処理液を処理液貯留部38から排出する場合、加熱によって処理液貯留部38から蒸発する水の量を100ml/minとすると、処理液貯留部38から排出させる88.3重量%の処理液に含有される水の量が52ml/minとなり、処理液貯留部38に供給されるリン酸水溶液に含有される水の量が115.4ml/minとなる。そのため、加熱によって処理液貯留部38から蒸発する水の量100ml/minと処理液貯留部38から排出させる処理液に含有される水の量52ml/minとを加算した水の量が152ml/minとなる。その量(152ml/min)から処理液貯留部38に供給されるリン酸水溶液に含有される水の量115.4ml/minを減算した水の量が36.6ml/minとなる。この36.6ml/minと同一量の純水を水供給部40から処理液貯留部38に供給する。これにより、処理液貯留部38に貯留されている処理液に含有される純水の量を常に一定に保持することができる。
【0066】
このように、基板液処理装置1では、処理液貯留部38に貯留されている処理液に含有される薬剤(リン酸)の量と純水の量とを常に一定に保持することができ、処理液の濃度及び量を一定に保持することができる。これにより、基板8のエッチング処理を良好に行うことができる。
【0067】
そして、上記基板液処理装置1では、処理液貯留部38に貯留されている処理液の量を一定に保持しているために、処理液排出部42から排出する処理液の量を流量調整器等を用いて正確に制御しなくても、エッチング処理開始時に記憶した処理液の液面高さ(水位)を維持するように処理液排出部42を制御すればよい。これにより、基板液処理装置1のコストダウンを図ることができる。
【0068】
上記エッチング処理を所定時間行った後に、基板液処理装置1は、エッチング処理した基板8を搬出する(搬出工程)。
【0069】
この搬出工程において、制御部7は、基板8を保持した基板昇降機構36を処理槽34の内部から上昇させる。これにより、基板8のエッチング処理が終了する。その後、同時に処理した1ロット分の基板8を基板昇降機構36からロット搬送機構19へと搬送させる。その後、基板昇降機構36を処理槽34の内部へと降下させる。
【0070】
以上に説明したように、上記基板液処理装置1では、処理液貯留部38に所定量の処理液とは異なる濃度の水溶液を供給するとともに、処理液貯留部38に供給される水溶液に含有される薬剤の量と同一量の薬剤を含有する処理液を処理液貯留部38から排出することで処理液の更新を行っているために、処理液の濃度を変化させることなく処理液を迅速に更新することができ、基板液処理装置1のスループットを低減させることなく、基板8の液処理を良好に行うことができる。
【0071】
なお、上記基板液処理装置1では、処理液貯留部38で基板8を液処理する場合に本発明を適用した例を説明したが、たとえば図5に示すように、本発明は、処理液貯留部38としての貯留タンクから別個の基板処理部57に処理液を供給し、基板処理部57で基板8を液処理する場合にも適用することができる。また、本発明は、処理液としてリン酸水溶液を用いた場合に限られず、他の1種類の水溶液又は複数種類の水溶液の混合液などを用いる場合にも適用することができ、また、エッチング処理に限られず洗浄処理などにも適用することができる。
【符号の説明】
【0072】
7 制御部
8 基板
26 エッチング処理装置
38 処理液貯留部
39 水溶液供給部
40 水供給部
41 処理液循環部
42 処理液排出部
図1
図2
図3
図4
図5