特許第6118758号(P6118758)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧

特許6118758基板処理装置及び基板処理方法並びに基板処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
<>
  • 特許6118758-基板処理装置及び基板処理方法並びに基板処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図000002
  • 特許6118758-基板処理装置及び基板処理方法並びに基板処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図000003
  • 特許6118758-基板処理装置及び基板処理方法並びに基板処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図000004
  • 特許6118758-基板処理装置及び基板処理方法並びに基板処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図000005
  • 特許6118758-基板処理装置及び基板処理方法並びに基板処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図000006
  • 特許6118758-基板処理装置及び基板処理方法並びに基板処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図000007
  • 特許6118758-基板処理装置及び基板処理方法並びに基板処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図000008
  • 特許6118758-基板処理装置及び基板処理方法並びに基板処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図000009
  • 特許6118758-基板処理装置及び基板処理方法並びに基板処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図000010
  • 特許6118758-基板処理装置及び基板処理方法並びに基板処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図000011
  • 特許6118758-基板処理装置及び基板処理方法並びに基板処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図000012
  • 特許6118758-基板処理装置及び基板処理方法並びに基板処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図000013
  • 特許6118758-基板処理装置及び基板処理方法並びに基板処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6118758
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法並びに基板処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20170410BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   H01L21/304 643A
   H01L21/304 648G
   H01L21/304 651B
   H01L21/30 569C
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-94640(P2014-94640)
(22)【出願日】2014年5月1日
(65)【公開番号】特開2015-213105(P2015-213105A)
(43)【公開日】2015年11月26日
【審査請求日】2016年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】篠原 和義
(72)【発明者】
【氏名】吉田 祐希
【審査官】 ▲高▼須 甲斐
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−038595(JP,A)
【文献】 特開2013−140881(JP,A)
【文献】 特開2011−009601(JP,A)
【文献】 特開2007−220956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持しながら回転させる基板回転部と、
前記基板に処理液を供給する処理液供給部と、
前記処理液供給部から供給された前記処理液と置換させる置換液を前記基板に供給する置換液供給部と、を備え、
前記置換液供給部から供給される置換液よりも前記基板の外周側に前記処理液供給部から前記処理液を補給して処理液の液膜を形成し、
前記処理液供給部は、前記基板の中央部上方に向けて前記処理液を供給する処理液供給ノズルと、前記置換液よりも前記基板の外周側に前記処理液を補給する処理液補給ノズルとを有することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
基板を保持しながら回転させる基板回転部と、
前記基板に処理液を供給する処理液供給部と、
前記処理液供給部から供給された前記処理液と置換させる置換液を前記基板に供給する置換液供給部と、を備え、
前記置換液供給部から供給される置換液よりも前記基板の外周側に前記処理液供給部から前記処理液を補給して処理液の液膜を形成し、
前記処理液供給部は、前記処理液供給部から供給する前記処理液の流量よりも少ない流量の前記処理液を補給することを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
前記処理液供給部及び置換液供給部は、前記基板の表面全体に前記処理液及び置換液の液膜を形成し、
前記処理液供給部は、前記置換液の液膜よりも前記基板の外周側部分に形成された前記処理液の液膜を保持するように前記処理液を補給することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記置換液供給部は、前記基板の中央部上方に向けて前記置換液を供給し、
前記処理液供給部は、前記基板の外周方向に向けて移動しながら前記処理液を補給することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記処理液供給部は、前記基板の周縁部で前記処理液の補給を停止することを特徴とする請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記処理液供給部は、前記置換液供給部から前記基板への前記置換液の供給を開始するよりも前に前記処理液の補給を開始することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記処理液供給部は、処理液を補給しない場合において置換液の液膜が基板と同心円状に形成される円形領域内に処理液を補給することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項8】
回転する基板に処理液を供給する処理液供給工程と、
前記基板に供給された前記処理液を置換するための置換液を基板に供給して置換液の液膜を形成する置換液供給工程と、
前記基板に供給される前記置換液よりも前記基板の外周側に前記処理液を補給して処理液の液膜を形成する処理液補給工程と、
を有し、
前記処理液補給工程では、前記処理液供給工程で供給する前記処理液の流量よりも少ない流量の前記処理液を補給することを特徴とする基板処理方法。
【請求項9】
前記処理液供給工程では、前記基板の表面全体に前記処理液の液膜を形成し、
前記処理液補給工程では、前記置換液よりも前記基板の外周側部分に形成された前記処理液の液膜を保持することを特徴とする請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記置換液供給工程では、前記基板の中央部上方に向けて前記置換液を供給し、
前記処理液補給工程では、前記基板の外周方向に向けて移動しながら前記処理液を補給することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記処理液補給工程は、前記置換液供給工程で前記基板への前記置換液の供給を開始するよりも前に前記処理液の補給を開始することを特徴とする請求項8〜請求項10のいずれかに記載の基板処理方法。
【請求項12】
基板を保持しながら回転させる基板回転部と、
前記基板に処理液を供給する処理液供給部と、
前記処理液供給部から供給された前記処理液と置換させる置換液を前記基板に供給する置換液供給部と、
を有する基板処理装置を用い、
前記基板回転部によって前記基板を回転させ、前記処理液供給部によって前記基板に前記処理液を供給させ(処理液供給工程)、その後、前記置換液供給部によって前記基板に前記置換液を供給させて置換液の液膜を形成する(置換液供給工程)とともに、前記処理液供給部によって前記置換液よりも前記基板の外周側に前記処理液供給工程における前記処理液の流量よりも少ない流量の前記処理液を補給させて処理液の液膜を形成する(処理液補給工程)ことを特徴とする基板処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上の処理液を除去して基板の乾燥を行う基板処理装置及び基板処理方法並びに基板処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体部品やフラットパネルディスプレイなどを製造する際には、基板処理装置を用いて半導体ウエハや液晶基板などの基板に対して洗浄やエッチングなどの各種の液処理を施す。
【0003】
たとえば、基板の洗浄を行う基板処理装置では、回転する基板に向けて洗浄用の薬液を供給し、基板の表面を薬液で洗浄処理する。その後、基板の中央部にリンス液を供給し、基板の表面をリンス液でリンス処理する。このリンス処理では、基板の表面をリンス処理するための処理液(たとえば、純水)を基板に供給して、基板の表面に処理液の液膜を形成させる。その後、処理液の供給を停止し、処理液よりも揮発性の高い乾燥用液(たとえば、IPA(イソプロピルアルコール))を基板の中央部に供給して基板の表面に形成された処理液の液膜を乾燥用液に置換する置換処理を行う。この置換処理では、基板の中央部から外周側に向かって処理液が乾燥用液に置換され、基板の表面に乾燥用液の液膜が形成される。その後、乾燥用液に向けて不活性ガス(たとえば、窒素ガス)を吹き付けるとともに回転する基板による遠心力で乾燥用液を基板の表面から外側方へ振り切ることで、基板の表面を乾燥させる。
【0004】
このように従来の基板処理装置では、基板の乾燥を行う際に、基板の表面に処理液を供給して処理液の液膜を形成しておき、処理液の供給を停止した後に乾燥用液の供給を開始することで、基板の表面に形成された処理液の液膜を乾燥用液に置換していた(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−45389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来の基板処理装置では、基板の表面に処理液の液膜が形成された際に、処理液の液膜に基板の回転による遠心力が作用している。その遠心力は、基板の中央部よりも基板の外周側の方が大きい。そのため、処理液の供給から乾燥用液の供給に切換える際に基板の表面に乾燥用液の液膜が形成される前に基板の外周側に形成された処理液の液膜が基板の外側方へ振り切られて液膜が途切れた状態となる。特に、基板の表面が疎水化されている場合に顕著に現れる。
【0007】
そして、図13に模式的に示すように、基板の内周側(一点鎖線で示す基板と同心円状(基板の中心から所定半径)の円形領域内)では、乾燥溶液の液膜が形成されるものの、基板の外周側では、乾燥用液の液膜が途切れてしまう。このように乾燥用液の液膜が途切れると乾燥用液の液滴が形成され、液滴に雰囲気中の物質(たとえば、アンモニア)が溶け込み、そのまま乾燥すると基板の表面にウォーターマークが発生したりパーティクルが残存するおそれがある。
【0008】
このように、従来の基板処理装置では、置換液を供給する際に基板の表面全体において処理液の液膜を保持することができず、基板を良好に処理することができなかった。
【0009】
なお、置換液を供給する際に基板の回転速度を低くすることで遠心力を小さくして処理液の液膜を保持することも考えられるが、処理時間が長くなってしまい、基板処理装置のスループットが低減するなどの問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明では、基板処理装置において、基板を保持しながら回転させる基板回転部と、前記基板に処理液を供給する処理液供給部と、前記処理液供給部から供給された前記処理液と置換させる置換液を前記基板に供給する置換液供給部とを備え、前記置換液供給部から供給される置換液よりも前記基板の外周側に前記処理液供給部から前記処理液を補給して処理液の液膜を形成し、前記処理液供給部は、前記基板の中央部上方に向けて前記処理液を供給する処理液供給ノズルと、前記置換液よりも前記基板の外周側に前記処理液を補給する処理液補給ノズルとを有することにした。
また、本発明では、基板処理装置において、基板を保持しながら回転させる基板回転部と、前記基板に処理液を供給する処理液供給部と、前記処理液供給部から供給された前記処理液と置換させる置換液を前記基板に供給する置換液供給部とを備え、前記置換液供給部から供給される置換液よりも前記基板の外周側に前記処理液供給部から前記処理液を補給して処理液の液膜を形成し、前記処理液供給部は、前記処理液供給部から供給する前記処理液の流量よりも少ない流量の前記処理液を補給することにした。
【0011】
また、前記処理液供給部及び置換液供給部は、前記基板の表面全体に前記処理液及び置換液の液膜を形成し、前記処理液供給部は、前記置換液の液膜よりも前記基板の外周側部分に形成された前記処理液の液膜を保持するように前記処理液を補給することにした。
【0012】
また、前記置換液供給部は、前記基板の中央部上方に向けて前記置換液を供給し、前記処理液供給部は、前記基板の外周方向に向けて移動しながら前記処理液を補給することにした。
【0013】
また、前記処理液供給部は、前記基板の周縁部で前記処理液の補給を停止することにした。
【0016】
また、前記処理液供給部は、前記置換液供給部から前記基板への前記置換液の供給を開始するよりも前に前記処理液の補給を開始することにした。
【0017】
また、前記処理液供給部は、処理液を補給しない場合において置換液の液膜が基板と同心円状に形成される円形領域内に処理液を補給することにした。
【0018】
また、基板処理方法において、回転する基板に処理液を供給する処理液供給工程と、前記基板に供給された前記処理液を置換するための置換液を基板に供給して置換液の液膜を形成する置換液供給工程と、前記基板に供給される前記置換液よりも前記基板の外周側に前記処理液を補給して処理液の液膜を形成する処理液補給工程とを有し、前記処理液補給工程では、前記処理液供給工程で供給する前記処理液の流量よりも少ない流量の前記処理液を補給することにした。
【0019】
また、前記処理液供給工程では、前記基板の表面全体に前記処理液の液膜を形成し、前記処理液補給工程では、前記置換液よりも前記基板の外周側部分に形成された前記処理液の液膜を保持することにした。
【0020】
また、前記置換液供給工程では、前記基板の中央部上方に向けて前記置換液を供給し、前記処理液補給工程では、前記基板の外周方向に向けて移動しながら前記処理液を補給することにした。
【0022】
また、前記処理液補給工程は、前記置換液供給工程で前記基板への前記置換液の供給を開始するよりも前に前記処理液の補給を開始することにした。
【0023】
また、基板処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、基板を保持しながら回転させる基板回転部と、前記基板に処理液を供給する処理液供給部と、前記処理液供給部から供給された前記処理液と置換させる置換液を前記基板に供給する置換液供給部とを有する基板処理装置を用い、前記基板回転部によって前記基板を回転させ、前記処理液供給部によって前記基板に前記処理液を供給させ(処理液供給工程)、その後、前記置換液供給部によって前記基板に前記置換液を供給させて置換液の液膜を形成する(置換液供給工程)とともに、前記処理液供給部によって前記置換液よりも前記基板の外周側に前記処理液供給工程における前記処理液の流量よりも少ない流量の前記処理液を補給させて処理液の液膜を形成する(処理液補給工程)ことにした。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、基板処理装置のスループットを低下させることなく、ウォーターマークの発生やパーティクルの残存を抑制することができ、基板の処理を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】基板処理装置を示す平面図。
図2】基板液処理装置を示す側面断面図。
図3】同平面図。
図4】基板処理プログラムを示すフローチャート。
図5】基板処理装置の動作説明図(基板受取工程、基板受渡工程)。
図6】基板処理装置の動作説明図(薬液供給工程)。
図7】基板処理装置の動作説明図(処理液供給工程)。
図8】基板処理装置の動作説明図(処理液補給工程)。
図9】基板処理装置の動作説明図(処理液補給工程)。
図10】基板処理装置の動作説明図(置換液供給工程)。
図11】基板処理装置の動作説明図(不活性ガス供給工程)。
図12】基板処理装置の動作説明図(不活性ガス供給工程)。
図13】基板に形成される液膜の状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明に係る基板処理装置及び基板処理方法の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0027】
図1に示すように、基板処理装置1は、前端部に搬入出部2を形成する。搬入出部2には、複数枚(たとえば、25枚)の基板3(ここでは、半導体ウエハ)を収容したキャリア4が搬入及び搬出され、左右に並べて載置される。
【0028】
また、基板処理装置1は、搬入出部2の後部に搬送部5を形成する。搬送部5は、前側に基板搬送装置6を配置するとともに、後側に基板受渡台7を配置する。この搬送部5では、搬入出部2に載置されたいずれかのキャリア4と基板受渡台7との間で基板搬送装置6を用いて基板3を搬送する。
【0029】
また、基板処理装置1は、搬送部5の後部に処理部8を形成する。処理部8は、中央に前後に伸延する基板搬送装置9を配置するとともに、基板搬送装置9の左右両側に基板3を液処理するための基板液処理装置10を前後に並べて配置する。この処理部8では、基板受渡台7と基板液処理装置10との間で基板搬送装置9を用いて基板3を搬送し、基板液処理装置10を用いて基板3の液処理を行う。
【0030】
基板液処理装置10は、図2及び図3に示すように、基板回転部11と薬液供給部12と処理液供給部13と置換液供給部14と不活性ガス供給部15と処理液補給部16と回収部17とを有し、これらを制御部18で制御している。ここで、基板回転部11は、基板3を保持しながら回転させる。薬液供給部12は、基板3に洗浄用の薬液を供給する。処理液供給部13は、基板3にリンス用の処理液(たとえば、純水)を供給する。置換液供給部14は、基板3に置換液(ここでは、処理液よりも揮発性の高い乾燥用液、たとえば、IPA)を供給する。不活性ガス供給部15は、基板3に不活性ガスを供給する。処理液補給部16は、置換液よりも基板3の外周側に処理液を補助的に供給(補給)するものであり、処理液供給部13と同様に基板3に処理液を供給する処理液供給部として機能する。回収部17は、薬液や処理液や置換液などを回収する。
【0031】
基板回転部11は、基板処理室19の内部略中央に上下に伸延させた回転軸20を回転自在に設けている。回転軸20の上端には、円板状のターンテーブル21が水平に取付けられている。ターンテーブル21の外周端縁には、3個の基板保持体22が円周方向に等間隔をあけて取付けられている。
【0032】
また、基板回転部11は、回転軸20に基板回転機構23と基板昇降機構24を接続している。これらの基板回転機構23及び基板昇降機構24は、制御部18で回転制御や昇降制御される。
【0033】
この基板回転部11は、ターンテーブル21の基板保持体22で基板3を水平に保持する。また、基板回転部11は、基板回転機構23でターンテーブル21に保持した基板3を回転させ、基板昇降機構24でターンテーブル21や基板3を昇降させる。
【0034】
薬液供給部12は、基板処理室19に左右に水平に伸延させたガイドレール25を設け、ガイドレール25に前後に水平に伸延させたアーム26を左右移動自在に設けている。アーム26の先端下部左側には、薬液・処理液供給ノズル27を鉛直下向きに取付けている。薬液・処理液供給ノズル27には、洗浄用の薬液を供給するための薬液供給源28が流量調整器29を介して接続されている。この流量調整器29は、制御部18で流量制御される。
【0035】
また、薬液供給部12は、アーム26に第1のノズル移動機構30を接続している。この第1のノズル移動機構30は、制御部18で移動制御される。
【0036】
処理液供給部13は、薬液・処理液供給ノズル27に処理液としてのリンス液を供給するための処理液供給源31を流量調整器32を介して接続している。この流量調整器32は、制御部18で流量制御される。
【0037】
これらの薬液供給部12及び処理液供給部13は、第1のノズル移動機構30によって薬液・処理液供給ノズル27を基板3の中央上方(開始位置)と基板3の左外側方(退避位置)との間で移動可能であり、基板3の表面(上面)に向けて洗浄用の薬液やリンス用の処理液を吐出させることができる。なお、ここでは、薬液・処理液供給ノズル27から薬液と処理液を選択的に吐出するようにしているが、薬液と処理液とをそれぞれ別個のノズルから吐出するようにしてもよい。
【0038】
置換液供給部14は、アーム26の先端下部右側に置換液供給ノズル33を鉛直下向きに取付けている。置換液供給ノズル33には、置換液を供給するための置換液供給源34が流量調整器35を介して接続されている。この流量調整器35は、制御部18で流量制御される。
【0039】
この置換液供給部14は、第1のノズル移動機構30によって置換液供給ノズル33を基板3の中央上方(開始位置)と基板3の左外側方(退避位置)との間で移動可能であり、基板3の表面(上面)に向けて置換液を吐出させることができる。
【0040】
不活性ガス供給部15は、基板処理室19に左右に水平に伸延させたガイドレール36を設け、ガイドレール36に前後に水平に伸延させたアーム37を左右移動自在に設けている。アーム37の先端下部中央には、第1の不活性ガス供給ノズル38が鉛直下向きに取付けられている。また、アーム37の先端下部左側には、第2の不活性ガス供給ノズル39が上方から下方右側に向けて傾斜させて取付けられている。第1及び第2の不活性ガス供給ノズル38,39には、不活性ガス(たとえば、窒素ガス)を供給するための不活性ガス供給源40が流量調整器41,42をそれぞれ介して接続されている。この流量調整器41,42は、制御部18で流量制御される。
【0041】
また、不活性ガス供給部15は、アーム37に第2のノズル移動機構43を接続している。この第2のノズル移動機構43は、制御部18で移動制御される。
【0042】
この不活性ガス供給部15は、第2のノズル移動機構43によって第1及び第2の不活性ガス供給ノズル38,39を基板3の中央上方(開始位置)と基板3の右外側方(退避位置)との間で移動可能であり、基板3の表面(上面)に向けて不活性ガスを吐出させることができる。その際に、第1の不活性ガス供給ノズル38からは、不活性ガスを基板3の表面に鉛直下向きに吐出させる。一方、第2の不活性ガス供給ノズル39からは、不活性ガスを基板3の表面に上方から外周側へ向けて傾斜状に吐出させる。
【0043】
処理液補給部16は、アーム37の先端下部右側に処理液補給ノズル44を鉛直下向きに取付けている。処理液補給ノズル44には、処理液を補給するための処理液補給源45を流量調整器46を介して接続している。この流量調整器46は、制御部18で流量制御される。なお、ここでは、処理液補給源45と処理液供給源31とを別個のものを用いているが、同一のものを用いてもよい。
【0044】
この処理液補給部16は、第2のノズル移動機構43によって処理液補給ノズル44を基板3の中央上方(開始位置)と基板3の右外側方(退避位置)との間で移動可能であり、基板3の表面(上面)に向けて処理液を吐出させることができる。
【0045】
回収部17は、ターンテーブル21の周囲に円環状の回収カップ47を配置している。回収カップ47の上端部には、ターンテーブル21よりも一回り大きいサイズの開口を形成している。また、回収カップ47の下端部には、ドレイン48を接続している。
【0046】
この回収部17は、基板3の表面に供給された処理液や置換液などを回収カップ47で回収し、ドレイン48から外部へと排出する。
【0047】
基板処理装置1は、以上に説明したように構成しており、制御部18(コンピュータ)に設けた記録媒体49に記録された各種のプログラムにしたがって制御部18で制御され、基板3の処理を行う。ここで、記録媒体49は、各種の設定データやプログラムを格納しており、ROMやRAMなどのメモリーや、ハードディスク、CD−ROM、DVD−ROMやフレキシブルディスクなどのディスク状記録媒体などの公知のもので構成される。
【0048】
そして、基板処理装置1は、記録媒体49に記録された基板処理プログラム(図4参照。)にしたがって以下に説明するように基板3の処理を行う。
【0049】
まず、基板処理装置1は、図5に示すように、基板搬送装置9によって搬送される基板3を基板液処理装置10で受け取る(基板受取工程)。
【0050】
この基板受取工程では、制御部18は、基板昇降機構24によってターンテーブル21を所定位置まで上昇させる。そして、基板搬送装置9から基板処理室19の内部に搬送された1枚の基板3を基板保持体22で水平に保持した状態で受取る。その後、基板昇降機構24によってターンテーブル21を所定位置まで降下させる。なお、基板受取工程では、薬液・処理液供給ノズル27、置換液供給ノズル33、第1及び第2の不活性ガス供給ノズル38,39、処理液補給ノズル44をターンテーブル21の外周よりも外方の退避位置に退避させておく。
【0051】
次に、基板処理装置1は、図6に示すように、基板3の表面に薬液を供給して基板3の洗浄処理を行う(薬液供給工程)。
【0052】
この薬液供給工程では、制御部18は、第1のノズル移動機構30によってアーム26を移動させて薬液・処理液供給ノズル27を基板3の中心部上方の供給開始位置に配置する。また、基板回転機構23によって所定の回転速度でターンテーブル21を回転させることで基板3を回転させる。その後、流量調整器29によって所定流量に流量制御された薬液を薬液・処理液供給ノズル27から基板3の表面に向けて吐出させる。なお、基板3に供給された薬液は回収カップ47で回収されドレイン48から外部に排出される。その後、流量調整器29によって薬液の吐出を停止させる。
【0053】
次に、基板処理装置1は、図7に示すように、基板3の表面に処理液を供給して基板3のリンス処理を行う(処理液供給工程)。
【0054】
この処理液供給工程では、制御部18は、薬液・処理液供給ノズル27を基板3の中心部上方に維持させた状態で、流量調整器32によって所定流量に流量制御された処理液を薬液・処理液供給ノズル27から基板3の表面に向けて吐出させる。これにより、基板3の表面に処理液の液膜が形成される。この処理液の液膜が基板3の表面に形成されたままの状態となるように処理液の吐出流量を調整する。なお、基板3に供給された処理液は回収カップ47で回収されドレイン48から外部に排出される。
【0055】
次に、基板処理装置1は、図8図10に示すように、基板3の表面に処理液を補助的に供給(補給)する(処理液補給工程)と同時に、基板3の表面に置換液を供給して基板3の置換処理を行う(置換液供給工程)。
【0056】
処理液補給工程の開始時には、図8に示すように、薬液・処理液供給ノズル27から基板3の中央部上方への処理液の供給を継続して行うとともに、処理液補給ノズル44から基板3の外周部上方に向けて薬液・処理液供給ノズル27から吐出される処理液と同種の処理液を補給する。すなわち、制御部18は、流量調整器32によって所定流量に流量制御された処理液を薬液・処理液供給ノズル27から基板3の中央部上方に向けて吐出させる。また、第2のノズル移動機構43によってアーム37を移動させて処理液補給ノズル44を基板3の中心部よりも外周部上方の供給開始位置に配置する。その後、流量調整器46によって所定流量に流量制御された処理液を処理液補給ノズル44から基板3の表面に向けて吐出させる。これにより、基板3の表面に形成された処理液の液膜が保持される。その際に、処理液補給ノズル44から補給する処理液の流量を薬液・処理液供給ノズル27から供給する処理液の流量よりも少なくして、基板3の表面で処理液が飛散するのを防止している。なお、基板3に供給された処理液は回収カップ47で回収されドレイン48から外部に排出される。
【0057】
処理液補給工程を開始した後に、図9に示すように、処理液供給工程を終了し、置換液供給工程を開始する。すなわち、制御部18は、第1のノズル移動機構30によってアーム26を移動させて置換液供給ノズル33を基板3の中心部上方の供給開始位置に配置する。その後、流量調整器32によって処理液の吐出を停止させるとともに、流量調整器35によって所定流量に流量制御された置換液を置換液供給ノズル33から基板3の表面に向けて鉛直下向きに吐出させる。
【0058】
置換液供給工程を開始し所定の時間処理液を供給した後に、図10に示すように、処理液補給工程を終了する。すなわち、制御部18は、第2のノズル移動機構43によってアーム37(処理液補給ノズル44)の移動を停止させるとともに、流量調整器46によって処理液の吐出を停止させる。置換液は置換液供給ノズル33から基板3に吐出させておく。これにより、基板3の表面に置換液の液膜が形成される。なお、基板3に供給された置換液は回収カップ47で回収されドレイン48から外部に排出される。
【0059】
このように、置換液を供給する際に、処理液の供給を停止せずに処理液を置換液の供給位置よりも基板3の外周側に補給することで、遠心力の作用によって基板3の表面で処理液や置換液の液膜が途切れた状態となることなく、基板3の表面に処理液や置換液の液膜を保持する(形成し続ける)ことができる。これにより、基板3の表面に液滴状の置換液が残留することに起因するウォーターマークの発生やパーティクルの残存を抑制することができる。従来のように置換液を供給する際に処理液を補給しない場合には、図13に模式的に示すように、基板3の内周側(一点鎖線で示す基板と同心円状(基板の中心から所定半径)の円形領域内)では、置換液の液膜が形成されるものの、基板の外周側では、置換液の液膜が途切れてしまう。そこで、処理液を補給しない場合でも置換液の液膜が基板と同心円状に形成される円形領域内に処理液を補給するのが望ましい。これにより、基板の外周側でも置換液の液膜を保持することができる。なお、置換液供給工程は、処理液補給工程よりも前に開始してもよく、処理液補給工程と同時に開始してもよい。また、処理液補給工程では、第2のノズル移動機構43によって処理液補給ノズル44を基板3に沿って右外側方に向けて水平に移動させてもよい。これにより、液膜の保持をより一層確実に行うことができる。
【0060】
次に、基板処理装置1は、基板3に不活性ガスを吹き付けて基板3の表面から置換液を除去して基板3の乾燥処理を行う(不活性ガス供給工程)。この不活性ガス供給工程は、基板3の中央部に不活性ガスを吹き付けて基板3の中央部だけを部分的に乾燥させる中央部乾燥処理工程と、基板3の中央部から外周側に移動しながら不活性ガスを吹き付けて基板3の中央部から外周側を徐々に全体的に乾燥させる外周部乾燥処理工程とを有する。
【0061】
中央部乾燥処理工程では、図11に示すように、制御部18は、また、第1のノズル移動機構30によって置換液供給ノズル33を基板3に沿って左外側方に向けて水平に移動させながら、流量調整器35によって所定流量に流量制御された置換液を置換液供給ノズル33から基板3の表面に向けて鉛直下向きに吐出させる。また、第2のノズル移動機構43によってアーム37を移動させて第1の不活性ガス供給ノズル38を基板3の中心部上方の供給開始位置に移動させる。その後、流量調整器41によって所定流量に流量制御された不活性ガスを第1の不活性ガス供給ノズル38から基板3の表面に向けて鉛直下向きに吐出させる。その際には、第2のノズル移動機構43を駆動せずに、第1の不活性ガス供給ノズル38を基板3の中央上方で停止させておく。この中央部乾燥処理工程では、基板3の中央上方で停止する第1の不活性ガス供給ノズル38から基板3の中央部に向けて鉛直下向きに不活性ガスが吐出される。そのため、基板3の表面に形成された置換液の液膜が基板3の中央部だけ外周側に除去され、基板3の中央部だけが部分的に乾燥した状態となる。
【0062】
その後、外周部乾燥処理工程では、図12に示すように、制御部18は、流量調整器41によって第1の不活性ガス供給ノズル38からの不活性ガスの吐出を停止させた後に、第2のノズル移動機構43によってアーム37を移動させて第2の不活性ガス供給ノズル39を基板3の中心部上方の供給開始位置に移動させる。その後、流量調整器42によって所定流量に流量制御された不活性ガスを第2の不活性ガス供給ノズル39から基板3の表面へ基板3の上方から外側方に向けて傾斜状に吐出させる。その際には、第2のノズル移動機構43によって第2の不活性ガス供給ノズル39を基板3に沿って基板3の中心から右側の周縁部に向けて水平に移動させる。また、第1のノズル移動機構30によって置換液供給ノズル33を基板3に沿って左外側方に向けて水平に移動させながら、流量調整器35によって所定流量に流量制御された置換液を置換液供給ノズル33から基板3の表面に向けて鉛直下向きに吐出させる。その後、流量調整器35,42によって置換液及び不活性ガスの吐出を停止させる。置換液及び不活性ガスの吐出を停止してから所定時間経過後に、基板回転機構23によって基板3(ターンテーブル21)の回転を停止させる。外周部乾燥処理工程の最後において、第1のノズル移動機構30によってアーム26を移動させて置換液供給ノズル33を基板3の外周よりも左外方の退避位置に移動させる。また、第2のノズル移動機構43によってアーム37を移動させて第1及び第2の不活性ガス供給ノズル38,39を基板3の外周よりも右外方の退避位置に移動させる。
【0063】
最後に、基板処理装置1は、図5に示すように、基板3を基板液処理装置10から基板搬送装置9へ受け渡す(基板受渡工程)。
【0064】
この基板受渡工程では、制御部18は、基板昇降機構24によってターンテーブル21を所定位置まで上昇させる。そして、ターンテーブル21で保持した基板3を基板搬送装置9に受渡す。その後、基板昇降機構24によってターンテーブル21を所定位置まで降下させる。
【0065】
なお、上記基板処理装置1では、処理液供給部13と処理液補給部16とを別々のアーム26,37に設けているが、これに限られず、これらを一つのアームに形成することもできる。また、薬液供給部12と処理液供給部13とを一つのアーム26に形成しているが、これらを別々のアームに形成することもできる。また、不活性ガス供給部15に第1の不活性ガス供給ノズル38と第2の不活性ガス供給ノズル39を設けているが、いずれか一個だけの構成とすることもできる。また、処理液の補給は置換液の供給位置より基板3の外周側であればよいが、処理液の補給位置(処理液補給ノズル44の位置)と置換液の供給位置(置換液供給ノズル33の位置)との間隔や、処理液の補給流量及び置換液の供給流量や、基板3の回転速度などの条件によって、基板3の表面で処理液や置換液が衝突による飛散が生じるおそれがある。そのため、処理液や置換液の飛散が生じない条件の範囲を予め実験等で定めておき、その範囲内で適宜設定することが望ましい。さらに、上記基板処理装置1では、リンス処理後に置換処理を行う場合に処理液を補給して処理液の液膜を形成しているが、これに限られず、基板3を処理液(疎水化液)で疎水化処理した後に、処理液(疎水化液)を置換液に置換する置換処理を行う場合などにも適用することができる。
【0066】
以上に説明したように、上記基板処理装置1(基板処理装置1で実行する基板処理方法及び基板処理プログラム)では、回転する基板3に処理液を供給して基板3の表面全体に処理液の液膜を形成しておき、基板3に置換液を供給する際に、置換液よりも基板3の外周側に処理液を補給して処理液の液膜を保持している。このように、処理液を補給することで基板3の回転数を低減させることなく基板3の表面の処理液の液膜を保持しているために、基板処理装置1のスループットを低下させることなく、ウォーターマークの発生やパーティクルの残存を抑制することができ、基板3の処理を良好に行うことができる。また、置換液の液膜を確実に形成するために、置換液の流量を増やすことが考えられるが、本実施例のように実施することで置換液の消費量を増やすことなく液膜を形成することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 基板処理装置
11 基板回転部
12 薬液供給部
13 処理液供給部
14 置換液供給部
15 不活性ガス供給部
16 処理液補給部
18 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13